JPH0714041U - シリンダ錠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不正解錠や鍵違いキーによる不正解錠を防止
することができる構造簡単なディスクタンブラ型シリン
ダ錠を提供することを目的とする。 【構成】 ケース１の内周面に凹状のバー挿入溝２２を
設け、ケース１に嵌挿されるロータ５に、ディスクタン
ブラ２３が挿入される収容室１５を設け、収容室１５に
設けたバー挿入孔１８に、バー挿入溝２２に係脱するサ
イドバー２０を挿入し、収容室１５に突起係合部１９を
設け、ディスクタンブラ２３のほぼ中央にキー挿入孔２
４を設け、ディスクタンブラ２３に一側に、キー挿入に
よりサイドバー２０が挿入される係合溝２５を設け、他
側に、突起係合部１９に係合しディスクタンブラ２３の
回動支点となる突起２６を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ディスクタンブラ型のシリンダ錠に関し、詳しくは、不正解錠を防 止するディスクタンブラ型のシリンダ錠に関する。

【０００２】

【従来の技術】

シリンダ錠は、主要部品がダイキャストで製作され、大量生産可能であるため 安価に市場に提供される利点と、取り付けや施解錠操作が容易である利点がある ため、事務機器やロッカをはじめとして広い分野で使用されている。

【０００３】 ディスクタンブラ型シリンダ錠は、筒状のケースに回動可能に挿入されるロー タの内部に、鍵孔に連通する収容室が形成され、ほぼ中央にキー挿入孔を有する 複数個のディスクタンブラが収容室に移動可能に挿入され、スプリングによりロ ータの外周面から突出してケースに係合する方向に付勢されている。 鍵孔にキーを挿入すると、ディスクタンブラは、キーにキー挿入孔を押されて ロータの外周面に没入し、キーを解錠方向に回動することができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来のディスクタンブラ型シリンダ錠は、外部から鍵孔を通してディスクタン ブラのキー挿入孔を目視することができるので、このキー挿入孔の位置からキー コードを読み取ることができ、ピッキングツールによりディスクタンブラをロー タの外周面（シャーライン）に没入して不正解錠される問題があった。 このような不正解錠を防止するために、キー溝にピッキングツールを入れ難く したり、ディスクタンブラのキーコードを読み取り難くする工夫がなされている が、その構造上、ピッキングツールによる不正解錠を完全に防止することはでき なかった。 本考案はかかる課題を解決することを目的としており、不正解錠を防止でき、 しかも、構造が簡単なディスクタンブラ型シリンダ錠を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案のシリンダ錠は、 筒状に形成され内周面に凹状のバー挿入溝が設けられるケースと、該ケースに 回動可能に嵌挿され、前面の鍵孔に連通する収容室と外周面から上記収容室に貫 通するバー挿入用孔が設けられ、該バー挿入用孔の反対側の上記収容室内壁面に 突起係合部が設けけられるロータと、上記バー挿入用孔に挿入されスプリングに より先端部が上記バー挿入溝に係入する方向に付勢されるサイドバーと、上記収 容室に挿入され、ほぼ中央にキー挿入孔が設けられ、外周面の一側に上記サイド バーの後端部が係脱する係合溝が設けられ、他側に上記突起係合部に係合する突 起が設けられ、該突起を支点として回動可能な複数個のディスクタンブラと、該 ディスクタンブラを、係合溝がバー挿入用孔から離脱する方向に回動付勢するス プリングとにより構成した。

【０００６】

【作用】

上記のように構成されたシリンダ錠は、施錠時において、ディスクタンブラが 、突起を支点としてスプリングの付勢方向に回動し、各ディスクタンブラの係合 溝がバー挿入用孔から離脱している。 従って、サイドバーの後端部は係合溝に係入することができないので、先端部 がケースのバー挿入溝に係入状態にあり、ロータは回動することができない。

【０００７】 このような施錠状態のときに、外部から鍵孔を通してディスクタンブラの係合 溝やロータのバー挿入用孔を目視することはできないので、係合溝とバー挿入用 孔を一致させる不正解錠はできない。 正規のキーを鍵孔に挿通すると、キーが各ディスクタンブラのキー挿入孔を押 動し、ディスクタンブラは突起を支点として回動し、各係合溝がバー挿入用孔と 一致するので、サイドバーの後端部が各係合溝に係入可能になる。 この状態でキーを解錠方向に回動力を加えると、サイドバーの先端部がケース のバー挿入溝から押し出され、そのままロータは解錠位置まで回動する。

