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JPH08191686A - 多糖類生産用培地及び多糖類製造法 - Google Patents

多糖類生産用培地及び多糖類製造法

Info

Publication number
JPH08191686A
JPH08191686A JP7023456A JP2345695A JPH08191686A JP H08191686 A JPH08191686 A JP H08191686A JP 7023456 A JP7023456 A JP 7023456A JP 2345695 A JP2345695 A JP 2345695A JP H08191686 A JPH08191686 A JP H08191686A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polysaccharide
medium
lactic acid
culture
acid bacteria
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7023456A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Oba
哲郎 大羽
Douusuburugu Kuraasu
ドゥースブルグ クラース
Shitsukema Yan
シッケマ ヤン
Shinichi Takato
愼一 高藤
Taisuke Iwasaki
泰介 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority to JP7023456A priority Critical patent/JPH08191686A/ja
Publication of JPH08191686A publication Critical patent/JPH08191686A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 糖質、遊離アミノ酸、塩基、ビタミン及びミ
ネラルを含み、ペプトン、ペプチドを実質的に含有しな
い完全合成培地からなる乳酸菌多糖類生産用培地。この
培地を用いて乳酸菌を培養し、多糖類を採取する多糖類
の製造法。培地は濾過滅菌され、pH 6.0〜6.5 に調整さ
れていることが望ましい。 【効果】 高純度多糖類を高収率で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、完全合成培地からなる
乳酸菌多糖類生産用培地に関する。また、本発明は、こ
のような完全合成培地で乳酸菌を培養して多糖類を製造
する方法に関する。本発明によって多糖類を製造するこ
とにより、乳酸菌が生産する多糖類収量及びその純度を
高めることができる。乳酸菌が生産する多糖類は、種々
の生理活性を有することが知られており、医薬品や機能
性食品などの素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、乳酸菌をはじめとする微生物の生
産する多糖類が、生体内において免疫機能を強化する作
用を有し、抗腫瘍活性などの効果を示すことが明らかに
なってきた。そして、乳酸菌が生産する多糖類に関して
は、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bu
lgaricus) が生産する新規な高分子多糖類物質が免疫賦
活活性を有すること〔特開昭58−198495号公報〕、ラク
トコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス
(Lactococcus lactis ssp. cremoris) やラクトコッカ
ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococc
us lactis ssp.lactis) を培養して得られる多糖類を
含む培養物が抗腫瘍活性を有すること〔特開平1-277484
号公報〕、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococc
us lactis) やストレプトコッカス・クレモリス(Strep
tococcus cremoris) が生産する新規な構造を有する多
糖類が抗腫瘍活性を有すること〔特開平3-229702号公
報〕、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacteri
