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JPH06228199A - 血液脳関門通過可能なペプチド結合体 - Google Patents

血液脳関門通過可能なペプチド結合体

Info

Publication number
JPH06228199A
JPH06228199A JP5296388A JP29638893A JPH06228199A JP H06228199 A JPH06228199 A JP H06228199A JP 5296388 A JP5296388 A JP 5296388A JP 29638893 A JP29638893 A JP 29638893A JP H06228199 A JPH06228199 A JP H06228199A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
insulin
protein
conjugate according
physiologically active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5296388A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Fukuda
誠人 福田
Satoshi Iinuma
智 飯沼
Hiroaki Okada
弘晃 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP5296388A priority Critical patent/JPH06228199A/ja
Publication of JPH06228199A publication Critical patent/JPH06228199A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】それ自身血液脳関門を通過しない生理活性ペプ
チドないし蛋白質を血液脳関門を通過させ脳全体に均一
に輸送しうる結合体を提供する。 【構成】それ自身血液脳関門を通過しない生理活性ペプ
チドないし蛋白質とそれ自身実質的に生理活性を示さず
血液脳関門を通過可能なキャリアーペプチドとを結合さ
せてなるペプチド結合体を作製した。 【効果】本発明の結合体により、キャリアーペプチドに
よる副作用がなく、かつ簡便にそれ自身血液脳関門を通
過しない生理活性ペプチドないし蛋白質を血液脳関門を
通過させ脳全体に均一に輸送する事ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペプチドないし蛋白質
性の薬物を、脳内に送達するための技術に関する。より
具体的には、本発明は、脳毛細血管内皮細胞上にあるレ
セプターを利用して、生理活性ペプチドないし蛋白質と
該ペプチドないし蛋白質をレセプター介在トランスサイ
トーシスにより脳の中に輸送しうるキャリアーペプチド
との結合体に関する。
【0002】
【従来の技術】筋肉などの組織毛細血管には細孔や細胞
間腔があるために、血液中の親水性薬物は細胞間ルート
によって速やかに組織細胞間液中に移行する。しかし、
脳毛細血管には細孔が少なく内皮細胞が結合織によって
強く連結しているために、一般に高い脂溶性を有するか
もしくは生理学的pHにおいてイオン化していない分子
量約200ダルトン以下の小さい分子以外、血液中の薬
物は毛細血管から脳へ移行しにくい。このような、組織
学的なフィルター機能は血液脳関門(Blood Brain Barr
ier : B. B. B)と呼ばれ、脳疾患の薬物療法における
障害となっている。例えば、インターロイキン2(IL
−2)はT細胞が産生し、T細胞の分化、増殖に重要な
役割を担っているサイトカインであり、近年、IL−2
が中枢神経系のオリゴデンドロサイト、アストロサイト
およびそれらの前駆細胞を増殖させることが示唆されて
いる。しかし、分子量が15,400のタンパク質であ
ることから血液脳関門を通過できないので臨床応用をし
にくい面がある。また、神経成長因子(NGF)は神経
栄養因子として、中枢系ではコリン作動性神経細胞の生
存維持に重要な役割を果たしており、アルツハイマー病
等の痴呆症治療薬として期待されている。しかし、分子
量が約13,000の蛋白質であることから血液脳関門
を通過できず、やはり臨床応用が困難である。これまで
に直接注入法,薬物の分子修飾等薬物を脳に移送する方
法が種々開発されてきている。薬物の分子修飾のひとつ
の方法としては、ボーダー(Boda)らによって行われて
いる脂溶性を高めて細胞内ルートの透過を増す試みがあ
る。(特開昭63−277662号公報)しかし、この
方法には分子量の面から限界があり、生理活性物質が高
分子のペプチド、特に蛋白質の場合には応用しにくい。
【0003】また別の方法としては、インスリン、イン
スリン様成長因子(IGF)、トランスフェリンなどの
ように脳の毛細血管内皮細胞上にレセプターが存在する
生体内ペプチドによるエンドサイトーシスを利用したキ
メラペプチドの試みがある。たとえば、パードリッジ
(Pardridge)らはインスリンなどを神経薬物と結合さ
せた血液脳関門通過可能なキメラペプチドについて報告
している(特表平1−500901号公報)。しかし、
脳への移行率を考慮した場合、かなりの高投与量のイン
スリンが必要とされ、血糖降下による重篤な副作用が懸
念される。一方、インスリンのアミノ酸配列、構造とホ
ルモンレセプターとの親和性の関係については多くの研
究がなされてきた。
【0004】インスリンは、A鎖及びB鎖と称せられる
二つの短いポリペプチド鎖が一定のジスルフィド結合で
構成されている6000ダルトンのポリペプチドホルモ
ンである。A鎖はアミノ酸21個のポリペプチド鎖で内
部ジスルフィド架橋を有し、B鎖はアミノ酸30個のポ
リペプチド鎖である。A鎖及びB鎖は2個のジスルフィ
ド架橋で結合している。近年は遺伝子工学的に製造した
ヒトインスリンも用いられているが、一般に糖尿病患者
に適用されるインスリンとしては、ブタインスリンであ
り、ブタインスリンがヒトインスリンと異なるのはB鎖
カルボキシ末端のTyrB30のAlaB30の置換だけである。
また、異常インスリン血症をきたす4つの症例のインス
リン(PheB25→LeuB25:シカゴ、PheB24→SerB24
ロスアンジェルス、ValA3→LeuA3:ワカヤマ、トチ
ギ)がホルモンレセプターへの結合能力を欠くことか
ら、B鎖C末端とA鎖N末端のアミノ酸がホルモンレセ
プターとの結合に重要な役割を果たすことが示されてい
る。また、B鎖のカルボキシ末端の構成要素はインスリ
ンの生物活性に影響を及ぼしており、B鎖の25位のP
he(PheB25)が生物活性の力価に関与していることが
