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JPH07103451B2 - 耐摩耗性鉄基焼結合金 - Google Patents

耐摩耗性鉄基焼結合金

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Publication number
JPH07103451B2
JPH07103451B2 JP62109480A JP10948087A JPH07103451B2 JP H07103451 B2 JPH07103451 B2 JP H07103451B2 JP 62109480 A JP62109480 A JP 62109480A JP 10948087 A JP10948087 A JP 10948087A JP H07103451 B2 JPH07103451 B2 JP H07103451B2
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JP
Japan
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less
wear
sintered alloy
double
matrix
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JP62109480A
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章 藤木
芳輝 保田
一郎 谷本
啓 石井
弘之 遠藤
寛 池ノ上
啓太郎 鈴木
Original Assignee
日産自動車株式会社
日立粉末冶金株式会社
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 【発明の目的】
(産業上の利用分野) 本発明は、耐摩耗性が要求される部品の素材として利用
される鉄基焼結合金に関し、例えば内燃機関のロッカー
アームやタペット等の高面圧のかかる摺動部に使用した
場合において、高合金系カムシャフトなどが相手材であ
ってカムプロフィール等が摩耗に厳しい形状であって
も、優れた耐摩耗性となじみ性とを発揮する耐摩耗性鉄
基焼結合金に関するものである。 (従来の技術) 近年、内燃機関に対する高速化および高出力化などの要
求に伴って、内燃機関の動弁系部材の摩耗が問題となり
つつあり、特にロッカーアームやタペットのカムシャフ
トとの摺動部に対する耐久性の要求はきわめて厳しいも
のとなっている。 一般に、ロッカーアームやタペットのカムシャフトとの
摺動部は高面圧を受けるものであるため、優れた耐摩耗
性,耐スカッフィング性および耐ピッティング性を兼ね
備えかつカムシャフトとのなじみ性をも合わせ持つこと
が要求される。 そこで、本発明者らは前記の事情にかんがみて、耐摩耗
性等に優れた鉄基焼結合金の開発を鋭意進めてきた。そ
の中で、例えば、特開昭62−211355号公報において開示
した発明に係る耐摩耗性鉄基焼結合金では、所定の組織
を得るために、全体組成が、重量%で、MoおよびWのう
ちいずれか1種または2種:5〜20%、Cr:2〜10%、Si:
0.1〜0.9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜0.8
%、B:0.5〜2.0%、および必要に応じてV,Nb,Ta,Ti,Zr,
Hf,Co,Niよりなる群から選ばれる元素のうちいずれか1
種または2種以上:20%以下、残部Feおよび不純物から
なり、このうち、MoおよびWの総含有量とBの含有量と
の割合がモル比で0.5〜1.5の範囲内である組成としてい
た。 (発明が解決しようとする問題点) 上記の特願昭62−211355号明細書に記載された発明に係
る耐摩耗性鉄基焼結合金では、優れた耐摩耗性,耐スカ
ッフィング性および耐ピッティング性を持つだけでな
く、相手材とのなじみ性をも合わせ持つものであるた
め、ロッカーアームやタペットの素材として通常使用す
る場合は全く問題なく、かなり優れた特性を示す。 しかしながら、近年におけるエンジンの高性能化,高回
