JPH054743U - 永久磁石式回転子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案では永久磁石の寸法公差が大きい場合で
も永久磁石の挿入性と永久磁石の動き、ずれの固着性に
優れた永久磁石式回転子を提供することを目的とする。 【構成】半径方向外方に複数の永久磁石挿入用開口部２
およびこの永久磁石挿入用開口部２より半径方向内方に
複数の固定用開口部７を設けた円盤状の回転子鉄心抜板
１を多数枚積層し、かしめて回転子鉄心積層体を形成
し、永久磁石挿入用開口部２に永久磁石を挿着する永久
磁石式回転子において、永久磁石挿入用開口部２と回転
子鉄心積層体の外周面との間に形成される外周リング部
の一部に内方へ突出し、永久磁石を押圧固定する突出部
４を設けている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は電動機の永久磁石を有する回転子の回転子鉄心及び永久磁石等の構成 部材の固定構造を改良した永久磁石式回転子に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、永久磁石を有する永久磁石式回転子としては、例えば特開昭６０−１０ ９７４９号公報が知られている。このような永久磁石式回転子は、図５に示すよ うな半径方向外方に複数の永久磁石挿入用開口部２およびこの永久磁石挿入用開 口部２より半径方向内方に複数の固定用開口部７を設けた円盤状の回転子鉄心抜 板１を多数枚積層して回転子鉄心積層体を形成し、図６に示すように回転子鉄心 積層体の永久磁石挿入用開口部２に扇形の磁極の異なる永久磁石を交互に挿着し 、さらに、固定用開口部７だけを有する円盤状の鉄板１１を回転子鉄心積層体の 両端面に配置し、それぞれの固定用開口部７にリベット（図示せず）を挿入して かしめることにより永久磁石式回転子を構成している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、一般的に永久磁石の寸法精度は悪く、厚さ等の規格公差は±０ ．１ｍｍ程度あり、公差上大きい永久磁石の場合には、永久磁石挿入用開口部２ への永久磁石の挿入が不可能であったり、挿入力の過大により折れたり、変形す る虞れがあり、公差上小さい永久磁石の場合には、回転子の回転中に永久磁石挿 入用開口部２の中で永久磁石が動いて振動音が発生したり、永久磁石が割れたり する欠点がある。

【０００４】 このような構造の永久磁石式回転子において、組み立て時の永久磁石挿入用開 口部２への永久磁石の挿入性と、永久磁石挿入用開口部２に収容された永久磁石 の動き、ずれの固着性を向上させる方法として、永久磁石の寸法精度を良くし、 公差を小さくする方法が考えられるが、永久磁石の寸法精度を良くするには製造 上、高価になるという問題がある。

【０００５】 そこで、本考案では永久磁石の寸法公差が大きい場合でも永久磁石の挿入が行 い易く、かつ、永久磁石の動きやずれを防止することが可能な永久磁石式回転子 を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を解決するために、本考案では外周近傍に複数の永久磁石挿入用開口 部を設けた円盤状の回転子鉄心抜板を多数枚積層して回転子鉄心積層体を形成し 、永久磁石挿入用開口部に永久磁石を挿着する永久磁石式回転子において、永久 磁石挿入用開口部と回転子鉄心積層体の外周面との間に形成される外周リング部 の一部に内方へ突出し、永久磁石を押圧固定する突出部を設けて構成している。

【０００７】

【作用】

このような構成によれば、永久磁石を永久磁石挿入用開口部に挿入するにあた って、永久磁石を押圧挿入することにより、永久磁石挿入用開口部と回転子鉄心 積層体の外周面との間に形成された外周リング部に設けられた突出部が外方に押 され、その反力により永久磁石は強固に保持される。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【０００９】 図３は本考案に係る永久磁石式回転子を構成する回転子鉄心積層体の完成前の 平面図であり、回転子鉄心積層体を構成する円盤状の回転子鉄心抜板１は鉄板を 打ち抜き加工することにより作られ、回転子鉄心抜板１には永久磁石挿入用開口 部２、固定用開口部７、回転軸用開口部８が設けられ、永久磁石挿入用開口部２ と対向する回転子鉄心抜板１の外周に位置する外周リング部３の周長Ｌは寸法公 差上最大の永久磁石が容易に収容できる長さに形成されている。そして、打ち抜 き加工後に複数枚の回転子鉄心抜板１を積層すると共に外周リング部３の一部を 外方から押圧変形させることにより図１に示すような断面の回転子鉄心積層体を 形成するようにしている。