見いだされている。ナカガワ(Nakagawa)らはインスリ
ンB鎖のC末端ペンタペプチド配列の除去及びこの新規
形成C末端PheB25のカルボキシル基のアミド化によっ
て、(B25−30)ペンタペプチド欠損−〔PheB25
−α−カルボキシアミド〕インスリンという、天然型の
インスリンと同等の活性を持つアナログを得ている〔ジ
ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.B
iol.Chem.)第261巻、7332−7341頁(1
986)〕。また、彼らによって、PheB25を2〜3の
他のアミノ酸残基と置換したインスリンアナログから
(B26−30)ペンタペプチド欠損−〔TyrB25−α
−カルボキシアミド〕インスリン及びHisB25アナログ
はインスリンよりも約2.7−3.0倍高い活性をもつこ
と、(B25−30)ヘキサぺプチド欠損、(B24−
30)ヘプタぺプチド欠損及び(B23−30)オクタ
ぺプチド欠損のアナログではほとんどインスリン活性を
持たないことが示されている。また、ピューレン(Pull
en)らは結晶解析構造の研究から生物活性発現のための
重要な点はA鎖の3残基(Gly1、Tyr19、Asn21)、
B鎖の5残基(Val12、Tyr16、Phe24、Phe25、Tyr
26)を含む親油性レセプター結合部位が分子幾何学的に
安定化していることであると指摘している〔ネーチャー
(Nature)第259巻、369−373頁(197
6)〕。これら従来の研究から血糖降下作用を示すホル
モンレセプターに対して親和性を示すインスリンアナロ
グの情報は数多く報告されているが、脳毛細血管上のレ
セプターについてはなんら報告されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】生理活性ペプチドない
し蛋白質を血液脳関門を通過させ、脳内部に輸送させる
方法としては、該ペプチドないし蛋白質を脳全体に均一
に輸送しかつ副作用を最小限にすることが望まれてい
る。しかし、この要求を充分に満たしうる生理活性ペプ
チドないし蛋白質の輸送形態は確立されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる技
術背景のもとに、血液脳関門を透過可能であり、生理活
性ペプチドないし蛋白質を脳内へ輸送する上で副作用を
示さないキャリアーペプチドを見い出すべく鋭意努力し
た結果、脳毛細血管内皮細胞上のインスリンレセプター
に対して親和性を示し、インスリンに比較して血糖降下
作用が少ないインスリンフラグメントがレセプター介在
トランスサイトーシスによって血液脳関門を透過し、生
理活性ペプチドおよび蛋白質のキャリアーになるという
事実を発見した。この知見に基づき、血液脳関門におけ
るレセプターを介して行われるトランスサイトーシスの
生理的過程を利用し、そのキャリアーペプチドに結合さ
せたそれ自身では血液脳関門を通過しないペプチドない
し蛋白質を輸送させることができ、かつキャリアーペプ
チド自身の活性による有害な副作用を防止しうるキャリ
アーペプチドおよびその輸送形態についてさらに研究を
進め本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、 1)それ自身血液脳関門を通過しない生理活性ペプチド
ないし蛋白質とそれ自身実質的に生理活性を示さず、血
液脳関門を通過可能なキャリアーペプチドとを結合させ
てなる血液脳関門通過可能なペプチド結合体である。よ
り詳しくは2)キャリアーペプチドが分子量約4,00
0ないし100,000のペプチドである上記1記載の
結合体、3)キャリアーペプチドがレセプター仲介型ト
ランスサイトーシスにより血液脳関門を通過しうる生体
内ペプチドの不活性フラグメントである上記1記載の結
合体、4)生体内ペプチドが、インスリン,トランスフ
ェリン,インスリン様成長因子IまたはIIである上記2
記載の結合体、5)キャリアーペプチドが、インスリン
のA鎖のN末端からアミノ酸残基14ないし21個のペ
プチド鎖(配列番号1)およびB鎖のN末端からアミノ
酸残基16ないし22個のペプチド鎖(配列番号2)か
らなるインスリンフラグメントである上記1記載の結合
体、6)インスリンフラグメントが
【化2】 で示されるフラグメントである上記5記載の結合体、
7)インスリンフラグメントが、(B23−30)オク
タペプチド欠失インスリンフラグメントである上記5記
載の結合体、8)生理活性ペプチドないし蛋白質の分子
量が約200ないし120,000である上記1記載の
結合体、9)生理活性ペプチドないし蛋白質の分子量が
約400ないし80,000である上記1記載の結合
体、10)生理活性ペプチドないし蛋白質の分子量が約
500ないし60,000である1記載の結合体、1
1)生理活性ペプチドないし蛋白質が神経栄養因子であ
る上記1記載の結合体、12)生理活性ペプチドないし
蛋白質がニューロトロフィンファミリーに属するペプチ
ドないし蛋白質である上記1記載の結合体、13)生理
活性ペプチドないし蛋白質が神経成長因子(NGF)で
ある上記1記載の結合体、14)生理活性ペプチドが神
経ペプチドである上記1記載の結合体、15)ニューロ
トロフィンファミリーに属するペプチドないし蛋白質と
インスリンフラグメントを結合させてなる1記載の結合
体、16)神経成長因子(NGF)と(B23−30)
オクタペプチド欠失インスリンフラグメントを結合させ
てなる上記1記載の結合体である。
【0008】本発明の結合体は種々の生理活性ペプチド
または蛋白質を、脳に輸送するために有益である。特に
一般に、血液脳関門を通してほとんど輸送されない高分
子量の蛋白質性の薬物の輸送に最適である。これらペプ
チドないし蛋白質性の薬物の例としては、それ自身血液
脳関門を通過できない脳疾患治療薬物として有用な種々
の神経栄養因子および神経ペプチドが挙げられる。神経
栄養因子としては、ニューロトロフィンファミリー、例
えば、神経成長因子(NGF)、brain-derived neurot
rophine factor(BDNF)、ニュロートロフィン3
(NT−3)、ニューロトロフィン4(NT−4)、ニ
ューロトロフィン5(NT−5)および ciliaryneurot
rophic factor(CNTF)、アクチビン、あるいは中
枢系でも働く塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)、
酸性繊維芽細胞成長因子(aFGF)、上皮細胞増殖因
子(EGF)等の成長因子あるいは、神経系に直接ある
いは間接的に作用するか、グリア細胞の増殖、分化、活
性化に関わり、神経栄養因子作用を有するサイトカイン
類、例えば、インターフェロンα、インターフェロン
β、インターフェロンγ、インターロイキン1(IL−