転化の要求を満たすためには、マルチバルブ化(多弁
化)する必要があり、したがってカムシャフトの本数が
増えて径が細くかつカムリフト量が大きくなることから
高合金化したカム(カムシャフト)が必要となってきて
おり、これらのカム(カムシャフト)の相手材として特
開昭62−211355号公報に記載された発明に係る鉄基焼結
合金を用いた場合には、長時間使用による摩耗が問題と
なる場合がありうることがわかった。 (発明の目的) そこで、本発明者らは、高合金系のカム(カムシャフ
ト)の相手材として長時間使用しても摩耗量が増大しな
いようにすることを目的として、炭化物,硼化物,炭硼
化物の硬質相を補強する研究・実験を行った結果、Mo,
W,Cr等の合金元素を増量しかつ窒素を含有させることに
より、炭化物,硼化物と親和性が高い窒化物を析出さ
せ、炭化物,硼化物,炭硼化物の一部を置換しおよび/
または固溶させ、および/またはこれらと共存させるこ
とにより、材料の特性を劣化させることなくこの材料の
耐摩耗性を向上させることを見い出し、本発明を完成す
るに至った。特にこの材料系では、焼結過程において微
細な炭化物と硼化物が共存しているために、窒素を含有
させると窒化物が炭化物,硼化物等と相互固溶体,置換
体を生じ易いことを確認した。
【発明の構成】
(問題点を解決するための手段) 本発明の第一発明に係る耐摩耗性鉄基焼結合金は、全体
組成が、重量%で、MoおよびWのうちいずれか1種また
は2種:5〜25%、Cr:2〜12%、Si:0.1〜0.9%、Mn:0.7
%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜1.2%、B:0.5〜2.5%、
N:0.002〜2.0%、を基本的に含有し、必要に応じて窒化
物の硬度を高めるためにAl:0.05〜1.0%を含有し、残部
Feおよび不純物からなり、このうち、MoおよびWの総含
有量とBの含有量との間で、[Mo(モル量)+W(モル
量)]/[B(モル量)]=0.8〜1.5の関係を満たし、
微細な炭化物、硼化物および/または炭硼化物、および
それらが核あるいは中間媒体となった炭窒化物、硼窒化
物および/またはこれらの相互固溶体、一部置換体が基
地中に均一に分散した組織を呈することを特徴としてい
る。 また、本発明の第二発明に係る耐摩耗性鉄基焼結合金
は、上記の組成に加えて、V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hf,Co,Niより
なる群から選ばれる元素のうちいずれか1種または2種
以上:20%以下、を含むことを特徴としている。 (作用) 本発明者らは、上記組成を持つ耐摩耗性鉄基焼結合金
は、焼結過程において微細な炭化物,硼化物および/ま
たは炭硼化物が均一に共分散し、さらに窒素を含有して
いるために上記化合物が核あるいは中間媒体となって微
細な炭窒化物,硼窒化物および/またはこれらの相互固
溶体,一部置換体が安定的にかつ粗大化することなく微
細で均一に析出しやすいことを確認した。 このようにして得られる合金のうち特にマトリクス組織
に微細でかつ十分な量の複炭化物,複硼化物,複窒化物
および/または炭硼化物,炭窒化物,硼窒化物および/
またはこれらの相互固溶体が均一に分散している組織を
有するものが優れた摺動耐摩耗性を有し、とりわけ高合
金系カムシャフトでかつカムプロフィールが摩耗に厳し
いカムシャフトの相手材としてロッカーアームやタペッ
トの摺動面に使用した場合に優れた耐摩耗となじみ性を
発揮することを見い出した。 (成分限定理由) 本発明は上記の知見に基づいてなされたものであり、以
下に成分組織(重量%)を上記の通りに限定した理由を
説明する。 MoおよびW: MoおよびWは、成分中のFeやCrなどと共にC,BやNと結
合して複炭化物,複硼化物あるいは複窒化物またはこれ
らの一部置換体,相互固溶体を形成して耐摩耗性を与
え、一部はマトリクス内に固溶して当該マトリクスを強
化するとともに焼戻し硬化能を高める作用があるが、5
%未満では所望の効果が十分に得られずに耐摩耗性不足
となり、25%を超えて含有させてもより一層の改善効果
