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JPH05196923A - 液晶表示素子及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示素子及びそれを用いた液晶表示装置

Info

Publication number
JPH05196923A
JPH05196923A JP4253860A JP25386092A JPH05196923A JP H05196923 A JPH05196923 A JP H05196923A JP 4253860 A JP4253860 A JP 4253860A JP 25386092 A JP25386092 A JP 25386092A JP H05196923 A JPH05196923 A JP H05196923A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
electrode
crystal display
substrate
display device
Prior art date
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Granted
Application number
JP4253860A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3241118B2 (ja
Inventor
Yoshiharu Oi
好晴 大井
Yoshinori Hirai
良典 平井
Satoshi Niiyama
聡 新山
Tsuneo Wakabayashi
常生 若林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP25386092A priority Critical patent/JP3241118B2/ja
Publication of JPH05196923A publication Critical patent/JPH05196923A/ja
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Publication of JP3241118B2 publication Critical patent/JP3241118B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】透過散乱型の液晶固化物複合体を挟持した対向
電極が基板に設けられた液晶表示素子のヒステリシスに
よる画像の焼き付き現象を低減し中間調表示を可能にす
る。 【構成】基板に添設された対向電極の少なくとも一方の
電極の液晶固化物複合体側の表面が微細な凹凸面を構成
し電極間間隙を分布せしめ、特に凹凸面の中心線平均粗
さをRaとし、平均的な電極間間隙をGとすると0.0
3・G<Ra<0.3・Gの関係が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶が固化物マトリク
ス中に分散保持された液晶固化物複合体を挟持してなる
液晶表示素子及びそれを用いた液晶表示装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、近年その低消費電
力、低電圧駆動等の特長を生かしてパーソナルワードプ
ロセッサー、ハンドヘルドコンピューター、ポケットT
V等に広く利用されている。なかでも注目され、盛んに
開発されているのが、画素電極毎に能動素子を配置した
液晶表示素子である。
【0003】このような液晶表示素子は当初は、DSM
(動的散乱)型の液晶を用いた液晶表示素子も提案され
ていたが、DSM型では液晶中を流れる電流値が高いた
め、消費電流が大きいという欠点があり、現在ではTN
(ツイスト・ネマチック)型液晶を用いるものが主流と
なっており、ポケットTVとして市場に現われている。
TN型液晶では、漏れ電流は極めて小さく、消費電力が
少ないので、電池を電源とする用途には適している。
【0004】このTN型液晶を用いた液晶表示素子で
は、2枚の偏光板を必要とするので、光の透過率が小さ
いという問題点を有している。特に、カラーフィルター
を用いてカラー表示を行う場合には、入射する光の数%
しか利用できないこととなり、強い光源を必要とし、そ
のため結果として消費電力を増加させてしまう。
【0005】このため、ネマチック液晶を樹脂マトリク
ス等の固化物マトリクス中に分散保持した液晶固化物複
合体を使用して、入力される電圧(電極間に発生する電
界)に応じた透過−散乱特性を利用し、10V以下の低
電圧で駆動できるモードが提案されている。この液晶固
化物複合体は、偏光板を使用しなくて光の透過−散乱の
機能が得られるので、透過の場合に明るい表示が得られ
ることが期待されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の液晶固
化物複合体を用いた液晶表示素子においては、その印加
電圧−透過率特性にヒステリシスが存在する。即ち、印
加する電圧の昇圧時と降圧時において光の透過率が異な
るという課題を有しており、そのため、表示画面の変化
時に前画面の情報が残ってしまうという焼き付き現象
(秒単位以上の残像)や、印加電圧に対して透過率が一
意的に決まらないことによる階調性の低下といった画像
品位の低下が生ずることがあるという問題点を有してい
た。
【0007】さらに、液晶固化物複合体の印加電圧−透
