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JPH07212627A - ノイズ低減装置 - Google Patents

ノイズ低減装置

Info

Publication number
JPH07212627A
JPH07212627A JP343894A JP343894A JPH07212627A JP H07212627 A JPH07212627 A JP H07212627A JP 343894 A JP343894 A JP 343894A JP 343894 A JP343894 A JP 343894A JP H07212627 A JPH07212627 A JP H07212627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curve
linear
coefficient
output
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP343894A
Other languages
English (en)
Inventor
Adoruno Noeru
ノエル・アドルノ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP343894A priority Critical patent/JPH07212627A/ja
Publication of JPH07212627A publication Critical patent/JPH07212627A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Compression Or Coding Systems Of Tv Signals (AREA)
  • Picture Signal Circuits (AREA)
  • Television Signal Processing For Recording (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 入力ビデオ信号のフレーム間差分を直交変換
し、直交変換係数出力に対して非線形処理を施す際に、
その非DC係数に対して図2に示す非線形曲線の特性に
より非線形処理を施し、逆直交変換した出力を入力側に
帰還して入力ビデオ信号との差をとることにより、入力
ビデオ信号中のノイズを低減する。 【効果】 変換係数データのヒストグラムから得られる
最適曲線を近似した非線形曲線として、非DC係数に対
しては変換係数の0近傍で値が低下する形状のものを用
いているため、現実の画像データに対して良好なノイズ
低減効果を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオ信号のSN比を
改善するためのノイズ低減装置に関し、特にアダマール
変換等の直交変換を用いたノイズ低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオ信号に含まれるノイズ(雑音)を
低減してSN比を改善するノイズ低減装置(Noise Redu
cer:ノイズリデューサ)は、従来より種々提案されてい
る。
【0003】図1は、このようなノイズ低減装置の基本
的な回路構成の一例を示している。複合(コンポジッ
ト)映像信号に対しては、このような回路の1つが用い
られ、コンポーネント映像信号に対しては、各信号成分
(コンポーネント)毎に別の回路が用いられる。この図
1の回路において、減算器として作用する加算器102
からは、入力端子101からの現在の入力画像と画像メ
モリ104からの最新の処理画像との間の差分が得ら
れ、この差分出力が直交変換信号処理部106に送られ
て、アダマール変換回路等の直交変換回路107で直交
変換されて変換係数出力となり、変換領域での処理が施
される。
【0004】ところで、ノイズ成分は各変換係数にほぼ
均等に分配される傾向があり、低い係数値として表され
る。動きのある場合には、動き成分は各係数に不均等に
分配される傾向がある。この変換係数は、非線形曲線の
一群を有する回路108に通される。この非線形曲線
は、動きの細部としての所定の閾値Nを超える値の成分
をゼロにする。上記閾値N以下の値は、上記非線形関数
に応じて通過あるいは減衰される。非線形処理された後
は、非線形回路108からの出力は逆直交変換回路10
9に送られて逆変換され、加算器103に送られて現在
の入力信号から減算される。
【0005】上記非線形回路108の非線形曲線の最も
単純なものとして、図7に示すようなものが挙げられ
る。この図7のAは、入力される変換係数データxに対
して乗算される関数F(x) を表し、同図のBは、入力デ
ータxに対する出力データ、すなわちxF(x) を表して
いる。この関数F(x) は次式で表される。 F(x)= K ; |x|≦N = 0 ; |x|>N この式において、Nはノイズ閾値、Kは関数のゲインで
あり、図7の例では、N=40、K=1の場合を示して
いる。これは望ましいものではなく、最悪の曲線を含ん
でいる。
【0006】ここで、海老原他の「アダマール変換を用
いたテレビジョン信号のノイズリデューサー」、テレビ
