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JPH06279539A - 乳化安定剤、その乳化安定剤を用いたエマルジョン、および乳化安定剤を用いたエマルジョンの製造方法 - Google Patents

乳化安定剤、その乳化安定剤を用いたエマルジョン、および乳化安定剤を用いたエマルジョンの製造方法

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Publication number
JPH06279539A
JPH06279539A JP5068102A JP6810293A JPH06279539A JP H06279539 A JPH06279539 A JP H06279539A JP 5068102 A JP5068102 A JP 5068102A JP 6810293 A JP6810293 A JP 6810293A JP H06279539 A JPH06279539 A JP H06279539A
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JP
Japan
Prior art keywords
emulsion
cationic
group
polyvinyl alcohol
alcohol resin
Prior art date
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Granted
Application number
JP5068102A
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English (en)
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Inventor
Ikuo Suzuki
郁夫 鈴木
Tsutomu Suzuki
つとむ 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AISERO KAGAKU KK
Aicello Chemical Co Ltd
Original Assignee
AISERO KAGAKU KK
Aicello Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by AISERO KAGAKU KK, Aicello Chemical Co Ltd filed Critical AISERO KAGAKU KK
Priority to JP5068102A priority Critical patent/JP2635280B2/ja
Publication of JPH06279539A publication Critical patent/JPH06279539A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】比較的簡便な方法でカチオン性ポリビニルアル
コール系樹脂の乳化安定剤を製造し、その乳化安定剤を
用いた乳化重合されたカチオン性重合体エマルジョン、
およびエマルジョンの製造方法を提供する。 【構成】下記式 【化3】 〔式中、R1 は水素原子、アルキル基またはアラルキル
基を示し、ヒドロキシル基、カルバモイル基、エーテル
結合、不飽和結合を含んでいても良く、R2 は水素原子
または炭素数1〜5のアルキル基であり、Xは、ハロゲ
ンイオン原子、硫酸基、メトサルフェート硫酸基(メト
硫酸基)、メタンスルホン酸基、燐酸基、またはp−ト
ルエンスルホン酸基から選ばれる陰イオンであり、mは
0または1で、nは1〜6までの整数〕で表されるアセ
タール化度0.1〜40モル%であるカチオン性ポリビ
ニルアルコール系樹脂を含む乳化安定剤は、エチレン性
不飽和単量体を乳化重合してなるカチオン性重合体エマ
ルジョンを製造する際に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば紙の表面サイジ
ング剤、繊維処理剤、土壌改良剤、製紙用補強剤、セメ
ント混和剤として使用されるカチオン性重合体エマルジ
ョンを重合する際に用いられる乳化安定剤と、重合され
たカチオン性重合体エマルジョン、および乳化安定剤を
用いたカチオン性重合体エマルジョンの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、作業環境の安全性、地球環境問題
あるいは生産コスト削減などの対策として脱有機溶剤化
の社会的な傾向が高まりつつある。脱有機溶剤化の具現
化として重合体エマルジョンの需要が益々増加してい
る。重合体エマルジョンの用途は幅広く、塗料、接着
剤、粘着剤、紙の表面サイジング剤、繊維処理剤、土壌
改良剤、製紙用補強剤、セメント混和剤などに用いられ
