JPH0712827B2 - テレスコピツクステアリング装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ステアリングシヤフトが伸縮自在で長さを調
節できるテレスコピツクステアリング装置に関するもの
である。

〔従来の技術〕

一般に、自動車のステアリング装置は、運転者の最適ド
ライビングポジシヨンを確保できるように、ステアリン
グホイールが上下方向へ傾動する所謂チルト機構のほ
か、ステアリングホイールが運転者側へ進退する所謂テ
レスコピツク機構が設けられることがある。

従来のテレスコピツクステアリング装置は、例えば特開
昭60−18449号公報に示された如く、ステアリングシヤ
フトを互いに抜き差し可能であると共に一体として周方
向へ回転可能な一対のシヤフトで構成する一方、ステア
リングシヤフトを被覆するコラムジヤケツトを互いにネ
ジによつて抜き差し可能な固定ジヤケツトと可動ジヤケ
ツトで構成する。可動ジヤケツトには、ステアリングホ
イールを取付けた前記一対のシヤフトの一方を周方向へ
回転可能に支承させるとともに、両者が一体として軸方
向へ移動可能に構成する。そして、この両者を一体とし
て軸方向へ移動させる構成としては、電動モータの回転
を可動ジヤケツトに伝達し、可動ジヤケツトが固定ジヤ
ケツトに対し回転駆動されるようにした。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の如きテレスコピツクステアリング
装置によれば、可動ジヤケツトの回転により伸縮する可
動側のステアリングシヤフトが伸びきつた場合に、ステ
アリングコラムの剛性が大幅に低下し、自動車のアイド
リング又は高速走行時の車体振動に応じて共振し、運転
者に不快、不安感を与えるおそれがなくもない。すなわ
ち、ステアリングシヤフトは互いに軸方向へ容易に移動
できるようにクリアランスを設けたスプライン係合がな
されている一方、固定ジヤケツトと可動ジヤケツトとは
同様にクリアランスにあるネジ係合である為に、もとも
とこの種のテレスコピツクステアリング装置は所謂ガタ
の多くなる構成である。また、ステアリングシヤフトの
一方が伸び切ると、ブラケツトのチルト中心からステア
リングホイールまでの長さ比が大きくなるので梃子比の
関係上、ステアリングコラムの剛性は伸び切つていない
場合に比べやや低下するということに依るものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記問題の解決を図るため、互いに抜き差し可
能かつ一体として周方向へ回転可能な一対のシヤフト
と、該シヤフトの一方を軸方向へ挿入して回転可能に支
持するとともに、一端外周部に螺部を形成してなるイン
ナージヤケツトと、該インナージヤケツトの螺部と螺合
する螺部を内周面に形成してなるスリーブと、該スリー
ブを挿入して回転可能にブラケツトに固定するアウター
ジヤケツトと、該アウタージヤケツトに固定され前記ス
リーブを回転させる駆動手段と、前記アウタージヤケツ
トに穿設した透孔を介しインナージヤケツトと接触可能
な押子体と、該押子体をインナージャケットの軸線と直
交する方向へ押圧付勢する楔体と、前記押子体と楔体を
収納するとともに、該楔体のテーパー面に常接する傾斜
面を有して前記アウタージャケットに固着されたカバー
と、前記楔体を前記カバーへ押圧付勢する弾機とからな
るテレスコピツクステアリング装置を構成した。

〔作用〕

本発明によると、スリーブを回転させると、インナージ
ヤケツトがアウタージヤケツト内で軸方向へ移動する。
例えばスリーブが正回転するとインナージヤケツトがア
ウタージヤケツトの外方へ伸び、またこの逆にスリーブ
の逆回転でインナージヤケツトがアウタージヤケツト内
に収縮する。そして、このようなインナージヤケツトの
軸方向移動に際し、押子体はインナージヤケツトを常に
一定の付勢力を有する弾機でカバー内に食い込む楔体に
てスリーブの内周面に押し付けられるので、インナージ
ャケットとアウタージャケットが密に係合するととも
に、螺部の螺合のクリアランスを少なくして緊密に係合
するため、スリーブからインナージヤケツトが伸び切つ
てもステアリングコラムの剛性は低下することなく一定
に保持される。

