JPH07234687A - 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 - Google Patents
能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置Info
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- JPH07234687A JPH07234687A JP6025376A JP2537694A JPH07234687A JP H07234687 A JPH07234687 A JP H07234687A JP 6025376 A JP6025376 A JP 6025376A JP 2537694 A JP2537694 A JP 2537694A JP H07234687 A JPH07234687 A JP H07234687A
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- Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)
- Exhaust Silencers (AREA)
- Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
- Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】制御の不安定化を招くことなく、適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数の更新処理に必要な制御音源
及び残留騒音検出手段間の伝達関数をモデル化した伝達
関数フィルタにおける演算負荷の軽減を図る。 【構成】伝達関数フィルタC^lmを、相互に並列関係に
ある有限インパルス応答型のフィルタである第1伝達関
数フィルタC^FIR.lmと無限インパルス応答型のフィル
タである第2伝達関数フィルタC^IIR.lmとで構成する
とともに、それら第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び
第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの出力を加算部13で
加算し、その加算結果を伝達関数フィルタC^lmの出力
とする。そして、実際の伝達関数の高周波側の特性は第
1伝達関数フィルタC^FIR.lmで表現し、実際の伝達関
数の低周波側の特性は第2伝達関数フィルタC^IIR.lm
で表現する。
ルフィルタのフィルタ係数の更新処理に必要な制御音源
及び残留騒音検出手段間の伝達関数をモデル化した伝達
関数フィルタにおける演算負荷の軽減を図る。 【構成】伝達関数フィルタC^lmを、相互に並列関係に
ある有限インパルス応答型のフィルタである第1伝達関
数フィルタC^FIR.lmと無限インパルス応答型のフィル
タである第2伝達関数フィルタC^IIR.lmとで構成する
とともに、それら第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び
第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの出力を加算部13で
加算し、その加算結果を伝達関数フィルタC^lmの出力
とする。そして、実際の伝達関数の高周波側の特性は第
1伝達関数フィルタC^FIR.lmで表現し、実際の伝達関
数の低周波側の特性は第2伝達関数フィルタC^IIR.lm
で表現する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば車両エンジン
等の騒音源から車室等の空間内に伝達される騒音に制御
音を干渉させることにより騒音の低減を図る能動型騒音
制御装置及び例えば車両エンジン等の振動源から発せら
れ車体等を伝搬する振動に制御振動を干渉させることに
より振動の低減を図る能動型振動制御装置に関し、特
に、制御音,制御振動を発する制御音源,制御振動源
と、残留騒音,残留振動を検出する手段との間の伝達関
数をモデル化した伝達関数フィルタを制御アルゴリズム
内に有する能動型騒音制御装置,能動型振動制御装置に
おいて、演算負荷の軽減が図れるようにしたものであ
る。
等の騒音源から車室等の空間内に伝達される騒音に制御
音を干渉させることにより騒音の低減を図る能動型騒音
制御装置及び例えば車両エンジン等の振動源から発せら
れ車体等を伝搬する振動に制御振動を干渉させることに
より振動の低減を図る能動型振動制御装置に関し、特
に、制御音,制御振動を発する制御音源,制御振動源
と、残留騒音,残留振動を検出する手段との間の伝達関
数をモデル化した伝達関数フィルタを制御アルゴリズム
内に有する能動型騒音制御装置,能動型振動制御装置に
おいて、演算負荷の軽減が図れるようにしたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、英国特許
第2149614号や特表平1−501344号に記載
のものがある。これら従来の装置は、航空機の客室やこ
れに類する閉空間に適用される能動型騒音低減装置であ
って、閉空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音
源は、基本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む
騒音を発生するという条件の下において作動するもので
ある。
第2149614号や特表平1−501344号に記載
のものがある。これら従来の装置は、航空機の客室やこ
れに類する閉空間に適用される能動型騒音低減装置であ
って、閉空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音
源は、基本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む
騒音を発生するという条件の下において作動するもので
ある。
【0003】具体的には、閉空間内の複数の位置に設置
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0 〜
fn 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0 〜
fn 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
【0004】そして、ラウドスピーカから発せられる制
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANCELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANCELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
【0005】即ち、LMSアルゴリズムは、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をその伝達関数フィルタで処理した
結果(いわゆる、Filtered X信号)と各マイクロフォン
が検出した残留騒音とに基づいた所定の評価関数の値が
低減するように、各ラウドスピーカ毎に設けられたフィ
ルタ係数可変の適応ディジタルフィルタのフィルタ係数
を逐次更新している。
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をその伝達関数フィルタで処理した
結果(いわゆる、Filtered X信号)と各マイクロフォン
が検出した残留騒音とに基づいた所定の評価関数の値が
低減するように、各ラウドスピーカ毎に設けられたフィ
ルタ係数可変の適応ディジタルフィルタのフィルタ係数
を逐次更新している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上述したよう
な能動型騒音制御装置によって充分な騒音低減効果を得
るためには、ラウドスピーカには、発生する騒音の全て
の周波数に対処できるように低周波帯域から高周波帯域
に至る広い周波数帯域に渡って演算結果通りの制御音を
発することができる能力が要求される。そこで、スペー
ス的な余裕がある場合には、低周波帯域から高周波帯域
に渡って良好な出力特性が得られる径の大きな大型のラ
ウドスピーカを用いていたが、スペース的な余裕が小さ
い場合には、径の小さい小型,中型のラウドスピーカは
特に低周波帯域の出力が良好でないことが多いため、例
えば、スピーカ背面を覆うエンクロージャの容量を大き
くしたり、或いは低周波の出やすい位置(車両の車室内
であれば乗員の足元位置)にラウドスピーカを配設する
等して、低周波帯域であっても良好な出力が得られるよ
うにしていた。
な能動型騒音制御装置によって充分な騒音低減効果を得
るためには、ラウドスピーカには、発生する騒音の全て
の周波数に対処できるように低周波帯域から高周波帯域
に至る広い周波数帯域に渡って演算結果通りの制御音を
発することができる能力が要求される。そこで、スペー
ス的な余裕がある場合には、低周波帯域から高周波帯域
に渡って良好な出力特性が得られる径の大きな大型のラ
ウドスピーカを用いていたが、スペース的な余裕が小さ
い場合には、径の小さい小型,中型のラウドスピーカは
特に低周波帯域の出力が良好でないことが多いため、例
えば、スピーカ背面を覆うエンクロージャの容量を大き
くしたり、或いは低周波の出やすい位置(車両の車室内
であれば乗員の足元位置)にラウドスピーカを配設する
等して、低周波帯域であっても良好な出力が得られるよ
うにしていた。
【0007】しかしながら、ラウドスピーカが低周波帯
域から高周波帯域に至る広い周波数帯域に渡って良好な
制御音を発することができるようになると、騒音低減制
御の対象となる空間の寸法によって決まってくる共鳴周
波数等の影響が大きくなる結果、ラウドスピーカとマイ
クロフォンとの間の伝達関数に残響が現れてそのインパ
ルス応答長が例えば図12に示すように長くなる傾向が
ある。ちなみに、例えば制御空間が車両の車室であり、
その車両が一般的な中型乗用車であって、前席足元位置
にラウドスピーカを配設すれば、その配設位置からリア
ガラスまでの距離が2m前後であるから、上記共鳴周波
数は、約70〜90Hzとなる。
域から高周波帯域に至る広い周波数帯域に渡って良好な
制御音を発することができるようになると、騒音低減制
御の対象となる空間の寸法によって決まってくる共鳴周
波数等の影響が大きくなる結果、ラウドスピーカとマイ
クロフォンとの間の伝達関数に残響が現れてそのインパ
ルス応答長が例えば図12に示すように長くなる傾向が
ある。ちなみに、例えば制御空間が車両の車室であり、
その車両が一般的な中型乗用車であって、前席足元位置
にラウドスピーカを配設すれば、その配設位置からリア
ガラスまでの距離が2m前後であるから、上記共鳴周波
数は、約70〜90Hzとなる。
【0008】従って、その伝達関数をモデル化してなる
伝達関数フィルタをFIR型フィルタ(有限インパルス
応答型フィルタ)とすると、その伝達関数フィルタのフ
ィルタ長はインパルス応答長に比例することから、伝達
関数が長くなればそれだけ伝達関数フィルタのフィルタ
長が長くなり、伝達関数フィルタを構成するフィルタ係
数の個数(タップ数)が多くなってしまう。例えば、図
12の例であれば、インパルス応答長が200msecであ
るから、サンプリング・クロックを1msecとすれば、タ
ップ数は200となる。
伝達関数フィルタをFIR型フィルタ(有限インパルス
応答型フィルタ)とすると、その伝達関数フィルタのフ
ィルタ長はインパルス応答長に比例することから、伝達
関数が長くなればそれだけ伝達関数フィルタのフィルタ
長が長くなり、伝達関数フィルタを構成するフィルタ係
数の個数(タップ数)が多くなってしまう。例えば、図
12の例であれば、インパルス応答長が200msecであ
るから、サンプリング・クロックを1msecとすれば、タ
ップ数は200となる。
【0009】そして、伝達関数フィルタは、適応ディジ
タルフィルタの更新演算において基準信号を処理するフ
ィルタであり、フィルタ処理はディジタル領域では畳み
込み演算として行われるため、伝達関数フィルタのタッ
プ数増加はそのまま畳み込み演算における積算及び加算
回数の増加を招き、更新演算量が膨大となり、例えば高
速処理の可能な高価な演算プロセッサを用いなければな
らない等の必要性が生じてしまうのである。このような
不具合は、特に伝達関数フィルタの個数が多くなる複数
のラウドスピーカ及び複数のマイクロフォンを有する多
チャンネルの能動型騒音制御装置において顕著となる。
タルフィルタの更新演算において基準信号を処理するフ
ィルタであり、フィルタ処理はディジタル領域では畳み
込み演算として行われるため、伝達関数フィルタのタッ
プ数増加はそのまま畳み込み演算における積算及び加算
回数の増加を招き、更新演算量が膨大となり、例えば高
速処理の可能な高価な演算プロセッサを用いなければな
らない等の必要性が生じてしまうのである。このような
不具合は、特に伝達関数フィルタの個数が多くなる複数
のラウドスピーカ及び複数のマイクロフォンを有する多
チャンネルの能動型騒音制御装置において顕著となる。
【0010】このような不具合を解決するために、安定
なシステム同定を行うアルゴリズムである例えばSHA
RFアルゴリズム(MICHAEL G.LARIMORE,JOHN R.TREICH
LER,and C.RICHARD JOHSON,JR,“SHARF:An Algorithm f
or Adapting IIR Digital Filters ”,IEEE Trans.Acou
st.,Speech ,Signal Processing,vol.ASSP-28,pp.428-4
40,Aug.1980.)等を用いることによって、比較的タップ
数が少なくなるIIR型フィルタ(無限インパルス応答
型フィルタ)で伝達関数フィルタを構成することが考え
られるが、安定性を保証するために必要となるフィルタ
(Error Smoothing Filter)は、同定されるシステムが
既知でなければ設計できないため、未知のシステムへの
適用は困難であるという問題点を有する(東京電機大学
工学部電気通信工学科音響情報研究室発行、第13回音
響情報研究室談話会資料,“アクティブ・コントロール
のための同定アルゴリズムの考察−Pole Inversion SHA
RFAlgorithmの提案−”,平成5年3月1日に詳し
い。)。また、そのような問題点を解決し得るPI−S
HARFアルゴリズムは、適応速度を左右するパラメー
タの大きさを安定した適応が保証されるように決定する
ことが困難であるため、そのパラメータの大きさを非常
に小さく設定する必要があり、従って、充分な適応速度
が得られないという問題点を有する(同資料に詳し
い。)。
なシステム同定を行うアルゴリズムである例えばSHA
RFアルゴリズム(MICHAEL G.LARIMORE,JOHN R.TREICH
LER,and C.RICHARD JOHSON,JR,“SHARF:An Algorithm f
or Adapting IIR Digital Filters ”,IEEE Trans.Acou
st.,Speech ,Signal Processing,vol.ASSP-28,pp.428-4
40,Aug.1980.)等を用いることによって、比較的タップ
数が少なくなるIIR型フィルタ(無限インパルス応答
型フィルタ)で伝達関数フィルタを構成することが考え
られるが、安定性を保証するために必要となるフィルタ
(Error Smoothing Filter)は、同定されるシステムが
既知でなければ設計できないため、未知のシステムへの
適用は困難であるという問題点を有する(東京電機大学
工学部電気通信工学科音響情報研究室発行、第13回音
響情報研究室談話会資料,“アクティブ・コントロール
のための同定アルゴリズムの考察−Pole Inversion SHA
RFAlgorithmの提案−”,平成5年3月1日に詳し
い。)。また、そのような問題点を解決し得るPI−S
HARFアルゴリズムは、適応速度を左右するパラメー
タの大きさを安定した適応が保証されるように決定する
ことが困難であるため、そのパラメータの大きさを非常
に小さく設定する必要があり、従って、充分な適応速度
が得られないという問題点を有する(同資料に詳し
い。)。
【0011】なお、このような伝達関数のインパルス応
答長が長くなることによる演算負荷増大という不具合
は、能動型騒音制御装置に限られたものではなく、例え
ば特開平2−42228号公報に開示されるような振動
低減装置を利用して能動的に振動の低減を図る能動型振
動制御装置においても同様に生じるものである。そこで
本発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題
に着目してなされたものであって、制御音源,制御振動
源と残留騒音検出手段,残留振動検出手段間の伝達関数
のインパルス応答長が長くなっても更新演算量が膨大に
なることを避けることができる能動型騒音制御装置及び
能動型振動制御装置を提供することを目的としている。
答長が長くなることによる演算負荷増大という不具合
は、能動型騒音制御装置に限られたものではなく、例え
ば特開平2−42228号公報に開示されるような振動
低減装置を利用して能動的に振動の低減を図る能動型振
動制御装置においても同様に生じるものである。そこで
本発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題
に着目してなされたものであって、制御音源,制御振動
源と残留騒音検出手段,残留振動検出手段間の伝達関数
のインパルス応答長が長くなっても更新演算量が膨大に
なることを避けることができる能動型騒音制御装置及び
能動型振動制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、騒音源から騒音が伝達され
る空間に制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の
騒音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号
生成手段と、前記空間内の所定位置の残留騒音を検出し
残留騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記
基準信号をフィルタ処理して前記制御音源を駆動する駆
動信号を生成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフ
ィルタと、前記制御音源及び前記残留騒音検出手段間の
伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準
信号を前記伝達関数フィルタでフィルタ処理した結果と
前記残留騒音信号とに基づいて前記空間内の騒音が低減
するように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、
を備えた能動型騒音制御装置において、前記伝達関数フ
ィルタを、並列関係にある有限インパルス応答型の第1
伝達関数フィルタと無限インパルス応答型の第2伝達関
数フィルタとから構成するとともに、前記伝達関数の高
周波側の特性を前記第1伝達関数フィルタでモデル化
し、前記伝達関数の低周波側の特性を前記第2伝達関数
フィルタでモデル化したものである。
に、請求項1に係る発明は、騒音源から騒音が伝達され
る空間に制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の
騒音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号
生成手段と、前記空間内の所定位置の残留騒音を検出し
残留騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記
基準信号をフィルタ処理して前記制御音源を駆動する駆
動信号を生成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフ
ィルタと、前記制御音源及び前記残留騒音検出手段間の
伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準
信号を前記伝達関数フィルタでフィルタ処理した結果と
前記残留騒音信号とに基づいて前記空間内の騒音が低減
するように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、
を備えた能動型騒音制御装置において、前記伝達関数フ
ィルタを、並列関係にある有限インパルス応答型の第1
伝達関数フィルタと無限インパルス応答型の第2伝達関
数フィルタとから構成するとともに、前記伝達関数の高
周波側の特性を前記第1伝達関数フィルタでモデル化
し、前記伝達関数の低周波側の特性を前記第2伝達関数
フィルタでモデル化したものである。
【0013】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る発明において、前記伝達関数を有限インパルス
応答型の同定フィルタとして同定する同定手段と、前記
同定フィルタに基づいて前記第1伝達関数フィルタ及び
前記第2伝達関数フィルタを設定する伝達関数フィルタ
設定手段と、を設けたものである。そして、請求項3に
係る発明は、上記請求項2に係る発明において、前記伝
達関数フィルタ設定手段を、前記同定フィルタの各フィ
ルタ係数からなる数列をフィルタ処理しその結果を前記
第1伝達関数フィルタとして設定するハイパス・フィル
タと、このハイパス・フィルタと相互に補完関係にあり
且つ前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列を
フィルタ処理するローパス・フィルタと、このローパス
・フィルタのフィルタ処理の結果を無限インパルス応答
型のフィルタに変換しその変換結果を前記第2伝達関数
フィルタとして設定するフィルタ型式変換手段と、から
構成したものである。
1に係る発明において、前記伝達関数を有限インパルス
応答型の同定フィルタとして同定する同定手段と、前記
同定フィルタに基づいて前記第1伝達関数フィルタ及び
前記第2伝達関数フィルタを設定する伝達関数フィルタ
設定手段と、を設けたものである。そして、請求項3に
係る発明は、上記請求項2に係る発明において、前記伝
達関数フィルタ設定手段を、前記同定フィルタの各フィ
ルタ係数からなる数列をフィルタ処理しその結果を前記
第1伝達関数フィルタとして設定するハイパス・フィル
タと、このハイパス・フィルタと相互に補完関係にあり
且つ前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列を
フィルタ処理するローパス・フィルタと、このローパス
・フィルタのフィルタ処理の結果を無限インパルス応答
型のフィルタに変換しその変換結果を前記第2伝達関数
フィルタとして設定するフィルタ型式変換手段と、から
構成したものである。
【0014】さらに、請求項4に係る発明は、上記請求
項2に係る発明において、前記伝達関数フィルタ設定手
段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列
をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパス・フ
ィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理の結
果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその変換
結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフィル
タ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段によって
設定された前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答
を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定フィル
タの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上
で対応する数値を差し引いてその結果を前記第1伝達関
数フィルタとして設定する減算手段と、から構成したも
のである。
項2に係る発明において、前記伝達関数フィルタ設定手
段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列
をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパス・フ
ィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理の結
果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその変換
結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフィル
タ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段によって
設定された前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答
を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定フィル
タの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上
で対応する数値を差し引いてその結果を前記第1伝達関
数フィルタとして設定する減算手段と、から構成したも
のである。
【0015】またさらに、請求項5に係る発明は、上記
請求項2に係る発明において、前記伝達関数フィルタ設
定手段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる
数列をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパス
・フィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理
の結果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその
変換結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフ
ィルタ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段によ
って設定された前記第2伝達関数フィルタのインパルス
応答を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定フ
ィルタの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時間
軸上で対応する数値を差し引いて基準フィルタを設定す
る減算手段と、ランダム信号を生成するランダム信号生
成手段と、所定個数のフィルタ係数からなり且つそれら
フィルタ係数が可変の設定用適応フィルタと、前記ラン
ダム信号を前記基準フィルタでフィルタ処理した結果及
び前記ランダム信号を前記設定用適応フィルタでフィル
タ処理した結果が一致するように適応アルゴリズムに従
って前記設定用適応フィルタのフィルタ係数を更新しそ
の更新結果を前記第1伝達関数フィルタとして設定する
設定用適応フィルタ更新手段と、から構成したものであ
る。
請求項2に係る発明において、前記伝達関数フィルタ設
定手段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる
数列をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパス
・フィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理
の結果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその
変換結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフ
ィルタ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段によ
って設定された前記第2伝達関数フィルタのインパルス
応答を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定フ
ィルタの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時間
軸上で対応する数値を差し引いて基準フィルタを設定す
る減算手段と、ランダム信号を生成するランダム信号生
成手段と、所定個数のフィルタ係数からなり且つそれら
フィルタ係数が可変の設定用適応フィルタと、前記ラン
ダム信号を前記基準フィルタでフィルタ処理した結果及
び前記ランダム信号を前記設定用適応フィルタでフィル
タ処理した結果が一致するように適応アルゴリズムに従
って前記設定用適応フィルタのフィルタ係数を更新しそ
の更新結果を前記第1伝達関数フィルタとして設定する
設定用適応フィルタ更新手段と、から構成したものであ
る。
【0016】一方、上記目的を達成するために、請求項
6に係る発明は、振動源から発せられた振動と干渉する
制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動
発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
手段と、前記干渉した後の残留振動を検出し残留振動信
号として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号を
フィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を
生成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタ
と、前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達
関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号
を前記伝達関数フィルタでフィルタ処理した結果と前記
残留振動信号とに基づいて前記干渉後の振動が低減する
ように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフ
ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
えた能動型振動制御装置において、前記伝達関数フィル
タを、並列関係にある有限インパルス応答型の第1伝達
関数フィルタと無限インパルス応答型の第2伝達関数フ
ィルタとから構成するとともに、前記伝達関数の高周波
側の特性を前記第1伝達関数フィルタでモデル化し、前
記伝達関数の低周波側の特性を前記第2伝達関数フィル
タでモデル化したものである。
6に係る発明は、振動源から発せられた振動と干渉する
制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動
発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
手段と、前記干渉した後の残留振動を検出し残留振動信
号として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号を
フィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を
生成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタ
と、前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達
関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号
を前記伝達関数フィルタでフィルタ処理した結果と前記
残留振動信号とに基づいて前記干渉後の振動が低減する
ように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフ
ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
えた能動型振動制御装置において、前記伝達関数フィル
タを、並列関係にある有限インパルス応答型の第1伝達
関数フィルタと無限インパルス応答型の第2伝達関数フ
ィルタとから構成するとともに、前記伝達関数の高周波
側の特性を前記第1伝達関数フィルタでモデル化し、前
記伝達関数の低周波側の特性を前記第2伝達関数フィル
タでモデル化したものである。
【0017】また、請求項7に係る発明は、上記請求項
6に係る発明において、前記伝達関数を有限インパルス
応答型の同定フィルタとして同定する同定手段と、前記
同定フィルタに基づいて前記第1伝達関数フィルタ及び
前記第2伝達関数フィルタを設定する伝達関数フィルタ
設定手段と、を設けたものである。そして、請求項8に
係る発明は、上記請求項7に係る発明において、前記伝
達関数フィルタ設定手段を、前記同定フィルタの各フィ
ルタ係数からなる数列をフィルタ処理しその結果を前記
第1伝達関数フィルタとして設定するハイパス・フィル
タと、このハイパス・フィルタと相互に補完関係にあり
且つ前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列を
フィルタ処理するローパス・フィルタと、このローパス
・フィルタのフィルタ処理の結果を無限インパルス応答
型のフィルタに変換しその変換結果を前記第2伝達関数
フィルタとして設定するフィルタ型式変換手段と、から
構成したものである。
6に係る発明において、前記伝達関数を有限インパルス
応答型の同定フィルタとして同定する同定手段と、前記
同定フィルタに基づいて前記第1伝達関数フィルタ及び
前記第2伝達関数フィルタを設定する伝達関数フィルタ
設定手段と、を設けたものである。そして、請求項8に
係る発明は、上記請求項7に係る発明において、前記伝
達関数フィルタ設定手段を、前記同定フィルタの各フィ
ルタ係数からなる数列をフィルタ処理しその結果を前記
第1伝達関数フィルタとして設定するハイパス・フィル
タと、このハイパス・フィルタと相互に補完関係にあり
且つ前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列を
フィルタ処理するローパス・フィルタと、このローパス
・フィルタのフィルタ処理の結果を無限インパルス応答
型のフィルタに変換しその変換結果を前記第2伝達関数
フィルタとして設定するフィルタ型式変換手段と、から
構成したものである。
【0018】さらに、請求項9に係る発明は、上記請求
項7に係る発明において、前記伝達関数フィルタ設定手
段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列
をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパス・フ
ィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理の結
果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその変換
結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフィル
タ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段によって
設定された前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答
を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定フィル
タの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上
で対応する数値を差し引いてその結果を前記第1伝達関
数フィルタとして設定する減算手段と、から構成したも
のである。
項7に係る発明において、前記伝達関数フィルタ設定手
段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列
をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパス・フ
ィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理の結
果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその変換
結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフィル
タ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段によって
設定された前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答
を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定フィル
タの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上
で対応する数値を差し引いてその結果を前記第1伝達関
数フィルタとして設定する減算手段と、から構成したも
のである。
【0019】またさらに、請求項10に係る発明は、上
記請求項7に係る発明において、前記伝達関数フィルタ
設定手段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からな
る数列をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパ
ス・フィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処
理の結果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しそ
の変換結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定する
フィルタ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段に
よって設定された前記第2伝達関数フィルタのインパル
ス応答を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定
フィルタの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時
間軸上で対応する数値を差し引いて基準フィルタを設定
する減算手段と、ランダム信号を生成するランダム信号
生成手段と、所定個数のフィルタ係数からなり且つそれ
らフィルタ係数が可変の設定用適応フィルタと、前記ラ
ンダム信号を前記基準フィルタでフィルタ処理した結果
及び前記ランダム信号を前記設定用適応フィルタでフィ
ルタ処理した結果が一致するように適応アルゴリズムに
従って前記設定用適応フィルタのフィルタ係数を更新し
その更新結果を前記第1伝達関数フィルタとして設定す
る設定用適応フィルタ更新手段と、から構成したもので
ある。
記請求項7に係る発明において、前記伝達関数フィルタ
設定手段を、前記同定フィルタの各フィルタ係数からな
る数列をフィルタ処理して低周波成分を抽出するローパ
ス・フィルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処
理の結果を無限インパルス応答型のフィルタに変換しそ
の変換結果を前記第2伝達関数フィルタとして設定する
フィルタ型式変換手段と、このフィルタ型式変換手段に
よって設定された前記第2伝達関数フィルタのインパル
ス応答を演算するインパルス応答演算手段と、前記同定
フィルタの各フィルタ係数から前記インパルス応答の時
間軸上で対応する数値を差し引いて基準フィルタを設定
する減算手段と、ランダム信号を生成するランダム信号
生成手段と、所定個数のフィルタ係数からなり且つそれ
らフィルタ係数が可変の設定用適応フィルタと、前記ラ
ンダム信号を前記基準フィルタでフィルタ処理した結果
及び前記ランダム信号を前記設定用適応フィルタでフィ
ルタ処理した結果が一致するように適応アルゴリズムに
従って前記設定用適応フィルタのフィルタ係数を更新し
その更新結果を前記第1伝達関数フィルタとして設定す
る設定用適応フィルタ更新手段と、から構成したもので
ある。
【0020】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、基準信号生成
手段が生成した基準信号は、第1伝達関数フィルタ及び
第2伝達関数フィルタの両方でフィルタ処理され、それ
らフィルタ処理の結果が適応処理手段に供給され、適応
処理手段は、それらフィルタ処理された結果と残留騒音
信号とに基づいて適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を適応アルゴリズムに従って逐次更新する。
手段が生成した基準信号は、第1伝達関数フィルタ及び
第2伝達関数フィルタの両方でフィルタ処理され、それ
らフィルタ処理の結果が適応処理手段に供給され、適応
処理手段は、それらフィルタ処理された結果と残留騒音
信号とに基づいて適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を適応アルゴリズムに従って逐次更新する。
【0021】よって、適応ディジタルフィルタの各フィ
ルタ係数は、空間内の騒音を低減し得る最適値に向かっ
て収束していくため、その更新がある程度進んだ後は、
制御音源から発せられる制御音によって空間内の騒音が
打ち消され、空間内の騒音レベルが低減するようにな
る。ここで、伝達関数のインパルス応答の一例である図
12に示すように、その応答レベルは時間の経過ととも
に減衰するのであるが、残響の影響によりインパルス応
答長が長くなってしまっている。しかし、伝達関数のイ
ンパルス応答長を長くしている原因について考察したと
ころ(図12の残響部分の波形からもある程度推定でき
るが)、全ての周波数帯域がその原因となっているので
はなく、比較的低い周波数帯域の成分に原因があること
が判った。
ルタ係数は、空間内の騒音を低減し得る最適値に向かっ
て収束していくため、その更新がある程度進んだ後は、
制御音源から発せられる制御音によって空間内の騒音が
打ち消され、空間内の騒音レベルが低減するようにな
る。ここで、伝達関数のインパルス応答の一例である図
12に示すように、その応答レベルは時間の経過ととも
に減衰するのであるが、残響の影響によりインパルス応
答長が長くなってしまっている。しかし、伝達関数のイ
ンパルス応答長を長くしている原因について考察したと
ころ(図12の残響部分の波形からもある程度推定でき
るが)、全ての周波数帯域がその原因となっているので
はなく、比較的低い周波数帯域の成分に原因があること
が判った。
【0022】そこで、この請求項1に係る発明のよう
に、安定した制御が可能な有限インパルス応答型フィル
タ(以下、FIR型フィルタと称す。)で伝達関数の高
周波側の特性を実現し、タップ数が比較的少なくて済む
無限インパルス応答型フィルタ(以下、IIR型フィル
タと称す。)で伝達関数の低周波側の特性を実現した構
成であると、制御の不安定化を招くことなく、伝達関数
フィルタにおける基準信号のフィルタ処理に必要な演算
量が、伝達関数の全ての周波数帯域の特性をFIR型フ
ィルタで実現した場合に比べて少なくなるのである。
に、安定した制御が可能な有限インパルス応答型フィル
タ(以下、FIR型フィルタと称す。)で伝達関数の高
周波側の特性を実現し、タップ数が比較的少なくて済む
無限インパルス応答型フィルタ(以下、IIR型フィル
タと称す。)で伝達関数の低周波側の特性を実現した構
成であると、制御の不安定化を招くことなく、伝達関数
フィルタにおける基準信号のフィルタ処理に必要な演算
量が、伝達関数の全ての周波数帯域の特性をFIR型フ
ィルタで実現した場合に比べて少なくなるのである。
【0023】これを具体的に説明する。即ち、FIR型
フィルタである第1伝達関数フィルタは、インパルス応
答長の短い高周波側の特性をモデル化しているため、そ
のタップ数は少なくなり、基準信号との畳み込み演算の
際の積算・加算の回数が少なくなるのである。これに対
し、IIR型フィルタである第2伝達関数フィルタは、
インパルス応答長の長い低周波側の特性をモデル化して
いるが、IIR型フィルタのタップ数は、モデル化する
周波数帯域内のモードの数に比例しているため、例えば
モード数を1或いは2程度としておけばタップ数は非常
に少なくなり、基準信号との畳み込み演算の際の積算・
加算の回数が少なくなるのである。そして、含まれる音
響モードの数が決まってしまえば、IIR型フィルタで
あっても特に不安定になることはないから、制御の不安
定化を招くこともないのである。
フィルタである第1伝達関数フィルタは、インパルス応
答長の短い高周波側の特性をモデル化しているため、そ
のタップ数は少なくなり、基準信号との畳み込み演算の
際の積算・加算の回数が少なくなるのである。これに対
し、IIR型フィルタである第2伝達関数フィルタは、
インパルス応答長の長い低周波側の特性をモデル化して
いるが、IIR型フィルタのタップ数は、モデル化する
周波数帯域内のモードの数に比例しているため、例えば
モード数を1或いは2程度としておけばタップ数は非常
に少なくなり、基準信号との畳み込み演算の際の積算・
加算の回数が少なくなるのである。そして、含まれる音
響モードの数が決まってしまえば、IIR型フィルタで
あっても特に不安定になることはないから、制御の不安
定化を招くこともないのである。
【0024】以上から、高周波/低周波の境界は、高周
波側にインパルス応答長を長くしている周波数帯域が含
まれることなく、しかも低周波側の周波数帯域内の音響
モードの数が比較的小さい所定数となるように設定すれ
ばよい。例えば、上述した車両の例であれば、最も低い
共鳴周波数が70〜90Hz程度であり、その共鳴周波
数の影響を受けて伝達関数のインパルス応答長が長くな
っているのであるから、高周波/低周波の境界を100
Hz程度に設定すればよい。
波側にインパルス応答長を長くしている周波数帯域が含
まれることなく、しかも低周波側の周波数帯域内の音響
モードの数が比較的小さい所定数となるように設定すれ
ばよい。例えば、上述した車両の例であれば、最も低い
共鳴周波数が70〜90Hz程度であり、その共鳴周波
数の影響を受けて伝達関数のインパルス応答長が長くな
っているのであるから、高周波/低周波の境界を100
Hz程度に設定すればよい。
【0025】なお、伝達関数のインパルス応答長を長く
している原因が多数の音響モードにある場合には、それ
ら多数の音響モードを適宜グループ分けしてそれらグル
ープ毎に或いは個々の音響モード毎に、第2伝達関数フ
ィルタを設けて、それら第2伝達関数同士を相互に並列
関係としてもよい。また、請求項2に係る発明にあって
は、同定手段が制御音源及び残留騒音検出手段間の伝達
関数をFIR型の同定フィルタとして同定すると、伝達
関数フィルタ設定手段が、その同定フィルタを適宜加工
することにより、第1伝達関数フィルタ及び第2伝達関
数フィルタを設定するため、例えば空間内の温度変化や
制御音源,残留騒音検出手段の劣化等によって伝達関数
に変化が生じても、第1伝達関数フィルタ及び第2伝達
関数フィルタの精度が劣化してしまうことが防止され
る。
している原因が多数の音響モードにある場合には、それ
ら多数の音響モードを適宜グループ分けしてそれらグル
ープ毎に或いは個々の音響モード毎に、第2伝達関数フ
ィルタを設けて、それら第2伝達関数同士を相互に並列
関係としてもよい。また、請求項2に係る発明にあって
は、同定手段が制御音源及び残留騒音検出手段間の伝達
関数をFIR型の同定フィルタとして同定すると、伝達
関数フィルタ設定手段が、その同定フィルタを適宜加工
することにより、第1伝達関数フィルタ及び第2伝達関
数フィルタを設定するため、例えば空間内の温度変化や
制御音源,残留騒音検出手段の劣化等によって伝達関数
に変化が生じても、第1伝達関数フィルタ及び第2伝達
関数フィルタの精度が劣化してしまうことが防止され
る。
【0026】ここで、請求項3〜請求項5に係る発明
は、いずれも請求項2に係る発明における伝達関数フィ
ルタ設定手段の構成をより具体的にした発明であり、こ
れら発明に求められる作用は、第1伝達関数フィルタ及
び第2伝達関数フィルタを正確に設定することにある。
先ず、請求項3に係る発明にあっては、同定手段が同定
した同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列がハイ
パス・フィルタによってフィルタ処理されるが、そのフ
ィルタ処理は、伝達関数の全周波数帯域の特性を表す同
定フィルタの高周波側の特性を抽出することに他ならな
いし、第1伝達関数フィルタは、実時間におけるインパ
ルス応答波形を所定サンプリング・クロックの間隔でサ
ンプリングした数列であるFIR型フィルタであるか
ら、そのハイパス・フィルタのフィルタ処理の結果が、
そのまま第1伝達関数フィルタとなる。
は、いずれも請求項2に係る発明における伝達関数フィ
ルタ設定手段の構成をより具体的にした発明であり、こ
れら発明に求められる作用は、第1伝達関数フィルタ及
び第2伝達関数フィルタを正確に設定することにある。
先ず、請求項3に係る発明にあっては、同定手段が同定
した同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列がハイ
パス・フィルタによってフィルタ処理されるが、そのフ
ィルタ処理は、伝達関数の全周波数帯域の特性を表す同
定フィルタの高周波側の特性を抽出することに他ならな
いし、第1伝達関数フィルタは、実時間におけるインパ
ルス応答波形を所定サンプリング・クロックの間隔でサ
ンプリングした数列であるFIR型フィルタであるか
ら、そのハイパス・フィルタのフィルタ処理の結果が、
そのまま第1伝達関数フィルタとなる。
【0027】また、同定フィルタの各フィルタ係数から
なる数列は、そのハイパス・フィルタと相互に補完関係
にあるローパス・フィルタによってフィルタ処理される
が、ここでは同定フィルタの低周波側の特性が抽出され
る。そして、その抽出された低周波側の特性を表す数列
がフィルタ型式変換手段によってIIR型フィルタに変
換されるから、その変換後のIIR型フィルタがそのま
ま第2伝達関数フィルタとなる。
なる数列は、そのハイパス・フィルタと相互に補完関係
にあるローパス・フィルタによってフィルタ処理される
が、ここでは同定フィルタの低周波側の特性が抽出され
る。そして、その抽出された低周波側の特性を表す数列
がフィルタ型式変換手段によってIIR型フィルタに変
換されるから、その変換後のIIR型フィルタがそのま
ま第2伝達関数フィルタとなる。
【0028】なお、ここで「相互に補完関係にある」と
は、それらハイパス・フィルタのインパルス応答とロー
パス・フィルタのインパルス応答を合成すると単純遅延
となるフィルタの関係をいう。換言すれば、ハイパス・
フィルタの周波数特性とローパス・フィルタの周波数特
性とを合成すると全ての周波数成分のパワーが等しくな
る所謂フラットな関係にある場合をいう。
は、それらハイパス・フィルタのインパルス応答とロー
パス・フィルタのインパルス応答を合成すると単純遅延
となるフィルタの関係をいう。換言すれば、ハイパス・
フィルタの周波数特性とローパス・フィルタの周波数特
性とを合成すると全ての周波数成分のパワーが等しくな
る所謂フラットな関係にある場合をいう。
【0029】従って、この請求項3に係る発明であれ
ば、同定フィルタに含まれる伝達関数の全周波数帯域に
渡る特性は、第1伝達関数フィルタ又は第2伝達関数フ
ィルタのいずれかに含まれることになる。一方、請求項
4に係る発明にあっては、同定フィルタの各フィルタ係
数からなる数列がローパス・フィルタによってフィルタ
処理されるから、同定フィルタの低周波側の特性が抽出
され、その抽出された低周波側の特性を表す数列がフィ
ルタ型式変換手段によってIIR型フィルタに変換さ
れ、その変換後のIIR型フィルタが第2伝達関数フィ
ルタとして設定される。
ば、同定フィルタに含まれる伝達関数の全周波数帯域に
渡る特性は、第1伝達関数フィルタ又は第2伝達関数フ
ィルタのいずれかに含まれることになる。一方、請求項
4に係る発明にあっては、同定フィルタの各フィルタ係
数からなる数列がローパス・フィルタによってフィルタ
処理されるから、同定フィルタの低周波側の特性が抽出
され、その抽出された低周波側の特性を表す数列がフィ
ルタ型式変換手段によってIIR型フィルタに変換さ
れ、その変換後のIIR型フィルタが第2伝達関数フィ
ルタとして設定される。
【0030】そして、その設定された第2伝達関数フィ
ルタのインパルス応答がインパルス応答演算手段によっ
て演算されるが、時間軸上での応答波形を表すインパル
ス応答は、そのままFIR型フィルタとなるから、その
インパルス応答は、第2伝達関数フィルタをFIR型フ
ィルタに変換した結果を表すことになる。そこで、減算
手段が、同定フィルタの各フィルタ係数から、そのイン
パルス応答の時間軸上で対応する数値を差し引くと、残
るのは同定フィルタの高周波成分であるから、その減算
結果がそのまま第1伝達関数フィルタとなる。
ルタのインパルス応答がインパルス応答演算手段によっ
て演算されるが、時間軸上での応答波形を表すインパル
ス応答は、そのままFIR型フィルタとなるから、その
インパルス応答は、第2伝達関数フィルタをFIR型フ
ィルタに変換した結果を表すことになる。そこで、減算
手段が、同定フィルタの各フィルタ係数から、そのイン
パルス応答の時間軸上で対応する数値を差し引くと、残
るのは同定フィルタの高周波成分であるから、その減算
結果がそのまま第1伝達関数フィルタとなる。
【0031】なお、ローパス・フィルタによって抽出さ
れた同定フィルタの低周波成分を元の同定フィルタから
差し引いて第1伝達関数フィルタとすることなく、その
低周波成分を一旦IIR型フィルタに変換して第2伝達
関数フィルタとし、その第2伝達関数フィルタのインパ
ルス応答を同定フィルタから差し引いて第1伝達関数フ
ィルタを設定するようにしているのは、同定フィルタに
含まれる伝達関数の全周波数成分を、確実に、第1伝達
関数フィルタ又は第2伝達関数フィルタのいずれかに含
ませるためである。
れた同定フィルタの低周波成分を元の同定フィルタから
差し引いて第1伝達関数フィルタとすることなく、その
低周波成分を一旦IIR型フィルタに変換して第2伝達
関数フィルタとし、その第2伝達関数フィルタのインパ
ルス応答を同定フィルタから差し引いて第1伝達関数フ
ィルタを設定するようにしているのは、同定フィルタに
含まれる伝達関数の全周波数成分を、確実に、第1伝達
関数フィルタ又は第2伝達関数フィルタのいずれかに含
ませるためである。
【0032】即ち、前者の方法では、FIR型フィルタ
からIIR型フィルタにフィルタ型式を変換する際等に
変換仕切れなかった成分や混入してしまったノイズ成分
等の影響を除去することができないのに対し、この請求
項3に係る発明であれば、最終的に第2伝達関数フィル
