JPH0751737B2 - Cr系ステンレス鋼 - Google Patents
Cr系ステンレス鋼Info
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- JPH0751737B2 JPH0751737B2 JP21022187A JP21022187A JPH0751737B2 JP H0751737 B2 JPH0751737 B2 JP H0751737B2 JP 21022187 A JP21022187 A JP 21022187A JP 21022187 A JP21022187 A JP 21022187A JP H0751737 B2 JPH0751737 B2 JP H0751737B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、成形加工の段階で2回以上溶接する用途に用
いられるCr系ステンレス鋼であって、2回以上溶接して
も強度や靭性や耐食性の劣化がないCr系ステンレス鋼に
関する。
いられるCr系ステンレス鋼であって、2回以上溶接して
も強度や靭性や耐食性の劣化がないCr系ステンレス鋼に
関する。
第2図は自転車用リムの成形工程の例を示す図である。
(イ)図は巻戻されて、成形のために矢印の方向に供給
されるコイル状鋼板1を示す。この鋼板は(ロ)図に示
す如く左右の両端が曲げ加工され重ねられてシーム溶接
部2でシーム溶接される。次にリム材は(ハ)に示す如
く、切断され、リング状に成形され、切断面3,3′は相
互に突き合わせ溶接される。ここでシーム溶接部2−1
(点線)は一回溶接された部分であるが、シーム溶接部
2−2(斜線)は二回の溶接を受けることとなるため、
シーム溶接部2−2及びその近傍では強度や、靭性や、
耐食性が損われることとなる。
(イ)図は巻戻されて、成形のために矢印の方向に供給
されるコイル状鋼板1を示す。この鋼板は(ロ)図に示
す如く左右の両端が曲げ加工され重ねられてシーム溶接
部2でシーム溶接される。次にリム材は(ハ)に示す如
く、切断され、リング状に成形され、切断面3,3′は相
互に突き合わせ溶接される。ここでシーム溶接部2−1
(点線)は一回溶接された部分であるが、シーム溶接部
2−2(斜線)は二回の溶接を受けることとなるため、
シーム溶接部2−2及びその近傍では強度や、靭性や、
耐食性が損われることとなる。
[従来の技術] 一般にCr系ステンレス鋼は、溶接すると溶接部や熱影響
部の強度や靭性や耐食性が損われやすい。Cr系ステンレ
ス鋼の溶接性を改善する技術として、マルテンサイト系
ステンレス鋼については特開昭51−13463号が、またフ
ェライト系ステンレス鋼については特公昭55−47102
号、特公昭55−47103号、特開昭60−23856号が公知であ
る。
部の強度や靭性や耐食性が損われやすい。Cr系ステンレ
ス鋼の溶接性を改善する技術として、マルテンサイト系
ステンレス鋼については特開昭51−13463号が、またフ
ェライト系ステンレス鋼については特公昭55−47102
号、特公昭55−47103号、特開昭60−23856号が公知であ
る。
しかしながら、これらの鋼はいずれも、溶接が一回施さ
れる用途のCr系ステンレス鋼の材質を改善したもので溶
接が二回以上施されることを予定していないもので、し
たがって二回以上溶接される用途に用いられるCr系ステ
ンレス鋼に適した材質を保証するものではない。
れる用途のCr系ステンレス鋼の材質を改善したもので溶
接が二回以上施されることを予定していないもので、し
たがって二回以上溶接される用途に用いられるCr系ステ
ンレス鋼に適した材質を保証するものではない。
[発明が解決しようとする問題点] 例えば、第2図のシーム溶接部2−1(点線)は使用中
に発銹することは少ないが、2回溶接されたシーム溶接
部2−2(斜線)は使用中に発銹することが多いという
問題点がある。
に発銹することは少ないが、2回溶接されたシーム溶接
部2−2(斜線)は使用中に発銹することが多いという
問題点がある。
本発明はこのような従来の問題点を解決するもので、そ
の第一の目的は二回以上溶接しても材質の劣化が少ない
Cr系ステンレス鋼を提供することにあり、 また本発明の第二の目的は、自転車のリム材としては自
転車を軽量化するために高強度のマルテンサイト系ステ
ンレス鋼が望ましいため、二回以上溶接しても材質が劣
化しない高強度マルテンサイト系の自転車リム材を提供
することにあり、さらに、本発明の第三の目的は、自転
車ホイール材としては大きな成形加工を行うために軟質
のCr系ステンレス鋼が望まれているため、二回以上溶接
しても材質の劣化がない自転車ホイール用の軟質のCr系
ステンレス鋼を提供することにある。
の第一の目的は二回以上溶接しても材質の劣化が少ない
Cr系ステンレス鋼を提供することにあり、 また本発明の第二の目的は、自転車のリム材としては自
転車を軽量化するために高強度のマルテンサイト系ステ
ンレス鋼が望ましいため、二回以上溶接しても材質が劣
化しない高強度マルテンサイト系の自転車リム材を提供
することにあり、さらに、本発明の第三の目的は、自転
車ホイール材としては大きな成形加工を行うために軟質
のCr系ステンレス鋼が望まれているため、二回以上溶接
しても材質の劣化がない自転車ホイール用の軟質のCr系
ステンレス鋼を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明は (1) 重量%で C <0.035%, N <0.02%, Si: 0.1〜0.5%, Mn: 0.1〜0.8%, Cr: 11〜17%, Ni: 0.8〜3.0% Al:0.005〜0.03%, Nb: 0.05〜0.35%, Cu: 0.05〜0.8%を含有しかつ C+N<0.05%,Nb/(C+N):2.5〜7でさらに下記式