ている。
【0003】従来、ビニル重合体エマルジョンの製造時
に用いる乳化安定剤はノニオン系またはアニオン系の界
面活性剤、あるいはポリビニルアルコール系樹脂、ヒド
ロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、アラビアゴム、可溶性澱粉、可溶性デキストリンな
どの水溶性高分子を単独あるいは複合して用いるのが通
常的な方法である。このような方法で重合されたエマル
ジョンのエマルジョン粒子は必然的に電気的には中性か
あるいは負に帯電している。
【0004】これに対してエマルジョン粒子が電気的に
正に帯電しているカチオン性重合体エマルジョンがあ
る。カチオン性重合体エマルジョンがアニオン性やノニ
オン性の重合体エマルジョンより優れた性能を示す用途
として、例えば紙の表面サイジング剤、繊維処理剤、土
壌改良剤、製紙用補強剤、セメント混和剤などが挙げら
れる。このように利用分野が幅広くありながら、カチオ
ン性重合体エマルジョンは市場にあまり出回っていな
い。その理由は、優れた性能を有する安定性のよいカチ
オン性重合体エマルジョンの製造が困難なためである。
【0005】カチオン性重合体エマルジョンはラウリル
アミン塩、ステアリルトリメチレンジアミン塩、オクタ
デシルアミン塩、ラウリルピリジニウムクロライド、ス
テアリルアンモニウムクロライド、ジオレイルアンモニ
ウムクロライドあるいはオクチルベンジルトリメチルア
ンモニウムクロライドなどのカチオン性界面活性剤を乳
化安定剤として用いて製造することができる。この他に
もノニオン系の界面活性剤を用いて乳化重合した後、カ
チオン性物質、例えば前述のカチオン性界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレンイミン
などを後添加して得る方法も知られている。しかしカチ
オン性界面活性剤の多くは、毒性の点で問題が多く、使
用範囲が限定されているのが現状である。またカチオン
型の重合開始剤、例えば2,2' −アゾビス(2−アミ
ノプロパン)塩酸塩や2,2’アゾビスイソブチルアミ
ジン塩酸塩などを使用して乳化重合してエマルジョン粒
子をカチオン化する方法も提唱されているが、この方法
では十分なカチオン性をエマルジョン粒子に付与するこ
とができない。さらに、乳化剤のない状態でジメチルア
ミノエチルメタクリレートの塩酸塩とそれ以外の単量体
とを共重合してから、その後にこの共重合物を保護コロ
イドとして目的とするモノマーの乳化重合を実施する方
法も提唱されている。この方法は製造工程の制御が複雑
で安定した製品の製造が困難である。
【0006】一方、ポリビニルアルコール系樹脂は優れ
た乳化安定剤として知られている。界面活性剤を併用し
なくても酢酸ビニルの単一乳化重合をはじめ、酢酸ビニ
ルとエチレン、アクリル酸エステル、マレイン酸ジエス
テル、バーサチック酸ビニルなどの共重合体の乳化重合
エマルジョンの製造に利用され、安定性の優れたエマル
ジョンを得ている。乳化安定剤に用いるポリビニルアル
コール系樹脂は部分ケン化物、なかでも残存酢酸基が適
当にブロック状に分散しているものが用いられている。
このようにポリビニルアルコール系樹脂を乳化安定剤と
して乳化重合したエマルジョンはエマルジョン粒子の保
護層の厚みが界面活性剤を用いて乳化重合したエマルジ
ョン粒子よりも厚いため、安定性がよいという優位性が
ある。その半面、得られたエマルジョンは電気的に中性
で、しかも粒子径は1μ以上の大きなものしか得られな
い。
【0007】ポリビニルアルコール系樹脂を乳化安定剤
として使用し、粒子径が小さく安定性の良いエマルジョ
ンを得る方法として、特開平1-240501号公報には直鎖ア
ルキル基を末端に導入した変性ポリビニルアルコールを
用いて塩化ビニルの乳化重合をする方法が開示されてい
る。この方法で得られる重合体エマルジョンはアニオン
性である。またポリビニルアルコールにカチオン基を導
入してカチオン性重合体エマルジョンを得る方法として
アミノアセタール化する方法、シアノエチル化ポリビニ
ルアルコールを還元する方法、エピクロルヒドリンでポ
リビニルアルコールをエーテル化してアミンと反応させ
る方法などによる高分子反応による修飾方法が公知であ
る。これらの方法は導入させる条件が強酸性あるいは強
アルカリ性下であったりするため、乳化安定剤に適する
部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂の状態で変性ポ
リビニルアルコール系樹脂を得ることが極めて困難であ
る。この問題点を解決するため、特開昭60−4503号公
報、特公昭63-441号公報、および特公平1-44723 号公報
にはカチオン性基を有する単量体と酢酸ビニルを共重合
し、けん化によりカチオン性ポリビニルアルコールを得
る方法が開示されている。このような共重合による方法
