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JPH08262024A - 生体内物質の免疫測定用キットおよび免疫測定方法 - Google Patents

生体内物質の免疫測定用キットおよび免疫測定方法

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Publication number
JPH08262024A
JPH08262024A JP1081196A JP1081196A JPH08262024A JP H08262024 A JPH08262024 A JP H08262024A JP 1081196 A JP1081196 A JP 1081196A JP 1081196 A JP1081196 A JP 1081196A JP H08262024 A JPH08262024 A JP H08262024A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
particles
magnetic particles
measured
magnetic
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP1081196A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoji Takahashi
橋 洋 二 高
Fumika Kobayashi
林 文 香 小
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP1081196A priority Critical patent/JPH08262024A/ja
Publication of JPH08262024A publication Critical patent/JPH08262024A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生体内物質の測定が容易であり、また、プロゾ
ーン現象を抑止できる免疫測定用キットおよび免疫測定
方法を提供する。 【解決手段】少なくとも、測定対象物質と免疫学的に結
合する物質を担持させた磁性粒子(A)と、測定対象物
質を担持させた非磁性着色粒子(B)とを含む生体内物
質の免疫測定用キット。該キットは、さらに測定妨害物
質と免疫学的に結合する物質を担持させた磁性粒子
(C)を含んでもよい。該キットに含まれる該粒子
(A)、(C)を検体と反応させた後、該粒子(B)を
さらに加えて反応させ、未反応の磁性粒子および磁性粒
子と結合して形成された免疫複合体を集磁し、反応液中
に残存する着色粒子の吸光度を測定する。測定対象物質
の標準試料を用いて作成した検量線より、検体中の測定
対象物質を定量する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性を有する粒子
と磁性を有しない粒子とを用いる抗原−抗体反応を利用
して生体内物質を測定する方法において、体液などの検
体を用いる測定が可能で、上記体液中の測定妨害物質の
影響を受けることなく、またB/F分離(bound/free分
離、すなわち、抗原と抗体により形成される免疫複合体
/未反応の遊離体を分離すること)などの複雑な操作を
必要とせずに、測定対象物質の濃度上昇を吸光度値の増
加で検出し、高感度で信頼性の高い測定結果が得られる
免疫測定用キットおよび免疫測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、血清、血漿、尿などの体液中の抗
原または抗体を測定対象物質として、抗体または抗原感
作磁性粒子を用いる免疫学的な測定が行われてきた。こ
のような測定方法は、特開昭55−156866号公報、特開昭
61−128168号公報、特開平1−193647号公報、特開平3
−59459 号公報、および特開平3−128462号公報などで
開示されている。
【0003】特開昭55−156866号公報には、抗原または
抗体の担持粒子である第一の磁性粒子を用いて検体中の
測定対象物質との複合体を形成させ、この複合体とは結
合するが遊離の第一の粒子(測定対象物質と結合してい
ない)とは結合しない第二の粒子と上記複合体とを結合
させて凝集させ、凝集していない第一または第二の粒子
を標識により選択的に検定することによって検体中に含
まれる抗体または抗原の量を測定する方法が開示されて
いる。そして、上記粒子は磁性体を含んでもよく、凝集
体の分離は遠心または集磁によって行うことが開示され
ている。
【0004】また、特開平1−193647号公報には、抗体
または抗原を担持させた磁性粒子と同じく抗体または抗
原を担持させた非磁性粒子とを抗原または抗体と反応さ
せて凝集体を形成させ、これらを反応液から分離した
後、反応液中に残存する非磁性粒子の量を吸光度または
散乱光で測定することにより、定性的または定量的に測
定する方法が開示されている。特開平3−59459 号公報
には、磁性粒子と非磁性粒子により凝集体を形成させ、
これらを反応液から分離した後、反応液中に残存する非
磁性粒子を濁度測定することにより、定性的または定量
的に測定する方法が開示されている。
【0005】特開平3−128462号公報には、抗体または