で表されるCRE値が5〜20であり、残部はFe及び不可避
的不純物よりなる成分で、二回以上溶接する用途に用い
られる、Cr系ステンレス鋼。
で表されるCRE値が5〜20であり、残部はFe及び不可避
的不純物よりなる成分で、二回以上溶接する用途に用い
られる、Cr系ステンレス鋼。
CRE=2Cr+3Si+5Al−80(C+N) −6Ni−4Mn−5Cu+5.6Nb であり、また (2) 前記(1)に記載の成分で、且つ耐力が60kgf/
mm2以上で、二回以上溶接して自転車リムとする用途に
用いられるCr系ステンレス鋼であり、さらに (3) 前記(1)に記載の成分でかつ、耐力が30kgf/
mm2以上で、伸びが25%以上で、二回以上溶接して自転
車用ホイールとする用途に用いられるCr系ステンレス鋼
である。
mm2以上で、二回以上溶接して自転車リムとする用途に
用いられるCr系ステンレス鋼であり、さらに (3) 前記(1)に記載の成分でかつ、耐力が30kgf/
mm2以上で、伸びが25%以上で、二回以上溶接して自転
車用ホイールとする用途に用いられるCr系ステンレス鋼
である。
例えば、板厚0.6mmの本発明の成分の鋼を950〜1000℃に
加熱して空冷すると、靭性に富むマッシブなマルテンサ
イト組織のCr系ステンレス鋼が得られるが、この鋼板は
耐力が60kgf/mm2以上の高強度の鋼板でかつ伸びが約10
%あるために、自転車リムとする用途に用いて適当なCr
系ステンレス鋼となる。
加熱して空冷すると、靭性に富むマッシブなマルテンサ
イト組織のCr系ステンレス鋼が得られるが、この鋼板は
耐力が60kgf/mm2以上の高強度の鋼板でかつ伸びが約10
%あるために、自転車リムとする用途に用いて適当なCr
系ステンレス鋼となる。
また、例えば、板厚9mmの本発明の成分の鋼を670〜780
℃の温度で焼鈍し空冷を行うと、フェライトを主とする
組織のCr系ステンレス鋼板が得られるが、この鋼板は耐
力が30kgf/mm2以上、伸びが25%以上で軟質で加工性が
良いために、自動車用ホイールとする用途に用いて適当
なCr系ステンレス鋼板となる。
℃の温度で焼鈍し空冷を行うと、フェライトを主とする
組織のCr系ステンレス鋼板が得られるが、この鋼板は耐
力が30kgf/mm2以上、伸びが25%以上で軟質で加工性が
良いために、自動車用ホイールとする用途に用いて適当
なCr系ステンレス鋼板となる。
[作用] (1)Cr系ステンレス鋼を溶接すると、溶着金属部やAc
1点以上に加熱された熱影響部はγ相となり、冷却に際
してγ相からマルテンサイトやフェライトが生成する。
フェライトが生成するとフェライトはCやNの固溶限が
小さいために余剰のCやNが吐き出されるが、この余剰
C,NがCrと結合して主に粒界に析出するために粒界近傍
のCr濃度が下がり耐食性が劣化することとなる。一方、
γ相からマルテンサイトが生成すると、マルテンサイト
はCやNの過飽和度が大きいために余剰のCやNの析出
物が生成しがたく従って粒界近傍の耐食性を劣化させる
ことが少ない。本発明では従って、鋼の成分は、溶接後
にマルテンサイトが生成し易い範囲に選定する。また、
鋼のCやNを低くすると、マルテンサイト生成時の余剰
のCやNの析出は一層困難で、このため耐食性の劣化は
一層少なくなる。従って、鋼の成分はC,Nを低い範囲に
抑える。しかしこの際、C,Nはマルテンサイトの生成を
促進する元素であるため低C、低N化した上に、さらに
必要量以上のマルテンサイト相を形成させるのに見合う
だけのマルテンサイト形成元素の添加が必要であり、本
発明にあっては、その主体はNiであり、これを補いある
いは付加的に他の性能を改善する場合に一部をMnあるい
はCuで置き換えることもできる。
1点以上に加熱された熱影響部はγ相となり、冷却に際
してγ相からマルテンサイトやフェライトが生成する。
フェライトが生成するとフェライトはCやNの固溶限が
小さいために余剰のCやNが吐き出されるが、この余剰
C,NがCrと結合して主に粒界に析出するために粒界近傍
のCr濃度が下がり耐食性が劣化することとなる。一方、
γ相からマルテンサイトが生成すると、マルテンサイト
はCやNの過飽和度が大きいために余剰のCやNの析出
物が生成しがたく従って粒界近傍の耐食性を劣化させる
ことが少ない。本発明では従って、鋼の成分は、溶接後
にマルテンサイトが生成し易い範囲に選定する。また、
鋼のCやNを低くすると、マルテンサイト生成時の余剰
のCやNの析出は一層困難で、このため耐食性の劣化は
一層少なくなる。従って、鋼の成分はC,Nを低い範囲に
抑える。しかしこの際、C,Nはマルテンサイトの生成を
促進する元素であるため低C、低N化した上に、さらに
必要量以上のマルテンサイト相を形成させるのに見合う
だけのマルテンサイト形成元素の添加が必要であり、本
発明にあっては、その主体はNiであり、これを補いある
いは付加的に他の性能を改善する場合に一部をMnあるい
はCuで置き換えることもできる。
(2)溶接に際してAc1以下の温度範囲であった熱影響
部はγ相とはならないために、溶接前にフェライト組織
の鋼はフェライトままであり、また、溶接前にマルテン
サイトの組織の鋼はマルテンサイトからフェライトに焼
き戻される。(ただしこの際、焼き戻される範囲の下限
温度はマルテンサイトの分解の速度によって決るため、
溶接条件、板厚、成分等によって左右されるが、おおよ
そ500℃程度である。)この際CやNは過剰となるが、
本発明では(C+N)の2.5〜7倍の重量比のNbを鋼に
含有せしめてあるため、事実上のCrの炭化物や窒化物を
