JPH05202445A - 低温靭性の優れた鋼板及びその製造方法 - Google Patents
低温靭性の優れた鋼板及びその製造方法Info
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- JPH05202445A JPH05202445A JP4292338A JP29233892A JPH05202445A JP H05202445 A JPH05202445 A JP H05202445A JP 4292338 A JP4292338 A JP 4292338A JP 29233892 A JP29233892 A JP 29233892A JP H05202445 A JPH05202445 A JP H05202445A
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Abstract
中の脆性亀裂をも停止しうる鋼板。 【構成】 平均円相当粒径が3μm以下のフェライト粒
を主体とし、平均円相当径が0.6μm以下の球状炭化
物相より構成される組織を有する低温靭性の優れた鋼
板。 【効果】 母材靭性としてのvTrsが−120℃以下
で、脆性破壊伝播停止靭性であるKca値が400kgf/
mm1.5 を示す温度が−100℃以下を示す鋼板が生産性
よく経済的に安定して得られる。
Description
温でも脆性破壊しない鋼板及びその製造方法に関するも
のである。
の大型構造物に使用される溶接構造用鋼の材質特性に対
する要望は社会不安の大きさから厳しさを増しており、
破壊がもたらす被害の大きさ及び社会不安の大きさか
ら、鋼材自身に優れた耐脆性破壊特性が要望されてお
り、鋼板の脆性延性遷移温度を低温化する技術が開発さ
れている。脆性延性遷移温度を低温化する技術には、N
i元素を添加して鋼板組織のマトリックス靭性を向上さ
せる方法、組織を細粒化する方法、及び集合組織の導入
によりセパレーションを生成させる方法がある。
61−127813号公報に記載のように優れた低温靭
性を有する鋼板を製造できるが、9%Ni元素の添加に
よる鋼板製造コストの上昇は避けられない。フェライト
粒径を微細化しても、特開昭59−47323号公報記
載のように低温で加熱し、未再結晶域での加工量を大き
くする方法があるが、低温靭性はたかだかvTrs値が
−100℃前後である。
材料とプロセス、6(1990).P・1796記載の
ように加工熱処理を駆使した3μm以下のフェライト相
の鋼板の特性が示されている。しかしながら、得られた
vTrsは、−120℃程度であり、Ni元素等の合金
元素の利用なくして、−164℃以下のvTrsを達成
する鋼板は未だ得られていない。
の問題点を伴わずに上記要望を満たし、NiやNbの高
価な合金成分の添加によらずに、9%Ni鋼板と同等の
低温靭性を有する鋼板及びその製造方法を提供すること
を課題とするものである。
径が3μm以下のフェライト粒を主体とし、平均円相当
径が0.6μm以下の球状炭化物相より構成される組織
を有する鋼板である。更に本発明はこれを実現するため
に、Ar3 点温度以下の鋳片または鋼板を外部熱または
加工熱或いは両者で加熱してAc1 点温度以上から圧延
を開始し、Ac3 点温度〜Ac3 +50℃の範囲への昇
温過程において圧下率30%以上の圧延を終了し、その
後の冷却過程においてAr3 点温度に達する迄に圧下率
20%以上の圧延を行うことを特徴とする低温靭性の優
れた鋼板の製造方法を第1の手段とする。
有するAr3 点温度以下の鋳片または鋼板を外部熱また
は加工熱或いは両者により加熱してAc1 点温度以上か
ら圧延を開始し、Ac3 点温度〜Ac3 点温度+50℃
の範囲への昇温過程において圧下率30%以上の圧延を
終了し、その後の冷却過程においてAr3 点温度に達す
る迄に圧下率20%以上の圧延を行うことを特徴とする
低温靭性の優れた鋼板の製造方法を第2の手段とするも
のである。
公昭58−14849号公報に記載され、次記するよう
に、通常の構造用鋼が所要の材質を得るために、従来か
ら当業分野での活用で確認されている作用・効果の関係
を基に定めている添加元素の種類と量を同様に使用して
同等の作用と効果が得られる。従ってこれ等の元素を含
む鋼を本発明は対象鋼とするものである。
の通りである。Cは鋼の強度を向上する有効な成分とし
て0.02%以上含有するものであるが、0.20%を
超える過剰な含有量では、2相域圧延時の変形抵抗を増
して圧延を困難にするばかりか、溶接部に島状マルテン
サイトを析出し、鋼の靭性を著しく劣化させるので、
0.02%〜0.20%に規制する。