抗原と反応した、あるいは未反応の磁性粒子および磁性
粒子と非磁性粒子との凝集物を反応液から分離した後、
反応液中に残存する粒子(非磁性)量を目視または光学
的に測定することにより検体中の抗体量を定量し、これ
らの抗体のIgのクラスを判別する方法が開示されてい
る。さらに、特開昭61−128168号公報には、抗体または
抗原を担持させた磁化可能粒子である不溶性担体(磁性
粒子)と磁化可能粒子でない標識粒子(非磁性粒子)と
を用いて反応を行い、反応混合物に磁場を付与すること
によって、この反応混合物中の磁化粒子または磁化粒子
を含む凝集粒子を集磁により分離し、この凝集粒子中の
標識粒子を標識強度で測定する免疫学的分析方法が開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法において
は、抗原濃度の上昇につれて吸光度が上昇する検量線を
得るために、以下の手順が取られている。すなわち、上
記抗体または抗原担持磁性粒子と標識粒子(非磁性粒
子)とを反応させた後、これら2つの粒子によって形成
された免疫複合体と集磁されずに残った非磁性粒子とを
B/F分離し、洗浄する工程を経た後に、上記免疫複合
体中の非磁性粒子の量をその標識によって検出するとい
うものである。したがって、上述の方法においては、B
/F分離とその後の洗浄工程が不可欠であった。
【0007】そして、これらの公報で開示された方法で
得られる検量線は、一般的なイムノアッセイやEIA法
などで得られる右上がりのものであるが、ラテックス凝
集法、免疫比濁法等で過剰の抗原を用いた場合は、図1
に示したように抗原−抗体の複合体が形成されずに抗原
濃度が高いところで右上がりの曲線が急激に下がるとい
うプロゾーン現象が生じる場合があった。図1中、プロ
ゾーン現象をおこした範囲を矢印で示す。さらに、この
ような測定に用いる検体は、測定対象物質以外にも多く
の生体内物質を含み、これらのうちのいくつかは測定妨
害物質として作用するため、測定前に検体からこのよう
な測定妨害物質を除去しておかなければ、測定精度の低
下が生じるなどといった問題点があり、信頼性に欠ける
場合があった。
【0008】本発明は、以上のような問題点を解決する
ためになされたものであり、洗浄工程が不要で、プロゾ
ーン現象を起こさない右上がりの検量線を得ることがで
き、測定精度および信頼性の高い、生体内物質の免疫測
定用キットおよび免疫測定方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、抗
原−抗体反応を利用して生体内物質を測定する免疫測定
用キットであって、少なくとも、測定対象物質と免疫学
的に結合する物質を担持させた不溶性磁性粒子、および
測定対象物質を担持させた特定波長吸収領域を有する不
溶性非磁性粒子を含むことを特徴とする生体内物質の免
疫測定用キットである。また、本発明は、検体中の測定
妨害物質と免疫学的に結合する物質を担持させた不溶性
磁性粒子をさらに含むことを特徴とする。
【0010】さらに、本発明は、抗原−抗体反応を利用
して生体内物質を測定する免疫測定方法であって、
(1)測定対象物質と免疫学的に結合する物質を担持さ
せた不溶性磁性粒子を含む溶液、および測定対象物質を
担持させた特定波長吸収領域を有する不溶性非磁性粒子
を含む溶液を、任意の順序で検体と混合して混合液と
し、(2)上記混合液に磁場を付与して、上記混合液中
で生成した上記磁性粒子と測定対象物質とが形成した免
疫複合体、および未結合の磁性粒子を集磁し、(3)残
留する上記非磁性粒子の濃度を吸光度によって測定する
生体内物質を測定する免疫測定方法である。
【0011】本発明はまた、検体中の測定妨害物質と免
疫学的に結合する物質を担持させた不溶性磁性粒子をさ
らに加え、上記磁性粒子と測定妨害物質とが形成した免
疫複合体をさらに集磁することを特徴とする。
【0012】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
抗原−抗体反応による生体内物質の免疫測定用キット
は、少なくとも、測定対象物質と免疫学的に結合する物
質を担持させた不溶性磁性粒子(以後、磁性粒子(A)
と記す)と、測定対象物質を担持させた特定波長吸収領
域を持つ不溶性非磁性粒子(以下、非磁性粒子(B)と
記す)とを含むことを特徴とするものである。これらの
粒子は、溶液中に含まれていてもよい。
【0013】本発明においては、抗原−抗体反応におけ
る測定対象物質を含む検体として、ヒト、動物の体液、
具体的には、全血、血清、血漿、尿、リンパ液、脊髄
液、関節液、唾液、汗、乳汁、胃液、膵液、腸液、胆
汁、涙液などを用いることができる。そのなかでも、従
来前処理を必要とした有色の検体、例えば、全血、乳
汁、胆汁等に用いることが好ましく、特に、微少の検体
量で済むことから全血の測定上好適である。
【0014】測定対象物質は、検体中に含まれる抗原、
抗体のいずれであってもよく、抗原の場合、抗体産生能
を有するものであればよい。また、測定対象物質と免疫
学的に結合する物質は、上記抗原または抗体と特異的に
結合する抗原、抗体であればよく、抗体の中には抗−抗
体も含まれる。抗体は、一般に、ポリクローナル抗体、
モノクローナル抗体に大別され、さらに、これらの抗体
は、IgA、IgM、IgG、IgEおよびIgDの5
つのクラスに分けられるが、同時にこれらの抗体はタン
