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JPH07238419A - 良好な発色性と光沢を有する高易染性ポリエステル中空繊維 - Google Patents

良好な発色性と光沢を有する高易染性ポリエステル中空繊維

Info

Publication number
JPH07238419A
JPH07238419A JP2969694A JP2969694A JPH07238419A JP H07238419 A JPH07238419 A JP H07238419A JP 2969694 A JP2969694 A JP 2969694A JP 2969694 A JP2969694 A JP 2969694A JP H07238419 A JPH07238419 A JP H07238419A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
hollow
polyester
hollow fiber
wool
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2969694A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Tsukamoto
哲男 塚本
Yoshiaki Sato
慶明 佐藤
Shizuya Yoshikawa
静也 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2969694A priority Critical patent/JPH07238419A/ja
Publication of JPH07238419A publication Critical patent/JPH07238419A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 数平均分子量が500〜4000のポリアル
キレングリコールを全ポリエステルに対して5.0〜1
0.0重量%共重合され固有粘度(IV)が0.70以
上で、艶消し剤含有量が0.1%以下からなる改質ポリ
エステルで形成されており、繊維の断面の外形が円形
で、かつ繊維断面の中心部に三角形状の中空部を有し、
中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)
が下記式を満足し、中空部の中空率が10〜50%であ
ることを特徴とする良好な発色性と光沢を有する高易染
性ポリエステル中空繊維。 【効果】 ポリアルキレングリコールを特定の量共重合
し固有粘度を特定の値以上とし、艶消し剤を特定量以下
とした改質ポリエステルからなり、かつ特定化された中
空繊維にすることにより、従来の中空繊維にはない良好
な発色性と良好な光沢を有し、軽量で保温性に優れ、か
つ、繊維断面が潰れ難い高品位のポリエステル中空繊維
を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は良好な発色性と光沢を有
する高易染性ポリエステル中空繊維に関する。さらに詳
しくは、一般衣料用および産資建装用の軽量素材または
保温素材あるいは軽量・保温素材として従来以上の良好
な発色性と光沢および高易染性を有し、軽量で保温性に
優れ、かつ、繊維断面が潰れ難い高品位のポリエステル
中空繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、機械的性質、化学
的性質、イージーケア性、光沢性等優れた特性から一般
衣料用や産資建装用として広く利用されている。特に最
近では、ポリエステル繊維の優れた特性を応用して他の
繊維にない独特な製品が開発されている。また、消費者
のニーズの多様化および個性化した感性のニーズの中で
より軽量化された製品や、より保温化機能のある繊維製
品あるいはより鮮やかな製品など、より高品質のいろい
ろな性能が求められている。
【0003】ウールの風合や色合いはそのままでウール
の欠点である低強度、ウォッシュアンドウェア性、プリ
ーツ性、防虫性、防カビ性などの機能性を補うためにウ
ールの欠点である機能性に優れたポリエステルを混用す
ることが行われている。しかしながら、ポリエステルは
ウールに比較して難染性のためにウールの染色条件、す
なわち常圧での染色をすると色が淡くなりウールと同色
に染色されない。一方、ポリエステルの通常の染色温度
である130〜135℃でウールを染色するとウールと
ポリエステルは同色に染色されるが、ウールの風合や強
度などが大幅に低下する問題がある。そこで染色温度を
ウールの染色条件すなわち低温度にした、いわゆる常圧