ジョン学会誌、Vol.37, No.12 (1983), pp.1030-1036
においては、上記直交変換にアダマール変換を用いた例
が開示されている。また、入力ビデオ信号としては、コ
ンポジットNTSC信号を用いており、変調を考慮に入
れる必要がある。同じオフセット強度をもって信号を変
換するためには、サブキャリア周期当り1回又は2回の
サンプリングが必要とされる。サンプリングレートがサ
ブキャリア周波数の4倍、すなわちfS =4fSCのと
き、2画素毎又は4画素毎のサンプルが必要とされ、こ
の例では2画素毎にサンプルしている。これにより、各
変換係数は周波数を示すのみならず画像の輝度あるいは
色成分の指標を与えることになる。すなわち、変換係数
の一部は強い輝度信号の存在を表し、他の部分は強い色
差信号の存在を示す。ここで、輝度及び色に対する人間
の視覚特性は異なっていることから、上記の例では、輝
度係数用と色差係数用との2組の非線形曲線を用いてい
る。
【0007】上記海老原の例では、実際のデータを用い
てシミュレートしている。また、2×2、2×4、4×
4を含むいくつかの異なる変換マトリクスをシミュレー
トしている。上記海老原の例で用いられた非線形曲線F
(x) の形状は図8に示され、このF(x) の式は、 F(x)= K(1−|x|/N) ; |x|≦N = 0 ; |x|>N にて定義される。ここで、Nはノイズ閾値、Kは関数の
ゲインであり、図8の例では、N=40、K=1の場合
を示している。また、図8のAは関数F(x) を、Bは入
力データxに対する出力データxF(x) をそれぞれ表し
ている。
【0008】次に、中島他、「ア・ニュー・ノイズ・リ
ダクション・システム・フォー・ビデオ・カメラ」、I
EEEトランザクションズ・オン・コンシューマ・エレ
クトロニクス、37巻、3号、8月、1991年( Nak
ajima et al. "A NEW NOISEREDUCTION SYSTEM FOR VIDE
O CAMERA",IEEE Transactions on Consumer Electronic
s, Vol.37, No.3, August 1991 )においては、コンポ
ーネント信号処理を用いたノイズ低減装置が開示されて
いる。すなわち、輝度(Y)及び2つの色差信号(R−
Y、B−Y)が独立に処理される。4つの異なる非線形
曲線が比較され、最適のものとして選択されたF(x) の
曲線が図9に示されている。このF(x)の式は次のよう
に定義される。
【0009】 F(x)= K ; |x|≦N = KN/|x| ; |x|>N 図9はノイズ閾値N=20、関数のゲインK=1の場合
を示し、Aは関数F(x)を、Bは出力データxF(x) を
それぞれ表している。それぞれのシミュレーションにつ
いて、DC係数を除く全ての変換係数が同じ非線形パラ
メータ、すなわちN及びKを用いている。DC係数はノ
イズリダクションに貢献をしない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した海
老原他の技術においては、輝度及び色についての非線形
曲線パラメータを独立に制御している。非線形関数パラ
メータを選択するときには各係数の周波数分布は考慮さ
れない。例えば、動きの像のヒストグラム(頻度グラ
フ)は、DC(直流)分の係数が高周波分の係数に比べ
て相当広い分布を持つ傾向があることを示す。同様に、
像のシーケンスがシーンの水平旋回、すなわち水平パン
の場合に、水平周波数はより広い分布を持つようにな
る。もし全ての係数について非線形曲線パラメータが固
定されていると、異なるタイプのシーンについて最適化
することができない。
【0011】上記海老原他の技術においては、非線形曲
線F(x) を実現するためにメモリマップドROMを用い
ている。これは、ユーザにパラメータ選択上で限定され
た制御を与えるような僅かのN及びKの値が適用される
ことを意味する。
【0012】上記中島他の技術により得られた結果はシ
ミュレートされた入力パターンを用いて決定されるか
ら、現実のデータによる実行は異なる結果を生み出し得
る。コンピュータで生成されたテスト画像を用いて全て
の起こり得る状況をテストすることは困難である。現実
のデータを用いたシミュレーションを通じて、本件発明
者は、上記中島他の技術において最適として選択された
非線形曲線(図9)は、上記海老原他の技術に用いられ
る非線形曲線(図8)に比べて実際にはより悪く作用す
ることを見い出した。同様に、現実の画像データの統計
的分析を通じて、同じ非線形曲線が他のノイズ低減装置
と同程度の作用をしない。非線形曲線の比較は、同じ非
線形係数(N及びK)を持つ各曲線についてのシミュレ
ーションを行うだけでは実現できない。各非線形曲線
は、N及びKの異なる値で最高の性能を持ち得る。
【0013】DC係数を除外して、上記中島他の技術に
おいては、全ての係数について同じ値のN及びKを用い
ている。DC係数についての非線形曲線は0に設定され
る。従って、DC係数はノイズ低減に貢献せず動きディ
テールを劣化させもしない。この係数のノイズが決して
低減されないことより、最良の達成し得るMSEは決し
て実現できない。例えば、統計的分析を用いて、全ての
係数が変化し得るという条件での最高のMSEは16.