パクであるため、免疫原性と抗原性とを有し、それ自身
が抗原となり得る。
【0015】本発明は、抗原として上述の抗体、あるい
は上述の抗体をパパインやペプシンで分解して得られる
Fab、F(ab')2フラグメント、またはγ−グロブリンな
どの他、種々の物質を使用することができる。具体的に
は、アルブミン;HCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)、
AFP(α−フェトプロテイン)、CEA(癌胎児性抗
原)、CRP(C反応性タンパク)、カルジオリピン抗
原、HBs(B型肝炎ウイルスの表面抗原)、ヒト成長
ホルモン、ヘモグロビン、Lp(a)(リポプロテイン
(a))などのタンパク;Apo−AI、Apo−AI
I、Apo−CII、Apo−CIII 、Apo−B、Ap
o−Eなどのアポリポタンパク;A型、B型、O型、Le
a 型、Leb 型抗原などの糖鎖抗原である血液型物質;ス
テロイドホルモン、コンカナバリンA、各種プロスタグ
ランジンなどのハプテンと担体の結合した物質;などを
挙げることができる。
【0016】本発明で用いる抗体としては、抗アルブミ
ン抗体、抗Lp(a)抗体、抗CRP抗体、抗ヒト成長
ホルモン抗体、抗HCG抗体、抗AFP抗体、抗CEA
抗体、抗ヒト凝固ファクター抗体、抗HBs抗体などの
タンパクに対する抗体;抗IgA抗体、抗IgM抗体、
抗IgG抗体、抗IgE抗体、抗IgD抗体および抗γ
−グロブリン抗体などの免疫グロブリンからなる抗体;
抗ステロイドホルモン抗体、抗DNA抗体、抗プロスタ
グランジン抗体などのハプテンに対する抗体といったも
のを挙げることができる。
【0017】本発明においては、上述の抗原、抗体など
の測定対象物質を非磁性粒子に担持させ、この粒子自
体、または水溶液中にこの粒子を分散して後述の磁性体
粒子(A)と組み合わせて生体内物質の免疫測定用キッ
トとし、また、このキットを免疫測定に用いる。本発明
で使用する非磁性粒子の素材としては、有機高分子物
質、無機物質のいずれでもよい。有機高分子物質の例と
しては、ゼラチン粒子、ポリスチレン粒子、スチレン−
ブタジエン共重合体粒子、またはスチレン−(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体粒子があり、これらは乳化重
合によりラテックスとして得ることができる。
【0018】上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体
粒子の形成に用いるモノマーとしては、例えば(メタ)
アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル
酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−1
−メチル−2−ヒドロキシエチル、モノメタクリル酸グ
リセロール、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、メタクリル酸−2−スルホエチル、メタク
リル酸アシッドホスホキシエチル、メタクリル酸−3−
クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル、メタクリル
酸アシッドホスホキシプロピル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アク
リル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル、(メタ)アクリル酸アミド、N−メチロール
アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、
(メタ)アクリル酸グリシジル、および(メタ)アクリ
ル酸メチルグリシジルなどがある。
【0019】無機物質の例としては、シリカ、アルミ
ナ、酸化チタン等を挙げることができる。
【0020】非磁性粒子は、特定波長吸収領域を有すれ
ばよく、好ましくは着色剤を公知の方法で含有させて着
色粒子とする。特定波長吸収領域とは190〜1,00
0nmの波長領域をいい、この範囲に最大吸収波長を有
し、吸光度が測定できる着色剤を用いることが好まし
い。特に、350〜700nmで吸光度が測定できる着
色剤を用いることが検体中のタンパクが有する紫外線吸
収を感知しないことから好ましい。上記非磁性粒子の着
色は特に限定されず、半透明であってもよい。
【0021】非磁性粒子の粒径は特に限定されないが、
0.01〜100μmが好ましく、さらに0.1〜30
μmが好ましい。粒径が0.01μm未満では、抗体感
作時に粒子同士の凝集が起きやすくなり、また遠心分離
が困難となるからであり、100μmを超えると水溶液
中で短時間に沈降し、抗原−抗体反応に好ましい浮遊性
の良い粒子が得られないためである。
【0022】本発明で使用する磁性粒子は、上述の有機
高分子物質、無機物質粒子に、公知の方法で、鉄、磁性
酸化鉄などの磁性体を含有させて磁性粒子とするか、ま
たは有機高分子物質や無機物質の粒子を核としてフェラ
イト被覆を行いフェライト被覆粒子を形成する。一方、
磁性粒子の粒径は、0.01μm未満では粒子の製造が
困難であり、たとえ製造できても集磁性不良であるこ
と、また、平均粒径が100μmを超えると表面積が大
きくなって分散不良となり測定感度が低下することか
