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JPH0790007A - シラン変性ジエンゴム、加硫ゴム組成物およびシラン変性ジエンゴムの製造方法 - Google Patents

シラン変性ジエンゴム、加硫ゴム組成物およびシラン変性ジエンゴムの製造方法

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Publication number
JPH0790007A
JPH0790007A JP5233793A JP23379393A JPH0790007A JP H0790007 A JPH0790007 A JP H0790007A JP 5233793 A JP5233793 A JP 5233793A JP 23379393 A JP23379393 A JP 23379393A JP H0790007 A JPH0790007 A JP H0790007A
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JP
Japan
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diene rubber
silane
rubber
modified diene
modified
Prior art date
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Granted
Application number
JP5233793A
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English (en)
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JP3681412B2 (ja
Inventor
Yoshiaki Miyamoto
芳明 宮本
Atsushi Ochi
淳 越智
Kohei Takemura
光平 竹村
Taketo Matsuki
丈人 松木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd, Sumitomo Riko Co Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP23379393A priority Critical patent/JP3681412B2/ja
Publication of JPH0790007A publication Critical patent/JPH0790007A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3681412B2 publication Critical patent/JP3681412B2/ja
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  • Graft Or Block Polymers (AREA)
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カーボンブラックを使用したゴム製品に匹敵
する白色あるいは着色のゴム製品を製造しうるシラン変
性ジエンゴム、加硫ゴム組成物と、その効率的な製造方
法を提供する。 【構成】 シラン変性ジエンゴムとその製造方法は、ジ
エンゴムと、一般式(1) で表される不飽和基含有シラン
と、一般式(2) で表される過酸化物と、金属塩とを混練
しつつ、ジエンゴムが架橋しない温度範囲で反応させ
て、ジエンゴムの主鎖に、不飽和基含有シランを側鎖と
してグラフトした。加硫ゴム組成物は上記シラン変性ジ
エンゴムを含有する。 【化1】 〔式中R1 〜R5 ,m,nは明細書に記載のとおり。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリカ等の無機充填剤
を用いた、白色あるいは着色のゴム製品を製造するのに
好適なシラン変性ジエンゴムと、これを用いた加硫ゴム
組成物と、上記シラン変性ジエンゴムの製造方法とに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】通常の加硫ゴム組成物は、補強剤として
カーボンブラックを含有するため、白色あるいは着色製
品を得るのが難しい。そこでこれらの製品を製造する際
には、カーボンブラックに代えてシリカ等の白色ないし