um breve)やラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus
casei)を培養して得られる培養物に含まれる多糖類が抗
潰瘍活性を有すること〔特開平4-5236号公報〕、ラクト
コッカス(Lactococcus)属に属する乳酸菌を培養して得
られる多糖類を含む培養物が血清コレステロール上昇抑
制作用を有すること〔特開平5- 65229号公報〕などが判
明しており、ロイコノストック(Leuconostoc) 属に属す
る微生物の生産するデキストリンが血流改良剤や血漿代
替物などの医薬品として工業的に生産されるなど、多糖
類の医薬品や機能性食品などへの応用が期待されてい
る。
【0003】また、食品産業の分野においては、多糖類
が示す特有の物性を利用し、増粘剤や安定剤として用い
られてきた植物性ガムに代わる食品添加物としての応用
も期待されている。
【0004】一方、乳酸菌を用いて多糖類を生産するに
際しては、脱脂乳やホエーあるいはそれらの酵素加水分
解物を主体とした培地を用いて行われている。例えば、
酵素分解した脱脂乳を限外濾過処理して得られるパーミ
エート (濾過液) を培地とし、ラクトコッカス・ラクチ
ス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lact
is ssp. cremoris) を18℃で24時間、pH 5.5で定pH培養
法により培養して多糖類を得る方法〔J.Dairy Sci., vo
l.73, pp.1472-1477, 1990〕、脱脂乳または脱脂乳を限
外濾過処理して得られるパーミエート (濾過液) にカザ
ミノ酸を加えたものを培地とし、ラクトバチルス・ブル
ガリクス(Lactobacillus bulgaricus)及びストレプト
コッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophil
us) については37℃で、ラクトバチルス・カゼイ(Lacto
bacillus casei)、ラクトコッカス・ラクチス・サブス
ピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis ssp. cr
emoris) 及びラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ
ーズ・ラクチス(Lactococcus lactis ssp. lactis) に
ついては18〜25℃で、それぞれ静置培養して多糖類を得
る方法〔FEMS Microbiol.Review,vol.87, pp.113-130,
1990〕、ホエーを酵素分解したもの、あるいはビール酵
母抽出液を培地とし、ラクトバチルス・ヘルベティカス
(Lactobacillus helveticus) を37℃で24時間、静置培
養して多糖類を得る方法〔Agri.Biol.Chem., vol.47, p
p.1623-1625,1983〕、脱脂乳を培地とし、ストレプトコ
ッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilu
s) について43℃で静置培養して多糖類を得る方法〔Car
bohydr.Res., vol.198, pp.313-321,1990〕、脱脂乳を
培地とし、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピ
ーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii
ssp. bulgaricus) を37℃で20時間培養して多糖類を得
る方法〔Carbohydr.Res., vol.239, pp.209-226,1993〕
などが知られている。
【0005】しかし、乳酸菌を静置培養して多糖類を生
産させる場合の多糖類の生産量は、150mg/リットル程度
であり、一般的に行われている微生物による物質生産の
生産効率と比較すると必ずしも満足できる値とはいえな
い。また、乳酸菌を培養して多糖類を生産させた培養液
から多糖類を回収する方法としては、遠心分離により菌
体を除去し、上澄みを限外濾過して多糖類を濃縮し回収
する方法、あるいは、50%濃度以上のアルコール存在下
で多糖類を沈澱させ回収する方法などがあるが、乳酸菌
を培養する際に用いた脱脂乳中に含まれる乳糖とアミノ
酸やペプチドとが培地調製時の滅菌などの加熱処理によ
り褐変反応を起こし、乳糖とアミノ酸やペプチドとの複
合体を形成するので、その複合体が多糖類と共に回収さ
れ、純度が低下することがある。