0と決定される。もし、全ての係数がN及びKについて
の同じ値を用いると、最高のMSEは17.1となる。
もし、DC係数が0に設定されると、MSEはさらに増
大して18.6になり得る。DC係数のノイズ低減への
貢献は僅かであるが、常時0に設定すべきではない状況
があり得る。
【0014】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであり、アダマール変換等の直交変換を含むノイ
ズ低減装置において、現実の画像データに対して良好な
ノイズ低減効果を実現し得るようなノイズ低減装置の提
供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るノイズ低減
装置は、入力ビデオ信号を1フィールド又は1フレーム
遅延する遅延手段と、上記入力ビデオ信号と上記遅延手
段からの出力との差をとることによりフィールド間差分
信号又はフレーム間差分信号を出力する第1の減算手段
と、この第1の減算手段からの差分出力を直交変換する
直交変換手段と、この直交変換手段からの直交変換出力
に非線形処理を施す非線形回路と、この非線形回路から
の出力を逆直交変換する逆直交変換手段と、上記入力ビ
デオ信号と上記逆直交変換手段からの出力との差をとっ
て上記遅延手段に送る第2の減算手段とを有し、上記非
線形回路は、上記直交変換手段から出力される変換係数
データのヒストグラムにより得られる最適曲線を近似し
た非線形曲線を有することにより、上述した課題を解決
する。
【0016】上記非線形回路の上記非線形曲線は、動画
像及びノイズ有りの画像の変換係数から得られるヒスト
グラムデータを組み合わせることにより決定すればよ
い。具体的には、例えば、変換係数の非DC係数に対し
て用いられる非線形曲線の形状をDC係数に対して用い
られる非線形曲線の形状と異なるものとし、非DC係数
に対して用いられる非線形曲線は、変換係数の0近傍で
値が低下する曲線形状とすることが挙げられる。また、
上記直交変換手段をアダマール変換回路とし、上記逆直
交変換手段を逆アダマール変換回路とすることが好まし
い。
【0017】ここで、本発明に係るノイズ低減装置は、
アダマール変換ノイズ低減システムの1段階を最適化す
るものであり、このシステムに加えられたものは、画像
データからノイズを分離するように設計された非線形変
換曲線である。従来のシステムでは、この非線形曲線
は、高次のアダマール係数の小さなフィールド間あるい
はフレーム間差分をノイズに分類し、大きな差分を動き
と見なすように設計されている。しかし、本発明では、
高次及び非常に小さなフィールド間あるいはフレーム間
差分の両方を画像の動きであると見なしている。上記2
つを分離する非線形曲線は、これを考慮している。
【0018】
【作用】変換係数データのヒストグラムにより得られる
最適曲線を近似した非線形曲線を用いて、直交変換出力
の係数データを非線形処理しているため、現実の画像デ
ータに対して良好なノイズ低減効果を得ることができ
る。
【0019】
【実施例】本発明に係るノイズ低減装置の好ましい実施
例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本
発明に係るノイズ低減装置が適用される基本的な回路構
成の一例を示している。複合(コンポジット)映像信号
に対しては、このような回路の1つが用いられ、コンポ
ーネント映像信号に対しては、各信号成分(コンポーネ
ント)毎に別の回路が用いられる。
【0020】この図1において、入力端子101に供給
された入力ビデオ信号は、加算器102、103にそれ
ぞれ送られている。これらの加算器102、103はい
ずれも一方の入力から他方の入力を減算する第1、第2
の減算手段として動作している。第2の減算手段である
加算器103からの出力信号は、例えばフレームメモリ
を用いた画像メモリ104に送られて1フレーム遅延さ
れ、出力端子105より取り出される。なお、画像メモ
リ104にフィールドメモリを用いて、1フィールド遅