ら、0.01〜100μmのものが好ましく、より好ま
しくは0.1〜30μmのものである。
【0023】本発明の磁性粒子は上述のようにして得ら
れる磁性粒子を更に高分子処理により粒子表面を被覆し
て用いてもよい。高分子処理に用いる高分子化合物のう
ち、合成高分子としては、例えば、シラン、ナイロン又
はポリスチレン等を挙げることができる。また、天然高
分子としてはゼラチン、キチン等の蛋白質や天然ゴム等
を挙げることができる。更に、これら合成高分子、天然
高分子の共重合体あるいは混合物も使用することができ
る。
【0024】本発明においては、非磁性粒子には、上述
した検体中の測定対象物質を、また磁性粒子には測定対
象物質と免疫学的に結合する物質をそれぞれ担持させ
て、磁性粒子(A)および非磁性粒子(B)を形成す
る。ところで、検体中に赤血球、ヘモグロビン、ビリル
ビンなどの生体内物質、あるいはフェノバルビタール、
フェニトイン、ジゴキシン、イミプラミン、テオフィリ
ン、ペニシリンなどの薬物が存在する場合は、これらが
測定妨害物質となって測定感度や測定精度に悪影響を及
ぼす。本発明においては、上述の磁性粒子(A)および
非磁性粒子(B)に加えて、さらに測定妨害物質と免疫
学的に結合する物質を担持させた磁性粒子(以後、磁性
粒子(C)と記す)を調製・添加し、これらの測定妨害
物質を除去することができる。磁性粒子(C)の原料と
なる磁性粒子は、上述した磁性粒子(A)の原料と同様
のものを使用して製造することができる。磁性粒子
(C)は、2種以上を使用してもよい。
【0025】上記の測定対象物質または測定妨害物質と
免疫学的に結合するとは、これらの物質と特異的に結合
することを意味し、測定対象物質または測定妨害物質が
上述したような抗原である場合にはこれらに対する抗体
と、測定対象物質または測定妨害物質が上述したような
抗体である場合には、これらに対する抗原または抗抗体
との間に形成される結合をいう。
【0026】上述の粒子に、測定対象物質またはこれら
に免疫学的に結合する物質を担持させる方法は、磁性粒
子または非磁性粒子に共通である。すなわち、上述した
各粒子に、測定対象物質または測定対象物質と免疫学的
に結合する物質を物理的に吸着させる方法、または、化
学的に担持させる方法がある。
【0027】具体的には、上述の抗体または抗原などを
適当な緩衝液中で前記粒子と反応させることにより、物
理的に吸着させることができる。この反応に使用する緩
衝溶液としては、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、
炭酸緩衝液などを挙げることができ、吸着反応の際のp
Hに応じて、適切な緩衝作用を発揮し得る緩衝液を適宜
選択する。反応は、上述の粒子と測定対象物質または測
定対象物質と免疫学的に結合する物質とを室温にて混合
することにより容易に進行し、目的とする物質を担持し
た粒子を得ることができる。また、化学的に担持させる
方法では、所謂ペプチド結合法におけるカルボジイミド
法やグルタルアルデヒド法等を採用して、目的とする物
質を担持した粒子を得ることができる。
【0028】担持させる抗体としては、上述のポリクロ
ーナル抗体またはモノクローナル抗体が使用でき、例え
ば、γ−グロブリン、IgG、IgMなどのクラスに属
する免疫グロブリン、F(ab')2、Fabなどのフラグメン
トのいずれの抗体も使用することができる。また、担持
させる抗原としては、細胞片、ハプテン−担体の結合
体、タンパク、免疫複合体、天然または合成高分子など
が用いられる。ハプテンと化学的に結合させる担体とし
ては、アルブミンなどの異種タンパクが汎用される。
【0029】一般に、粒子に担持させる抗原または抗体
の量は、粒子の種類などによって大きな幅があるが、
0.001mg/ml 〜20mg/ml 、好ましくは0.005
mg/ml〜5mg/ml の範囲である。免疫学的に結合する物
質を担持した各粒子を、それぞれ、BSA(ウシ胎児血
清アルブミン)などの血清を含んでもよい上述のリン酸
緩衝液、トリス塩酸衝液等の水性溶媒中に、0.01〜
10重量%となるように分散し、懸濁液であるラテック
スとして、本発明の免疫測定用キットの一部とする。
【0030】本発明の免疫測定用キットは、上述のよう
に、少なくとも測定対象物質と免疫学的に結合する物質
を担持した磁性粒子(A)と測定対象物質を担持した1
種以上の非磁性粒子(B)を含むものである。上記免疫
測定用キットは、さらに検体中の測定妨害物質と免疫学
的に結合する物質を担持させた1種以上の磁性を有する
磁性粒子(C)を含んでもよい。また、これらの粒子が
溶液中に含まれている場合、必要に応じてNaN3 など
の防腐剤を添加してもよい。
【0031】上記免疫測定用キットは、これらの他に、
検量線を作成するための標準試料とそれを希釈するため
の水溶液、検体希釈用の水溶液などを含んでもよい。こ
のような水溶液としては、例えば、水、生理食塩水、上
述したリン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液などを挙げる
ことができる。上述した磁性粒子および非磁性粒子が含
まれてもよい水溶性溶媒、検量線作成用標準試料および
その希釈用緩衝液、および検体希釈用緩衝液は、それぞ
れ個別に、表面処理を行ったガラス製容器、またはポリ
プロピレンなどのプラスチック製容器などに入れて保存