【0006】さらには、脱脂乳やホエーを主体とする培
地を用いた場合、乳酸菌が生産する多糖類中に含まれて
いるリン酸基が培地中に含まれるたんぱく質やペプチド
とイオン結合し、多糖類とたんぱく質やペプチドとの複
合体を形成するので、回収された多糖類の純度を低下さ
せる原因となっている。因みに、脱脂乳やホエーを主体
とする培地を用いて乳酸菌に多糖類を生産させ、その多
糖類を50%濃度のアルコールで沈澱させた場合、その沈
澱物中に含まれる多糖類の含量は約35重量%程度であ
り、十分満足できる値ではない。
【0007】そこで、乳酸菌を培養して多糖類を生産さ
せる場合に培地として用いる脱脂乳やホエーを予め酵素
で加水分解し、限外濾過処理してたんぱく質や高分子の
ペプチドを除去したものを培地として用いる方法や乳酸
菌が生産した多糖類と複合体を形成しているたんぱく質
やペプチドを酵素で加水分解して除去する方法なども行
われている。しかし、このような方法では、酵素処理や
限外濾過処理などの煩雑な処理を必要とし、そのような
処理に長時間を要するので、大量に多糖類を生産するよ
うな工業的な製造には適していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
問題点を鑑み、乳酸菌を培養して多糖類を大量に生産さ
せるのに適した培地について鋭意研究を行ったところ、
各培地成分を混合して調製する完全合成培地を基本培地
とし、その窒素成分を遊離アミノ酸混合物とすることに
より、乳酸菌が生産する多糖類の量と共に純度も高める
ことができることを見出した。そして、培地成分として
適した糖質の選択を行うと共に、完全合成培地の滅菌方
法を加熱滅菌から濾過滅菌に変更し、さらに、乳酸菌を
定pH培養法によって培養することにより、乳酸菌を用い
て多糖類を生産する際の最適の条件を見出し、本発明を
完成するに至った。
【0009】したがって、本発明は、乳酸菌を培養して
多糖類を高純度で大量に生産させるのに適した培地を提
供することを課題とする。また、本発明は、乳酸菌を培
養して多糖類を高純度で大量に生産させる多糖類の製造
法を提供することを課題とする。本発明における多糖類
の例としては、グルコース、ガラクトースあるいはラム
ノースとリン酸基とからなるリン酸化多糖類を例示する
ことができるが、それ以外の多糖類の生産にも本発明を
用いることができる。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、乳酸菌
を培養して多糖類を大量に生産させるのに適した培地及
び培養条件を見出すべく、以下のような項目について検
討を行った。培地の滅菌方法 10%(W/V) 還元脱脂乳 115℃で30分間殺菌した後、酵素
アクチナーゼE(科研製薬株式会社)を 50mg/リットル
の割合で添加し、37℃で16時間処理を行ってたんぱく質
を分解した。 100℃で30分間加熱処理することにより酵
素を失活させた後、分画分子量 3,000の膜を有する限外
濾過装置に供して、約8リットルのパーミエート (濾過
液) を得た。このパーミエートの中、4リットルはオー
トクレーブで滅菌した培地とし、残りの4リットルは
0.2μm の膜で濾過滅菌した培地とした。
【0011】この滅菌方法が異なる二つの培地をそれぞ
れ18℃に維持した5リットル容のジャーファーメンター
に移し、対数増殖期にある乳酸菌の前培養物約 200mlを
添加して培養を開始した。菌体の生育中は、3N水酸化カ
リウムによる自動滴定によって乳酸を中和しながらpHを
6に維持し、定期的に培養液の濁度を測定して菌体の生
育を調べた。生育が静止期に至ってから、さらに10〜15
時間培養を継続し、約50時間後に培養を終了した。
【0012】ジャーファーメンターから回収した培養液
の遠心分離 (20,000×g、60分間)を行って菌体を除去
した後、その上澄みに4リットルのエタノールを混合し
て多糖類を沈澱させ、遠心分離(5,000×g、20分間) に
より沈澱した多糖類を回収した。さらに、回収した多糖
類を蒸留水 200mlで溶解し、等量のエタノールを混合し
て再び沈澱させる操作を2回繰り返し、多糖類を回収し
た。このようにして回収した多糖類は凍結乾燥した後、
乾燥重量の測定や化学組成の分析に供した。
【0013】また、多糖類を精製するために、この凍結
乾燥物を 0.1%メチルチオレートを含むリン酸緩衝液(p
H 7.5)に溶解し、酵素プロナーゼ (Boehringer社) によ
り30℃で16時間処理してたんぱく質を分解し、上記した
と同様にエタノールによる沈澱と蒸留水による溶解を繰
