JPH07168009A - ビームスプリッタおよび光分岐回路 - Google Patents
ビームスプリッタおよび光分岐回路Info
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Abstract
偏光状態に依存しない一定の割合で光を分岐することが
できるビームスプリッタを提供する。 【構成】 基板11および各層121 ないし125 の屈
折率n1 ないしn5 が、nG =1.5、n1 =2.1、
n2 =2.3、n3 =1.45、n4 =2.3、n5 =
1.45という関係をほぼ満たし、中心波長λの光がお
よそ45度の入射角で入射されたときのi番の層におけ
る屈折角をθi としたときに、各層の幾何学的厚さdi
が、ni di cos(θi )=λ/4という関係を満た
すように構成する。
Description
られるビームスプリッタおよび光分岐回路に係わり、特
に、その偏光状態によらず、およそ45度で入射された
光の約85%を透過し、約15%を反射するビームスプ
リッタとそのビームスプリッタを用いた光分岐回路に関
する。
従来の銅ケーブルを用いた通信システムに代って、光フ
ァイバを用いた光通信システムに使用されるようになっ
てきている。このような光通信システムを構成する際に
は、電気・光変換や光・電気変換を行なう光能動デバイ
スの他に、光信号の分岐を行う光分岐回路や光路を時間
的または空間的に切り替える光スイッチなどの光受動デ
バイスが必要となる。
状態によらず、一定の割合で光を分岐できることが望ま
れる。この特性は、シングルモード光ファイバ伝送な
ど、光ファイバを伝搬する光の偏光状態が変化する系で
光分岐回路を使用する際に、特に必要となる。
を実現するには、ビームスプリッタと全反射素子とを組
み合わせることが必要であった。
なお、この光分岐回路は、特願昭61−112468号
公報で提案されているものである。光分岐回路は、光フ
ァイバ31とレンズ32と全反射素子33と誘電体多層
膜を用いたビームスプリッタ34とそれらを相互に固定
するための筐体35で構成される。全反射素子33は、
主に、ビームスプリッタ34への光の入射角度を小さく
(垂直入射に近く)するために設けられているものであ
り、たとえば、光ファイバ311 およびレンズ321 に
より筐体35内に入射された光は、全反射素子331 で
全反射され、小さな入射角度でビームスプリッタ34に
入射される。ビームスプリッタ34に入射された光は、
その一部が反射され、反射された光は、全反射素子33
2 で全反射されてから、光ファイバ312 に出力され
る。ビームスプリッタ34を透過した光は、全反射素子
333 により光ファイバ313 に導かれる。
プリッタ34への光の入射角度を小さくしているもの
は、従来のビームスプリッタでは、大きな入射角度(た
とえば、45度)で光が入射された場合には、その分岐
割合が、入射光の偏光状態により変化してしまうため、
それを防ぐためである。
ームスプリッタでは、光の偏光状態に分岐割合を依存さ
せないために、光の入射角度を制限する必要があったの
で、適当な角度で光を取り出せる光分岐回路を構成する
ためには、ビームスプリッタと全反射素子を組み合わせ
ることが必要であった。このため、光分岐回路を小型化
することが困難であるという問題があった。
入射された光に対して、その偏光状態に依存せずに一定
の割合で光を分岐することができるビームスプリッタを
提供することにある。
用いることなく、入射光の偏光状態に依存せずに一定の
割合で光を分岐することができる光分岐回路を提供する
ことにある。
タは、屈折率nG を有する基板上に、屈折率n1 ないし
n5 のそれぞれ幾何学的厚さd1 ないしd5 を有する膜
を順に積層した光学多層膜であって、基板および各層の
屈折率が、nG =1.5、n1 =2.1、n2=2.
