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JPH08107888A - 高速磁気共鳴スペクトロスコピックイメージング方法及び装置 - Google Patents

高速磁気共鳴スペクトロスコピックイメージング方法及び装置

Info

Publication number
JPH08107888A
JPH08107888A JP6244319A JP24431994A JPH08107888A JP H08107888 A JPH08107888 A JP H08107888A JP 6244319 A JP6244319 A JP 6244319A JP 24431994 A JP24431994 A JP 24431994A JP H08107888 A JPH08107888 A JP H08107888A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic field
pulse
spectrum
gradient magnetic
magnetic resonance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6244319A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromichi Shimizu
博道 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Medical Corp
Priority to JP6244319A priority Critical patent/JPH08107888A/ja
Publication of JPH08107888A publication Critical patent/JPH08107888A/ja
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  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体のMRスペクトロスコピックイメージン
グを短時間に実施する。 【構成】 第1工程11において、2つの位相の反転し
た狭帯域π/2RFパルス13、−π/2RFパルス1
4を連続照射し、計測スライス内の単一のスペクトルの
スピンをフリップバックさせてそのスライス内の全スペ
クトルはその縦磁化を熱平衡状態に保存するとともに、
大強度クラッシャー傾斜磁場17によりスライス外の妨
害ピークを抑圧する。引き続いて第2工程12において
狭帯域RFパルス15により所望のスペクトルのみを励
起し、エコープレナー法により画像を形成する。縦緩和
のための待ち時間を設けることなく、連続して他の所望
のスペクトルの計測を同様に実施する。 【効果】 空間情報あるいはスペクトル情報をエンコー
ドするための反復操作が不要となるため、極く短時間で
スペクトロスコピックイメージを形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用磁気共鳴診断装
置を用いる核磁気共鳴スペクトロスコピックイメージン
グ法の撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用磁気共鳴診断(MRI)装置を用
いるスペクトロスコピックイメージング法(化学シフト
イメージングともいう。以下、MRSI法と記す)は生
体内の特定の化学種の分布を画像化する手法であり、M
RIと異なり形態情報ばかりでなく、糖代謝、エネルギ
ー代謝等の化学情報が得られるため、疾病の初期の段階
での診断が可能という大きな特徴を有している。このM
RSI法は、同じ原子核であっても化学種によって化学
シフトδが異なることを利用したもので、通常のイメー
ジングにおける空間座標軸の情報に加え、化学シフトδ
座標軸(スペクトル軸)についても情報を得るものであ
る。このため、空間軸にスペクトル軸を含めた次元につ
いて多次元フーリエ変換を行う多次元フーリエ変換法、
スペクトル軸について位相エンコードする位相エンコー
ド法など様々なMRSI法が試みられている。これらM
RSI法は、核磁化をスペクトル毎に分解し特定の成分
のみを計測するため、計測対象の核スピンの絶対量がM
RIに比べて本質的に少なく、従って低感度になるため
十分なSN比を実現するためには測定に長時間を要し、
これまで臨床応用が困難であった。
【0003】例えば、3D−CSI(化学シフトイメー
ジング)法(Maudsley, A.A. et al., J. Magn. Reson.
