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JPH07278727A - 粗大炭化物のない高炭素合金鋼材の製造方法 - Google Patents

粗大炭化物のない高炭素合金鋼材の製造方法

Info

Publication number
JPH07278727A
JPH07278727A JP9393894A JP9393894A JPH07278727A JP H07278727 A JPH07278727 A JP H07278727A JP 9393894 A JP9393894 A JP 9393894A JP 9393894 A JP9393894 A JP 9393894A JP H07278727 A JPH07278727 A JP H07278727A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy steel
carbon alloy
casting
molten metal
solid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9393894A
Other languages
English (en)
Inventor
Chisato Yoshida
千里 吉田
Yasuyuki Murata
泰之 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Leotec KK
Original Assignee
Leotec KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Leotec KK filed Critical Leotec KK
Priority to JP9393894A priority Critical patent/JPH07278727A/ja
Publication of JPH07278727A publication Critical patent/JPH07278727A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粗大炭化物の生成のない高炭素合金鋼鋳造材
を得る。 【構成】 C:0.4 〜1.5 %を含有し、Mn, Cr, Ni, M
o, W及びVのうちから選んだ1種又は2種以上の合計
が1%以上を含む高炭素合金鋼の溶湯を、冷却下に攪拌
を加えて初晶粒が懸濁した半凝固金属スラリーとしたの
ち、鋳型に供給して鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、粗大炭化物のない高
炭素合金鋼材の好適な製造方法を提案するものである。
C含有量が0.4 mass%以上の高炭素合金鋼材としては、
各種の、機械構造用炭素鋼・合金鋼、工具鋼及び軸受鋼
などがあり、これらの高炭素合金鋼材は、その鋳造時の
凝固過程で炭化物が粗大化し易く、粗大化した炭化物を
有する高炭素合金鋼材は、その後の最終製品への熱処理
を含む加工工程で不都合を生じるばかりでなく、得られ
る製品の品質を劣化させることから、粗大炭化物のない
ものが強く望まれている。
【0002】
【従来の技術】前記したように、高炭素合金鋼は鋳造の
際に粗大炭化物が生成しやすく、粗大炭化物の存在は最
終製品の品質を劣化させることから、これまで鋳造条
件、熱処理及び鍛造加工条件等に工夫を凝らし炭化物を
微細化する手段がとられてきた。しかしこれらの手段に
よっても炭化物の微細化は十分でなく、微細化のための
手段が歩留り低下などのコストアップ要因ともなってい
た。
【0003】たとえば、高炭素合金鋼の代表的鋼種の1
つである高速度工具鋼SKH51は、通常、溶製→造塊→
鍛造→圧延のプロセスを経て工具用素材を製造してい
る。このSKH51の成分組成は表1に示すように、合金
成分としてCr, Mo, W及びVの成分を含有していて、鋳
造時にマクロ偏析により鋳塊の表面から中心部に向うに
したがい大きな炭化物(Cr, Mo, W及びVなどの炭化
物)が生成し易く、特に中心部では炭化物がより粗大化
し、最終製品の工具の寿命など機械的性質を劣化させて
いた。
【0004】
【表1】
【0005】したがって現状では、鋳造時の炭化物の粗