新たに粒界に生成することが無く、従って該熱影響部の
耐食性が劣化することはない。また、通常NbによってC
やNの固定をして耐粒界腐食性の改善を計る場合、必要
なNb量は化学量論比以上を設定するが、本発明にあって
は、上記した如く化学量論比程度以下の微量添加で十分
である。また、NbはTiとは異なり、溶接に際して有害な
酸化物を生成し難いため、より健全な溶接部が得られ
る。
部はγ相とはならないために、溶接前にフェライト組織
の鋼はフェライトままであり、また、溶接前にマルテン
サイトの組織の鋼はマルテンサイトからフェライトに焼
き戻される。(ただしこの際、焼き戻される範囲の下限
温度はマルテンサイトの分解の速度によって決るため、
溶接条件、板厚、成分等によって左右されるが、おおよ
そ500℃程度である。)この際CやNは過剰となるが、
本発明では(C+N)の2.5〜7倍の重量比のNbを鋼に
含有せしめてあるため、事実上のCrの炭化物や窒化物を
新たに粒界に生成することが無く、従って該熱影響部の
耐食性が劣化することはない。また、通常NbによってC
やNの固定をして耐粒界腐食性の改善を計る場合、必要
なNb量は化学量論比以上を設定するが、本発明にあって
は、上記した如く化学量論比程度以下の微量添加で十分
である。また、NbはTiとは異なり、溶接に際して有害な
酸化物を生成し難いため、より健全な溶接部が得られ
る。
フェライト組織を有する本発明の鋼を二回以上溶接する
と、第一回の溶接で溶着金属部や一部の熱影響部ではマ
ルテンサイトが生成するが、前記作用(1)によって良
好な耐食性が維持されるし、マルテンサイトが生成しな
かった熱影響部も前記作用(2)によって耐食性が劣化
することがない。二回目以降の溶接では、新たにマルテ
ンサイトの生成する部分や、マルテンサイトが焼き戻さ
れる部分が発生するが、前者の部分は作用(1)によっ
て、また後者の部分は作用(2)によって、耐食性が劣
化することはない。また、マルテンサイト組織を有する
本発明の組成の鋼を二回以上溶接すると、一回目の溶接
で一部の熱影響部でマルテンサイトが焼き戻されるが、
前記作用(2)によって耐食性が劣化することがない。
二回目以降の溶接で、あらたにマルテンサイトが焼き戻
される部分や、再度マルテンサイト化する部分が発生す
るが、前者の部分は作用(2)によって、また、後者の
部分は作用(1)によって耐食性が劣化することがな
い。以下に本発明の鋼の成分限定理由を説明する。
と、第一回の溶接で溶着金属部や一部の熱影響部ではマ
ルテンサイトが生成するが、前記作用(1)によって良
好な耐食性が維持されるし、マルテンサイトが生成しな
かった熱影響部も前記作用(2)によって耐食性が劣化
することがない。二回目以降の溶接では、新たにマルテ
ンサイトの生成する部分や、マルテンサイトが焼き戻さ
れる部分が発生するが、前者の部分は作用(1)によっ
て、また後者の部分は作用(2)によって、耐食性が劣
化することはない。また、マルテンサイト組織を有する
本発明の組成の鋼を二回以上溶接すると、一回目の溶接
で一部の熱影響部でマルテンサイトが焼き戻されるが、
前記作用(2)によって耐食性が劣化することがない。
二回目以降の溶接で、あらたにマルテンサイトが焼き戻
される部分や、再度マルテンサイト化する部分が発生す
るが、前者の部分は作用(2)によって、また、後者の
部分は作用(1)によって耐食性が劣化することがな
い。以下に本発明の鋼の成分限定理由を説明する。
C,Nはともに溶接部の靭性、加工性および耐粒界腐食性
を著しく劣化させる。本発明にあってはこの有害な作用
を抑えるためにマルテンサイト相を形成させるものであ
り、さらに熱影響によるマルテンサイト相の分解にもと
ずく耐食性及び靭性等の劣化を微量のNb添加によって抑
えるものである。従って、この意味からCは0.035%,N
は0.02%がそれぞれ上限となり、さらにCとNの合計量
を0.05%以下とする必要がある。
を著しく劣化させる。本発明にあってはこの有害な作用
を抑えるためにマルテンサイト相を形成させるものであ
り、さらに熱影響によるマルテンサイト相の分解にもと
ずく耐食性及び靭性等の劣化を微量のNb添加によって抑
えるものである。従って、この意味からCは0.035%,N
は0.02%がそれぞれ上限となり、さらにCとNの合計量
を0.05%以下とする必要がある。
Siは脱炭元素であり、本発明にあっては溶接部の健全性
の上から0.1%以上の添加が必要であるが、逆に、多量
の添加は靭性、加工性を著しく低下するうえ、マルテン
サイトの形成を抑制する作用をもつ。従って本発明にあ
っては0.5%以下とする必要がある。
の上から0.1%以上の添加が必要であるが、逆に、多量
の添加は靭性、加工性を著しく低下するうえ、マルテン
サイトの形成を抑制する作用をもつ。従って本発明にあ
っては0.5%以下とする必要がある。
MnはSiと同様脱酸元素であり本発明にあっては0.1%以
上を含有せしめる。また、MnはNiと同様マルテンサイト
の形成を促進する元素であり、Niの作用の一部はMnで補
えるが、Mnの多量の添加は熱間の加工性を低下させるた
め本発明にあってはその上限を0.8%とする。
上を含有せしめる。また、MnはNiと同様マルテンサイト
の形成を促進する元素であり、Niの作用の一部はMnで補
えるが、Mnの多量の添加は熱間の加工性を低下させるた
め本発明にあってはその上限を0.8%とする。
Crはステンレス鋼の耐食性を確保するのに必要不可欠の
基本元素であり、本発明の場合11%以上を要する。しか
しながら、Crは多量に含まれるとマルテンサイト相の形
成量が添加量と共にしだいに減じ、本発明にあっては、
17%を越えると、他の元素を調整しても十分なマルテン
