JPH06526Y2 - ドアロック装置における回動レバーの支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ドアロック装置において、少くとも２位置に
回動することにより、施解錠操作等を行なう回動レバー
の支持構造に関する。

〔従来の技術〕

従来の自動車用ドアロック装置においては、ドアの内方
からのロック解除操作を不能としたり可能としたりする
チャイルドプルーフレバーや、ドアロックを施錠状態と
したり解錠状態としたりする施解錠レバー等のように、
少なくとも２位置に移動するようにした各種の回動レバ
ーは、通常ベースプレートに軸をもって枢着され、かつ
それらが望ましくないときに妄りに回動したり、又は望
ましくない中間位置で停止したりするのを防止するた
め、例えば回動レバーとベースプレートとの間に、回動
レバーが中間位置を通過する際に付勢方向が反転して、
回動レバーを２位置のいずれかに振り分け的に付勢する
ようにしたねじりコイルばねよりなるオーバーセンター
スプリングを設けたり、又はベースプレート側に、山形
の屈曲部を有する板ばねを設け、回動レバーが、一方の
位置から他方の位置へ、及びその逆方向へ移動する際、
必ずこの板ばねの山形の屈曲部を乗り越えるようにした
りしていた（実開昭60-90364号公報参照）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上述のような従来のものにおいては、回動レバーの回動
操作に適度の抵抗力を付与し、回動レバーを所望の定位
置に安定して保持するオーバーセンタースプリングや板
ばね等のチェック手段を、ドアロック装置の他の構成部
品と別個に設けなければならず、部品点数が増大すると
ともに、構造が複雑化し、製造作業工数が増大する等の
問題点がある。

本考案は、回動レバーのチェック手段を、他の機能を備
えるドアロックの構成部材と兼用させることにより、上
述の問題点を解決したドアロック装置における回動レバ
ーの支持構造を提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案のドアロック装置における回動レバーの支持構造
においては、上記問題点を解決するための具体的な手段
として、レバー支持体に設けた軸筒に、回動レバーを枢
嵌するとともに、前記軸筒の先端に、前記回動レバーの
側面に圧接することにより回動レバーの回動に抵抗力を
付与するようにした弾性舌片を有するチェックプレート
の一側面に突設した軸部を、回り止めして圧嵌すること
により、前記チェックプレートをもって、回動レバーの
チェックと軸筒からの脱落防止とを計ったことを特徴と
している。

〔作用〕

本考案の構造によると、レバー支持体の軸筒に、回動レ
バーを枢嵌し、かつ軸筒の先端に、チェックプレートの
軸部を圧嵌することにより、回動レバーは、チェックプ
レートの弾性舌片に押圧され、回動時に適度の摺動抵抗
が付与されるとともに、軸筒からの脱落が防止される。

〔実施例〕

本考案の一実施例を、添付図面に基づいて説明する。

(1)は、硬質合成樹脂製の箱状のドアロック本体、(2)
は、ドアロック本体(1)の一側面に固着された平面形が
ほぼＬ字状をなす鋼板製のベースプレート、(3)は、ベ
ースプレート(2)の外側面を、適宜の間隔を置いて覆う
硬質合成樹脂製のカバーである。

ドアロック本体(1)内には、車体側に固着されたストラ
イカと噛み合うラッチ、及び該ラッチの回動を拘束した
り、その拘束を解除したりするポール（いずれも図示
略）等の公知のドアロック構成部材が設けられている。

ベースプレート(2)とカバー(3)との間には、施解錠機構
(4)における各種の回動レバー、すなわち施解錠レバー
(5)、チャイルドプルーフレバー（以下単にチャイルド
レバーという）(6)、インサイドレバー(7)等が収容され
ている。

これらのレバー(5)、(6)、(7)は、第１図に示すように、
カバー(3)側に予め仮組みされた状態で、カバー(3)を、
ベースプレート(2)に結合することにより、ドアロック
本体(1)の定位置に装着されている。

この実施例においては、本考案の回動レバーの支持構造
を、回動レバーの一つであるチャイルドレバー(6)の支
持構造に適用してあるので、この部分の構造について重
点的に説明する。