大化を防止するためにインゴットサイズを小さくして
(例えば、300 〜500kg のレベル)冷却速度を速くして
いるが、炭化物の微細化は未だ十分でなく、加えてイン
ゴットサイズを小さくしているので、歩留りが低下する
という問題も生じている。さらに、粗大炭化物が生成す
ると、それを微細化するために熱処理時間を長くした
り、鍛造での鍛造比を大きくしたりしているが、これら
の手段によっても十分な微細化が期待できず、かつこれ
らはコストアップ要因にもなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記した
問題点を有利に解決し、鋳造段階で粗大炭化物の生成が
なく、経済性にも優れる高炭素合金鋼材の製造方法を提
案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨は以下の
通りである。C:0.4 mass%以上、1.5 mass%以下を含
有し、Cr, Mo,W及びVのうちから選んだ1種又は2種
以上の合計が1mass%以上を含む高炭素合金鋼の溶湯
を、冷却下に攪拌を加えて非樹枝状初晶粒が懸濁した固
液混相の半凝固金属スラリーとしたのち、鋳型に供給し
て鋳造することを特徴とする粗大炭化物のない高炭素合
金鋼材の製造方法であり、さらに、上記の鋳型に供給す
る半凝固金属スラリーの固相率を0.15〜0.6 の範囲とす
るものである。
【0008】ここで、鋳造は、造塊鋳型を用いる造塊
法、又は連続鋳造鋳型を用いる連続鋳造法のいずれでも
よい。
【0009】
【作用】この発明に至った経緯とその作用について以下
に述べる。高速度工具鋼(SKH)のような高炭素合金
鋼を溶湯から通常の鋳造を行うと、樹枝状初晶のデンド
ライト(フェライト)組織が発達し、しかるのち濃縮さ
れた合成成分の溶湯から炭化物が生成し粗大化する。こ
の場合接種処理を行っても樹枝状初晶の発達を防止でき
なく、また、Al合金の場合に顕著な効果が見られる低温
鋳造(該合金の液相線よりわずかに高い温度から鋳造す
る)も、高融点材料である高炭素合金鋼では良好な結果
が得られない。
【0010】そこで、この発明は種々実験・検討の結
果、半凝固法を用いることが最適であることを新規に見
出し達成したものである。すなわち、高炭素合金鋼の溶
湯を冷却下に攪拌を加えて非樹枝状初晶粒が均一に分散
懸濁した固液共存の半凝固金属スラリーとし、この半凝
固金属スラリーを鋳型に供給して鋳造するものであり、
かくすることにより、初晶粒が均一に分散した状態で凝
固が進行するので、粒界に生成する炭化物は、鋳片の表
層部から中央部に至るまでサイズが均一化し、かつ粗大
化が防止できる。なお、この場合にも炭化物の大きさは
鋳造時の冷却速度に依存するが、鋳片の大形化にも十分
対応可能である。
【0011】このように、鋳造段階で炭化物の粗大化が
防止され均一化されると、その後の熱処理で炭化物の分
解が容易になり、かつ、鍛造における鍛造比を低減して
も十分に微細な炭化物が得られるなどの効果を発揮す
る。
【0012】また、鋳型に供給する半凝固金属スラリー
の固相率は、0.05未満では上記した効果が期待できな
く、逆に0.6 を超えると流動性が低下して鋳造が困難と
なり健全な鋳片が得られるなくなる。したがって、半凝
固金属スラリーの固相率は、0.05以上、0.6 以下とする
ことがよいが、さらに粗大炭化物の生成をより完全に防
止するためには、0.15以上、0.6 以下とすることが望ま
しい。
【0013】なお、攪拌方式は特に制約はなく、機械攪
拌方式又は電磁攪拌方式のいずれでもよく、鋳造法につ
いては、造塊鋳型を用いる造塊法はもとより、連続鋳造
鋳型を用いる連続鋳造法にも有利に適用できる。
【0014】つぎに、成分組成は、C:0.4 〜1.5 mass
%を含み、Cr, Mo, W及びVの1種又は2種以上を合計
で1mass%以上含有するものとするが、これは、上記成
分を含有する鋼が、鋳造段階で粗大炭化物を生成しやす
く、その粗大炭化物が最終製品の品質に悪影響をおよぼ
すことによるものであり、この発明をこのような高炭素
合金鋼に適用することにより、その効果が顕著に発揮で
きる。以下に成分組成の限定理由について述べる。