サイトを形成させることが困難となる。したがって、17
%を上限とする。
基本元素であり、本発明の場合11%以上を要する。しか
しながら、Crは多量に含まれるとマルテンサイト相の形
成量が添加量と共にしだいに減じ、本発明にあっては、
17%を越えると、他の元素を調整しても十分なマルテン
サイトを形成させることが困難となる。したがって、17
%を上限とする。
Niは本発明にあっては重要な添加元素であり、マルテン
サイトを形成させるため、さらに溶接部の靭性を改善し
かつ素材の強度を高め、耐食性をも向上するために必須
である。本発明にあっては高温時にC,Nが濃縮すべきオ
ーステナイト相(冷却後マルテンサイト相となる)を形
成させるためには最低限0.8%を要し、その量が多いほ
ど溶接部靭性、耐食性は良好となるが、3.0%を越えて
含まれた場合には、残留オーステナイトの量が多くなり
これが加工誘起変態して加工性を落とす上に、応力腐食
に対する感受性が著しく高まるという問題が生じる。こ
のためNiの添加範囲は0.8〜3.0%が最適である。
サイトを形成させるため、さらに溶接部の靭性を改善し
かつ素材の強度を高め、耐食性をも向上するために必須
である。本発明にあっては高温時にC,Nが濃縮すべきオ
ーステナイト相(冷却後マルテンサイト相となる)を形
成させるためには最低限0.8%を要し、その量が多いほ
ど溶接部靭性、耐食性は良好となるが、3.0%を越えて
含まれた場合には、残留オーステナイトの量が多くなり
これが加工誘起変態して加工性を落とす上に、応力腐食
に対する感受性が著しく高まるという問題が生じる。こ
のためNiの添加範囲は0.8〜3.0%が最適である。
Alは強力な脱酸元素であり鋼の清浄性を維持するため下
限を0.005%とする。しかしながら、Alはマルテンサイ
トの形成を抑制する効果が強く、またオーステナイトの
冷却に伴うフェライトへの変態及びマルテンサイトのフ
ェライトへの変態の速度を早くする効果があり、さらに
非常に酸化され易い元素であるため過剰に含まれた場
合、溶接部の健全性を損う恐れがある。本発明にあって
は0.03%がその上限となる。
限を0.005%とする。しかしながら、Alはマルテンサイ
トの形成を抑制する効果が強く、またオーステナイトの
冷却に伴うフェライトへの変態及びマルテンサイトのフ
ェライトへの変態の速度を早くする効果があり、さらに
非常に酸化され易い元素であるため過剰に含まれた場
合、溶接部の健全性を損う恐れがある。本発明にあって
は0.03%がその上限となる。
NbはNiと並んで本発明にあっては重要な添加元素であ
る。すなわち、本発明では、溶接部の靭性、加工性、耐
食性を劣化させるC,Nを低下し、さらにNiを添加するこ
とでマルテンサイトを形成せしめC,Nをその中に固溶さ
せてC,Nの有害作用を抑えるものであり、同時に低Cマ
ルテンサイトによって材料の機械的性質、特に強度と靭
性の改善を図るものであるが、再度熱影響を受けた場
合、マルテンサイトの分解が起りC,Nの有害作用が現わ
れることとなる。Nbにはこのマルテンサイトの分解に伴
う熱影響部の耐食性劣化、靭性低下及び軟化防止の効果
があり、比較的微量の添加で有効である。その効果の一
例を図示したものが第1図である。
る。すなわち、本発明では、溶接部の靭性、加工性、耐
食性を劣化させるC,Nを低下し、さらにNiを添加するこ
とでマルテンサイトを形成せしめC,Nをその中に固溶さ
せてC,Nの有害作用を抑えるものであり、同時に低Cマ
ルテンサイトによって材料の機械的性質、特に強度と靭
性の改善を図るものであるが、再度熱影響を受けた場
合、マルテンサイトの分解が起りC,Nの有害作用が現わ
れることとなる。Nbにはこのマルテンサイトの分解に伴
う熱影響部の耐食性劣化、靭性低下及び軟化防止の効果
があり、比較的微量の添加で有効である。その効果の一
例を図示したものが第1図である。
即ちNb量はC及びNの量と相対的に決るものであり、そ
の下限はNb/(C+N)で2.5であるが、7をこえると、
その効果が飽和する傾向を示すとともに、熱延焼鈍時の
材質が硬質化するうえに、溶接部の靭性が低下し、また
溶接割れ感受性も高くなってくる。
の下限はNb/(C+N)で2.5であるが、7をこえると、
その効果が飽和する傾向を示すとともに、熱延焼鈍時の
材質が硬質化するうえに、溶接部の靭性が低下し、また
溶接割れ感受性も高くなってくる。
さらに、本発明にあっては、上記のNbの効果を得るため
の下限の絶対量は0.05%である。しかしながら、Nbは添
加量が増すと熱加工性を著しく低下させ、さらに、溶接
割れ感受性を高める有害作用があるため、0.35%以下に
抑える必要がある。
の下限の絶対量は0.05%である。しかしながら、Nbは添
加量が増すと熱加工性を著しく低下させ、さらに、溶接
割れ感受性を高める有害作用があるため、0.35%以下に
抑える必要がある。
Cuは耐銹性の向上に有効な元素であるが、熱間加工性を
著しく低下するため本発明にあってはその添加量を0.05
〜0.8%とする。
著しく低下するため本発明にあってはその添加量を0.05
〜0.8%とする。
また、本発明においては以上のような成分を有しなおか
つ次式 CRE=2Cr+3Si+5Al−80(C+N) −6Ni−4Mn−5Cu+5.6Nb で計算されるCREの値が5〜20を満足する必要がある。
つ次式 CRE=2Cr+3Si+5Al−80(C+N) −6Ni−4Mn−5Cu+5.6Nb で計算されるCREの値が5〜20を満足する必要がある。
即ち、上記式で計算されるCRE値はマルテンサイトの形
成し易さを示す指標であり、CRE値が小さいほど溶接部
のマルテンサイト量が増えるが、本発明にあっては上述