する。
【0032】本発明の測定方法は、以下に説明する
(1)〜(3)の工程を含む。本発明の免疫測定用キッ
トを用いる場合には、まず、第(1)工程として、上述
の(A)、(B)の粒子と検体とを混合する。上述の各
粒子の使用量は、測定対象物質を担持させた非磁性粒子
(B)1容量に対して、測定対象物質と免疫学的に結合
する物質を担持させた磁性粒子(A)を1/4〜4容量
倍の範囲で用いることが、非磁性粒子を効率よく磁性粒
子と反応させるために好ましい。より好ましくは、1〜
4容量倍である。粒子(A)、(B)と測定対象物質と
の混合順序は特に限定されないが、磁性粒子(A)をま
ず測定対象物質と混合し、次に非磁性粒子(B)を加え
るか、あるいは非磁性粒子(B)をまず測定対象物質と
混合し、次に磁性粒子(A)を加えるのが好ましい。ま
た、必要により、測定妨害物質と免疫学的に結合する物
質を担持した磁性粒子(C)を上記(A)、(B)の粒
子と混合してもよい。この場合、上記の(C)粒子は、
上記非磁性粒子(B)1容量に対し、1/10〜10容
量倍の範囲で用いることができる。特に好ましくは、1
/2〜2容量倍である。
【0033】上述の粒子(A)、(B)、および(C)
の混合順序は特に限定されないが、磁性粒子(C)、磁
性粒子(A)および検体をまず混合し、十分に反応させ
た後に非磁性粒子(B)を混合する方法が、測定感度お
よび再現性を良くする点で好ましい。さらに好ましく
は、上記磁性粒子(C)を検体とまず混合し、その後上
記磁性粒子(A)を混合し十分に反応させた後、さらに
非磁性粒子(B)を混合する方法である。また、粒子
(A)、(B)、および(C)を検体と一括して混合す
る方法も、簡易かつ迅速な測定が可能となる点で好まし
い。
【0034】ここで混合する検体の量は、磁性粒子
(A)1容量に対して1/60〜1/3容量であればよ
く、必要により緩衝液などで適宜希釈して用いてもよ
い。
【0035】これら粒子と検体との混合は、通常、室温
(20〜30℃)で行うが、各粒子に担持された上記各
物質と対象物質との間で生じる免疫学的な結合反応の速
度を上げるため、30〜40℃に加温してもよく、ま
た、試薬の安定性を維持するため4〜20℃に冷却して
行ってもよい。これら粒子と測定対象物質との反応時間
は特に限定されないが、1〜60分とすれば、免疫反応
がほぼ終了し、測定感度および再現性ともに良好であ
る。
【0036】本発明の測定方法の第(2)工程は、第
(1)工程で得られる上述の各粒子と検体との混合物に
磁場を付与して集磁する工程である。磁場の強さは特に
限定されないが、上記混合物が全量200μlの場合、
1,000〜10,000ガウスが好適である。磁場を
付与するに際しては、市販の集磁装置、例えば、日本ペ
イント社製のギャザリン(GATHERIN)などを使用するこ
とができる。
【0037】この第(2)工程においては、未反応の磁
性粒子(A)、(C)並びに磁性粒子(A)と免疫学的
に結合した非磁性粒子(B)、磁性粒子(A)と測定対
象物質とが形成した複合体、および磁性粒子(C)と反
応妨害物質とが形成した複合体を集磁する。第(2)工
程の集磁時間は、特に限定されないが、1秒〜10分間
行うのが好ましい。特に好ましくは、10秒〜5分程度
である。
【0038】第(3)工程では、集磁されなかった非磁
性粒子(B)の量を、190〜1,000nmの範囲、
好ましくは350〜700nmの波長を用いて吸光度を
測定する。より好ましくは、これら非磁性粒子に上述し
た色素が含まれている場合、それらの色素が吸収を示す
範囲の波長を用いる。
【0039】本発明の免疫測定方法によれば、検体中の
測定対象物質を定性的あるいは定量的に測定することが
できる。定量的に測定する場合には、目的とする測定対
象物を既知の濃度含む標準検体を調製し、上述した波長
を用いて吸光度を測定して検量線を作成した後、この検
量線を用いて、未知濃度の検体の吸光度の測定値から定
量する。定性的に測定する場合には、一定量の測定対象
物質と免疫学的に結合する物質を担持した粒子と検体と
を混合し、集磁後に、目視で測定対象物質の有無を判定
する。
【0040】本発明は、例えば図2に示すように、磁性
粒子(A)上の抗体に、測定対象物質である抗原と非磁
性粒子(B)上の抗原とが競合しながら結合した免疫複
合体を反応容器側壁に集磁し、残余の非磁性粒子(B)
の量を吸光度測定で検知するものであり、粒子の凝集の
有無を検知するものではない。したがって、前述したよ
うなプロゾーン現象は生じない。また、抗原量増加に伴
って磁性粒子(A)と検体中の抗原からなる免疫複合体
が多くなり、残余の非磁性粒子(B)の量も増加するた
め、右上がりの検量線が得られる。
【0041】本発明の原理によれば、検体中に遊離して
存在する抗原の方が非磁性粒子(B)の抗原よりも粒子
による立体障害を受けないため、磁性粒子(A)の抗体
と優先的に結合する。したがって、検体中に存在する遊
離の抗原量の多少にかかわらず、最初に遊離の抗原が結
合し、残りの抗原結合部位に非磁性粒子(B)の抗原が
結合する。
【0042】すなわち、図2b1 に示すように、検体中
に存在する抗原量が少ないときは、磁性粒子(A)の抗
体と非磁性粒子(B)の抗原とが結合した複合体が多く
なり、反応容器中に残存する非磁性粒子(B)の量が少
なくなる。したがって、吸光度を測定すると測定値は小
