JPH08187302A - フロン分解法 - Google Patents
フロン分解法Info
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Abstract
的で簡単な装置で、迅速かつ安定確実に分解できるフロ
ン分解法を提案する。 【構成】 非酸化性雰囲気中において加熱された炭素質
材料とアルカリ土類金属化合物とを含有する物質にフロ
ンガスを接触させて反応させることを特徴とするフロン
分解法。
Description
るものである。本明細書において“フロン”または“フ
ロンガス”とは、簡単な炭化水素類(例えばメタンやエ
タンなど)の幾つかの水素原子をフッ素原子や塩素原子
で置換した一連の化合物を総称する意味で使用する。
ことから、洗浄剤や冷凍機の冷媒、合成樹脂の発泡剤、
スプレー剤等の用途に広く使用されてきたが、大気中に
放出されると分解されないまま成層圏に達してオゾン層
を破壊し、紫外線による皮膚ガンや白内障などの病気や
地球温暖化の原因となるため、世界的に社会問題化して
おり今世紀中に全廃という国際決議がなされた。しかし
ながら、フロンの分解に関する技術はまだ十分に確立さ
れていないのが実状である。
されている以上、フロンの分解技術の確立は緊急課題で
ある。現在、わが国で提案されているフロン分解技術と
しては、次の5種類が代表的なものである。
内熱式または外熱式に加熱された装置内でフロンガスを
分解するものであり、高温を必要とする。 2)プラズマ分解法・・・プラズマトーチ内の最高10
000℃に達するプラズマ流中にフロンガスを導入する
ことによってフロンを高速分解する方法である。 3)触媒分解法・・・適切な固体触媒の表面にフロンガ
スと水蒸気を大気圧下で流通させることによってフロン
を分解する。 4)試薬分解法・・・例えば、ナトリウムナフタレニド
試薬を有機溶媒に溶解して気体または液体のフロンと反
応させ、試薬中のNa+イオンと、フロン中のCl−お
よびF−イオンとの反応によりNaClおよびNaFを
生成させてフロンを還元分解する方法である。 5)超臨界水分解法・・・水の臨界点を超えた状態では
液体とも気体とも異なる超臨界状態となるが、この状態
ではフロンの加水分解が容易に進行する。この現象を利
用してフロンを分解する方法である。
れのフロンの分解方法も未だ基礎研究段階にあり、汎用
性のある確立した技術とは言えない。
ら大容量のものまで、各種各様に広く分布している。従
って、これらフロンの分解を行うには、種類や容量を問
わず安全確実に分解できること、経済的な装置であるこ
と、分解に使用する資材が入手しやすくかつ安全である
こと、迅速に処理できること、等の要求を同時に満たす
簡易な技術が望まれる。
イクロ波を利用したフロン分解方法を特願平5−101
842号並びに特願平5−191658号で提案した。
即ち、特願平5−101842号において、マグネタイ
ト(又はミルスケール)をマイクロ波で加熱し、この発
熱状態にあるマグネタイトにフロンガスを接触させると
フロンがほぼ完全に分解することを見い出した。
分解後の反応助剤中に不安定なFeCl2やFeF2が
生成するので、これを無害化するための後処理が必要で
ある。そこで、特願平5−191658号では、該方法
を改善し、後処理の負担を軽減するため、炭素質材料と
アルカリ土類金属の酸化物または塩類とからなる混合物
にマイクロ波を照射して発熱させ、この発熱状態にある
該混合物にフロンガスを接触させる方法を提案した。
ー炭、コークス又は木炭等)とアルカリ土類金属化合物
(例えば、炭酸塩又は硫酸塩)との混合物を、耐熱材料
からなる容器に充填してマイクロ波を照射すると、炭素
質材料がマイクロ波を吸収して発熱する。混合物が60
0℃以上になったところへフロンガスを通気させて接触
させると、フロンガスは分解し、発生した塩素やフッ素