淡色の無機充填剤が配合されるが、これら無機充填剤
は、カーボンブラックのような補強作用に乏しく、した
がって製造されるゴム製品は、引張強さ、モジュラス、
弾性等の点で、カーボンブラックを使用した通常のゴム
製品並みの物性が得られないという問題がある。
【0003】加硫ゴム組成物に、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を配合
して、無機充填剤とゴムの相互作用を高めることも試み
られたが、シランカップリング剤はゴムとの結合性が弱
く、またゴムとの相溶性がやや低いため、十分な効果を
発揮することができない。このためゴム製品の物性は多
少向上するものの、依然として、カーボンブラックを使
用した通常のゴム製品に匹敵する物性は得られない。
【0004】またシランカップリング剤を使用した場合
には、ゴム組成物のスコーチ時間が非常に短くなって、
いわゆるスコーチング(焼け、早期加硫)を生じやすく
なり、加硫工程前の加工工程時や貯蔵時にスコーチング
が発生して、加工性を阻害する等の問題を生じる。そこ
で、上記シランカップリング剤に代わるものとして、数
平均分子量(Mn)が400〜8000程度の、比較的
低分子量の1,3−ジエンポリマー(ホモポリマーまた
はコポリマー)の末端や側鎖に、シランカップリング剤
に相当する部分を結合した化合物が提案された(たとえ
ば特開昭56−122804号公報、特開昭58−25
308号公報、特開平2−49006号公報等参照)。
上記化合物は、1,3−ジエンポリマーと反応性の不飽
和基含有シランとを、オートクレーブを用いて、高温
(150〜300℃程度)、長時間(数時間)の条件下
で維持し、さらに同温度下で混練して反応させることで
製造される。
【0005】上記化合物は、分子中に含まれるシランカ
ップリング剤に相当する部分が、無機充填剤表面の−O
H基と結合するだけでなく、ゴムのジエン主鎖と類似し
た1,3−ジエンポリマーの構造を有するためゴムとの
相溶性がよく、しかも主鎖中の二重結合が、加硫時に他
のゴム分子との架橋サイトとして機能するため、無機充
填剤とゴムとの相互作用を高めることができる。
【0006】しかし上記化合物は、主鎖の1,3−ジエ
ンポリマーが低分子量であるため、無機充填剤ゴム配合
のカップリング剤として多量に用いた場合、加硫後のゴ
ム製品の物性を逆に低下させるおそれがある。主鎖の分
子量を、汎用ジエンゴムの分子量〔数平均分子量(M
n)で表して数万ないし数百万〕程度まで大きくできれ
ばよいが、上記化合物の反応は、ジエンポリマーの分子
量が大きいほど反応性が低く、溶剤を多量に用いる必要
があり、主鎖の分子量をこれ以上大きくすることは困難
である。
【0007】また上記化合物は、その製造方法ゆえに、
製造に際して莫大なエネルギーと時間を費やし、生産性
が悪いという問題もある。より分子量の大きなジエンゴ
ムの末端や側鎖に、シランカップリング剤に相当する部
分を導入する合成方法としては、 ジエンゴムに、適当な溶媒中で、貴金属触媒を用い
たヒドロシリル化反応によって、反応性のシランをグラ
フトさせる方法、 シリル化ジエン単量体を、必要に応じて他の単量体
とともに、適当な溶媒中で、有機アルカリ金属触媒を用
いて重合させる方法、 共役ジエン単量体を含む単量体を、適当な溶媒中
で、有機アルカリ金属触媒を用いて重合させたリビング
ポリマーの末端に、反応性のシランを反応させる方法、 等がある(については特開平3−259936号公
報参照)。
【0008】これらの合成方法によれば、汎用ジエンゴ
ムの分子量程度の分子量を有し、かつ、加硫時に他のゴ
ム分子との架橋サイトとして機能する二重結合を備えた
主鎖を有するシラン変性ジエンゴムを合成することがで
きる。このため、合成されたシラン変性ジエンゴムを、
加硫ゴム組成物に多量に添加しても、加硫後のゴム製品
の物性が低下するおそれがなくなる。のみならず、加硫
ゴム組成物のゴム成分を全て、上記シラン変性ジエンゴ
ムで置き換えることも可能となる。
【0009】ところが上記各方法はいずれも、溶媒系で
反応が進行するものゆえ、反応終了後に溶媒を除去し、
反応生成物を精製する工程とそのための設備が必要とな
り、生産性が悪くかつ生産コストが高くつく他、廃液、
排ガス等の処理が必要となり、それを怠った場合には、
大気、水質、土壌等の汚染を生じるおそれがある。また
使用する溶媒が、作業者等の健康を害するおそれもあ
る。さらにの方法では、高価な貴金属触媒の損失も問
題となる。
【0010】本発明の目的は、加硫ゴム組成物に多量に
添加してもゴム製品の物性を低下させるおそれがないの