過率特性は一般に、従来のTN型液晶表示素子に比べて
非線形性が強く、階調表示を行う際には、その印加電圧
−透過率特性に応じて印加する電圧、すなわち入力信号
電圧に変調を行うこと、つまり非線形性の強いγ(ガン
マ)補正を行う必要があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる問題点
を解決するためになされたものであり、電極Aが基板A
に設けられ、電極Bが基板Bに設けられ、前記電極Aと
前記電極Bとが対向して設けられ、これらの電極間に、
液晶が固化物マトリクス中に分散保持された液晶固化物
複合体を挟持し、電極A及び基板Aの第一の組または電
極Bと基板Bの第二の組の少なくとも一方の組の電極及
び基板が透明とされる液晶表示素子において、前記電極
Aまたは前記電極Bの液晶固化物複合体側の表面が微細
な凹凸面を有し、前記電極Aと前記電極Bとの間隙が分
布していることを特徴とする液晶表示素子を提供する。
【0009】また上記の液晶表示素子において、平均的
電極間の間隙をG、凹凸面を有する前記電極Aまたは前
記電極Bの凹凸面の中心線平均粗さをRa としたとき
に、 0.03・G < Ra < 0.3・G (1) の関係を満たすことを特徴とする液晶表示素子を提供す
る。
【0010】また上記のいずれかの液晶表示素子におい
て、前記基板Aまたは基板Bに微細な凹凸面が設けら
れ、それぞれの基板の凹凸面に由来した凹凸面が前記電
極Aまたは電極Bに形成されることを特徴とする液晶表
示素子を提供する。また上記のいずれかの液晶表示素子
において、電極Aが透明であり、かつ前記凹凸面を有
し、基板Aが透明とされ、電極Bまたは基板Bに光を反
射する材料を用いて反射面を設けたことを特徴とする反
射型の液晶表示素子を提供する。また上記のいずれかの
液晶表示素子を用いて、液晶表示素子とその駆動回路か
らなり、駆動回路により飽和電圧以下の異なる値の電圧
を印加することにより中間調を表示することを特徴とす
る液晶表示装置を提供する。
【0011】本発明の液晶表示素子では、電極Aが基板
Aに設けられ、電極Bが基板Bに設けられ、少なくとも
片側の一組の電極と基板は透明とされ、残る片側の一組
の電極と基板は透明または反射面とされ、さらに電極間
に挟持される液晶を含む材料として、電気的に散乱状態
と透明状態とを直接制御しうる液晶固化物複合体を用い
ている。
【0012】この構造により偏光板が不要となり光の透
過時の透過率を大幅に向上できる。このため、明るい表
示が可能であり、特に投射型表示に用いた場合、明るく
コントラストの良い投射型表示が得られる。ここで電極
Aと電極Bとは交換可能な場合もあり得るし、上述した
ように一方を透明、他方を非透明としてもよい。基板A
と基板Bについても同様である。
【0013】本発明の透過散乱型の液晶表示素子を透過
型として用いる場合(非反射型)には、全ての電極と基
板は透明とされる。反射型として用いる場合には、一方
の側の一組の電極と基板が透明とされ、残る一方の側に
反射面が設けられる。反射面は電極そのものを反射性と
することで得られる、もしくは電極は透明とし基板の表
面を反射性とすることで達成できた。または、基板表面
に反射膜を設けても可能であった。また、カラー表示素
子として本発明の液晶表示素子を用いる場合、波長選択
吸収または波長選択反射の機能を有するカラーフィルタ
ーを基板Aまたは基板Bに形成することにより可能とな
った。
【0014】また、本発明の液晶表示素子に用いられる
液晶固化物複合体は、透過−散乱型以外のモードであっ
ても液晶と固化物とかなる分散型の液晶であれば、本発
明の最大の効果であるヒステリシスによる画像の焼き付
き抑制の効果を得ることができた。具体的には、2色性
色素を液晶に溶解したゲストホスト型の液晶と固化物と
からなる透過−吸収型の液晶表示素子等にも適用でき
た。
【0015】本発明では、液晶固化物複合体を挟持する
電極の少なくとも一方の電極が液晶固化物複合体側の表
面で微細な凹凸面を有した構造とされ、対向電極の間隙
が微小に分布して設けられたので、液晶固化物複合体固
有のヒステリシスによる液晶表示画面での焼き付き現象
が抑制できた。これにより、中間調表示を行う場合にお
いても美しい表示が可能になった。特に、液晶固化物複
合体を電極の表面と直接に接して電極との界面を凹凸面
とし、さらに反射型の液晶表示素子として使用した場合
には、この凹凸面が正規反射を抑制でき、表示コントラ
スト比が向上するという利点も生じた。
【0016】本発明の液晶表示素子は、直視型表示素
子、投射型表示素子の両方で用いることができた。直視
型表示素子として用いる場合、得たい表示特性に応じ
て、バックライト、レンズ、プリズム、ミラー、拡散
板、光吸収体、カラーフィルターなどを組み合わせて表
示装置を構成すればよい。
【0017】液晶固化物複合体の印加電圧−透過率特性
上のヒステリシスを低減し表示品位を向上することは、
用いる液晶材料、高分子材料等の硬化により固化物を形
成する材料、液晶固化物複合体の構造を最適化すること
により可能であった。しかし、そのためには厳密な制御
技術を必要とするものであった。本発明では、多少のヒ
ステリシスが存在する場合にも、実際の表示上問題とな
らない程度に、見かけ上ヒステリシスを(または、ヒス
テリシスにより生ずる光学的な問題点を)低減できた。
このため、本発明は、用いる材料の選択幅が広がるとい
う点や、製造上のマージンを大きく取れるなどのメリッ
トを有している。