タとして設定されたもののインパルス応答を求めて、そ
のインパルス応答を用いて第1伝達関数フィルタを設定
するため、仮にフィルタ型式を変換する際等に正確な変
換が行われなかった場合や不要な成分が混入してしまっ
た場合であっても、それをキャンセルするように第1伝
達関数フィルタが設定されるから、第1伝達関数フィル
タ及び第2伝達関数フィルタを足し合わせた特性が正確
に最初の同定フィルタを表すようになるのである。
からIIR型フィルタにフィルタ型式を変換する際等に
変換仕切れなかった成分や混入してしまったノイズ成分
等の影響を除去することができないのに対し、この請求
項3に係る発明であれば、最終的に第2伝達関数フィル
タとして設定されたもののインパルス応答を求めて、そ
のインパルス応答を用いて第1伝達関数フィルタを設定
するため、仮にフィルタ型式を変換する際等に正確な変
換が行われなかった場合や不要な成分が混入してしまっ
た場合であっても、それをキャンセルするように第1伝
達関数フィルタが設定されるから、第1伝達関数フィル
タ及び第2伝達関数フィルタを足し合わせた特性が正確
に最初の同定フィルタを表すようになるのである。
【0033】さらに、請求項5に係る発明にあっては、
同定フィルタから第2伝達関数フィルタのインパルス応
答を差し引くというところまでは上記請求項4に係る発
明と同様であるが、減算手段の減算結果がそのまま第1
伝達関数フィルタとなるのではなく、その減算結果は基
準フィルタとなる。そして、ランダム信号生成手段によ
ってランダム信号が生成され、そのランダム信号が基準
フィルタでフィルタ処理される一方、そのランダム信号
は設定用適応フィルタによってもフィルタ処理され、さ
らに、設定用適応フィルタ更新手段によって、それらフ
ィルタ処理の結果が一致するように適応アルゴリズムに
従って設定用適応フィルタの各フィルタ係数が逐次更新
される。
同定フィルタから第2伝達関数フィルタのインパルス応
答を差し引くというところまでは上記請求項4に係る発
明と同様であるが、減算手段の減算結果がそのまま第1
伝達関数フィルタとなるのではなく、その減算結果は基
準フィルタとなる。そして、ランダム信号生成手段によ
ってランダム信号が生成され、そのランダム信号が基準
フィルタでフィルタ処理される一方、そのランダム信号
は設定用適応フィルタによってもフィルタ処理され、さ
らに、設定用適応フィルタ更新手段によって、それらフ
ィルタ処理の結果が一致するように適応アルゴリズムに
従って設定用適応フィルタの各フィルタ係数が逐次更新
される。
【0034】従って、ある程度更新が行われた後は、そ
の設定用適応フィルタは、基準フィルタの特性を転写し
たフィルタとなる。そして、設定用適応フィルタは、そ
のフィルタ係数の個数を所定個数としているため、伝達
関数のインパルス応答長を長くしている周波数成分の全
てを第2伝達関数フィルタで表現仕切れなかったこと等
により減算手段によって求められた基準フィルタのタッ
プ数が若干大きくなってしまった場合でも、最終的に得
られる第1伝達関数フィルタのタップ数は所定個数に抑
えられるから、確実に基準信号との畳み込み演算の際の
積算・加算の回数が少なくなる。
の設定用適応フィルタは、基準フィルタの特性を転写し
たフィルタとなる。そして、設定用適応フィルタは、そ
のフィルタ係数の個数を所定個数としているため、伝達
関数のインパルス応答長を長くしている周波数成分の全
てを第2伝達関数フィルタで表現仕切れなかったこと等
により減算手段によって求められた基準フィルタのタッ
プ数が若干大きくなってしまった場合でも、最終的に得
られる第1伝達関数フィルタのタップ数は所定個数に抑
えられるから、確実に基準信号との畳み込み演算の際の
積算・加算の回数が少なくなる。
【0035】ここで、上記請求項1乃至請求項5に係る
発明はいずれも騒音を対象としているのに対し請求項6
乃至請求項10に係る発明は振動を対象としている。従
って、それら請求項6乃至請求項10に係る発明の作用
は、音と振動との違いはあるがこれらは波動と考えれば
同質であるから、実質的に上記請求項1乃至請求項5に
係る発明と同様である。
発明はいずれも騒音を対象としているのに対し請求項6
乃至請求項10に係る発明は振動を対象としている。従
って、それら請求項6乃至請求項10に係る発明の作用
は、音と振動との違いはあるがこれらは波動と考えれば
同質であるから、実質的に上記請求項1乃至請求項5に
係る発明と同様である。
【0036】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1及び図2は本発明の第1実施例の構成を示
す図であり、これは、本発明に係る能動型騒音制御装置
を、車両2の車室3内の騒音の低減を図る車両用能動型
騒音制御装置1に適用したものである。
明する。図1及び図2は本発明の第1実施例の構成を示
す図であり、これは、本発明に係る能動型騒音制御装置
を、車両2の車室3内の騒音の低減を図る車両用能動型
騒音制御装置1に適用したものである。
【0037】先ず、構成を説明すると、図1に示すよう
に、この車両用能動型騒音制御装置1は、騒音源として
のエンジン4から、空間としての車室3内に伝達される
騒音としてのこもり音の低減を図る装置であって、エン
ジン4には、エンジン4のクランク軸の回転に同期した
パルス信号であるクランク角信号CPを出力するクラン
ク角センサ5が取り付けられている。
に、この車両用能動型騒音制御装置1は、騒音源として
のエンジン4から、空間としての車室3内に伝達される
騒音としてのこもり音の低減を図る装置であって、エン
ジン4には、エンジン4のクランク軸の回転に同期した
パルス信号であるクランク角信号CPを出力するクラン
ク角センサ5が取り付けられている。
【0038】一方、車室3内には、車室3内に残留する
騒音の音圧を測定する残留騒音検出手段としての複数L
個(図1には二つのみ示す)のマイクロフォン8a,8
bと、車室3内に制御音を発生する制御音源としての複
数M個(図1には一つのみ示す)のラウドスピーカ9と
が配設されている。これらのうち、各マイクロフォン8
a,8bは、なるべく乗員耳位置の近傍となるように配
設し、また、ラウドスピーカ9は、低周波側の出力特性
が可能な限り良好となるように、前席足元位置にリアガ
ラスに向けて制御音を発するように配設する。
騒音の音圧を測定する残留騒音検出手段としての複数L
個(図1には二つのみ示す)のマイクロフォン8a,8
bと、車室3内に制御音を発生する制御音源としての複
数M個(図1には一つのみ示す)のラウドスピーカ9と
が配設されている。これらのうち、各マイクロフォン8
a,8bは、なるべく乗員耳位置の近傍となるように配
設し、また、ラウドスピーカ9は、低周波側の出力特性
が可能な限り良好となるように、前席足元位置にリアガ
ラスに向けて制御音を発するように配設する。
【0039】そして、クランク角センサ5から出力され
たクランク角信号CP及びL個のマイクロフォン8a,
8bから出力されたL個の残留騒音信号el (l=1,
2,…,L)が、マイクロコンピュータ等から構成され
る能動制御手段としてのコントローラ10に供給される
ようになっている。コントローラ10は、供給される各
信号CP,el に基づいて所定の演算処理を実行し、エ
ンジン4から車室3内に伝達されるこもり音が打ち消さ
れるような制御音がラウドスピーカ9から発せられるよ
うに、ラウドスピーカ9に駆動信号ym (m=1,2,
…,M)を供給するようになっている。
たクランク角信号CP及びL個のマイクロフォン8a,
8bから出力されたL個の残留騒音信号el (l=1,
2,…,L)が、マイクロコンピュータ等から構成され
る能動制御手段としてのコントローラ10に供給される
ようになっている。コントローラ10は、供給される各
信号CP,el に基づいて所定の演算処理を実行し、エ
ンジン4から車室3内に伝達されるこもり音が打ち消さ
れるような制御音がラウドスピーカ9から発せられるよ
うに、ラウドスピーカ9に駆動信号ym (m=1,2,
…,M)を供給するようになっている。
【0040】コントローラ10は、その機能構成をブロ
ック図で表した図2に示すように、クランク角センサ5
から供給されるクランク角信号CPと同じ周期の正弦波
状の信号でなる基準信号xを生成する基準信号生成部1
1と、各ラウドスピーカ9毎に設けられ且つ基準信号x
をフィルタ処理することにより(具体的には、畳み込み
積分することにより)駆動信号ym を生成するフィルタ
係数可変の適応ディジタルフィルタWm と、この適応デ
ィジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmi(i=0,
1,2,…,I−1:Iは適応ディジタルフィルタWm
のタップ数)を後述する適応アルゴリズムとしてのFi
ltered−X LMSアルゴリズムに従って更新す
るフィルタ係数更新部12と、を有している。
ック図で表した図2に示すように、クランク角センサ5
から供給されるクランク角信号CPと同じ周期の正弦波
状の信号でなる基準信号xを生成する基準信号生成部1
1と、各ラウドスピーカ9毎に設けられ且つ基準信号x
をフィルタ処理することにより(具体的には、畳み込み
積分することにより)駆動信号ym を生成するフィルタ
係数可変の適応ディジタルフィルタWm と、この適応デ
ィジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmi(i=0,
1,2,…,I−1:Iは適応ディジタルフィルタWm
のタップ数)を後述する適応アルゴリズムとしてのFi
ltered−X LMSアルゴリズムに従って更新す
るフィルタ係数更新部12と、を有している。
【0041】また、コントローラ10は、基準信号xが
入力される伝達関数フィルタC^lm(l=1,2,…,
L、m=1,2,…,M)を有していて、基準信号xを
伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した処理信号rlm
と、各マイクロフォン8a,8bから供給される残留騒
音信号el とが、フィルタ係数更新部12に供給される
ようになっている。
入力される伝達関数フィルタC^lm(l=1,2,…,
L、m=1,2,…,M)を有していて、基準信号xを
伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した処理信号rlm
と、各マイクロフォン8a,8bから供給される残留騒
音信号el とが、フィルタ係数更新部12に供給される
ようになっている。
【0042】ここで、伝達関数フィルタC^lmは、具体
的には図3に示すように、基準信号xが入力される第1
伝達関数フィルタC^FIR.lmと、この第1伝達関数フィ
ルタC^FIR.lmと並列関係にあって同様に基準信号xが
入力される第2伝達関数フィルタC^IIR.lmと、これら
第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィ
ルタC^IIR.lmの出力rFIR.lm及びrIIR.lmを加算する
加算部13と、から構成されていて、その加算部13の
出力が処理信号rlmとして図2のフィルタ係数更新部1
2に供給されるようになっている。
的には図3に示すように、基準信号xが入力される第1
伝達関数フィルタC^FIR.lmと、この第1伝達関数フィ
ルタC^FIR.lmと並列関係にあって同様に基準信号xが
入力される第2伝達関数フィルタC^IIR.lmと、これら
第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィ
ルタC^IIR.lmの出力rFIR.lm及びrIIR.lmを加算する
加算部13と、から構成されていて、その加算部13の
出力が処理信号rlmとして図2のフィルタ係数更新部1
2に供給されるようになっている。
【0043】そして、第1伝達関数フィルタC^FIR.lm
は、有限インパルス応答型のディジタルフィルタであ
り、第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、無限インパル
ス応答型のディジタルフィルタである。即ち、フィルタ
係数更新部12においてFiltered−X LMS
アルゴリズムを実行するためには、伝達関数フィルタC
^lm全体としての特性は、各ラウドスピーカ9及び各マ
イクロフォン8a,8b間の伝達関数Clmをモデル化し
たものであることが必要であるが、本実施例では、その
伝達関数フィルタC^lmを図3に示すように互いに並列
関係にある第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び第2伝
達関数フィルタC^IIR.lmから構成しており、しかも、
伝達関数Clmの高周波側の特性を第1伝達関数フィルタ
C^FIR.lmにモデル化し、伝達関数Clmの低周波側の特
性を第2伝達関数フィルタC^IIR.lmにモデル化してい
る。
は、有限インパルス応答型のディジタルフィルタであ
り、第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、無限インパル
ス応答型のディジタルフィルタである。即ち、フィルタ
係数更新部12においてFiltered−X LMS
アルゴリズムを実行するためには、伝達関数フィルタC
^lm全体としての特性は、各ラウドスピーカ9及び各マ
イクロフォン8a,8b間の伝達関数Clmをモデル化し
たものであることが必要であるが、本実施例では、その
伝達関数フィルタC^lmを図3に示すように互いに並列
関係にある第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び第2伝
達関数フィルタC^IIR.lmから構成しており、しかも、
伝達関数Clmの高周波側の特性を第1伝達関数フィルタ
C^FIR.lmにモデル化し、伝達関数Clmの低周波側の特
性を第2伝達関数フィルタC^IIR.lmにモデル化してい
る。
【0044】なお、高周波/低周波の境界は、本実施例
では、100Hzとしている。これは、本実施例のよう
な一般的な乗用車にあっては、ラウドスピーカ9の配設
位置からリアガラスまでの距離が2m前後であり、最も
低周波の音響モードが70〜90Hz程度にあるからで
ある。従って、伝達関数Clmの低周波側の特性をモデル
化している第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、1〜2
個程度の音響モードを表現できればよいことになる。
では、100Hzとしている。これは、本実施例のよう
な一般的な乗用車にあっては、ラウドスピーカ9の配設
位置からリアガラスまでの距離が2m前後であり、最も
低周波の音響モードが70〜90Hz程度にあるからで
ある。従って、伝達関数Clmの低周波側の特性をモデル
化している第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、1〜2
個程度の音響モードを表現できればよいことになる。
【0045】また、第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及
び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの設定手順は、特に
限定されるものではないが、例えば、直線位相特性のF
IR型フィルタとして、相互に補完関係にあり且つカッ
トオフ周波数を100Hzとしたハイパス・フィルタ及
びローパス・フィルタを用意しておき、LMSアルゴリ
ズム等を適用して各ラウドスピーカ9及びマイクロフォ
ン8a,8b間の伝達関数Clmを有限インパルス応答型
のディジタルフィルタとしてモデル化し、そのモデル化
されたディジタルフィルタを構成する各フィルタ係数か
らなる数列を、上記ハイパス・フィルタでフィルタ処理
し、そのフィルタ処理の結果をそのまま第1伝達関数フ
ィルタC^FIR.lmとする一方、そのモデル化されたディ
ジタルフィルタを構成する各フィルタ係数からなる数列
を、上記ローパス・フィルタでフィルタ処理し、そのフ
ィルタ処理の結果得られた数列を有限インパルス応答型
フィルタと考えてこれを無限インパルス応答型のフィル
タに変換し、その変換結果を第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmとする方法が考えられる。なお、有限インパルス
応答型フィルタを無限インパルス応答型フィルタに変換
する方法も、特に限定されるものではなく、例えば、
「JAACE '87 −5 第31回システムと制御研究
発表講演会論文集」の33〜34頁に記載されているよ
うな方法が適用可能である。
び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの設定手順は、特に
限定されるものではないが、例えば、直線位相特性のF
IR型フィルタとして、相互に補完関係にあり且つカッ
トオフ周波数を100Hzとしたハイパス・フィルタ及
びローパス・フィルタを用意しておき、LMSアルゴリ
ズム等を適用して各ラウドスピーカ9及びマイクロフォ
ン8a,8b間の伝達関数Clmを有限インパルス応答型
のディジタルフィルタとしてモデル化し、そのモデル化
されたディジタルフィルタを構成する各フィルタ係数か
らなる数列を、上記ハイパス・フィルタでフィルタ処理
し、そのフィルタ処理の結果をそのまま第1伝達関数フ
ィルタC^FIR.lmとする一方、そのモデル化されたディ
ジタルフィルタを構成する各フィルタ係数からなる数列
を、上記ローパス・フィルタでフィルタ処理し、そのフ
ィルタ処理の結果得られた数列を有限インパルス応答型
フィルタと考えてこれを無限インパルス応答型のフィル
タに変換し、その変換結果を第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmとする方法が考えられる。なお、有限インパルス
応答型フィルタを無限インパルス応答型フィルタに変換
する方法も、特に限定されるものではなく、例えば、
「JAACE '87 −5 第31回システムと制御研究
発表講演会論文集」の33〜34頁に記載されているよ
うな方法が適用可能である。
【0046】図2に戻って、フィルタ係数更新部12
は、伝達関数フィルタC^lmから供給される処理信号r
lmと、各マイクロフォン8a,8bから供給される残留
騒音信号el とに基づき、Filtered−X LM
Sアルゴリズムに従って適応ディジタルフィルタWm の
フィルタ係数Wmiを更新するようになっている。つま
り、処理信号rlmをFiltered−X信号、残留騒
音信号el をエラー信号としたFiltered−X