強度増加元素として有用であるが、1.0%を超えると
鋼の加工性が低下し、溶接部の靭性が劣化し、0.01
%未満では脱酸効果が不十分なため、含有量を0.01
〜1.0%に規制する。
0.3%以上の含有量が必要であるが、Mnは変態温度
を下げるので、過剰の含有量は2相域圧延温度を下げ過
ぎ変形抵抗が上昇するので2.0%を上限とする。
の他、圧延過程での固溶、析出による鋼の結晶方位の整
合及び再結晶のために添加するが、添加量が少ない時は
効果がなく、過剰の添加は鋼の靭性を劣化させるので、
Alは0.001〜0.20%に、Nは0.020%以
下とする。
であるが、母材強度の上昇或いは、継手靭性の向上の目
的のため、要求される性質に応じて、合金元素を添加す
る場合は、変態温度を下げ過ぎると2相域での変形抵抗
が増し、圧延が困難になる。従って、添加する合金とし
てはNi,Cr,Mo,Cu,W,P,Co,V,N
b,Ti,Zr,Ta,Hf,希土類元素,Y,Ca,
Mg,Te,Se,Bの1種類以上が使用できるが、そ
の添加量は合計で4.5%以下に規制する。
鋼板のフェライト粒を5μm以下に細粒化しても、図1
に示すように母材靭性であるvTrsは殆ど向上しなか
った。そこで、そのメカニズムについて詳細に調査、検
討した結果、フェライト粒が5μm以下の組織の脆性破
壊が、パーライトコロニーから発生しており、フェライ
ト粒が5μm〜1.4μmでパーライトコロニー相の寸
法は殆ど変わらないことが明らかとなった。
変化させて、炭化物相の平均寸法と脆性破壊を発生させ
るのに必要な微視的限界破壊応力の関係を調査した結
果、図2に示すように炭化物相の寸法のみならずその形
態によっても脆性破壊発生特性が大きく変化することが
判明した。
めには、亀裂先端での応力集中を考慮すると、−165
℃での降伏強度の少なくとも3倍以上の微視的限界破壊
応力が必要となるので、フェライト・パーライト鋼で達
成可能な−165℃における降伏強度が100kg/mm2
程度であることから、微視的限界破壊応力は300kg/
mm2 以上必要となる。
するためには、炭化物相の寸法を限定するだけでは不十
分で、形態を球状化させて、かつ寸法を円相当径0.6
μm以下とする必要のあることを知見した。図3に、フ
ェライト粒径と脆性破壊発生特性を示す破壊靭性値Kc
との関係を示す。フェライト粒径が2μm以下で、炭化
物相が球状のものは、−165℃でも500kg/mm2 以
上の優れた破壊靭性値を示す。
再結晶域で粗圧延終了後、5℃/sec 以上の冷却速度で
スラブ厚の一部もしくは全部を一旦フェライト変態さ
せ、その後昇復熱もしくは再加熱過程中のフェライトを
圧延すればよい。この製造過程において、γ相から急速
冷却によるフェライト相への変態時にセメンタイトが微
細分散し、その後の昇温中加工にて局部的に逆変態γに
なるものの引続く冷却過程で球状セメンタイトとなるか
らである。
温過程の圧延で導入された転位の回復、再配列現象によ
り超細粒化する。かようにして、フェライト粒径が3μ
m以下で、かつ0.6μm以下の微細炭化物で構成させ
た組織からなる鋼板が製造できるのである。
成分を有する一般的な構造用鋼を用いて種々の実験検討
を繰り返した。 C :0.02〜0.15% Si:0.15〜0.25% Mn:0.8〜1.6% Al:0.01〜0.05% N :0.001〜0.010%
全域、とりわけ厚み全域の温度を実質的に均一に昇温す
る方法と装置の経済性と作業性にあり、そのために本発
明者等は圧延中の加熱装置をできるだけコンパクトにし
てコスト上昇を防ぎつつ、高い生産性を発揮する必要が
ある。それには加熱エネルギー負荷ができるだけ少なく
なる薄い板厚が望まれる。しかし、鋼板の母材靭性及び
機械的性質を得る上からは所要の加工量が望まれる。こ
の両面から、鋼板の厚みは最終板厚の1.9倍以上、2
倍程度あることが材質と生産性と経済性の面から良いこ
とを知得した。この実験検討から得た圧延温度域別の圧
下率と鋼板の平均粒径の関係を図4に示す。図4の関係
から、本発明者等は圧延温度域がAr3 点温度からAc
3 点温度の間の昇温過程中(圧延開始温度より圧延終了
温度が高い)に30%以上の圧延を実施し、その後鋼板
の組織がオーステナイト1相になると直ちにAr3 点温
度へ冷却する過程で20%以上の圧延を実施することに
より、平均粒径2μm以下の超細粒組織が最終板厚の2
倍程度の厚みを有する鋳片または鋼板からの低い圧下量
の加工によって得られることを知見した。
細粒化機構に、異なる目的の達成を前提とする鋼材表層
への適用として提案された、前記特開昭61−2355
34号公報が開示している細粒化機構、つまり、急速冷