延させるようにしてもよい。
【0021】第1の減算手段である加算器102では、
入力端子101からの入力ビデオ信号(現在フレームの
信号)より、画像メモリ104からの遅延ビデオ信号
(1フレーム前の信号)を減算して、フレーム間差分信
号を取り出している。このフレーム間差分信号は、直交
変換信号処理部106を介して上記加算器103に減算
信号として送られている。画像メモリ104にフィール
ドメモリを用いる場合には、加算器102からはフィー
ルド間差分信号が取り出されることになる。
【0022】直交変換信号処理部106は、アダマール
変換回路等の直交変換回路107からの変換出力あるい
は変換係数を、非線形回路108を介して逆直交変換回
路109に送るような構成を有している。ここで、アダ
マール変換等により直交変換されて直交変換回路107
から得られる変換係数において、ノイズは各係数にほぼ
均等に分配される傾向があり、小さな係数値として表さ
れる。動きのある場合に、動き成分は各係数に不均等に
分配される傾向がある。この変換係数は、非線形曲線の
一群を有する回路108に通される。
【0023】ここで、本実施例における非線形回路10
8内の非線形曲線は、非DC係数に対して用いられる非
線形曲線として、図2に示されるようなものが用いられ
る。この図2のAは関数F(x) を示し、Bは入力と出力
との関係を示している。図2のBの入出力特性は、RO
Mに蓄えてルックアップテーブルとして用いることがで
きる。入力データに対してALU(算術論理ユニット)
等により計算を行って出力を得る場合には、図2のAの
特性を用いればよい。なお、DC係数に対して用いられ
る非線形曲線は、従来と同様な曲線を挙げることがで
き、これの具体例としては、前述した図8、図9に示す
ような非線形曲線や、後述する図10に示すような非線
形曲線を用いることができる。
【0024】非線形回路108からの非線形処理された
出力は逆直交変換回路109に送られて逆変換、例えば
逆アダマール変換され、加算器103に送られて上記現
在フレームの入力信号から減算される。
【0025】このようなノイズ低減装置の複数の実施形
態における各技術の主要な相違点としては、 (1)マトリ
クスの次数、 (2)非線形関数の形状、 (3)非線形関数の
パラメータの選択、 (4)サンプリング周波数、及び (5)
ビット精度が挙げられる。
【0026】次に、本実施例に用いられる上記図2に示
すような非線形曲線の意味、及びこれを用いる場合のノ
イズ低減作用について、以下に説明する。
【0027】画像信号の変換出力のヒストグラムデータ
の統計的分析を通じて、最適形状の曲線が開発された。
あらゆる画像に最適な曲線を決定することはできない。
しかし、メモリマップドROMを用いて曲線の形状を実
現することや、いくつかの乗算器を用いて形状の線形近
似をハードウェアで実現することはできる。
【0028】2つの画像系列、すなわち、(1) 動画像
(動きを含み、ノイズを含まない)及び (2)ノイズ有り
の画像(動きを含まずフィルムノイズを含む)から得ら
れるヒストグラムデータを組み合わせることにより、最
適の曲線が決定される。アダマール変換は直交している
から、空間領域のデータの変動は変換領域係数データの
変動に関連し得ることが示される。
【0029】画像系列のそれぞれから得られたヒストグ
ラムは、アダマール領域内の係数分布である。
【0030】動きのある画像における非線形関数の出力
は、ノイズ低減装置によって画像上に付加され、画像劣
化を表す。係数変動の和はこの画像劣化の自乗平均誤差
を表す。
【0031】ノイズ有りの画像について、非線形曲線の
入力と出力との差は、施されるノイズ低減量を表す。従
って、差の変動の和は、処理後の画像の自乗平均誤差
(MeanSquare Error 、以下MSEという。)を表す。
ノイズと動きは非相関信号であるから、動き劣化MSE
にノイズ低減MSEを加えることにより全体のMSEの
概算が得られる。これの数学的表現は、 MSEtotal =MSEmove+MSEnoise となる。すなわち、