は、重合するための特別な設備が必要な上、製造工程の
管理が難しい。また得られるエマルジョンの粒子径は1
μ以上のもので比較的大きい。エマルジョン粒子径は小
さければ小さい程、同じ重量中のエマルジョン重合体の
表面積は大きくなり、より効率よく活用できるが、この
ように粒子径が大きいエマルジョン重合体では活用効率
が悪くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の課題を
解決するためなされたもので、エチレン性不飽和単量体
を乳化重合する際に必要な乳化安定剤、その乳化安定剤
を用いたカチオン性重合体エマルジョン、および乳化安
定剤を用いたエマルジョンの製造法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めになされた本発明の乳化安定剤は、下記式
【0010】
【化2】
【0011】〔式中、R1 は水素原子、アルキル基また
はアラルキル基を示し、ヒドロキシル基、カルバモイル
基、エーテル結合、不飽和結合を含んでいても良く、R
2 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、
Xは、ハロゲンイオン原子、硫酸基、メトサルフェート
硫酸基(メト硫酸基)、メタンスルホン酸基、燐酸基、
またはp−トルエンスルホン酸基から選ばれる陰イオン
であり、mは0または1で、nは1〜6までの整数〕で
表され、アセタール化度0.1〜40モル%であるカチ
オン性ポリビニルアルコール系樹脂を含むものであり、
ポリビニルアルコール系樹脂とカチオン性アルデヒドと
のアセタール化物である。
【0012】この乳化安定剤の主要構成剤であるカチオ
ン性ポリビニルアルコール系樹脂は、公知のポリビニル
アルコール系樹脂にアセタール化反応でカチオン性基を
導入する方法により、所望する重合度、けん化度および
カチオン変性度で得られる。また製造にあたっては、比
較的簡便な装置と製造工程管理で得られる。
【0013】カチオン性ポリビニルアルコール系樹脂を
得るための原料であるポリビニルアルコール系樹脂は、
けん化度70モル%以上、重合度300以上、好ましく
はけん化度75モル%から95モル%、重合度500か
ら3000のポリビニルアルコールである。酢酸ビニル
と、例えばマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタク
リル酸、スルホスチレン、またはアシッドホスホオキシ
エチレンメタクリレイトとの共重合体のアセチル基をけ
ん化した共重合樹脂や、該共重合体に無水コハク酸、無
水マレイン酸、無水フタル酸等を反応させた酸無水物変
性体もポリビニルアルコール系樹脂に含まれる。カチオ
ン性アルデヒドとしては、1−メチル−2−(p−ホル
ミルスチリル)ピリジニウム、1−メチル−4−(p−
ホルミルスチリル)ピリジニウム、1−エチル−2−
(p−ホルミルスチリル)ピリジニウム、1−エチル−
4−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウム、1−アリ
ール−4−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウム、1
−(2−ヒドロキシエチル)−4−(p−ホルミルスチ
リル)ピリジニウム、1−メチル−2−(m−ホルミル
スチリル)ピリジニウム、1−ベンジル−2−(p−ホ
ルミルスチリル)ピリジニウム、1−メチル−4−(p
−ホルミルスチリル)−5−エチルピリジニウムなどの
ピリジニウム類のハロゲン塩酸、硫酸塩、メト硫酸塩、
p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩などの
塩を挙げることができる。
【0014】これらのカチオン性アルデヒドをポリビニ
ルアルコール系樹脂に導入するアセタール化の方法は、
ポリビニルアルコール系樹脂を5から20重量%濃度の
水溶液になるように溶解し、70℃から90℃で保温
し、上記カチオン性アルデヒドを所定量添加し、撹拌混
合後、燐酸、塩酸、硫酸などの無機酸で水溶液のpHが
3以下、好ましくは2.5以下になるように調整し、数
時間反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニ
ウムなどを用いて中和する。このカチオン性アルデヒド
のポリビニルアルコール系樹脂への導入率、即ちアセタ
ール化度は0.1から40モル%であり、好ましくは
0.5から30モル%である。得られたカチオン性系樹
脂水溶液はそのまま、エマルジョン重合用の乳化安定剤
として使用できる。
【0015】本発明のエマルジョン重合で使用し得るエ
チレン性不飽和単量体としては、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、塩化ビニルなどの
ビニルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸エス
テル類、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリル
アミドなどの不飽和カルボン酸アミド、(メタ)アクリ
ル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和
カルボン酸、エチレン、スチレンなどが挙げられ、いず
れも単独重合あるいは共重合により実施される。、ま
た、重合開始剤は通常用いられる過酸化水素、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム、クメンヒドロパーオキサ
イドなどを単独あるいは併用でき、これらの重合開始剤
はエチレン性不飽和単量体に対して、0.01から5重
量部の範囲で使用するのが好ましい。エマルジョンを重
合するときの温度は30から100℃、好ましくは40
から90℃であり、重合時のpHは4から7である。
【0016】
【作用】カチオン性ポリビニルアルコール系樹脂を乳化
安定剤として用いると、粒子径が小さく、安定で、かつ
カチオン性能が高いエチレン性不飽和単量体が乳化重合
してなるカチオン性重合体エマルジョンが得られる。
【0017】
【発明の効果】本発明のカチオン性ポリビニルアルコー
ル系樹脂は、汎用のポリビニルアルコール系樹脂にアセ
タール化反応でカチオン性基を導入する方法により、所
望する重合度、けん化度およびカチオン変性度を有する
乳化安定剤が比較的簡便な装置と製造工程管理で得られ
る。その乳化安定剤は、粒子径が0.5μ以下で安定
で、かつカチオン性能が高いエチレン性不飽和単量体を
乳化重合してなるカチオン性重合体エマルジョンを重合
する際に有効である。本発明の製造法により重合された
カチオン性重合体エマルジョンは負に帯電する傾向のあ
る物質、例えばパルプ、繊維類、ガラス、陶土などに対
して従来のエマルジョンにはない強い接着力や吸着力を
示す。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。以
下に示す合成例1から3は、本発明によるカチオン性ポ
リビニルアルコール系樹脂の合成を示すものである。実
施例1から4は、合成例1から3で合成したカチオン性
ポリビニルアルコール系樹脂を乳化安定剤として用いた
場合のカチオン性重合体エマルジョンの重合とそのエマ
ルジョンの性能を評価するものである。比較例1から3
は、本発明を適用外の乳化安定剤を用いた重合体エマル
ジョンの合成とそのエマルジョンの性能を評価するもの
である。
【0019】合成例1 けん化度89モル%、重合度2400の部分けん化ポリ
ビニルアルコール樹脂(信越化学社製「PA−24」)
10gと水90gを撹拌混合しながら90℃に昇温して
完全にポリビニルアルコール樹脂を溶解した。つぎに1
−メチル−4−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウム
のメト硫酸塩化合物を3.4gを添加撹拌後、75℃ま
で冷却し、燐酸を0.3g添加して5時間反応させ、
0.1N水酸化ナトリウム水溶液でpHが6になるよう
に調整した。この反応によりアセタール化度4.8モル
%のカチオン性ポリビニルアルコール系樹脂が得られ
た。
【0020】合成例2 けん化度89モル%、重合度1800の部分けん化ポリ
ビニルアルコール樹脂(信越化学社製「PA−18」)
10gと水90gを撹拌混合しながら90℃に昇温して
完全にポリビニルアルコール樹脂を溶解した。つぎに1
−メチル−4−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウム
のメト硫酸塩化合物6.8g添加撹拌後、75℃まで冷
却し、燐酸を0.3g添加して5時間反応させ、0.1
N水酸化ナトリウム水溶液でpHが5になるように調整
しした。この反応によりアセタール化度9.5モル%の
カチオン性ポリビニルアルコール系樹脂が得られた。
【0021】合成例3 けん化度85モル%、重合度600の部分けん化ポリビ
ニルアルコール樹脂(信越化学社製「LA−05」)2
0gと水80gを撹拌混合しながら95℃に昇温して完
全にポリビニルアルコール樹脂を溶解した。つぎに1−
エチル−2−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウムの
メト硫酸塩化合物18g添加撹拌後、75℃まで冷却し、燐
酸を0.3g添加して5時間反応させ、0.1N水酸化
ナトリウム水溶液でpHが5になるように調整した。こ
の反応によりアセタール化度14.3モル%のカチオン性ポ
リビニルアルコール系樹脂が得られた。
【0022】実施例1 撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付した
