JPH0623873A - 易開封性袋又は容器の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 開封が容易で、かつ開封用のノッチ部が充填
や運搬などの取扱中に切れたり、裂けたりしないノッチ
加工処理した袋又は容器の製造方法を提供することを目
的とする。 【構成】 ラミネートフィルム２からなる袋又は容器１
のシール部４にＩ型のノッチ３ａを形成し、次いで該ラ
ミネートフィルム２の低融点層２１の融点以上に該ノッ
チ３ａ部を加熱して該ノッチ３ａの切断面３１、３２の
内の低融点層２１からなる部分のみを融着させて上記目
的を達成するノッチ３を有する袋又は容器１を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、使用する時には容易に
開封できるが、内容物の充填や運搬などの取扱中にノッ
チ部から切れたり、裂けたりして内容物が外に出るなど
のトラブルの少ない袋又は容器の製造方法に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】ラミネートフィルムは異なった特性を有
する基材を積層することにより、それぞれの基材のもつ
特性を生かしたままで、それぞれの基材の欠点の解消さ
れた、単層フィルムでは到底発揮できない性能を有する
フィルムが得られることから各種の産業資材に数多く利
用されている。しかしながら、内容物を保護したり、取
扱時の破損を防止するために引っ張り強度や、引き裂き
強度などの機械的性質の優れたラミネートフィルムを包
装用の袋や容器に利用した場合、内容物を取り出す時に
は逆に強度が強すぎてなかなか破れないので開封しにく
いなどの問題点もあった。

【０００３】これらの問題を解決して、使用時に容易に
開封できるように、ラミネートフィルムからなる袋や容
器にノッチ加工やパーフォレーション加工をほどこした
り、開封用テープを用いる方法などが従来から行われて
いる。これらの中でもノッチ加工をほどこして開封性を
向上させる方法が手軽で、安価に実施できることから多
用されている。

【０００４】しかしながら、従来のノッチ加工を施した
袋や容器を用いた包装体は開封性は向上するものの、逆
にノッチ部の強度が低下してせっかく優れた機械的強度
を有するラミネートフィルムからなる袋や、容器を用い
ても内容物の充填や運搬などの取扱時にノッチ部から切
れたり、裂けたりして内容物が外に出てしまうなどのト
ラブルが発生することが少なくなかった。

【０００５】このような問題点を解決した易開封性密封
袋の製造方法が特開平３−２７９３０号公報に記載され
ている。この方法は、まず基材層と熱融着層を有すフィ
ルムに多数の貫通した傷痕を形成するか、又は基材層と
なるフィルムに多数の貫通した傷痕を形成した後に、そ
の片面に熱融着層を溶融ラミネートしたフィルムの傷痕
形成部分が沿う袋の端縁線に沿って熱融着して密封袋を
製造するのである。したがって、傷痕が形成された部分
が熱融着層によって閉塞されるので傷痕部から容易に開
封できると共に、取扱中に破袋したりすることがない密
封袋が得られるのである。

【０００６】しかしながら、上記方法では傷痕を形成
し、且つその傷痕が閉塞されていない状態のフィルムを
用いて密封袋を製造するため、製袋機等にフィルムを供
給するときにかかる張力等により傷痕部からフィルムが
切断するなどのトラブルが起こり易かった。特に、フィ
ルム基材として２軸延伸フィルムを用いた場合は切断し
易かった。又、該フィルムを折曲げたり、重ね合わせて
熱融着して袋を形成する際に、上下の基材フィルムの傷
痕の位置が一致しないと傷痕による開封性を向上させる
効果が余り期待できないという問題点があった。

【０００７】したがって、開封が容易で、かつノッチ部
が切れたり、裂けたりしないノッチ加工をほどこしたラ
ミネートフィルムからなる袋又は容器が容易に得られる
方法を提供することが各方面から要望されていた。

【０００８】

【本発明が解決しようとする課題】本発明は、開封が容
易で、かつ開封用のノッチ部が充填や運搬などの取扱中
に切れたり、裂けたりしないノッチ加工処理した袋又は
容器の有利な製造方法を提供することを目的とするもの
である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、ラミネートフィルム２からなる袋又は容器１の
シール部４にＩ型のノッチ３ａを形成し、次いで該ラミ
ネートフィルム２の低融点層２１の融点以上に該ノッチ
３ａ部を加熱して該ノッチ３ａの切断面３１、３２の内
の低融点層２１からなる部分のみを融着させることによ
り上記課題が達成された開封用のノッチ３を有する易開
封性袋又は容器１が容易に製造できることをみいだし本
発明に到ったものである。