などのハロゲンは、アルカリ土類金属の酸化物または塩
類と反応し、アルカリ土類金属のハログン化物として捕
捉されるという方法である。
法にマイクロ波を用いることにより迅速かつ高温に反応
を開始することができることが特徴の一つであった。こ
れにより、混合物を充填した容器を多数個準備してお
き、容器を次々に取り替えることで、反応装置をコンパ
クトに作製できるというものであった。
力のマイクロ波が必要であるが、このためにはマイクロ
波発信器の大きさと高価さには問題が残っていた。即
ち、反応装置全体としては、かなり大がかりなものとな
る点である。
を解決するため、さらに研究を進めた結果、炭素質材料
とアルカリ土類金属の化合物とを含有する物質を耐火性
の容器に充填し、加熱炉(例えば、環状炉あるいはマッ
フル炉)で好ましくは600℃以上に加熱し、実質上非
酸化性雰囲気下でフロンガスを接触させることにより、
フロンガスを分解し、しかも有毒な塩素ガス、フッ素ガ
ス、塩化水素ガスあるいはフッ化水素ガス等を生成しな
いことを見い出した。
クロム線やシリコニット等のヒーターを用いて加熱すれ
ば、マイクロ波の電力から熱への変換効率の50〜70
%と比較して、変換効率は100%であり、しかも安価
に加熱装置を組むことができるのが特徴である。以下、
本発明法について詳細に述べる。
枢をなす、炭素質材料とアルカリ土類金属の化合物とを
含有する物質についてであるが、粉状の混合物粉体をペ
レット状等に造粒しておくことが、フロンガスの通気性
と接触効率の点で望ましい。粉状の混合物をそのまま容
器に充填すると、ガスの通気の際にショートパスを生じ
て接触効率が悪化し、十分な反応が行われない可能性が
ある。また、ペレット状等に造粒する代わりに、粒状の
炭素質材料の表面に粉状のアルカリ土類金属の化合物を
付着させたものでもよい。
ついて研究したところ、炭素質材料の一種であるチャー
炭の微粉のみでペレットを作成し、容器に充填して加熱
し、フロンガスを通気した場合、分解してフッ素ガスが
発生することが分った。逆にアルカリ土類金属の酸化物
である酸化カルシウムのみでペレットを作成し、同様に
実験を行っても、同様にフッ素ガスが発生した。
炭素質材料単体で可能であるが、発生する塩素ガスやフ
ッ素ガスを固定できない。また、アルカリ土類金属の化
合物単体でもフロンは熱分解されるが、有害ガスを固定
できないということが分った。従って、好ましくは60
0℃以上でフロンの分解処理を行うには、炭素質材料と
アルカリ土類金属化合物とを含有する物質が必要不可欠
であると考えられる。
ス,木炭または活性炭等)とアルカリ土類金属の酸化
物、水酸化物または塩類等の化合物とを含有する物質を
加熱すると、水酸化物や炭酸塩等の塩類は分解して活性
な酸化物となり、フロンが分解して発生した塩素やフッ
素等のハロゲンをアルカリ土類金属のハロケン化物とし
て固定することができる。むろん、アルカリ土類金属の
酸化物は、水酸化物や塩類の分解から得られたものであ
るか否かを問わない。
は塩類等の化合物として、経済性や入手のし易さ、取り
扱い易さの点からは、カルシウム酸化物(石灰)、カル
シウム水酸化物(消石灰)、カルシウム炭酸塩(石灰
石)が望ましい。また、炭素質材料とアルカリ土類金属
化合物とに水を添加して混練し、押し出し機などで造粒
する場合は、水を添加したときの発熱の点や、でき上が
ったペレットが度の点から、特にカルシウム水酸化物が
好ましい。結合剤等を用いなくても、十分なペレット強
度が得られる。
合については、重量比でアルカリ土類金属化合物/炭素
質材料が0.5〜4.0の範囲が好ましい。
合物の容器としては、気密性及び耐熱性を有する材質の
ものであれば金属質、非金属質を問わないが、耐久性と
経済性の点でセラミック材料(アルミナ,ムライト等)
が望ましく、また形状については、フロンガスと混合物
