JPH07127478A - ４サイクルエンジンのタイミングチェーンケース構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ４サイクルエンジンのシリンダブロック側面
とチェーンカバーにより形成されるタイミングチェーン
ケースの構造を、テンショナーのプッシュロッドシリン
ダをシリンダブロックに対して高い剛性で取り付けるこ
とができ、しかも、チェーンケースの外部からテンショ
ナープッシュロッドのメンテナンスが可能なように設置
できるようなものとする。 【構成】 ４サイクルエンジンのシリンダブロック１５
側面とこれを覆うチェーンカバー１６とによって形成さ
れるタイミングチェーンケースにおいて、シリンダブロ
ック１５側面におけるチェーンカバー１６との合わせ面
１５ａ，１５ｂを、その横断面の左右方向において段差
を生じるように形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、４サイクルエンジンの
シリンダブロック側面とこれを覆うチェーンカバーとに
よって画成されるタイミングチェーンケースの構造に関
する。

【０００２】

【従来の技術】４サイクルエンジンにおいては、エンジ
ン上部に配置されているバルブを開閉させるために、ク
ランク軸の回転を一定の比率でバルブのカム軸に伝達す
るためのタイミングチェーン（あるいはタイミングベル
ト）が設けられており、そのためシリンダブロックの側
面には、クランク軸に固定されているスプロケットと、
スプロケットに噛合してエンジン上部のカム軸にクラン
ク軸の回転を伝達するためのチェーン（あるいは歯付き
ベルト）が配置されている。

【０００３】このタイミングチェーン（以下、タイミン
グベルトについても同様）に対しては、チェーンの振れ
を防止すると同時に長期の使用による伸びを自動的に調
整するためのテンショナーが設けられ、また、シリンダ
ブロック側面にはチェーンを覆うためのチェーンカバー
が取り付けられて、それらによって画成されるケース内
にチェーンが収納され、このチェーンカバーの外方に
は、更に、クランク軸の回転をオルタネーターや冷却フ
ァン等の回転軸に伝達するためのプーリーやベルトが配
置されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な４サイクルエンジンにおいて、テンショナーのメンテ
ナンスを外部から行うことを可能とするためにテンショ
ナーのプッシュロッドシリンダをチェーンカバーに設置
すると、その取付け剛性が低くなると共に、チェーンカ
バー側に支持されるプッシュロッドとシリンダブロック
側に枢着されるテンションアームの相対的な位置関係が
エンジンの振動によるチェーンカバーの振れによる影響
を直接受けることとなって、テンショナーのチェーンの
振れを防止したりチェーンの伸びを自動的に調整すると
いう機能に悪影響を与えるいう問題が生じる。

【０００５】本発明は、上記のような従来の４サイクル
エンジンのタイミングチェーンケースの持つ不都合を解
消することを目的としており、より具体的には、シリン
ダブロック側面とチェーンカバーにより画成されるタイ
ミングチェーンケースの構造を、テンショナーのメンテ
ナンスがチェーンカバーの外部から可能で、かつ、テン
ショナーのプッシュロッドシリンダをシリンダブロック
に対して高い剛性で取り付けることができるようなもの
とすることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決しかつ目的を達成するために、４サイクルエンジン
のシリンダブロック側面とこれを覆うチェーンカバーと
によって画成されるタイミングチェーンケースの構造に
おいて、シリンダブロック側面におけるチェーンカバー
との合わせ面を、その横断面の左右方向において段差を
生じるように形成することを特徴とするものである。

【０００７】

【作 用】上記のような構成によれば、シリンダブロッ
クの合わせ面凸側の側方において、その端部がタイミン
グチェーンケースの外部に出るようにプッシュロッドシ
リンダをシリンダブロックに固定して設置することによ
り、テンショナーのメンテナンスをチェーンカバーに関
係なくチェーンケースの外部から行うことが可能とな
り、しかも、プッシュロッドシリンダを高い剛性で取り
付けることができる。

【０００８】また、テンショナーのプッシュロッドとテ
ンションアームとが共にシリンダブロック側に設置され
ることによって、エンジンの振動によるチェーンカバー
の振れがテンショナーとチェーンの関係に影響を与える
ようなことはない。