で染色できるポリエステルの技術がいくつか提案されて
いる。
【0004】また、染色コストを低減するためにも常圧
あるいは常圧に近い状態で染色可能なポリエステルの技
術がいくつか提案されている。たとえば、特開昭60−
88190号公報、特開昭61−34022号公報など
には5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5モル%以上
共重合した塩基性染料可染型ポリエステルの技術が開示
されている。しかしながら、これらの技術のポリエステ
ルは染色性は高いものの糸強度が低い、風合が硬い、ス
トレッチ性が少ないなどの欠点がある。
【0005】また、特開昭59−59911号公報、特
開昭58−13739号公報などには特殊な延伸方法や
4000m/分以上の高速紡糸により内部構造を変えた
易染性ポリエステル繊維の技術が開示されている。しか
しながら、これらの技術のポリエステルは従来のポリエ
ステルに比較すれば易染性になっているが、完全な常圧
可染型ではなく、濃色に染色するには110℃以上のい
わゆる加圧状態の染色温度が必要である。
【0006】さらに特公昭57−25646号公報、特
公昭57−30169号公報などにはポリアルキレンオ
キサイドを共重合した常圧可染型ポリエステルの技術が
開示されている。
【0007】一方、軽量化や保温化を達成するために糸
条の嵩高性を大きくしたり、織編物の組織を工夫するこ
とである程度までは可能であるが、さらに軽量化を計る
には繊維自体を軽量化する必要がある。その手段の一つ
として見掛上軽量化された中空繊維が用いられている。
中空繊維については、古くから知られており、例えば特
公昭42−2928号公報には、中空率50%以下の中
空繊維の製法が開示されており、その他多くの特許公報
に中空繊維や中空繊維の製法が開示されている。 たと
えば、特開昭55−107510号公報には数平均分子
量が4000以上のポリオキシアルキレングリコールま
たはその誘導体をポリエステルに独立相として含有さ
せ、該独立相を水またはアルカリ水溶液で溶出させ吸水
性や吸汗性を付与する中空繊維の技術が開示されてい
る。また、特開平3−8806号公報には数平均分子量
が6000以上のポリオキシアルキレングリコールとイ
オン性帯電防止剤を含有させ、ソフトで耐フィブリル性
に優れた制電性のポリエステル中空繊維の技術が開示さ
れている。中空繊維の問題点の一つに染色された製品が
同等の糸条の中実繊維の製品に比較すると淡く見えると
いう現象があり、特に高中空率の繊維では淡く見えやす
いことがある。したがって発色性が大きい中空繊維が望
まれている。
【0008】上述のように高易染性ポリエステルの技
術、中空繊維の技術、中空繊維に特殊なポリマを使用す
る技術等は多く知られているが、ポリエステル中空繊維
で、高易染性ポリエステル特に常圧可染性ポリエステル
を用い、従来以上の良好な発色性と光沢を有し、軽量で
保温性に優れ、かつ、繊維断面が潰れ難い高品位のポリ
エステル中空繊維は得られていないのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したようにポリエステル中空繊維で高易染性ポリエステ
ルを用いて、従来以上の良好な発色性と光沢を有し、軽
量で保温性に優れ、かつ繊維断面が潰れ難い高品位のポ
リエステル中空繊維を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、数平均分子量が500〜4000のポリアルキレン
グリコールを全ポリエステルに対して5.0〜10.0
重量%共重合され固有粘度(IV)が0.70以上で、
艶消し剤含有量が0.1%以下からなる改質ポリエステ
ルで形成されており、繊維の断面の外形が円形で、かつ
繊維断面の中心部に三角形状の中空部を有し、中空部で
ない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)が下記式
を満足し、中空部の中空率が10〜50%であることを
特徴とする良好な発色性と光沢を有する高易染性ポリエ
ステル中空繊維によって達成できる。 NA(ミクロ
ン)≧2.1×d1/2 但し、NA=中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
肉厚(ミクロン) d=繊維の繊度(デニール)
【0011】以下本発明を詳細に説明する。本発明の高
易染性ポリエステル中空繊維は、数平均分子量が500
〜4000のポリアルキレングリコールを全ポリエステ
ルに対して5.0〜10.0重量%共重合され固有粘度
(IV)が0.70以上で、艶消し剤含有量が0.1%
以下からなる改質ポリエステルで形成されている必要が