1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイ
キン3(IL−3)、インターロイキン4(IL−
4)、インターロイキン5(IL−5)、インターロイ
キン6(IL−6)、TNF、顆粒球マクロファージコ
ロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激
因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子
(M−CSF)、血小板由来成長因子(PDGF)更
に、脳で作用するホルモンもしくは神経伝達物質、例え
ば、ソマトスタチン、オキシトシン、バソプレシン、ガ
ラニン、VIP、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、
コレストキニン(CCK)、サブスタンス−P、ボンベ
ジン、モチリン、グリセンチン、グルカゴン、グルカゴ
ン様ペプチド(GLP−1)、ペプチドYY(PY
Y)、神経ペプチドY(NPY)、膵ポリペプチド(P
P)、ニューロキニンA、ニューロキニンB、エンドル
フィン、エンケファリン、ニューロテンシン、ニューロ
メジンK、ニューロメジンL、カルシトニン関連ペプチ
ド(CGRP)、エンドセリン、心旁性ナトリウム利尿
ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(B
NP)、Cタイプナトリウム利尿ペプチド(CNP)、
下垂体性アデニレートサイクレース刺激ペプチド(PA
CAP)等の神経ペプチドおよびその活性誘導体があげ
られる。また、酵素、例えば、ホース・ラディシュ・パ
ーオキシダーゼ(HRP)なども本発明の生理活性ペプ
チドないし蛋白質として用いることができる。
【0009】上記のとおり本発明において、輸送を目的
とされる生理活性ペプチドないし蛋白質は一般に、分子
量が200ダルトン以上のポリペプチドであり、親水性
のためそれ自身では血液脳関門を通過できないものであ
れば、動植物由来の天然型のものでもよく、また、公知
のペプチド合成法あるいは遺伝子工学的手法により得ら
れたものであってもよい。また、上述の活性誘導体とし
ては、光学異性体,活性フラグメントおよびムテインな
どが挙げられる。ここで、ムテインとしては、アミノ酸
の付加、構成アミノ酸の欠損、あるいは他のアミノ酸へ
の置換などによって、元の蛋白質のアミノ酸配列を変異
させたもので、しかも元の蛋白質の生理活性を有してい
るものが挙げられる。該ムテインは、付加、欠損および
置換の変異が2つ以上組み合わさったものでもよい。ア
ミノ酸の付加としては、少なくとも1個のアミノ酸が付
加しているムテインが挙げられるが、該ムテインにおけ
る付加アミノ酸には、ペプチドを発現する際に用いられ
る開始コドンに起因するメチオニンやシグナルペプチド
は含まれないものとする。付加アミノ酸の数としては、
少なくとも1個であるが、本来の生理活性を失わない限
り何個でもよい。構成アミノ酸の欠損としては、少なく
とも1個の構成アミノ酸が欠失しているムテインが挙げ
られ、欠損している構成アミノ酸の数としては、それ自
身が本来有する生理活性を失わない限り何個でもよい。
【0010】他のアミノ酸への置換としては、少なくと
も1個の構成アミノ酸が別のアミノ酸で置換されている
ムテインが挙げられ、置換される前の構成アミノ酸の数
としては、少なくとも1個であるがその本来の生理活性
を失わない限り何個でもよい。本明細書において、「血
液脳関門を通過する」とは、血液脳関門に対して通常の
投与許容量の範囲での生理活性ペプチドないし蛋白質の
投与において、該ペプチドないし蛋白質の本来の生理活
性により投与対象に対して生理活性、たとえば脳疾患治
療効果を生じさせうる程度の透過性を示すことをいう。
従って、血液脳関門に対する極めて低い透過性を示す生
理活性ペプチドないし蛋白質およびその誘導体も本発明
でいう血液脳関門を通過しない生理活性ペプチドないし
蛋白質の範疇に含まれる。本発明の結合体により輸送で
きる脳疾患治療薬物等の生理活性ペプチドないし蛋白質
の分子量は、その分子の立体形状、大きさ、酵素に対す
る安定性、水溶性などによって多少異なり、低分子ペプ
チドについては特に制限はないが、一般には約200ダ
ルトン以上で最大約120,000ダルトンの蛋白質が
挙げられる。なかでも本発明結合体の輸送能力をより効
果的に発揮できるのは分子量約400〜80,000ダ
ルトンの薬物で、さらに好ましくは約500〜60,0
00ダルトンのものが挙げられる。
【0011】本発明のキャリアーペプチドとしては、そ
れ自身実質的に生理活性を有さずかつ好ましくは、脳毛
細血管内皮細胞上に親和性を有するペプチドが挙げられ
る。特に好ましくは該細胞上にレセプターを有するペプ
チドであるが、それ自身血液脳関門を通過しない生理活
性ペプチドないし蛋白質と結合させて形成される結合体
が血液脳関門を通過するものである血液脳関門通過性の
ペプチドであれば、いずれを用いてもよい。このような
キャリアーペプチドとしては、通常分子量約4,000
ないし100,000のペプチドが用いられる。また、
ここでいう「それ自身実質的に生理活性を有さないペプ
チド」とは、通常の投与許容量で生体中で何ら生理活性
現象を惹起しないかもしくは、惹起される生理活性現象
が通常の生理的変動の範囲内であるペプチドを示す。従
って、本発明のキャリアーペプチドは膜透過性、レセプ
ター親和性等の生理活性に直接関与しない活性を有して
いてもよく、とりわけ本発明においては、脳毛細血管内
皮細胞上でのレセプター仲介トランスサイトーシス活性
を有していることが好ましい。また、抗原性,安全性等
の面から哺乳動物の生体内ペプチドであることが好まし
く、とりわけ投与対象動物の生体内ペプチドであること
が好ましく、特に、血液脳関門を通過しうる生体内ペプ
チドの不活性フラグメントもしくは、該関門通過性を保
持しつつ本来の生理活性を減弱ないし消失させた誘導体
が好ましく用いられる。本発明のキャリアーペプチドと
しては例えば、インスリン、トランスフェリン、インス
リン様成長因子I(IGF−1)、インスリン様成長因
子II(IGF−II)などの不活性ペプチドフラグメント
が挙げられ、またこれらのペプチドのアミノ酸配列の一
部を組み合わせて得られる脳毛細血管内皮細胞上に親和
性のあるペプチドなどが挙げられる。これらのペプチド
フラグメントは、様々な方法で入手でき、例えばインス
リンなどをトリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パ
パイン、V8プロテアーゼ等のプロテアーゼを用いて分
解することによって得ることができる。
【0012】特に、キャリアーペプチドとしてインスリ
ンフラグメントを用いる場合、好ましいインスリンフラ