との接触を満足するようなものであれば、その形状のい
かんを問わない。
合物の容器を加熱する方法としては種々考えられるが、
温度制御のし易さと装置の簡便さから電気ヒーターによ
る加熱方式が好ましく、炉の形式は容器の形状に合わせ
たものが適用できる。例えば、円柱形の反応容器を1本
加熱するのであれば環状炉を、また多数本を1度に加熱
するのであれば方形のマッフル炉をといった具合であ
る。
用してフロンを分解する装置を示す。
ロ波加熱による方法と比較した場合、反応開始温度にま
で炭素質材料とアルカリ土類金属化合物との混合物を昇
温するのに時間を要するという問題がある。しかしなが
ら、これは反応容器を2組加熱できるようにした炉で、
片方で分解反応をしている間に空いた方で予熱してお
き、分解反応が終わった時点でガスの通気を切り替えて
予熱した容器に流すというように、交互に使用できるよ
うにすれば、連続的に反応を持続することができ、欠点
とは言えない。
混合物の温度が600℃以上になってからの方がよい。
図2のグラフは600℃に設定した環状炉に、外径36
mm、肉厚2mmのムライト管にチャー炭と石灰を重量
比で1:3で混合して作成したペレット100gを充填
したものを設置したときの、管内中央の温度の変化を測
定したものである。
ンR−113を2.4g/minで通気したところ、通
気開始後13〜14分で980℃に達した様子を示して
いる。これは、フロンの分解反応が発熱を伴うもので、
通気開始後18分で880℃に下がり始め、同時に排ガ
ス中からフッ素が100ppm検出されたことから、分
解反応が終わりかけている様子を示すものである。
続的に送り込むには、気化性の高いフロンであれば減圧
弁を使様して流量調整する。また、常温で液体であるよ
うなフロンの場合には、液体フロンを入れた容器を湯煎
などの方法で温めることによりフロンを気化させ、その
蒸発による膨張圧力を利用してフロンガスを連続的に送
り込むことができる。いずれの場合にしても、窒素など
の不活性ガスをキャリヤーとして用いてもよい。
の酸化物の混合物に、フロンが接触するとフロンの種類
に応じて、次のような反応が進行すると考えられる。即
ち、アルカリ土類金属としてCaを例に取ると、 などの反応が進行してフロンが分解し、ハロゲン化カル
シウムが生成すると同時にガス成分として炭酸ガス、場
合によっては一酸化炭素を生じる。カルシウムを他のア
ルカリ土類金属、例えばベリリウム,マグネシウム,ス
トロンチウム,バリウムに代えた場合も同様であると考
えてよい。
塩を用いた場合には、高温でアルカリ土類金属酸化物に
分解しているので、フロンの分解に関与するのは実際に
は該酸化物である。
土類金属化合物だけでは有害な塩素ガスやフッ素ガス等
が固定されずに排出されるので、加熱状態の炭素質材料
の触媒作用によりフロンが分解され、発生期のフッ素や
塩素原子は、アルカリ土類金属の水酸化物や塩類を用い
た場合、同じく分解してできた活性状態のアルカリ土類
金属酸化物と速やかに反応し、アルカリ土類金属ハロゲ
ン化物として固定されるものであると説明される。
す。図1において、符号1は電気加熱方式によるシリコ
ニット環状炉、2は炭素質材料とアルカリ土類金属酸化
物の混合物ペレットを充填するための反応容器、3は該
混合物ペレット、4は該混合物ペレットの移動を防ぎ安
定化するセラミックファイバー、5はガスの流通するシ
リコンチューブ6と反応容器2を接続し気密を保つため
のシリコンゴム栓である。
16メッシュ以下のチャー炭と60メッシュ以下の石灰
を重量比で1:3に混合し、水で混練して造粒乾燥後、
窒素雰囲気中で600℃で熱処理して脱水し、6〜8メ
ッシュに整粒したものである。この混合物ペレット10
0gを、外径36mm,肉厚2mm,長さ700mmの
ムライト質の管状の反応容器に210mmの長さに充填
し、あらかじめ600℃に保持した環状炉にセットし