ある。
【0012】本発明で用いる改質ポリエステルは、数平
均分子量が500〜4000のポリアルキレングリコー
ルを全ポリエステルに対して5.0〜10.0重量%共
重合されたものであり、数平均分子量が500未満のポ
リアルキレングリコールを用いると染料吸尽率が低下し
て染色性が不良となり良くない。また、数平均分子量が
4000を超えるポリアルキレングリコールを用いると
耐光性特に退色堅牢度が不良となり良くない。したがっ
て、その数平均分子量は好ましくは600〜3000、
さらに好ましくは800〜2000が良い。
【0013】該ポリアルキレングリコールの共重合量が
5.0重量%未満では、安定した高易染性を付与でき
ず、5.0重量%以上が必要である。6.0重量%以上
では常圧可染性が発揮でき好ましいことである。また、
該共重合量が10.0重量%を超えると染色性は十分で
あるが耐光堅牢度が不良となり良くない。したがって該
共重合量は6.0〜9.0重量%が好ましい。
【0014】本発明で用いるポリアルキレングリコール
としてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコールなどが挙げられる。これらの中では発色
性向上効果の点からポリエチレングリコールが特に好ま
しい。
【0015】また、本発明で用いる改質ポリエステル
は、通常のポリエステルに比較して耐酸化分解性が低く
なる傾向が有るために抗酸化剤を配合することが好まし
く、抗酸化剤としてはヒンダードフェノール系化合物が
好ましい。また、その配合量は、耐酸化分解性と紡糸口
金汚れの兼ね合いからポリエステルに対して0.05〜
1.0重量%が好ましく、0.1〜0.5重量%がさら
に好ましい。
【0016】本発明で用いる改質ポリエステルは、固有
粘度(IV)が0.70以上が必要であり、固有粘度
(IV)が0.70未満では繊維の強度および伸度が低
下し、繊維製造工程での糸切れが多発するとともに繊維
製品製造工程でも毛羽発生や糸切れなどのトラブルが多
発するのでよくない。好ましくは0.72以上である
が、固有粘度が余りにも高いと溶融紡糸時の吐出圧力上
昇によるトラブルが発生しやすくなるので、固有粘度は
0.9未満が好ましい。
【0017】さらに、本発明で用いる改質ポリエステル
は、艶消し剤を多量に含有すると目的とする良好な光沢
のある繊維が得られないので本発明では艶消し剤を0.
1重量%以下のポリエステルを使用する。好ましい艶消
し剤含有量は0.07重量%以下であり、さらに好まし
くは0.05重量%以下である。
【0018】本発明の高易染性ポリエステル中空繊維
は、断面の外形が円形である必要がある。繊維の断面の
外形が極端な異形であると紡糸時の糸切れが発生しやす
く、また延伸時にも糸切れや毛羽が発生しやすい。な
お、円形とは真円であることが最もよいが、必ずしも真
円でなくともよく、ほぼ真円状であればよく、具体的に
は円または楕円の直径で長い径と短い径の変化が10%
以内の変動があるもの、または糸重心から最も離れた外
周上の点までの距離R1と糸重心に最も近い外周上の点
までの距離R2の関係が、本発明では[(R1−R2)
/R1]×100≦10の関係を満たしているものであ
ればよい。
【0019】さらに本発明の高易染性ポリエステル中空
繊維は繊維断面の中心部に三角形状の中空部を有する必
要がある。即ち中空部が偏心して存在していないことを
意味する。中空部があることは、その分だけ軽量化さ
れ、織編物を軽量化できる。また、中空部を三角形状の
中空繊維にすることによって、良好な光沢が得られる。
良好な光沢が得られるる要因は明確ではないが中空繊維
に光が当たった時に、艶消し剤含有量が少量のために大
部分の光が中空部にまで入射し、その光が三角形状の中
空部の内壁で再度反射して光沢を高めているものと思わ
れ、これが良好な光沢を発現しているものと思われる。
さらに中空部が繊維の中心部にあること、中空部が三角
形状であることによって、延伸時および高次加工工程で
の中空部の潰れ即ち中空率の低下が少ない。一般的に中
空糸の製造およびその高次加工工程において、中空繊維
はローラ類との接糸圧やガイド類での摩擦力あるいはそ
の他の外力によって、繊維に側面方向からの圧力が加わ
り繊維断面が楕円形や偏平形に潰れ中空率が低下する。
この現象は中空率が高い中空繊維ほど起こり易い。しか
も、ある中空率を越える場合には繊維の外形および中空
部が円形の場合に起こり易い。また、中空部が繊維の中
心部になく偏心していると、即ち部分的に肉薄部分があ
ると起こり易い。これに対し本発明のポリエステル中空
繊維は前述したように繊維断面の中心部に三角形状の中
空部を有するので潰れ難いものである。本発明の高易染