【0032】
【数1】
【0033】ここで、σk,noise は、静的でノイズ有り
の画像系列についてのF(x) の入力と出力の間の差の係
数kの標準偏差、σk,moveは、ノイズを含まない画像系
列についてのF(x) の出力での係数kの標準偏差、Pは
変換行列である。
【0034】実際のヒストグラムデータの点から見てト
ータルMSEを表すためには、次の変数が導入される。
すなわち、Sk,move(n) は、ヒストグラムが動画像から
形成されたときに係数kが値nを受けたトータルの回数
を表す。例えば、係数値nが20に等しいとき、S
k,move(20)は、係数kが20の値を持つことのトータル
の発生回数である。Sk,noise (n) は、ヒストグラムが
ノイズ有り画像から形成されたときに係数kが値nを受
けたトータルの回数を表す。Fk (n) は、係数kと共に
使用される非線形関数を表す。|Max|は、nが等しく
なる最大値を表し、−Max<n<Max はヒストグラム
レベルの範囲である。
【0035】これらの新たな変数を用いて、動画像のM
SEは、次式で表される。
【0036】
【数2】
【0037】同様に、ノイズ画像のMSEは、次式で表
される。
【0038】
【数3】
【0039】従って、トータルのMSEは、
【0040】
【数4】
【0041】MSEを最適化するために、非線形曲線F
(x) の最適形状が決定されることが必要である。これ
は、MSEtotal を最小化することにより決定され、
【0042】
【数5】
【0043】加算式を最小化することは加算式の引き数
を最小化することに等しいから、上記{MSEtotal
min は、次の式を最小化することで決定される。
【0044】
【数6】
【0045】図3〜図6は、4つのサンプル係数の最適
の曲線を示しており、画像データの10フレームから取
り出されたヒストグラムデータを示している。ヒストグ
ラムのためのデータは、例えば4×4次アダマール行列
を用いてアダマール変換された係数出力データとして求
められる。各図は互いに異なる係数周波数に対応してい
る。すなわち、図3はDC係数(X=0、Y=0)、図
4〜図6は水平周波数が増加したもの(X=1〜3)に
それぞれ対応している。
【0046】これらの図3〜図6において、曲線aは動
画像のヒストグラム、曲線bはノイズ画像のヒストグラ
ム、曲線cは上記最適の曲線をそれぞれ示している。動
画像及びノイズ画像のヒストグラムは、原点で1に正規
化される。ノイズサンプルは「鳥」と称される青空の静
的な画像から得られ、動画像サンプルは「ダンス」と称
される一群の踊り手のノイズ無し画像から得られる。示
されたプロット形状は、他の動き/ノイズ組み合せによ
り決定された最適曲線を代表している。
【0047】図3のガウス曲線に似た非線形曲線は、X
=0,Y=0のDC(直流)項を代表する。しかし、他
のサンプルのほとんどでは、DC項の平均はゼロになっ
ている。図3のDC項は、「ダンス」系列がズーミング
を含んでいることにより、ゼロ平均ではない。DC項以
外の係数は、図4〜図6に示す典型的なサンプルのよう
に、ゼロ平均の曲線を持ち、最適曲線は原点で極小値を
持つ。2つのサイドローブは原点に対して対称である。
ヒストグラムの最大値が1に正規化されているので、図
4〜図6を見ると、この最小値の必要性を視覚的にとら
えることは困難である。ヒストグラム分布が確率密度関
数と見なせるならば、各分布曲線の囲む面積は1にな
る。動画像の係数についても面積が1の分布を持つため
には、0近傍の値が大きいことが必要とされる。これ
は、これらの係数について、0近傍領域では動きが支配
的であることを意味する。従って、最適曲線は、係数値
の高いものと非常に小さいものの両方を動きと考えるべ
きである。
【0048】先に述べたように、あらゆる画像のための
最適曲線を計算することは実用的でない。しかし、曲線
形状はいくつかのノイズ/動きの組み合せの特性である
ことから、最適曲線形状への近似はノイズ低減装置の有