反応槽に合成例1のカチオン性ポリビニルアルコール系
樹脂を180gと蒸留水120gを入れ撹拌昇温し、酢
酸ビニルモノマー180gを加え、60℃に昇温した。
つぎに、60%過酸化水素水6gを添加し、この温度で
3時間乳化重合を行った。得られたカチオン性ポリ酢酸
ビニルエマルジョンは樹脂濃度50%であった。このエ
マルジョンについて以下の5つの項目(1)〜(5)に
ついて測定した。(1)粒子径:樹脂粒子経を電子顕微
鏡で測定した。(2)希釈安定性:合成したエマルジョ
ンを3%濃度になるように蒸留水で希釈し、その30m
lを長さ20cmの平底試験管に入れて密栓し、3日間
放置後の上澄液(A)の容積と器底に沈降した部分の容
積(B)を測定し、上澄液の容積比(U=A/30×1
00)と沈降した部分の容積比(P=B/30×10
0)から希釈安定性を算出した。(3)パルプ吸着率:
100メッシュパスのパルプ(山陽国策パルプ社製「パ
ルプフロックW−1」)5%スラリー1000g中に2
%濃度の合成したエマルジョン100gを添加して10
分間撹拌後パルプをろ別し、ろ液中のエマルジョン量を
測定し、帯電するパルプへの吸着量を算出した。(4)
白陶土吸着率:白陶土(片山化学社製試薬)5%スラリ
ー1000g中に2%濃度の合成したエマルジョン10
0gを添加して10分間撹拌後パルプをろ別し、ろ液中
のエマルジョン量を測定し、負に帯電する白陶土への吸
着量を算出した。(5)ガラスとの接着力:ガラス板上
に合成したエマルジョンをバーコーターで塗布し、70
℃で10分間乾燥して厚みが50μの被膜を作成した。
この被膜に1mm角になるように縦横にナイフで切れ目
を入れた後、セロテープ剥離テストを行い、その時の被
膜の剥離状態を観察した。このエマルジョンの評価結果
を表1に示した。
【0023】実施例2 撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付した
反応槽に合成例1のカチオン性ポリビニルアルコール系
樹脂を120gと蒸留水200gを入れ撹拌し、酢酸ビ
ニルモノマー80gとアクリル酸エチル10gを均一に
乳化させ10%過硫酸アンモニウム4gおよび10%重
亜硫酸ナトリウム1gを添加し、60℃に昇温して重合
を開始した。60℃に保持しながら、酢酸ビニルモノマ
ー80g、アクリル酸エチル10gおよび3%過硫酸ア
ンモニウム8gの混合物を2時間30分かけて添加し重合
した。滴下終了後、さらにこの温度で1時間重合を行っ
た。得られたカチオン性の酢酸ビニル−アクリル酸エチ
ル共重合エマルジョンは樹脂濃度50%であった。この
エマルジョンについて実施例1と同様の項目(1)〜
(5)について測定を行い、このエマルジョンの評価結
果を表1に示した。
【0024】実施例3 撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付した
反応槽に合成例2のカチオン性ポリビニルアルコール系
樹脂を250gと蒸留水100gを入れ撹拌し、酢酸ビ
ニル60g、アクリル酸エチル10gおよびトリメチル
ロールプロパントリアクリレート5gを均一に乳化させ
10%クメンハイドロパーオキシド6gを添加し、70
℃に昇温して重合を開始した。70℃に保持しながら、
酢酸ビニルモノマー60g、アクリル酸エチル10g、
トリメチロールプロパントリアクリレート3gおよび1
0%クメンハイドロパーオキシド3gの混合物を3時間
かけて添加し重合した。滴下終了後、さらにこの温度で
1時間重合を行った。得られたカチオン性の酢酸ビニル
−アクリル酸エチル−トリメチロールプロパントリアク
リレート共重合エマルジョンは樹脂濃度40%であっ
た。このエマルジョンについて実施例1と同様の項目
(1)〜(5)について測定を行い、このエマルジョン
の評価結果を表1に示した。
【0025】実施例4 撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付した
反応槽に合成例3のカチオン性ポリビニルアルコール系
樹脂を100gと蒸留水120gを入れ撹拌し、酢酸ビ
ニル140gを均一に乳化させ10%クメンハイドロパ
ーオキシド40gを添加し、70℃に昇温して重合を開
始した。70℃に保持しながら、酢酸ビニルモノマー1
40gと10%クメンハイドロパーオキシド15gの混
合物を3時間かけて添加し重合した。滴下終了後、さら
にこの温度で1時間重合を行った。得られたカチオン性
のポリ酢酸ビニルエマルジョンは樹脂濃度55%であっ
た。このエマルジョンについて実施例1と同様の項目
(1)〜(5)について測定を行い、このエマルジョン
の評価結果を表1に示した。
【0026】比較例1 実施例1におけるカチオン性PAV系樹脂の代わりにカ
チオン性にしてないけん化度89モル%、重合度240
0の部分けん化ポリビニルアルコール(信越化学社製