51, 147(1983))のような多次元フーリエ変換法は、2
次元或いは3次元の空間座標に関する情報をすべて位相
にエンコードし、磁場勾配のない状態でデータを取込
み、3次元或いは4次元のフーリエ変換によって2次元
或いは3次元の化学シフト像を得るものであり、平面
(2次元)の測定の場合でも2方向の空間軸を位相エン
コードするため、計測に長時間を要するという欠点があ
る。一例として繰返し時間(TR)を1s、画像マトリ
クスを32×32とした場合、約17分を要する。臨床
応用の観点からはこの程度のマトリクスが上限である。
このように多次元CSI法では、マトリクスを増やすと
計測時間が膨大になるため、MRIに比べて空間分解能
は著しく制限されたものとならざるを得ない。
【0004】また位相エンコード法は、π/2励起パル
スからπパルスまでの時間を変化させることにより(Se
pponen法)、或いはπ/2励起パルスからπパルスまで
の間の傾斜磁場の値を変化させることにより、スペクト
ル情報を位相エンコードするものである。しかし、この
場合にも空間軸の1方向及びスペクトル軸についてそれ
ぞれ位相エンコードするための反復が必要であり、計測
時間は長くならざるを得ない。
【0005】一方、高速化を目指したもう一つのMRS
I法の流れとして、エコープレナー法を応用した計測シ
ーケンス(エコープレナーシフトマッピングという、以
下、EPSMと略記する)が考案されている(Mansfiel
d, P.J.Phys. D, 16, L235(1983)およびMatsui, S. et
al., J. Am. Chem. Soc., 107, 2817(1985)等)。これ
は、平面測定の場合、空間軸の1つのみを位相エンコー
ドし、残る空間軸の1つとスペクトル軸は同時に周波数
エンコードして励起の反復回数を1次元分削減すること
により高速化する方法である。この方法の短所は、空間
座標とスペクトル座標を同時にエンコードするため位相
空間(k空間)においてスペクトル座標のサンプリング
間隔が広くなり、このために計測されるスペクトル帯域
が狭くなる点である。このことは、設定された計測スペ
クトル帯域外に被写体のスペクトルが存在した場合に
は、これが帯域内へ折り返されアーチファクトとなるこ
とを意味する。この問題を回避するために、計測に先行
して計測スペクトル帯域外の不要なスペクトルを抑圧す
る工夫も考案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の3D−CSI法は長い計測時間を要するという問題が
あり、本質的に高速計測には不向きである。EPSM法
には計測スペクトル帯域が狭いという問題があるもの
の、工夫の余地があり将来性が高い。このような工夫の
例としては、狭帯域励起高周波(RF)パルスを用いる
平田らの方法が挙げられる(Hirata, S. et al., Proce
edings of the 12th SMRM 3,1266(1993))。この方法
は、限定されたスペクトル領域についてスペクトルスコ
ピックイメージを得るもので、図6に示すように、EP
SMによるスペクトロスコピックイメージング42に先
立って、2.5ppm程度の狭帯域のスペクトルのみを
励起するための工程41を設ける。即ち、狭帯域の選択
励起RFパルス43を印加した後、RFパルス43と位
相がπ異なるRFパルス44を反転したスライス選択正
傾斜磁場Gzとともに印加して、RFパルス43によっ
て励起した所望のスペクトルの磁化をフリップバックに
より縦磁化に退避させた後、クラッシャー傾斜磁場47
を印加して不要スペクトルの横磁化を擬似飽和させる。
しかる後に、スライス選択性π/2RFパルスを印加し
て、狭帯域のスペクトルのみを励起し、位相エンコード
傾斜磁場48を加えるとともに、反転する読みだし傾斜
磁場401を連続的に加えて、複数のエコー信号402
を得るものである。
【0007】すなわち、この帯域限定型のEPSM法で
も、スペクトロスコピックイメージング工程42におい
ては、空間座標の1軸は位相エンコード傾斜磁場48に
よってエンコードされ、空間座標の他の1軸とスペクト
ル軸については周波数エンコードされたエコー信号が得
られるのであるが、この際、EPSMにおける計測帯域
の狭さに起因する折り返しの問題を、狭帯域の選択励起
RFパルス43、44、45により回避する。またこの
RFパルスでも隣接スライス内の不要なスペクトルピー
クが励起される可能性があるが、この問題をフリップバ
ック後のクラッシャー傾斜磁場47による疑似飽和によ
って解決している。更にこの方法では、複数の狭帯域を
