JPH06116656A

JPH06116656A - 線材の熱処理装置

Info

Publication number: JPH06116656A
Application number: JP4269888A
Authority: JP
Inventors: Masaru Yamamoto; 勝山本
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1992-10-08
Filing date: 1992-10-08
Publication date: 1994-04-26

Abstract

(57)【要約】【目的】安全衛生上、公害上の問題がなく、作業性お
よびエネルギー効率がよく、広範囲の線種や線径のもの
に利用可能な線材の熱処理装置を提供する。【構成】炉本体１内部を、線材Ｗ通過位置を囲むよう
に配設した熱伝導性の隔壁２で以て内室３と外室４とに
区画する。上記内室３には熱伝導微粒子５を、外室４に
は加熱媒体８を夫々充填すると共に、上記外室４の一部
に発熱体９を配設して成る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、線材を連続して熱処理
（冷却または加熱）する装置であって、特にパテンティ
ング、焼なまし、焼もどし等を行う線材の熱処理装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、線径１０ｍｍ以下の線材をパテン
ティング、連続焼なましあるいは焼戻し等を行う熱処理
装置としては、鉛浴炉、塩浴炉、流動層炉、ガスまたは
空気炉等が用いられている。そして、上記各炉におい
て、線材を冷却または加熱する媒体は、鉛、ソルト、サ
ンド、ガス等が線材に直接接触するようにして用いられ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、鉛浴炉は、鉛
ガスの発生、酸化鉛除去作業における安全衛生上及び作
業性の問題、溶融鉛の付着による表面欠陥の問題があ
る。塩浴炉は、ソルトが線材に付着して表面に著しい欠
陥を生じる。また、最近公害対策等のため、広く使用さ
れている流動層炉は、エネルギー効率が非常に悪く、ま
た装置コスト、管理コストが高くつくという問題があ
る。さらに、ガスまたは空気炉は、ガス、空気の熱伝導
性が悪く、熱容量が少ないため、狭い範囲の線種や線径
のものしか処理できなかった。

【０００４】本発明は、上記従来技術の課題を解決する
ためになしたものであり、その目的は安全衛生上・公害
上の問題がなく、作業性及びエネルギー効率がよく、広
範囲の線種や線径のものに利用でき、しかも品質が向上
し、工程管理も容易である線材の熱処理装置を提供する
にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、走行する線材
と直接接触する熱交換材として熱伝導微粒子を用い、こ
の熱伝導微粒子を加熱する媒体として従来の鉛やソルト
等を利用しようとするものである。

【０００６】即ち、本発明に係る線材の熱処理装置は、
走行する線材を冷却または加熱する熱処理装置におい
て、炉本体内部を、線材通過位置を囲むように配設した
熱伝導性の隔壁で以て内室と外室とに区画し、上記内室
には熱伝導微粒子を、内室には加熱媒体を夫々充填する
と共に、上記外室の一部に発熱体を配設して成る。上記
熱伝導微粒子としては、ほゞ均一な粒径（サブμ〜数
μ）と形状を有するＡｌＮ、ＢｅＯ、ＳｉＣ等のファイ
ンセラミックスが好適である。

【０００７】また、上記加熱媒体としては、従来の鉛や
ソルト等を利用し、従来の鉛浴炉や塩浴炉等と同様に配
設した電熱ヒータ、ガスバーナ等の発熱体で以て昇温可
能にして成る。

【０００８】

【作用】上記のように構成された線材の熱処理装置を、
パテンティング、焼なまし、焼戻し等の処理に対応して
熱処理ラインの適所に配置して起動すると、発熱体で以
て外室内の加熱媒体（例えば、鉛またはソルト）が常時
高温に加熱維持され、この熱が熱伝導性の隔壁を介して
内室内の熱伝導微粒子に伝導して、熱伝導微粒子が一定
温度に保たれ、この微粒子内を走行する線材を熱処理す
るように働く。熱伝導微粒子がＡｌＮ、ＢｅＯ、ＳｉＣ
等のファインセラミックスであると、このファインセラ
ミックスは、表１に示すように、鉛や煉瓦材（シャモッ
ト、珪石）に比べて熱伝導率が極めて高いため、粒状で
線材とは不完全接触であるにもかゝわらず、鉛と同等の
熱交換を行い、流動層に比べてはるかに効率よく、線材
を熱処理するように働く。また上記ファインセラミック
スは、摩擦係数が低く、均一な粒径・形状を有する非金
属であるため、走行する線材の表面に疵を殆んど生じさ
せることがない。