した通りある程度のマルテンサイト量を溶接部で確保す
る必要があり、このたにはCRE値が20以下とする必要が
ある。一方、CRE値が小さいほど高温時にオーステナイ
ト相が安定となり、結果として得られる溶接部のマルテ
ンサイト量も多くなるが、CRE値が小さすぎるとマルテ
ンサイト組織が粗大なものとなり、かえって溶接部の靭
性を損う傾向が現われる。このためCRE値は5以上とす
る。
成し易さを示す指標であり、CRE値が小さいほど溶接部
のマルテンサイト量が増えるが、本発明にあっては上述
した通りある程度のマルテンサイト量を溶接部で確保す
る必要があり、このたにはCRE値が20以下とする必要が
ある。一方、CRE値が小さいほど高温時にオーステナイ
ト相が安定となり、結果として得られる溶接部のマルテ
ンサイト量も多くなるが、CRE値が小さすぎるとマルテ
ンサイト組織が粗大なものとなり、かえって溶接部の靭
性を損う傾向が現われる。このためCRE値は5以上とす
る。
しかして、CRE値が5〜20を満足する本発明の範囲内の
成分系をもつステンレス鋼においては、溶接部における
マルテンサイトの性状及びその量が適度な範囲を保ち、
靭性、加工性、及び耐粒界腐食性を初めとする耐食性が
十分確保されるのみならず、再度マルテンサイトが焼き
戻されるような溶接熱影響を受けても、これらの諸特性
が劣化することがない。
成分系をもつステンレス鋼においては、溶接部における
マルテンサイトの性状及びその量が適度な範囲を保ち、
靭性、加工性、及び耐粒界腐食性を初めとする耐食性が
十分確保されるのみならず、再度マルテンサイトが焼き
戻されるような溶接熱影響を受けても、これらの諸特性
が劣化することがない。
さらに、本発明鋼にあっては、熱処理によってフェライ
ト単相組織や、フェライト+マルテンサイトの二相組織
及びマルテンサイト組織とすることが可能であるが、第
1表に示す如く、何れの組織であっても靭性に優れ、ま
た良好な加工性を有する。
ト単相組織や、フェライト+マルテンサイトの二相組織
及びマルテンサイト組織とすることが可能であるが、第
1表に示す如く、何れの組織であっても靭性に優れ、ま
た良好な加工性を有する。
これらの特性はいずれも、形成したマルテンサイトの性
状、量に影響されるものであるが、本発明の鋼にあって
は、C,N量を低下せしめてなおマルテンサイトの量が十
分得られるため、その中に吸収されるC,Nの量も耐食性
の確保の上で十分な量となり、さらにマルテンサイト相
自体脆い針状のものではなく、他のフェライト相と混在
する場合でも微細組織となり、これが十分焼き戻されて
フェライト単相となった場合も組織の微細性は維持され
る。したがって、上述した如くいずれの組織でも優れた
靭性、加工性が達成されるのである。
状、量に影響されるものであるが、本発明の鋼にあって
は、C,N量を低下せしめてなおマルテンサイトの量が十
分得られるため、その中に吸収されるC,Nの量も耐食性
の確保の上で十分な量となり、さらにマルテンサイト相
自体脆い針状のものではなく、他のフェライト相と混在
する場合でも微細組織となり、これが十分焼き戻されて
フェライト単相となった場合も組織の微細性は維持され
る。したがって、上述した如くいずれの組織でも優れた
靭性、加工性が達成されるのである。
次に、実施例により本発明の効果をさらに具体 的に説明する。
[実施例1] 第2表に示す成分の鋼を25kg真空溶製し100mm角×300mm
l程度の鋼塊に鋳造した後、1180℃,1hr加熱,7パス,仕
上げ温度900℃にて熱間圧延し、厚さ9mmの熱延鋼板とし
た。このときの熱延板の端部(耳部)に発生した割れの
状況から熱間加工性を判定し、第3表に示す結果をえ
た。即ち第3表の熱延割れ欄の如く比較鋼P以外の成分
の鋼は良好な熱間加工性を示した。
l程度の鋼塊に鋳造した後、1180℃,1hr加熱,7パス,仕
上げ温度900℃にて熱間圧延し、厚さ9mmの熱延鋼板とし
た。このときの熱延板の端部(耳部)に発生した割れの
状況から熱間加工性を判定し、第3表に示す結果をえ
た。即ち第3表の熱延割れ欄の如く比較鋼P以外の成分
の鋼は良好な熱間加工性を示した。
次に、全鋼を、700℃,3hr焼鈍した後、厚さ8mm,幅40mm
の曲げ試験片をl方向から採取し、0℃にて1tRの180゜
曲げを行って、加工性を評価した。その結果を第3表の
熱延板曲げ欄に示す。本発明鋼はいずれも良好な結果を
示したが、比較鋼K,L,Uは割れを起した。さらに1300℃
×10min.WQ後、同様の曲げ試験片を用い室温にて90゜,1
tR曲げを行ったところ、第3表に示すように、比較鋼K,
L,P,U,Vに割れが発生した。又これらの熱延焼鈍板l方
向引張試験結果も 第3表のHot700℃焼鈍材の欄に示すように、比較鋼K,L,
U,Vでは伸びが25%以下、比較鋼M,R,S,Tでは耐力が30kg
f/mm2以下となりいずれも不足する。即ちこれら比較材
の鋼種では焼鈍温度及び時間の調整では耐力−伸びのバ
ランスをクリアーすることが困難であった。
の曲げ試験片をl方向から採取し、0℃にて1tRの180゜
曲げを行って、加工性を評価した。その結果を第3表の
熱延板曲げ欄に示す。本発明鋼はいずれも良好な結果を
示したが、比較鋼K,L,Uは割れを起した。さらに1300℃
×10min.WQ後、同様の曲げ試験片を用い室温にて90゜,1
tR曲げを行ったところ、第3表に示すように、比較鋼K,
L,P,U,Vに割れが発生した。又これらの熱延焼鈍板l方
向引張試験結果も 第3表のHot700℃焼鈍材の欄に示すように、比較鋼K,L,
U,Vでは伸びが25%以下、比較鋼M,R,S,Tでは耐力が30kg
f/mm2以下となりいずれも不足する。即ちこれら比較材