り返し、多糖類を精製した。その結果を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】加熱滅菌した培地を用いて乳酸菌を培養し
た培養液のエタノール沈澱物の乾燥重量は、濾過滅菌し
た培地を用いた場合よりも多かったが、その化学組成に
おいてはたんぱく質含量が高く、多糖類の純度は低かっ
た。そして、精製多糖類の乾燥重量については両者間に
大きな差がないことから、加熱滅菌による褐変反応で生
成した乳糖とペプチドとの複合体が、エタノール沈澱物
の乾燥重量を増加させているものと考えられた。したが
って、乳酸菌を培養する際に用いる培地の滅菌方法を加
熱滅菌から濾過滅菌に変更することで、エタノール沈澱
物として回収される多糖類の純度を向上させることがで
きる。
【0016】培地の窒素成分 表2に組成を示した完全合成培地を基本培地として利用
した。
【表2】
【0017】そして、窒素成分として表2に組成を示し
た完全合成培地のアミノ酸混合物、カザミノ酸(Difco
社) 、カシトン(Difco社) 、トリプトン(Difco社) 及び
トリプトンL-42(Oxoid社) の5種類を用い、また、糖質
源として乳糖を5%(W/V) となるよう配合した培地を調
製した。そして、この培地を用いて乳酸菌を培養し、多
糖類を生産した。なお、培地は濾過滅菌を行い、培養方
法、多糖類の回収方法及び精製方法は、培地の滅菌方法
を検討する際に用いたと同様の方法により行った。
【0018】その結果を表3に示す。
【表3】
【0019】回収されたエタノール沈澱物の乾燥重量
は、ペプトンやトリプトンなどのペプチドを窒素成分と
する培地の方がアミノ酸を窒素成分とする培地よりも多
かったが、その化学組成においてはたんぱく質含量が高
く、多糖類の純度は低かった。一方、アミノ酸を窒素成
分とし、ペプトンやペプチドを実質的に含有しない培地
においては多糖類の純度が約68%と高く、精製多糖類の
乾燥重量については両者間に大きな差がないことから、
ペプチドを含まないアミノ酸を窒素成分とする培地を使
用することにより、エタノール沈澱物として回収される
多糖類の純度を向上させることができることが判った。
したがって、乳酸菌多糖類生産用培地の窒素成分として
は、表2に組成を示した完全合成培地のアミノ酸混合物
とカザミノ酸が適しているといえる。
【0020】培地の糖質成分 表2に組成を示した完全合成培地を基本培地として利用
し、完全合成培地に含まれている全ての糖質成分を乳
糖、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノ
ース及びN−アセチルグルコサミンの6種類の糖質成分
にそれぞれ置き換え 150mMの濃度で配合した培地を調製
した。そして、この培地を用いて乳酸菌を培養し、多糖
類を生産した。なお、培地は濾過滅菌を行い、培養方
法、多糖類の回収方法及び精製方法は、培地の滅菌方法
を検討する際に用いたと同様の方法により行った。
【0021】その結果を表4に示す。
【表4】
【0022】フルクトース、あるいはマンノースを糖質
成分として用いた場合、多糖類の生産量は低い傾向を示
したが、乳糖、グルコース、ガラクトース及びN−アセ
チルグルコサミンを糖質成分として用いた場合、多糖類
の生産量はいずれもほぼ同様の水準であり、これら4種
類の糖質が乳酸菌多糖類生産用培地の糖質成分として適
していることが判った。なお、フルクトース及びマンノ
ースについても、乳糖、グルコース、ガラクトース、あ
るいはN−アセチルグルコサミンのいずれかと併用する
ことにより十分利用可能である。
【0023】乳酸菌の培養方法 表2に組成を示した完全合成培地を基本培地として利用
し、糖質成分のみ乳糖を5%(W/V) となるよう配合し、
濾過滅菌により2リットルの培地(pH6) を調製した。こ
の中1リットルについては、予め滅菌しておいたガラス
容器に移して静置培養に使用し、残りの1リットルにつ
いては、2リットル容ジャーファーメンターに移して定
pH培養に使用した。そして、同じ培地中で対数増殖期に
ある前培養物50mlをそれぞれ添加して培養を開始し、静
置培養はそのままの状態で、また、定pH培養は3N水酸化
カリウム溶液の自動滴定により培養中のpHを6で一定に
維持した状態で培養を行った。約45時間培養した後、両
者の培養液を回収し、培地の滅菌方法を検討する際に用
いたと同様の方法により多糖類を回収した。
【0024】その結果を表5に示す。
【表5】
【0025】pH6における定pH培養により得られた培養
液のエタノール沈澱物の量は、静置培養した場合と比較
して約3倍多く、定pH培養法で乳酸菌を培養することに
より多糖類の生産効率を大幅に向上させることが判っ
た。