計測するために計測を繰り返す場合、計測スライス内の
他のスペクトル帯域では縦磁化が保存されているため、
繰り返し時間(TR)の待ち時間を設けずに他の帯域の
連続励起が可能であるので、測定の繰り返しによる計測
時間の延長は、大幅に緩和されたもとのとなる。従っ
て、計測時間から来るマトリクスの制限は前述の3D−
CSI法に比べると緩やかなものとなる。
【0008】しかし、この場合にも空間座標の1軸に関
しては位相エンコードしているため、1つのスペクトル
帯域の計測において励起の反復はやはり必要である。と
ころで、生体内の主なMR観測対象核種である1Hと31
Pについて考えてみると、in vivo計測の対象とし得る
化合物は、量的に1Hの場合でN−アセチルアスパラギ
ン酸(NAA)、コリン、クレアチンおよびクレアチン
りん酸、乳酸等の高々数本のピークに限られる。これら
以外にGABA、グルタミン、グルタミン酸、イノシン
酸、タウリン等のピークも存在するが、これらは長時間
の積算を行うスペクトル測定では観測され得るものの、
短時間での画像化には適さない。 31Pの場合でも同様に
α、β、γ−ATP、りん酸クレアチン、PDE、PM
Eおよび無機りん酸等の数本のピークのみが画像化の対
象となる。
【0009】そこで、MRSI計測をスペクトルの取得
ではなく画像化の観点から見た場合には、以上述べた3
D−CSI法やEPSM法(帯域限定型のEPSM法を
含む)では、スペクトルデータ点数がそれぞれ3D−C
SI法で256〜1024、EPSM法で16〜64
と、多すぎて無駄が多い。しかも全体としての計測時間
を実用的な範囲にするためには、空間分解能を犠牲とせ
ざるを得ない。また、位相エンコード法であるSepponen
法とエコープレナー法とを組み合わせた高速MRSI法
にGuimaraesらの方法がある(Guimaraes, A. R. et al.,
Proceedings ofthe 12th SMRM 1, 43(1993))が、同法
でもスペクトル情報を位相エンコ−ドするための反復が
必要であり、スペクトルデータ量は過多といえる。
【0010】すなわち上述の各方法では、スペクトロス
コピックイメージと同時にマルチボクセルのスペクトル
を同時に得ることができるが、前者のみを必要とする場
合には計測に無駄があるといえる。本発明はこのような
観点からなされたものであり、所望の比較的少数のスペ
クトルの分布画像を短時間で取得する方法を提供するこ
とを目的とするものである。また本発明は高い時間分解
能及び空間分解能で所望のスペクトロスコピックシフト
イメージを得ることができるMRSI方法を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の高速MRSI方法は、特定の単一のスペク
トル選択のための第1工程と、そのスペクトルについて
のイメージング計測のための高速画像法からなる第2工
程とを含み、これら第1及び第2の工程を対象とするス
ペクトルを変えて少なくとも1回以上反復するものであ
る。尚、ここで単一のスペクトルとは、化学シフトによ
って分裂した個々のスペクトルピーク(共鳴線)を言う
ものとする。
【0012】第1工程は、好適には、平田らの帯域限定
型のEPSM法において用いられた、狭帯域選択励起R
Fパルス照射、フリップバックおよび擬似飽和傾斜磁場
からなるスペクトル選択と類似した手法を採用するが、
この際スペクトル選択性RFパルス(狭帯域のRFパル
ス)として、その帯域幅が目的とする単一のスペクトル
とこれに隣接するスペクトルとの周波数の差よりも狭い
RFパルスを用い、第2工程においては特定のスペクト
ルのみが計測されるようにする。即ち、帯域幅が目的と
するスペクトルとこれに隣接するスペクトルとの周波数
の差よりも狭いRFパルスをスライス選択性傾斜磁場と
同時に照射し、次いでこのRFパルスと位相のみがπ
(180゜)変化した同様のRFパルスを、符号の逆転
したスライス選択性傾斜磁場と同時に照射する。第1と
第2のRFパルス照射は連続して行う。これにより第1
回のRFパルスで励起した磁化をフリップバックさせ
る。更に第2回目の高周波パルスの照射後に大強度の傾
斜磁場を、直交する3つの空間軸の少なくとも一つに印
加し、隣接するスライス内の他のスペクトルの磁化を疑
似飽和させる。この状態で第2工程のイメージング計測
を行う。
【0013】第2工程は、エコープレナー法、グラディ
エントエコー法等の高速画像法であり、特にブリップ状
の傾斜磁場とそれと直交する方向について短い間隔で反
転する傾斜磁場とを組合せたエコープレナー法が好適で
ある。これら第1工程と第2工程は、第1工程における