た。
3を100cc入れたビンを60℃に保持したウォータ
ーバス中に浸漬し、次いで環状炉内の中心温度が600
℃となったのを確認後、該ビンで蒸発するフロンガスを
流量調整器で100cc/分の流量で調節しながら、径
が6mmのシリコンチューブ6を経て反応容器2に通気
を開始した。分解処理中に発生する排ガスはすべてガス
捕集バッグ(テドラーバッグ)に捕集した。
知管(ガステック株式会社製)を用いて、フロン,フッ
素および塩素の濃度を測定し、排ガス中にフロン,フッ
素および塩素のいずれかが検出された時点で処理を停止
した。使用したガス検知管はフロンR−113だけでな
く、フロンR−12,22,112,114などあらゆ
るフロンを検出でき、その検出限界はフロンは50pp
m未満,フッ素は0.25ppm未満,塩素は5ppm
未満のものである。従って、排ガス中に上記のガスが検
出されるまでは少なくとも99.99%以上で分解した
こと、並びに分解によって生成したフッ素および塩素は
排ガス中に含まれることなく完全にアルカリ土類金属化
合物中に固定されたことが分る。
フッ素が100ppm以上が検出された。この時のフロ
ンガスの分解処理量は38.5gであった。
施例1と同様の試験を行った。フロンガスを通気後5分
までフロン,フッ素および塩素ガスはいずれも検出され
なかった。フッ素を検出するまでのフロンの分解処理量
は12.8gであった。
施例1と同様の試験を行った。フロンガスを通気後13
分までフロン,フッ素およひ塩素ガスはいずれも検出さ
れなかった。フッ素を検出するまでのフロンの分解処理
量は34.2gであった。
篩分けしたチャー炭100gに変更した以外は、実施例
1と同様の試験を行った。この試験では、フロンガスの
通気を開始した直後から排ガス中にフッ素および塩素が
検出された。
は、実施例1と同様の試験を行った。この試験でも、比
較例2と同様にフロンガスの通気を開始した直後から排
ガス中にフッ素および塩素が検出された。
重量の混合物で最もフロン分解量が多かったのは、チャ
ー炭と石灰の混合比が1:3の場合であった。
ルカリ土類金属化合物の混合ペレットを耐熱容器に充填
し、加熱状態にしてフロンガスを通すという簡便な装置
で、社会問題化しているフロンガスを安全にしかも比較
的安価に処理することができる利点を有する。
明図である。
すグラフである。
ト 4−セラミックファイバー 5−シリコンゴム栓 6−フロンガス導入用シリコンチューブ 7−温度測定用熱電対
Claims (5)
- 【請求項1】 非酸化性雰囲気中において加熱された炭
素質材料とアルカリ土類金属化合物とを含有する物質に
フロンガスを接触させて反応させることを特徴とするフ
ロン分解法。 - 【請求項2】 該炭素質材料がチャー炭,コークス,木
炭および活性炭の群から選ばれる少なくとも一種である
請求項1記載のフロン分解法。 - 【請求項3】 該アルカリ土類金属化合物がカルシウム
酸化物,カルシウム水酸化物及びカルシウム炭酸塩の群
から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2記載
のフロン分解法。 - 【請求項4】 該物質は、粉状の炭素質材料と粉状のア
ルカリ土類金属化合物との混合粉体を造粒したものであ
る請求項1,2又は3記載のフロン分解法。 - 【請求項5】 該物質の加熱渥度が600℃以上である
請求項1,2,3又は4記載のフロン分解法。
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- 1995-01-06 JP JP02861995A patent/JP3190225B2/ja not_active Expired - Fee Related
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