LMSアルゴリズムが実行されるのであり、従って適応
ディジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの更新式は
具体的には下記の(1)式のようになる。
は、伝達関数フィルタC^lmから供給される処理信号r
lmと、各マイクロフォン8a,8bから供給される残留
騒音信号el とに基づき、Filtered−X LM
Sアルゴリズムに従って適応ディジタルフィルタWm の
フィルタ係数Wmiを更新するようになっている。つま
り、処理信号rlmをFiltered−X信号、残留騒
音信号el をエラー信号としたFiltered−X
LMSアルゴリズムが実行されるのであり、従って適応
ディジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの更新式は
具体的には下記の(1)式のようになる。
【0047】 なお、αは収束係数と呼ばれる係数であって、適応ディ
ジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの収束の速度及
び安定性に関与する係数であり、(n)が付く項はいず
れも離散時刻nにおける値であることを表している。
ジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの収束の速度及
び安定性に関与する係数であり、(n)が付く項はいず
れも離散時刻nにおける値であることを表している。
【0048】また、処理信号rlmは、基準信号xを伝達
関数フィルタC^lmでフィルタ処理した値であるが、本
実施例では、伝達関数フィルタC^lmを図3に示すよう
な構成としているため、処理信号rlmは、下記の(2)
式のように表される。 なお、「*」は畳み込み積分を意味し、C^FIR.lmh は
第1伝達関数フィルタC^FIR.lmのh番目のフィルタ係
数、bj は第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの非巡回部
分のj番目のフィルタ係数、ak は第2伝達関数フィル
タC^IIR.lmの巡回部分のk番目のフィルタ係数、Hは
第1伝達関数フィルタC^FIR.lmのタップ数、Jは第2
伝達関数フィルタC^IIR.lmの非巡回部分のタップ数、
Kは第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの巡回部分のタッ
プ数である。
関数フィルタC^lmでフィルタ処理した値であるが、本
実施例では、伝達関数フィルタC^lmを図3に示すよう
な構成としているため、処理信号rlmは、下記の(2)
式のように表される。 なお、「*」は畳み込み積分を意味し、C^FIR.lmh は
第1伝達関数フィルタC^FIR.lmのh番目のフィルタ係
数、bj は第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの非巡回部
分のj番目のフィルタ係数、ak は第2伝達関数フィル
タC^IIR.lmの巡回部分のk番目のフィルタ係数、Hは
第1伝達関数フィルタC^FIR.lmのタップ数、Jは第2
伝達関数フィルタC^IIR.lmの非巡回部分のタップ数、
Kは第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの巡回部分のタッ
プ数である。
【0049】図4はコントローラ10内で実行される処
理の概要を示すフローチャートであり、以下、図4に従
って本実施例の具体的な動作を説明する。即ち、図4に
示す処理は所定のサンプリング・クロックに同期して実
行されるようになっていて、先ず、そのステップ101
において、クランク角信号CPの入力タイミングに基づ
いて現在の離散時刻nにおける基準信号x(n)を生成
する。
理の概要を示すフローチャートであり、以下、図4に従
って本実施例の具体的な動作を説明する。即ち、図4に
示す処理は所定のサンプリング・クロックに同期して実
行されるようになっていて、先ず、そのステップ101
において、クランク角信号CPの入力タイミングに基づ
いて現在の離散時刻nにおける基準信号x(n)を生成
する。
【0050】次いで、ステップ102に移行し、図4の
処理が実行されるたびに次々と生成される基準信号x
(n)と適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係数
Wmiとを畳み込んで、駆動信号ym を生成し、そして、
ステップ103に移行し、この駆動信号ym を対応する
ラウドスピーカ9に出力する。駆動信号ym を出力した
ら、ステップ104に移行し、各マイクロフォン8a,
8bから供給されている残留騒音信号el を読み込み、
これを現時点nにおける残留騒音信号el (n)として
記憶する。
処理が実行されるたびに次々と生成される基準信号x
(n)と適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係数
Wmiとを畳み込んで、駆動信号ym を生成し、そして、
ステップ103に移行し、この駆動信号ym を対応する
ラウドスピーカ9に出力する。駆動信号ym を出力した
ら、ステップ104に移行し、各マイクロフォン8a,
8bから供給されている残留騒音信号el を読み込み、
これを現時点nにおける残留騒音信号el (n)として
記憶する。
【0051】次いで、ステップ105に移行し、基準信
号x(n)を第1伝達関数フィルタC^FIR.lmでフィル
タ処理して(具体的には、基準信号x(n)と、第1伝
達関数フィルタC^FIR.lmの各フィルタ係数C^
FIR.lmh とを畳み込んで)処理信号rFIR.lmを演算し、
次いで、ステップ106に移行し、今度は基準信号x
(n)を第2伝達関数フィルタC^IIR.lmでフィルタ処
理して(具体的には、基準信号x(n)及び過去の処理
信号rIIR.lmと、第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの各
フィルタ係数bj ,aj とを畳み込んで)処理信号r
IIR.lmを演算し、そして、ステップ107に移行し、そ
れら処理信号rFIR.lm及びrIIR.lmを加算して、処理信
号rlmを演算する。
号x(n)を第1伝達関数フィルタC^FIR.lmでフィル
タ処理して(具体的には、基準信号x(n)と、第1伝
達関数フィルタC^FIR.lmの各フィルタ係数C^
FIR.lmh とを畳み込んで)処理信号rFIR.lmを演算し、
次いで、ステップ106に移行し、今度は基準信号x
(n)を第2伝達関数フィルタC^IIR.lmでフィルタ処
理して(具体的には、基準信号x(n)及び過去の処理
信号rIIR.lmと、第2伝達関数フィルタC^IIR.lmの各
フィルタ係数bj ,aj とを畳み込んで)処理信号r
IIR.lmを演算し、そして、ステップ107に移行し、そ
れら処理信号rFIR.lm及びrIIR.lmを加算して、処理信
号rlmを演算する。
【0052】処理信号rlmが演算されたら、ステップ1
08に移行し、残留騒音信号el 及び処理信号rlmに基
づいて上記(1)式に従って適応ディジタルフィルタW
m の各フィルタ係数Wmiを更新する。このステップ10
8の処理を終えたら今回の処理を終了し、次のサンプリ
ング・クロックのタイミングでステップ101から再び
処理を実行する。
08に移行し、残留騒音信号el 及び処理信号rlmに基
づいて上記(1)式に従って適応ディジタルフィルタW
m の各フィルタ係数Wmiを更新する。このステップ10
8の処理を終えたら今回の処理を終了し、次のサンプリ
ング・クロックのタイミングでステップ101から再び
処理を実行する。
【0053】このような処理が実行されると、ラウドス
ピーカ9にはサンプリング・クロックの間隔で次々と駆
動信号ym が供給されるため、車室3内には駆動信号y
m に応じた制御音が発生するようになるが、制御開始直
後は適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係数Wmi
が最適値に収束しているとは限らないので、ラウドスピ
ーカ9から発せられる制御音によって、エンジン4から
車室3内に伝達されるこもり音が低減されるとはいえな
い。
ピーカ9にはサンプリング・クロックの間隔で次々と駆
動信号ym が供給されるため、車室3内には駆動信号y
m に応じた制御音が発生するようになるが、制御開始直
後は適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係数Wmi
が最適値に収束しているとは限らないので、ラウドスピ
ーカ9から発せられる制御音によって、エンジン4から
車室3内に伝達されるこもり音が低減されるとはいえな
い。
【0054】しかし、図4に示す処理が繰り返し実行さ
れると、フィルタ係数更新部12がLMSアルゴリズム
に基づき適応ディジタルフィルタWm のフィルタ係数W
miを更新していくので、そのフィルタ係数Wmiがある程
度最適値に収束した後にはラウドスピーカ9から発せら
れる制御音によってこもり音が打ち消され、車室3内の
騒音が低減されるようになる。
れると、フィルタ係数更新部12がLMSアルゴリズム
に基づき適応ディジタルフィルタWm のフィルタ係数W
miを更新していくので、そのフィルタ係数Wmiがある程
度最適値に収束した後にはラウドスピーカ9から発せら
れる制御音によってこもり音が打ち消され、車室3内の
騒音が低減されるようになる。
【0055】そして、本実施例にあっては、適応ディジ
タルフィルタWm の各フィルタ係数Wmiの更新処理に必
要な処理信号rlmを生成するための伝達関数フィルタC
^lmを、第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び第2伝達
関数フィルタC^IIR.lmで構成しているため、下記のよ
うな優れた効果を有している。即ち、有限インパルス応
答型フィルタである第1伝達関数フィルタC^
FIR.lmは、伝達関数Clmの高周波側の特性をモデル化し
たものであるが、伝達関数Clmの高周波側の周波数成分
は比較的短時間で減衰するため、そのインパルス応答長
を長くする原因とはなっていない。従って、第1伝達関
数フィルタC^FIR.lmのタップ数Hはそれほど大きくは
ないから、ステップ105における畳み込み演算で必要
な積算及び加算の回数は、それほど多くはない。
タルフィルタWm の各フィルタ係数Wmiの更新処理に必
要な処理信号rlmを生成するための伝達関数フィルタC
^lmを、第1伝達関数フィルタC^FIR.lm及び第2伝達
関数フィルタC^IIR.lmで構成しているため、下記のよ
うな優れた効果を有している。即ち、有限インパルス応
答型フィルタである第1伝達関数フィルタC^
FIR.lmは、伝達関数Clmの高周波側の特性をモデル化し
たものであるが、伝達関数Clmの高周波側の周波数成分
は比較的短時間で減衰するため、そのインパルス応答長
を長くする原因とはなっていない。従って、第1伝達関
数フィルタC^FIR.lmのタップ数Hはそれほど大きくは
ないから、ステップ105における畳み込み演算で必要
な積算及び加算の回数は、それほど多くはない。
【0056】一方、無限インパルス応答型フィルタであ
る第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、伝達関数Clmの
低周波側の特性をモデル化したものであるが、図12を
伴って説明したように、低周波帯域の出力特性が良好な
ラウドスピーカにあっては伝達関数Clmの低周波側の周
波数成分によってそのインパルス応答長が長くなるた
め、仮に第2伝達関数フィルタを有限インパルス応答型
フィルタで表現したとすると、そのタップ数は極端に多
くなってしまう。しかし、無限インパルス応答型フィル
タで第2伝達関数フィルタを表現すると、そのタップ数
は、実時間におけるインパルス応答長に比例するのでは
なく、対象とする周波数帯域内に存在するモードの数に
比例することから、非常に少ない個数で済むのである。
従って、ステップ106における畳み込み演算で必要な
積算及び加算の回数は、極めて少なくなるのである。
る第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、伝達関数Clmの
低周波側の特性をモデル化したものであるが、図12を
伴って説明したように、低周波帯域の出力特性が良好な
ラウドスピーカにあっては伝達関数Clmの低周波側の周
波数成分によってそのインパルス応答長が長くなるた
め、仮に第2伝達関数フィルタを有限インパルス応答型
フィルタで表現したとすると、そのタップ数は極端に多
くなってしまう。しかし、無限インパルス応答型フィル
タで第2伝達関数フィルタを表現すると、そのタップ数
は、実時間におけるインパルス応答長に比例するのでは
なく、対象とする周波数帯域内に存在するモードの数に
比例することから、非常に少ない個数で済むのである。
従って、ステップ106における畳み込み演算で必要な
積算及び加算の回数は、極めて少なくなるのである。
【0057】つまり、伝達関数フィルタC^lmを、本実
施例のように、互いに並列関係にある第1伝達関数フィ
ルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmに
分けて構成したことにより、処理信号rlmのための演算
負荷を大幅に軽減することができるのである。ちなみ
に、図12の例であれば、伝達関数フィルタC^lmを一
つの有限インパルス応答型フィルタで表現した場合、サ
ンプリング・クロックを1msecとすればタップ数は「2
00」となるのに対し、図12の例において、本実施例
のような構成を採用し、伝達関数Clmの高周波成分のイ
ンパルス応答長を20msec、サンプリング・クロックを
同様に1msecとすると、第1伝達関数フィルタC^
FIR.lmのタップ数は「20」となり、また、低周波側の
モード数を1とすれば一般的な無限インパルス応答型フ
ィルタとすれば第2伝達関数フィルタC^IIR.lmのタッ
プ数は「3」程度となるから、全体のタップ数は「2
3」程度となる。つまり、本実施例の構成を採用するこ
とにより、伝達関数フィルタC^lmのタップ数が約1/
9になり、それだけ演算負荷の軽減が図られるのであ
る。
施例のように、互いに並列関係にある第1伝達関数フィ
ルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmに
分けて構成したことにより、処理信号rlmのための演算
負荷を大幅に軽減することができるのである。ちなみ
に、図12の例であれば、伝達関数フィルタC^lmを一
つの有限インパルス応答型フィルタで表現した場合、サ
ンプリング・クロックを1msecとすればタップ数は「2
00」となるのに対し、図12の例において、本実施例
のような構成を採用し、伝達関数Clmの高周波成分のイ
ンパルス応答長を20msec、サンプリング・クロックを
同様に1msecとすると、第1伝達関数フィルタC^
FIR.lmのタップ数は「20」となり、また、低周波側の
モード数を1とすれば一般的な無限インパルス応答型フ
ィルタとすれば第2伝達関数フィルタC^IIR.lmのタッ
プ数は「3」程度となるから、全体のタップ数は「2
3」程度となる。つまり、本実施例の構成を採用するこ
とにより、伝達関数フィルタC^lmのタップ数が約1/
9になり、それだけ演算負荷の軽減が図られるのであ
る。
【0058】そして、第2伝達関数フィルタC^IIR.lm
に含まれるモード数は予め判っているから、これを無限
インパルス応答型フィルタで表現したとしても特に制御
が不安定になることはないのである。ここで、本実施例
では、クランク角センサ5,基準信号生成部11及びス
テップ101における処理によって基準信号生成手段が
構成され、フィルタ係数更新部12及びステップ108
の処理によって適応処理手段が構成される。
に含まれるモード数は予め判っているから、これを無限
インパルス応答型フィルタで表現したとしても特に制御
が不安定になることはないのである。ここで、本実施例
では、クランク角センサ5,基準信号生成部11及びス
テップ101における処理によって基準信号生成手段が
構成され、フィルタ係数更新部12及びステップ108
の処理によって適応処理手段が構成される。
【0059】図5乃至図7は本発明の第2実施例の構成
を示す図であり、本実施例も上記第1実施例と同様に本
発明に係る能動型騒音制御装置を、車両2の車室3内の
騒音の低減を図る車両用能動型騒音制御装置1に適用し
たものである。先ず、構成を説明するが、上記第1実施
例と同等の構成には同じ符号を付しその重複する説明は
省略する。
を示す図であり、本実施例も上記第1実施例と同様に本
発明に係る能動型騒音制御装置を、車両2の車室3内の
騒音の低減を図る車両用能動型騒音制御装置1に適用し
たものである。先ず、構成を説明するが、上記第1実施
例と同等の構成には同じ符号を付しその重複する説明は
省略する。
【0060】本実施例は、騒音源として前輪及び路面間
から車室3内に伝達される騒音としてのロード・ノイズ
の低減を図る装置であって、車両2の前輪側サスペンシ
ョンには、路面側から入力される上下方向の振動を感知
するように加速度センサ20が配設されていて、その加
速度センサ20の出力が基準信号xとしてコントローラ
10に供給されるようになっている。
から車室3内に伝達される騒音としてのロード・ノイズ
の低減を図る装置であって、車両2の前輪側サスペンシ
ョンには、路面側から入力される上下方向の振動を感知
するように加速度センサ20が配設されていて、その加
速度センサ20の出力が基準信号xとしてコントローラ
10に供給されるようになっている。
【0061】また、コントローラ10には、車両2のイ
グニッションスイッチ21がオンとなったタイミングで
発せられるイグニッション信号IGNも供給されるよう
になっている。図6は、コントローラ10の機能構成を
示すブロック図であって、本実施例では、加速度センサ
20の出力である基準信号xがそのまま適応ディジタル
フィルタWm 及び伝達関数フィルタC^lmに入力される
ようになっている。
グニッションスイッチ21がオンとなったタイミングで
発せられるイグニッション信号IGNも供給されるよう
になっている。図6は、コントローラ10の機能構成を
示すブロック図であって、本実施例では、加速度センサ
20の出力である基準信号xがそのまま適応ディジタル
フィルタWm 及び伝達関数フィルタC^lmに入力される
ようになっている。
【0062】そして、コントローラ10は、ランダム信
号RNDを生成し出力するM系列信号生成部22と、ラ
ウドスピーカに供給される信号を駆動信号ym 又はラン