性ポリエステル中空繊維の中空部の三角形状について、
図1を用いて説明する。三角形状の三つの頂点をそれぞ
れa、b、cとし、3点を直線で結んだ三角形の三つの
辺をab、bc、caとする。点cから辺abに垂線c
dを引き垂線cdの延長上での中空部壁との交点をeと
する。点aおよび点bからもそれぞれ辺bc、辺caに
も垂線を引き図の如く点f、点g、点h、点iを定め
る。本発明の中空繊維の中空部は全容としては三角形状
であり、好ましくは正三角形であるが、図1のようにお
むすび型であってもよく形状は次の通りである。 (1)辺の線分ab、bc、caのそれぞれの長さは等
しいほどよいが、20%以内の変化があってもよい。 (2)線分ag/線分af、線分bi/線分bh、線分
ce/線分cdのそれぞれの値は1.0〜1.3の範囲
が好ましく、より好ましくは1.0〜1.2の範囲にあ
ることである。
【0020】本発明の高易染性ポリエステル中空繊維の
繊維断面における中空部の占める面積即ち中空率は、1
0〜50%の範囲とする必要がある。中空率が10%未
満では、衣料品としての軽量化の効果が小さくまた保温
性の効果も小さい。織編物の保温性は先に述べた通り繊
維間や組織間に空気を含ませる構造にすればある程度ま
では高めることができるが、あまりにも空気を含ませる
構造にすると体温で暖められた空気が対流を起こし、保
温性が低下する。中空糸では糸自体に空気を封じ込める
ので対流がなく保温性を高めることができる。中空率は
高いほど軽量化の効果、保温性の効果は大きく好ましい
が、あまりにも高い中空率の繊維では高次加工工程での
繊維断面の潰れが発生しやすく衣料品となった時に原糸
の中空率を保持できなくなるとともに、衣料品の着用中
にも繊維断面の潰れが発生しやすいので中空率は50%
以下にする必要がある。軽量化の効果、保温性の効果お
よび着用中の繊維断面の潰れ易さなどからより好ましく
は、15〜40%である。さらに本発明の高易染性ポリ
エステル中空繊維の繊維断面における中空部でない部分
の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)が次の式を満足す
ることが必要である。 NA(ミクロン)≧2.1×[繊維の繊度(デニー
ル)]1/2 例えば、3デニ−ルの繊維では、3.6ミクロン以上あ
ることが必要である。なお、肉厚は中空繊維の重心と繊
維表面を結ぶ線分において繊維上部分の長さをいう。中
空部でない部分の肉厚は、中空繊維の繊度、中空率およ
び中空部の形状によって決まるが、いずれにしても肉厚
が前記の式を満足することによって繊維断面の潰れを防
ぐために必要である。
【0021】また、本発明の高易染性ポリエステル中空
繊維は原糸段階での毛羽即ち紡糸、延伸して巻取られた
糸の毛羽の有無が高次加工性の良否に大きく関係し、そ
の影響は従来のポリエステル繊維に比較して大きい。従
って、巻取られた糸の毛羽の数が、0.20個/1万m
以下であることが好ましく、0.10個/1万m以下で
あることがより好ましく、0.05個/1万m以下であ
ることが一層好ましい。 本発明の高易染性ポリエステ
ル中空繊維は、例えばポリアルキレングリコールとして
数平均分子量が1200のポリエチレングリコールをポ
リエステルの製造工程(直接重合)で5.0〜10.0
重量%の範囲で添加して得たポリエステル(艶消し剤は
含有量は例えば0.05重量%のもの)を例えば図2a
で示す三スリット型のポリマ吐出孔を有する口金から溶
融紡糸し、油剤を付与し未延伸糸を得、これを一旦巻き
取った後か、あるいは引き続き延伸することにより得ら
れる。この際、溶融紡糸の糸条の強制冷却は紡糸口金面
下3〜15cmの距離で冷却風の吹き付けを開始するこ
とが中空率のバラツキを小さくするので好ましい。さら
に延伸に際しては、ホットロールーホットロール系の延
伸機を使用し、第一ホットロールで75〜100℃に予
備加熱し、第二ホットロールとの間で延伸する方法が毛
羽の発生を少なくするために好ましい。第二ホットロー
ルの温度は、得ようとする糸条の目標収縮特性に合うよ
う適宜設定すればよい。得られた繊維の断面は図3aに
示されるものとほとんど同等である。
【0022】本発明に用いる改質ポリエステルの製造方
法は特に限定されないが、製造コストの低減化、製造ロ
ット間の品質安定性などから直接重合法によって製造す
る方法が好ましい。
【0023】本発明の高易染性ポリエステル中空繊維
は、衣料用素材、インテリア製品素材、車両内装資材あ
るいは寝装用素材として活用できる。特に常圧可染性の
点からウールとの混繊、ウールとの交織物、ウールとの
交編物として適用することが特に好ましく有効である。
【0024】以上述べた通り、特定の数平均分子量のポ