みならず、加硫ゴム組成物のゴム成分として使用するこ
とも可能で、しかも無機充填剤との相互作用にもすぐ
れ、カーボンブラックを使用した通常のゴム製品に匹敵
する物性を有する白色あるいは着色のゴム製品を製造し
うるシラン変性ジエンゴムを提供することにある。
【0011】また本発明の他の目的は、上記シラン変性
ジエンゴムを含有し、カーボンブラックを使用した通常
のゴム製品に匹敵する物性を有する白色あるいは着色の
ゴム製品を製造しうる加硫ゴム組成物を提供することに
ある。また本発明のさらに他の目的は、上記シラン変性
ジエンゴムを、種々の問題を発生するおそれのある溶媒
や、あるいは高価な貴金属触媒等を使用することなく、
しかも比較的低温、短時間の反応で、効率よく製造しう
る製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、本発明のシラン変性ジエンゴムは、分子
内に二重結合を有するジエンゴムと、一般式(1) :
【0013】
【化3】
【0014】〔式中R1 は炭素数2〜20の不飽和脂肪
族炭化水素基、R2 は炭素数1〜20のアルコキシ基、
3 ,R4 は同一または異なって、炭素数1〜20のア
ルキル基、アリール基またはハロゲン化アルキル基を示
す。mは1〜3の整数を示し、nは0〜2で、かつn≦
3−mの整数を示す。〕で表される反応性の不飽和基含
有シランと、一般式(2) :
【0015】
【化4】
【0016】〔式中R5 は炭素数1〜20のアルキル基
またはアリール基を示す。〕で表される過酸化物と、触
媒としての金属塩とを混練しつつ、ジエンゴムが架橋し
ない温度範囲で反応させて得られた、当該ジエンゴムの
主鎖に、上記不飽和基含有シランが側鎖としてグラフト
した構造を有することを特徴とする。また本発明の加硫
ゴム組成物は、少なくとも、上記本発明のシラン変性ジ
エンゴムと無機充填剤とを混練してなるか、またはこの
混練物をマスターバッチとして、シラン変性ジエンゴム
の原料ゴムと同種または異種のゴムに配合したことを特
徴とする。
【0017】さらに本発明のシラン変性ジエンゴムの製
造方法は、分子内に二重結合を有するジエンゴムと、上
記一般式(1) で表される反応性の不飽和基含有シラン
と、一般式(2) で表される過酸化物と、触媒としての金
属塩とを混練しつつ、ジエンゴムが架橋しない温度範囲
で反応させて、当該ジエンゴムの側鎖に不飽和基含有シ
ランをグラフトさせることを特徴とする。
【0018】上記構成からなる本発明のシラン変性ジエ
ンゴムは、ジエンゴムと反応性の不飽和基含有シランと
を、過酸化物、金属塩とともに、通常のゴム組成物の混
練に使用される混練機等を用いて混練して合成されるの
で、原料であるジエンゴムとしては、オートクレーブ法
のように分子量の低いものでなく、高分子量で、しか
も、架橋サイトとして機能する二重結合を主鎖中に有す
る、通常の汎用ジエンゴムをそのまま原料として使用で
きる。
【0019】このため本発明のシラン変性ジエンゴム
は、ゴムとの相溶性がよく、加硫ゴム組成物に多量に添
加しても、ゴム製品の物性を低下させるおそれがないの
みらず、加硫ゴム組成物のゴム成分として使用すること
もできる。しかも、本発明のシラン変性ジエンゴムは、
ジエンゴムの側鎖に、シランカップリング剤に相当する
部分、すなわち無機充填剤表面の−OH基と結合するア
ルコキシ基を有するため、無機充填剤との相互作用にも
すぐれている。
【0020】したがって本発明のシラン変性ジエンゴム
によれば、白色あるいは淡色の無機充填剤と組み合わせ
ることで、カーボンブラックを使用した通常のゴム製品
に匹敵する物性を有する、白色あるいは着色のゴム製品
を製造することが可能となる。また本発明の加硫ゴム組
成物は、上記のように無機充填剤との相互作用にすぐれ
たシラン変性ジエンゴムを、ゴム成分として含有するも
のゆえ、カーボンブラックを使用した通常のゴム製品に
匹敵する物性を有する白色あるいは着色のゴム製品を製
造することが可能となる。
【0021】さらに本発明のシラン変性ジエンゴムの製
造方法においては、開始剤としての特定構造の過酸化物
が、触媒としての金属塩の作用によって低温で分解し
て、ジエンゴムと反応性の不飽和基含有シランとを、比
較的低温でグラフト化反応させる。このため高温、長時
間の反応が不要で、比較的低い温度範囲で短時間混練す
るだけで、本発明のシラン変性ジエンゴムを合成するこ
とができる。またこのように比較的低い温度範囲の、短
時間の反応では、ジエンゴムが架橋する副反応が発生し
ないので、グラフト化反応の収率が高い。