スペクトル選択性RFパルスの帯域を順次変更しなが
ら、磁化の縦緩和の待ち時間を設けずに、繰返し実行
し、所望の複数個のスペクトル全部について画像取得を
行う。
【0014】本発明の磁気共鳴画像診断装置は、上記本
発明のMRSI方法を実現するものであり、傾斜磁場及
びRFパルスを所定のシーケンスによって照射するため
のシーケンサを備え、このシーケンサは、被検体の選択
されたスライス内の単一のスペクトルのみを選択的に励
起するために狭帯域RFパルス照射を含む第1工程と、
選択的に励起されたスペクトルについて高速で画像デー
タを取得する第2工程とを、対象とするスペクトルを変
えて少なくとも1回以上反復するシーケンスを備えてい
る。
【0015】
【作用】本発明では、高精度のスペクトル選択励起と高
速画像法とを組合せているので、スペクトル情報につい
てのエンコード化を不要とし、必要なスペクトル成分に
ついてのみ高分解能の画像を高速で得ることができる。
特に狭帯域選択励起RFパルス照射、フリップバックお
よび擬似飽和傾斜磁場からなるスペクトル選択を行うこ
とにより、化学シフトアーチファクトのない画像を得る
ことができる。また第2工程の高速画像法としてエコー
プレナー法を用いることにより、一回の励起で2次元の
画像が形成され、3D−CSI法やEPSM法のような
空間座標をエンコードするための励起の反復を要しない
ので、極めて高速に画像を形成することができる。尚、
一回の計測で得られるのは一つのスペクトルピークの画
像のみであるため、異なるピークを画像化するためには
反復が必要になるが、この反復は画像情報が得られる高
々数本のピークについて行えばよいので数回にすぎな
い。他方、マトリクスはエコープレナー法と同様に設定
できるため、642ないし1282が可能であり、3D−
CSI法やEPSM法を大きく上回る画像データを得る
ことができる。
【0016】また、第1工程では第1回と第2回のRF
パルス照射を連続して行い、フリップバックを短時間の
内に実施するため、この工程を付加したことにより全体
の画像計測時間が著しく延長されるということはない。
更にフリップバックおよび擬似飽和傾斜磁場を含むスペ
クトル選択を行うことにより、スライス内の異なるスペ
クトルピークは縦磁化が保存されTRを待たずに順次計
測できるため、複数のスペクトルについてのスペクトロ
スコピックイメージを短時間で得ることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明のMRSI方法の実施例を図面
を参照して詳細に説明する。図4は本発明が適用される
磁気共鳴画像診断装置の概略構成を示す図で、この装置
は被検体41の置かれる空間に静磁場を発生させるため
の静磁場発生磁石30と、この空間に傾斜磁場を発生さ
せるための傾斜磁場発生部35及び傾斜磁場コイル36
と、被検体にRFパルスを照射するための高周波送信部
32及びRFコイル34と、被検体から発生する磁気共
鳴信号を検出するための検出手段として受信用RFコイ
ル37及び信号受信部33と、信号受信部33の受信し
た信号を信号処理して画像化する画像作成部38と、画
像を表示する表示部40と、これらを制御する制御部3
1とを備えており、制御部31は傾斜磁場及びRFパル
スを所定のシーケンスによって照射するためのシーケン
サを備えている。
【0018】静磁場発生磁石30は、被検体41の周り
に強く均一な水平もしくは垂直方向の静磁場を発生させ
るもので、典型的には磁場強度0.1Tから4.7Tの
磁場を発生する。磁石としては超伝導磁石や常伝導磁
石、永久磁石が使用される。RFコイル34は高周波送
信部32の出力により、周波数4MHz〜200MHz
の高周波磁場を発生する。傾斜磁場コイル36は、傾斜
磁場発生部35の出力により、直交する3軸X、Y、Z
方向の傾斜磁場Gx、Gy、Gzを発生する。受信部3
3はRFコイル37の信号を受信し、その出力は画像作
成部28でフーリエ変換や画像再構成等の処理をされ、
その後表示部40で表示される。シーケンサには以下述
べるようなMRSI方法によるパルスシーケンスが備え
られている。
【0019】図1は、本発明のMRSI方法の実施例を
示すパルスシーケンスであり、目的スペクトルのみを選
択的に励起するための第1工程11と、画像データを取
得するためのエコープレナー法から成る第2工程12と
から成る。第1工程11では、薄いスライス面内の目的
とするスペクトルピークの磁化を励起するための極く狭
帯域のπ/2RFパルス13及び−π/2RFパルス1
4と、これらRFパルス13、14と同時に印加される