リアルキレングリコールを特定の量含有し、艶消し剤を
特定の量以下の改質ポリエステルからなり、かつ特定化
された中空繊維にすることにより、従来の中空繊維には
ない良好な発色性と良好な光沢を有し、軽量で保温性に
優れ、かつ、繊維断面が潰れ難い高品位のポリエステル
中空繊維を提供することができる。
【0025】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお実施例中の物性は次の様にして測定した。
【0026】A.中空率 繊維の断面写真から次式により算出した。 中空率(%)=(中空部の断面積/繊維の断面積)×1
00
【0027】B.発色性 サンプル糸条を27ゲージの筒編み機で筒編地を編成
し、常法により煮沸精練し、水洗、乾燥した後、下記の
条件で染色し、常法により還元洗浄し、水洗、乾燥した
後、SMカラーコンピュータ(スガ試験機(株)製)で
染色された筒編地を7枚重ねてL値を測定し発色性の指
標とした。L値は濃色なほど値は小さく発色性は大き
い。 <染色条件> Dianix Black BG−FS 10%owf (三菱化成(株)製分散染料) ニッカサンソルト#1200 0.5g/l (日華化学工業(株)製) 染色浴PH 6 の水溶液中で浴比1:50で98℃、60分間染色し
た。
【0028】C.固有粘度(IV) 充分洗浄して油剤などを無くし充分乾燥したサンプル
0.8gをオルソクロルフェノール10ccに溶解し、
オストワルド粘度計にて25℃で測定した。
【0029】D.耐光性(耐光堅牢度) フェードメーターを用いてカーボンアーク光を10時間
照射し光退色させた時の退色度合を肉眼判定した。退色
がほとんどないものを5級とし、非常に退色されたもの
を1級として5段階で表示した。
【0030】E.光沢度 スガ試験機製自動測色色差計を用いて照射45度、受光
44度の条件で酸化マグネシウム標準光沢板を用いて基
準値を調整した後、アルミ板に巻いたサンプル糸条に対
し繊維軸方向に照射、受光をし光沢度を測定した。
【0031】F.毛羽 東レエンジニアリング社のマルチフライカウンターF型
を用いて延伸糸5本を約400m/minで走行させな
がら各々5万mを測定し、カウントされた総数から毛羽
数を求めた。 毛羽数(個/1万m)=(カウント総数/25万m)×
10000
【0032】実施例1 数平均分子量が1000のポリエチレングリコール(P
EG)をテレフタル酸とエチレングリコールからなる直
接重合によるポリエステルの製造工程で全ポリエステル
に対しての重量%を変更し添加して得た5水準の改質ポ
リエステル(艶消し剤(二酸化チタン)含有量は0.0
5重量%のもの、固有粘度を0.74に調整したもの)
を使用し、紡糸温度285℃で図2aで示す吐出孔を2
4個有する口金から吐出した後に、口金面下8cmの位
置で毎分30mの速度の冷却風をあてて冷却し、平滑性
の高い油剤を油分付着量が1.1%になるようにコント
ロールしながら付与した後に、紡速1650m/分で巻
取った。
【0033】得られた未延伸糸をホットロールーホット
ロール系の延伸機にて第1ホットロールを88℃として
予備加熱し第2ホットロールとの間で延伸糸伸度が35
±2%となる延伸倍率で延伸しながら第2ホットロール
温度145℃で熱処理し、巻取速度800m/minで
巻き上げ75デニール24フィラメントの中空繊維糸条
を得た。得られた糸条を筒編み地に編成し、黒色に染色
した。得られた繊維の断面は図3aと同様で中空部が三
角形状で繊維の中心部にあり、中空部でない部分の肉厚
は最も薄い部分で4.6ミクロンであった。得られた繊
維糸条の毛羽数は全ての水準で0.10個/万m以下で
あった。
【0034】得られた繊維の中空率は20〜23%の範
囲にあった。得られた糸条の光沢度、得られた筒編み地
の発色性の評価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】 本発明の実験No.2〜4の繊維は、光沢度は70%以
上で良好であり、その編物は常圧での染料吸尽率が良
く、したがって発色性が良好(L値が小さい)であっ
た。また、耐光性も良好であった。実験No.1(比較
例)の繊維は、PEGの量が少ないために発色性が不良
であった。実験No.5(比較例)の繊維は、PEGの
量が多いために耐光性が不良であり、また紡糸時の糸切
れが多発し製糸性が不良であった。繊維の固有粘度(I
V)は全ての水準で0.71〜0.73の範囲にあっ
た。
【0036】実施例2 実施例1の実験No.3のポリマを用い、図2aの口金
吐出孔でリング状に配設されたスリットの内径を変更し
た口金を使用した以外は実施例1に準じ、中空率を変更
した中空繊維糸条を得た。得られた糸条の毛羽数は0.