【0022】しかも本発明の製造方法によれば、通常の
ゴム組成物の製造に使用される混練機等を用いた混練に
より、上記各成分を固相反応させるだけで、グラフト化
反応が進行し、シラン変性ジエンゴムが合成されるの
で、操作や装置が極めて簡便で済む上、種々の問題を生
じるおそれのある溶媒や、高価な貴金属触媒を使用しな
くてよいという利点もある。
【0023】したがって本発明の製造方法によれば、物
性のすぐれた本発明のシラン変性ジエンゴムを、効率よ
く製造することが可能となる。以下に本発明を説明す
る。分子内に二重結合を有するジエンゴムとしては、前
記のように、分子量が、数平均分子量(Mn)で表して
数万ないし数百万程度である汎用ジエンゴムが好適に使
用される。
【0024】上記汎用ジエンゴムとしては、これに限定
されるものではないが、たとえば天然ゴム、イソプレン
ゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブ
タジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム
(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プ
ロピレン−ジエンゴム(EPDM)、トランスポリイソ
プレンゴム(TPI)、トランスポリブタジエンゴム
(TPB)、水添SBR、水添NBR等の、従来公知の
種々のジエンゴムを使用することができる。中でもとく
に、グラフト化反応がおきやすいビニル基を側鎖として
有するジエンゴムが、好適に採用される。これらジエン
ゴムは単独で使用される他、2種以上を併用することも
できる。
【0025】上記ジエンゴムにグラフト化させる、反応
性の不飽和基含有シランとしては、一般式(1) :
【0026】
【化5】
【0027】〔式中R1 は炭素数2〜20の不飽和脂肪
族炭化水素基、R2 は炭素数1〜20のアルコキシ基、
3 ,R4 は同一または異なって、炭素数1〜20のア
ルキル基、アリール基またはハロゲン化アルキル基を示
す。mは1〜3の整数を示し、nは0〜2で、かつn≦
3−mの整数を示す。〕で表される化合物が用いられ
る。
【0028】上記不飽和基含有シランは、R1 の不飽和
基によってジエンゴムにグラフトし、R2 のアルコキシ
基によって、シリカ等の無機充填剤と結合する。不飽和
基含有シランの具体例としては、これに限定されるもの
ではないが、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキ
シ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、アリルジ
メチルアセトキシシラン、アリルトリルイソプロポキシ
シラン、アリルフェニルジフェノキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルメチルトリエトキシシラン、γ−
アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等があげられ
る。これらは単独で使用される他、2種以上を併用する
こともできる。
【0029】上記不飽和基含有シランは、ジエンゴム1
00重量部に対して、0.1〜25重量部の割合で配合
するのが好ましい。不飽和基含有シランの配合量が0.
1重量部未満では、合成されたシラン変性ジエンゴムに
おける、上記不飽和基含有シランからなる側鎖の数が不
足して、当該シラン変性ジエンゴムと無機充填剤との相
互作用が十分に得られなくなるおそれがある。また不飽
和基含有シランの配合量が25重量部を超えた場合に
は、強度の低下または未反応のシランのブリートを招く
おそれがある。
【0030】ジエンゴムと不飽和基含有シランとをグラ
フト化させる開始剤としては、下記一般式(2) :
【0031】
【化6】
【0032】〔式中R5 は炭素数1〜20のアルキル基
またはアリール基を示す。〕で表される過酸化物が使用
される。過酸化物の分解温度は、本発明ではとくに限定
されないが、110〜170℃程度が好ましい。過酸化
物の具体例としては、これに限定されるものではない
が、たとえばクメンハイドロパーオキサイド(分解温度
170℃)、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド(分解温度150℃)等があげられる。これらは
単独で使用される他、2種以上を併用することもでき
る。
【0033】過酸化物の添加量も、本発明ではとくに限
定されないが、ジエンゴム100重量部に対して0.1
