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JPH0673276A - 制振性ポリエステル樹脂組成物およびポリエステル樹脂成形体 - Google Patents

制振性ポリエステル樹脂組成物およびポリエステル樹脂成形体

Info

Publication number
JPH0673276A
JPH0673276A JP23012792A JP23012792A JPH0673276A JP H0673276 A JPH0673276 A JP H0673276A JP 23012792 A JP23012792 A JP 23012792A JP 23012792 A JP23012792 A JP 23012792A JP H0673276 A JPH0673276 A JP H0673276A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
polyester resin
polyorganosiloxane
parts
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23012792A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasunori Shirai
安則 白井
Yoshiya Kurachi
与志也 倉地
Tomohiko Yoshida
友彦 吉田
Akira Nakada
章 中田
Katsuhiro Nishiyama
勝廣 西山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP23012792A priority Critical patent/JPH0673276A/ja
Publication of JPH0673276A publication Critical patent/JPH0673276A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性および機械的強度を損なうことなく優
れた振動減衰性を有する制振性ポリエステル樹脂組成物
ならびに成形体を得る。 【構成】 熱可塑性ポリエステル樹脂60〜99重量%
とポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体40〜1
重量%とからなる樹脂成分100重量部と、繊維状強化
材5〜150重量部と、板状強化材5〜60重量部とか
らるポリエステル樹脂組成物、およびこのポリエステル
樹脂組成物からなり固有減衰能が5.0%以上であるポ
リエステル樹脂成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車部品、電器・電
子機械部品等の制振性を要求される成形材料用に用いら
れるポリエステル樹脂組成物に関し、さらに詳しくは耐
熱性、機械的特性および振動減衰性に優れた制振性ポリ
エステル樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種成形材料用に使用されるポリエステ
ル樹脂としては、優れた耐熱性および機械的特性を有す
ることから、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレ
ンテレフタレートに代表される芳香族ポリエステルが用
いられている。近年、自動車のエンジン周りの部品、ミ
ラー関係の部品、オーディオ関係の部品等に対しては、
耐熱性や機械的特性とともに振動減衰性が要求されるよ
うになってきている。しかし、ポリエチレンテレフタレ
ートやポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエス
テル樹脂では、耐熱性および機械的特性には優れている
ものの、振動減衰性については十分なものではなかっ
た。
【0003】そこで、芳香族ポリエステル樹脂にガラス
繊維等の強化繊維あるいは無機充填材等を配合し、剛性
の向上による振動減衰性の向上を行う試みや、ポリエス
テルエラストマーや熱可塑性ポリウレタン等のゴム成分
を配合することによって、振動減衰性を向上させる試み
等がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、強化繊維ある
いは無機充填材等を配合する方法では、若干の振動減衰
性の向上は見られるものの、未だ満足のできるものでは
なかった。また、ゴム成分を配合する方法では振動減衰
性は向上するものの、ポリエステル樹脂の特徴である耐
熱性および機械的特性を損なうものであった。そこで、
本発明の目的は、ポリエステル樹脂の優れた耐熱性およ
び機械的特性を損なうことなく、優れた振動減衰性を有
する制振性ポリエステル樹脂組成物を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な状況に鑑み、ポリエステル樹脂組成物の振動減衰性に
ついて鋭意検討した結果、芳香族ポリエステル樹脂にポ
リオルガノシロキサン系グラフト重合体を配合されるこ
とによって、耐熱性および機械的特性を損なうことな
く、優れた振動減衰性を有するポリエステル樹脂組成物
を得ることができることを見出し、本発明に到達したも
のである。
【0006】すなわち、本発明の制振性ポリエステル樹
脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂60〜99重量
%とポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体40〜
1重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、繊
維状強化材5〜150重量部および板状強化材5〜60
重量部を配合してなることを特徴とするものである。ま
た、本発明のポリエステル樹脂成形体は、熱可塑性ポリ
エステル樹脂60〜99重量%とポリオルガノシロキサ
ン系グラフト共重合体40〜1重量%とからなる樹脂成
分100重量部と、繊維状強化材5〜150重量部と、
板状強化材5〜60重量部とからなり、固有減衰能が
5.0%以上であることを特徴とするものである。
