JPH08277456A - 低光沢めっき薄鋼板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっき被膜表面に金属粉末又はセラミック粉
末を被覆させることでめっき鋼板表面に保持される粉体
が光を吸収又は乱反射させめっき鋼板表面に入射する光
の正反射率を低下させる低光沢めっき薄鋼板を提供する
こと。 【構成】 めっき被膜表面に金属粉末又はセラミック粉
末を被覆せしめた薄鋼板であって、該めっき被膜表面に
金属粉末又はセラミック粉末をめっき被膜表面に被覆率
５〜８０％被覆したことを特徴とする低光沢めっき薄鋼
板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、屋根、壁及び内装用等
の建材として用いる低光沢めっき薄鋼板に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】亜鉛めっき鋼板は従来から素地が露出し
て腐食するまで使用される期間が長く、他のめっき法に
比べ比較的厚めっきが簡単に行える溶融めっき法の利点
から、屋根板を代表例とする建材材料等に広く使用され
ている。また、アルミめっき鋼板についても、耐熱性が
優れている特性を利用して従来の家庭容器耐熱部品や防
火壁材料から、最近では、さらに耐食性や耐候性に優れ
ている特性を利用して屋根材や壁材の外装用建材として
用途が拡大し大量に使用されつつある。中でも、溶融ア
ルミめっき鋼板特有の銀白色の外観性を生かして、屋根
材として多く使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、木材
等の他素材に比較して、強度、加工性及び軽量性に優
れ、かつ価格が安い等の優れた特性を有することから建
材として使用されているが、一方でこれら鋼板は一般に
光沢度が高く、そのために、特に屋根等に使用した場合
には、例えば航空機パイロットの目に太陽光が直接入射
し幻惑するという問題がある。また、壁などに使用した
ときは近接の太陽光が反射し環境問題となる。これらの
対策として、光沢度の高いめっき鋼板を用いた場合には
低光沢の塗装などして光沢度を低下させる方法が提案さ
れているが、光沢度を低下させるために低光沢の塗装を
行うことは、それだけ塗装作業が増加しコスト高になる
という問題がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上述した問題を解消する
べき、発明者らは鋭意開発を進めた結果、めっき被膜表
面に金属粉末又はセラミック粉末を被覆させることでめ
っき鋼板表面に保持される粉体が光を吸収又は乱反射さ
せ鋼板表面に入射する光に正反射率を低下させる低光沢
めっき薄鋼板を提供することにある。その発明の要旨と
するところは、めっき被膜表面に金属粉末又はセラミッ
ク粉末を被覆せしめた薄鋼板であって、該めっき被膜表
面に金属粉末又はセラミック粉末をめっき被膜表面に被
覆率５〜８０％被覆したことを特徴とする低光沢めっき
薄鋼板にある。

【０００５】

【作用】以下、本発明について図面に従って詳細に説明
する。図１は、本発明に係るめっき被膜表面の金属粉末
又はセラミック粉末の被覆状態を示す断面図である。図
１に示すように、鋼板１の表面にめっき被膜２を形成せ
しめ、このめっき被膜表面に金属粉末又はセラミック粉
末３を被覆せしめる構造を示す。この場合のめっき被膜
は溶融亜鉛めっき、亜鉛−アルミ及びアルミめっき被膜
等よりなり、また、金属粉末又はセラミック粉末として
の、金属粉末は金属Ｚｎ，Ａｌ，Ｃｒ，Ｎｉ，Ｓｎ，Ｃ
ｏ等より成る粉末であり、また、セラミック粉末として
はＳｉＯ₂ ，Ａｌ₂ Ｏ₃ ，ＺｒＯ₂ ，Ｃｒ₂ Ｏ₃ ，Ｋ₂
Ｏ，ＭｇＯ，ＣａＯ，ＳｉＣ，ＴｉＣ等より成る粉末を
いう。

【０００６】さらに、上記金属粉末又はセラミック粉末
の平均粒径を２μｍ以下とする。平均粒径が２μｍを超
えると、溶融めっき浴から引上げられた未凝固状態のめ
っき被膜にセラミック粉末等を吹き付けてめっき被膜に
衝突させた場合にめっき被膜内に突入する割合が多くな
り、めっき表面への付着する被覆率が５％未満に低下す
るからである。そのために平均粒径を２μｍ以下とし
た。また、そのめっき鋼板表面のセラミック粉末等の付
着する被覆率は５〜８０％とし、５％未満では目的とす
る光沢度以下に確保することが出来ない。また、８０％
を超えると粉体が剥がれ易くなり、かつ、あまり光沢度
が低下し、めっき鋼板としての商品価値を低下させるこ
とから５〜８０％とした。