【０００９】

【実施例】以下、本発明のタイミングチェーンケース
を、自動車の多気筒４サイクルエンジンについての一実
施例によって、図面に基づいて説明する。

【００１０】図１は、多気筒エンジンを気筒列方向から
見たときのエンジンに対する付属品の配置状態を示すも
ので、エンジン１の周辺には、オルタネーター２，パワ
ーステアリング用ポンプ３，エアコン用コンプレッサー
４等の付属品が配置されており、それら付属品を作動さ
せるためのそれぞれの回転軸２１，３１，４１とエンジ
ンのクランク軸１１とは、エンジン１に付設されている
ウォーターポンプ５の回転軸５１と共に、それぞれに設
けられた各プーリー１２，２２，３２，４２，５２に掛
け渡された１本のベルト７によって連動されるようにな
されていて、エンジン１の下方にはフィルター部を有す
るオイルクーラー８が付設されている。

【００１１】図２は、図１におけるエンジン１を示すも
ので、上部にヘッドカバー１３を設けたシリンダヘッド
１４と、側面がチェーンカバー１６によって覆われてい
るシリンダブロック１５（本実施例ではこの部分はシリ
ンダブロック本体とクランクケースとからなる）と、シ
リンダブロック１５の下方に設置されるオイルパン１７
とからなるもので、シリンダブロック１５の側面とチェ
ーンカバー１６によってその間にタイミングチェーンケ
ースが画成されていると共に、チェーンカバー１６の表
面にはウォーターポンプ５が付設されている。

【００１２】図３は、図２に示されているエンジン１か
らチェーンカバー１６を取り外した状態を示すもので、
シリンダブロック１５の側面には、その上方にウォータ
ーポンプ５へ冷却水を導入するための導入口１８とシリ
ンダブロックのウォータージャケットへ冷却水を導入す
るための開口部１９が開口されており、その下方にオイ
ルクーラー８へオイルを導入するためのオイル通路８３
が開口されていると共に、タイミングチェーンケースと
して画成される空間部分には、クランク軸１１に固定さ
れているスプロケット６０と、スプロケット６０に並列
に設けられたそれぞれのチェーン係合歯に噛合するチェ
ーン６１，６２が配置されている。

【００１３】チェーン６１は、エンジン上部に配置され
ている１気筒当たり吸気３バルブ，排気２バルブの５バ
ルブツインカム（図示されていない）の吸気カム軸６４
と排気カム軸６５にクランク軸１１の回転を伝動するた
めのもので、中間の回転軸６７を介して上段のチェーン
６８により各カム軸６４，６５を回転させる２段式タイ
ミングチェーンの下段チェーンとなるものであり、チェ
ーン６２は、エンジン下部のオイルパン１７内に設置さ
れているオイルポンプ（図示されていない）の回転軸６
３にクランク軸１１の回転を伝動するためのものであ
る。

【００１４】このツインカムバルブの各カム軸６４，６
５を回動させるための２段式タイミングチェーンに対し
て、上段チエーン６８にはシリンダヘッド１４にテンシ
ョナー７１が、下段チエーン６１にはシリンダブロック
１５にテンショナー７２がそれぞれ外部からメンテナン
ス可能なように設置されている。

【００１５】なお、吸気カム軸６４，排気カム軸６５お
よび中間の回転軸６７は、シリンダヘッド１４にテンシ
ョナー７１を設置するためのスペースを確保するため
に、クランク軸１１を通る中心線に対して通常よりも若
干テンショナー７１と反対方向にずらされている。

【００１６】さらに、図２に示されているように、シリ
ンダブロック１５の側面がチェーンカバー１６で覆われ
た状態において、タイミングチェーンケースのアウター
ハウジングとなっているチェーンカバー１６の外面に
は、タービンハウジング５３とウォータージャケット開
口部１９への冷却水通路５４とオイルクーラー８への冷
却水通路５５とを形成するための各部分が一体化された
カバー部材５０がボルトで固着されることにより、ウォ
ーターポンプ５が付設されている。