10個/万m以下であった。また、中空部でない部分の
肉厚で最も薄い部分の肉厚は、3.4〜6.0ミクロン
の範囲であり実験No.11は3.7ミクロンであり実
験No.12が3.4ミクロンで最も薄いものであっ
た。得られた中空繊維糸条を実施例1に準じて評価した
結果を表2に示した。
【0037】
【表2】 実験No.6(比較例)の編物は中空率が小さく軽量性
の効果が小さく通常の丸断面糸と大差なかった。実験N
o.10(比較例)の編物は、編成時での繊維の潰れが
多発して編物での中空率は小さくなっていた。また、中
空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(ミクロ
ン)が、2.1×31/2 =3.6(ミクロン)未満であ
り、繊維の潰れが多発するとともに潰れ度合いが大きか
った。なお、発色性はすべての水準で良好であり、耐光
性も4級以上で良好であった。
【0038】軽量性や後加工での繊維断面の形状保持の
面で本発明の実験No.7、8、9の繊維が有効に活用
できる。
【0039】実施例3 実施例2のポリマを用い、図2b、図2cの口金吐出孔
を有する口金を用いた以外は実施例1に準じ、繊維の断
面を変更した中空繊維糸条を得、評価した。得られた繊
維の断面は図3b、図3cに示した。実験結果を実施例
1の実験No.3と比較し表3に示した。
【0040】図3bに示した外形が三葉型の中空繊維糸
条(実験No.11(比較例)、中空率15.2%)
は、紡糸時の糸切れが16回/トンと多く、また延伸時
の毛羽発生も3.8コ/1万mと多く、糸切れ率も13
%と多かった。
【0041】図3cに示した中空部が偏心した中空繊維
糸条は、(実験No.12(比較例))中空率が20.
5%であったが編物にした時に断面の変化が大きく繊維
の潰れが発生し中空率が13.2%にまで低下した。
【0042】
【表3】 実施例4 実施例2のポリマを用い、図2a、図2dの口金吐出孔
を有する口金を用い、中空率を約35%に調整した以外
は実施例1に準じ、繊維の中空部形状を比較した中空繊
維糸条を得、評価した。得られた繊維の断面は図3a、
図3dに示したと同等のものである。実験結果を表4に
示した。
【0043】図3dに示した中空部形状がほぼ真円の中
空繊維糸条は(実験No.14(比較例))、中空率が
36.1%であったが編物にした時に断面の変化が大き
く繊維の潰れが発生し中空率が26.2%にまで低下し
た。また、編物において繊維の潰れた部分はスジ状のム
ラが発生し編物の品位が著しく不良であった。
【0044】図3aに示した中空部形状がほぼ三角形の
中空繊維糸条(実験No.13(本発明))は、中空率
が35.2%であったが編物にしても繊維の潰れがほと
んどなく中空率も33.8%であり、織物の品位も良好
であった。
【0045】
【表4】 実施例5 表5に示す4種類のポリアルキレングリコールを全ポリ
エステルに対して7.5重量%になるよう添加して得た
改質ポリエステル(艶消し剤(二酸化チタン)含有量は
0.05重量%のもの)を使用した以外は実施例1に準
じ、中空繊維糸条を得、評価した。得られた繊維の中空
率は20〜23%の範囲にあった。評価結果を表5に示
す。
【0046】
【表5】 実験No.15(比較例)の繊維は、ポリエチレングリ
コールの分子量が小さく染料吸尽率が急激に低下するた
めに発色性が不良であった。また低分子量のためにポリ
マの重合中に系外に飛散する量が多くポリエチレングリ
コールの量調整が悪く、その結果筒編み地に染色ムラの
発生が見られた。
【0047】実験No.20(比較例)の繊維は、ポリ
エチレングリコールの分子量が大きく染料吸尽率が急激
に低下しており発色性が不良であり、また耐光性が極端
に不良であった。
【0048】本発明の実験No.16、17、18、1
9、21、22、23の繊維は、発色性、耐光性とも良
好であった。中でもポリエチレングリコールを添加した
水準は、他のポリアルキレングリコールを添加したもの
より発色性が良好であった。 実施例6 実施例1の実験No.3のポリエステル組成で重合時の
条件を変更することにより固有粘度(IV)を変更し、
溶融紡糸が正常にできる紡糸温度に変更した以外は実施
例1に準じ、中空繊維糸条を得、評価した。評価結果を