【0015】C:0.4 〜1.5 mass% Cは、含有量が0.4 mass%未満ではCr, Mo, W及びVな
どの炭化物生成量が少なく、工具鋼として重要な特性で
ある硬度が不足する。また、1.5 mass%を超えて含有さ
せると、Cr, Mo, W及びVの炭化物生成のためのC量が
過剰に存在することになる。過剰なCはセメンタイト
(Fe3C) 系炭化物を生成し、材質を劣化させる。したが
って、その含有量は0.4 mass%以上、1.5 mass%以下と
する。
【0016】Cr, Mo, W及びVの1種以上の合計:1ma
ss%以上 Cr, Mo, W及びVは、十分な硬度を得るための炭化物生
成成分として重要であるが、単独又は複合して1mass%
未満の含有量では必要量の炭化物を生成できなく、十分
な硬度が得られない。したがって、それらの含有量は合
計で1mass%以上とする。
【0017】なお、炭化物生成成分ではないが、MnやNi
は基地鉄の靱性を向上するために有効な成分であり、工
具鋼の品質改善のためそれらを含有させることは一向に
差支えない。
【0018】
【実施例】
実施例1 表2に示す成分組成になる高速度工具鋼SKH51の溶湯
(温度:1500℃)を直接鋳型に供給し鋳造した鋳塊(比
較例)と、該溶湯を冷却下に機械的攪拌を加えて温度:
1410℃(ΔT=−11℃)、固相率:0.15の半凝固金属ス
ラリーとしたのち鋳型に供給し鋳造した鋳塊(適合例)
について、金属組織を調査するとともに、それぞれの鋳
塊に温度:1150℃、時間:2時間の熱処理を施した熱処
理後の鋳塊についてそれぞれ金属組織を調査した。
【0019】
【表2】
【0020】上記において、鋳造は、ダービル法といわ
る溶解鋳造設備を利用して行ったもので、図1に実施例
に用いたその溶解鋳造設備の説明図を示す。
【0021】図1において、1は高周波溶解炉、2は高
周波溶解炉1に埋込まれた高周波誘導加熱コイル、3は
高周波溶解炉と一体構造の湯道であり、湯道3の先端に
鋳型4が取付けられている。これらは一体となって傾転
する構造になっていて、静かに傾転することにより高周
波溶解炉1内の半凝固金属スラリー8(溶湯の場合も含
む)を湯道3を介して鋳型4内へ層流状態で供給するこ
とができる。なお、図中の点線は傾転途中で鋳型4内に
半凝固金属スラリー8が供給された状態を示す。
【0022】一方、5は攪拌子、7は駆動軸6を介して
攪拌子5を回転駆動させるモータであり、これらは昇降
手段(図示省略)により共に昇降できるようになってい
る。
【0023】上記装置による半凝固金属スラリーの鋳造
の場合は、高周波溶解炉1に冷片を挿入し、該冷片を高
周波誘導加熱コイル2により溶解して溶湯としたのち、
攪拌子5を下げて高周波溶解炉1内の溶湯中に挿入し、
溶湯を冷却下にモータ7の作動により攪拌子5を回転
数:500rpmで回転させて攪拌し、所定の固相率の半凝固
金属スラリー8としたのち攪拌子5を上方に退避させ、
しかるのち高周波溶解炉1、湯道3及び鋳型4 傾斜させ
ることにより半凝固金属スラリー8を鋳型4に供給し、
冷却凝固させて鋳塊とした。
【0024】なお、この鋳塊は重量が10kgの小型のもの
(鋳型4の内径が約100mm )であるが、大型鋳塊の鋳造
時の冷却速度に対応させるため、アルミナ系の耐火物製
鋳型4を用い冷却速度を遅くした。また、溶湯からの鋳
造の場合は、高周波溶解炉1内の溶湯をそのまま半凝固
金属スラリーの鋳造の場合と同様に鋳型4に供給し鋳塊
とした。
【0025】金属組織の調査結果について以下に述べ
る。図2に溶湯から鋳造した鋳塊の金属組織写真(比較
例)、図3に半凝固金属スラリーから鋳造した鋳塊の金
属組織写真(適合例)、図4に溶湯から鋳造した鋳塊の
熱処理後の金属組織写真(比較例)、図5に半凝固金属
スラリーから鋳造した鋳塊の熱処理後の金属組織写真
(適合例)をそれぞれ示す。
【0026】なお、これらの金属組織写真は、いずれも
鋳塊縦断面における端部、1/4 部及び1/2 部を2種類の
倍率で示したものである。図6は鋳塊縦断面における金
属組織写真の撮影位置を示す説明図であり、図におい
て、Aが端部、Bが1/4 部、Cが1/2 部である。これら
の金属組織写真から明らかなように、溶湯から鋳造した
鋳塊の図2(比較例)には、初晶がデンドライト形状で
凝集した粗大炭化物が見られるのに対し,半凝固金属ス