Z方向のスライス選択性傾斜磁場Gzと、大強度のクラ
ッシャー傾斜磁場Gz、Gy、Gx17とを含む。
【0020】第1及び第2のRFパルス13、14は、
図2に示すようにその帯域幅ΔνRFが目的とする単一の
スペクトルAとこれに隣接するスペクトルBとの周波数
の差△νδよりも狭いものを用い、第1のRFパルス1
3は、正方向の傾斜磁場Gzとともに被写体へ印加され
る。第2のRFパルスは第1のRFパルスと位相のみが
逆で、負方向の傾斜磁場Gzとともに、RFパルス13
の直後に印加される。この2つのRFパルスにより、観
測スライス内の目的スペクトルピ−クの縦磁化はz軸方
向へフリップバックし、他方で観測スライスに隣接する
スライス内で励起された他のスペクトルの磁化は、もし
それが存在すれば横磁化としてx−y平面内に留まる。
クラッシャー傾斜磁場は、残留する横磁化の位相を拡散
させ、この横磁化成分が第2工程で画像形成に寄与しな
いようにする。
【0021】第2工程12は、図1の実施例ではスピン
エコー形のエコープレナー法を用いた画像計測シーケン
スから成り、画像取得用のπ/2RFパルス15及び静
磁場の不均一等によるスピンの位相分散を補正するため
のπRFパルス16が照射される。RFパルス15は、
第1工程のRFパルス13、14と同様の狭帯域のπ/
2パルスで、スライス選択のため、正もしくは負方向の
傾斜磁場Gzとともに印加される。このパルス15は好
ましくは、クラッシャ傾斜磁場17に付随する渦電流の
減衰を待つ僅かな待ち時間をおいた直後に実施される。
【0022】尚、πRFパルス16は、静磁場の不均一
等によるスピンの位相分散を補正するためのパルスであ
るので、広帯域パルスであっても、またRFパルス15
と同様に周波数選択性パルスを用いてもよい。周波数選
択性パルスを用いた場合、πパルスの長さは若干長くな
るが、スペクトル選択性を上げることができるので、例
えば1Hの場合には、妨害となる水信号の低減に利用で
きる。
【0023】図示するエコープレナー法では信号102
を取得するために、ブリップ状の傾斜磁場Gy19及び
短い間隔で反転する傾斜磁場Gx101が加えられる。
反転する傾斜磁場Gx101に先立って印加される傾斜
磁場Gx18はワープ傾斜磁場或いはオフセット傾斜磁
場と呼ばれるk空間におけるデータ取得開始位置を決め
るための傾斜磁場である。
【0024】次に上述のパルスシーケンスを用いるMR
SI方法について更に詳しく説明する。図2は被写体の
スペクトルの一部を模式的に示すもので、説明を簡単に
するために共鳴周波数の異なる2つのスペクトルA、B
(スペクトルピーク21、22)が示されている。尚、
図中横軸は周波数を表す。これらスペクトルピークの一
方を計測対象のスペクトルピーク21、他方をそれに隣
接するピーク22とするとき、既に述べたようにRFパ
ルス13、14の帯域幅ΔνRFは隣接ピークまでの間隔
Δνδよりも小さく設定されている(式(1))。
【0025】
【数1】
【0026】なお、RFパルスの帯域幅ΔνRFは、パル
ス形としてsinc関数を用いた場合、ΔνRF=n/T(式
中、nはsinc関数のゼロクロス点数、Tはパルスの長さ
を表す)で与えられる。従って、ゼロクロス点及びパル
ス長を適当に選択することにより所望の帯域幅とするこ
とができる。このような狭帯域のRFパルス13を正の
傾斜磁場Gzと共に照射することにより、図3(a)に
示すように計測スライスS0内では所望のピーク21の
スピンのみが励起され、縦磁化がπ/2倒れる。他方、
ピーク22のスピンはこのスライス内では励起されない
が、スライスZBの外部で、その傾斜磁場強度Gzが下
式(2)を満たすとき、 νB=γ/2π(H0+Gz・ZB) (式中、νBはスペクトルピーク22の共鳴周波数、γ
は磁気回転比、H0は静磁場強度を表す)励起され、縦
磁化がπ/2倒れる。図では隣接スライスS+1内でピー
ク22の励起が生じたものとして説明する。
【0027】この直後に今度は負の傾斜磁場Gzと共に
位相をπ変化させた−π/2RFパルス14を印加する
と、図3(b)に示すようにスペクトルAの磁化はフリ
ップバックにより縦磁化へ戻るが、スライスS+1内のス
ペクトルBの磁化は変化せず横磁化としてx−y平面内
へ留まる。一方、このRFパルス14によって反対側の
(スライスS0を中心として対称の位置にある)スライ
スS-1内でスペクトルBの磁化が−π/2倒れる。引き
続いてクラッシャー傾斜磁場17を3軸方向に印加する
と、図3(c)に示すようにスライスS-1とS+1内のス
ペクトルBはスピンの位相が分散し擬似的に飽和され
る。以上の第1工程の結果、隣接スライス内の妨害ピー