【００１０】即ち、本発明においては、ラミネートフィ
ルム２を袋又は容器に加工するためのシール部４を形成
してから、該シール部４にＩ型のノッチ３ａを形成する
ので製造中に該ラミネートフィルム２が張力によって切
断することもなければ、ノッチを形成する位置を上下の
フィルム間で合わせる必要もないのである。又、形成さ
れた本発明のＩ型の開封用ノッチ３は、切断面３１、３
２の一部分が融着しているので従来のノッチのようにノ
ッチ部で切れたり、裂けたりすることがなく、しかも融
着しているのはラミネートフィルム２の低融点層２１の
部分であって、その他の層２２は切り離されたままなの
で、従来のノッチを形成した場合と同じように使用時に
は容易に開封できるという特性を有しているのである。

【００１１】以下に、本発明を具体的に説明する。ま
ず、本発明に使用されるラミネートフィルム２は、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などのポリオ
レフィン系樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化
ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアル
コール樹脂などで代表される熱可塑性樹脂、又はアルミ
箔などで代表される金属箔や紙、セロファンなどの基材
を積層した２層、３層又はそれ以上の多層構造を有する
ものである。その際、各層を構成する基材の組み合わせ
はどのようにしても良いが、少なくとも一層、特にラミ
ネートフィルム２の両表層の内の少なくとも一方は熱シ
ールが可能な熱可塑性樹脂をシール層として用いるのが
好ましい。特に、熱可塑性樹脂の中でも、一般に融点が
低くシール性の良いポリオレフィン系の樹脂などをラミ
ネートフィルム２の表層として使用するのが好ましい。
積層の方法は通常のドライラミネート法、共押出法、押
出コーティング法などが挙げられるが特に制限はない。
なお、本発明でいう低融点層２１とは該ラミネートフィ
ルム２中で相対的に融点の低い熱可塑性樹脂からなる層
のことを意味する。又、通常ラミネートフィルム２の表
層に存在させるシール層を本発明で言う低融点層２１と
して用いるのが製造上も好ましい。又、その他の層２２
とは該ラミネートフィルム２中の低融点層２１以外の層
を意味する。

【００１２】さて、本発明においては上記のラミネート
フィルム２から製袋機や成形機を用いて袋又は容器１を
製造する過程、又は製造後であってラミネートフィルム
２の表層のシール層を融着してシール部４を形成した後
に本発明の開封用のノッチ３を形成するのである。例え
ば、ラミネートフィルム２を折曲げたり、重ね合わせた
後、底部や側端部をシールして袋となす場合の側端のシ
ール部４ａ、袋又は容器１に被包装物を充填した後に形
成する袋の密封シール部４ｂ、又は容器に内容物を充填
した後の蓋による封緘部４ｃなどに開封用のノッチ３を
形成する。このように、シール部４が形成された後に開
封用ノッチ３を形成するのでノッチによってフィルムが
切れたりすることもなく、又事前にノッチの位置合わせ
をする必要もないのである。

【００１３】さて、本発明のノッチ３を形成する手順
は、まず上述したシール部４にカッター、刃型などでＩ
型のノッチ３ａを形成する。ノッチ３ａの形状をＩ型と
するのは、ノッチ３ａによって生じた切断面３１、３２
の一部の層を後で融着させることから切断面同士が隣接
していることが必要となるからであり、従来から良く行
われているＶ型のノッチ３ｂ、Ｕ型のノッチ３ｃは再加
熱しても切断面が離れていて融着できないので好ましく
ない。又、ノッチ３ａは必要に応じて何個形成しても良
い。ノッチ３ａを多数個形成した場合は利用者がノッチ
の位置をいちいち確認しなくても容易に開封できるので
特に好ましい。

【００１４】次いで、ノッチ３ａ部を該ラミネートフィ
ルム２の低融点層２１の融点以上に加熱する。この場
合、通常低融点層２１はシール層のことを意味するので
加熱温度はシール温度と同じ程度の温度が望ましい。加
熱方法は熱板、高周波など通常の方法が使用できる。こ
うして、さきに形成されたＩ型のノッチ３ａの切断面３
１、３２の内の低融点層２１部分は加熱によって融着
し、該加熱温度より融点が高いか、又は溶融しないその
他の層２２は切断されたままの状態を保った開封用のノ
ッチ３が形成された袋又は容器１が得られるのである。