【０００７】図２は本発明に係る鋼板の製造工程を示す
説明図である。この図に示すように、例えば、溶融亜鉛
めっきラインにおいて、鋼板４は無酸化炉５によって最
適な表面状態にさせた後、スナウト６を経て溶融亜鉛め
っき槽７に浸漬される。浸漬した鋼板は溶融亜鉛めっき
槽７の中でシンクロール８の外周を接して方向を転じ溶
融亜鉛めっき槽外へと導かれる。鋼板に付着した溶融亜
鉛めっき層などは適正な付着量にするために、未凝固の
状態で気体ワィピングノズル９より吹拭された噴射気体
によって調整された後、めっき層が凝固する前に金属粉
末又はセラミック粉末等の粉体吹付装置１０の間を通過
し金属粉末又はセラミック粉末の噴射を受け、未凝固の
めっき層は表面に金属粉末又はセラミック粉末を付着さ
せ、めっき被膜表面に金属粉末又はセラミック粉末が分
散させられる。金属粉末等の吹き付けはめっき被膜層が
未だ溶融状態にあるときに行う必要があり、また、粉体
吹付装置１０はめっき被膜表面に最適な付着量にするた
めの吹き付け圧力及び吹き付け距離を制御することで行
われる。

【０００８】

【実施例】図２に示す装置により、ライン速度１００〜
１２０ｍ／分で走行する板厚１．０ｍｍ、板幅９１４ｍ
ｍの鋼板をめっき浴組成、Ｚｎ９９．８％、Ａｌ０．２
％、めっき浴温度４５０〜４７０℃で両面溶融亜鉛めっ
きをし、さらにガスワイピィングにて片面膜厚２０μｍ
に調整した。その後亜鉛めっき層が未凝固の状態で、平
均粒径１μｍの亜鉛粉末を含むキャリアーガスと共に鋼
板の両面に噴射し、被膜２２μｍの上層被膜層を得た。
得られためっき被膜表面の亜鉛粉末の被覆率を種々変え
た結果を図３に示す。

【０００９】図３はめっき層表面の亜鉛粉末等被覆率と
光沢度との関係を示す。試験方法としては光沢度を測定
した。その結果、通常金属としての光沢度は１０００°
と言われているが、本発明により光沢度がほぼ６０°と
なり、低光沢度のめっき鋼板を得ることが出来た。この
結果は図３に示すように、めっき層表面の被覆率は４０
〜８０ｖｏｌ％が特に優れ、５〜４０％でほぼ良好な結
果が得られた。

【００１０】このように、めっき被膜表面に金属粉末又
はセラミック粉末が保持されることにより、特に４０〜
８０％含有することによって、めっき表面に保持された
粉体が光を吸収又は乱反射させ、鋼板表面に入射する光
の正反射率を低下させ、その結果、光沢度の低下を与え
ることが出来、鋼板表面からの光の反射を防止した太陽
光からの直接反射を無くした屋根、壁等の建材として広
く使用することが出来る。

【００１１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明により、めっ
き被膜表面に金属粉末又はセラミック粉末が保持されて
いるめっき鋼板は光沢度が低く、光を吸収又は乱反射さ
せ、鋼板表面に入射する光の正反射率を低下させ、しか
も生産性良く低コストで安価に製造することが可能とな
り、この低光沢めっき薄鋼板としての建材分野への用途
の拡大を図ることが出来る工業上極めて有用なものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るめっき被膜表面の金属粉末又はセ
ラミック粉末の被覆状態を示す断面図、

【図２】本発明に係る鋼板の製造工程を示す説明図、

【図３】めっき表面の亜鉛粉末等被覆率と光沢度との関
係を示す図である。

【符号の説明】

１ 鋼板 ２ めっき被膜層 ３ 金属粉末又はセラミック粉末 ４ 鋼板 ５ 無酸化炉 ６ スナウト ７ 溶融亜鉛めっき槽 ８ シンクロール ９ 気体ワィピングノズル １０ 粉体吹付装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 めっき被膜表面に金属粉末又はセラミッ
   ク粉末を被覆せしめた薄鋼板であって、該めっき被膜表
   面に金属粉末又はセラミック粉末をめっき被膜表面に被
   覆率５〜８０％被覆したことを特徴とする低光沢めっき
   薄鋼板。