ダム信号RNDの間で切り換え可能な切換スイッチ部2
3と、を有していて、これらM系列信号生成部22及び
切換スイッチ部23は、イグニッション信号IGNが入
力されたタイミングで作動する同定処理制御部24によ
って制御されるようになっている。
号RNDを生成し出力するM系列信号生成部22と、ラ
ウドスピーカに供給される信号を駆動信号ym 又はラン
ダム信号RNDの間で切り換え可能な切換スイッチ部2
3と、を有していて、これらM系列信号生成部22及び
切換スイッチ部23は、イグニッション信号IGNが入
力されたタイミングで作動する同定処理制御部24によ
って制御されるようになっている。
【0063】この同定処理制御部24は、イグニッショ
ン信号IGNが入力された時点から所定時間経過するま
での間は、M系列信号生成部22からランダム信号RN
Dが出力されるような制御を実行するとともに、切換ス
イッチ23を適宜切り換えて、ラウドスピーカに駆動信
号ym ではなくランダム信号RNDが供給されるような
制御を実行するようになっている。ただし、同定処理制
御部24は、同時には複数M個のラウドスピーカ9の内
の一つのラウドスピーカのみにランダム信号RNDが供
給されるように切換スイッチ23を切り換えるようにな
っている。
ン信号IGNが入力された時点から所定時間経過するま
での間は、M系列信号生成部22からランダム信号RN
Dが出力されるような制御を実行するとともに、切換ス
イッチ23を適宜切り換えて、ラウドスピーカに駆動信
号ym ではなくランダム信号RNDが供給されるような
制御を実行するようになっている。ただし、同定処理制
御部24は、同時には複数M個のラウドスピーカ9の内
の一つのラウドスピーカのみにランダム信号RNDが供
給されるように切換スイッチ23を切り換えるようにな
っている。
【0064】また、コントローラ10は、フィルタ係数
可変の有限インパルス応答型のディジタルフィルタから
なる同定用伝達関数フィルタC^lm' と、この同定用伝
達関数フィルタC^lm' のフィルタ係数を更新するフィ
ルタ係数更新部25と、残留騒音信号el と同定用伝達
関数フィルタC^lm' の出力との差を演算する減算部2
6とを有していて、同定用伝達関数フィルタC^lm' に
はランダム信号RNDが供給されるようになっており、
フィルタ係数更新部25にはランダム信号RNDと減算
部26の減算結果el ' とが供給されるようになってい
る。
可変の有限インパルス応答型のディジタルフィルタから
なる同定用伝達関数フィルタC^lm' と、この同定用伝
達関数フィルタC^lm' のフィルタ係数を更新するフィ
ルタ係数更新部25と、残留騒音信号el と同定用伝達
関数フィルタC^lm' の出力との差を演算する減算部2
6とを有していて、同定用伝達関数フィルタC^lm' に
はランダム信号RNDが供給されるようになっており、
フィルタ係数更新部25にはランダム信号RNDと減算
部26の減算結果el ' とが供給されるようになってい
る。
【0065】同定用伝達関数フィルタC^lm' は、車室
3内の伝達関数Clmを完全に表現できるように充分な個
数のフィルタ係数からなるディジタルフィルタであり、
フィルタ係数更新部25は、減算部26の減算結果が小
さくなるように、同定用伝達関数フィルタC^lm' のフ
ィルタ係数をLMSアルゴリズムに従って逐次更新する
ようになっている。
3内の伝達関数Clmを完全に表現できるように充分な個
数のフィルタ係数からなるディジタルフィルタであり、
フィルタ係数更新部25は、減算部26の減算結果が小
さくなるように、同定用伝達関数フィルタC^lm' のフ
ィルタ係数をLMSアルゴリズムに従って逐次更新する
ようになっている。
【0066】従って、同定用伝達関数フィルタC^lm'
のフィルタ係数をC^lmi ' 、収束係数をβとすれば、
フィルタ係数更新部25における更新演算式は下記の
(3)式のようになる。 C^lmi ' (n+1) =C^lmi ' (n)−βel ' (n)RND(n−i) ……(3) さらに、コントローラ10は、直線位相特性の有限イン
パルス応答型フィルタであるハイパス・フィルタ30及
びローパス・フィルタ31を有している。これらハイパ
ス・フィルタ30及びローパス・フィルタ31は、相互
に補完関係にあるフィルタであって、そのカット・オフ
周波数は100Hzである。なお、カットオフ周波数を
100Hzとした理由は、上記第1実施例で高周波/低
周波の境界を100Hzとした理由と同一である。
のフィルタ係数をC^lmi ' 、収束係数をβとすれば、
フィルタ係数更新部25における更新演算式は下記の
(3)式のようになる。 C^lmi ' (n+1) =C^lmi ' (n)−βel ' (n)RND(n−i) ……(3) さらに、コントローラ10は、直線位相特性の有限イン
パルス応答型フィルタであるハイパス・フィルタ30及
びローパス・フィルタ31を有している。これらハイパ
ス・フィルタ30及びローパス・フィルタ31は、相互
に補完関係にあるフィルタであって、そのカット・オフ
周波数は100Hzである。なお、カットオフ周波数を
100Hzとした理由は、上記第1実施例で高周波/低
周波の境界を100Hzとした理由と同一である。
【0067】また、これらハイパス・フィルタ30及び
ハイパス・フィルタ31の遮断特性は、特に急峻(例え
ば、−12dB/1オクターブより急峻)であることが
望ましい。これは、ラウドスピーカの特性(低周波帯域
の出力不足)によって100〜200Hz付近より低周
波側ではハイパス・フィルタのように特性が下降してい
く伝達関数フィルタC^lmの中から80Hz付近の共鳴
モードを抜き出して後述の出力C^lm.LOWを作る必要が
あるからである。またさらに、実際には、ハイパス・フ
ィルタ30はローパス・フィルタ31から作ることがで
きる。即ち、ローパス・フィルタ31と、ローパス・フ
ィルタ31の位相特性のみを実現するインパルスとの差
がハイパス・フィルタ30となる。
ハイパス・フィルタ31の遮断特性は、特に急峻(例え
ば、−12dB/1オクターブより急峻)であることが
望ましい。これは、ラウドスピーカの特性(低周波帯域
の出力不足)によって100〜200Hz付近より低周
波側ではハイパス・フィルタのように特性が下降してい
く伝達関数フィルタC^lmの中から80Hz付近の共鳴
モードを抜き出して後述の出力C^lm.LOWを作る必要が
あるからである。またさらに、実際には、ハイパス・フ
ィルタ30はローパス・フィルタ31から作ることがで
きる。即ち、ローパス・フィルタ31と、ローパス・フ
ィルタ31の位相特性のみを実現するインパルスとの差
がハイパス・フィルタ30となる。
【0068】そして、それらハイパス・フィルタ30及
びローパス・フィルタ31は、適宜収束した後の同定用
伝達関数フィルタC^lm' の各フィルタ係数C^lmi '
からなる数列をフィルタ処理するフィルタであって、ハ
イパス・フィルタ30のフィルタ出力が第1伝達関数フ
ィルタC^FIR.lmとして伝達関数フィルタC^lm内に設
定されるようになっている。
びローパス・フィルタ31は、適宜収束した後の同定用
伝達関数フィルタC^lm' の各フィルタ係数C^lmi '
からなる数列をフィルタ処理するフィルタであって、ハ
イパス・フィルタ30のフィルタ出力が第1伝達関数フ
ィルタC^FIR.lmとして伝達関数フィルタC^lm内に設
定されるようになっている。
【0069】一方、ローパス・フィルタ31のフィルタ
出力である数列をフィルタ係数と考えた場合のフィルタ
C^lm.LOWは有限インパルス応答型フィルタであるか
ら、そのまま第2伝達関数フィルタとすることはできな
い。そこで、ローパス・フィルタ31の出力は、型式変
換部32に供給されるようになっていて、ここで無限イ
ンパルス応答型フィルタに変換され、その変換結果が第
2伝達関数フィルタC^IIR.lmとして伝達関数フィルタ
C^lm内に設定されるようになっていて、型式変換部3
2の具体的な構成は、本実施例では図7に示すようにな
ってる。
出力である数列をフィルタ係数と考えた場合のフィルタ
C^lm.LOWは有限インパルス応答型フィルタであるか
ら、そのまま第2伝達関数フィルタとすることはできな
い。そこで、ローパス・フィルタ31の出力は、型式変
換部32に供給されるようになっていて、ここで無限イ
ンパルス応答型フィルタに変換され、その変換結果が第
2伝達関数フィルタC^IIR.lmとして伝達関数フィルタ
C^lm内に設定されるようになっていて、型式変換部3
2の具体的な構成は、本実施例では図7に示すようにな
ってる。
【0070】ここで、非巡回部分のフィルタ係数を
bj 、巡回部分のフィルタ係数をak とした場合、一つ
の音響モードを対象とする第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmは、無限インパルス応答型フィルタの一般的な形
で表せば、 C^IIR.lm=b0 /(1+a1 z-1+a2 z-2) となる。
bj 、巡回部分のフィルタ係数をak とした場合、一つ
の音響モードを対象とする第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmは、無限インパルス応答型フィルタの一般的な形
で表せば、 C^IIR.lm=b0 /(1+a1 z-1+a2 z-2) となる。
【0071】そして、分子側のフィルタ係数b0 は収束
係数αに含ませて考えることができるから、結局のとこ
ろ第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、 C^IIR.lm=1/(1+a1 z-1+a2 z-2) となり、 Alm=1+a1 z-1+a2 z-2 と定義すれば、 C^IIR.lm=1/Alm ……(4) となる。つまり、この(4)式の関係を満たすフィルタ
Almが求まればよいのであり、図7はこのフィルタAlm
をLMSアルゴリズムを用いて適応的に求めるための構
成である。
係数αに含ませて考えることができるから、結局のとこ
ろ第2伝達関数フィルタC^IIR.lmは、 C^IIR.lm=1/(1+a1 z-1+a2 z-2) となり、 Alm=1+a1 z-1+a2 z-2 と定義すれば、 C^IIR.lm=1/Alm ……(4) となる。つまり、この(4)式の関係を満たすフィルタ
Almが求まればよいのであり、図7はこのフィルタAlm
をLMSアルゴリズムを用いて適応的に求めるための構
成である。
【0072】即ち、型式変換部32は、ランダム信号X
を生成し出力するM系列信号生成部32aを有してい
て、そのM系列信号生成部32Aから出力されたランダ
ム信号Xが、ローパス・フィルタ31の出力から構成さ
れるフィルタC^lm.LOWに入力されるようになってい
て、さらに、そのフィルタC^lm.LOWの出力Yが、フィ
ルタAlmに入力されるようになっている。そして、型式
変換部32は、ランダム信号XとフィルタAlmの出力と
の差を演算する減算部32bと、この減算部32bの出
力及びフィルタC^lm.LOWの出力Yに基づいて、減算部
32bの出力が零に近づくようにフィルタAlmの各フィ
ルタ係数a1 ,a2 をLMSアルゴリズムに従って更新
するフィルタ係数更新部32cと、を有している。
を生成し出力するM系列信号生成部32aを有してい
て、そのM系列信号生成部32Aから出力されたランダ
ム信号Xが、ローパス・フィルタ31の出力から構成さ
れるフィルタC^lm.LOWに入力されるようになってい
て、さらに、そのフィルタC^lm.LOWの出力Yが、フィ
ルタAlmに入力されるようになっている。そして、型式
変換部32は、ランダム信号XとフィルタAlmの出力と
の差を演算する減算部32bと、この減算部32bの出
力及びフィルタC^lm.LOWの出力Yに基づいて、減算部
32bの出力が零に近づくようにフィルタAlmの各フィ
ルタ係数a1 ,a2 をLMSアルゴリズムに従って更新
するフィルタ係数更新部32cと、を有している。
【0073】つまり、 Y=C^lm.LOW*X であるが、ここで求めたいのは、 Y=(1/Alm)*X を満たすフィルタAlmであり、この式の入出力を逆にみ
れば、 X=Alm*Y となるから、信号YをフィルタAlmでフィルタ処理した
値と、ランダム信号Xとの差が零に近づくようにフィル
タ係数更新部32cがフィルタAlmの各フィルタ係数a
1 ,a2 を更新すると、適宜収束した時点で、無限イン
パルス応答型のフィルタ1/Almが求められ、これが、
第2伝達関数フィルタC^IIR.lmとなるのである。
れば、 X=Alm*Y となるから、信号YをフィルタAlmでフィルタ処理した
値と、ランダム信号Xとの差が零に近づくようにフィル
タ係数更新部32cがフィルタAlmの各フィルタ係数a
1 ,a2 を更新すると、適宜収束した時点で、無限イン
パルス応答型のフィルタ1/Almが求められ、これが、
第2伝達関数フィルタC^IIR.lmとなるのである。
【0074】図8及び図9は本実施例のコントローラ1
0における処理の概要を示すフローチャートであり、以
下、図8及び図9に従って本実施例の動作を説明する。
即ち、図8に示す処理は、車両のイグニッションスイッ
チがオンとなると同時に開始され、先ず、そのステップ
201において、後述の処理で使用する第1伝達関数フ
ィルタフィルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC
^IIR.lmの設定処理を実行する。
0における処理の概要を示すフローチャートであり、以
下、図8及び図9に従って本実施例の動作を説明する。
即ち、図8に示す処理は、車両のイグニッションスイッ
チがオンとなると同時に開始され、先ず、そのステップ
201において、後述の処理で使用する第1伝達関数フ
ィルタフィルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC
^IIR.lmの設定処理を実行する。
【0075】ステップ201の具体的な処理の内容は、
図9に示すようなものであって、そのステップ301に
おいてLMSアルゴリズムに従って同定用伝達関数フィ
ルタC^lm' を同定する。このステップ301における
同定処理の具体的な内容は、図6にブロック図で示すよ
うに、切換スイッチ23を切り換えて、M系列信号生成
部22で生成されたランダム信号RNDをいずれかのラ
ウドスピーカに供給して車室3内にランダム・ノイズを
発生させるとともに、そのランダム・ノイズを各マイク
ロフォン8a,8bで検出しこれを残留騒音信号el と
して取り込み、そして、ランダム信号RNDを同定用伝
達関数フィルタC^lm' でフィルタ処理した値と残留騒
音信号el とが一致するように、LMSアルゴリズムに
従って同定用伝達関数フィルタC^lmのフィルタ係数を
逐次更新し、そのフィルタ係数が収束した時点で、同定
用伝達関数フィルタC^lm' の特性が実際の車室3内の
伝達関数Clmに一致したと判断し、同定処理を終了す
る。
図9に示すようなものであって、そのステップ301に
おいてLMSアルゴリズムに従って同定用伝達関数フィ
ルタC^lm' を同定する。このステップ301における
同定処理の具体的な内容は、図6にブロック図で示すよ
うに、切換スイッチ23を切り換えて、M系列信号生成
部22で生成されたランダム信号RNDをいずれかのラ
ウドスピーカに供給して車室3内にランダム・ノイズを
発生させるとともに、そのランダム・ノイズを各マイク
ロフォン8a,8bで検出しこれを残留騒音信号el と
して取り込み、そして、ランダム信号RNDを同定用伝
達関数フィルタC^lm' でフィルタ処理した値と残留騒
音信号el とが一致するように、LMSアルゴリズムに
従って同定用伝達関数フィルタC^lmのフィルタ係数を
逐次更新し、そのフィルタ係数が収束した時点で、同定
用伝達関数フィルタC^lm' の特性が実際の車室3内の
伝達関数Clmに一致したと判断し、同定処理を終了す
る。
【0076】同定用伝達関数フィルタC^lm' の同定処
理が完了したら、ステップ302に移行し、その同定用
伝達関数フィルタC^lm' の各フィルタ係数からなる数
列をハイパス・フィルタ処理し、そのフィルタ処理の結
果を、第1伝達関数フィルタC^FIR.lmとして設定す
る。さらに、ステップ303に移行し、今度は、同定用
伝達関数フィルタC^lm'の各フィルタ係数からなる数
列をローパス・フィルタ処理して、その同定用伝達関数
フィルタC^lmの低周波側の特性のみを抽出し、これを
フィルタC^lm.LOWとする。
理が完了したら、ステップ302に移行し、その同定用
伝達関数フィルタC^lm' の各フィルタ係数からなる数
列をハイパス・フィルタ処理し、そのフィルタ処理の結
果を、第1伝達関数フィルタC^FIR.lmとして設定す
る。さらに、ステップ303に移行し、今度は、同定用
伝達関数フィルタC^lm'の各フィルタ係数からなる数
列をローパス・フィルタ処理して、その同定用伝達関数
フィルタC^lmの低周波側の特性のみを抽出し、これを
フィルタC^lm.LOWとする。
【0077】次いで、ステップ304に移行し、ステッ
プ303で求めた有限インパルス応答型のフィルタC^
lm.LOWを、無限インパルス応答型フィルタに型式変換
し、その変換結果を、第2伝達関数フィルタC^IIR.lm
として設定する。このステップ304における型式変換
処理の具体的な内容は、図7にブロック図で示すよう
に、M系列信号生成部32aで生成されたランダム信号
XをフィルタC^lm.LOWでフィルタ処理して信号Yを得
るととともに、その信号YをフィルタAlmでフィルタ処
理した値とランダム信号Xとが一致するように、LMS
アルゴリズムに従ってフィルタAlmのフィルタ係数
a1 ,a2 を逐次更新し、そのフィルタ係数a1 ,a2
が収束した時点で、フィルタAlmの逆数を第2伝達関数
フィルタC^IIR.lmとして設定する。
プ303で求めた有限インパルス応答型のフィルタC^
lm.LOWを、無限インパルス応答型フィルタに型式変換
し、その変換結果を、第2伝達関数フィルタC^IIR.lm
として設定する。このステップ304における型式変換
処理の具体的な内容は、図7にブロック図で示すよう
に、M系列信号生成部32aで生成されたランダム信号
XをフィルタC^lm.LOWでフィルタ処理して信号Yを得
るととともに、その信号YをフィルタAlmでフィルタ処
理した値とランダム信号Xとが一致するように、LMS
アルゴリズムに従ってフィルタAlmのフィルタ係数
a1 ,a2 を逐次更新し、そのフィルタ係数a1 ,a2
が収束した時点で、フィルタAlmの逆数を第2伝達関数