グメントの範囲としては、A鎖のN末端からアミノ酸残
基14ないし21個のペプチド鎖(配列番号1)及びB
鎖のN末端からアミノ酸残基16ないし22個のペプチ
ド鎖(配列番号2)からなるフラグメントが挙げられ
る。また、これらのフラグメントにおいて本来の脳毛細
血管内皮細胞に対する親和性を保持させるために、その
立体構造に関与するジスルフィド架橋、例えばA鎖のア
ミノ酸残基番号6番と11番の間の分子内架橋やA鎖と
B鎖間の架橋が天然型全分子蛋白と同じ位置に保持され
ていることが好ましい。なかでも、後述の実施例2で得
られた(B23−30)オクタペプチド欠失インスリン
フラグメント〔図6〕が脳毛細血管内皮細胞上のレセプ
ターに対してインスリンと同程度の親和性を持つこと
は、従来のインスリンアナログのホルモンレセプターに
対する親和性の知見からは予想外であって、本発明にお
ける好ましいキャリアーペプチドの例としてあげること
ができる。これらのキャリアーペプチドは公知のペプチ
ド合成技術でも得ることができる。たとえば、その一例
としてはポリスチレン樹脂を担体とする固相合成法が挙
げられる。この方法はカルボキシ末端のアミノ酸残基を
樹脂担体に共有結合させておき、α−アミノ基の保護基
の除去、保護アミノ酸を順次繰り返して、アミノ末端に
向けてペプチドを延長させ目的のアミノ酸配列を有する
保護ペプチド樹脂を得る事をその原理としている。目的
とするキャリアーペプチドが2本鎖以上のペプチド鎖か
らなるペプチドである場合、例えばインスリンフラグメ
ント(2本鎖)では、予め2本鎖それぞれを別々に合成
しておき、得られた2本のペプチド鎖を弱アルカリ性下
で反応させることにより、簡単にジスルフィド結合を形
成させ、目的とするキャリアーペプチド粗精製物を得る
ことができる。得られたキャリアーペプチド粗精製物
は、ペプチドまたは蛋白質を精製する公知の手段で精製
することができる。例えば、ゲル濾過、イオン交換クロ
マト、疎水クロマトグラフィー、分配吸着クロマトグラ
フィーや高速液体クロマトグラフィーなどの精製法が挙
げられる。
【0013】また、細菌、真菌などの微生物、ハムスタ
ー卵細胞などの生物細胞を宿主として用いた遺伝子工学
的方法によって得ることもできる。本発明の結合体は、
キャリアーペプチドに生理活性ペプチドないし蛋白質を
結合させることにより得られるが、その結合方法として
は化学的あるいは遺伝子工学的な公知の方法が用いられ
る。具体的には化学結合の場合、ペプチド結合を形成さ
せる1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド(EDAC、WSC)等の2つのペプチ
ド分子(すなわち、生理活性ペプチドないし蛋白質とキ
ャリアーペプチド)のいずれとも反応しうる架橋剤が用
いられる。中でも2つのペプチドの間にジスルフィド結
合を形成させるN−スクシンイミジル−3−(2−ピリ
ジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、シスタミン
のような試薬で処理することを特徴としたペプチドのチ
オレート化を応用した方法が好ましい。その他の公知の
結合剤についても、2つのペプチド分子を、変性により
キャリアーペプチドの血液脳関門通過性及び生理活性ペ
プチドないし蛋白質の生理活性のいずれも減退させるこ
となく、結合させうるものであれば、どのような結合剤
を使用してよい。より具体的には、官能基に対する反応
性とスペーサーの長さから以下のような架橋剤が選択さ
れる。グルタルアルデヒド、4,4’−ジイソチオシアノスチルベン-
2,2’−ジスルフォン酸(DIDS)、N−(E−マレ
イイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMC
S)、N−(ガンマー−マレイイミドブチルオキシ)ス
クシンイミド(GMBS)、ジチオビス(スクシンイミ
ジルプロピオネート)(DSP)、光活性化試薬として
4,4’−ジチオビスフェニルアジド(DTBPA)な
どがある。
【0014】また、これらの結合物は通常の液相法ある
いは固相法によりアミド結合あるいは還元剤を用いたジ
スルフィド結合により合成することもできる。さらに、
細菌、真菌などの微生物、ハムスター卵細胞などの生物
細胞を用い公知の遺伝子工学的手法によってこれらの生
理活性ペプチド結合物を直接発現させてもよい。すなわ
ち、例えばインスリンをコードする公知のcDNAから
本発明のキャリアーペプチドに対応するcDNAを取得
し、これに輸送を目的とされる生理活性ペプチドないし
は蛋白質をコードするcDNAを直接結合したcDNA
を取得し、これを含有するベクターで適当な宿主細胞を
形質転換することで達せられる。本発明結合物におい
て、これを構成する生理活性ペプチドないし蛋白質とキ
ャリアーペプチドそれぞれの結合比率は結合物とした場
合のキャリアーの送達能力、薬物の活性および活性物質
への復元性などによって選択することができる。このよ
うな、キャリアーと薬物である生理活性ペプチドないし
蛋白質との結合モル比率としては、4:1〜1:5、よ
り好ましくは2:1〜1:3がよい。
【0015】本発明において、薬物とする生理活性ペプ
チドないし蛋白質とキャリアーペプチドとの比率は、用
いる両ペプチドの組み合わせ、すなわち各ペプチド鎖中
の蛋白質の結合反応にあづかる官能基例えば、N末端、
C末端、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、ヒスチ
ジンなど)酸性アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン
酸など)およびシステイン残基などの種類および数の選
択に応じて変更可能であり、また、試薬の種類および濃
度、反応時間など反応条件をコントロールすることによ
って制御できる。このようにして得られた本発明の結合
体は、脳腫瘍、脳血管障害、アルツハイマー等各種脳疾
患等の予防、治療を目的として温血動物、特に哺乳類
(ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒトなど)に、単一ないし
数種を組み合わせで調剤し投与することができ、また薬
理学的に許容しうる他の薬物をさらに配合して安全に投
与することができる。本発明の結合物の投与方法として
は非経口投与が好ましく、例えば血管内、筋肉内、皮下
などに通常の注射剤として投与することができ、とりわ
け静脈内あるいは動脈内に投与することが好ましい。本
発明の結合物の注射剤の調製においては通常注射剤に用
いられる防腐剤、安定化剤、等張化剤などを添加しても
よい。たとえば、水溶液、油溶液および懸濁性の注射剤
とする場合は、注射用蒸留水、水性溶剤(生理的食塩
水、リンゲル液)、油性溶剤(例、ゴマ油、オリーブ