〜5重量部が好ましく、0.2〜2重量部程度がより好
ましい。過酸化物の添加量が0.1重量部未満では、ジ
エンゴムと不飽和基含有シランとを十分にグラフト化で
きないおそれがあり、5重量部を超えた場合には、ゴム
の粘度上昇による加工性悪化のおそれがある。
【0034】なお過酸化物としては、ゴムの加硫に一般
的に使用されているジアルキルパーオキサイドやジアシ
ルパーオキサイドもあるが、これらの過酸化物は、グラ
フト化と同時にジエンゴムの架橋も誘発するため、グラ
フト化の開始剤としては使用できない。なおこれらの過
酸化物を、製造されたシラン変性ジエンゴムを含む加硫
ゴム組成物の加硫に使用することは、何ら差支えない。
【0035】上記過酸化物の、低温での分解を促進する
触媒としては、金属塩が使用される。金属塩としては、
過酸化物の分解を促進するとともに、加硫ゴム組成物あ
るいはゴム製品中に残留しても悪影響を及ぼすおそれの
ない、種々の化合物が使用できる。金属塩の具体例とし
ては、これに限定されるものではないが、たとえば硫酸
第1鉄等があげられる。
【0036】金属塩の添加量は、本発明ではとくに限定
されないが、過酸化物1重量部に対して0.02〜1重
量部が好ましく、0.05〜0.5重量部程度がより好
ましい。また本発明においては、上記金属塩による過酸
化物分解の作用を増進するため、還元剤を併用するのが
好ましい。還元剤としては、これに限定されるものでは
ないが、たとえばスルホキシル酸ナトリウム・ホルムア
ルデヒド〔NaHSO2 ・CH2 O・2H2 O〕を主成分
とし、重亜硫酸ナトリウム・ホルムアルデヒド〔NaHS
3 ・CH2 O・2H2 O〕が混在したもの〔住友化学
工業社製のロンガリットC〕等があげられる。
【0037】還元剤の添加量は、過酸化物1重量部に対
して0.5〜2重量部が好ましく、1重量部程度がより
好ましい。還元剤の添加量が0.5重量部未満では、そ
の添加効果が十分に得られないおそれがあり、2重量部
を超えてもそれ以上の効果が得られないため、コスト的
にマイナスになる。
【0038】本発明においては、所定量の上記の各成分
を混練機内に投入し、混練して、固相反応により、ジエ
ンゴムと不飽和基含有シランとをグラフト化させること
で、シラン変性ジエンゴムが合成される。混練によるグ
ラフト化反応時のゴムの温度は、ジエンゴムが架橋しな
い温度範囲でなければならない。架橋反応が起こらない
温度範囲は、ジエンゴムの種類やグレードによって異な
るため、その数値を明確に示すことはできないが、たと
えばSBRは120℃以下、NBRは110℃以下であ
る。これ以上の温度では、グラフト化と同時に架橋反応
が起こり、ゲル化してしまう。なお、架橋反応をより確
実に防止するには、何れのジエンゴムについても、70
〜90℃以下の温度で混練するのが好ましい。
【0039】また上記温度の下限についてはとくに限定
されないが、温度が低すぎると、反応に要する時間が長
くなりすぎて、シラン変性ジエンゴムの生産性が低下す
るおそれがあるので、40℃以上であるのが好ましい。
混練の温度が40℃以上であれば、30分ないし1時間
程度で反応を終了させることができる。なお混練の温度
のより好ましい範囲は50℃前後である。
【0040】混練機としては、オープンロールニーダー
やバンバリーミキサー等の、通常の混練機が使用できる
が、グラフト化反応が阻害されるのを防止するために、
窒素雰囲気中で混練するのが好ましく、そのためには、
窒素ガス充填機構を有する密閉式の混練機を使用するの
がよい。上記混練によって製造された本発明のシラン変
性ジエンゴムは、溶媒を含まないので、そのまま次工程
にまわすことができ、効率的である。
【0041】次工程では、上記シラン変性ジエンゴム
が、シリカ等の無機充填剤や、各種添加剤とともに、前
記オープンロールニーダー等の混練機で混練されて、本
発明の加硫ゴム組成物が製造される。また上記混練機で
混練されたものをマスターバッチとして、他の生ゴムと
配合することで、本発明の他の加硫ゴム組成物が製造さ
れる。
【0042】加硫ゴム組成物に配合される無機充填剤と
しては、上記シリカ(超微粉シリカ系補強剤、ホワイト
カーボン)の他に、たとえば亜鉛華、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、クレー、硫酸バリウム、珪藻土、タ
ルク、マイカ、グラファイト、軽石等があげられる。こ
れらは単独で使用される他、2種以上を併用することも
できる。
【0043】無機充填剤は、ゴム製品の用途、グレード
等に応じて、従来と同程度の割合で配合することができ