は認められず、経済的でないことからその含有量を5〜
25%と定めた。 Cr: Crは、成分中のFeやMo,W等とともに複炭化物,複硼化
物,複窒化物を形成して耐摩耗性を向上させると同時
に、マトリクス中に固溶して焼入性を増大させ、さらに
は焼戻し硬化能を高める効果を有するとともにマトリク
スの耐食性を向上させる効果もあるが、2%未満ではそ
の効果が十分に認められず、12%を超えて含有させても
より一層の改善効果がないばかりでなく、機械的強度が
低下して相手材への攻撃性が増大してしまうことからそ
の含有量を2〜12%と定めた。 Si: Siは、0.1%未満の添加量では脱酸効果が少なく、粉末
中の酸素含有量が多くなって焼結性が低下するとともに
M2C系の粗大な板状炭化物が析出しやすくなり、相手部
材とのなじみ性が低下する。一方、添加量が0.9%を超
えても脱酸効果の向上もなく、粉末の形状が丸くなって
当該粉末の成形性が低下するだけであることから、その
含有量を0.1〜0.9%と定めた。 Mn: Mnは、前述したSiと同じように脱酸効果があり、添加す
ることによって粉末中の酸素含有量を下げて焼結性を向
上させるが、0.7%を超えると粉末の形状が丸くなって
粉末の成形性が低下することにより成形体エッヂ部の欠
け等が生じやすくなることから、添加するとしてもその
含有量を0.7%以下と定めた。 P: Pは、耐摩耗性焼結合金の場合において焼結促進元素と
して一般に0.2〜0.8%程度添加する手法が広く用いられ
ているが、本発明に係る焼結合金の場合はPの添加量が
0.05%を超えた場合に、複硼化物,複炭化物,炭窒化物
等が粗大化して相手材とのなじみ性が低下するととも
に、粒界に複硼化物,複炭硼化物がネットワーク状に析
出して強度が低下してしまうことからその含有量を0.05
%以下と定めた。 C: Cは、その一部がMo,W,Cr,Vなどの炭化物形成元素と結
合して複炭化物を形成し、また窒化物中のNと一部置換
して炭窒化物を形成する。さらに硼素と共に炭硼化物を
も形成する。Cはこれらの化合物の形成によって耐摩耗
性を向上させ、残りはマトリクス中に固溶して高い室温
硬さと強度を与える作用を有するが、0.1%未満では複
炭化物,炭窒化物,炭硼化物の量が少なすぎ、またマト
リクスの室温硬さも小さすぎて、耐摩耗性が不十分であ
る。また、1.2%を超えると複炭化物,炭窒化物が凝集
析出し、粗大な炭硼化物を生成して脆化しやすくなる上
に、相手材とのなじみ性が低下することから、その含有
量を0.1〜1.2%と定めた。 このCの添加方法としては、真空焼鈍を施したFe−Mo−
W−Cr−V−Si−(Mn)−(Co)−(N)−C系アトマ
イズ合金粉末の形で添加するのが良い。これはCを単独
にグラファイト粉末の形で添加すると、後述するB源と
して添加するFe−BあるいはFe−Cr−Bと結びついて焼
結時に粗大な炭硼化物を粒界に沿ってネットワーク状に
析出させて相手材への攻撃性を増大させてしまうためで
ある。 B: Bは、成分中のMo,W,V,Cr,Feとともに複硼化物を形成し
て耐摩耗性となじみ性を与えるとともに、一部はマトリ
クス中に固溶して焼入性を改善する。また、上記複硼化
物の一部はC,Nと置換・結合し、複炭硼化物,複硼窒化
物を形成して耐摩耗性を向上させる。 このようにBは微細な複硼化物,複炭硼化物,複硼窒化
物を形成して本発明焼結合金の耐摩耗性と耐なじみ性を
向上させるのに必須の主要成分であるが、0.5%未満の
添加でその効果が十分に認められず、一方2.5%を超え
てもより一層の改善効果が期待できず、かえって複硼化
物等の粗大化が起り、相手材とのなじみ性が低下するこ
とから、その含有量を0.5〜2.5%と定めた。 本発明に係る焼結合金のB添加量としては上述したよう
に0.5〜2.5%とする必要があるが、特に優れた特性を示
すのはB添加量がMo+Wとの間で、[Mo(モル量)+W
(モル量)]/[B(モル量)]=0.8〜1.5の関係を満
たしているときである。これは上記モル比が1.5を超え
る場合は、複硼化物の生成量が少なく本発明合金の特徴
であるなじみ性が低下してしまい、また前記モル比が0.