効性を向上し得る。図3〜図6に見られる形状に類似の
形状は、ROMに蓄えてメモリマップとして使用し得
る。しかし、形状が他の動き/ノイズの組み合せについ
て類似していても、サイドローブのゲインと幅は変化す
る。ゲイン及び閾値変数を含む最適曲線への近似は、自
由度を増大し得る。非DC係数の最適形状の簡単な近似
である最適曲線への近似が提案されている。この新たな
F(x) 曲線の一例が、上述した図2に示したものであ
る。この曲線の式は、次の通りである。
【0049】
【数7】
【0050】ここで、Nはノイズ閾値、Kは関数のゲイ
ンであり、図2の例ではN=45、K=1の場合を示し
ている。また、図2のAは関数F(x) を、Bは入力デー
タxに対する出力データxF(x) をそれぞれ表してい
る。このような最適形状の近似曲線を表す関数として
は、他のより複雑な関数を提案することができるが、上
記関数は乗算器等のハードウェア構成が極めて少なくて
済むため、簡単に実現できるという利点を有する。さら
に、このような単純な近似によって改善が得られれば、
他のより複雑な近似はさらに大きな改善を生み出すこと
になる。
【0051】次に、図7〜図10は、本実施例の非線形
曲線(図2)との比較のために、非線形曲線の種々の形
状の例を示している。これらの図7〜図10において、
各Aは関数F(x) を、各Bは出力データxF(x) をそれ
ぞれ表している。
【0052】図7は、ストレート閾値の非線形曲線を示
し、この非線形曲線はノイズ低減に用いて望ましいもの
ではなく、最悪ケースの曲線として分類されるものであ
る。図8は、前述した海老原他の技術に用いられる関数
を表すものである。図9は、前述した中島他の技術にお
いて、このようなノイズ低減システムに用いるのに最適
の非線形曲線として選択されたものを示している。図1
0は、比較のために用いられるもう1つの非線形曲線を
示し、関数F(x) は、 F(x)= K ; |x|≦N/2 = 2K(N−|x|)/N ; N≧|x|>N/2 = 0 ; |x|>N である。図10の例では、ノイズ閾値N=40、関数の
ゲインK=1の場合を示している。
【0053】ここで、本実施例の上記新たな非線形曲線
(図2)、すなわち最適曲線の近似の曲線の性能を評価
するために、上記図7〜図10に示す4つの曲線と、図
2に示す曲線との統計的な比較を行った。この比較の結
果の概要を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】この表1において、画像データソースとし
ては、「鳥と顔」、「鳥とダンス」の2種類を用いてお
り、「鳥」はノイズ画像を、「顔」及び「ダンス」は動
きのある画像を示している。非線形曲線としては、上記
図7〜図10の各曲線、本実施例の上記図2の曲線、及
び上記最適曲線を用い、上記ノイズ閾値N及び関数のゲ
インKが全ての係数について固定された場合と、可変の
場合についてのMSE値をそれぞれ示している。
【0056】この表1からも明らかなように、最適曲線
の場合を除外した残り5つの方法の内で、「鳥と顔」及
び「鳥とダンス」の双方で、本実施例の方法が最良のM
SEを生成することがわかる。
【0057】次に図11及び図12は、上記図7〜図1
0に示した各非線形曲線と本実施例の上記図2の非線形
曲線とを用いた場合の、ノイズ閾値N及び関数のゲイン
Kの変化に対する自乗平均誤差、いわゆるMSEをそれ
ぞれ示している。すなわち、図11は最小MSEとなる
Kを選択した状態でのノイズ閾値Nの変化に対するMS
Eを示し、図12は最小MSEとなるNを選択した状態
でのゲインKの変化に対するMSEを示している。これ
らの図11及び図12において、曲線aは上記図7の非
線形曲線を用いた場合、曲線bは上記図8の非線形曲線
が用いられる上記海老原他の技術の場合、曲線cは上記
図9の非線形曲線が用いられる上記中島他の技術の場
合、曲線dは上記図10の非線形曲線を用いた場合、曲
線eは上記図2の非線形曲線を用いる本実施例の場合を
それぞれ示している。これは、最小MSEに加えて、K