ク22は除去され、目的ピーク21の縦磁化は初期の熱
平衡状態へ復帰する。
【0028】従って、第2工程においてRFパルス13
と同様の狭帯域RFパルス15をスライス選択傾斜磁場
Gzとともに印加すれば、今度はスライスS0内のスペ
クトルAのみを励起することができ、その後、エコープ
レナー法で画像形成することにより、スペクトルAのみ
の画像を得ることができる。即ち、ブリップ状の傾斜磁
場Gy19を印加するとともに極めて短い間隔で反転傾
斜磁場Gx101を印加することにより、エコー信号1
02を例えば32ないし128個発生させる。
【0029】画像作成部は、このように取得された信号
を処理して画像を再構成するのであるが、ここで収集さ
れた各ボクセルのデータはスペクトルAについての画像
データのみである。従って異なるスペクトルBについて
も、上記第1工程及び第2工程をRFパルスの搬送波の
周波数を変えて、同様に実施する。この場合、スペクト
ルAについての第1工程において、スライスS0内のス
ペクトルA以外のピークはまだ励起を受けておらず、縦
磁化が保存されている。従って、縦磁化の回復のための
繰返し時間TRを設けることなく、直ちにS0の他のス
ペクトルの計測を実行することができる。図では2つの
ピークのみを示したが、同様に複数の計測対象となるス
ペクトルについて計測を繰返し、最終的に複数のスペク
トルについての画像データを取得することができる。
【0030】ここで具体的な数値を挙げると、1Hの場
合、主な計測対象はNAA(2.0ppm)、コリン
(3.2ppm)、クレアチン(3.0ppm)、乳酸
(1.3ppm)等である(括弧内はスペクトル座標を
示す)。従って、隣接スペクトルまでの間隔を0.6p
pmと仮定すると、静磁場強度4.0T、ラーモア周波
数170MHzで、隣接スペクトルの周波数の差はΔν
δ=102Hzとなる。仮にRFパルスの帯域幅をΔν
RF=Δνδとし、ゼロクロス4点のsinc形であると
すると、次式(3)及び(4)より、スライス厚1mm
のときに、傾斜磁場強度はGz=2.4mT/mで、R
Fパルスの長さは39msとなる。
【0031】ΔνRF=n/T (3) ΔνRF=γ/2π(Gz・ΔZ) (4) (式中、γは1Hの磁気回転比、ΔZはスライス厚さを
表す) このようなRFパルスは通常のシーケンスのRFパルス
(数ms)と比較すると長いため、横緩和時間T2によ
る信号の減衰が問題となるが、T2の長いスペクトルで
は計測可能である。例えば脳内の重要な物質にNAAが
あるが、このT2は約300msと十分に長い。従って
本発明によるMRSIにより画像化が可能となる。典型
的な例では第1工程の所要時間は90ms程度、第2工
程の所要時間は100ms程度であり、合計約190m
sで1つのスペクトルについてのスペクトル画像が得ら
れる。異なるn種類のピークを順次画像化する場合、上
述したように連続励起できるので、全計測時間は190
msの約n倍に延長されるに過ぎない。
【0032】本発明によるMRSI法では、更にピクセ
ルサイズに応じて、必要な信号加算処理を行う。これに
よりS/N比を向上させることができる。この場合、本
発明のMRSI法は上述したようにエコープレナー法に
準じた超高速法であるため、心拍時相や呼吸の位相に同
期させて信号加算を行うことができるので、体動ア−チ
ファクトのないスペクトル画像を得ることができる。
【0033】以上の説明では簡単のため、スライスS0
の外部にスペクトルBのみが存在する場合の述べたが、
それ以外のスペクトルが存在する場合でもこれらは第1
工程により全く同様に疑似飽和され、第2工程における
エコー信号計測から除去される。更に本発明のMRSI
法では、スペクトルの選択性を一層向上させるため、例
えば1Hの場合には、第1工程の前に水あるいは脂肪の
スピンからの信号を抑圧するための工程を付加してもよ
い。水或いは脂肪を抑圧する工程としては、CHESS
法、2項パルス等公知の技術を採用することができる。
【0034】尚、図1の実施例は説明のために代表的な
シーケンスを示したものであり、細部は変更することが
できる。例えば、クラッシャー傾斜磁場17は必ずしも
3軸全部に必要ではなく、場合によっては最も効果的な
z軸のみとすることも可能である。また第2工程として
スピンエコー形のエコープレナーのシーケンスを示した
が、グラディエントエコー形のシーケンスでもよい。こ
の場合には、図1の第2工程においてπ/2パルス15
に次いで印加されるπパルス16が省略される。このπ
パルスは、既に述べたように装置の静磁場不均一による
画像劣化を防ぐものであり、画像形成に必須のものでは