さくなる(図2c1 )。逆に、検体中に存在する抗原量
が多い場合には(図2b2 )、磁性粒子(A)の抗体と
非磁性粒子(B)の抗原とが結合した複合体が少なくな
り、反応容器中に残存する非磁性粒子(B)の量が多く
なる(図2c2 )。したがって、吸光度を測定すると測
定値は高くなる。
【0043】以上のように、反応容器中に残存する非磁
性粒子(B)の量は、検体中に存在する抗原の量が多く
なれば増加するという正の相関関係を有する。また、本
発明においては、形成された免疫複合体はその大きさに
かかわらず集磁され残存した非磁性粒子(B)を測定す
るため、従来の凝集によるプロゾーン現象は生じない。
【0044】本発明の方法を用いて全血中のCRP(C
反応性タンパク質)量を測定する例を、具体的に説明す
る。CRPは、組織破壊を伴うような炎症性疾患等の時
に増量する血清中のβグロブリンである。
【0045】検体として全血を用いて測定を行う場合に
は、測定妨害物質となる赤血球やヘモグロビンなどがC
RPとともに存在する。この場合は、検体中の赤血球と
特異的に結合する抗赤血球抗体などを担持させた磁性粒
子(C)、検体中のCRPと特異的に結合する抗CRP
抗体を担持させた磁性粒子(A)、およびCRPを担持
させた非磁性粒子(B)を混合して用いる。血清または
血漿を用いる場合には、通常上記磁性粒子(C)は不用
であるが、溶血している場合には抗ヘモグロビン抗体を
担持させた磁性粒子(C)を用いるとよい。
【0046】これら3種類の粒子を室温で混合した後に
この混合粒子を検体と混合すると、CRPはCRPを担
持させた磁性粒子(B)と競合しながら、抗CRP抗体
を担持させた磁性粒子(A)と結合する。抗CRP抗体
を担持させた磁性粒子(A)は(B)に担持されたCR
Pよりも検体中に含まれるCRPと優先的に結合し、免
疫複合体を形成する。結合反応は、約20分程度行わせ
る。上述の検体以外に、検量線作成のために、CRP標
準溶液から一定の濃度範囲のCRP含有試料を調製し、
上述の検体と同様に各粒子と混合して免疫複合体を形成
させる。その後、上述した量の磁場をかけて上述の未反
応の磁性粒子および磁性粒子を含む免疫複合体を集磁す
る。
【0047】したがって、検体中に赤血球などの測定妨
害物質が存在しない場合、磁性粒子(A)とCRPによ
って形成された免疫複合体、未反応の磁性粒子(A)、
および磁性粒子(A)と非磁性粒子(B)によって形成
された免疫複合体が集磁される。検体中に測定妨害物質
が存在する場合には、上記の粒子、免疫複合体に加え
て、未反応の磁性粒子(C)、および磁性粒子(C)と
赤血球などの測定妨害物質との免疫複合体が集磁され
る。集磁されずに反応容器中に残る粒子は、いずれの場
合も、CRPを担持させた非磁性粒子(B)のみであ
る。
【0048】このように磁性粒子および磁性粒子を含む
免疫複合体を集磁し、検量線作成用試料および各検体中
に集磁されずに残った非磁性粒子(B)の量を、190
〜1, 000nmの範囲の適切な波長で吸光度測定す
る。検量線作成用試料の吸光度の測定値をプロットし
て、検量線を作成する。各検体の吸光度の測定値を用い
て、上記の検量線からそれらの検体中のCRP濃度を読
み取りCRP濃度を決定する。なお、CRP以外にも、
動脈硬化性疾患の発症時に増加するタンパクであるLp
(a)などを用いて同様に測定することができる。
【0049】
【実施例】以下に実施例を示して、具体的に本発明を説
明するが、本発明はこれらに何等限定されるものではな
い。
【0050】(実施例1) (1)CRP担持非磁性粒子の調製法 平均粒子径0.17μmの非磁性青色粒子を、固形分1
%(w/w)となるように、1mlの0.02%界面活
性剤含有20mMリン酸緩衝液(pH7.4、以下PB
と略す)中に分散させた。この分散溶液(1ml)にC
RP濃度24.6mg/dlのヒト血清(ATAB社
製)100μlを加えて攪拌した後、冷蔵庫中にて3日
間感作させた。
【0051】感作の終了した上記分散溶液を、12,0
00rpmで20分間遠心分離して上澄み液を取り除
き、沈殿物である青色粒子を1mlの1%BSA含有P
Bに再度分散させた。この操作を3回繰り返し、最終的
に上記の1%BSA含有PBに分散させ、粒子量0.2
%(w/w)のCRP担持非磁性粒子(B−1)溶液と
した。
【0052】(2)抗CRPヤギ抗体担持磁性粒子の調
製法 平均粒子径1.35μmのスチレン−メタクリル酸共重
合ポリマー被覆磁性粒子を、固形分1%(w/w)とな
るように、1mlのPB中に分散させた。この分散溶液
(1ml)に、抗ヒトCRPヤギ抗体(ATAB社製)
0.25mgを加えて攪拌した後、冷蔵庫中にて3日間
感作させた。
【0053】感作の終了した分散溶液を12,000r
pmで20分間遠心分離して上澄み液を取り除き、沈殿
物である磁性粒子を1mlの1%BSA含有PBに再度
分散させた。この操作を3回繰り返し、最終的に上記の
1%BSA含有PBに分散させた。この溶液を上記の緩
衝液で粒子量0.8%(w/w)の抗CRPヤギ抗体担
持磁性粒子(A−1)溶液とした。
【0054】(3)抗ヒト赤血球抗体担持磁性粒子の調
製法 平均粒子径1.35μmのスチレン−メタクリル酸共重
合ポリマー被覆磁性粒子を、固形分1%(w/w)とな
るように、1mlのPB中に分散させた。この分散溶液
(1ml)に抗ヒト赤血球ウサギ抗体(オルガノンテク