【0007】本発明において、熱可塑性ポリエステル樹
脂とは、芳香族を重合体の連鎖単位に有する芳香族ポリ
エステルであって、芳香族ジカルボン酸あるいはそのエ
ステル形成誘導体とジオール成分あるいはそのエステル
形成誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重
合体ないしは共重合体である。
【0008】酸成分として使用される芳香族ジカルボン
酸あるいはそのエステル形成誘導体としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン1,4−ま
たは2,6−ジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェ
ニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−
ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテ
ルジカルボン酸等、またはこれらのジアルキルエステ
ル、ジアリルエステル等のエステル形成誘導体等が挙げ
られる。また、酸成分としては、グルタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸等の脂肪族ジカル
ボン酸、またはこれらのエステル形成誘導体等を併せて
使用することもできる。
【0009】ジオール成分としてしては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコール、
ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等が挙げられる。
【0010】本発明において、好ましく使用される熱可
塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン
テレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、
ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレート等が挙げられるが、中で
もポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レートあるいはこれらを主体とする共重合体が、適度の
機械的強度を有する点で好ましい。このような熱可塑性
ポリエステル樹脂は、樹脂成分中に60〜99重量%の
範囲で含有され、好ましくは70〜90重量%の範囲で
ある。これは、熱可塑性ポリエステル樹脂が60重量%
未満では、耐熱性および機械的強度が低下するためであ
り、逆に99重量%を超えると振動減衰性向上の効果が
ないためである。
【0011】また、熱可塑性ポリエステル樹脂として
は、フェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒中(重
量比1/1)、23℃の温度下での極限粘度[η]が
0.5〜1.4であることが好ましい。これは、極限粘
度が0.5未満では成形品の強度が低下し、逆に1.4
を超えると成形時の流動性が低下して充填性が十分でな
くなるおそれがあるためである。本発明で使用されるポ
リオルガノシロキサン系グラフト共重合体は、樹脂成分
中に40〜1重量%の範囲で含有され、好ましくは30
〜10重量%の範囲である。これは、ポリオルガノシロ
キサン系グラフト共重合体が40重量%を超えると、耐
熱性および機械的強度が低下するためであり、逆に1重
量%未満では振動減衰性向上の効果がないためである。
【0012】ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体としては、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキ
ル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムにエポ
キシ基含有ビニル系単量体を含む1種以上のビニル系単
量体をグラフト共重合させてなるものが好ましい。エポ
キシ基含有ビニル系単量体に由来する成分が、グラフト
共重合体中に1〜40重量%、好ましくは5〜30重量
%含有されていれば、エポキシ基含有ビニル系単量体以
外の他のビニル系単量体を共にグラフト重合させてもよ
い。これは、グラフト共重合体中に占めるエポキシ基含
有ビニル系単量体が1重量%未満では、ポリエステル樹
脂とポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体との相
溶性が不良となる傾向にあり、逆に40重量%を超える
と溶融混練時にゲル化を生じる可能性があるためであ
る。
【0013】エポキシ基含有ビニル系単量体としては、
例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリ
レート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジル
エーテル、ヒドロキシ(メタ)アクリレートのグリシジ
ルエーテル、グリシジルイトコネート等が挙げられ、こ
れらを単独でまたは2種以上を組合せて使用することが
できる。中でも、グリシジルメタクリレートが好まし
い。
【0014】エポキシ基含有ビニル系単量体と共重合可
能な他のビニル系単量体としては、例えば、メチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメ
タクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアク
リレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステ
ル、スチレン、ハロゲン置換スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニ
ル化合物等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上
を組合せて使用することができる。グラフト共重合体に
おけるグラフトされたビニル系単量体に由来する成分の