【0018】このため、本発明では少なくとも一方の電
極表面が液晶固化物複合体側で微細な凹凸面とされた。
これにより、電極間間隙の望ましい分布が得られ、液晶
固化物複合体を横切る電界が分布した。その結果、印加
電圧−透過特性のしきい値電圧を分散させることとなっ
た。即ち、ヒステリシスの存在する液晶固化物複合体を
用いた場合でも、電極間間隙の分布に従った、液晶固化
物複合体を横切る電界の分布のため、しきい値が分散さ
れ、電気光学特性が前述した凹凸面のいろいろな位置で
の電極間間隙の平均値として表示され、見かけ上のヒス
テリシスが低減された。
【0019】図1は、本発明の液晶表示素子の断面図で
ある。図1において、1は液晶表示素子、2はガラス、
プラスチック等の凹凸を有する基板、3はITO(In
23 −SnO2 )、SnO2 等の電極、4はガラス、
プラスチック等の他方の平坦な基板、5はITO(In
23 −SnO2 )、SnO2 、Al、Cr等の電極、
6は両基板間(電極間)に挟持された液晶樹脂複合体等
の液晶固化物複合体を示している。ここで電極3として
ITO、SnO2 を用いた場合が透明な電極であり、A
l、Crを用いた場合が非透明電極である。金属電極は
一般的に光に対する反射能を有し反射面として用いるこ
とができる。
【0020】本発明では、この一対の基板のうち、少な
くとも一方の基板は凹凸電極面を有する。基板自身も電
極と同様に凹凸面を有することもできる。図1の例で
は、左側の基板のみが凹凸電極面及び、凹凸面を有する
基板とされたが、この反対の場合として右側の基板のみ
を凹凸電極面を有する基板としてもよい。また、両方の
基板を凹凸電極面を有する基板としてもよい。この凹凸
面は通常、基板自体を微細粒子の吹きつけ、研磨、エッ
チング等により処理して形成し、その後に電極を付着す
ることで得られた。
【0021】絶縁層や、凹凸電極面を補償し平坦化する
層や、カラーフィルター、もしくはその他も目的のため
に設けられる層が、基板面に対応した凹凸面を有する電
極表面上に付着して形成せしめることができた。基本的
には、電極間間隙が変化すればよいので、基板を平坦に
して電極により凹凸をつけてもよい。たとえ電極間間隙
が分布せしめられても、電極の凹凸表面にそれを補償す
る平坦化層を形成することで液晶固化物複合体の厚みを
一定にすることができた。例えば液晶固化物複合体のフ
ィルム体を用いる場合に好ましい。
【0022】電極は、透過型で用いる場合には両方とも
透明電極とされる。反射型で用いる場合には、片側は金
属の反射電極とされるか、透明電極と反射膜とを組み合
わせて反射するようにされればよい。また、必要に応じ
て各画素には、TFT(薄膜トランジスタ)、薄膜ダイ
オード、MIM等の能動素子を配置していてもよいし、
画素電極は透明電極にされても能動素子の基板上での配
線は金属による不透明電極にされていてもよいし、光書
き込み用に光導電材料等の感光体層を積層していてもよ
い。
【0023】なお、能動素子を配置する場合には、通常
平坦な基板側に配置する。また、能動素子により画素電
極毎に電圧を印加する代わりに、感光体層を有する表示
素子に対してはレーザー光線のような光ビームにより、
あるいは直接電子銃により電荷を画素位置に対応して供
給してもよい。
【0024】反射型液晶表示素子の場合に、液晶固化物
複合体の実効的な光路長は透過型液晶表示素子のそれに
比して2倍となる。そのため、光の散乱状態において反
射型液晶表示素子の散乱能は透過型液晶表示素子のそれ
より、かなり大きいものとなる。その結果、反射型表示
素子からなる表示装置の能力は、透過型表示素子を用い
た表示装置よりも改善される。例えば、低電圧駆動、高
コントラスト比、広視野角もしくは、高輝度の表示が達
成可能となることである。
【0025】この反射型で用いる時には、表側(光が入
射し出射する側)の基板外面及び内面での光の正規反射
がコントラスト比を低下させる原因となる。このため、
この凹凸電極面を有する基板を表側に用いることによ
り、凹凸電極を有する基板界面での正規反射を低減させ
ることができる。即ち、凹凸電極面を有する基板を用い
ることにより、ヒステリシス改善とグレア抑制(それに
よるコントラスト比向上)の両方の効果を同時に得るこ
とができた。
【0026】特に、投射型の液晶表示装置として用いる
場合には、後述する拡散光を減じる装置としての絞りを
用いる。このため、凹凸電極面を有する基板界面での散
乱による反射光は、殆ど全てが拡散光になって絞りを通
過しないので、投射画像のコントラスト比向上のメリッ
トが大きい。この場合、凹凸の形状は平坦面の多い矩形
状の凹凸よりも、適当な傾斜角を有する傾斜面で構成さ
れた凹凸の形状の方が基板界面での散乱を除去するのに
有効である。この傾斜角は反射面に対して2〜30°程
度であることが好ましい。
【0027】反射型液晶表示素子を投射型表示装置に用
いることは、表示装置の散乱能を改善する。それ故、同
一の投射像コントラスト比を得るために必要な表示装置
への入射光の指向性(平行度)が緩和される。その結
果、透過型液晶表示素子からなる投射型表示装置の場合
に比して、点光源でないランプを用いた場合、光源光学
系の集光率が向上し、高輝度の投射画像が実現可能とな
った。
【0028】前述した、液晶固化物複合体からなる透過
−吸収型の液晶表示素子の場合においては、ヒステリシ
スの低減という利益、及び拡散反射面を形成するという
利益の双方が、凹凸電極面を有する基板の凹凸面を反射
面として用いることで同時に得ることができた。