る。また本発明においては、上記無機充填剤とともに、
充填剤として、適量のカーボンブラックを併用すること
もできる。この併用系においては、シラン変性ジエンゴ
ムと無機充填剤との相互作用による補強効果に、カーボ
ンブラックの補強作用が加味されるため、従来にない高
強度のゴム製品が得られる可能性がある。カーボンブラ
ックとしては、従来公知の種々のグレードのものを用い
ることができる。
【0044】添加剤としては、たとえば加硫剤、加硫促
進剤、加硫促進助剤、焼け防止剤、老化防止剤、有機充
填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤その他、従来公知の種々
の添加剤があげられる。これらは、ゴム製品の用途、グ
レード等に応じて、従来と同程度の割合で配合すること
ができる。またマスターバッチに配合される他の生ゴム
としては、天然ゴムや各種合成ゴムの中から、マスター
バッチとの相溶性のよい各種ゴムが使用できる。
【0045】上記本発明の加硫ゴム組成物は、前記のよ
うに、カーボンブラックを使用した通常のゴム製品に匹
敵する物性を有する白色あるいは着色のゴム製品を製造
しうるものであり、ゴムタイヤ、靴のアウトソール、複
写機等のゴム部品、防振ゴム等に好適に使用することが
できる。そして、各種着色剤を配合することで、これら
の用途では不可能であった着色製品の製造を可能とする
ものである。
【0046】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例にもとづき
説明する。実施例1 ジエンゴムとしてのSBR〔数平均分子量Mn=59
0,000、結合スチレン量15%、日本合成ゴム社製
の品番SL574〕の100重量部に対し、下記の各成
分を配合して、6インチのオープンロールと、JSRII
I 型キュラストメータとを用いて、所定の温度で30分
間混練して反応させて反応物を得た。
【0047】 成 分 重量部 ・不飽和基含有シラン ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン 〔信越化学社製の品番KBC1003〕: 5 ・過酸化物 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 〔日本油脂社製〕: 1 ・金属塩(触媒) FeSO4 ・7H2 O: 0.128 ・還元剤 ロンガリットC〔住友化学工業社製〕: 1実施例2 ジエンゴムとして、NBR〔結合アクリロニトリル量3
5%、日本合成ゴム社製の品番N−230S〕の100
重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして反
応物を得た。
【0048】比較例1 過酸化物として、ジクミルパーオキサイドの1重量部を
使用するとともに、金属塩と還元剤を配合しなかったこ
と以外は、実施例1と同様にして反応物を得た。比較例2 金属塩と還元剤を配合しなかったこと以外は、実施例1
と同様にして反応物を得た。
【0049】比較例3 過酸化物として、ジクミルパーオキサイドの1重量部を
使用するとともに、金属塩と還元剤を配合しなかったこ
と以外は、実施例2と同様にして反応物を得た。上記各
実施例、比較例で得た反応物について、以下の試験行っ
た。
【0050】ゲル化の有無の判定 反応物を所定量のトルエンに加え、十分に攪拌して、完
全に溶けるか否かでゲル化の有無を判定した。グラフト化の有無の判定 上記ゲル化の有無の判定で、ゲル化が無く、トルエンに
完全に溶けた反応物について、溶液を多量のメタノール
中に投入して再沈させた。そして得られた沈澱物を、ト
ルエンとメタノールを用いて、メタノール中に未反応の
不飽和基含有シランが検出されなくなるまで再沈を繰り
返して精製した後、赤外吸収スペクトルを測定し、Si−
O結合の伸縮振動に基づく1100cm-1の赤外吸収ピー
クの有無により、グラフト化によるシラン変性ジエンゴ
ムの生成の有無を判定した。
【0051】以上の結果を表1に示す。なお表1の判定
の欄の符合は、 ○:良好 ×:不良 を示し、グラフト化の欄の符合〔−〕は、ゲルか発生に
より測定できなかったことを示している。
【0052】
【表1】
【0053】上記表1の各実施例、比較例の結果より、
ジエンゴムと不飽和基含有シランとをグラフト化させて
シラン変性ジエンゴムを得るには、特定構造の過酸化物
と、触媒が必須の成分であることがわかった。また実施
例1の結果より、ジエンゴムとしてSBRを使用した系
では、反応温度が120℃以上になるとゲル化を生じ