油)などの溶剤、または所望により溶解補助剤(例、Tw
een-80, アルギニン)、緩衝剤(例、リン酸ナトリウ
ム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム)、等張化剤
(例、ブドウ糖、グリセリン、ソルビトール)、安定化
剤(例、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコー
ル)、保存剤(例、ベンジルアルコール、フェノー
ル)、無痛化剤(例、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロ
カイン)などの添加剤を用いて、常套手段により製造さ
れる。
【0016】また、たとえば用時溶解あるいは分散型の
固形状注射用製剤とするには溶解液および分散媒(例、
蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖液)、賦形剤(例、カ
ルボキシメチルセルロース(CMC)、マンニトール、
アルギン酸ナトリウム)、保存剤(例、ベンジルアルコ
ール、塩化ベンザルコニウム、フェノール)、無痛化剤
(例、ブドウ糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プロカイ
ン)などを混合し、常套手段により固形状注射用製剤に
製造することができる。また、注射剤以外の製剤として
は鼻、口腔、直腸、膣、子宮などの粘膜投与製剤、ある
いはマイクロカプセル型徐放性製剤、埋め込み剤などの
放出制御製剤などが挙げられる。これらの製剤化にあた
っては、ブドウ糖などの単糖類や、アミノ酸、各種塩
類、ヒト血清アルブミンなどを添加してもよく、その他
上記の通常の等張化剤、pH調整剤、無痛化剤、防腐剤
およびそれ自身既知の吸収促進剤(例、クエン酸、α−
シクロデキストリン、マンデル酸、サルチル酸ナトリウ
ム、胆汁酸、ポオキシエチレン(9)ラウリルエーテ
ル、タウロジヒドロフシジール酸)などを加えて、安定
で有効な結合体の製剤を調製することができる。本発明
の結合物は、例えば神経栄養因子であるヒトNGF、B
DNF、NT、FGFなどの投与目的ではアルツハイマ
ー病の進行の抑制あるいは治療に比較的低用量で充分有
用な効果が期待できる。また、脳で作用する神経ペプチ
ドである種々のエンケファリン、ソマトスタチン、サブ
スタンス−P、VIPなどは、本発明により効率よく脳
に送達できることによって、同様に用量の低減と末梢で
の副作用の低減が期待できる。本発明結合物の人におけ
る投与量は、用いる生理活性ペプチドないし蛋白質、投
与対象、症状、投与形態等によって異なるが、必要とす
る薬理効果を発現する量であればよく、通常10μg〜
2g、より好ましくは20μg〜1gを1日1〜3回に分
けて非経口的に投与される。
【0017】また、本発明の結合体は、脳毛細血管内皮
細胞上のレセプターのみならず肝臓,腎臓など種々の臓
器または癌細胞上に存在するインスリン,トランスフェ
リン,インスリン様成長因子IまたはIIなどレセプター
を検出するのに用いることができる。例えば、酵素(ホ
ース・ラディッシュ・パーオキシダーゼなど)などのマ
ーカーとなる生理活性ペプチドないし蛋白質と、キャリ
ヤーペプチドとの結合体などが、この目的に用いること
ができ、さらに生理活性ペプチドに対する抗体を用いた
免疫測定と組み合わせて検出に用いることもできる。こ
のように、本発明の結合体、例えば、インスリンの不活
性フラグメントとマーカーペプチドとの結合体は、イン
スリンレセプターの不全を解明するうえで有用で、たと
えば、肝細胞,リンパ球,脂肪細胞,星状膠細胞,神経
細胞,グリア細胞などの各種の細胞に対するインスリン
の作用機作を解明するのに有用に用いうる。また、例え
ば、先天性あるいは後天性肥満症において、それがイン
スリンレセプター欠損に起因するか否かあるいは肝癌や
肺癌などの癌細胞においてインスリンに反応性であるか
否かを検出するのに用いることができる。
【0018】なお、本願明細書や図面において、塩基や
アミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IU
B Commision on Biochemical Nomenclature による略
号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を次に挙げる。またアミノ酸に関して光学異
性体があり得る場合は、特に明示しなければL−体を示
すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン Gly :グリシン(G) Ala :アラニン(A) Val :バリン(V) Leu :ロイシン(L) Ile :イソロイシン(I) Ser :セリン(S) Thr :スレオニン(T) Cys :システイン(C) 1/2Cys :ハーフシスチン Met :メチオニン(M) Glu :グルタミン酸(E) Asp :アスパラギン酸(D) Lys :リジン(K) Arg :アルギニン(R) His :ヒスチジン(H) Phe :フェニールアラニン(F) Tyr :チロシン(Y) Trp :トリプトファン(W) Pro :プロリン(P) Asn :アスパラギン(N) Gln :グルタミン(Q)
【0019】
【実施例】以下に製剤例、参考例および実施例を示し、
本発明をさらに詳しく説明するが、これらは単なる例示
であって本発明を何ら限定するものではない。 参考例1:血液脳関門透過性試験125 I標識検体−キャリアーペプチド結合体を生理食塩
水で溶解後、ICRマウスに投与して、一定時間後の
125I標識検体の取り込みを測定する。各時間における
125I標識検体の脳への取り込みを同様に調製した125
標識検体を単独投与した場合と比較することによりキャ
リアーペプチドの in vivo における輸送能力を評価す
る。
【0020】実施例1:F001の調製法及び同定 10mM塩酸2.5mlに溶解したブタ−インスリン(清水
製薬)100mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)50
mlで希釈し、これにトリプシン(シグマ社)5mgを加
え、室温で3日間放置し、全量を凍結乾燥した。得られ
た分解混合物を1N酢酸に溶解し、0.45μm のフィ
ルターで不溶物を除去した後、0.1%トリフルオロ酢
酸(TFA)を含むアセトニトリル/水でグラジエント
溶出する逆相分取高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)(カラム:TSK gel ODS−120T、2.15
×30cm;流速0.7ml/分;最初の3分間はアセトニ
トリル濃度10%,その後25分間にわたって10%か