割合は5〜50重量%であり、好ましくは10〜30重
量%である。
【0015】また、本発明で使用されるポリオルガノシ
ロキサン系グラフト共重合体としては、その平均粒子径
が0.08〜0.6μmの範囲にあることが好ましい。
これは、平均粒子径が0.08μm未満であると十分な
衝撃強度が得られ難く、0.6μmを超えると成形体の
表面外観が悪化するためである。このような平均粒子径
を有するポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体
は、複合ゴムラテックスの存在下でエポキシ基含有ビニ
ル系単量体を含む1種以上の単量体を一段または多段で
乳化グラフト重合することによって得ることができる。
なお、エポキシ基含有ビニル系単量体以外の単量体を使
用して多段でグラフト重合する場合は、最終段でエポキ
シ基含有ビニル系単量体を添加することが好ましい。
【0016】なお、グラフト重合においては、グラフト
共重合体の枝にあたる成分(ここではエポキシ基含有ビ
ニル系単量体を含む1種以上の単量体に由来する成分)
が幹成分(ここでは複合ゴム)にグラフトせずに枝成分
だけで重合して得られるフリーポリマーも副生し、グラ
フト共重合体とフリーポリマーの混合物として得られる
が、本発明においてはこの両者を合わせてグラフト共重
合体という。
【0017】ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体を構成する複合ゴムとしては、ポリオルガノシロキサ
ンゴム成分1〜99重量%とポリアルキル(メタ)アク
リレートゴム成分99〜1重量%とが、分離できないよ
うに相互に絡み合った一体化構造を有し、ポリオルガノ
シロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレー
トゴム成分との合計量が100重量%であるものが好ま
しい。これは、複合ゴムとしてポリオルガノシロキサン
ゴム成分が99重量%を超えると成形体の表面外観が悪
化し、逆に1重量%未満であると耐衝撃性が低下する傾
向にあるためである。さらに好ましくは、ポリオルガノ
シロキサンゴム成分が5〜95重量%とポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分が95〜5重量%とから
なるものである。
【0018】上記複合ゴムを構成するポリオルガノシロ
キサンゴムは、オルガノシロキサンとポリオルガノシロ
キサン用架橋剤(以下架橋剤Aという)および所望によ
りポリオルガノシロキサンゴム用グラフト交叉剤(以下
グラフト交叉剤Aという)を乳化重合することによって
微粒子として得ることができる。
【0019】ポリオルガノシロキサンゴムの調製に用い
られるオルガノシロキサンとしては、3員環以上の環状
オルガノシロキサンが用いられ、好ましくは3〜6員環
のものである。このような環状オルガノシロキサンとし
ては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オ
クタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロ
ペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキ
サン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、
テトラメチレンテトラフェニルシクロテトラシロキサ
ン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げら
れ、これらを単独あるいは2種以上を混合して使用する
ことができる。
【0020】架橋剤Aとしては、トリアルコキシアルキ
ルあるいはアリールシランまたはテトラアルコキシシラ
ン等の3官能あるいは4官能のものが用いられ、例え
ば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニル
シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラn−プロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン等が挙げられる。中でも、テトラエトキシシランに代
表されるテトラアルコキシシランが好ましい。
【0021】グラフト交叉剤Aとしては、ポリオルガノ
シロキサンゴムを調製する際には反応せず、その後の複
合ゴム調製のためのポリオルガノシロキサンゴム存在下
でのポリ(メタ)アクリレートゴムの重合の際あるいは
グラフト重合の際に反応する反応基を有するシロキサン
であり、例えば、次の一般式(1)〜(4)で示される
単位を形成し得る化合物等を挙げることができる。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】(各式中、R1はメチル基、エチル基、プ
ロピル基またはフェニル基を示し、R2は水素原子また
はメチル基を示し、nは0、1または2を示し、pは1
〜6の整数を示す。)中でも、一般式(1)で示される
単位を形成し得る(メタ)アクリロイルオキシアルキル
シロキサンが、グラフト効率が高く効率的にグラフト鎖
を形成することができるとともに、これを用いた本発明
の組成物が優れた衝撃強度を有するため好ましい。(メ
タ)アクリロイルオキシアルキルシロキサンの中では、
メタクロイルオキシアルキルシロキサンが好ましく、例
えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチ
ルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシ
ジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジ
メトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプ
ロリルエトキシジエトキシシラン、γ−メタクロイルオ
キシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロ
イルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられ
る。
【0027】一般式(2)で示される単位を形成し得る
ビニルシロキサンとしては、ビニルメチルジメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。ま
た、一般式(3)で示される単位を形成し得るメルカプ
トシロキサンとしては、γ−メルカプトプロピルジメト
キシメチルシラン、γ−メルカプトオウロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシエチル
シラン等が挙げられる。さらに、一般式(4)で示され
る単位を形成し得る化合物としては、p−ビニルフェニ
ルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0028】ポリオルガノシロキサンゴム中、環状オル
ガノシロキサンに由来する成分の含有量は60重量%以
上、好ましくは70重量%以上であり、架橋剤Aに由来
する成分の含有量は0.1〜30重量%であり、グラフ
ト交叉剤Aに由来する成分の含有量は0〜10重量%で
ある。
【0029】このポリオルガノシロキサンゴム成分のラ
テックスの製造にあたっては、例えば、米国特許第28
91920号明細書、同第3294725号明細書等に
記載された方法を用いることができる。本発明において
は、オルガノシロキサンと架橋剤Aとグラフト交叉剤A
との混合液をアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルス
ルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホ
モナイザー等を用いて水と剪断混合する方法で製造する
ことが好ましい。スルホン酸系乳化剤としては、アルキ
ルベンゼンスルホン酸がオルガノシロキサンの乳化剤と
して作用するのと同時に、重合開始剤としても作用する
ので好ましい。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金
属塩、アルキルスルホン酸金属塩等を併用すると、グラ
フト重合を行う際にポリマーの乳化状態を安定に維持す
ることができ好ましい。
【0030】複合ゴムを構成するポリアルキレン(メ
タ)アクリレートゴム成分は、以下に示すアルキル(メ
タ)アクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム用架橋剤(以下架橋剤Bという)およびポリアルキ
ル(メタ)アクリレートゴム用グラフト交叉剤(以下グ
ラフト交叉剤Bという)を用いて合成することができ
る。この合成は、好ましくは上記ポリオルガノシロキサ
ンゴムラテックス存在下で乳化重合で行うのが好まし
い。これによって、ポリオルガノシロキサンゴムとポリ
アルキル(メタ)アクリレートゴムが相互に分離不可能
に絡み合って一体化してなる複合ゴムが得られる。
【0031】アルキル(メタ)アクリレートとしては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート、ヘキ
シルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリ
レート等が挙げられる。中でも、n−ブチルアクリレー
トを用いることが好ましい。
【0032】架橋剤Bとしては、多官能性(メタ)アク
リレートを用いることができ、例えば、エチレングリコ
ールジメタクリレート、プロピレングリコールジマタク
リレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ア
リルメタクリレート等が挙げられる。
【0033】グラフト交叉剤Bとしては、反応性の異な
る2種の不飽和基を有する化合物が用いられ、このよう
な化合物の例としてはアリルメタクリレート、トリアリ
ルシアヌレート、トリアリルイソシアネート等が挙げら
れる。トリアリルシアヌレートおよびトリアイルイソシ
アネートは、いずれも3つのアリル基が反応するときの
反応性は等しいように見えるが、最初のアリル基が反応
した後で第2、第3のアリル基が反応するときの反応性
は、最初のアリル基が反応するときの反応性とは異なる
ため、反応性の異なる不飽和基を有しているとみなすこ
とができる。アリルメタクリレートの場合は、その2つ
の不飽和基の中で反応性の低い不飽和基も1部重合中に
反応して架橋サイトとして働き、しかも重合時にこれら
が全て反応することがないので、残った不飽和基がその
後のグラフト重合時にグラフトサイトとして働くもので
ある。これら架橋剤Bおよびグラフト交叉剤Bは、各々
単独あるいは2種以上を組合せて用いることができ、ア
リルメタクリレートにこれら両者を兼ねさせることが好
ましい。
【0034】これら架橋剤Bおよびグラフト交叉剤Bの
使用量は、それぞれポリアルキル(メタ)アクリレート
ゴム成分中に0.1〜10重量%である。架橋剤Bおよ
びグラフト交叉剤Bとしてアリルメタクリレートを用い
る場合には、ポリアルキル(メタ)クリレートゴム成分
中に0.2〜20重量%の範囲で用いれば、その他の架
橋剤Bやグラフト交叉剤Bを使用しなくてもよい。
【0035】上記ポリオルガノシロキサンゴムとポリア
ルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムは、
乳化重合法で製造するのが好適であり、まず、ポリオル
ガノシロキサンゴムを乳化重合法で調製し、次いでこの
ポリオルガノシロキサンゴムラテックス存在下でアルキ
ル(メタ)アクリレートゴム合成用の単量体を乳化重合
するのが好ましい。
【0036】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
分の重合は、ポリオルガノシロキサンゴムラッテクス中
に上記アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤Bおよび
グラフト交叉剤Bを添加して重合を行う。これらの添加
は一括添加でもよく、重合系への滴下でもよい。重合の
進行とともに、ポリアリキル(メタ)アクリレートゴム
成分がポリオルガノシロキサンゴム成分と両者の境界に
おいて、相互に絡み合った架橋網目を形成し、ポリオル