【0029】本発明で電気光学特性が平均化されて観察
者に観察されるためには、表示画素サイズよりも凹凸電
極面を有する基板の凹凸のピッチが細かいことが必要で
ある。例えば、投射型のアクティブマトリクス表示素子
の場合には、画素サイズが比較的小型であり、通常画素
の大きさは、30μmから200μm程度であるため、
この画素サイズよりも小さな凹凸のピッチを用いること
となる。通常は、投射型のアクティブマトリクス表示素
子の場合、ピッチは100μm以下が望ましい。
【0030】また、ピッチが細かすぎる場合、電気光学
特性の平均化の効果が減少し、ヒステリシスに基づく画
像の焼き付きの低減が期待できなくなる。液晶固化物複
合体の場合、この電気光学特性の平均化の効果の最小ス
ケールは、固化物マトリクス中に分散保持される液晶粒
子のサイズにより決定される。
【0031】本発明の液晶表示素子の透過−散乱特性は
液晶粒子内の液晶の分子配列が印加電界によって変化
し、それにより入射光に対する液晶の屈折率が見かけ上
変化することに伴って液晶粒子と固化物界面での屈折率
差が変化することによって生じるものであるため、画像
の焼き付きの低減効果は凹凸のピッチが少なくともその
液晶粒子直径よりも大きいことが必要である。
【0032】さらには、散乱時の散乱性が高い液晶固化
物複合体の構成において、散乱断面積が粒子の断面積の
数倍程度(3〜5倍程度)あることを考慮すると、焼き
付きの低減効果が強く発現するのは、凹凸のピッチPが
液晶粒子の直径の2倍以上である場合である。従って、
凹凸のピッチPは液晶の平均粒子直径RLCに対して、2
・RLC≦Pであることが好ましい。
【0033】低電圧で駆動できる液晶固化物複合体にお
いては、通常、RLCはほぼ2μm程度であるが、この場
合、好ましいピッチPの範囲は、ほぼ4μm以上とな
る。このような条件においては、この凹凸と液晶固化物
複合体の界面で生じて素子の透過時の透明性を著しく減
少させる不必要な散乱はほとんど生じないために、高い
透過率が保たれるという利点も有する。
【0034】なお、ここでいうピッチPとは、必ずしも
凹凸が周期構造を指すことを意味するわけでなく、「単
位長さ」を「単位長さに存在する断面曲線の山の数」
(なお「断面曲線の山の数」はJIS B0601−1
982で定義されたものを意味する)で割ったものを意
味する。
【0035】また、ヒステリシスの低減効果が発現する
ためには、どの程度液晶固化物複合体の厚さが分布して
いるかが重要である。平均の厚さ(平均的な電極間間隙
G)に対し、凹凸電極面を有する基板の凹凸の深さdが
小さすぎると電圧のしきい値を分散させた効果が現れ
ず、ヒステリシスの低減効果も期待できない。逆に、d
が大きすぎると部分的に、かなり厚みの薄い部分が存在
することとなり、コントラストの低下を引き起こしてし
まう。
【0036】この凹凸の深さdは、均一凹凸であれば簡
単であるが、通常は分布を持っており、本発明ではこれ
を、JIS B0601−1982で規定されるよう
に、凹凸表面の中心線から変位した凹凸として中心線平
均粗さ(Ra )で表す。この場合、ヒステリシスの低減
効果を効率良く得るためには、このRa とGとは下記の
式(1) に示すような最適な範囲を有している。 0.03・G < Ra < 0.3・G (1)
【0037】このため、平均的な電極間間隙Gが10μ
mの場合、その凹凸の状態を表す中心線平均粗さ(Ra
)は、0.3〜3μmとされる。両側の基板を凹凸電
極面を有する基板とする場合には、両方の凹凸構造を表
すRa を合計して上記範囲とすればよい。すなわち、そ
の結果として電極間間隙が表面粗さに従って相応した分
布を有することとなった。
【0038】このようにすることにより本発明では、印
加電圧−透過率特性の線形性を向上させ、特殊なγ補正
を用いずに優れた階調表示を得ることができる。これ
も、電気光学特性が平均化されることに起因するもので
ある。
【0039】図2は、図1の液晶表示素子を用いた反射
型の投射型液晶表示装置の模式図である。この反射型の
液晶表示素子では、反射層と電極とは基板の平坦な面上
に形成されている。図2において、11は投射用光源、12
は反射型の液晶表示素子、13はレンズ、14は拡散光を減
じる装置としての絞りを示しており、図の左側の図示さ
れていない投射スクリーンに画像を投射する。
【0040】図2の装置において、液晶表示素子の左側
に設けられたランプ、反射鏡、レンズ等からなる投射用
光源11から出射した光はレンズ13を経て液晶表示素子12
に入射する。この入射した光は液晶表示素子12の裏側
(右側)の反射層で反射して左側に出射し、再度レンズ
12を経由して絞られ、拡散光は絞り14によって減じら
れ、絞り14を通過した光のみが投射スクリーンに投射さ
れる。
【0041】この投射用光源は、公知の投射用光源が使
用でき、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、キセ
ノンランプ等のランプ、集光のための球面鏡、楕円鏡等
の鏡、レンズ、平行光線化するための絞り等を必要に応
じて組み合わせて用いればよい。また、レーザー光をビ
ームエキスパンダー等を用いて平行光線化して用いても
よい。これをカラー化するためには、例えばレンズ13と
液晶表示素子12との間に、またはレンズ13と絞り14との
間にダイクロイックプリズム、またはダイクロイックミ
ラーを配置し、この3面に3個の液晶表示素子を配置す
ればよい。
【0042】投射光学系としては、図2ではレンズ13と