「PA−24」)10g、蒸留水80gを溶解後撹拌し
ながら40%酢酸水溶液を用いてこの反応系をpH4に
調整した。この反応系を用いて実施例1と同様の方法で
ポリ酢酸ビニルエマルジョンを作成した。得られたエマ
ルジョンはノニオン性であり、評価を表1に示した。こ
のエマルジョンについて実施例1と同様の項目(1)〜
(5)について測定を行い、このエマルジョンの評価結
果を表1に示した。
【0027】比較例2 2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメ
チルアンモニウムクロリドと酢酸ビニルとの共重合体の
存在下で酢酸ビニルを乳化重合して得られたエマルジョ
ン。評価を表1に示した。このエマルジョンについて実
施例1と同様の項目(1)〜(5)について測定を行
い、このエマルジョンの評価結果を表1に示した。
【0028】比較例3 実施例2におけるカチオン性ポリビニルアルコール系樹
脂の代わりにカチオン性にしていないけん化度89モル
%、重合度1800の部分けん化ポリビニルアルコール
(信越化学社製「PA−18」)を用い、さらにカチオ
ン性乳化剤のセチルトリメチルアンモニウムクロリドを
併用して実施例2と同様の方法で酢酸ビニル−アクリル
酸エチル共重合エマルジョンを作成した。得られたエマ
ルジョンはカチオン性であり、評価を表1に示した。こ
のエマルジョンについて実施例1と同様の項目(1)〜
(5)について測定を行い、このエマルジョンの評価結
果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】 ※1 ○:UおよびPの加算値が5%未満であっ
た。
【0031】 △:UおよびPの加算値が5〜15%未満だった。
【0032】 ×:UおよびPの加算値が15%以上だった。
【0033】※2 ○:全く剥離しなかった。
【0034】△:剥離した部分が10%未満だった。
【0035】×:剥離した部分が10%以上だった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】本発明のエマルジョン重合で使用し得るエ
チレン性不飽和単量体としては、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、塩化ビニルなどの
ビニルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸エス
テル類、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリル
アミドなどの不飽和カルボン酸アミド、(メタ)アクリ
ル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和
カルボン酸、エチレン、スチレンなどが挙げられ、いず
れも単独重合あるいは共重合により実施される。また、
重合開始剤は通常用いられる過酸化水素、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム、クメンヒドロパーオキサイド
などを単独あるいは併用でき、これらの重合開始剤はエ
チレン性不飽和単量体に対して、0.01から5重量部
の範囲で使用するのが好ましい。エマルジョンを重合す
るときの温度は30から100℃、好ましくは40から
90℃であり、重合時のpHは4から7である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式 【化1】 〔式中、R1 は水素原子、アルキル基またはアラルキル
    基を示し、ヒドロキシル基、カルバモイル基、エーテル
    結合、不飽和結合を含んでいても良く、R2 は水素原子
    または炭素数1〜5のアルキル基であり、Xは、ハロゲ
    ンイオン原子、硫酸基、メトサルフェート硫酸基(メト
    硫酸基)、メタンスルホン酸基、燐酸基、またはp−ト
    ルエンスルホン酸基から選ばれる陰イオン、mは0また
    は1、nは1〜6までの整数〕で表され、アセタール化
    度0.1〜40モル%であるカチオン性ポリビニルアル
    コール系樹脂を含む乳化安定剤。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のカチオン性ポリビニルア
    ルコール系樹脂を乳化安定剤として含むビニル系重合体
    のカチオン性重合体エマルジョン。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のカチオン性ポリビニルア
    ルコール系樹脂の存在下でエチレン不飽和単量体を乳化
    重合することを特長とするカチオン性重合体エマルジョ
    ンの製造方法。
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