却で低温化した鋼材の表層のフェライトに復熱昇温中に
加工を加えて歪を蓄積させ、オーステナイトへの逆変態
時に微細なオーステナイトを生成し、該表層部に超微細
なフェライトを生成させる機構が応用できることを知見
した。
この鋼材の厚み全域を復熱しつつ上記と同様に加工を加
え、更にこの微細なオーステナイトに変態時の駆動力と
なる歪みを加えることにより、低圧下量でも鋼材の厚み
全域にわたって超細粒組織が得られることを知見した。
る鋳片もしくは鋼板の温度をAr3 点温度以下に規定す
ると、圧延開始時の組織にフェライトが存在することを
保証でき本発明が活用する作用が安定し、圧延開始温度
をAc1 点温度以上に規定すると、一般的に知られてい
る図5に示すような圧延温度と変形抵抗の関係を活用し
て圧延時の変形抵抗をより小さくするばかりでなく、フ
ェライトがオーステナイトに逆変態する温度領域で圧延
を行い本発明が活用する作用が円滑に進行することを知
見した。
規定すると総てのフェライトを一旦全てオーステナイト
化させ、上記の超細粒化機構を最大限発揮できることを
知得した。また、昇温過程での圧延終了温度の上限をA
c3 +50℃に規定すると、一部の粒の粗大化が防止で
き、本発明により得られた鋼板の材質が安定することを
知見した。
は、生成したオーステナイトが、フェライト生成を開始
するAr3 点の温度に達する迄に歪回復が生じ、昇温加
工だけでは目的とする2μm以下の超細粒フェライト組
織が得られないことがわかった。そこでこの歪回復を補
充するため、Ar3 点温度直上で更に20%以上の軽圧
下圧延を行うと、板厚の全域で目的とする2μm以下の
超細粒フェライト組織が得られることを知見した。この
ようにして生成したフェライトは変態後加工を受けてい
ないので、略等軸の超細粒組織を呈していることが判明
した。
延時の昇温は、誘導加熱炉による加熱を使用したが、本
発明の実施に当たっては、この他強圧下加工による加工
発熱のみ、更には外部熱と加工発熱の併用も使用するこ
とができる。本発明は、上記各知見を基になされたもの
である。
得られた材質を表3に比較例と共に実施例を示す。
発明例の鋼番1〜5,9〜12及び比較例の13〜1
9,23〜26は、厚150mm〜250mmの鋳片を用
い、最終製品板厚の2倍程度の厚み迄行ったが、本発明
例の鋼番6〜8及び比較例の20〜22は厚み50mmに
鋳造した鋳片をその侭予備圧延なしで使用した。
発明例の鋼番1〜4と比較例の15〜18は前述した予
備圧延後室温迄十分に冷却し、本発明例の鋼番8及び比
較例の21,22は鋳造後に共に室温迄十分に冷却した
鋼板と鋳片で、各々は昇温圧延に必要な開始温度を満足
する迄加熱炉で加熱した。また、本発明例の鋼番5〜
7,9〜12及び比較例の13,14,19〜20と2
3〜26は、予備圧延或いは鋳造後の冷却過程から昇温
圧延過程に移行させた。
温中圧延時の圧下率が十分ではない。従って、鋼番14
は昇温中圧延温度範囲条件を十分に満足しているにもか
かわらず、平均粒径は5μm以上で本発明が目標とする
平均粒径3μm未満の超細粒組織は得られず、炭化物の
形状も球状化しなかった。
点温度以下になっておらず、鋼番20〜22,24,2
6は降温圧延となって昇温圧延が形成されておらず、鋼
番16,17,25は昇温圧延の終了温度が高く、鋼番
15は昇温圧延開始温度がAr3 点温度以下にあり、そ
れぞれ本発明の必要条件を満足してはいない。
は、表3に示す通り、組織の超細粒化と炭化物の球状化
の両方またはそのいずれかが達成されず、vTrsは−
110℃以上であり、Kca値>400kg/mm1.5 を示
す温度も−60℃以上となり、本発明の目標材質を満た
さなかった。
質は、表3に示す通り所定の強度と伸びを満たし、本発
明の狙いである靭性は−120℃以下を達成し、更に、
伝播中の長い脆性破壊亀裂を停止させるのに必要なアレ
スト性能Kca値>400kg/mm1.5 を示す温度は−1
00℃以下の良好な値を示した。
作用を利用したので、圧延中に圧延材に施す昇温方法を
付加するのみで、厚み全域にわたって平均粒径2μm以
下の超細粒フェライトと0.6μm以下の球状炭化物か
らなる組織を有する鋼板を生産性良く、経済的に製造す
ることを可能とするもので、当業分野にもたらす効果は
大きい。
係を示す図表である。
相当粒径と微視的限界破壊応力との関係を示す図表であ
る。
発生靭性であるKca値との関係を示す図表である。
を示す図表である。
Claims (3)
- 【請求項1】 平均円相当粒径が3μm以下のフェライ
ト粒を主体とし、平均円相当径が0.6μm以下の球状
炭化物相より構成される組織を有することを特徴とする