8未満では、複硼化物が粗大化するとともにネットワー
ク状に粒界に析出してしまい、相手材とのなじみ性が低
下すると同時に自分自身の耐ピッティング性が低下して
しまうためである。このBの添加方法としてはFe−Bあ
るいはFe−Cr−B系合金粉末の形で添加することが好ま
しい。 N: Nは、成分中の金属元素と結合して複窒化物を作り、さ
らにこれらの複窒化物中のNとB,Cとが置換,結合して
複炭窒化物,複硼窒化物を形成して耐摩耗性となじみ性
を与えると共に、一部はマトリクス中に固溶して耐食性
を改善する作用がある。しかし、その含有量が0.002%
未満では複窒化物の量が少なすぎて耐摩耗性が不十分で
ある。また、2.0%を超えると粗大な複窒化物を生成し
て脆化しやすくなるうえに相手材とのなじみ性が低下す
ることから、その含有量を0.002%〜2.0%と定めた。こ
の場合、窒素はマトリクス粉中に含有させても良いし、
VN,BN,NbN粉末の形で添加しても良い。 Al: Alは、窒化硬度を高める元素であって、0.05%以上で顕
著な効果を有するが、1.0%を超えて含有させると焼結
が進行しにくくなり、密度低下するので、窒化硬度を上
げるために添加するとしても、その量は0.2〜1.0%とす
る必要がある。 V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hf,Co,Ni: V,Nb,Taは、FeやCrとともにC,Nと結合して極めて硬い複
炭化物,複窒化物,複炭窒化物を作るとともに、Mo,Wの
一部と置換した形の複炭化物や複硼化物,複窒化物を形
成して耐摩耗性を与え、一部はマトリクス中に固溶して
当該マトリクスを強化するとともに、焼戻し硬化能を高
める作用がある。またV,Nb,Taは、焼結時の結晶粒の粗
大化を防止するとともに炭化物の粗大化を防止する効果
もある。これらの効果はV,Nb,Taが0.5%未満の場合では
あまり認められず、耐摩耗性や強度の低下をきたし、一
方8%を超えて添加しても一層の改善効果は認められず
経済的でないことから、添加するとしてもその含有量を
0.5〜8%とするのが良い。 Ti,Zr,Hf,Coは、硼化物形成元素であり、耐摩耗性の向
上に有効な元素であるので、必要に応じて12%以下の範
囲で添加しても良い。特にCoはMo,Wなどの一部と置換し
て複硼化物を形成するだけでなく、マトリクス中に固溶
して赤熱硬さを向上させるため、熱間での耐摩耗性が要
求される場合には添加することが特に効果的である。 また、マトリクスがオーステナイト化しない範囲でNiを
添加しても良い。これはNiを添加するとマトリクスの耐
食性が向上するため、ディーゼルエンジンのEGR仕様の
ロッカーアームや油圧リフタのように腐食摩耗が厳しい
部品への適用には特に効果がある。 以上の成分組成からなる本発明に係る焼結合金の硬さと
しては、HRC50〜70の範囲が好ましい。これは、HRC50未
満では耐摩耗性が不足し、HRC70を超えると相手材との
なじみ性が低下するためである。 また、本発明に係る焼結合金の理論密度比としては90%
以上とすることが好ましい。これは、90%未満の理論密
度比ではマトリクスの強度が低く、かつ空孔も大きく、
しかもこの空孔の持つ切欠作用によってマトリクスが破
壊されやすくなってピッティング摩耗が生じやすくなる
ためである。 (実施例) 以下、本発明に係る耐摩耗性鉄基焼結合金の実施例を比
較例と対比しながら説明する。 原料粉末として、真空焼鈍を施した粒度−100メッシュ
のFe−Cr−Mo−W−Si−C系アトマイズ合金粉末(必要
に応じてV,Nb,Ta,Co,Nも含有)、−325メッシュのFe−M
o粉末あるいは鈍Mo粉末、−325メッシュのFe−W粉末あ
るいは鈍W粉末、−250メッシュのFe−B合金粉末(B:2
0%含有)、−250メッシュのFe−P合金粉末(P:26%含
