JPH0650692Y2 - メタルシリンダヘッドガスケット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案に係るメタルシリンダヘッドガスケットは、エ
ンジンのシリンダブロック上面とシリンダヘッド下面と
の間に挟持して、両面間の気密及び液密を保持する為に
利用する。

（従来の技術） エンジンのシリンダブロックの上面とシリンダヘッドの
下面との間の気密及び液密を保持する為、第３図に示す
様なメタルシリンダヘッドガスケット１が使用されてい
る。

このメタルシリンダヘッドガスケット１は、ステンレス
鋼板、或は亜鉛メッキ鋼板等の金属薄板に、シリンダ頂
部の開口形状に一致するボア孔２、２と、冷却水或は潤
滑油を通す為の水油孔３、３と、シリンダブロックにシ
リンダヘッドを固定する為のボルトを挿通する図示しな
い小孔と、カムシャフトを駆動するチェンを通す為の通
孔４とを穿設し、上記通孔４を除くボア孔２、２と水油
孔３、３との周囲を、内周側平坦部と外周側平坦部とを
傾斜部で連続させた、ダイヤフラム型のビード５、15で
囲み、通孔４の周囲を、別のダイヤフラム型のビード６
で囲む事により、構成されている。

この様なメタルシリンダヘッドガスケット１を、シリン
ダブロックの上面とシリンダヘッドの下面との間で強く
挟持した場合、各ビード５、６、15が、上記両面の間で
押し潰され、各孔２、３、４の周囲に於けるメタルシリ
ンダヘッドガスケット１とシリンダヘッド上面或はシリ
ンダヘッド下面との当接圧が高くなり、各孔２、３、４
周囲の気密及び液密保持が図られる。

（考案が解決しようとする課題） ところが、上述の様に構成され、使用される従来のメタ
ルシリンダヘッドガスケット１の場合、次に述べる様な
問題があった。

即ち、近年の小型軽量化されたエンジンに装着するメタ
ルシリンダヘッドガスケット１の場合、エンジンの水孔
16が対向する部分と通孔４との間に存在する部分７の幅
Ｗが狭く、この部分にダイヤフラム型のビード５、６を
２本通す事が難しい場合がある。

この為、上記部分７にはビードを１本のみ通し、この１
本のビードを、水油孔３、３の周囲の液密保持と、通孔
４の周囲の液密保持とに共用する事が考えられるが、ダ
イヤフラム型のビードの端部を、別のダイヤフラム型の
ビードの中間部に接続する事は出来ない。

断面がＶ字形、或はＵ字形の、所謂山形ビードの場合、
この様な問題は生じないが、シール性能の面から、前記
ダイヤフラム型ビードに比べて劣ってしまう。

又、OHC型エンジンやDOHC型エンジンに於いて、カムシ
ャフト駆動用のチェンを収納する部分は、収納部分を覆
うカバーとシリンダブロックやシリンダヘッドの本体部
分とを別体に造り、このカバーを後からボルトによる上
記本体部分に固定する構造とされており、上記カバーと
本体部分との合わせ目に、微小な段差が形成される事が
避けられない。

この様な段差の高さは極く僅かであるが、メタルシリン
ダヘッドガスケット１の通孔４の周囲に形成したビード
６が、この段差を横切る状態で、上記したシリンダブロ
ックの上面或はシリンダヘッドの下面に当接する為、金
属薄板に形成されたビード６により、この段差部分の液
密保持を確実に図る事は困難である。

この結果、上記通孔４の内側に存在する潤滑油が、上記
段差部分から外部に漏洩してしまう。

本考案のメタルシリンダヘッドガスケットは、上述の様
な不都合を解消するものである。

（課題を解決する為の手段） 本考案のメタルシリンダヘッドガスケットは、前述した
従来のメタルシリンダヘッドガスケットと同様、金属薄
板に、シリンダ頂部の開口形状に一致するボア孔と、冷
却水或は潤滑油を通す為の水油孔と、チェンを通す為の
通孔とを穿設する事で構成されている。

更に、本考案のメタルシリンダヘッドガスケットに於い
ては、上記通孔を除くボア孔と水油孔との周囲を、内周
側平坦部と外周側平坦部とを傾斜部で連続させた、ダイ
ヤフラム型のビードで囲むと共に、上記通孔の周囲三方
に透溝を、この透溝の両端部が上記ビードの一部を横切
る状態で形成し、この透溝の内側に紐状の弾性材を、一
部が透溝から突出する状態で嵌装している。