フィルタC^IIR.lmとして設定する。
【0078】そして、ステップ304の処理を終えた
ら、図8の処理に戻り、ステップ202に移行し、加速
度センサ20から供給される基準信号xを読み込み、こ
れを時刻nにおける基準信号x(n)として記憶する。
基準信号x(n)が生成されたら、ステップ102に移
行し、上記第1実施例と同一のステップ102〜108
を実行する。それらステップ102〜108の処理の内
容は上記第1実施例と同じである。そして、ステップ1
08の処理を終えたら、次のサンプリング・クロックの
タイミングでステップ201に移行し上述した処理を再
び実行する。
ら、図8の処理に戻り、ステップ202に移行し、加速
度センサ20から供給される基準信号xを読み込み、こ
れを時刻nにおける基準信号x(n)として記憶する。
基準信号x(n)が生成されたら、ステップ102に移
行し、上記第1実施例と同一のステップ102〜108
を実行する。それらステップ102〜108の処理の内
容は上記第1実施例と同じである。そして、ステップ1
08の処理を終えたら、次のサンプリング・クロックの
タイミングでステップ201に移行し上述した処理を再
び実行する。
【0079】このような処理が実行されると、ラウドス
ピーカ9にはサンプリング・クロックの間隔で次々と駆
動信号ym が供給され、車室3内にはその駆動信号ym
に応じた制御音が発生するようになるから、上記第1実
施例と同様に、適応ディジタルフィルタWm のフィルタ
係数Wmiがある程度最適値に収束した後にはラウドスピ
ーカ9から発せられる制御音によってロード・ノイズが
打ち消され、車室3内の騒音が低減されるようになる。
ピーカ9にはサンプリング・クロックの間隔で次々と駆
動信号ym が供給され、車室3内にはその駆動信号ym
に応じた制御音が発生するようになるから、上記第1実
施例と同様に、適応ディジタルフィルタWm のフィルタ
係数Wmiがある程度最適値に収束した後にはラウドスピ
ーカ9から発せられる制御音によってロード・ノイズが
打ち消され、車室3内の騒音が低減されるようになる。
【0080】ここで、車輪及び路面間の騒音源で発生す
るロード・ノイズは、路面の凹凸パターンや走行速度等
の多くの影響を受ける騒音であるため、種々の周波数成
分を含む騒音であるから、これを低減するためには同時
に多数の周波数成分を制御しなければならない。従っ
て、伝達関数フィルタC^lmにはこもり音の場合に比べ
て特に高い精度が要求されるのであるが、本実施例にあ
っては、イグニッションスイッチ21がオンとなる度に
ステップ201の処理が実行され、ここで、第1伝達関
数フィルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmが設定されるため、その時点における車室3内の
伝達関数Clmがそれら第1伝達関数フィルタC^FIR.lm
及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmによってモデル化
され、それらモデル化された第1伝達関数フィルタC^
FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmが適応ディ
ジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの更新処理に用
いられるから、高精度の伝達関数フィルタC^lmが用い
られることとなり、良好なロード・ノイズの低減制御が
実行されるのである。
るロード・ノイズは、路面の凹凸パターンや走行速度等
の多くの影響を受ける騒音であるため、種々の周波数成
分を含む騒音であるから、これを低減するためには同時
に多数の周波数成分を制御しなければならない。従っ
て、伝達関数フィルタC^lmにはこもり音の場合に比べ
て特に高い精度が要求されるのであるが、本実施例にあ
っては、イグニッションスイッチ21がオンとなる度に
ステップ201の処理が実行され、ここで、第1伝達関
数フィルタC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmが設定されるため、その時点における車室3内の
伝達関数Clmがそれら第1伝達関数フィルタC^FIR.lm
及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmによってモデル化
され、それらモデル化された第1伝達関数フィルタC^
FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmが適応ディ
ジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiの更新処理に用
いられるから、高精度の伝達関数フィルタC^lmが用い
られることとなり、良好なロード・ノイズの低減制御が
実行されるのである。
【0081】さらに、ロード・ノイズの場合には、ドラ
ミングの影響が大きいため、特に30〜40Hz程度の
低周波成分が大きくなる傾向にある。従って、ラウドス
ピーカ9には特に低周波帯域に高い性能が要求される結
果、車室3内の伝達関数Clmは残響の長いインパルス応
答になるため、上記第1実施例で説明した伝達関数フィ
ルタC^lmを相互に並列関係にある第1伝達関数フィル
タC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmに分
割することによる演算負荷軽減という効果が特に顕著に
なり、本発明の適用対象としては特に好適であるといえ
る。
ミングの影響が大きいため、特に30〜40Hz程度の
低周波成分が大きくなる傾向にある。従って、ラウドス
ピーカ9には特に低周波帯域に高い性能が要求される結
果、車室3内の伝達関数Clmは残響の長いインパルス応
答になるため、上記第1実施例で説明した伝達関数フィ
ルタC^lmを相互に並列関係にある第1伝達関数フィル
タC^FIR.lm及び第2伝達関数フィルタC^IIR.lmに分
割することによる演算負荷軽減という効果が特に顕著に
なり、本発明の適用対象としては特に好適であるといえ
る。
【0082】ここで、本実施例では、M系列信号生成部
22,切換スイッチ23,同定処理制御部24,同定用
伝達関数フィルタC^lm' ,フィルタ係数更新部25及
び減算部26によって同定手段が構成され、ハイパス・
フィルタ30,ローパス・フィルタ31及び型式変換部
32によって伝達関数設定手段が構成され、型式変換部
32がフィルタ型式変換手段に対応する。
22,切換スイッチ23,同定処理制御部24,同定用
伝達関数フィルタC^lm' ,フィルタ係数更新部25及
び減算部26によって同定手段が構成され、ハイパス・
フィルタ30,ローパス・フィルタ31及び型式変換部
32によって伝達関数設定手段が構成され、型式変換部
32がフィルタ型式変換手段に対応する。
【0083】なお、上記第2実施例では、有限インパル
ス応答型のフィルタであるフィルタC^lm.LOWを無限イ
ンパルス応答型フィルタの第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmに変換に、図7に示したようなLMSアルゴリズ
ムを用いる手法を適用しているが、型式変換の手法はこ
れに限定されるものではない。例えば、フィルタC^
lm.LOW(仮に、タップ数を128とする。)を高速フー
リエ変換(FFT)し、その後にその変換によって得ら
れた各周波数成分の逆数を求める。かかる逆数の個数
は、正負合計で128個である。そして、その128個
の周波数成分を、いくつかのグループに分けて平均値を
演算する。最終的にタップ数が「4」のフィルタAlmと
したいのであれば、0番目〜15番目及び112番目〜
127番目の計32ラインを平均して新たに0番目のラ
インとし、16番目〜47番目の32ラインを平均して
新たに1番目のラインとし、48番目〜79番目の32
ラインを平均して新たに2番目のラインとし、80番目
〜11番目の32ラインを平均して新たに3番目のライ
ンとし、そして、これら新たな0〜3番目の計4ライン
を逆FFTして得られる結果の実部でフィルタAlmを構
成してもよい。
ス応答型のフィルタであるフィルタC^lm.LOWを無限イ
ンパルス応答型フィルタの第2伝達関数フィルタC^
IIR.lmに変換に、図7に示したようなLMSアルゴリズ
ムを用いる手法を適用しているが、型式変換の手法はこ
れに限定されるものではない。例えば、フィルタC^
lm.LOW(仮に、タップ数を128とする。)を高速フー
リエ変換(FFT)し、その後にその変換によって得ら
れた各周波数成分の逆数を求める。かかる逆数の個数
は、正負合計で128個である。そして、その128個
の周波数成分を、いくつかのグループに分けて平均値を
演算する。最終的にタップ数が「4」のフィルタAlmと
したいのであれば、0番目〜15番目及び112番目〜
127番目の計32ラインを平均して新たに0番目のラ
インとし、16番目〜47番目の32ラインを平均して
新たに1番目のラインとし、48番目〜79番目の32
ラインを平均して新たに2番目のラインとし、80番目
〜11番目の32ラインを平均して新たに3番目のライ
ンとし、そして、これら新たな0〜3番目の計4ライン
を逆FFTして得られる結果の実部でフィルタAlmを構
成してもよい。
【0084】また、上記第2実施例では、同定用伝達関
数フィルタC^lm' の各フィルタ係数からなる数列をハ
イパス・フィルタ30でフィルタ処理することにより、
その高周波側の特性を抽出して、第1伝達関数フィルタ
C^FIR.lmを設定する場合について説明しているが、第
1伝達関数フィルタC^FIR.lmを設定する手法はこれに
限定されるものではない。
数フィルタC^lm' の各フィルタ係数からなる数列をハ
イパス・フィルタ30でフィルタ処理することにより、
その高周波側の特性を抽出して、第1伝達関数フィルタ
C^FIR.lmを設定する場合について説明しているが、第
1伝達関数フィルタC^FIR.lmを設定する手法はこれに
限定されるものではない。
【0085】例えば、図10に示すように、同定用伝達
関数フィルタC^lm' をローパス・フィルタ31及び型
式変換部32で処理することにより求められた第2伝達
関数フィルタC^IIR.lmのインパルス応答を演算するイ
ンパルス応答演算手段としてのインパルス応答演算部3
3と、同定用伝達関数フィルタC^lm' の各フィルタ係
数からインパルス応答の時間軸上で対応する数値を減算
する減算手段としての減算部34とを設け、その減算部
34の出力を第1伝達関数フィルタC^FIR.lmとして伝
達関数フィルタC^lm内に設定するようにしてもよい。
つまり、インパルス応答演算部33の出力は、同定用伝
達関数フィルタC^lm' の低周波帯域の特性のインパル
ス応答に他ならないから、同定用伝達関数フィルタC^
lm' からそのインパルス応答を差し引けば、同定用伝達
関数フィルタC^lm' の高周波帯域の特性のみが残り、
これがそのまま第1伝達関数フィルタC^FIR.lmとなる
のである。
関数フィルタC^lm' をローパス・フィルタ31及び型
式変換部32で処理することにより求められた第2伝達
関数フィルタC^IIR.lmのインパルス応答を演算するイ
ンパルス応答演算手段としてのインパルス応答演算部3
3と、同定用伝達関数フィルタC^lm' の各フィルタ係
数からインパルス応答の時間軸上で対応する数値を減算
する減算手段としての減算部34とを設け、その減算部
34の出力を第1伝達関数フィルタC^FIR.lmとして伝
達関数フィルタC^lm内に設定するようにしてもよい。
つまり、インパルス応答演算部33の出力は、同定用伝
達関数フィルタC^lm' の低周波帯域の特性のインパル
ス応答に他ならないから、同定用伝達関数フィルタC^
lm' からそのインパルス応答を差し引けば、同定用伝達
関数フィルタC^lm' の高周波帯域の特性のみが残り、
これがそのまま第1伝達関数フィルタC^FIR.lmとなる
のである。
【0086】即ち、この方法によれば、同定用伝達関数
フィルタC^lm' の全周波数成分が確実に第1伝達関数
フィルタC^FIR.lmと第2伝達関数フィルタC^IIR.lm
とに分割することができるから、最終的な伝達関数フィ
ルタC^lmの精度が例えば型式変換部32の演算精度等
の影響を受けて低下してしまうようなことが防止できる
のである。
フィルタC^lm' の全周波数成分が確実に第1伝達関数
フィルタC^FIR.lmと第2伝達関数フィルタC^IIR.lm
とに分割することができるから、最終的な伝達関数フィ
ルタC^lmの精度が例えば型式変換部32の演算精度等
の影響を受けて低下してしまうようなことが防止できる
のである。
【0087】さらに、第1伝達関数フィルタC^FIR.lm
の設定は、図11に示すような構成で行うことも可能で
ある。即ち、図10と同様に構成された減算部34の出
力を基準フィルタC^FIR.lm''とするとともに、ランダ
ム信号RNDを生成するランダム信号生成手段としての
M系列信号生成部35と、所定タップ数のフィルタ係数
可変の設定用適応フィルタC^FIR.lm' と、ランダム信
号RNDを基準フィルタC^FIR.lm''でフィルタ処理し
た値からランダム信号RNDを設定用適応フィルタC^
FIR.lm' でフィルタ処理した値を減算する減算部36
と、ランダム信号RND及び減算部36の出力に基づい
て適応アルゴリズムとしてのLMSアルゴリズムに従っ
てその減算部36の出力が零に一致するように設定用適
応フィルタC^FIR.lm' のフィルタ係数を逐次更新する
フィルタ係数更新部37と、を設けることのより第1伝
達関数フィルタC^FIR.lmを設定することも可能であ
る。この場合は、適宜収束した時点での設定用適応フィ
ルタC^FIR.lm' が第1伝達関数フィルタC^FIR.lmと
なる。なお、この図11に示す構成では、減算部36及
びフィルタ係数更新部37によって、設定用適応フィル
タ更新手段が構成されている。
の設定は、図11に示すような構成で行うことも可能で
ある。即ち、図10と同様に構成された減算部34の出
力を基準フィルタC^FIR.lm''とするとともに、ランダ
ム信号RNDを生成するランダム信号生成手段としての
M系列信号生成部35と、所定タップ数のフィルタ係数
可変の設定用適応フィルタC^FIR.lm' と、ランダム信
号RNDを基準フィルタC^FIR.lm''でフィルタ処理し
た値からランダム信号RNDを設定用適応フィルタC^
FIR.lm' でフィルタ処理した値を減算する減算部36
と、ランダム信号RND及び減算部36の出力に基づい
て適応アルゴリズムとしてのLMSアルゴリズムに従っ
てその減算部36の出力が零に一致するように設定用適
応フィルタC^FIR.lm' のフィルタ係数を逐次更新する
フィルタ係数更新部37と、を設けることのより第1伝
達関数フィルタC^FIR.lmを設定することも可能であ
る。この場合は、適宜収束した時点での設定用適応フィ
ルタC^FIR.lm' が第1伝達関数フィルタC^FIR.lmと
なる。なお、この図11に示す構成では、減算部36及
びフィルタ係数更新部37によって、設定用適応フィル
タ更新手段が構成されている。
【0088】即ち、この図11に示す構成であれば、図
10の構成で求められる基準フィルタC^FIR.lm''をさ
らに設定用適応フィルタC^FIR.lm' でモデル化するも
のであり、最終的に得られる第1伝達関数フィルタC^
FIR.lmのタップ数が、その設定用適応フィルタC^
FIR.lm' のタップ数に一致することになるから、例え
ば、伝達関数Clmのインパルス応答長を長くしている周
波数成分の全てを図10の構成では第2伝達関数フィル
タC^IIR.lmで表現仕切れなかったこと等により基準フ
ィルタC^FIR.lm''のタップ数が若干大きくなってしま
った場合でも、最終的に得られる第1伝達関数フィルタ
C^FIR.lmのタップ数は所定個数に抑えられるから、伝
達関数フィルタC^lmと基準信号xとの畳み込み演算の
際の積算・加算の回数を低減するという効果を確実に得
ることができるようになる。
10の構成で求められる基準フィルタC^FIR.lm''をさ
らに設定用適応フィルタC^FIR.lm' でモデル化するも
のであり、最終的に得られる第1伝達関数フィルタC^
FIR.lmのタップ数が、その設定用適応フィルタC^
FIR.lm' のタップ数に一致することになるから、例え
ば、伝達関数Clmのインパルス応答長を長くしている周
波数成分の全てを図10の構成では第2伝達関数フィル
タC^IIR.lmで表現仕切れなかったこと等により基準フ
ィルタC^FIR.lm''のタップ数が若干大きくなってしま
った場合でも、最終的に得られる第1伝達関数フィルタ
C^FIR.lmのタップ数は所定個数に抑えられるから、伝
達関数フィルタC^lmと基準信号xとの畳み込み演算の
際の積算・加算の回数を低減するという効果を確実に得
ることができるようになる。
【0089】なお、上記各実施例では、本発明に係る能
動型振動制御装置を、こもり音又はロード・ノイズの低
減を図る車両用能動型騒音制御装置1に適用した場合に
ついて説明したが、本発明の適用対象はこれに限定され
るものではなく、例えばドアミラーにおける風切り音等
の他の騒音を低減する装置、或いは通常の室内のように
車室3以外の空間内の騒音の低減を図る装置等であって
もよい。
動型振動制御装置を、こもり音又はロード・ノイズの低
減を図る車両用能動型騒音制御装置1に適用した場合に
ついて説明したが、本発明の適用対象はこれに限定され
るものではなく、例えばドアミラーにおける風切り音等
の他の騒音を低減する装置、或いは通常の室内のように
車室3以外の空間内の騒音の低減を図る装置等であって
もよい。
【0090】また、低減の対象は騒音に限定されるもの
ではなく、例えば、エンジン4及びメンバ間に能動的な
制御力を発生するエンジンマウント(制御振動発生手
段)を介在させるとともに、そのメンバ側に残留振動を
検出する加速度センサ(残留振動検出手段)を配設し、
そして、かかるエンジンマウントを上記第1実施例と同
様の基準信号x及び加速度センサの出力信号(残留振動
信号)に基づいて制御すれば、エンジン4からメンバ側
に伝達される振動を低減し得る車両用能動型振動制御装
置となる。
ではなく、例えば、エンジン4及びメンバ間に能動的な
制御力を発生するエンジンマウント(制御振動発生手
段)を介在させるとともに、そのメンバ側に残留振動を
検出する加速度センサ(残留振動検出手段)を配設し、
そして、かかるエンジンマウントを上記第1実施例と同
様の基準信号x及び加速度センサの出力信号(残留振動
信号)に基づいて制御すれば、エンジン4からメンバ側