有)、−250メッシュのフェロチタン、フェロジルコニ
ウム,フェロハフニウム各合金粉末、−325メッシュの
カーボニルNi粉末、−500メッシュのTiN,NbN,VN,BNおよ
びAlN、等を用いて第1表に示す最終成分組成を持つよ
うに適宜配合し、潤滑剤として高級脂肪酸を加えて混合
し、これら各混合粉末を7ton/cm2の圧力で圧粉体に成形
し、ついで前記圧粉体を非酸化性雰囲気で1150℃〜1250
℃の温度にて60分間保持して焼結した後、熱処理を行っ
て本発明実施例合金No.1〜18および比較例合金No.1〜10
を製造した。 ついで、本発明実施例合金No.1〜18および比較例合金N
o.1〜10をそれぞれラッシュアジャスタ内蔵型のロッカ
ーアームのカムシャフトとの摺動部に使用し、V型6気
筒ガソリンエンジンにそれぞれ組み込んで性能評価試験
を行った。一方、カムシャフトは高合金チル鋳物からな
るものであり、その組成は、重量%で、C:約3.7%、Si:
2.0%、Mn:0.7%、Mo:1.0%、Cr1.2%、V:0.2%、Ti:0.
1%、P:0.2%、Cu:0.5%、残部実質的にFeからなるもの
であって、硬度はHRC58以上のものである。この場合、
カムシャフトは高出力用の高リフトタイプのものであっ
て、弁の開閉速度が大きくかつ低速での油膜形成が難し
いタイプのカムプロフィールを持っているものである。 この性能評価試験では、エンジン回転数:600rpm、オイ
ル:ガソリンエンジン用約2万5000km走行の廃油、油
温:60℃、運転時間:800時間、およびその他の条件は実
際の市場走行と同一の条件、で摩耗試験を行い、ロッカ
ーアーム摺動部における摩耗量および相手部材であるカ
ムシャフトのカム部の摩耗量を測定すると共に、同摺動
部におけるスカッフィングおよびピッティングの発生状
況を観察した。この結果を同じく第1表に示す。 第1表に示す結果より明らかなように、比較例合金No.1
〜10で示したごとく、成分組成の範囲が本発明合金から
はずれた合金では、それぞれロッカーアームやカムシャ
フトのカム部の摩耗が大きかったり、スカッフィングや
ピッティングの発生が認められたりして、いずれも満足
のできる特性は示していないことがわかった。 これに対して、本発明実施例合金No.1〜18の場合はいず
れも優れた他摩耗性を示し、相手部材であるカムシャフ
トのカム部を著しく損傷させることもなく、さらには耐
スカッフィング性および耐ピッティング性にも極めて優
れたものとなっていることがわかった。 なお、ここに示した本発明実施例合金は熱処理によって
マトリクス組織は焼戻しマルテンサイトを主体とするも
のとなっているが、この熱処理条件を適宜選択すること
によって、マトリクスの組織をベイナイト,パーライ
ト,ベイナイト+パーライト等の組織とすることもでき
るのはもちろんである。 なお、ここで示した実施例では、本発明実施例合金をロ
ッカーアームの摺動部に適用した場合について述べた
が、タペット,カム,スリーブおよびバルブシートなど
のように、高面圧がかかる上に境界潤滑ないしは乾燥摩
耗をするような用途に使用しても同様に優れた耐摩耗性
を示すものである。
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の第一発明に係る鉄基
焼結合金は、全体組成が、重量%で、MoおよびWのうち
いずれか1種または2種:5〜25%、Cr:2〜12%、Si:0.1
〜0.9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜1.2
%、B:0.5〜2.5%、N:0.002〜2.0%、を基本的に含有
し、必要に応じて窒化物の硬度を高めるためにAl:0.05
〜1.0%含有し、残部Feおよび不純物からなる組成を有
し、また、本発明の第二発明に係る耐摩耗性鉄基焼結合