〔実施例〕

以下に本発明を図示の実施例に基づき説明する。第１図
は縦断側面図、第２図は第１図Ａ−Ａ断面図、第３図は
分解斜視図である。

第１図及び第２図に示した如く、車体に固定される固定
ブラケツト１に、チルトヒンジ２を介し回動可能に可動
ブラケツト３が軸着されている。可動ブラケツト３には
アウタージヤケツト４と連結したハウジング５が設けら
れ、このハウジング５の内部にはスリーブ６が軸受6a,6
bを介し回転自在に挿入されている。6c,6dはそれぞれＣ
リング及び弾性体（ゴム）からなり、軸受6a,6bのスト
ツパの働きをしている。スリーブ６は外周部にウオーム
ホイール７が設けられるとともに、内周面には所定ピツ
チの螺部８が刻設されている。このウオームホイール７
と係合するウオーム９を備えたギアドモータなどの電動
モータ10がハウジング５に固定され、ウオーム９はウオ
ームホイール７と係合可能にハウジング５内に挿入され
ている。一方、アウタージヤケツト４には軸方向へイン
ナージヤケツト11が挿通され、このインナージヤケツト
11の内端部にはスリーブ６の螺部８と螺合する螺部12が
刻設されている。更に、インナージヤケツト11には軸方
向の長孔13が一定長（ステアリングシヤフトの伸縮長と
同じ）で穿設され、この長孔13に嵌合するピン14がアウ
タージヤケツト４の内周面に突設されている。そして、
このインナージヤケツト11には軸方向でシヤフト15が挿
入され、シヤフト15の一端は軸受16で、他端は軸受11a
で、それぞれインナージヤケツト11内に回転自在に支承
されている。シヤフト15は中空体からなり、一端にステ
アリングホイール17が、また他端にはスプライン係合で
中実体からなるシヤフト18が軸方向移動可能、かつ、周
方向回転可能に挿入されている。シヤフト18はアウター
ジヤケツト４及びハウジング５を貫通して可動ブラケツ
ト３の他側に延び、固定ブラケツト１のチルトヒンジ２
近傍でトラニオン19aを有する自在継手19と連結されて
いる。自在継手19にはステアリングロアシヤフト（図示
略）が連結され、このステアリングロアシヤフトはステ
アリングギア（図示略）と接続される。

一方、上記アウタージヤケツト４には透孔20が穿設さ
れ、この透孔20には押子体21が挿入される。第２図及び
第３図に示した如く、この押子体21はインナージヤケツ
ト11の外周面に圧接する弧状面22を一端に有し、他端に
楔体23を載置できる柱状金属又は合成樹脂材からなる。
楔体23は第２図に示した如く、テーパー面24と対する傾
斜面が押子体21と常接するように片屋根状のカバー25に
収納されている。楔体23には、インナージヤケツト11の
軸心と直交する方向からゴム又はスプリングなどの弾機
26が当接して楔体23をカバー25に押圧している。弾機26
は、ストツパ27を、カバー25に蓋するごとくかしめ結合
しカバー25内に付勢して挿入固定され、よつて楔体23は
押子体21を常に一定の圧力でインナージャケット11の軸
心と直交する方向でインナージャケット11に押付けてい
る。