3、n3 =1.45、n4 =2.3、n5 =1.45と
いう関係をほぼ満たし、中心波長λの光がおよそ45度
の入射角で入射されたときのi番の層における屈折角を
θi としたときに、各層の幾何学的厚さdi が、ni d
i cos(θi )=λ/4という関係を満たすものであ
る。
る基板の屈折率の範囲は、1.45から1.60であ
り、第1層の屈折率n1 の範囲は、2.02から2.2
0であり、第2層の屈折率n2 および第4層の屈折率n
4 の範囲は、2.25から2.38であり、第3層の屈
折率n3 および第5層の屈折率n5 の範囲は、1.44
から1.47である。また、媒体からこのビームスプリ
ッタに入射される光の入射角度は、40から50度であ
ることが望ましい。
記の第1層と第3層、または、第1層と第5層を置き換
えたものであってもよい。すなわち、第1層を屈折率が
およそ1.45である層として、第3層を屈折率がおよ
そ2.1である層にしてもよく、第1層を屈折率がおよ
そ1.45である層として、第5層を屈折率がおよそ
2.1である層にしてもよい。また、屈折率がおよそ
2.1である層を等価な効果を有する多層膜におきかえ
てもよい。
物質としては、酸化タンタル(Ta 2 O5 )を用いるこ
とができ、屈折率がおよそ1.45である層を構成する
物質としては、二酸化珪素(SiO2 )を用いることが
できる。また、屈折率がおよそ2.3である層を構成す
る物質としては、二酸化チタン(TiO2 )を用いるこ
とができる。これらの各層を基板上に形成する際には、
酸素プラズマによるイオン衝撃を併用した薄膜形成法を
使用することが望ましい。このような構成とすることに
より、およそ、45度の入射角度で入射された光を、そ
の偏光状態によらず、一定の割合で分岐できるビームス
プリッタを得ることができる。
内に固定し、固定されたビームスプリッタに対して、4
5度で光が入射されるように光ファイバを固定し接続す
るための手段と、その光ファイバから入射された光がビ
ームスプリッタにより、反射および透過される位置にそ
れぞれ光ファイバを固定し接続する手段とを設けた光分
岐回路を構成すれば、導入される光の偏光方向に依ら
ず、一定の割合で光を分岐することができる。また、各
光ファイバは、互いに90度または180度の関係を有
することになり、他の光デバイスとの接続が容易にな
る。
る。
スプリッタの構造を示し、表1に、ビームスプリッタを
構成する各層の形成に用いた物質とその物質で形成され
た膜の屈折率と膜厚を記す。図1に示したように、実施
例のビームスプリッタは、ガラス基板11に、第1層か
ら第5層の誘電体薄膜121 ないし125 を積層したも
のであり、それぞれの層は、二酸化珪素(SiO2 )、
二酸化チタン(TiO 2 )、または、酸化タンタル
(V)(Ta2 O5 )により形成されている。なお、実
施例のビームスプリッタを形成する際には、酸素プラズ
マによるイオン衝撃を併用した真空蒸着法を用いた。
は、波長1550nmの光を45度で入射したときに分
岐率の偏光依存性が小さくなるように、分光反射率特性
のシミュレーションを行なうことにより得たものであ
る。また、i番の層の膜厚diは、対応する屈折率をn
i とし、中心波長λの光がおよそ45度の入射角で入射
されたときのi番の層における屈折角をθi としたとき
に、ni di cos(θ i )=λ/4を満たすように定
めてある。
45度で光を入射したときの分光反射率特性の測定結果
を示す。このように、実施例のビームスプリッタでは、
設計波長である1550nmを中心とした波長範囲の光
が入射された際には、その光がS偏光、P偏光、いずれ
であっても、ほぼ、同一の反射率が得られる。なお、1
550nm付近での偏光依存性は、0.1デシベル以下
であった。
たものに限られるものではなく、表2に示すような範囲
の屈折率を持つ材料であればよい。また、それぞれの層
を、等価な光学特性を有する多層膜で構成してもよいこ
とは当然である。たとえば、屈折率およそ2.085の
層として、Ta2 O5 /SiO2 /Ta2 O5 やTa 2
O5 /TiO2 /Ta2 O5 などの3層構造を用いても
よい。
1層と第5層を置き換えても、偏光依存性がないビーム
スプリッタを構成できることが確認されている。すなわ
ち、第1層を屈折率がおよそ1.45である層として、
第3層を屈折率がおよそ2.1である層にしてもよく、
第1層を屈折率がおよそ1.45である層として、第5
層を屈折率がおよそ2.1である層にしてもよい。この
構成のビームスプリッタでは、図2に示した分光反射率
特性よりも、偏光依存性が少ない波長領域が狭くなるも
のの、設計波長における偏光依存性は、やはり、0.1
デシベル以下となった。
素分圧、基板温度を制御することにより、上記のような
屈折率の膜を得ることは可能であるが、プラズマを用い
ない場合には、再現性が悪く、また、緻密な膜が得られ