絞り14が設けられている。これは液晶表示素子から出射
した直進光を投射スクリーンに投射するものであればよ
い。投射用のレンズはレンズ13単体でもよいし、レンズ
13と絞り14との間、または、絞り14とスクリーンとの間
にレンズを追加して設けてもよい。投射像の画質を向上
させるためには、絞り14前後にレンズ13以外に投射用の
レンズを設けることが好ましい。
【0043】拡散光を減じる装置は、液晶表示素子から
出射した光のうち、直進する光のみを通過させ、拡散す
る光を除去できるものであればよく、上記例のように小
さな孔の開いたアパーチャーが通常使用される。また、
孔の代わりに小型の反射鏡を配置して、必要な直進光の
みを取り出すようにしてもよい。ここで図2の投射型液
晶表示装置の動作状態を簡単に説明する。液晶表示素子
は、印加される電圧の大きさにより各画素毎に透明状
態、散乱状態、及びその中間状態をとる。
【0044】透明状態の部分では、表示素子の表側の基
板から入射した光は通常そのまま表示素子の裏側に位置
し基板の平坦な面上に設けられた反射層で通常反射して
入射側に出射する。この光は光軸が正規反射と同じであ
るので、絞り14を通過する。これにより投射スクリーン
上では明るい光点となる。一方、散乱状態の部分では、
入射した光は散乱され拡散光として直接あるいは反射層
で反射した後で入射側に出射する。この光は大部分は光
軸が正規反射と異なるので、絞り14を通過できない。
【0045】これにより投射スクリーン上では暗い暗点
となる。中間状態の部分はその中間となり、一部の入射
光が絞り14を通過する。これにより投射スクリーン上で
は中間調となる。この際に、液晶表示素子として図1に
示したような液晶表示素子を用いると、ヒステリシスに
基づく画像の焼き付きを抑制できると共に、高コントラ
スト比の表示が可能になる。なお、この場合、液晶表示
素子の基板外面(図1の左側の基板の左側面)での入射
光の反射もコントラスト比を低下させるため、この基板
外面に多層干渉膜による反射防止コーティングを施すこ
とでグレアを抑制しておくことが好ましい。
【0046】本発明は、反射型でなく、透過型で用いて
もヒステリシスに基づく画像の焼き付きを抑制できると
いう効果を有する。この場合には、図2の左側に投射用
光源を設け、右側に投射光学系を設けて、液晶表示素子
に左側から光を入射させ、右側に出射するようにすれば
よい。
【0047】本発明では、少なくとも一方が凹凸電極面
を有する基板である電極付基板間に、液晶が固化物マト
リクス中に分散保持された液晶固化物複合体を挟持して
いる。この液晶固化物複合体は、細かな孔の多数形成さ
れた固化物マトリクスとその孔の部分に充填されたネマ
チック液晶とからなっている。この液晶固化物複合体
は、それを挟持している電極間への印加電圧により、透
過状態と散乱状態とをとる。即ち、印加される電圧の大
きさにより、入射光に対する液晶の見かけ上の屈折率が
変化し、固化物マトリクスの屈折率と液晶の屈折率との
関係が変化し、両者の屈折率が一致した時には透過状態
となり、屈折率が異なった時には散乱状態となる。
【0048】この細かな孔の多数形成された樹脂マトリ
クスとその孔の部分に充填された液晶とからなる液晶固
化物複合体は、マイクロカプセルのような液泡内に液晶
が封じ込められたような構造であるが、個々のマイクロ
カプセルが完全に独立していなくてもよく、多孔質体の
ように個々の液晶の液泡が細隙を介して連通していても
よい。
【0049】本発明の液晶表示素子に用いる液晶固化物
複合体は、ネマチック液晶と、固化物マトリクスを構成
する硬化性化合物とを混ぜ合わせて溶液状またはラテッ
クス状にしておいて、これを光硬化、熱硬化、溶媒除去
による硬化、反応硬化等させてネマチック液晶と硬化物
を分離し、固化物マトリクス中にネマチック液晶が分散
した状態をとるようにすればよい。
【0050】この硬化性化合物を、光硬化または熱硬化
タイプにすることにより、密閉系内で硬化できるため好
ましい。特に、光硬化タイプの硬化性化合物を用いるこ
とにより、熱による影響を受けなく、短時間で硬化させ
ることができ好ましい。
【0051】具体的な製法としては、従来の通常のネマ
チック液晶と同様にシール材を用いてセルを形成し、注
入口からネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混
合物を注入し、注入口を封止して後、光照射をするか加
熱して硬化させることもできる。
【0052】また、本発明の液晶表示素子の場合には、
シール材を用いなく、例えば、一方の電極付の基板上
に、ネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混合物
を供給し、その後、他方の電極付の基板を重ねて、光照
射等により硬化させることもできる。
【0053】もちろん、その後、周辺にシール材を塗布
して周辺をシールしてもよい。この製法によれば、単に
ネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混合物をロ
ールコート、スピンコート、印刷、ディスペンサーによ
る塗布等の供給をすればよいため、注入工程が簡便であ
り、生産性が極めてよい。
【0054】また、これらのネマチック液晶と硬化性化
合物との未硬化の混合物には、基板間隙制御用のセラミ
ック粒子、プラスチック粒子、ガラス繊維等のスペーサ
ー、顔料、色素、粘度調整剤、その他本発明の性能に悪
影響を与えない添加剤を添加してもよい。
【0055】電圧非印加時に散乱状態である素子に、こ