【0026】培養の最適pH 乳糖を5%(W/V) 含有する完全合成培地を用い、pHが異
なる培地をそれぞれ調製し、3N水酸化カリウムの自動滴
定によりそれぞれの培地のpHを維持する定pH培養を行っ
た。約50時間培養した後、培養液を回収し、培地の滅菌
方法を検討する際に用いたと同様の方法により多糖類を
回収した。なお、得られた多糖類の生産量は、エタノー
ル沈澱中の糖含量によった。
【0027】その結果を図1に示す。
【0028】多糖類の生産量はpH 6.3付近において最大
値を示し、この条件で乳酸菌を培養した培養液をエタノ
ール沈澱して回収された多糖類の量は約930mg/リットル
であった。静置培養の場合に回収される多糖類の量は約
150mg/リットルであることから、pHを 6.3とすることに
より多糖類の生産量を通常の乳酸菌の培養条件により約
6倍に増大できることが判った。
【0029】このように、乳酸菌を培養して多糖類を生
産する際に用いる培地としては、従来知られている完全
合成培地を基本培地とし、窒素成分として遊離アミノ酸
混合物あるいはカザミノ酸を配合し、糖質成分として乳
糖、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノ
ース及びN−アセチルグルコサミンから選択される一種
以上を配合したものが適している。また、この培地の滅
菌は濾過滅菌を行うことが好ましい。さらに、この培地
を用いて乳酸菌を培養するに際しては、pH 6.0〜6.5 の
範囲で定pH培養を行うことが好ましい。なお、本発明の
乳酸菌多糖類生産用培地及び本発明の多糖類の製造法
は、多糖類を生産するいずれの乳酸菌種にも適用するこ
とが可能である。
【0030】次に、実施例を示し、本発明を詳しく説明
する。
【実施例1】Otto et al. 〔FEMS Microbiol. Lett., v
ol.16, pp.69-74, 1990 〕の記載に従い、表2に示した
組成の完全合成培地4リットルを調製した。この培地を
濾過滅菌し、5リットル容ジャーファーメンター(Appl
ikon社)で、3N水酸化カリウムの自動滴定によりpHを
6.3に維持する定pH培養を行った。乳酸菌としてラクト
コッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス(L
actococcus lactis ssp. cremoris) SBT 0495 (FERM P
-10053) を 約55時間培養した後、約 4.7リットルの培
養液を回収した。この培養液を遠心分離 (20,000×g、
60分間) して菌体を完全に除去し、得られた上清約 4.5
リットルに等量のエタノールを混合して多糖類を沈澱さ
せた。沈澱物を遠心分離(4,000×g、10分間) して回収
し、純水 500mlで充分に溶解した後、再びエタノール 5
00mlにより多糖類を沈澱させる操作を2回繰り返し、多
糖類粗精製物を得た。この多糖類粗精製物の乾燥重量は
約3.8gであり、その糖含量とリン酸含量はそれぞれ約6
5.5%及び約 7.8%であった。この一部を酵素プロナー
ゼ (Boehringer社) によりたんぱく質を分解し、エタノ
ール沈澱により精製多糖類を再回収して乾燥物を調製
し、たんぱく質分解処理前の重量と処理後の重量から多
糖類の純度を計算した結果、多糖類粗精製物の純度は約
72%であった。
【0031】
【実施例2】実施例1の完全合成培地を調製する際に使
用した遊離アミノ酸混合物に代えてカザミノ酸(Difco
社)を 0.5%(w/v) 配合し、糖質成分である乳糖を7%
(w/v)配合した培地60リットルを調製した。1回の培養
時間を70時間とした以外は、実施例1と同様に行い、培
養を15回繰り返して多糖類を製造した。これによって得
られた乾燥物は約 79gとなり、実施例1と同様に計算し
た多糖類の純度は約68%であった。
【0032】
【実施例3】実施例1の完全合成培地を調製する際に使
用した糖質成分の乳糖に代えてグルコースを3%(w/v)
配合した培地4リットルを調製した。実施例1と同様の
乳酸菌を約60時間培養した後、培養液約5リットルを回
収し、実施例1と同様に50%エタノールでの沈澱により
多糖類を回収して粗精製物を得た。その多糖類粗精製物
の乾燥重量は約5.2gとなり、純度は約70%であった。
【0033】
【実施例4】実施例1と同様の培地及び培養条件によ
り、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシー
ズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii ssp.