ない。このため、プラズマを用いない場合には、偏光依
存性がないビームスプリッタを得ることが困難であるこ
とに加え、作製されたビームスプリッタが雰囲気中の湿
度の影響を受けやすいものになり、長期間にわたって安
定に使用することができない。
た作製した光分岐回路の一例を示す。このように、本発
明のビームスプリッタを用いて光分岐回路を構成する場
合には、筐体35に、光ファイバ31を固定するための
部分を互いに直交するように設けておき、光ファイバ3
1からの入射光に対してビームスプリッタ34を45度
傾けて配置するだけで、光ファイバを通して入射された
光の偏光状態によらず、その光のおよそ15%を入射方
向とは90度異なる方向に取り出し、およそ85%を入
射方向と同方向に取り出すことができる。また、全反射
素子を使用する必要がないので、従来の光分岐回路に比
して小型化が容易である。
来のビームスプリッタでは入射光の偏光方向にその反射
率および透過率が依存する入射角度である45度を入射
角度としても、反射率と透過率に偏光依存性が生じな
い。このため、このビームスプリッタを用いることによ
り、全反射素子を用いることなく、入射光の偏光状態に
依らず、その入射光と同一方向に約85%の光を透過
し、入射光と直交する方向に約15%の光を反射する光
分岐回路を得ることができる。
概要を示す構成図である。
光波長依存性を示した特性図である。
示す構成図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 屈折率nG を有する基板上に、屈折率n
1 ないしn5 のそれぞれ幾何学的厚さd1 ないしd5 を
有する膜を順に積層した光学多層膜であって、 基板および各層の屈折率が、nG =1.5、n1 =2.
1、n2 =2.3、n 3 =1.45、n4 =2.3、n
5 =1.45という関係をほぼ満たし、 中心波長λの光がおよそ45度の入射角で入射されたと
きのi番の層における屈折角をθi としたときに、各層
の幾何学的厚さdi が、 ni di cos(θi )=λ/4 という関係を満たすものであることを特徴とするビーム
スプリッタ。 - 【請求項2】 屈折率nG を有する基板上に、屈折率n
1 ないしn5 のそれぞれ幾何学的厚さd1 ないしd5 を
有する膜を順に積層した光学多層膜であって、 基板および各層の屈折率が、nG =1.5、n1 =1.
45、n2 =2.3、n3 =1.45、n4 =2.3、
n5 =2.1という関係をほぼ満たし、 中心波長λの光がおよそ45度の入射角で入射されたと
きのi番の層における屈折角をθi としたときに、各層
の幾何学的厚さdi が、 ni di cos(θi )=λ/4 という関係を満たすものであることを特徴とするビーム
スプリッタ。 - 【請求項3】 屈折率nG を有する基板上に、屈折率n
1 ないしn5 のそれぞれ幾何学的厚さd1 ないしd5 を
有する膜を順に積層した光学多層膜であって、 基板および各層の屈折率が、nG =1.5、n1 =1.
45、n2 =2.3、n3 =2.1、n4 =2.3、n
5 =1.45という関係をほぼ満たし、 中心波長λの光がおよそ45度の入射角で入射されたと
きのi番の層における屈折角をθi としたときに、各層
の幾何学的厚さdi が、 ni di cos(θi )=λ/4 という関係を満たすものであることを特徴とするビーム
スプリッタ。 - 【請求項4】 屈折率がおよそ2.1である層を構成す
る物質が酸化タンタル(Ta2 O5 )であり、屈折率が
およそ1.45である層を構成する物質が二酸化珪素
(SiO2 )であり、屈折率がおよそ2.3である層を
構成する物質が二酸化チタン(TiO2 )であることを
特徴とする請求項1ないし請求項3記載のビームスプリ
ッタ。 - 【請求項5】 屈折率がおよそ2.1である層を複数の
膜で構成される等価膜の層で置き換えたことを特徴とす
る請求項1ないし請求項4記載のビームスプリッタ。 - 【請求項6】 前記基板上への各膜の積層が、酸素プラ
ズマによるイオン衝撃を併用した状態下で行われたこと
を特徴とする請求項1ないし請求項5記載のビームスプ
リッタ。 - 【請求項7】 請求項1ないし請求項6記載のビームス
プリッタと、 このビームスプリッタにほぼ45度で光を入射するため
に用いられる第1の光ファイバをそのビームスプリッタ
に対して配置し接続するための第1の接続手段と、 前記ビームスプリッタを透過した光が入射されるように
第2の光ファイバを前記ビームスップリッタに対して配
置し接続するための第2の接続手段と、 前記ビームスプリッタを反射した光が入射されるように
第3の光ファイバを前記ビームスップリッタに対して配
置し接続するための第3の接続手段とを具備したことを
特徴とする光分岐回路。
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