の硬化工程の際に特定の部分のみに十分高い電圧を印加
した状態で硬化させることにより、その部分を常に光透
過状態にすることができるので、固定表示したいものが
ある場合には、そのような常透過部分を形成してもよ
い。逆に、電圧非印加状態に透過状態である素子の場合
には、同様にして常散乱部分を形成できる。
【0056】液晶固化物複合体の比抵抗としては、 5×
109 Ωcm以上のものが好ましい。さらに、漏れ電流等に
よる電圧降下を最小限にするために、1010Ωcm以上がよ
り好ましく、消費電力が少なくてすむ。特に、各画素に
能動素子を用いた場合、大きな蓄積容量を画素電極毎に
付与する必要がない。
【0057】また、この液晶固化物複合体を使用した液
晶表示素子の透明状態での透過率は高いほどよく、散乱
状態でのヘイズ値は80%以上であることが好ましい。
【0058】本発明では、電圧印加状態または非印加状
態のいずれかで、固化物マトリクス(硬化後の)の屈折
率が、使用する液晶の屈折率と一致し、逆の状態では固
化物マトリクスの屈折率が、使用する液晶の屈折率と一
致しないようにされる。
【0059】これにより、固化物マトリクスの屈折率と
液晶の屈折率とが一致した時に光が透過し、一致しない
時に光が散乱(白濁)することになる。この素子の散乱
能は、従来のDSM型の液晶表示素子の場合よりも高
く、高いコントラスト比の表示が得られる。
【0060】本発明では、特に、電圧を印加している状
態で、固化物マトリクス(硬化後の)の屈折率が、使用
する液晶の常光屈折率(no)と一致するようにされること
が好ましい。これにより、電圧印加時に透明状態になる
ので、光が透過する透明時の透過率が高くなりかつ均一
に透過するので、表示のコントラスト比が向上する。
【0061】使用する液晶の屈折率異方性Δn(=ne
no) は、無電圧時における散乱能に寄与し、高い散乱性
を得るには、ある程度以上大きいことが好ましく、具体
的にはΔn >0.18が好ましく、特にΔn >0.22
が好ましい。また、使用する液晶の常光屈折率noは固化
物マトリクスの屈折率npとほぼ一致することが好まし
く、この時電圧印加時に高い透明性が得られる。具体的
にはno −0.03<np<no +0.05の関係を満
たすことが好ましい。
【0062】また、無電圧時の散乱能を向上させるに
は、液晶固化物複合体の動作可能な液晶の体積分率Φを
増加させることが有効であり、Φ>20%が好ましく、よ
り高い散乱能を有するにはΦ>35%が好ましく、さらに
はΦ>45%が好ましい。一方Φがあまり大きくなると、
液晶固化物複合体の構造安定性が悪くなるため、Φ<70
%が好ましい。
【0063】本発明の液晶表示素子で、固化物マトリク
スの屈折率が、使用する液晶の常光屈折率(no)と一致す
るようにされた液晶表示素子は、電圧が印加されていな
い場合は、一定方向に平行に揃って配列していない液晶
と、固化物マトリクスの屈折率の違いにより、散乱状態
(つまり白濁状態)を示す。
【0064】このような液晶表示素子を投射型表示装置
として用いる場合には、電極のない部分は光が散乱さ
れ、画素電極以外の部分に遮光膜を設けなくても、光が
投射スクリーンに到達しないため、黒く見える。このこ
とにより、画素電極以外の部分からの光の漏れを防止す
るために、画素電極以外の部分を遮光膜等で遮光する必
要がないこととなり、遮光膜の形成工程が不要となると
いう利点も有する。
【0065】液晶表示素子の所望の画素に電圧を印加す
る。この電圧を印加された画素部分では、液晶が配列
し、液晶の常光屈折率(no)と固化物マトリクスの屈折率
(np)とが一致することにより透過状態を示し、当該所望
の画素で光が透過することとなり、投射スクリーンに明
るく表示される。
【0066】本発明では、前述の液晶固化物複合体を構
成する未硬化の硬化性化合物として光硬化性化合物を用
いる場合、光硬化性ビニル系化合物の使用が好ましい。
具体的には、光硬化性アクリル系化合物が例示され、特
に、光照射によって重合硬化するアクリルオリゴマーを
含有するものが好ましい。
【0067】本発明で使用される液晶は、正の誘電異方
性を有するネマチック液晶であり、固化物マトリクスの
屈折率が、電圧印加時または非印加時のいずれかにおい
てその液晶の屈折率と一致するような液晶であり、単独
で用いても組成物を用いても良いが、動作温度範囲、動
作電圧など種々の要求性能を満たすには組成物を用いた
方が有利といえる。特に、固化物マトリクスの屈折率
が、液晶の常光屈折率(no)と一致するような液晶の使用
が好ましい。
【0068】また、液晶固化物複合体に使用される液晶
は、光硬化性化合物を用いた場合には、光硬化性化合物
を均一に溶解することが好ましく、光露光後の硬化物は
溶解しない、もしくは溶解困難なものとされ、組成物を
用いる場合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いも
のが望ましい。
【0069】本発明では、液晶固化物複合体として液晶
を溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合物を硬
化させることにより、硬化時に不要となる単なる溶媒や
水を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で硬化で
きるため、従来のセルへの注入という製造法がそのまま
採用でき、信頼性が高く、かつ、光硬化性化合物で2枚
の基板を接着する効果も有するため、より信頼性が高く