【００１７】このウォーターポンプ５は、図５に示され
ているように、そのハウジング部分がチェーンカバー１
６に一体的に形成されていて、このハウジング部分がカ
バー部材５０で覆われることによりタービンハウジング
５３とこれに続く各冷却水通路５４，５５として形成さ
れるもので、タービンハウジング５３内にはタービン５
７が設置されることとなり、タービン５７の回転軸５１
がカバー部材５０の外方にまで延ばされ、その先端にエ
ンジン１のクランク軸１１の回転に連動させるためのプ
ーリー５２が取り付けられて、図７に示されているよう
に、冷却水を循環させるものである。

【００１８】なお、ウォーターポンプ５の冷却水通路５
５からオイルクーラー８への冷却水の流入通路について
は、図６に示されているように、チェーンカバー１６と
カバー部材５０とによって形成された冷却水通路５５の
端部から、チェーンカバー１６に貫通された通路５５ｂ
を経由して、オイルクーラー８の冷却水導入部８１から
オイルクーラー８内に冷却水が導入されるものである。

【００１９】ウォーターポンプ５のオイルクーラー８へ
の冷却水通路５５については、上記の実施例のようなチ
ェーンカバー１６とカバー部材５０とによって形成され
たものだけでなく、例えば、図８に示されているよう
に、オイルクーラー８への冷却水通路５５をチェーンカ
バー１６の裏側に一体的に形成したり、また、図９に示
されているように、オイルクーラー８への冷却水通路５
５をシリンダブロック１５自体に形成したりすることに
より、ホース等の部材を用いることなくエンジンの構成
部材によって一体的に形成することが可能なものであ
る。

【００２０】何れにしても、シリンダブロック１５側面
のチェーンカバーとの合わせ面１５ａ，１５ｂが横断面
の左右方向において段差が生じるように形成されてお
り、その合わせ面１５ｂ側のチェーンカバー１６部分に
ウォーターポンプ５が形成されることとなるため、シリ
ンダブロック側面とチェーンカバーの合わせ面が面一に
形成されている場合と比べて、ウォーターポンプ５をシ
リンダブロック１５側面からあまり突出しないような状
態で設置することができる。

【００２１】図９は、エンジン１を車体に固定するため
のマウントブラケット９とこれに対するエンジン１の取
付部を示すもので、マウントブラケット９は、シリンダ
ヘッド１４とシリンダブロック１５の両方に跨がるよう
に取り付けられ、車体への取付部９１と、エンジン１の
各部分１０ａ，１０ｂ，１０ｃ，１０ｄに対してそれぞ
れボルトで固着するための固着部９０ａ，９０ｂ，９０
ｃ，９０ｄが設けられていると共に、オルタネーター２
の上方の取付部２４をボルトで固定するための固着部９
２が設けられている。

【００２２】そして、オルタネーター２は、その上方の
取付部２４がマウントブラケット９の固着部９２にボル
トで固定されると共に、その下方の取付部２３がシリン
ダブロック１５に一体的に形成されたオルタネーター支
持部１５ｃの固着部１５ｄにボルトで固定されることに
よって、エンジン１に対して、図１に示されているよう
に、その上下で取り付けられることとなる。

【００２３】これによって、オルタネーター２の下方取
付部２３ではエンジンへの取付け剛性が高いものとな
り、上方取付部２４では、マウントブラケット９により
車体に対して固定されるため、その部分でのエンジンの
振動による取付け状態への影響が少なくなり、また、オ
ルタネーター２の仕様に変更があった場合には、マウン
トブラケット９をそれに合わせて取り替えることにより
これに対応することができる。

【００２４】以上に述べたようなエンジン１において、
シリンダブロック１５側面のチェーンカバーとの合わせ
面１５ａ，１５ｂは、図４に示されているように、その
横断面の左右方向において段差が生じるように形成され
ており、シリンダブロック１５の突出した合わせ面１５
ａの側方には、オルタネーター２の下方の取付部２３を
支持するための支持部１５ｃがシリンダブロック１５か
ら一体的に突出して形成されている。