た。ただし反応温度が120℃のときに生じたゲルは全
体のごく一部で実用上差支えない程度のものであり、し
かもグラフト化も十分に行われていたので、SBRの場
合、グラフト化反応時の温度は120℃以下が好ましい
範囲であることが確認された。
【0054】さらに実施例2の結果より、ジエンゴムと
してNBRを使用した系では、110℃で一部ゲル化し
た。ただし反応温度が110℃のときに生じたゲルは全
体のごく一部で、実用上差支えない程度のものであり、
しかもグラフト化も十分に行われていたので、NBRの
場合、グラフト化反応時の温度は110℃以下が好まし
い範囲であることが確認された。
【0055】実施例3〜7 ジエンゴムとしてのSBR〔数平均分子量Mn=59
0,000、結合スチレン量15%、日本合成ゴム社製
の品番SL574〕の100重量部に対し、表2に示す
量の、不飽和基含有シランとしてのビニルトリス(メト
キシエトキシ)シラン〔信越化学社製の品番KBC10
03〕と、下記の各成分とを配合した。
【0056】
【表2】
【0057】 成 分 重量部 ・過酸化物 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 〔日本油脂社製〕: 1 ・金属塩(触媒) FeSO4 ・7H2 O: 0.128 ・還元剤 ロンガリットC〔住友化学工業社製〕: 1 上記各成分の配合物を、密閉型の混練装置〔東洋精機社
製の商品名ラボプラストミル〕を用いて、窒素雰囲気
下、50℃の温度で30分間混練して反応させて、反応
物としてのシラン変性ジエンゴムを得た。
【0058】そしてこのシラン変性ジエンゴムを、下記
の各成分とともにオープンロールで混練して加硫ゴム組
成物を製造した。 成 分 重量部 ・無機充填剤 シリカ微粒子 〔平均粒径18μm、比表面積170〜220m2 、 日本シリカ社製の商品名Nipsil VN3〕: 40 ・成形潤滑剤 ポリエチレングリコール〔平均分子量3,040、 日本油脂社製の品番PEG#4000〕: 2.5 ・加硫剤 硫黄: 1.75 ・加硫促進剤 N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリル− スルフェンアミド〔Acc.NS〕: 1 ・加硫促進助剤 酸化亜鉛: 3 ステアリン酸: 1実施例8 不飽和基含有シランとしてビニルトリエトキシシラン
(信越化学社製の品番KBE1003)を10重量部用
いたこと以外は、実施例3〜7と同様にして反応物を得
た。
【0059】比較例4 SBRの100重量部を、グラフト化処理せずに直接
に、無機充填剤等の各成分とともにオープンロールで混
練して加硫ゴム組成物を製造した。比較例5〜7 SBRの100重量部と、表3に示す量の、不飽和基含
有シランとしてのビニルトリス(メトキシエトキシ)シ
ラン〔前記信越化学社製の品番KBC1003〕とを、
過酸化物、金属塩(触媒)および還元剤を配合せずに、
密閉型の混練装置〔東洋精機社製の商品名ラボプラスト
ミル〕を用いて、窒素雰囲気下、50℃の温度で30分
間混練し無機充填剤等の各成分とともにオープンロール
で混練して加硫ゴム組成物を製造した。
【0060】
【表3】
【0061】比較例8 シランカップリング剤としてのγ−メルカプトプロピル
トリメトキシシランの0.4重量部をさらに添加したこ
と以外は、比較例4と同様にして加硫ゴム組成物を製造
した。加硫ゴム組成物の物性試験 上記各実施例、比較例の加硫ゴム組成物を、プレスを用
いて加硫してスラブシートを作製し、このスラブシート
を用いて、JIS K6301「加硫ゴム物理試験方
法」に所載の試験方法に則って、100%伸長時の、単
位断面積あたりの引張応力〔モジュラスM100 、kg/cm
2 〕、200%伸長時のモジュラス〔M20 0 、kg/c
m2 〕、300%伸長時のモジュラス〔M300 、kg/cm
2 〕、引張破断応力〔Tb、kg/cm2 〕、および圧縮永
久歪み〔Cs、%〕を測定した。
【0062】結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】上記表4の各実施例、比較例の結果より、
シラン変性ジエンゴムを含有した実施例3〜8の加硫ゴ
ム組成物は、補強効果が現れ、とくに300%伸長時の
モジュラスが著しく増大するとともに、破断強度および
圧縮永久歪みの点でも、各比較例に比べてすぐれている
ことが確認された。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように本発明のシラン変性