及びNの変化に対するF(x) の感度も考慮する必要があ
ることを鑑みたものである。
【0058】図11から、上記海老原他の技術を示す曲
線b及び本実施例を示す曲線eがノイズ閾値Nの変化に
対する感度が低く、上記中島他の技術を示す曲線cが最
も感度が高いことがわかる。従って、もしユーザが目標
とする最小MSEを誤った場合に、上記海老原他の技術
及び本実施例では充分なノイズ低減効果を得ることがで
きるのに対し、他の技術ではノイズ低減効果が実質的に
低下する。
【0059】図12から、最小MSE近傍でのKについ
ての感度の違いは明瞭には現れないことがわかる。従っ
て、KについてのMSEの感度を考慮するときの明瞭な
最良の曲線はない。
【0060】従って、本実施例の新たな非線形曲線(図
2)を用いて、アダマール変換ノイズ低減装置のノイズ
低減効果を改善することができる。しかし、本実施例で
用いられる曲線は最適曲線の簡単な近似に過ぎない。こ
のような単純な近似でも性能を改善できることにより、
他の、より精密な近似を用いて、さらなる改善を実現す
ることができる。
【0061】このような上記最適曲線に近似した非線形
曲線を用いることで改善が図れるのは、0に非常に近い
領域の値が、ノイズによってではなく、動きのディテー
ルにより支配されることを認識したことによる。
【0062】また、各係数の非線形曲線が独立に選択さ
れることにより、ノイズ低減能力が拡大されることがわ
かる。
【0063】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
るものではなく、例えば、直交変換としては上記アダマ
ール変換に限定されず、離散コサイン変換等の各種直交
変換を用いることができる。また、非線形曲線も図2の
例に限定されず、上記図3〜図6の最適曲線を近似する
ような種々の非線形曲線を用いることができることは勿
論である。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係るノイズ低減装置によれば、入力ビデオ信号を1フ
ィールド又は1フレーム遅延する遅延手段と、上記入力
ビデオ信号と上記遅延手段からの出力との差をとること
によりフィールド間差分信号又はフレーム間差分信号を
出力する第1の減算手段と、この第1の減算手段からの
差分出力を直交変換する直交変換手段と、この直交変換
手段からの直交変換出力に非線形処理を施す非線形回路
と、この非線形回路からの出力を逆直交変換する逆直交
変換手段と、上記入力ビデオ信号と上記逆直交変換手段
からの出力との差をとって上記遅延手段に送る第2の減
算手段とを有し、上記非線形回路は、上記直交変換手段
から出力される変換係数データのヒストグラムにより得
られる最適曲線を近似した非線形曲線を有することによ
り、現実の画像データに対して良好なノイズ低減効果を
得ることができる。
【0065】上記非線形回路の上記非線形曲線は、動画
像及びノイズ有りの画像の変換係数から得られるヒスト
グラムデータを組み合わせることにより決定すればよ
い。具体的には、変換係数の非DC係数に対して用いら
れる非線形曲線の形状をDC係数に対して用いられる非
線形曲線の形状と異なるものとし、非DC係数に対して
用いられる非線形曲線は、変換係数の0近傍で値が低下
する曲線形状とすることにより、ノイズ低減能力が増大
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るノイズ低減装置の実施例が適用さ
れる基本的な回路構成を示すブロック回路図である。
【図2】本実施例のノイズ低減装置に用いられる非線形
回路の非線形曲線を示す図である。
【図3】画像データをアダマール変換して得られたDC
係数データのヒストグラムの一例を示す図である。
【図4】画像データをアダマール変換して得られた水平
周波数X=1の係数データのヒストグラムの一例を示す
図である。
【図5】画像データをアダマール変換して得られた水平
周波数X=2の係数データのヒストグラムの一例を示す
図である。