に伝達される振動を低減し得る車両用能動型振動制御装
置となる。
【0091】さらに、上記各実施例では、適応アルゴリ
ズムとしてFiltered−XLMSアルゴリズム或
いは通常のLMSアルゴリズムを適用した場合について
説明したが、これに限定されるものではなく、例えば同
期式Filtered−XLMSアルゴリズム(日本音
響学会講演論文集 平成4年3月の515〜516頁に
詳しい。)等の他のアルゴリズムであってもよい。
ズムとしてFiltered−XLMSアルゴリズム或
いは通常のLMSアルゴリズムを適用した場合について
説明したが、これに限定されるものではなく、例えば同
期式Filtered−XLMSアルゴリズム(日本音
響学会講演論文集 平成4年3月の515〜516頁に
詳しい。)等の他のアルゴリズムであってもよい。
【0092】またさらに、上記各実施例では、高周波/
低周波の境界を100Hzとしているが、これは適用対
象が一般的な乗用車だからである。従って、その境界
は、能動型騒音制御装置,能動型振動制御装置が適用さ
れる対象に応じて適宜選定されるものである。
低周波の境界を100Hzとしているが、これは適用対
象が一般的な乗用車だからである。従って、その境界
は、能動型騒音制御装置,能動型振動制御装置が適用さ
れる対象に応じて適宜選定されるものである。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新処理に必
要な伝達関数フィルタを、並列関係にある有限インパル
ス応答型の第1伝達関数フィルタと無限インパルス応答
型の第2伝達関数フィルタとから構成するとともに、前
記伝達関数の高周波側の特性を前記第1伝達関数フィル
タでモデル化し、前記伝達関数の低周波側の特性を前記
第2伝達関数フィルタでモデル化したため、制御を不安
定にすることなく、その伝達関数フィルタにおける演算
負荷を大幅に軽減することができるという効果が得られ
る。
適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新処理に必
要な伝達関数フィルタを、並列関係にある有限インパル
ス応答型の第1伝達関数フィルタと無限インパルス応答
型の第2伝達関数フィルタとから構成するとともに、前
記伝達関数の高周波側の特性を前記第1伝達関数フィル
タでモデル化し、前記伝達関数の低周波側の特性を前記
第2伝達関数フィルタでモデル化したため、制御を不安
定にすることなく、その伝達関数フィルタにおける演算
負荷を大幅に軽減することができるという効果が得られ
る。
【0094】特に、請求項2〜5又は請求項7〜10記
載の発明であれば、それら第1伝達関数フィルタ及び第
2伝達関数フィルタが所定のタイミングで設定可能であ
るため、実際の伝達関数が変化しても制御精度の悪化を
防止できるという効果が得られる。そして、請求項5又
は請求項10記載の発明であれば、第1伝達関数フィル
タのタップ数を確実に少なくすることができるから、演
算負荷を大幅に軽減できるという効果を確実に得ること
ができる。
載の発明であれば、それら第1伝達関数フィルタ及び第
2伝達関数フィルタが所定のタイミングで設定可能であ
るため、実際の伝達関数が変化しても制御精度の悪化を
防止できるという効果が得られる。そして、請求項5又
は請求項10記載の発明であれば、第1伝達関数フィル
タのタップ数を確実に少なくすることができるから、演
算負荷を大幅に軽減できるという効果を確実に得ること
ができる。
【図1】第1実施例の全体構成を示す図である。
【図2】第1実施例のコントローラの機能構成を示すブ
ロック図である。
ロック図である。
【図3】伝達関数フィルタの具体的な機能構成を示すブ
ロック図である。
ロック図である。
【図4】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図5】第2実施例の全体構成を示す図である。
【図6】第2実施例のコントローラの機能構成を示すブ
ロック図である。
ロック図である。
【図7】型式変換部の具体的な機能構成の一例を示すブ
ロック図である。
ロック図である。
【図8】第2実施例のコントローラ内で実行される処理
の概要を示すフローチャートである。
の概要を示すフローチャートである。
【図9】第2実施例のコントローラ内で実行される処理
の概要を示すフローチャートである。
の概要を示すフローチャートである。
【図10】第1伝達関数フィルタを演算する他の構成例
を示すブロック図である。
を示すブロック図である。
【図11】第1伝達関数フィルタを演算する更に他の構
成例を示すブロック図である。
成例を示すブロック図である。
【図12】伝達関数のインパルス応答の一例を示す波形
図である。
図である。
1 車両用能動型騒音制御装置 2 車両 3 車室(空間) 4 エンジン(騒音源) 5 クランク角センサ 8a,8b マイクロフォン(残留騒音検出手段) 9 ラウドスピーカ(制御音源) 10 コントローラ 11 基準信号生成部 12 フィルタ係数更新部 22 M系列信号生成部 23 切換スイッチ 24 同定処理制御部 25 フィルタ係数更新部 30 ハイパス・フィルタ 31 ローパス・フィルタ 32 型式変換部(フィルタ型式変換手段) 33 インパルス応答演算部(インパルス応答
演算手段) 34 減算部(減算手段) 35 M系列信号生成部(ランダム信号生成手
段) 36 減算部 37 フィルタ係数更新部 C^lm 伝達関数フィルタ C^FIR.lm 第1伝達関数フィルタ C^IIR.lm 第2伝達関数フィルタ C^FIR.lm'' 基準フィルタ C^FIR.lm' 設定用適応フィルタ
演算手段) 34 減算部(減算手段) 35 M系列信号生成部(ランダム信号生成手
段) 36 減算部 37 フィルタ係数更新部 C^lm 伝達関数フィルタ C^FIR.lm 第1伝達関数フィルタ C^IIR.lm 第2伝達関数フィルタ C^FIR.lm'' 基準フィルタ C^FIR.lm' 設定用適応フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 11/16 H03H 17/06 A 8842−5J 21/00 8842−5J (72)発明者 浜辺 勉 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 山田 耕治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 佐々木 光秀 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内
Claims (10)
- 【請求項1】 騒音源から騒音が伝達される空間に制御
音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒音発生状態
を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、
前記空間内の所定位置の残留騒音を検出し残留騒音信号
として出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフ
ィルタ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成
するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前
記制御音源及び前記残留騒音検出手段間の伝達関数をモ
デル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号を前記伝
達関数フィルタでフィルタ処理した結果と前記残留騒音
信号とに基づいて前記空間内の騒音が低減するように適
応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動
型騒音制御装置において、 前記伝達関数フィルタを、並列関係にある有限インパル
ス応答型の第1伝達関数フィルタと無限インパルス応答
型の第2伝達関数フィルタとから構成するとともに、前
記伝達関数の高周波側の特性を前記第1伝達関数フィル
タでモデル化し、前記伝達関数の低周波側の特性を前記
第2伝達関数フィルタでモデル化したことを特徴とする
能動型騒音制御装置。 - 【請求項2】 前記伝達関数を有限インパルス応答型の
同定フィルタとして同定する同定手段と、前記同定フィ
ルタに基づいて前記第1伝達関数フィルタ及び前記第2
伝達関数フィルタを設定する伝達関数フィルタ設定手段
と、を設けた請求項1記載の能動型騒音制御装置。 - 【請求項3】 前記伝達関数フィルタ設定手段を、前記
同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列をフィルタ
処理しその結果を前記第1伝達関数フィルタとして設定
するハイパス・フィルタと、このハイパス・フィルタと
相互に補完関係にあり且つ前記同定フィルタの各フィル
タ係数からなる数列をフィルタ処理するローパス・フィ
ルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理の結果
を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその変換結
果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフィルタ
型式変換手段と、から構成した請求項2記載の能動型騒
音制御装置。 - 【請求項4】 前記伝達関数フィルタ設定手段を、前記
同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列をフィルタ
処理して低周波成分を抽出するローパス・フィルタと、
このローパス・フィルタのフィルタ処理の結果を無限イ
ンパルス応答型のフィルタに変換しその変換結果を前記
第2伝達関数フィルタとして設定するフィルタ型式変換
手段と、このフィルタ型式変換手段によって設定された
前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答を演算する
インパルス応答演算手段と、前記同定フィルタの各フィ
ルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上で対応する
数値を差し引いてその結果を前記第1伝達関数フィルタ
として設定する減算手段と、から構成した請求項2記載
の能動型騒音制御装置。 - 【請求項5】 前記伝達関数フィルタ設定手段を、前記
同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列をフィルタ
処理して低周波成分を抽出するローパス・フィルタと、
このローパス・フィルタのフィルタ処理の結果を無限イ
ンパルス応答型のフィルタに変換しその変換結果を前記
第2伝達関数フィルタとして設定するフィルタ型式変換
手段と、このフィルタ型式変換手段によって設定された
前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答を演算する
インパルス応答演算手段と、前記同定フィルタの各フィ
ルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上で対応する
数値を差し引いて基準フィルタを設定する減算手段と、
ランダム信号を生成するランダム信号生成手段と、所定
個数のフィルタ係数からなり且つそれらフィルタ係数が
可変の設定用適応フィルタと、前記ランダム信号を前記
基準フィルタでフィルタ処理した結果及び前記ランダム
信号を前記設定用適応フィルタでフィルタ処理した結果
が一致するように適応アルゴリズムに従って前記設定用
適応フィルタのフィルタ係数を更新しその更新結果を前
記第1伝達関数フィルタとして設定する設定用適応フィ
ルタ更新手段と、から構成した請求項2記載の能動型騒
音制御装置。 - 【請求項6】 振動源から発せられた振動と干渉する制
御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
段と、前記干渉した後の残留振動を検出し残留振動信号
として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号をフ
ィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を生
成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、
前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達関数
をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号を前
記伝達関数フィルタでフィルタ処理した結果と前記残留
振動信号とに基づいて前記干渉後の振動が低減するよう
に適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた
能動型振動制御装置において、 前記伝達関数フィルタを、並列関係にある有限インパル
ス応答型の第1伝達関数フィルタと無限インパルス応答
型の第2伝達関数フィルタとから構成するとともに、前
記伝達関数の高周波側の特性を前記第1伝達関数フィル
タでモデル化し、前記伝達関数の低周波側の特性を前記
第2伝達関数フィルタでモデル化したことを特徴とする
能動型振動制御装置。 - 【請求項7】 前記伝達関数を有限インパルス応答型の
同定フィルタとして同定する同定手段と、前記同定フィ
ルタに基づいて前記第1伝達関数フィルタ及び前記第2
伝達関数フィルタを設定する伝達関数フィルタ設定手段
と、を設けた請求項6記載の能動型振動制御装置。 - 【請求項8】 前記伝達関数フィルタ設定手段を、前記
同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列をフィルタ
処理しその結果を前記第1伝達関数フィルタとして設定
するハイパス・フィルタと、このハイパス・フィルタと
相互に補完関係にあり且つ前記同定フィルタの各フィル
タ係数からなる数列をフィルタ処理するローパス・フィ
ルタと、このローパス・フィルタのフィルタ処理の結果
を無限インパルス応答型のフィルタに変換しその変換結
果を前記第2伝達関数フィルタとして設定するフィルタ
型式変換手段と、から構成した請求項7記載の能動型振
動制御装置。 - 【請求項9】 前記伝達関数フィルタ設定手段を、前記
同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列をフィルタ
処理して低周波成分を抽出するローパス・フィルタと、
このローパス・フィルタのフィルタ処理の結果を無限イ
ンパルス応答型のフィルタに変換しその変換結果を前記
第2伝達関数フィルタとして設定するフィルタ型式変換
手段と、このフィルタ型式変換手段によって設定された
前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答を演算する
インパルス応答演算手段と、前記同定フィルタの各フィ
ルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上で対応する
数値を差し引いてその結果を前記第1伝達関数フィルタ
として設定する減算手段と、から構成した請求項7記載
の能動型振動制御装置。 - 【請求項10】 前記伝達関数フィルタ設定手段を、前
記同定フィルタの各フィルタ係数からなる数列をフィル
タ処理して低周波成分を抽出するローパス・フィルタ
と、このローパス・フィルタのフィルタ処理の結果を無
限インパルス応答型のフィルタに変換しその変換結果を
前記第2伝達関数フィルタとして設定するフィルタ型式
変換手段と、このフィルタ型式変換手段によって設定さ
れた前記第2伝達関数フィルタのインパルス応答を演算
するインパルス応答演算手段と、前記同定フィルタの各
フィルタ係数から前記インパルス応答の時間軸上で対応
する数値を差し引いて基準フィルタを設定する減算手段
と、ランダム信号を生成するランダム信号生成手段と、
所定個数のフィルタ係数からなり且つそれらフィルタ係
数が可変の設定用適応フィルタと、前記ランダム信号を
前記基準フィルタでフィルタ処理した結果及び前記ラン
ダム信号を前記設定用適応フィルタでフィルタ処理した
結果が一致するように適応アルゴリズムに従って前記設
定用適応フィルタのフィルタ係数を更新しその更新結果
を前記第1伝達関数フィルタとして設定する設定用適応
フィルタ更新手段と、から構成した請求項7記載の能動
型振動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6025376A JPH07234687A (ja) | 1994-02-23 | 1994-02-23 | 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6025376A JPH07234687A (ja) | 1994-02-23 | 1994-02-23 | 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07234687A true JPH07234687A (ja) | 1995-09-05 |
Family
ID=12164138
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6025376A Pending JPH07234687A (ja) | 1994-02-23 | 1994-02-23 | 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07234687A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007174224A (ja) * | 2005-12-21 | 2007-07-05 | Chiba Inst Of Technology | 近似フィルタ作成方法、近似フィルタ作成システム、フィルタ設計方法 |
-
1994
- 1994-02-23 JP JP6025376A patent/JPH07234687A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007174224A (ja) * | 2005-12-21 | 2007-07-05 | Chiba Inst Of Technology | 近似フィルタ作成方法、近似フィルタ作成システム、フィルタ設計方法 |
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