金は、上記の組成に加えて、V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hf,Co,Niよ
りなる群から選ばれる元素のうちいずれか1種または2
種以上:20%以下、を含む組成を有し、MoおよびWの総
含有量とBの含有量との間で、[MO(モル量)+W(モ
ル量)]/[B(モル量)]=0.8〜1.5の関係を満たす
ものであるから、上記いずれの組成を有する鉄基焼結合
金においても、マトリクス組織中に微細でかつ十分な量
の炭化物と微細な硼化物,窒化物および/または炭硼化
物,炭窒化物および/またはこれらの相互固溶体が均一
に分散した組織を有するものとなっているため、従来以
上に優れた摺動耐摩耗特性を有し、例えばロッカーアー
ムの摺動部に適用した場合において高合金系の材料から
なるカムシャフトであってかつカムプロフィールが摩耗
に対してかなり厳しいカムシャフトを相手材として長時
間使用したときでも、自身がもつ優れた耐摩耗性を失わ
ずかつ相手材に対する攻撃性も少なくすることができ、
工業上極めて有益な特性を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷本 一郎 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 石井 啓 神奈川県横浜市港南区芹が谷3丁目31−15 (72)発明者 遠藤 弘之 千葉県我孫子市つくし野3丁目3−208 (72)発明者 池ノ上 寛 千葉県松戸市常盤平3−26−3−102 (72)発明者 鈴木 啓太郎 千葉県我孫子市湖北台7−14−57−303 (56)参考文献 特開 昭55−145156(JP,A) 特開 昭59−200743(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全体組成が、重量%で、MoおよびWのうち
    いずれか1種または2種:5〜25%、Cr:2〜12%、Si:0.1
    〜0.9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜1.2
    %、B:0.5〜2.5%、N:0.002〜2.0%、残部Feおよび不純
    物からなり、このうち、MoおよびWの総含有量とBの含
    有量との間で、[MO(モル量)+W(モル量)]/[B
    (モル量)]=0.8〜1.5の関係を満たし、微細な炭化
    物、硼化物および/または炭硼化物、およびそれらが核
    あるいは中間媒体となった炭窒化物、硼窒化物および/
    またはこれらの相互固溶体、一部置換体が基地中に均一
    に分散した組織を呈することを特徴とする耐摩耗性鉄基
    焼結合金。
  2. 【請求項2】全体組成が、重量%で、MoおよびWのうち
    いずれか1種または2種:5〜25%、Cr:2〜12%、Si:0.1
    〜0.9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜1.2
    %、B:0.5〜2.5%、N:0.002〜2.0%、およびV,Nb,Ta,T
    i,Zr,Hf,Co,Niよりなる群から選ばれる元素のうちいず
    れか1種または2種以上:20%以下、残部Feおよび不純
    物からなり、このうち、MoおよびWの総含有量とBの含
    有量との間で、[MO(モル量)+W(モル量)]/[B
    (モル量)]=0.8〜1.5の関係を満たし、微細な炭化
    物、硼化物および/または炭硼化物、およびそれらが核
    あるいは中間媒体となった炭窒化物、硼窒化物および/
    またはこれらの相互固溶体、一部置換体が基地中に均一
    に分散した組織を呈することを特徴とする耐摩耗性鉄基
    焼結合金。
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