【図6】画像データをアダマール変換して得られた水平
周波数X=3の係数データのヒストグラムの一例を示す
図である。
【図7】ノイズ低減装置に用いられる非線形回路の従来
の非線形曲線の一例を示す図である。
【図8】ノイズ低減装置に用いられる非線形回路の従来
の非線形曲線の他の例を示す図である。
【図9】ノイズ低減装置に用いられる非線形回路の従来
の非線形曲線のさらに他の例を示す図である。
【図10】ノイズ低減装置に用いられる非線形回路の非
線形曲線の比較のための例を示す図である。
【図11】複数の非線形曲線についてのノイズ閾値を変
化させたときの自乗平均誤差MSEを示す図である。
【図12】複数の非線形曲線についての関数のゲインを
変化させたときの自乗平均誤差MSEを示す図である。
【符号の説明】
102、103 加算器 104 画像メモリ 107 直交変換回路 108 非線形回路 109 逆直交変換回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04N 7/30 H04N 7/133 Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ビデオ信号を1フィールド又は1フ
    レーム遅延する遅延手段と、 上記入力ビデオ信号と上記遅延手段からの出力との差を
    とることによりフィールド間差分信号又はフレーム間差
    分信号を出力する第1の減算手段と、 この第1の減算手段からの差分出力を直交変換する直交
    変換手段と、 この直交変換手段からの直交変換出力に非線形処理を施
    す非線形回路と、 この非線形回路からの出力を逆直交変換する逆直交変換
    手段と、 上記入力ビデオ信号と上記逆直交変換手段からの出力と
    の差をとって上記遅延手段に送る第2の減算手段とを有
    し、 上記非線形回路は、上記直交変換手段から出力される変
    換係数データのヒストグラムにより得られる最適曲線を
    近似した非線形曲線を有することを特徴とするノイズ低
    減装置。
  2. 【請求項2】 上記非線形回路の上記非線形曲線は、動
    画像及びノイズ有りの画像の変換係数から得られるヒス
    トグラムデータを組み合わせることにより決定されるこ
    とを特徴とする請求項1記載のノイズ低減装置。
  3. 【請求項3】 上記非線形回路の上記非線形曲線は、変
    換係数の非DC係数に対して用いられる非線形曲線の形
    状をDC係数に対して用いられる非線形曲線の形状と異
    なるものとし、非DC係数に対して用いられる非線形曲
    線は、変換係数の0近傍で値が低下する曲線形状を有す
    ることを特徴とする請求項1記載のノイズ低減装置。
  4. 【請求項4】 上記直交変換手段はアダマール変換回路
    であり、上記逆直交変換手段は逆アダマール変換回路で
    あることを特徴とする請求項1、2又は3記載のノイズ
    低減装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006310999A (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Sony Corp 画像処理装置および方法、並びにプログラム
JP2008541672A (ja) * 2005-05-20 2008-11-20 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ ビデオ符号化におけるノイズフィルタリング方法及び装置
US7676111B2 (en) 2005-02-28 2010-03-09 Kabushiki Kaisha Toshiba Image processing device and image processing method to detect and remove image noises

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