（作用） 上述の様に構成される本考案のメタルシリンダヘッドガ
スケットの場合、ボア孔と水油孔との周囲の気密或は液
密は、ダイヤフラム型のビードによって保持される。

又、通孔の周囲で、上記水油孔と対向する部分の液密
は、上記ダイヤフラム型のビードにより保持される。

更に、通孔周囲の残り三方部分の液密は、透溝の内側に
嵌装された弾性材により保持される。上記残り三方部分
の一部は、前記段差に対向するが、透溝に嵌装された弾
性材は、この段差に合致する様に変形して、段差部分の
シール性も良好に保つ。

（実施例） 次に、図示の実施例を説明しつつ、本考案を更に詳しく
説明する。

第１〜２図は本考案の実施例を示しており、第１図は全
体構成を示す平面図、第２図は第１図のＡ部拡大斜視図
である。

このメタルシリンダヘッドガスケット１は、互いに重ね
合わされた２枚の金属薄板８、９に、シリンダ頂部の開
口形状に一致するボア孔２、２と、冷却水或は潤滑油を
通す為の水油孔３、３と、チェンを通す為の通孔４とを
穿設する事で構成されている。

上記通孔４を除く、ボア孔２、２と水油孔３、３との周
囲は、第２図に示す様に、内周側平坦部10と外周側平坦
部11とを傾斜部12で連続させた、ダイヤフラム型のビー
ド５で囲み、更に各ボア孔２、２の周囲を、同様のビー
ド15、15で囲んでいる。

又、上記通孔４の周囲三方には透溝13を、この透溝13の
両端部13a、13aが上記ビード５の一部を横切る状態で形
成している。そして、この透溝13の内側に、耐油性ゴム
等により紐状に造られた弾性材14を、この弾性材14の一
部が透溝13から突出する状態で嵌装している。

上述の様に構成される本考案のメタルシリンダヘッドガ
スケット１を、シリンダブロックの上面とシリンダヘッ
ドの下面との間で挟持した場合、水油孔３、３の周囲の
液密は、各孔２、３の周囲を囲む状態で形成された、ダ
イヤフラム型のビード５によって保持される。

又、チェンを通す為の通孔４の周囲で、上記水油孔３、
３と対向する部分の液密は、上記ダイヤフラム型のビー
ド５により保持される。

更に、通孔４周囲の残り三方部分の液密は、透溝13の内
側に嵌装された弾性材14が、シリンダブロックの上面と
シリンダヘッドの下面との間で圧縮される事により保持
される。

この場合に於いて、上記残り三方部分の一部は、前記カ
バーと本体部分との合わせ目に形成される微小な段差に
対向するが、透溝13に嵌装された弾性材14は、この段差
に合致する様に変形して、段差部分のシール性も良好に
保つ。

（考案の効果） 本考案のメタルシリンダヘッドガスケットは、以上に述
べた通り構成され作用する為、エンジンの水孔に対向す
る部分と通孔との間隔が狭い場合でも、この通孔周囲部
分のシール性を確実に保持し、上記通孔の内側に存在す
る潤滑油の漏洩を確実に防止出来る。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は本考案の実施例を示しており、第１図は全
体構成を示す底面図、第２図は第１図のＡ部拡大斜視
図、第３図は従来のメタルシリンダヘッドガスケットの
１例を示す平面図である。 1:メタルシリンダヘッドガスケット、2:ボア孔、3:水油
孔、4:通孔、５、6:ビード、7:部分、８、9:金属薄板、
10:内周側平坦部、11:外周側平坦部、12:傾斜部、13:透
溝、13a:端部、14:弾性材、15:ビード、16:水孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】金属薄板に、シリンダ頂部の開口形状に一
   致するボア孔と、冷却水或は潤滑油を通す為の水油孔
   と、チェンを通す為の通孔とを穿設したメタルシリンダ
   ヘッドガスケットに於いて、上記通孔を除くボア孔と水
   油孔との周囲を、内周側平坦部と外周側平坦部とを傾斜
   部で連続させた、ダイヤフラム型のビードで囲むと共
   に、上記通孔の周囲三方に透溝を、この透溝の両端部が
   上記ビードの一部を横切る状態で形成し、この透溝の内
   側に紐状の弾性材を、一部が透溝から突出する状態で嵌
   装した事を特徴とする、メタルシリンダヘッドガスケッ
   ト。