表6に示す。
【0049】
【表6】 固有粘度(IV)が低い実験No.24は、紡糸時の糸
切れが多く延伸性も不良であり、糸条の毛羽が3.8個
/1万mと多かった。また、中空率が若干低かった。実
験No.25〜27は、中空率、製糸性とも大きな問題
はなかったが、実験No.27は紡糸時の溶融粘度が高
いために長時間の紡糸が困難であり生産上好ましくな
い。なお、発色性、耐光性などの他の特性はどの水準も
満足できるものであった。
【0050】
【発明の効果】上述した様に本発明の高易染性ポリエス
テル中空繊維は、ポリアルキレングリコールを特定の量
共重合し固有粘度を特定の値以上とし、艶消し剤を特定
量以下とした改質ポリエステルからなり、かつ特定化さ
れた中空繊維にすることにより、従来の中空繊維にはな
い良好な発色性と良好な光沢を有し、軽量で保温性に優
れ、かつ、繊維断面が潰れ難い高品位のポリエステル中
空繊維を提供することができる。
【0051】本発明の高易染性ポリエステル中空繊維
は、衣料用素材、インテリア製品素材、車両内装資材あ
るいは寝装用素材として活用できる。特に常圧可染性の
点からウールとの混繊、ウールとの交織物、ウールとの
交編物として適用することが特に好ましく有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル中空繊維の中空部の形状
を説明するモデル図
【図2】本発明のポリエステル中空繊維を製造する際の
紡糸口金の吐出孔の概略図
【図3】図2の口金から製造される繊維の断面図
【符号の説明】
a:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 b:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 c:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 d:上記三角形の辺abに対して点cから引いた垂線と
辺abとの交点 h:上記三角形の辺acに対して点bから引いた垂線と
辺acとの交点 f:上記三角形の辺bcに対して点aから引いた垂線と
辺bcとの交点 e:上記三角形の線分cdの延長線と中空壁との交点 g:上記三角形の線分afの延長線と中空壁との交点 i:上記三角形の線分bhの延長線と中空壁との交点

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】数平均分子量が500〜4000のポリア
    ルキレングリコールを全ポリエステルに対して5.0〜
    10.0重量%共重合され固有粘度(IV)が0.70
    以上で、艶消し剤含有量が0.1%以下からなる改質ポ
    リエステルで形成されており、繊維の断面の外形が円形
    で、かつ繊維断面の中心部に三角形状の中空部を有し、
    中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)
    が下記式を満足し、中空部の中空率が10〜50%であ
    ることを特徴とする良好な発色性と光沢を有する高易染
    性ポリエステル中空繊維。 NA(ミクロン)≧2.1×d1/2 但し、NA=中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
    肉厚(ミクロン) d=繊維の繊度(デニール)
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11158724A (ja) * 1997-11-25 1999-06-15 Toyobo Co Ltd ポリエステル中空繊維
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US6589653B2 (en) 2001-08-08 2003-07-08 E. I. Du Pont De Nemours And Company Filament having a quadrilobate exterior cross-section and a four-sided void

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