ない。従ってこのグラディエントエコ−形のシーケンス
では、装置の磁場不均一による画像劣化はあるが、計測
時間が短縮でき、磁場の均一性のよい装置では有効であ
る。
【0035】また、図1の実施例では、第2工程におけ
る傾斜磁場Gy、Gzとして各々ブリップ19と矩形波
101を用いているが、ブリップ19の代りにDCとし
てもよく、また矩形波101の代りに正弦波を用いるこ
ともでき、それらを適宜組合せて採用することができ
る。ブリップ19と矩形波101を用いた場合には、図
5(a)に示すようにk空間において矩形のスキャンが
可能であり、理想的なデータの取得が可能であるが、装
置的には傾斜磁場コイルの特性上、完全な矩形波とする
こと、磁場を短時間で反転させることは困難であるの
で、例えば図5(b)、(c)に示すようにDCと反転
する矩形波或いはDCと正弦波を組合せてもよい。この
場合には、データの取得はk空間の非格子点上をスキャ
ンするようになるので、データの補間を適宜行い、画像
再構成される。
【0036】また第2工程のエコープレナー法は図示す
るものに限定されるものではなく、k空間分割形のエコ
ープレナー法を用いることもできる。k空間分割の仕方
は、k空間を例えば中央部と両端部に分割する方法や2
つのスキャンをずらして分割するインターレースなどを
採用できる。この場合には、分割された計測毎に第1工
程が必要となり、しかも同じスペクトルについて計測を
繰返すことになるため各分割毎に待ち時間TRを入れな
ければならない。従って、分割しないで計測する場合に
比べ全体の計測時間が大幅に長くなるが、一般にエコー
プレナー法で必要とされる特殊な高速大強度傾斜磁場発
生手段が不要になる。
【0037】更に本発明のMRSI法は、第2工程とし
て以上述べたエコープレナー法或いはその種々の変形で
はなく、画像計測のためのRFパルスとしてフリップ角
の小さいパルスを用いたFLASH法等の高速グラディ
エント法を採用することも可能である。この場合にも、
1ショットで画像形成が可能なエコープレナー法に比
べ、全体の計測時間は大幅に長くなるが、単一のスペク
トルについて画像計測を必要なスペクトルについてのみ
繰返すだけでよいので、従来のMRSIに比べ無駄な計
測を低減できる。
【0038】以上の説明から、従来のMRSI方法に比
較した本発明のMRSI方法の利点が明らかであるが、
本発明は通常のエコープレナー法による画像形成法をも
改良するものであることが理解されよう。即ち、エコー
プレナー法は高磁場の装置で実施されることが多く、高
磁場において化学シフトアーチファクトが問題となる
が、本発明のMRSI方法では単一のスペクトルについ
ての画像化を実現できるので、かかる化学シフトアーチ
ファクトを除去することができる。例えば、水を目的ピ
ーク(スペクトル)に選んで本発明のMRSI方法を実
施すれば、脂肪を除去したエコープレナー像を得ること
ができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
単一のスペクトルを選択する第1工程と高速画像形成法
からなる第2工程とを組合せ、これらの工程を所望種類
のスペクトルについて繰返すことにより、スペクトル情
報をエンコードするための反復操作を不要とし、短時間
で画像の空間分解能を低下させることなく、必要なスペ
クトルについてのスペクトロスコピックイメージを得る
ことができる。
【0040】特に第1工程として、フリップバックと大
強度傾斜磁場によりスライス外の妨害ピークを抑圧する
シーケンスを採用し、第2工程としてエコープレナー法
を採用することにより、異なる複数のスペクトルに対し
て連続して計測を実施できるため、全スペクトロスコピ
ックイメージを短時間で取得できる。例えば、特定のス
ペクトルの分布画像が200ms程度の短時間に得ら
れ、n種類のスペクトルも約n×200msの短時間に
画像化できる。これによりスペクトロスコピックイメー
ジを用いた脳機能の時間分解測定が可能になる。
【0041】また、本発明のMRSI法によれば、この
ように1つのスペクトルについて短時間に画像化できる
ので、心拍、呼吸同期を併用すれば、体動アーチファク
トのないスペクトロスコピックイメージを容易に得るこ
とができる。また、脂肪アーファクト等の化学シフトア
ーチファクトのないエコープレナー像を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のMRSI方法の1実施例のシーケン
スを示す図。
【図2】 スペクトルのピーク間隔とRFパルスの帯域
幅の関係を示す図。