なる。
【0070】本発明では、上記のように少なくとも一方
の基板が凹凸電極を有する基板としているが、液晶固化
物複合体となっているので、間隙が狭い部分でも短絡の
危険が少ない。また、通常のTN型の表示素子のように
配向や基板間隙を厳密に制御する必要もなく、透過状態
と散乱状態とを制御しうる液晶表示素子を極めて生産性
良く製造できる。
【0071】また、能動素子として、TFTを用いる場
合には、半導体材料としてはシリコンが好適でありる。
特に多結晶シリコンは、非結晶シリコンのような高い感
光性がないため、光源からの光を遮光膜により遮光しな
くても誤動作しにくく、好ましい。この多結晶シリコン
は、本発明のように投射型液晶表示装置として用いる場
合、強い投射用光源を利用でき、明るい表示が得られ
る。
【0072】本発明では、固化物マトリクスの屈折率を
使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ一致するようにさ
れた液晶固化物複合体を使用することにより、投射型表
示装置において電圧を印加しない部分では光が散乱して
投射された投射スクリーン上では黒くなるため、画素間
に遮光膜を形成しなくてよい。このため、能動素子とし
て多結晶シリコンを用いた場合、能動素子部分に遮光膜
を形成しなくてもよいまたはその遮光性が弱くてもよい
ので、遮光膜を形成する工程をなくしたり、形成される
遮光膜の厳密さを緩めることができ、生産性が向上す
る。
【0073】本発明の液晶表示素子及び液晶表示装置
は、このほか赤外線カットフィルター、紫外線カットフ
ィルター、カラーフィルター等を積層したり、冷却系を
付加したり、補強用のガラス板を積層したり、文字、図
形等を印刷したりしてもよいし、複数枚の液晶表示素子
を用いたりするようにしてもよい。また、カラー化する
ためにダイクロイックミラー、ダイクロイックプリズ
ム、鏡を用いて光源からの光を分光したり、液晶表示素
子から出射した光を合成してもよい。
【0074】
【作用】本発明では、電極付基板の少なくとも一方の電
極付基板が液晶固化物複合体側での面で微細な凹凸電極
面を有する。このため、電極間間隙の分散が起こり、そ
して液晶固化物複合体を横切る電界が分布することとな
る。その結果、液晶固化物複合体の電圧しきい値が分散
される。これにより、液晶固化物複合体固有のヒステリ
シスによる画像の焼き付き現象が抑制できる。これは基
板の凹凸の制御のみでよく、その許容幅が広いので生産
性が良い。これにより、中間調表示においても美しい表
示が可能になる。
【0075】特に、反射型の液晶表示素子として使用す
る場合には、この凹凸面を入射側の基板に設けることに
より、グレアを抑制する作用、即ち、正規反射を抑制で
き、表示コントラスト比が向上するという利点も生じ
る。
【0076】
【実施例】
(実施例1) 誘電率異方性が正のネマチック液晶と、アクリレートモ
ノマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、光反応開始
剤を均一に溶解した溶液を作成した。平坦な面上に画素
電極毎にTFTを設けたTFT基板と、透明な対向電極
を設けた対向電極基板と、直径10μmのスペーサーを
用いてセルを構成した。そのセルに前に準備した溶液を
注入した後、紫外線露光により硬化させ、液晶樹脂複合
体とした。平均の液晶粒子径RLCは約2μmであった。
【0077】画素サイズは約200μm×200μmで
あった。なお、対向電極基板の液晶樹脂複合体と接する
部分は凹凸処理され、凹凸ピッチは50μm、凹凸の深
さは約4μmであり、Ra で約1μmであった。その凹
凸の上にITOを蒸着して対向電極とした。また、セル
の平均的な電極間間隙は約12μmであった。
【0078】この液晶表示素子の駆動電圧は約7V(ボ
ルト)であり、画像の焼き付きのほとんどない表示が得
られた。この透過型の液晶表示素子と投射用光源、投射
用光学系を用いて、投射型表示装置としたところ、投射
スクリーン上でのコントラスト比が120の動画表示が
得られた。この素子の電圧透過率特性を測定したとこ
ろ、7Vでの透過率は70%であった。ヒステリシスは
非常に小さく、0Vから10Vへ昇圧し次に0Vに降圧
する過程で、昇圧時の透過率と降圧時の透過率の差の最
大は2.8%であった。
【0079】(比較例1)対向基板をITOの蒸着され
た平坦面基板とし平均的電極間間隙が12μmとなるよ
うに、実施例1とほぼ同様にセルを構成した。実施例1
と同じ液晶樹脂複合体を作成し、表示セルとした。この
素子の駆動電圧は約7Vであったが、表示には特定の画
面で焼き付きがみられた。
【0080】実施例1と同様に、投射型表示装置とした
ところ、投射スクリーン上でコントラスト比は約130
であった。この素子の電圧透過率特性を測定したとこ
ろ、7Vでの透過率は71%であり、ヒステリシスによ
る透過率の差の最大は5.0%であった。
【0081】(実施例2〜3、比較例2〜3)実施例1
とほぼ同様に、表示素子を作成した。但し、平均的電極
間間隙G(μm)と凹凸を有する基板の凹凸のピッチP
(μm)、粗さRa (μm)を表1のようにした。投射
型表示装置としたところの投射スクリーン上でのコント
ラスト比CRと、7Vでの透過T7v(%)、ヒステリシ
スによる透過率の差の最大ΔT(%)を表に示す。
【0082】
【表1】
【0083】(実施例4)実施例1とほぼ同様に液晶表
示素子を構成し、投射用光源、投射用光学系と組み合わ
せて投射型の液晶表示装置とした。ただし、TFT基板