ガノシロキサンゴム成分の重合にあたってグラフト交叉
剤Aを用いた場合には、ポリオルガノシロキサンゴム成
分へのポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分のグ
ラフトの生じ、いずれにしても両ゴム成分が実質上相互
に分離できない複合ゴムラッテクスが得られる。
【0037】この複合ゴムは、ポリオルガノシロキサン
ゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
とが、一部絡み合った状態で架橋しているため、アセト
ン、トルエン等の通常の有機溶剤では抽出分離できない
ものである。本発明で使用される複合ゴムとしては、ポ
リオルガノシロキサンゴム成分の環状オルガノシロキサ
ンに由来する成分がジメチルシロキサンの繰り返し単位
を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の
アルキル(メタ)アクリレートがn−ブチルアクリレー
トであるものが好ましい。
【0038】本発明で使用される繊維状強化材として
は、ガラス繊維等の無機繊維、炭素繊維、耐熱有機繊維
等が挙げられる。具体的には、繊維径1〜20μm、繊
維長10mm以下のガラス繊維または炭素繊維のチョッ
プドストランド、ガラス繊維ミルドファイバー、ピッチ
系炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリイミド
繊維、芳香族ポリアミドイミド繊維、およびこれらを組
合せたものを使用することができるが、ガラス繊維のチ
ョップドストランドが好ましい。これら繊維状強化材の
配合量は、樹脂成分100重量部に対して5〜150重
量部の範囲である。これは、繊維状強化材が150重量
部を超えると流動加工性が低下するためであり、逆に5
重量部未満では十分な機械的特性が得られないためであ
る。
【0039】本発明で使用される板状充填材といして
は、マイカ、ガラスフレーク、タルク等が挙げられる。
具体的には、粒径5〜700μmのマイカ、ガラスフレ
ーク、およびこれらを組合せたものを使用することがで
きるが、特に好ましくはマイカである。これら板状充填
材の配合量は、樹脂成分100重量部に対して5〜60
重量部の範囲である。これは、板状充填材が60重量部
を超えると流動加工性が低下するためであり、逆に5重
量部未満では振動減衰特性が十分なものが得られないた
めである。また、粒径が5μm未満の場合には振動減衰
性に対する効果が少なく、700μmを超えると流動加
工性および表面外観が低下する傾向にあるためである。
【0040】上記以外に、本発明の効果を損なわない範
囲内において、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム等の無機難燃剤、ハロゲン系あるいはリン系等の有機
系難燃剤、金属粉等の充填材、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、架橋剤、
着色剤等の添加剤を添加することもできる。
【0041】上記のようなポリエステル組成物を射出成
形等の通常の成形法によって成形され、得られたポリエ
ステル樹脂成形体は固有減衰能が5.0%以上である。
これは、固有減衰能が5.0%未満であると制振材料と
して十分な振動減衰性を示さず、例えば、自動車用ミラ
ー支持部材として使用した場合には、エンジン等の振動
を十分に吸収することができずミラーの振動が大きくな
るためである。ここで、固有減衰能(S.D.C)は、
幅12.7mm、長さ127mm、厚さ3mmの試験片
を成形し、この試験片1を図1に示したようなギャップ
センサー2及びエレクトロマグネット3を有する装置に
固定して、試験片1の一端に自由振動を与えてデジタル
オシロスコープを使用して減衰曲線を測定した後、次の
式を用いて算出したものである。
【0042】
【数1】S.D.C(%)=(ΔW/W)×100=
{(An 2−An+1 2)/An 2}×100 (式中、Wは振動エネルギー、ΔWは1サイクルに失わ
れるエネルギー、An はn番目の振動の大きさ、An+1
はn+1番目の振動の大きさを示す。)
【0043】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。実施例において、曲げ弾性率はASTMD790
に準拠して、荷重たわに温度はASTMD648に準拠
して測定した。また、振動特性の測定は、前述の固有減
衰能の測定方法に従って測定した。なお、実施例で使用
したポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体として
は、ポリオルガノシロキサンエアテックス8.9重量部
にn−ブチルアクリレート71.1重量部と架橋剤等を
添加してラジカル重合を行い、得られた複合ゴムラテッ
クスにメチルメタクリレート10重量部とグリシジルメ
タクリレート10重量部をグラフト重合させたものを用
いた。
【0044】実施例1〜9 固有粘度[η]が1.0のポリブチレンテレフタレー
ト、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体、繊維
径13μmで繊維長3mmのガラス繊維および粒径5〜
600μmのマイカとを表1に示した割合で配合し、V
型ブレンダー中で5分間均一に混合した。この混合物を
直径60mmのベント式溶融押出機に投入し、シリンダ
ー温度250〜290℃で押し出し、ポリエステル樹脂
組成物のペレットを得た。得られたポリエステル樹脂組
成物のペレットを、直径32mm、3オンスのスクリュ
ー式射出成形機で、シリンダー温度250〜290℃、
金型温度80〜130℃、成形サイクル40秒にて射出
成形し試験片を得た。得られた試験片を用いて、曲げ弾
性率、荷重たわみ温度および固有減衰能を測定し、その
結果を表1に示した。
【0045】実施例10〜18 固有粘度[η]が0.8のポリエチレンテレフタレー
ト、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体、繊維
径13μmで繊維長3mmのガラス繊維および粒径5〜
600μmのマイカとを表1に示した割合で配合し、実