次に上記実施例の作用を説明すると、シヤフト15を軸方
向へ移動させるには、電動モータ10を回転駆動してウオ
ーム９を回転させ、ウオーム９と係合するウオームホイ
ール７を回転させる。ウオームホイール７が回転する
と、スリーブ６がハウジング５内でその軸心を中心とし
て回転する。スリーブ６の回転により螺部8,12を介しイ
ンナージヤケツト11が長孔13とピン14とで回転を制止さ
れて軸方向へ移動する。そのため、シヤフト15とインナ
ージヤケツト11とは一体としてアウタージヤケツト４か
ら伸縮できる。したがつて、電動モータ10の正逆回転の
選択操作によつてシヤフト15の伸縮選択は自在であり、
適宜の伸縮長さにおいて電動モータ10の回転を止めると
その位置が固定され、ステアリングホイール17を最適位
置に設定できる。

一方、上記のようにインナージヤケツト11がアウタージ
ヤケツト４から伸縮するとき、押子体21はインナージヤ
ケツト11に常に一定の圧力で押付けられるので、その押
圧方向の螺部8,12は密に螺合してクリアランスを少なく
する一方、インナージヤケツトをアウタージヤケツトに
押付けるので、シヤフト15が伸び切つても所謂ガタがな
く、剛性が向上する。また、インナージヤケツト11が軸
方向へ移動するとき、押子体21は、インナージヤケツト
11の軸線と直交する方向から楔体23を押圧する弾機26を
有するので、楔体23はその付勢力によつてインナージヤ
ケツト11の摺動時に跳ね上がることもなく、アウタージ
ヤケツト４とインナージヤケツト11との隙間方向へ抜け
出る不都合を生じ難いものである。

〔発明の効果〕

以上に説明した本発明によれば、ステアリングホイール
を軸着したシヤフトが伸縮調節可能であるからテレスコ
ピツクステアリング装置としての効果を奏するのは勿論
のこと、従来のテレスコピツクステアリング装置の欠点
とされたシヤフト伸長時の剛性低下に対処すべく、弾機
と楔体を介し押子体をインナージャケットの軸線と直交
する方向へ押圧するようにしたので、インナージヤケツ
トとアウタージヤケツトが密に係合して剛性を向上させ
る結果、所謂ガタが減少する為、アイドリング時や高速
走行時における車体の振動に応じて共振することがな
く、よつて運転者に不快、不安感を生じさせない。ま
た、ステアリングコラムからシャフトに荷重が入力され
ても、楔体とカバーとの係合により、押子体は容易に動
くことがないので、剛性が常に保たれるとともに、弾機
の押圧力も小さくて済むので、ジャケット間の摺動は円
滑に行うことができる、等の著効がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦断側面図、第２図は第１図Ａ−Ａ断面図、第
３図は分解斜視図である。 ４…アウタージヤケツト、５…ハウジング、６…スリー
ブ、７…ウオームホイール、8,12…螺部、９…ウオー
ム、10…電動モータ、11…インナージヤケツト、13…長
孔、14…ピン、15,18…シヤフト、17…ステアリングホ
イール、20…透孔、21…押子体、23…楔体、25…カバ
ー、26…弾機、27…ストツパ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに抜き差し可能かつ一体として周方向
   へ回転可能な一対のシャフトと、該シャフトの一方を軸
   方向へ挿入して回転可能に支持するとともに、一端外周
   部に螺部を形成してなるインナージャケットと、該イン
   ナージャケットの螺部と螺合する螺部を内周面に形成し
   てなるスリーブと、該スリーブを挿入して回転可能にブ
   ラケットに固定するアウタージャケットと、該アウター
   ジャケットに固定され前記スリーブを回転させる駆動手
   段と、前記アウタージャケットに穿設した透孔を介しイ
   ンナージャケットと接触可能な押子体と、該押子体をイ
   ンナージャケットの軸線と直交する方向へ押圧付勢する
   楔体と、前記押子体と楔体を収納するとともに、該楔体
   のテーパー面に常接する傾斜面を有して前記アウタージ
   ャケットに固着されたカバーと、前記楔体を前記カバー
   へ押圧付勢する弾機とからなることを特徴とするテレス
   コピツクステアリング装置。