ら60%まで濃度勾配をかけて溶出)にて、メインピー
クを分取し、凍結乾燥にて濃縮して白色粉末を得た。得
られたインスリンフラグメントをF001と命名した。
F001は逆相分析HPLCでインスリンピークと分離
されたシングルピーク(〔図1〕及び〔図2〕)であ
り、収率は6.5%であった。F001はアミノ酸シー
クエンサーによる解析結果から〔図3〕に示すような構
造式に決定した。
【0021】実施例2:F007の調製法及び同定 10mM塩酸2.5mlに溶解したブタ−インスリン300
mgを2mMのEDTAを含む0.1M N−エチルモルフ
ォリン(pH8.0)150mlで希釈し、これに20mM
の塩化カルシウムを含む0.1MN−エチルモルフォリ
ン150mlに溶解したトリプシン45mgを加え、37℃
で90分間インキュベートを行った。1N酢酸、10ml
を加えて反応の進行を止め、全量を凍結乾燥した。得ら
れた分解混合物を1N酢酸に溶解し、0.45μm のフ
ィルターで不溶物を除去した後、0.1%TFAを含む
アセトニトリル/水でグラジエント溶出する逆相分取H
PLC(カラム:TSK gel ODS−120T、2.1
5×30cm;流速0.7ml/分;最初の3分間はアセト
ニトリル濃度10%,その後25分間にわたって10%
から60%まで濃度勾配をかけて溶出)にて、メインピ
ークを分取し、凍結乾燥にて濃縮して白色粉末を得た。
得られたインスリンフラグメントはF007と命名し
た。F007は逆相分析HPLCでインスリンピークと
分離されたシングルピーク(〔図4〕及び〔図5〕)で
あり、収率は29.5%であった。 F007は6N塩
酸加水分解後にアミノ酸分析の結果〔表1〕とインスリ
ンの構造式から〔図6〕に示すような構造式に決定し
た。
【0022】
【表1】F007のアミノ酸分析結果 インスリン F007 ──────────────────────────── アミノ酸 分析結果 理論値 分析結果 理論値 ──────────────────────────── Asp 2.9 3 2.9 3 Glu 6.7 7 6.3 7 Ser 2.8 3 3 3 Gly 4.2 4 3.5 3 His 1.9 2 1.9 2 Arg 1.1 1 1 1 Thr 1.9 2 1.1 1 Ala 2.1 2 1.2 1 Pro 1.1 1 0.2 0 Tyr 4.1 4 3.3 3 Val 3.5 4 3.6 4 Cys 2.5 6 2.6 6 Ile 1.6 2 1.7 2 Leu 6 6 6 6 Phe 3.1 3 1.5 1 Lys 1.1 1 0.2 0 ────────────────────────────
【0023】実施例3:インスリンフラグメントのレセ
プター親和性(1) 米国のボーチャード(Ronald T. Borchart)らによる
「牛毛細血管内皮細胞上の大中性アミノ酸移行システム
の特性(Characterristics of the Large Neutral Amin
o Acid Transport System of Bovine Brain Microvesse
l endotherial cell Monolayers)」〔ジャーナル・オ
ブ・ニューロケミストリー(Journal of Neurochemistr
y) 第47巻、頁484−488(1986)〕に記載
の要領で、牛脳毛細血管内皮細胞を分離し、単層膜を作
成して内皮細胞上にあるレセプターに対する親和性を測
定した。すなわち、充填構造に至った培養細胞に125
−インスリン共存化で実施例1及び2で得られたインス
リンフラグメント(F001、F007)、非標識のイ
ンスリンを各々添加し、毛細血管内皮細胞上に存在する
インスリンレセプターに対する親和性を125I−インス
リンに対する競合阻害実験で検討した。〔表2〕に示す
ようにF001及びF007はいずれも親和性を示し、
F007についてはインスリン全分子と同程度の親和性
を示した。従来の研究が示しているように、培養脳毛細
血管に対する親和性は in vivoでの脳毛細血管透過性の
信頼しうる指標で、本実施例はインスリンレセプターを
介してのトランスサイトーシスによる脳への送達が充分
示唆された。
【0024】
【表2】脳毛細血管内皮細胞上のレセプターに対するイ
ンスリンとF001、F007の親和性の比較 非標識化合物添加時の125I- インスリンの結合率(%) ──────────────────────────────── 添加濃度(μM) インスリン F001 F007 ──────────────────────────────── 1.6 X 102 13.6 ± 0.2 1.0 X 102 61.6 ± 1.2 11.8 ± 2.5 1.0 X 102 23.0 ± 6.3 78.5 ± 3.8 18.1 ± 2.6 1.0 X 10 24.2 ± 1.5 93.2 ± 0.4 33.5 ± 1.7 1.0 X 10-1 30.2 ± 3.9 55.7 ± 6.6 1.0 X 10-2 44.6 ± 0.9 73.7 ± 8.8 1.0 X 10-3 73.7 ± 8.3 90.3 ± 2.8 1.0 X 10-4 85.7 ± 8.5 94.7 ±10.8 ────────────────────────────────
【0025】実施例4:F007の合成 F007のA鎖及びB鎖の合成をポリスチレン樹脂を担
体とする固相合成法にておこなった。N(α)−アミノ
基にはt-ブトキシカルボニル(tBOC)基を、アミ
ノ酸側鎖の官能基にはベンジルタイプの保護基をそれぞ
れ用いた。また、F007のA及びB鎖中のジスルフィ
ド結合に関与するシステイン残基(A鎖7位及び20
位、B鎖7位及び19位)は、アセトアミドメチル(A
cm)基を保護基とする最大保護法でおこなった。C末
端アミノ酸を結合させたポリスチレン樹脂を出発原料と
して順次tBOC基を0.5%メタンスルホン酸にて除
去した後に 2%ピリジンで洗浄、つづいてtBOC保
護アミノ酸をベンゾトリアゾール−1−1−イル−オキ
シ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフ
ルオロホスフェイトを用いて活性化することにより縮合
した。全縮合反応が完了した保護ペプチド樹脂を減圧乾
燥した。乾燥保護ペプチド樹脂を適当なカチオンスカベ
ンジャーの存在下、フッ化水素中に氷冷下2時間撹拌
し、ペプチドを樹脂から脱離させるとともに保護基の除
去をおこなった。フッ化水素を減圧下で溜去し、残査に
エーテルを加えペプチドを析出沈澱させた。さらにエー
テルにて3回洗い、フッ化水素、スカベンジャー類を充
分取り除いた。つぎに得られた粗ペプチドを1N 酢酸
で抽出してグラスフィルターで不溶物および樹脂を濾去
し、濾液を凍結乾燥した。得られた乾燥品を少量の1N