の鋼種では焼鈍温度及び時間の調整では耐力−伸びのバ
ランスをクリアーすることが困難であった。
さらに、全鋼種を700℃,3hr焼鈍後、厚さ6mmの鋼板に機
械加工し、電圧20〜24V,電流130〜140A,溶接速度25cm/m
in.にてl方向にTIG.ナメした溶接部のDepo.及びHAZか
ら、2mm−Vノッチ,5mmサブサイズのシャルピー試験片
を採取し、それぞれの衝撃吸収エネルギーの遷移温度を
評価した。その結果を第3表Tig+ナメ付け部vTrs
(℃)に示す。本発明鋼はDepo.及びHAZとも0℃以下の
遷移温度を示すが、比較鋼K,L,M,P,Q,R,S,T,U及びVはD
epo.またはHAZのいずれかの遷移温度が0℃以上であっ
た。一方本発明鋼は非常に良好な靭性を有することが明
らかである。
械加工し、電圧20〜24V,電流130〜140A,溶接速度25cm/m
in.にてl方向にTIG.ナメした溶接部のDepo.及びHAZか
ら、2mm−Vノッチ,5mmサブサイズのシャルピー試験片
を採取し、それぞれの衝撃吸収エネルギーの遷移温度を
評価した。その結果を第3表Tig+ナメ付け部vTrs
(℃)に示す。本発明鋼はDepo.及びHAZとも0℃以下の
遷移温度を示すが、比較鋼K,L,M,P,Q,R,S,T,U及びVはD
epo.またはHAZのいずれかの遷移温度が0℃以上であっ
た。一方本発明鋼は非常に良好な靭性を有することが明
らかである。
また、鋼番Lを除く各鋼の上述した条件にて得られた溶
接部を、JIS−G0575に準拠した硫酸−硫酸銅試験にて試
験し、溶接部の耐食性の評価を行った。その結果を第3
表に示す。比較鋼M,R,S及びVはこの試験で溶接部に著
しい粒界腐食を生じるが、他の各鋼は健全であった。
接部を、JIS−G0575に準拠した硫酸−硫酸銅試験にて試
験し、溶接部の耐食性の評価を行った。その結果を第3
表に示す。比較鋼M,R,S及びVはこの試験で溶接部に著
しい粒界腐食を生じるが、他の各鋼は健全であった。
次に、鋼番Lを除く各鋼のTIG.ナメしたものを、第3図
に示す要領で、矢印方向に突き合わせて、フラッシュ代
18mm,アップセット代7.1mm,フラッシュ時間15sec.にて
フラッシュバット溶接し、溶接による熱影響を2回受け
た試験体を作成し、JIS−G0575に準拠した硫酸−硫酸銅
試験にて、その耐食性評価を行った。結果を第3表に示
す。前の試験と同様比較鋼M,R,S及びVは全溶接部にわ
たって激しい耐食性の劣化が認められ、さらに比較鋼K,
N,O,P及びTは最初の溶接であるTIG.ナメのビード上で
かつ2度目の溶接のフラッシュバットの熱影響部に当る
部分で激しい耐食性の劣化が起るが、本発明鋼ではこう
した不具合は認められない。
に示す要領で、矢印方向に突き合わせて、フラッシュ代
18mm,アップセット代7.1mm,フラッシュ時間15sec.にて
フラッシュバット溶接し、溶接による熱影響を2回受け
た試験体を作成し、JIS−G0575に準拠した硫酸−硫酸銅
試験にて、その耐食性評価を行った。結果を第3表に示
す。前の試験と同様比較鋼M,R,S及びVは全溶接部にわ
たって激しい耐食性の劣化が認められ、さらに比較鋼K,
N,O,P及びTは最初の溶接であるTIG.ナメのビード上で
かつ2度目の溶接のフラッシュバットの熱影響部に当る
部分で激しい耐食性の劣化が起るが、本発明鋼ではこう
した不具合は認められない。
次に、前述した熱延焼鈍板を冷間圧延し、1.5mm厚とし
た後、1000℃×10min。加熱後、空冷し、引張試験し
て、耐力を測定した。その結果を第3表に示す。比較鋼
R,S及びVを除く他の全鋼種ではいずれも耐力(PS)が6
0k/mm2以上となるが、比較鋼R,S及びVは耐力は50kg/m
m2以下で、このときマルテンサイトの形成量が30%以
下であった。さらにR,S,Vについては、700〜1300℃の温
度範囲の同様の熱処理では耐力>60kgf/mm2となる範囲
は見出せなかった。(ただし、冷延ままの状態では耐力
約80〜100kg/mm2程度と著しく大きいが伸びは約3%と
極端に小さかった)。
た後、1000℃×10min。加熱後、空冷し、引張試験し
て、耐力を測定した。その結果を第3表に示す。比較鋼
R,S及びVを除く他の全鋼種ではいずれも耐力(PS)が6
0k/mm2以上となるが、比較鋼R,S及びVは耐力は50kg/m
m2以下で、このときマルテンサイトの形成量が30%以
下であった。さらにR,S,Vについては、700〜1300℃の温
度範囲の同様の熱処理では耐力>60kgf/mm2となる範囲
は見出せなかった。(ただし、冷延ままの状態では耐力
約80〜100kg/mm2程度と著しく大きいが伸びは約3%と
極端に小さかった)。
さらに、本発明鋼B,F,Hと比較鋼K,O,Tについて1.5mm厚
の冷延ままの板を700℃,10min.加熱後空冷し、フェライ
ト単相組織とした後、表面を最終的に0.5μmのAl2O
3まで仕上げ研磨し、35℃にて5%NaCl溶液を噴霧する
いわゆる塩水噴霧試験を240hr行って、耐銹性の評価を
行った。結果を第3表に示すが、比較鋼のK,O,Tで赤銹
が目立った。
の冷延ままの板を700℃,10min.加熱後空冷し、フェライ
ト単相組織とした後、表面を最終的に0.5μmのAl2O
3まで仕上げ研磨し、35℃にて5%NaCl溶液を噴霧する
いわゆる塩水噴霧試験を240hr行って、耐銹性の評価を
行った。結果を第3表に示すが、比較鋼のK,O,Tで赤銹
が目立った。
以上の実施例からも明らかなように、本発明鋼は溶接部
においても加工性、靭性、耐食性が良好であり、特に2
回以上の溶接を受けた部分でも耐食性の劣化が起らな
い。
においても加工性、靭性、耐食性が良好であり、特に2