【図3】 図1のシーケンスの第1工程における、隣接
し合う3枚のスライス内の2つのスペクトルピークの磁
化の挙動を示す図。
【図4】 本発明が適用されるMRI装置の概略構成を
示す図。
【図5】 (a)、(b)及び(c)は、それぞれ本発
明のMRSI方法の第2工程によるエコー信号取得の方
法の異なる例を示す図。
【図6】 従来のMRSI方法のシーケンスを示す図。
【符号の説明】
11・・・・・・第1工程 12・・・・・・第2工程 13、14、15、16・・・・・・RFパルス 17・・・・・・クラッシャー傾斜磁場パルス 102・・・・・・エコー信号 21・・・・・・目的ピーク 22・・・・・・妨害ピーク 30・・・・・・静磁場発生磁石(静磁場発生手段) 31・・・・・・制御部(シーケンサ) 32・・・・・・高周波磁場発生手段 34・・・・・・RFコイル(高周波磁場発生手段) 35・・・・・・(傾斜磁場発生手段) 36・・・・・・傾斜磁場コイル(傾斜磁場発生手段) 37・・・・・・RFプローブ(検出手段) 38・・・・・・検出手段 41・・・・・・被検体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静磁場中に置かれた被検体に、複数の高周
    波磁場及び傾斜磁場を印加し、前記被検体から発生する
    磁気共鳴信号を検出し、該磁気共鳴信号を信号処理して
    各スペクトルについての画像を形成する磁気共鳴スペク
    トロスコピックイメージング方法において、 スライス内の単一のスペクトルピークのみを選択的に励
    起する狭帯域の高周波パルスの照射を含む第1工程と、
    該スペクトルピークの分布を画像化するために傾斜磁場
    を印加して複数の磁気共鳴信号を収集する、高速画像法
    からなる第2工程とを、対象とするスペクトルピークを
    変えて少なくとも1回以上反復することを特徴とする高
    速磁気共鳴スペクトロスコピックイメージング方法。
  2. 【請求項2】前記第1工程は、前記狭帯域の高周波パル
    スとして、その帯域幅が目的とするスペクトルピークと
    これに隣接するスペクトルピークとの周波数の差よりも
    狭い第1及び第2の高周波パルスを用い、該第1の高周
    波パルスとスライス選択性傾斜磁場とを同時に照射し、
    これに連続して前記第1の高周波パルスと位相のみが2
    π変化した前記第2の高周波パルスを、前記スライス選
    択性傾斜磁場と符号が反転した傾斜磁場と同時に照射
    し、該第2の高周波パルスの照射後に大強度の傾斜磁場
    を、直交する3つの空間軸の少なくとも一つに印加する
    ことを特徴とする請求項1記載の高速磁気共鳴スペクト
    ロスコピックイメージング方法。
  3. 【請求項3】前記第2工程は、エコープレナー法を実施
    することを特徴とする請求項1記載の高速磁気共鳴スペ
    クトロスコピックイメージング方法。
  4. 【請求項4】前記狭帯域の高周波パルスの搬送波の周波
    数を順次変更しながら、磁化の縦緩和の待ち時間を設け
    ずに前記第1工程と前記第2工程の組合せを繰返し実行
    し、所望の複数個のスペクトルピーク全部について画像
    取得を行う請求項2記載の高速磁気共鳴スペクトロスコ
    ピックイメージング方法。
  5. 【請求項5】被検体の置かれる空間に均一な静磁場を発
    生する静磁場発生手段と、前記静磁場に重畳される傾斜
    磁場を発生する傾斜磁場発生手段と、前記被検体に所望
    の帯域の高周波磁場パルスを照射する高周波磁場発生手
    段と、前記被検体から発生する磁気共鳴信号を検出する
    検出手段と、前記傾斜磁場及び前記高周波パルスを所定
    のシーケンスに従って照射するために前記傾斜磁場発生
    手段及び前記高周波磁場発生手段の駆動を制御するシー
    ケンサと、前記磁気共鳴信号を信号処理して画像を形成
    する画像作成手段とを備えた磁気共鳴画像診断装置にお
    いて、 前記シーケンサは、前記被検体の選択されたスライス内
    の単一のスペクトルピークのみを選択的に励起するため
    に狭帯域高周波パルス照射を含む第1工程と、選択的に
    励起されたスペクトルピークについて高速で画像データ
    を取得する第2工程とを、対象とするスペクトルピーク
    を変えて少なくとも1回以上反復するシーケンスを備え
    たことを特徴とする磁気共鳴画像診断装置。
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