の電極をアルミニウム電極とし反射型の素子として用
い、対向電極基板の外面には多層干渉膜による反射防止
コートを施した。また、平均的電極間間隙は約10μ
m、凹凸のピッチP を約9μm、凹凸の深さを約1.3
μmとし、Ra で約0.4μmであった。この素子の駆
動電圧は約6Vであり、ビデオ信号により駆動したとこ
ろ焼き付きのない動画表示が得られた。スクリーン上の
コントラスト比は110であった。
【0084】(比較例4)実施例1と同様で、ピッチを
3μmに、Ra を0.5μmにした。この結果、コント
ラスト比は90、T7vは65%、ΔTは4.8%にな
り、透過率及びコントラスト比がやや低下したのみで、
ヒステリシス低減の効果はほとんどなかった。
【0085】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子は、液晶樹脂複合
体等の液晶固化物複合体を用い、電極間間隙の分散に従
って、その液晶固化物複合体を横切る電界が分布してい
ることにより、しきい値電圧を分散させ、液晶固化物複
合体の透過率−電圧特性上のヒステリシスを見かけ上低
減することができた。これにより、画像の焼き付きを低
減することができ、再現性の良い中間調表示が可能にな
った。また、印加電圧−透過率特性の線形性を向上さ
せ、特殊なγ補正を用いずに優れた階調表示を得ること
もできるようになった。
【0086】表示素子として一般的に求められる8階調
から16階調程度の性能は、十分に達成可能であった。
さらに液晶表示素子の諸パラメータ及び求められる機能
によっては、30階調以上も達成可能となった。
【0087】また、液晶固化物複合体と凹凸面を構成す
る電極とが直接接して、凹凸界面となった場合には、凹
凸の構造である界面が、基板面の平均的な平面に対し傾
斜を持っているために、正規反射を除去できた。特に、
投射型表示装置として、本発明の液晶表示素子を用いる
ことにより、反射光によるコントラスト比の低下を防ぐ
ことができた。
【0088】中でも、平坦な基板平面上に設けられた対
向電極を反射層とした反射型の投射型表示装置として用
いた場合、透明電極と液晶固化物複合体との界面での正
規反射によるコントラスト比の低下を著しく改善するこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の断面図。
【図2】本発明の液晶表示素子を用いた反射型の投射型
液晶表示装置の模式図。
【符号の説明】
1、12:液晶表示素子 2 :凹凸を有する基板 3、5 :電極 4 :基板 6 :液晶固化物複合体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若林 常生 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町松原1160番 地 エイ・ジー・テクノロジー株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極Aが基板Aに設けられ、電極Bが基板
    Bに設けられ、前記電極Aと前記電極Bとが対向して設
    けられ、これらの電極間に、液晶が固化物マトリクス中
    に分散保持された液晶固化物複合体を挟持し、電極A及
    び基板Aの第一の組または電極Bと基板Bの第二の組の
    少なくとも一方の組の電極及び基板が透明とされる液晶
    表示素子において、前記電極Aまたは前記電極Bの液晶
    固化物複合体側の表面が微細な凹凸面を有し、前記電極
    Aと前記電極Bとの間隙が分布していることを特徴とす
    る液晶表示素子。
  2. 【請求項2】請求項1の液晶表示素子において、平均的
    電極間の間隙をG、凹凸面を有する前記電極Aまたは前
    記電極Bの凹凸面の中心線平均粗さをRa としたとき
    に、 0.03・G < Ra < 0.3・G (1) の関係を満たすことを特徴とする液晶表示素子。
  3. 【請求項3】請求項1または2の液晶表示素子におい
    て、前記基板Aまたは基板Bに微細な凹凸面が設けら
    れ、それぞれの基板の凹凸面に由来した凹凸面が前記電
    極Aまたは電極Bに形成されることを特徴とする液晶表
    示素子。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項の液晶表示素
    子において、電極Aが透明であり、かつ前記凹凸面を有
    し、基板Aが透明とされ、電極Bまたは基板Bに光を反
    射する材料を用いて反射面を設けたことを特徴とする反
    射型の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項の液晶表示素
    子において、液晶固化物複合体が液晶樹脂複合体である
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項の液晶表示素
    子とその駆動回路からなり、駆動回路により飽和電圧以
    下の異なる値の電圧を印加することにより中間調を表示
    することを特徴とする液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000284263A (ja) * 1999-03-29 2000-10-13 Seiko Instruments Inc 反射型液晶表示装置
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