なお、本考案を、回動レバーである施解錠レバー(5)や
インサイドレバー(7)等のその他のレバーの支持構造に
適用してもよいことはもちろんである。

レバー支持体であるカバー(3)の前面中位部には、外周
の適宜の２個所に軸方向を向くスリット(8a)(8b)が切設
された前方を向く軸筒(8)が連設されており、この軸筒
(8)の先端部に形成された縮径部(8c)には、チャイルド
レバー(6)の上部に穿設された軸孔(9)が枢嵌されてい
る。

チャイルドレバー(6)の下端左側部には、前方に向けて
折曲形成され、かつベースプレート(2)に穿設されたほ
ぼ扇形の窓孔(10)を貫通して、ドア（図示略）の外方に
突出する操作部(6a)が連設されている。

チャイルドレバー(6)の操作部(6a)は、ドアを開いた状
態では操作可能であるが、ドアを閉じると車体のピラー
部に閉塞されて、操作不能となるようなドアの適所に配
置されている。

第１図乃至第４図に想像線で示すように、操作部(6a)に
は、軟質合成樹脂等よりなるキャップ(11)が嵌着されて
おり、ドアを開いた状態で、このキャップ(11)を回動さ
せることにより、チャイルドレバー(6)は、第１図に示
す解錠位置と、第２図に示す施錠位置とに、軸筒(8)を
中心として選択的に回動させられる。

チャイルドレバー(6)における軸孔(9)より若干下方の前
面には、軸孔(9)の中心より等距離の位置に、左右１対
の凹部(12)(13)が設けられている。

(14)は、左上方を向く板状のチェックプレートで、下端
部に弾性撓曲可能な弾性舌片(15)を備えるとともに、弾
性舌片(15)の上方に、後方を向く筒状の軸部(16)を備え
ている。

軸部(16)の外周には、軸筒(8)における各スリット(8a)
(8b)と対応する位置に、スプライン状をなす軸方向の突
条(16a)(16b)が設けられており、この突条(16a)(16b)が
各スリット(8a)(8b)に嵌合するようにして、軸部(16)を
軸筒(8)内に圧嵌することにより、チェックプレート(1
4)は、軸筒(8)に回り止めされるとともに、軸筒(8)から
前方への脱落が阻止されている。

また、軸部(16)を軸筒(8)に圧嵌したとき、弾性舌片(1
5)の先端部後面に設けた突起(15a)が、解錠位置にある
ときのチャイルドレバー(6)の凹部(13)、又は施錠位置
にあるときのチャイルドレバー(6)の凹部(12)に、それ
ぞれ選択的に圧接状態で係合するようにすることによ
り、チャイルドレバー(6)の解錠位置から施錠位置及び
その逆方向への回動に適宜の抵抗力を付与し、チャイル
ドレバー(6)を解錠位置と施錠位置との２位置のみにお
いて安定して保持し得るようにしてある。

この実施例においては、上述のようにして、チャイルド
レバー(6)を軸筒(8)に嵌合し、かつ軸筒(8)の先端にチ
ェックプレート(14)の軸部(16)を圧嵌することにより、
チャイルドレバー(6)及びチェックプレート(14)をカバ
ー(3)に仮組みし、さらにその他の施解錠レバー(5)、イ
ンサイドレバー(7)等の各種のレバーをカバー(3)に装着
した後、カバー(3)をベースプレート(2)に結合し、さら
にその後に、有頭軸(17)を、カバー(3)の軸筒(8)より、
チェックプレート(14)の軸部(16)及びベースプレート
(2)に順次貫通し、その先端をかしめることにより（第
４図参照）、ベースプレート(2)とカバー(3)との結合を
強固にするとともに、軸筒(8)からのチェックプレート
(14)の軸部(16)の脱落、及びそれに伴なう軸筒(8)から
のチャイルドレバー(6)の脱落を確実に阻止するように
してある。