施例1〜9と同様の方法でポリエステル樹脂組成物のペ
レットを得た。得られたポリエステル樹脂組成物のペレ
ットを、実施例1〜9と同様の方法で試験片を成形し、
得られた試験片を用いて曲げ弾性率、荷重たわみ温度お
よび固有減衰能を測定し、その結果を表1に示した。
【0046】比較例1〜7 固有粘度[η]が1.0のポリブチレンテレフタレー
ト、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体、繊維
径13μmで繊維長3mmのガラス繊維および粒径4μ
mのマイカとを表1に示した割合で配合し、実施例1〜
9と同様の方法でポリエステル樹脂組成物のペレットを
得た。得られたポリエステル樹脂組成物のペレットを、
実施例1〜9と同様の方法で試験片を成形し、得られた
試験片を用いて曲げ弾性率、荷重たわみ温度および固有
減衰能を測定し、その結果を表2に示した。
【0047】比較例8〜12 固有粘度[η]が0.8のポリエチレンテレフタレー
ト、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体、繊維
径13μmで繊維長3mmのガラス繊維および粒径4μ
mのマイカとを表1に示した割合で配合し、実施例1〜
9と同様の方法でポリエステル樹脂組成物のペレットを
得た。得られたポリエステル樹脂組成物のペレットを、
実施例1〜9と同様の方法で試験片を成形し、得られた
試験片を用いて曲げ弾性率、荷重たわみ温度および固有
減衰能を測定し、その結果を表2に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明の制振性ポリエステル樹脂組成物
は、ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体、繊維
状強化材および板状強化材を配合することによって、耐
熱性および機械的特性を損なうことなく、振動減衰性に
も優れた成形品を得ることができるものであり、各種自
動車部品、電器・電子関連部品等の制振性を要求される
成形材料として広く使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】固有減衰能を測定するための装置を示す図
【符号の説明】
1 ・・・ 試験片 2 ・・・ ギャップセンサー 3 ・・・ エレクトロマグネット
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51:08 51:06) (72)発明者 中田 章 広島県大竹市御幸町20番1号三菱レイヨン 株式会社中央研究所内 (72)発明者 西山 勝廣 千葉県野田市山崎2641東京理科大学理工学 部機械工学科内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂60〜99重
    量%とポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体40
    〜1重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、
    繊維状強化材5〜150重量部および板状強化材5〜6
    0重量部を配合してなることを特徴とする制振性ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリオルガノシロキサン系グラフト共重
    合体が、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアクリル
    (メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムにエポキシ
    基含有ビニル系単量体をグラフト重合してなることを特
    徴とする請求項1記載の制振性ポリエステル樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステル樹脂60〜99重
    量%とポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体40
    〜1重量%とからなる樹脂成分100重量部と、繊維状
    強化材5〜150重量部と、板状強化材5〜60重量部
    とからなり、固有減衰能が5.0%以上であることを特
    徴とするポリエステル樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 ポリオルガノシロキサン系グラフト共重
    合体が、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアクリル
    (メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムにエポキシ
    基含有ビニル系単量体をグラフト重合してなることを特
    徴とする請求項3記載のポリエステル樹脂成形体。
JP23012792A 1992-08-28 1992-08-28 制振性ポリエステル樹脂組成物およびポリエステル樹脂成形体 Pending JPH0673276A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1614715A4 (en) * 2003-04-14 2006-05-03 Kaneka Corp POLYESTER RESIN COMPOSITION
JP2008075087A (ja) * 2007-10-02 2008-04-03 Kaneka Corp 制振性樹脂組成物とそれを用いた成形品

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EP1614715A4 (en) * 2003-04-14 2006-05-03 Kaneka Corp POLYESTER RESIN COMPOSITION
JP2008075087A (ja) * 2007-10-02 2008-04-03 Kaneka Corp 制振性樹脂組成物とそれを用いた成形品

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