ニカ(ORGNON TEKNIKA) 社製、総タンパク23.5mg/ml )
0.25mgを加えて攪拌後、冷蔵庫中にて3日間感作
させた。
【0055】この溶液を12,000rpmで20分間
遠心分離して上澄み液を取り除き、沈殿である磁性粒子
を1mlの1%BSA含有PBに分散させた。この操作
を3回繰り返し、最終的に上記の1%BSA含有PBに
分散させた。この溶液を上記緩衝液で粒子量0.4%
(w/w)の抗ヒト赤血球抗体担持磁性粒子(C−1)
溶液とした。
【0056】(4)キットの作製 (1)〜(3)で調製したCRP担持非磁性青色粒子
(B−1)、抗CRPヤギ抗体担持磁性粒子(A−
1)、抗ヒト赤血球ウサギ抗体担持磁性粒子(C−1)
をそれぞれ含む分散溶液、検量線用CRP標準液(AT
AB社製造)、および標準液希釈用緩衝液(30mMリ
ン酸緩衝液)によりCRP測定用キットを構成した。
【0057】(5)操作方法 1)50μlの磁性粒子(A−1)溶液と、50μlの
磁性粒子(C−1)溶液と、検体である10μlの血液
を、96ウェルマイクロプレートの各ウェルに入れ、2
0分間室温にて反応させた。検量線作成用に、上記標準
液を用いて濃度既知の試料を調製し、上記検体同様に1
0μlを(B−1)溶液および(C−1)溶液とともに
各ウェルに入れ、20分間室温にて反応させた。 2)上記1)の各ウェル内の反応混合液に、100μl
の非磁性青色粒子(B−1)溶液をさらに加え、20分
間室温にて反応させた。
【0058】3)次に、集磁装置ギャザリン(日本ペイ
ント社製)をマイクロタイタープレートの下方に5分間
はめ込み、室温で静置した。 4)集磁されなかった非磁性青色粒子(B−1)をマイ
クロプレートリーダー(東ソー社製)により、570n
mでその吸光度を測定した。検量線作成用標準試料の吸
光度測定値を用いて検量線を作成した結果を図3に示
す。図3に示した検量線の作成範囲から明らかなよう
に、全血中のCRPの量を微量の検体を用いて高感度で
測定することが可能であった。
【0059】(実施例2) (1)Lp(a)担持非磁性粒子の調製法 平均粒子径0.17μmの非磁性青色粒子を、固形分1
%(w/w)となるように、1mlの0.02%界面活
性剤含有20mMリン酸緩衝液(pH7.4、以下PB
と略す)中に分散させる。この分散溶液(1ml)にヒ
トLp(a)血清(IIC社製造、100mg/dl)
0.25mgを加えて攪拌後、冷蔵庫中にて3日間感作
させた。
【0060】感作の終了した分散溶液を、12,000
rpmで20分間遠心分離して上澄み液を取り除き、分
離された非磁性青色粒子を1mlの1%BSA(ウシ胎
児血清アルブミン)含有PBに分散させた。この操作を
3回繰り返し、最終的に上記の1%BSA含有PBに再
分散させた。上記緩衝液で粒子量1%(w/w)のLp
(a)担持非磁性青色粒子(B−2)溶液とした。
【0061】(2)抗Lp(a)ヤギ抗体担持磁性粒子
の調製法 平均粒子径1.35μmのスチレン−メタクリル酸共重
合ポリマー被覆磁性粒子を、固形分1%(w/w)とな
るように、1mlのPBに分散させた。この分散溶液
(1ml)に抗ヒトLp(a)ヤギ抗体(インターナシ
ョナル エンザイムス(International Enzymes) 社製
造、20.3mg/ml(ベッカー法(Becker Method)による) )
0.25mgを加えて攪拌した後、冷蔵庫中にて3日間
感作させた。
【0062】感作の終了した分散溶液から、磁気分離装
置を用いて反応容器中の液を取り除き、分離された磁性
粒子を1mlの1%BSA含有PBに再分散させた。こ
の操作を3回繰り返し、最終的に上記の1%BSA含有
PBに分散させた。上記緩衝液で粒子量1%(w/w)
の抗Lp(a)ヤギ抗体担持磁性粒子(A−2)溶液と
した。
【0063】(3)抗ヒト赤血球抗体担持磁性粒子の調
製法 平均粒子径1.35μmのスチレン−メタクリル酸共重
合被覆ポリマー磁性粒子を、固形分1%(w/w)とな
るように、1mlのPBに分散させた。この分散溶液
(1ml)に抗ヒト赤血球ウサギ抗体0.25mgを加
えて攪拌後、冷蔵庫中にて3日間感作させた。
【0064】その後、磁気分離装置を用いて上澄み液を
取り除き、分離された磁性粒子を1mlの1%BSA含
有PBに再分散させた。この操作を3回繰り返し、最終
的に上記の1%BSA含有PBに分散させた。上記緩衝
液で粒子量1%(w/w)の抗ヒト赤血球ウサギ抗体担
持磁性粒子(C−2)とした。
【0065】(4)キットの作製 (1)〜(3)で調製された(A−2)、(B−2)、
および(C−2)の各粒子を含む溶液、検量線作成用L
p(a)標準液、標準液希釈用緩衝液(30mMリン酸
緩衝液)により、免疫測定用キットを構成した。
【0066】(5)測定波長の選択 非磁性青色粒子(B−2)の吸収波長プロファイルを、
紫外領域である190nmから可視領域である1,00
0nmの範囲でスキャンすることにより検討し、570
nmを測定波長とした。
【0067】(6)測定方法 1)Lp(a)濃度が、1、10、50、100mg/
dlとなるようにLp(a)標準液(100mg/d
l)を血液に混合し、検体とした。 2)上記検体10μlと1%BSA含有PB100μl
を96ウェルマイクロプレートの各ウェルに入れて混合
した。検量線作成用に、上記Lp(a)標準液を同様に
上記リン酸緩衝液とともに別のウェルに入れて混合し
た。