bulgaricus) NCFB2772を培養し、実施例1と同様の方法
で多糖類を回収して粗精製物を得た。その多糖類粗精製
物の乾燥重量は約2.3gとなり、純度は約78%であった。
【0034】
【実施例5】実施例1と同様の培地及び培養条件によ
り、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lacti
s) NCFB860 を培養し、実施例1と同様の方法で多糖類
を回収して粗精製物を得た。その多糖類粗精製物の乾燥
重量は約1.8gとなり、純度は約83%であった。
【0035】
【実施例6】実施例1と同様の培地及び培養条件によ
り、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococc
us thermophilus) DSM20259を培養し、実施例1と同様
の方法で多糖類を回収して粗精製物を得た。その多糖類
粗精製物の乾燥重量は約1.5gとなり、純度は約80%であ
った。
【0036】
【発明の効果】本発明は、食品や医薬品などへの応用が
期待される多糖類を生産するための、乳酸菌の培養に使
用する培地及びその培養方法に関するものであり、本発
明の培地及び製造法を用いることにより、従来法の約6
〜7倍の多糖類を生産することができ、しかも、簡便な
多糖類の回収方法であるエタノール沈澱を行っても従来
の約2倍の純度で多糖類が回収できる。したがって、本
発明により、種々の生理機能を有する多糖類を工業的規
模で製造することが可能となる。なお、本発明の方法に
より製造する多糖類は、チーズやヨーグルトなどの発酵
食品を製造する際に伝統的に用いられている乳酸菌が生
産するものであり、安全なものとしての認識 (GRAS:Gen
erally Recognized As Safe)が定着しているので、医薬
品や飲食品の素材として何ら問題なく利用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定pH培養におけるpHと乳酸菌が生産する多糖類
の生産量の関係を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:225) (C12N 1/20 C12R 1:46) (C12P 19/04 C12R 1:01) (C12P 19/04 C12R 1:225) (C12P 19/04 C12R 1:46) (72)発明者 高藤 愼一 埼玉県川越市小堤62−32 (72)発明者 岩崎 泰介 オランダ国、9752 エヌエー ハーレン、 ヘムステルハウスラーン 17

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖質、遊離アミノ酸、塩基、ビタミン及
    びミネラルを含み、ペプトン及びペプチドを実質的に含
    まない完全合成培地からなる乳酸菌多糖類生産用培地。
  2. 【請求項2】 糖質成分2〜10%(w/v) 及びアミノ酸成
    分 0.3〜3%(w/v)を含む請求項1記載の培地。
  3. 【請求項3】 糖質成分として、乳糖、グルコース、ガ
    ラクトース、フルクトース、マンノース及びN−アセチ
    ルグルコサミンからなる群から選択される糖質を一種以
    上含む請求項1または2記載の培地。
  4. 【請求項4】 濾過滅菌されている請求項1〜3のいず
    れかに記載の培地。
  5. 【請求項5】 糖質、遊離アミノ酸、塩基、ビタミン及
    びミネラルを含み、ペプトン及びペプチドを実質的に含
    まない完全合成培地を用いて乳酸菌を培養し、産生され
    る多糖類を採取することを特徴とする多糖類の製造法。
  6. 【請求項6】 糖質成分2〜10%(w/v) 及びアミノ酸成
    分 0.3〜3%(w/v)を含む完全合成培地を用いる請求項
    5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 糖質成分として、乳糖、グルコース、ガ
    ラクトース、フルクトース、マンノース及びN−アセチ
    ルグルコサミンからなる群から選択される糖質を一種以
    上含む完全合成培地を用いる請求項5または6記載の製
    造法。
  8. 【請求項8】 濾過滅菌されている完全合成培地を用い
    る請求項5〜7のいずれかに記載の製造法。
  9. 【請求項9】 乳酸菌をpH 6.0〜6.5 で培養する請求項
    5〜8のいずれかに記載の製造法。
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