【０００８】

【実施例】

本考案の実施例について図面を参照して説明すると、図１はシリンダの縦断面 図、図２はシリンダ錠の施錠状態を示す図１のＸ−Ｘ断面図、図６はシリンダ錠 の分解斜視図である。 図６に示すように、筒状のケース１の前端部（図６において左端部）には、外 周面に鍔部２が設けられ、内周面に大径内周面３が形成され、外周面の中央部に 雄ねじ４が螺設される。

【０００９】 ケース１に回動可能に嵌挿されるロータ５は、前端部に鍔部６が周設され後部 に角軸部７が延設され、角軸部の角に雄ねじ８が螺設される（図１参照）。 鍔部６の外周面に、鍵孔９を有するキャップ１０が嵌着され、ロータ５の前端 部の開口１１にピン１２の両端部が固着され、ピン１２に枢着されるシャッタ１ ３が、ピン１２に巻回されるスプリング１４により、鍵孔９を閉鎖する方向に付 勢される（図６参照）。

【００１０】 ロータ５の内部に形成される収容室１５は、前部の開口１１に連通し、収容室 １５に設けられる隔壁１６により４つの区画に区分される（図１参照）。 ロータ５の外周面に設けられるバー挿入孔１８は、ロータ５の長手方向に平行 な長溝１８ａと、長溝１８ａより収容室１５に貫通する細長孔１８ｂとにより構 成される（図２参照）。 収容室１５の内壁面には、バー挿入孔１８の反対側に穿設された孔により、後 述するディスクタンブラ２３の突起２６が係合する突起係合部１９が形成される 。

【００１１】 バー挿入孔１８に挿入されるサイドバー２０は、長溝１８ａに挿入される先端 部２０ａと、先端部２０ａよりも薄肉に形成され、細長孔１８ｂに挿入される後 端部２０ｂとを有し、先端部２０ａの先端面は山形形状に形成される（図２参照 ）。 長溝１８ａの底面と先端部２０ａとの間にサイドバースプリング２１が挿入さ れ、サイドバー２０は、ロータ５の外周面から突出する方向に付勢され、ケース １に内周面に設けられた凹状のバー挿入溝２２に係入する方向に付勢される（図 ２参照）。

【００１２】 バー挿入溝２２は、中央から両端に向かって浅くなる傾斜面を有し、サイドバ ー１９の先端部１９ａがバー挿入溝２１に挿入された状態でロータ５に回動力が 加わると、バー挿入溝２１の傾斜面に押された先端部１９ａが、ロータ５内に没 入する方向に押動される。

【００１３】 収容室１５の各区画にそれぞれ挿入されるディスクタンブラ２３は、ほぼ中央 部にキー挿入孔２４が設けられ、外周面の一側（図２において右側）に、サイド バー２０の後端部２０ｂが係脱する係合溝２５が設けられ、他側に突起２６が形 成される。 突起２６は、収容室１５の突起係合部１９に係入するが、突起係合部１９に対 して滑り接触が可能である。

【００１４】 ディスクタンブラ２３の右側上面と収容室１５の上壁面との間にスプリング２ ７が挿入され、ディスクタンブラ２３は、突起２６を支点として時計方向に付勢 され（図２参照）、キー挿入孔２４がキーに押されたときに、ディスクタンブラ ２３が反時計方向に回動して、係合溝２５とバー挿入孔１８が一致し、サイドバ ー２０が係合溝２５に係入するようになっている。

【００１５】 キー挿入孔２４は、突起２６と係合溝２５のほぼ中央に位置するので、突起２ ６を支点としてディスクタンブラ２３が回動するとき、係合溝２５の移動量はキ ー挿入孔２４の移動量の約２倍になる。 従って、係合溝２５の溝幅やサイドバー２０の後端部２０ａの肉厚をそれだけ 厚くすることができる利点がある。

【００１６】 ロータ５の角軸部７には、角孔を有する回動量規制カム２８とタング２９が挿 通され、次にワッシャ３０が挿通された後に、角軸部７の雄ねじ８に小ナット３ １がねじ込まれ、ケース１の鍔部２にケースリング３２が装着される（図１及び 図６参照）。 以上のように組付けされたシリンダ錠は、ドアなどの孔に挿通された後に、ケ ース１の雄ねじ４に螺合する大ナット３３を締め込むことにより、ドアなどに締 着される。