また、この実施例においては、チェックプレート(14)に
おける右上部の後面に膨出部(14a)を設け、この膨出部
(14a)の後面を、サブレバー(18)の前面に摺接させるこ
とにより、チェックプレート(14)に、サブレバー(18)の
ための案内手段としての機能をもたせるとともに、カバ
ー(3)とベースプレート(2)とを互いに結合したとき、チ
ェックプレート(14)の左端が、ドアロック本体(1)に当
接するようにしておくことにより、チェックプレート(1
4)に、カバー(3)とベースプレート(2)との間隙を一定に
保つスペーサとしての機能をもたせてある。

(14b)は、チェックプレート(14)における膨出部(14a)と
反対側の前面に設けた肉抜きのための凹部である。

その他の構成は、本考案に直接関係せず、かつ公知の構
成とほぼ同一であるので、簡単に説明する。

サブレバー(18)の下端部は、中間部がカバー(3)に左右
方向の軸(19a)（第４図参照）をもって枢着されたアウ
トサイドレバー(19)の前端部に枢嵌され、またサブレバ
ー(18)の上部に穿設された上下方向を向く長孔(18a)に
は、施解錠レバー(5)の前面に突設した平面形がＴ字形
の係合部材(20)が係合している。

サブレバー(18)は、施解錠レバー(5)が施錠位置のとき
は、第１図及び第２図に示すような施錠位置に位置し、
施解錠レバー(5)が、ノブやアクチュエータ（いずれも
図示略）の操作により、施錠位置から第１図における時
計方向に所要角度回動させられた解錠位置に位置させら
れると、下端部のアウトサイドレバー(19)への枢嵌部を
中心に、上端部が第１図における矢示のように左方に所
要角度回動させられた解錠位置（図示略）に位置させら
れる。

サブレバー(18)が解錠位置のとき、ドアのアウトサイド
ハンドル（図示略）の操作により、アウトサイドレバー
(19)を、その前端が上方に移動するように回動させる
と、サブレバー(18)が持ち上げられて、サブレバー(18)
の左側縁に形成された突部(18b)で、ドアロック本体(1)
側に設けられたオープンレバー(21)を回動させて、ドア
ロックを解除することができる。

サブレバー(18)が施錠位置のとき、アウトサイドレバー
(19)を上記と同様に回動し、サブレバー(18)を持ち上げ
ても、その突部(18b)がオープンレバー(21)から右方に
離れた位置で空振りするだけで、オープンレバー(21)を
回動させて、ドアロックを解除することはできない。

チャイルドレバー(6)の下半部には、概ね上下方向を向
く長孔(22)が穿設されており、この長孔(22)には、前後
方向を向くピン(23)が上下方向に摺動可能に嵌合してい
る。

ピン(23)は、インサイドレバー(7)の下半部の後面に重
合するようにして配設されたつめ板(24)の前面左部に突
設され、かつインサイドレバー(7)に穿設されたほぼ左
右方向を向く長孔(25)と、上記チャイルドレバー(6)の
長孔(22)とを貫通して前方に延出している。

つめ板(24)の左端には、アウトサイドレバー(19)の前端
部の下端に係合可能なつめ(24a)が突設されており、ま
たつめ板(24)の右端部には、インサイドレバー(7)の枢
軸(26)に係合するほぼ左右方向を向く長孔(27)が穿設さ
れている。

かくして、チャイルドレバー(6)が第１図に示すよう
に、解錠位置に位置しているときは、つめ板(24)のつめ
(24a)がアウトサイドレバー(19)の前端部の下方に位置
しており、この状態で、ドアのインサイドハンドル（図
示略）を操作することにより、インサイドレバー(7)を
第１図の時計方向に回動させると、つめ板(24)のつめ(2
4a)でアウトサイドレバー(19)の前端部を押し上げて、
サブレバー(18)を上昇させ、オープンレバー(21)を回動
させて、ドアを開けることができる。

第１図の状態から、チャイルドレバー(6)を、第２図に
示す施錠位置まで、軸筒(8)を中心に回動させると、ピ
ン(23)及びつめ板(24)が、インサイドレバー(7)の軸(2
6)に近接するように右方に摺動し、つめ(24a)は、アウ
トサイドレバー(19)の前端部の下方の位置より、右側方
に外れた位置に位置する。