【００２５】このオルタネーター支持部１５ｃの下方に
おいて、シリンダブロック１５には、図３と図４により
示されるように、テンショナー７２のテンションアーム
７２ａを押圧するためのプッシュロッド７２ｂを外部か
らメンテナンス可能に設置するために、プッシュロッド
シリンダ７２Ｃを固定するための取付孔１５ｅがシリン
ダブロック１５を貫通して形成されている。

【００２６】上記のような実施例によれば、テンショナ
ー７２のプッシュロッド７２ｂを収納するプッシュロッ
ドシリンダ７２ｃは、シリンダブロック１５のオルタネ
ーター支持部１５ｃ下方の肉厚部に形成された取付孔１
５ｅに固定されるため、当該部分の取付け剛性が高くな
ると共に、テンショナー７２のプッシュロッド７２ｂと
テンションアーム７２ａとが共にシリンダブロック１５
側に支持されているため、エンジンの振動によるチェー
ンカバー１６の振れがプッシュロッド７２ｂとテンショ
ンアーム７２ａの関係に影響を与えるようなことはな
い。

【００２７】また、タイミングチェーン６１に対して設
けられるテンショナー７２はチェーンカバー１６によっ
て覆われているが、プッシュロッドシリンダ７２ｃの端
部がタイミングチェーンケース部分から外方に出ている
ので、プッシュロッド７２ｂのメンテナンスをチェーン
カバー１６を取り外すことなく外部から行うことができ
る。

【００２８】さらに、シリンダブロック１５側面のチェ
ーンカバーとの合わせ面１５ａ，１５ｂが横断面の左右
方向において段差が生じるように形成されていることに
より、その合わせ面１５ｂ側のチェーンカバー１６部分
に形成されるウォーターポンプ５は、シリンダブロック
側面とチェーンカバーの合わせ面が面一に形成されてい
る場合と比べて、シリンダブロック１５側面からあまり
突出しないような状態で設置することができる。

【００２９】以上、本発明の４サイクルエンジンのタイ
ミングチェーンケース構造の一実施例について説明した
が、本発明は、タイミングチェーンを用いたものだけで
はなく、タイミングベルトによるものについても適用可
能なものであることはいうまでもない。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したような本発明の４サイクル
エンジンのタイミングチェーンケース構造によれば、シ
リンダブロック側面とチェーンカバーにより画成される
タイミングチェーンケースを、テンショナーのメンテナ
ンスがチェーンカバーの外部から可能で、かつ、テンシ
ョナーのプッシュロッドシリンダをシリンダブロックに
対して高い剛性で取り付けることができるようなものと
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す側面図。

【図２】図１に示された実施例の付属品を除いたエンジ
ン部分を示す側面図。

【図３】図２に示されたエンジンのチェーンカバーを取
り外した状態を示す側面図。

【図４】図２におけるＡ−Ａ線に沿った一部断面図。

【図５】図２におけるＢ−Ｂ線に沿った一部断面図。

【図６】図２におけるＣ−Ｃ線に沿った一部断面図。

【図７】図５に示されたウォーターポンプによる冷却水
の循環状態を示す説明図。

【図８】ウォーターポンプの他の実施例を示すエンジン
部分の側面図。

【図９】ウォーターポンプの更に他の実施例を示すエン
ジン部分の側面図。

【図１０】図１に示された実施例のマウントブラケット
とこれを取り付けるためのエンジンの一部を示す分解側
面図。

【符号の説明】

１ エンジン １５ シリンダブロック １５ａ シリンダブロックのチェーンカバーとの合わせ
面 １５ｂ シリンダブロックのチェーンカバーとの合わせ
面 １６ チェーンカバー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ４サイクルエンジンのシリンダブロック
   側面とこれを覆うチェーンカバーとによって画成される
   タイミングチェーンケースにおいて、シリンダブロック
   側面におけるチェーンカバーとの合わせ面が、その横断
   面の左右方向において段差を生じるように形成されてい
   ることを特徴とする４サイクルエンジンのタイミングチ
   ェーンケース構造。