酢酸に溶解し、セファデックスG−25(ファルマシア
社)カラム(2.7x90cm)に添加して、280n
m または 254nmにおける吸光度をモニターしつ
つ、1N酢酸で溶出し、目的のペプチドを含有する分画
を集めて凍結乾燥した。
【0026】また、非保護のシステイン残基を含むA鎖
ペプチドは、希アンモニア水(pH7.6)をペプチド
1に対して1000倍量加え、室温で48時間放置し、
ジスルフィド結合を形成させ、凍結乾燥した。得られた
A鎖及びB鎖の乾燥品を1N酢酸に溶解後、TSK g
el ODS−120T(2.15X30cm)逆相分
取HPLCにて0.1%TFAを含むアセトニトリル−
水系でグラジエント溶出させ精製した。目的のピークを
凍結乾燥して白色粉末を得た。これらのペプチドの純度
は逆相HPLCで確認し、6N塩酸加水分解後のアミノ
酸分析結果から目的のペプチドであることを確認した。
次に、A鎖及びB鎖のAcm基をはヨード酸化によって
脱保護し、セファデックスG−25カラム(2.7x9
0cm)に添加して 1N酢酸で溶出し、凍結乾燥し
た。F007に対応するA鎖及びB鎖を稀アンモニア水
(pH7.6)中で24時間、室温で放置することによ
りA鎖とB鎖のジスルフィド結合を形成させた。逆相分
析HPLCにて反応が進行したのを確認したのち、TS
Kgel ODS−120T(2.15X30cm)逆
相分取HPLCにて0.1%TFAを含むアセトニトリ
ル−水系でグラジエント溶出させ、目的とするF007
を含むフラクションを集め、凍結乾燥した。得られたF
007は逆相HPLC 、アミノ酸分析にて純度ととも
に目的のペプチドであることを確認した。
【0027】実施例5 F001の合成 Acmにより保護するシステイン残基がA鎖7位及びB
鎖7位である以外は、実施例4と同様の方法でF001
を合成した。 実施例6 インスリンフラグメントのレセプターの親和
性(2) 実施例3に記載の方法に従い、実施例4及び5で得られ
たインスリンフラグメント(F007,F001)の毛
細血管内皮細胞上のインスリンレセプターに対する親和
性を測定し、その親和性がそれぞれ実施例1及び2で得
られたフラグメントと同様であることを確認した。 実施例7:インスリンフラグメントの血糖降下作用 F007の血糖降下作用をICRマウスに生理食塩水に
溶解し、皮下投与することによってインスリンとの生物
活性と比較した。表3に示すように投与後1時間後の血
糖値をインスリンと比較すると、同投与量で顕著な低下
は認められず、10倍量投与してもインスリンほどの極
端な血糖降下作用は示さなかった。これは、インスリン
と比較して、インスリンフラグメントF007は血糖降
下作用が弱く、脳への輸送活性だけを持っており、キャ
リアーペプチドとしての有用性の証明である。
【表3】F007の血糖降下作用 ICRマウス投与サンプル 血糖値(mg/dl)(n=5) 平均±SE ────────────────────────────────── 生理食塩水 291 222 175 223 241 230±19 インスリン(30μg) 113 116 101 108 121 112±3 F007(30μg) 190 263 211 218 199 216±13 F007(300μg) 166 203 158 161 161 170±8 ──────────────────────────────────
【0028】実施例8:インターロイキン2(IL−
2)−キャリアーペプチド結合体 7mgのF007を 0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)
1mlに溶解し、別途調製したSPDP/ジメチルスルフ
ォキサイド(DMSO)溶液(7mg/40μl)を氷
冷下で少量ずつ滴下したのち、室温で30分間放置し
た。これを未反応のSPDPを除去するためにゲルカラ
ムPD−10(ファルマシア社)を用い、0.1Mリン
酸緩衝液(pH7.4)で溶出し、分取した。一方、同
様にして10mgのリコンビナントヒトIL−2(武田薬
品)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)1mlに溶解
し、別途調製したSPDP/DMSO溶液(7mg/40
μl)を氷冷下で少量ずつ滴下したのち、室温で30分
間放置した。これを未反応のSPDPを除去するために
PD−10を用い、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)
で溶出し、分取した。これをPD−10にて0.1M酢
酸ナトリウム溶液(pH4.5)に置換した。これを、
減圧下で2.0mlに濃縮したのちに3.6%ジチオスレイ
トール0.1M酢酸ナトリウム溶液(pH4.5)を添加
して室温で30分間放置して還元した。これを小分子を
除去するためにPD−10を用い、0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.4)で溶出し、分取した。次に、SPDP
が結合したF007とIL−2を混合して更に18時間
放置し、得られた反応液をセファデックスG−75(フ
ァルマシア社)カラムで分離、精製した。得られたF0
07-IL−2の構造式を次に示す。
【化3】
【0029】実施例9:125I標識神経成長因子(NG
F)−キャリアーペプチド結合体 特開平4−128300号公報記載の方法で得られたリ
コンビナントヒトNGFをまず、クロラミンT法によっ
125I標識化を行った。これにF007をSPDPを
用いて実施例8に記載の要領で結合させ、結合体を逆相
系HPLCにて分離、精製し、水で透析後、凍結乾燥し
て結合体(125I−NGF−F007)を得た。 実施例10:ソマトスタチン−キャリアーペプチド結合
体 IL−2に換えてソマトスタチンを用い、実施例8と同
じ方法で、ソマトスタチン−F007結合体を得た。 実施例11:バソプレシン−キャリアーペプチド結合体 IL−2に換えてバソプレシンを用い、実施例8と同じ
方法で、バソプレシン− F007結合体を得た。 実施例12:インターフェロンα−キャリアーペプチド
結合体 IL−2に換えてインターフェロンαを用い、実施例8
と同じ方法で、インターフェロンα−F007結合体を
得た。 実施例13:bFGF−キャリアーペプチド結合体 IL−2に換えてbFGFを用い、実施例8と同じ方法
で、bFGF−F007結合体を得た。 実施例14:HRP−キャリヤーペプチド結合体 IL−2に換えてHRPを用い、実施例8と同じ方法
で、HRP−F007結合体を得た。
【0030】製剤例 本発明のペプチド結合体を脳疾患治療薬として用いる場
合、次のような製剤として投与することが可能である。 1.実施例10で得られたソマトスタチン−F007結
合体200mgを10mlの生理食塩水に溶解し、噴霧容器