ジエンゴムは、加硫ゴム組成物に多量に添加してもゴム
製品の物性を低下させるおそれがないのみならず、加硫
ゴム組成物のゴム成分として使用することも可能で、し
かも無機充填剤との相互作用にもすぐれており、カーボ
ンブラックを使用した通常のゴム製品に匹敵する物性を
有する白色あるいは着色のゴム製品を製造しうる加硫ゴ
ム組成物を製造することができる。
【0066】また本発明の加硫ゴム組成物は、上記シラ
ン変性ジエンゴムを含有するものゆえ、カーボンブラッ
クを使用した通常のゴム製品に匹敵する物性を有する白
色あるいは着色のゴム製品を製造しうるものである。さ
らに本発明の製造方法によれば、上記シラン変性ジエン
ゴムを、種々の問題を発生するおそれのある溶媒や、あ
るいは高価な貴金属触媒等を使用することなく、しかも
比較的低温、短時間の反応で、効率よく製造することが
できる。
【0067】したがって本発明によれば、ゴムタイヤ、
靴のアウトソール、複写機等のゴム部品、防振ゴム等
の、従来はカーボンブラックを用いた黒色のものしか実
用化されていなかった種々の分野において、着色あるい
は白色の製品を実用化することが可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 21/00 KCS (72)発明者 越智 淳 兵庫県明石市魚住町清水41番地の1 住友 ゴム魚住寮 (72)発明者 竹村 光平 兵庫県明石市魚住町清水41番地の1 住友 ゴム魚住寮 (72)発明者 松木 丈人 兵庫県西宮市弓場町8番27号

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子内に二重結合を有するジエンゴムと、
    一般式(1) : 【化1】 〔式中R1 は炭素数2〜20の不飽和脂肪族炭化水素
    基、R2 は炭素数1〜20のアルコキシ基、R3 ,R4
    は同一または異なって、炭素数1〜20のアルキル基、
    アリール基またはハロゲン化アルキル基を示す。mは1
    〜3の整数を示し、nは0〜2で、かつn≦3−mの整
    数を示す。〕で表される反応性の不飽和基含有シラン
    と、一般式(2) : 【化2】 〔式中R5 は炭素数1〜20のアルキル基またはアリー
    ル基を示す。〕で表される過酸化物と、触媒としての金
    属塩とを混練しつつ、ジエンゴムが架橋しない温度範囲
    で反応させて得られた、当該ジエンゴムの主鎖に、上記
    不飽和基含有シランが側鎖としてグラフトした構造を有
    することを特徴とするシラン変性ジエンゴム。
  2. 【請求項2】少なくとも、請求項1記載のシラン変性ジ
    エンゴムと無機充填剤とを混練してなることを特徴とす
    る加硫ゴム組成物。
  3. 【請求項3】少なくとも、請求項1記載のシラン変性ジ
    エンゴムと無機充填剤とを混練してなるマスターバッチ
    を、シラン変性ジエンゴムの原料ゴムと同種または異種
    のゴムに配合したことを特徴とする加硫ゴム組成物。
  4. 【請求項4】分子内に二重結合を有するジエンゴムと、
    前記一般式(1) で表される反応性の不飽和基含有シラン
    と、一般式(2) で表される過酸化物と、触媒としての金
    属塩とを混練しつつ、ジエンゴムが架橋しない温度範囲
    で反応させて、当該ジエンゴムの側鎖に不飽和基含有シ
    ランをグラフトさせることを特徴とするシラン変性ジエ
    ンゴムの製造方法。
  5. 【請求項5】ジエンゴム100重量部に対し、不飽和基
    含有シランを0.1〜25重量部配合する請求項4記載
    のシラン変性ジエンゴムの製造方法。
  6. 【請求項6】ジエンゴムがスチレン−ブタジエンゴムで
    あり、グラフト化反応時の温度が40〜120℃の範囲
    内である請求項4記載のシラン変性ジエンゴムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】ジエンゴムがニトリル−ブタジエンゴムで
    あり、グラフト化反応時の温度が40〜110℃の範囲
    内である請求項4記載のシラン変性ジエンゴムの製造方
    法。
  8. 【請求項8】グラフト化反応時の混練物に、さらに還元
    剤を添加する請求項4記載のシラン変性ジエンゴムの製
    造方法。
  9. 【請求項9】グラフト化反応を不活性ガス中で行う請求
    項4記載のシラン変性ジエンゴムの製造方法。
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