この状態で、インサイドレバー(7)を時計方向に回動さ
せても、つめ(24a)はアウトサイドレバー(19)の前端部
に係合しないで、空振りするので、ドアを開くことがで
きない。したがって子供のいたずら等による車内からの
開扉が不能となり、いわゆるチャイルドプルーフの機能
を発揮することができる。

この実施例は、上述のような構成としてあるので、「考
案の効果」として後述する効果の他に、チェックプレー
ト(14)に、サブレバー(18)のための案内手段としての機
能や、カバー(3)とベースプレート(2)との間隙を一定に
保つスペーサとしての機能等を付加してあるので、さら
に便利であるという効果を奏することができる。

〔考案の効果〕

本考案によると、回動レバーのチェック作用をするチェ
ックプレートを、軸筒からの回動レバーの脱落防止手段
と兼用させたので、部品点数の減少、構造の簡素化、及
び組みつけ作業工数の減少等を計ることができ、ドアロ
ック装置を安価に製造できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の構造を備えるドアロック装置の一例
を示すもので、チャイルドプルーフレバーが解錠位置に
あるときのカバー側に装着された施解錠機構を示す正面
図、 第２図は、同じくチャイルドプルーフレバーが施錠位置
にあるときの同様の正面図、 第３図は、同じくカバーをベースプレートに結合したと
きの正面図、 第４図は、第３図のＸ−Ｘ線に沿う縦断側面図、 第５図は、チャイルドプルーフレバーと軸筒とチェック
プレートとの関係を示す分解斜視図、 第６図は、第１図のＹ−Ｙ線に沿う拡大断面図である。 (1)ドアロック本体 (2)ベースプレート (3)カバー (4)施解錠機構 (6)チャイルドプルーフレバー（回動レバー） (8)軸筒 (9)軸孔 (12)(13)凹部 (14)チェックプレート (15)弾性舌片 (15a)突起 (16)軸部

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】レバー支持体に設けた軸筒に、回動レバー
   を枢嵌するとともに、前記軸筒の先端に、前記回動レバ
   ーの側面に圧接することにより回動レバーの回動に抵抗
   力を付与するようにした弾性舌片を有するチェックプレ
   ートの一側面に突設した軸部を、回り止めして圧嵌する
   ことにより、前記チェックプレートをもって、回動レバ
   ーのチェックと軸筒からの脱落防止とを計ったことを特
   徴とするドアロック装置における回動レバーの支持構
   造。
2. 【請求項２】回動レバーが、ドアの内方からのロック解
   除操作を不能とするチャイルドプルーフレバーである実
   用新案登録請求の範囲第(1)項に記載のドアロック装置
   における回動レバーの支持構造。
3. 【請求項３】ドアロック装置が、ロック本体に設けたベ
   ースプレートと、樹脂製カバーとを、それらの間に各種
   の施解錠操作用の回動レバーを挟んで、互いに結合した
   ものよりなり、かつレバー支持体が前記樹脂製カバーで
   ある実用新案登録請求の範囲第(1)項又は第(2)項に記載
   のドアロック装置における回動レバーの支持構造。
4. 【請求項４】ベースプレートと樹脂製カバーとを結合し
   たとき、チェックプレートがベースプレートに当接する
   ようにしてなる実用新案登録請求の範囲第(3)項に記載
   のドアロック装置における回動レバーの支持構造。
5. 【請求項５】ベースプレートと、チェックプレートの軸
   部と、樹脂製カバーとを、それらを貫通する軸をもって
   互いに結合してなる実用新案登録請求の範囲第(3)項又
   は第(4)項に記載のドアロック装置における回動レバー
   の支持構造。
6. 【請求項６】チェックプレートが、その弾性舌片の先端
   部に、回動レバーの側面に形成された複数の凹部に選択
   的に係合可能な突起を有するものである実用新案登録請
   求の範囲第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載のドアロ
   ック装置における回動レバーの支持構造。