に入れ鼻腔内に投与できる製剤とする。 2.実施例11で得られたバソプレシン−F007結合
体10mgを10mlの生理食塩水に溶解し、メチルセルロ
ース100mgを加えて粘調な液とし、鼻腔内に投与でき
る製剤とする。 3.実施例12で得られたインターフェロンα−F00
7結合体10mgを10mlの生理食塩水に溶解し、常法に
従い静脈内、皮下及び筋肉内投与用の注射用液剤を調製
する。 4.実施例13で得られたbFGF−F007結合体1
0mgを10mlの生理食塩水に溶解し、常法に従い静脈
内、皮下及び筋肉内投与用の注射用液剤を調製する。
【0031】
【配列表】
配列番号(SEQ ID NO):1 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH):21 配列の型(SEQUENCE TYPE):アミノ酸(amino acid) トポロジ−(TOPOLOGY):直鎖状(linear) 配列の種類(MOLECULE TYPE):ペプチド(peptide) ハイポセティカル配列(HIPOTHTICAL):No 配列の特徴(FEATURE) 存在位置(location):6 他の特徴(OTHER INFORMATION):ジスルフィド結合 存在位置(location):11 他の特徴(OTHER INFORMATION):ジスルフィド結合 配列(SEQUENCE DESCRIPTION): Gly Ile Val Glu Gln Cys Cys Thr Ser Ile Cys Ser Leu Tyr Gln Leu 1 5 10 15 Glu Asn Tyr Cys Asn 20
【0032】配列番号(SEQ ID NO):2 配列の長さ(SEQUENCE LENGTH):22 配列の型(SEQUENCE TYPE):アミノ酸(amino acid) トポロジ−(TOPOLOGY):直鎖状(linear) 配列の種類(MOLECULE TYPE):ペプチド(peptide) ハイポセティカル配列(HIPOTHTICAL):No 配列の特徴(FEATURE) 他の特徴(OTHER INFORMATION): 配列(SEQUENCE DESCRIPTION): Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr 1 5 10 15 Leu Val Cys Gly Glu Arg 20
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたインスリンフラグメントF
001の逆相HPLCのクロマトグラムである。
【図2】実施例1で得られたインスリンフラグメントF
001及びインスリン(全分子)の逆相HPLCのクロマ
トグラムである。
【図3】実施例1で得られたインスリンフラグメントF
001の推定される構造式である。
【図4】実施例2で得られたインスリンフラグメントF
007の逆相HPLCのクロマトグラムである。
【図5】実施例2で得られたインスリンフラグメントF
007及びインスリン(全分子)の逆相HPLCのクロマ
トグラムである。
【図6】実施例2で得られたインスリンフラグメントF
007の推定される構造式である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 37/36 8314−4C C07K 7/10 8318−4H 7/16 8318−4H 7/26 8318−4H 7/40 8318−4H 13/00 8318−4H 15/26 8318−4H // C07K 99:00

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それ自身血液脳関門を通過しない生理活性
    ペプチドないし蛋白質とそれ自身実質的に生理活性を示
    さず、血液脳関門を通過可能なキャリアーペプチドとを
    結合させてなる血液脳関門通過可能なペプチド結合体。
  2. 【請求項2】キャリアーペプチドが分子量約4,000
    ないし100,000のペプチドである請求項1記載の
    結合体。
  3. 【請求項3】キャリアーペプチドがレセプター仲介型ト
    ランスサイトーシスにより血液脳関門を通過しうる生体
    内ペプチドの不活性フラグメントである請求項1記載の
    結合体。
  4. 【請求項4】生体内ペプチドが、インスリン,トランス
    フェリン,インスリン様成長因子IまたはIIである請求
    項2記載の結合体。
  5. 【請求項5】キャリアーペプチドが、インスリンのA鎖
    のN末端からアミノ酸残基14ないし21個のペプチド
    鎖およびB鎖のN末端からアミノ酸残基16ないし22
    個のペプチド鎖からなるインスリンフラグメントである
    請求項1記載の結合体。
  6. 【請求項6】インスリンフラグメントが 【化1】 で示されるフラグメントである請求項5記載の結合体。
  7. 【請求項7】インスリンフラグメントが、(B23−3
    0)オクタペプチド欠失インスリンフラグメントである
    請求項5記載の結合体。
  8. 【請求項8】生理活性ペプチドないし蛋白質の分子量が
    約200ないし120,000である請求項1記載の結
    合体。
  9. 【請求項9】生理活性ペプチドないし蛋白質の分子量が
    約400ないし80,000である請求項1記載の結合
    体。
  10. 【請求項10】生理活性ペプチドないし蛋白質の分子量
    が約500ないし60,000である請求項1記載の結
    合体。
  11. 【請求項11】生理活性ペプチドないし蛋白質が神経栄
    養因子である請求項1記載の結合体。
  12. 【請求項12】生理活性ペプチドないし蛋白質がニュー
    ロトロフィンファミリーに属するペプチドないし蛋白質
    である請求項1記載の結合体。
  13. 【請求項13】生理活性ペプチドないし蛋白質が神経成
    長因子(NGF)である請求項1記載の結合体。
  14. 【請求項14】生理活性ペプチドが神経ペプチドである
    請求項1記載の結合体。
  15. 【請求項15】ニューロトロフィンファミリーに属する
    ペプチドないし蛋白質とインスリンフラグメントとを結
    合させてなる請求項1記載の結合体。
  16. 【請求項16】神経成長因子(NGF)と(B23−3
    0)オクタペプチド欠失インスリンフラグメントとを結
    合させてなる請求項1記載の結合体。
JP5296388A 1992-11-27 1993-11-26 血液脳関門通過可能なペプチド結合体 Withdrawn JPH06228199A (ja)

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