ラリーから鋳造した鋳塊の図3(適合例)では、初晶は
粒形状であり粗大炭化物は見られない。また、これらの
熱処理後の金属組織において、溶湯から鋳造した鋳塊の
図4では、炭化物の分解が不十分であるのに対し、半凝
固金属スラリーから鋳造した鋳塊の図5では炭化物の分
解が十分に進行していることがわかる。これは、後者の
場合(適合例)は、初晶が均一な粒状で炭化物も粗大化
していないため、熱処理中のCの拡散の進行が容易であ
ったためであり、これら結果は、この発明の有効性を如
実に示している。
【0027】実施例2 上記、表2に示した成分組成になる高速度工具鋼SKH
51の溶湯を実施例1と同様の方法により、固相率を変え
て半凝固スラリーとしたのち鋳造し、得られた鋳塊につ
いて、鋳塊の健全さ、金属組織を調査した。それらの調
査結果を表3にまとめて示す。
【0028】
【表3】
【0029】表3から明らかなように、固相率が0.06で
粗大炭化物の生成はほぼ防止できているが、0.15以上に
なると粗大炭化物の生成は完全に防止できている。一
方、固相率0.65では、半凝固金属スラリーの流動性が悪
くなるため健全な鋳塊が得られていない。
【0030】実施例3 表4に示す4種類の成分組成になる溶湯を実施例1と同
様の方法により、それぞれ固相率0.15の半凝固金属とし
たのち鋳造し、得られた鋳塊について金属組織を調査し
た。
【0031】
【表4】
【0032】この結果、上記4種類の鋼とも、初晶は粒
状組織であり、粗大炭化物の生成は見られなかった。
【0033】
【発明の効果】この発明は、非樹枝状初晶粒が懸濁した
半凝固金属スラリーを鋳造することにより粗大炭化物の
ない高炭素合金鋼材を得るものであって、この発明によ
れば、鋳造される鋳片の大形化にも有利に対応でき、熱
処理及び加工工程での炭化物の微細化を極めて容易に
し、高炭素合金鋼製品のコスト低減、品質向上に大きく
貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に用いた溶解鋳造設備の説明図である。
【図2】溶湯から鋳造した鋳塊の金属組織写真である。
【図3】半凝固金属スラリーから鋳造した鋳塊の金属組
織写真である。
【図4】溶湯から鋳造した鋳塊の熱処理後の金属組織写
真である。
【図5】半凝固金属スラリーから鋳造した鋳塊の熱処理
後の金属組織写真である。
【図6】鋳塊縦断面における金属組織写真の撮影位置を
示す説明図である。
【符号の説明】 1 高周波溶解炉 2 高周波誘導加熱コイル 3 湯道 4 鋳型 5 攪拌子 6 駆動軸 7 モータ 8 半凝固金属スラリー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.4 mass%以上、1.5 mass%以下を
    含有し、Cr, Mo,W及びVのうちから選んだ1種又は2
    種以上の合計が1mass%以上を含む高炭素合金鋼の溶湯
    を、冷却下に攪拌を加えて非樹枝状初晶粒が懸濁した固
    液混相の半凝固金属スラリーとしたのち、鋳型に供給し
    て鋳造することを特徴とする粗大炭化物のない高炭素合
    金鋼材の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋳型に供給する半凝固金属スラリーの固
    相率が、0.15〜0.6の範囲である請求項1に記載の粗大
    炭化物のない高炭素合金鋼材の製造方法。
JP9393894A 1994-04-08 1994-04-08 粗大炭化物のない高炭素合金鋼材の製造方法 Pending JPH07278727A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007030037A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Jfe Steel Kk 耐摩耗性に優れた鋳鉄品の製造方法
CN104131226A (zh) * 2014-07-09 2014-11-05 河冶科技股份有限公司 丝锥专用3v高速钢及其制备工艺

Cited By (3)

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