【００１０】 このとき、突出部４の内周面と回転子鉄心を形成するヨーク部５の外周面との 間隔Ｄは図２に示すように寸法公差上最小の永久磁石の厚みＴより小さくなるよ うにする。 また、永久磁石の面取り部の厚さＴ´は図４に示すように突出部４の内周面と ヨーク部５の外周面との間隔Ｄよりも小さく形成している。 次に、このように構成する回転子鉄心積層体および永久磁石の組み立て動作に ついて説明する。

【００１１】 まず、回転子鉄心積層体の永久磁石挿入用開口部２に永久磁石を端部から押圧 挿入していく、このとき、永久磁石の端部に形成された面取り部の傾斜によって 突出部が外方に押し拡げられていく。そして、この突出部に反力が生じ、この反 力によって永久磁石が確実に保持される。

【００１２】 したがって、永久磁石の寸法が公差上最大のものにおいても、外周リング部の 周長Ｌが永久磁石を十分に余裕をもって収容でき、挿入の際には突出部が円弧状 に拡がることにより挿着が可能である。

【００１３】 なお、上記実施例では、突出部を打ち抜き加工した後に、外方から押圧変形さ せることにより形成させているが、打ち抜き加工の段階で回転子鉄心抜板の形状 を、図１に示すような突出部を備えた回転子鉄心抜板にして、これらを積層する ことによって突出部を具備した回転子鉄心積層体を形成するようにしてもよい。 また、本実施例では突出部の数を永久磁石挿入用開口部に対して１個、軸方向 に一列だけ設けているが、永久磁石挿入用開口部に対して複数個、軸方向に複数 列設けてもよい。

【００１４】 以上のように、本実施例では永久磁石挿入用開口部の大きさを寸法公差上、最 大の永久磁石が容易に収容できるようにすると共に、永久磁石挿入用開口部と回 転子鉄心積層体の外周面との間に形成される外周リング部の一部に内方へ突出し 、永久磁石を押圧固定する突出部を設けているので、永久磁石の挿入にあたって は過大な押圧力を必要とせず、永久磁石が折れたり、鉄心が変形することがなく 、容易に挿着することができると共に、永久磁石は確実に保持されて動くことが なく、信頼性も向上する。 また、寸法公差の大きい永久磁石を使用することが可能であり、コストを低減 させることができる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案では、永久磁石挿入用開口部と回転子鉄心積層体の外周面との間に形成 される外周リング部の一部に内方へ突出し、永久磁石を押圧固定する突出部を設 けたので、永久磁石の寸法公差が大きい場合でも永久磁石の挿入が容易であり、 かつ永久磁石は確実に保持されて動くことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る突出部を具備した回転
子鉄心積層体の平面図である。

【図２】同回転子鉄心積層体の永久磁石挿入用開口部に
永久磁石を挿着された状態を示す図である。

【図３】同回転子鉄心積層体の完成前の平面図である。

【図４】同回転子鉄心積層体の永久磁石挿入用開口部に
挿着される永久磁石の面取り状態を示す一部拡大図であ
る。

【図５】従来の回転子積層体の平面図である。

【図６】従来の永久磁石式回転子の一部を分解して示す
斜視図である。

【符号の説明】

１…回転子鉄心抜板，２…永久磁石挿入用開口部，３…
外周リング部，４…突出部，５…ヨーク部，６…永久磁
石

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 外周近傍に複数の永久磁石挿入用開口部
   を設けた円盤状の回転子鉄心抜板を多数枚積層して回転
   子鉄心積層体を形成し、前記永久磁石挿入用開口部に永
   久磁石を挿着する永久磁石式回転子において、 前記永久磁石挿入用開口部と回転子鉄心積層体の外周面
   との間に形成される外周リング部の一部に内方へ突出
   し、前記永久磁石を押圧固定する突出部を設けたことを
   特徴とする永久磁石式回転子。