【００１７】 次に、本考案のシリンダ錠の作用を図２〜図５に基づいて説明すると、施錠状 態では、スプリング２７に押された各ディスクタンブラ２３が、突起２６を支点 として、図２において時計方向に回動し、係合溝２５がバー挿入用孔１８から離 れた位置にある。 このような施錠状態では、サイドバー２０の後端部２０ｂは係合溝２５に係入 することができないので、先端部２０ａがケース１のバー挿入溝２２に係入し、 ロータ５の回動を阻止している。

【００１８】 この施錠状態では、外部から鍵孔９を通して内部を観察しても、各ディスクタ ンブラ２３のキー挿入孔２４を見ることができても、ディスクタンブラ２３の係 合溝２５やロータ５のバー挿入用孔１８を目視することはできないので、係合溝 ２５とバー挿入用孔１８を一致させることはできない。 すべてのディスクタンブラ２３の係合溝２５が同時にバー挿入用孔１８に一致 しない限り、サイドバー２０の先端部２０ａがケース１のバー挿入溝２２から抜 け出すことはできず、ロータ５は回動を阻止されているので、不正解錠はできな い。

【００１９】 正規のキーを鍵孔９に挿通すると、キーが各ディスクタンブラ２３のキー挿入 孔２４の内面を押動し、各ディスクタンブラ２３は突起２６を支点として反時計 方向に回動し、係合溝２５がバー挿入用孔１８に一致する（図３参照）。 次に、キーに解錠方向の回動力を加えると、ロータ５と共に回動しようとする サイドバー２０の先端部２０ａがケース１のバー挿入溝２２から押し出され、後 端部２０ｂが係合溝２５に挿入されるので、ロータ５が回動可能になり（図４参 照）、キーにより解錠操作することができる。

【００２０】 鍵違いキーを鍵孔９に挿通すると、キーがディスクタンブラ２３のキー挿入孔 ２４を押動する量が異なり、係合溝２５ではこの相違量が２倍に拡大され、係合 溝２５とサイドバー２０との離隔量が大きくなり、サイドバー２０が係合溝２５ に係入するおそれはない（図５参照）。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏 する。 (1) ディスクタンブラの回動支点の構造が簡単であり、加工が容易である。 又、回動支点の摩擦抵抗が小さいので、ディスクタンブラは円滑に回転する ので、キーの施解錠の操作性がよい。 (2) 鍵孔を通して係合溝やサイドバーを見ることはできない。しかも、すべての ディスクタンブラの係合溝の位置が同時にサイドバーに一致しないかぎり解錠 されないので、不正解錠はできない。 (3) キーによりディスクタンブラが回動するとき、係合溝の移動量は、キー挿入 孔の移動量の約２倍に拡大されるので、サイドバーの強度や耐久性が増加され る利点と、コードの異なるキーで解錠される危険性がないなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】シリンダの縦断面図である。

【図２】シリンダ錠の施錠状態を示す図１のＸ−Ｘ断面
図である。

【図３】シリンダ錠に正規のキーが挿入された状態を示
す図１のＸ−Ｘ断面図である。

【図４】シリンダ錠のロータ回動開始状態を示す図１の
Ｘ−Ｘ断面図である。

【図５】シリンダ錠に鍵違いキーが挿入された状態を示
す図１のＸ−Ｘ断面図である。

【図６】シリンダ錠の分解斜視図である。

【符号の説明】

１ ケース ５ ロータ ９ 鍵孔 １５ 収容室 １８ バー挿入用孔 １９ 突起係合部 ２０ サイドバー ２１ サイドバースプリング ２２ バー挿入溝 ２３ ディスクタンブラ ２４ キー挿入孔 ２５ 係合溝 ２６ 突起 ２７ スプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状に形成され内周面に凹状のバー挿入
   溝が設けられるケースと、該ケースに回動可能に嵌挿さ
   れ、前面の鍵孔に連通する収容室と外周面から上記収容
   室に貫通するバー挿入用孔が設けられ、該バー挿入用孔
   の反対側の上記収容室内壁面に突起係合部が設けけられ
   るロータと、上記バー挿入用孔に挿入されスプリングに
   より先端部が上記バー挿入溝に係入する方向に付勢され
   るサイドバーと、上記収容室に挿入され、ほぼ中央にキ
   ー挿入孔が設けられ、外周面の一側に上記サイドバーの
   後端部が係脱する係合溝が設けられ、他側に上記突起係
   合部に係合する突起が設けられ、該突起を支点として回
   動可能な複数個のディスクタンブラと、該ディスクタン
   ブラを、係合溝がバー挿入用孔から離脱する方向に回動
   付勢するスプリングとにより構成されるシリンダ錠。