低温靭性の優れた鋼板。 - 【請求項2】 Ar3 点温度以下の鋳片または鋼板を外
部熱または加工熱或いは両者で加熱してAc1 点温度以
上から圧延を開始し、Ac3 点温度〜Ac3 点温度+5
0℃の範囲への昇温過程において圧下率30%以上の圧
延を終了し、その後の冷却過程においてAr3 点温度に
達する迄に圧下率20%以上の圧延を行うことを特徴と
する低温靭性の優れた鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 最終板厚の2倍程度の厚みを有するAr
3 点温度以下の鋳片または鋼板を外部熱及びまたは加工
熱により加熱してAc1 点温度以上から圧延を開始し、
Ac3 点温度〜Ac3 点温度+50℃の範囲への昇温過
程において圧下率30%以上の圧延を終了し、その後の
冷却過程においてAr3 点温度に達する迄に圧下率20
%以上の圧延を行うことを特徴とする低温靭性の優れた
鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29233892A JP2662486B2 (ja) | 1991-11-29 | 1992-10-30 | 低温靭性の優れた鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31565191 | 1991-11-29 | ||
JP3-315651 | 1991-11-29 | ||
JP29233892A JP2662486B2 (ja) | 1991-11-29 | 1992-10-30 | 低温靭性の優れた鋼板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05202445A true JPH05202445A (ja) | 1993-08-10 |
JP2662486B2 JP2662486B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=26558945
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29233892A Expired - Fee Related JP2662486B2 (ja) | 1991-11-29 | 1992-10-30 | 低温靭性の優れた鋼板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2662486B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0945522A1 (en) * | 1997-09-11 | 1999-09-29 | Kawasaki Steel Corporation | Hot rolled steel plate to be processed having hyper fine particles, method of manufacturing the same, and method of manufacturing cold rolled steel plate |
-
1992
- 1992-10-30 JP JP29233892A patent/JP2662486B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0945522A1 (en) * | 1997-09-11 | 1999-09-29 | Kawasaki Steel Corporation | Hot rolled steel plate to be processed having hyper fine particles, method of manufacturing the same, and method of manufacturing cold rolled steel plate |
EP0945522A4 (en) * | 1997-09-11 | 2003-07-09 | Kawasaki Steel Co | HOT ROLLED STEEL PLATE CONTAINING HYPERFIN PARTICLES, METHOD FOR MANUFACTURING SAME, AND METHOD FOR MANUFACTURING COLD ROLLED STEEL PLATES |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2662486B2 (ja) | 1997-10-15 |
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