回以上の溶接を受けた部分でも耐食性の劣化が起らな
い。
[実施例2] 第4表に示す、500kg溶製した鋼番W〜Zを1150℃、1hr
加熱後6.5mm厚に、仕上温度900℃にて熱間圧延し、700
℃、3hr空冷の熱処理後、酸洗、機械加工して6mm厚×28
0mm角の板を作製した。これらの板をそれぞれl方向に
突き合わせる形で、フラッシュ代17mm,フラッシュ時間1
2.6sec,アプセット代6.5mmにてフラッシュバット溶接し
た。さらにこうして得られた継手の表・裏両面を平滑と
なるように機械加工で精密仕上げし、l方向に(フラッ
シュバット溶接線に直角に)歪量で15%引っ張ったもの
の片面上にリング径200mmのバイトン製(径5mm)のOリ
ングを置き、その上に厚さ10mmの透明なアクリル板を重
ねて、試験体とアクリル板とOリングで囲まれた直径20
0mm、高さ5mmの空間を〜10−3Torrの真空とし、72hr放
置してフラッシュバット溶接部の健全性を評価すること
を、 それぞれ20体について行った。
加熱後6.5mm厚に、仕上温度900℃にて熱間圧延し、700
℃、3hr空冷の熱処理後、酸洗、機械加工して6mm厚×28
0mm角の板を作製した。これらの板をそれぞれl方向に
突き合わせる形で、フラッシュ代17mm,フラッシュ時間1
2.6sec,アプセット代6.5mmにてフラッシュバット溶接し
た。さらにこうして得られた継手の表・裏両面を平滑と
なるように機械加工で精密仕上げし、l方向に(フラッ
シュバット溶接線に直角に)歪量で15%引っ張ったもの
の片面上にリング径200mmのバイトン製(径5mm)のOリ
ングを置き、その上に厚さ10mmの透明なアクリル板を重
ねて、試験体とアクリル板とOリングで囲まれた直径20
0mm、高さ5mmの空間を〜10−3Torrの真空とし、72hr放
置してフラッシュバット溶接部の健全性を評価すること
を、 それぞれ20体について行った。
本発明鋼のWでは、72hr後にリークしているものは全く
なかったが、比較鋼Zでは、20体中4体で完全にリーク
しており、本発明鋼ではより健全な溶接部が得られるこ
とが明らかである。
なかったが、比較鋼Zでは、20体中4体で完全にリーク
しており、本発明鋼ではより健全な溶接部が得られるこ
とが明らかである。
[実施例3] 第4表に示す成分の鋼を500kg溶製し、熱間圧延、焼
鈍、酸洗、及び冷延し0.7mm厚の鋼帯とした後鋼番W及
びXを1000℃にて、また鋼板Yは850℃で最終熱処理
し、第4図に示すような断面形状をもつ直径63.5mm(25
インチ)のWO型の自転車用シームリムを作成した。尚、
この時の素材は第5表に示すような耐力、強さ及び破断
伸びを示した。これらのリムを、フラッシュバット溶接
部を中心にして衝撃試験を常温にて行い、リム形状での
衝撃吸収エネルギーをそれぞれ60本ずつ測定した。ま
た、各リムのフラッシュバット溶接部を中心にリムを弦
状に14cmの長さに切断し、弦中央部の接線方向に引張試
験を行い、フラッシュバット溶接部のリム形状での引張
強さをそれぞれ60本ずつ測 定した。さらに、このフラッシュバット溶接部の引張試
験を、144hr塩水噴霧試験した後の試験体について、そ
れぞれ同じく60本ずつ行った。その結果を第5表に示
す。本発明鋼Wで作製したリムは衝撃値、引張強さが高
い上、腐食後の強度低下が著しく小さく、X,Yのものに
比べ、非常に優れた性能の自転車リムが得られることが
明らかである。
鈍、酸洗、及び冷延し0.7mm厚の鋼帯とした後鋼番W及
びXを1000℃にて、また鋼板Yは850℃で最終熱処理
し、第4図に示すような断面形状をもつ直径63.5mm(25
インチ)のWO型の自転車用シームリムを作成した。尚、
この時の素材は第5表に示すような耐力、強さ及び破断
伸びを示した。これらのリムを、フラッシュバット溶接
部を中心にして衝撃試験を常温にて行い、リム形状での
衝撃吸収エネルギーをそれぞれ60本ずつ測定した。ま
た、各リムのフラッシュバット溶接部を中心にリムを弦
状に14cmの長さに切断し、弦中央部の接線方向に引張試
験を行い、フラッシュバット溶接部のリム形状での引張
強さをそれぞれ60本ずつ測 定した。さらに、このフラッシュバット溶接部の引張試
験を、144hr塩水噴霧試験した後の試験体について、そ
れぞれ同じく60本ずつ行った。その結果を第5表に示
す。本発明鋼Wで作製したリムは衝撃値、引張強さが高
い上、腐食後の強度低下が著しく小さく、X,Yのものに
比べ、非常に優れた性能の自転車リムが得られることが
明らかである。
[発明の効果] 以上の実施例からも明らかな如く、本発明によれば、溶
接部の靭性、加工性及び耐食性が良好でかつ二回以上の
溶接を受けてもこれらの特性の劣化がなく、また同時
に、より健全な溶接部となり、自転車リムまたは自動車
ホイールとする用途に用いた場合、特に優れた諸性能を
示すCr系ステンレス鋼が得られ、産業上の効果は極めて
顕著である。
接部の靭性、加工性及び耐食性が良好でかつ二回以上の
溶接を受けてもこれらの特性の劣化がなく、また同時
に、より健全な溶接部となり、自転車リムまたは自動車
ホイールとする用途に用いた場合、特に優れた諸性能を
示すCr系ステンレス鋼が得られ、産業上の効果は極めて
顕著である。
第1図は、二回溶接を想定した部位についての、耐食性
に対するNbの添加効果とC+N量との相関関係の一例を
示す図。 第2図は、自転車リムの成形工程を示す模式図、 第3図は、実施例に示す鋼板のフラッシュバット溶接継
手作製要領を示す斜視図。 第4図は、自転車リムの断面形態の態様例を示す斜視
図。 1:コイル状鋼板、薄鋼帯、2:シーム溶接部、2−1(点