【0068】3)上記各ウェルに、磁性粒子(A−2)
60μlおよび磁性粒子(C−2)20μlを加え、1
0分間室温にて反応させた。 4)上記各ウェルに、非磁性青色粒子(B−2)20μ
lを加え、10分間室温にて反応させた。
【0069】5)次に、集磁装置ギャザリンをマイクロ
タイタープレートの下方に5分間はめ込み、非磁性青色
粒子(B−2)のLp(a)抗原と磁性粒子(A−2)
の抗体とが形成した免疫複合体、赤血球と磁性粒子
(C)の抗ヒト赤血球とが結合した免疫複合体、および
未反応の磁性粒子をウェル側壁に集磁した。 6)各ウェルの反応液中に残存する非磁性青色粒子(B
−2)濃度を、マイクロプレートリーダーを用いて57
0nmで吸光度を測定し、図4に示す検量線を0〜10
0mg/dlの範囲で作成した。
【0070】7)上述の検量線より全血検体の測定値を
読み取った。表1に、Lp(a)検量線および全血検体
の実測値を示す(n=5)。
【0071】さらに、図4に示したように、Lp(a)
を用いても右上がりの検量線が得られ、CRPの場合と
同様にプロゾーン現象は見られず、高感度での測定が可
能であった。さらに、全血中のLp(a)を測定する場
合、血清分離などの前処理を必要とせずに低濃度から高
濃度までの定量が可能であった。以上より本発明の免疫
測定方法は、酵素免疫測定法や、ラジオアイソトープ免
疫測定法のように、B/F分離を必要とせず、簡易で迅
速に高感度の測定を行えることが示された。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、検体中に含まれる測定
対象物質、および測定対象物質と免疫学的に結合する物
質との磁性粒子複合体を集磁により除去できるので、残
された非磁性粒子の量を吸光度測定することにより、右
上がりかつプロゾーン現象のない検量線を得ることがで
き、市販のニーズに適合したキットおよびそれを利用す
る測定方法を提供することができる。
【0073】また、本発明の免疫測定方法により得られ
る検量線は、凝集の有無を検知するのではなく、集磁後
の反応液中に残存する非磁性粒子の量を測定することに
基づくため、凝集法で見られるようなプロゾーン現象を
起こすことがない。さらに、非磁性粒子の量を吸光度測
定により直接検出するために、酵素免疫測定法やラジオ
アイソトープ免疫測定法に必要なB/F分離およびその
後の洗浄工程などの煩雑な操作を必要とせず、本発明の
免疫測定用キットを用いることにより、簡易かつ迅速に
所望の測定対象物質の濃度を測定することができる。加
えて、本発明の免疫測定方法では、使用する検体の量が
極めて少量であり、しかも全血を用いた高感度の測定が
可能であるため、新生児など、血液が少量しか採取でき
ない場合に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来法により生ずるプロゾーン現象を示す検
量線の図である。
【図2】 検体中に存在する抗原と抗原担持非磁性粒子
を競合的に反応させた場合の、抗原量の多少による反応
容器中に残存する非磁性粒子量の相違を示す図である。
【図3】 既知濃度のCRPを含む標準試料を波長57
0nmの吸光度で測定して得られた検量線を示す図であ
る。
【図4】 既知濃度のLp(a)を含む標準試料を波長
570nmの吸光度で測定して得られた検量線を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/543 541 G01N 33/543 541A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗原−抗体反応を利用して生体内物質を測
    定する免疫測定用キットであって、少なくとも、測定対
    象物質と免疫学的に結合する物質を担持させた不溶性磁
    性粒子、および測定対象物質を担持させた特定波長吸収
    領域を有する不溶性非磁性粒子を含むことを特徴とする
    生体内物質の免疫測定用キット。
  2. 【請求項2】検体中の測定妨害物質と免疫学的に結合す
    る物質を担持させた不溶性磁性粒子をさらに含むことを
    特徴とする請求項1記載の生体内物質の免疫測定用キッ
    ト。
  3. 【請求項3】抗原−抗体反応による生体内物質を測定す
    る免疫測定方法であって、(1)測定対象物質と免疫学
    的に結合する物質を担持させた不溶性磁性粒子を含む溶
    液、および測定対象物質を担持させた特定波長吸収領域
    を有する不溶性非磁性粒子を含む溶液を、任意の順序で
    検体と混合して混合液とし、(2)前記混合液に磁場を
    付与して、前記混合液中で生成した前記磁性粒子と測定
    対象物質とが形成した免疫複合体、および未結合の磁性
    粒子を集磁し、(3)残留する前記非磁性粒子の濃度を
    吸光度によって測定することを特徴とする生体内物質を
    測定する免疫測定方法。
  4. 【請求項4】前記混合液中に検体中の測定妨害物質と免
    疫学的に結合する物質を担持させた不溶性磁性粒子をさ
    らに加え、前記磁性粒子と測定妨害物質とが形成した免
    疫複合体をさらに集磁することを特徴とする請求項3記
    載の生体内物質の免疫測定方法。
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