【００１５】

【作用及び効果】本発明の方法によれば事前にノッチを
形成しておく必要がなく、シール部４さえあれば製袋時
や充填時などノッチを形成する工程を自由に選択できる
ばかりでなく、それに要する大がかりな別工程も特に必
要としないという利点を有するのである。又、袋又は容
器を形成するときのラミネートフィルム２にかかる張力
でフィルムが切断することがなく、上下のフィルムをシ
ールする際にノッチの位置合わせをする必要がないばか
りか、ノッチ３をもともとシール部４に形成するので、
ノッチ３ａを加熱して融着させても外観上の変化もない
美麗な袋又は容器１を得ることができる。

【００１６】更に、得られる袋又は容器１の開封用のノ
ッチ３は、ラミネートフィルム２の低融点層２１で融着
してつながっているので、該袋又は容器１に被包装体を
充填時、又は充填後の運送などの取扱時にノッチ３部か
ら切れたり、裂けたりすることが防止できる。一方、溶
融しないその他の層２２は切断されたままの状態となっ
ているので、使用時には容易に開封できるのである。更
に、本発明の方法により開封用のノッチ３を多数形成し
た袋又は容器１は開封位置を利用者が特に意識しなくて
も自由に容易に開封できるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は開封用のノッチ３が複数個形成された
袋１、（Ｂ）は開封用のノッチ３が１個形成された袋
１、（Ｃ）は開封用のノッチ３が複数個形成された容器
１、（Ｄ）は袋１に被包装物が充填された後の密封シー
ル部４ｂに開封用のノッチ３が形成されていることを例
示する説明図である。

【図２】ラミネートフィルム２から本発明の易開封性の
袋又は容器１を形成する手順を示した模式図である。

【図３】ノッチ３を形成する手順を示した模式図であ
る。

【図４】融着前のノッチ３ａと開封用のノッチ３を説明
する袋又は容器１の部分断面図である。

【図５】従来のＶ型のノッチ３ｂ（Ａ）、Ｕ型のノッチ
３ｃ（Ｂ）を説明する平面図である。

【符号の説明】

１ 袋又は容器 ２ ラミネートフィルム ２１ 低融点層 ２２ その他の層 ３ Ｉ型のノッチ（融着後） ３ａ Ｉ型のノッチ（融着前） ３ｂ Ｖ型のノッチ ３ｃ Ｕ型のノッチ ３１、３２ ノッチ３ａによって生じたラミネートフィ
ルム２の切断面 ４ シール部 ４ａ 袋の側端のシール部 ４ｂ 袋の密封充填シール部 ４ｃ 容器の封緘部

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【手続補正書】

【提出日】平成５年６月２２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図面の簡単な説明

【補正方法】変更

【補正内容】

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は開封用のノッチ３が複数個形成された
袋１、（Ｂ）は開封用のノッチ３が１個形成された袋
１、（Ｃ）は開封用のノッチ３が複数個形成された容器
１、（Ｄ）は袋１に被包装物が充填された後の密封シー
ル部４ｂに開封用のノッチ３が形成されていることを例
示する説明図である。

【図２】ラミネートフィルム２から本発明の易開封性の
袋又は容器１を形成する手順を示した模式図である。

【図３】ノッチ３を形成する手順を示した模式図であ
る。

【図４】融着前のノッチ３ａと開封用のノッチ３を説明
する袋又は容器１の部分断面図である。

【符号の説明】 １ 袋又は容器 ２ ラミネートフィルム ２１ 低融点層 ２２ その他の層 ３ Ｉ型のノッチ（融着後） ３ａ Ｉ型のノッチ（融着前） ３１、３２ ノッチ３ａによって生じたラミネートフィ
ルム２の切断面 ４ シール部 ４ａ 袋の側端のシール部 ４ｂ 袋の密封充填シール部 ４ｃ 容器の封緘部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ラミネートフィルム２からなる袋又は容器
   １のシール部４にＩ型のノッチ３ａを形成し、次いで該
   ラミネートフィルム２の低融点層２１の融点以上に該ノ
   ッチ３ａ部を加熱して該ノッチ３ａの切断面３１、３２
   の内の低融点層２１からなる部分のみを融着させること
   を特徴とする開封用のノッチ３を有する易開封性袋又は
   容器１の製造方法。