線):一回溶接されたシーム溶接部、2−2(斜線):
二回溶接されたシーム溶接部、3,3′:切断面(突き合
わせ溶接面)。
に対するNbの添加効果とC+N量との相関関係の一例を
示す図。 第2図は、自転車リムの成形工程を示す模式図、 第3図は、実施例に示す鋼板のフラッシュバット溶接継
手作製要領を示す斜視図。 第4図は、自転車リムの断面形態の態様例を示す斜視
図。 1:コイル状鋼板、薄鋼帯、2:シーム溶接部、2−1(点
線):一回溶接されたシーム溶接部、2−2(斜線):
二回溶接されたシーム溶接部、3,3′:切断面(突き合
わせ溶接面)。
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で C <0.035% N <0.02% Si: 0.1〜0.5% Mn: 0.1〜0.8% Cr: 11〜17% Ni: 0.8〜3.0% Al:0.005〜0.03% Nb: 0.05〜0.35% Cu: 0.05〜0.8%を含有しかつ C+N<0.05%,Nb/(C+N):2.5〜7でさらに下記式
で表されるCRE値が5〜20であり、残部はFe及び不可避
的不純物よりなる成分で、2回以上溶接される用途に用
いられる、Cr系ステンレス鋼。 CRE=2Cr+3Si+5Al−80(C+N) −6Ni−4Mn−5Cu+5.6Nb - 【請求項2】重量%で C <0.035% N <0.02% Si: 0.1〜0.5% Mn: 0.1〜0.8% Cr: 11〜17% Ni: 0.8〜3.0% Al:0.005〜0.03% Nb: 0.05〜0.35% Cu: 0.05〜0.8%を含有しかつ C+N<0.05%,Nb/(C+N):2.5〜7,でさらに下記式
で表されるCRE値が5〜20であり、残部はFe及び不可避
的不純物よりなる成分で、耐力が60kgf/mm2以上で、2
回以上溶接して自転車リムとする用途に用いられるCr系
ステンレス鋼。 CRE=2Cr+3Si+5Al−80(C+N) −6Ni−4Mn−5Cu+5.6Nb - 【請求項3】重量%で C <0.035% N <0.02% Si: 0.1〜0.5% Mn: 0.1〜0.8% Cr: 11〜17% Ni: 0.8〜3.0% Al:0.005〜0.03% Nb: 0.05〜0.35% Cu: 0.05〜0.8%を含有しかつ C+N<0.05%,Nb/(C+N):2.5〜7、でさらに下記
式で表されるCRE値が5〜20であり、残部は不可避的不
純物よりなる成分で、耐力が30kgf/mm2以上、伸び25%
以上で、2回以上溶接して自転車用ホイールとする用途
に用いられるCr系ステンレス鋼。 CRE=2Cr+3Si+5Al−80(C+N) −6Ni−4Mn−5Cu+5.6Nb
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21022187A JPH0751737B2 (ja) | 1987-08-26 | 1987-08-26 | Cr系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21022187A JPH0751737B2 (ja) | 1987-08-26 | 1987-08-26 | Cr系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6455363A JPS6455363A (en) | 1989-03-02 |
JPH0751737B2 true JPH0751737B2 (ja) | 1995-06-05 |
Family
ID=16585791
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21022187A Expired - Fee Related JPH0751737B2 (ja) | 1987-08-26 | 1987-08-26 | Cr系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0751737B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2700174B1 (fr) * | 1993-01-07 | 1995-10-27 | Gerard Jacques | Materiaux et procedes pour la realisation de structures porteuses, et de leurs accessoires, a hautes caracteristiques mecaniques et corrosion, notamment dans le domaine du cycle. |
JP3920185B2 (ja) * | 2002-09-27 | 2007-05-30 | 日新製鋼株式会社 | 耐たわみ性に優れたステンレス鋼製の二輪車用タイヤリム材および二輪車用フレーム材 |
JP5653269B2 (ja) * | 2011-03-25 | 2015-01-14 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 耐食性、強度、及び延性に優れるステンレス鋼線材と鋼線、並びに、それらの製造方法。 |
-
1987
- 1987-08-26 JP JP21022187A patent/JPH0751737B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6455363A (en) | 1989-03-02 |
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