【０００９】

【表１】

【００１０】

【実施例】以下、本発明に係る線材の熱処理装置の一実
施例について図に基づいて説明する。

【００１１】図において、Ａは熱浴炉で、この熱浴炉Ａ
は、炉本体１の内部略中央に、走行する線材Ｗの通過位
置を囲むように熱伝導性の隔壁２を配設し、この隔壁２
で以て内室３と外室４とに区画して成る。上記内室３に
は熱伝導微粒子５を充填し、また線材Ｗが通過する内室
３の前、後壁体には線材Ｗの通過用ガイド６、６を夫々
配設する。この線材出口側のガイド６にはノズル７を設
け、このノズル７から送入するエアまたはガスによっ
て、線材Ｗに付着する熱伝導微粒子が炉外に飛散するの
を防止するようになす。また上記外室４には鉛、ソルト
等の加熱媒体８を充填し、また外室４の外側面には発熱
体９を配設して、上記加熱媒体８を加熱して所望温度に
維持するようになす。なお、図中１０は、隔壁２の温度
を測定する熱電対、Ｂは熱浴炉Ａと並設した加熱炉であ
る。

【００１２】上記構成の熱処理装置によるときは、線材
Ｗは、加熱炉Ｂでオーステナイト組織化処理され入口側
のガイド６を通って内室３の熱伝導微粒子５中で熱浴焼
入れされ微細パーライト組織とされて出口側のガイド６
を通って走行する。上記熱伝導微粒子５は隔壁２を介し
て加熱媒体８により加熱され一定温度（例えば、５８０
℃）に保たれている。また上記加熱媒体８は発熱体９に
より常時高温加熱維持されている。

【００１３】上記構成の熱処理装置を用いて、線径０．
７ｍｍから４．０ｍｍまでの線材をパテンティング処理
したところ、仕上り線材は、従来技術のように、鉛やソ
ルト等の付着が全くなく、表面疵もなく、きれいな状態
で仕上がった。また内部組織も均一な微細パーライト組
織で次工程におけるメッキも品質が優れ、伸線工程にお
いても断線が少なく、熱処理作業においては作業性もよ
く、安全衛生上も全く問題なかった。さらに熱効率がよ
く省エネルギー効果も確認できた。

【００１４】更に、上記効果を確認するため、次の実験
を行った。線材通過位置に線材と同様に線温測定用のメ
タルシース熱電対を、加熱炉から熱浴炉へ走行させ、そ
の温度を連続測定した。そしてその結果の値より数１を
用いて熱伝達率を計算し求めた。

【００１５】

【数１】

【００１６】メタルシース熱電対のシース金属体の線径
は線材の線径に合わせて表２に示す各種の線径で行っ
た。この実験を同様の条件で流動層、鉛パテンティン
グ、エアパテンティング、油焼入れの各種装置で行っ
た。これらの結果を表２に示す。

【００１７】

【表２】

【００１８】表２より明らかなように、本発明における
線材の熱処理装置は、鉛には及ばないが、流動層等より
はるかに優れた熱伝達率を有することが確認された。

【００１９】ところで、上記実施例において、外室４の
上部は、有毒ガスの発散を防止するために、密閉構造と
したが、加熱媒体の種類によっては開口構造にすること
もある。

【００２０】

【発明の効果】本発明は上記構成になしたので、従来の
ように鉛やソルトが線材に直接接触することがなく、ま
た、これが線材に付着して炉外へ持ち出されることもな
く、安全衛生上、公害上全く問題が生じない。また線材
表面に疵をつけることなく、均一な熱処理ができて品質
を向上することができ、更に熱効率もよく、広範囲の線
種や線径のものに利用でき、省エネルギーとなる等の著
しい効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の線材の熱処理装置の一実施例を示す概
略説明図。

【符号の説明】

１炉本体２隔壁３内室４外室５熱伝導微粒子６ガイド７ノズル８加熱媒体９発熱体１０熱電対Ａ熱浴炉Ｂ加熱炉Ｗ線材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】走行する線材を冷却または加熱する熱処
理装置において、炉本体内部を、線材通過位置を囲むよ
うに配設した熱伝導性の隔壁で以て内室と外室とに区画
し、上記内室には熱伝導微粒子を、外室には加熱媒体を
夫々充填すると共に、上記外室の一部に発熱体を配設し
て成る線材の熱処理装置。
【請求項２】熱伝導微粒子がＡｌＮ、ＢｅＯ、ＳｉＣ
等のファインセラミックスである請求項１記載の線材の
熱処理装置。