JPH0425554Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ベルト張力自動調整装置に関し、特
に、ベルト張力の変化に応じてプーリのシヤフト
の位置を変えるベルト張力自動調整装置に係る。

〔従来の技術〕

自動車の内燃機関には、吸排気弁を開閉する動
弁装置を駆動させるために、出力の一部を利用し
たベルト動力伝達機構が設けられている。ここ
で、駆動側プーリと従動側プーリに巻き掛けされ
る歯付ベルトは、スリツプ、目飛びを起こさない
ように所定の張力に保つ必要があるため、ベルト
動力伝達機構には、ベルト張力自動調整装置が設
置されるようになつている。例えば、実公昭58−
5149号に示されているように、ベルト張力自動調
整装置は、一端を揺動自在に支持された支持板に
プーリを備えている。このプーリは、支持板の他
端に支持され、ベルトの背面側と接触するように
なつている。ここで、機関本体側と支持板側にわ
たつてスプリングが掛けられており、このスプリ
ングの力により、支持板を軸回りに回転させるモ
ーメントが発生してプーリがベルトを押圧する。
こうして、プーリの軸間距離が熱膨張により大き
くなつたり、ベルト自体が伸びたりして、ベルト
張力に変化が生じたとき、支持板が回転してプー
リが位置を変えることにより、ベルト張力が大き
くなり過ぎたり小さくなり過ぎたりするのが防止
されている。また、このベルト張力自動調整装置
は、支持板の動きに支障のない程度に支持板を押
さえて支持板に摩擦力を与えるように設定されて
おり、ベルトから装置に伝えられる振動が摩擦力
で吸収されるようになつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上記ベルト張力自動調整装置では、
摩擦力を加えるために、ベルト張力自動調整装置
の支持板の外側に摩擦板装置を新たに設ける構成
が採られている。この構成は、新たに摩擦装置を
設けるスペースを配慮しなければならない問題を
生み、設計上、好ましくない。一方、別実施例と
し与えられているように、支持板の固定用である
ボルトにワツシヤを通し、ボルトを適度に締める
ことによつて機能する摩擦装置は、余分なスペー
スを取らなくてよいが、摩擦板や弾性力を選択し
て適当な摩擦力を得ることを難しくしている問題
がある。

従つて、本考案の技術的課題は、摩擦板からな
る摩擦装置をベルト張力自動調整装置内に設置で
きるようにすることにより、振動を減衰させる機
能を向上させるとともに装置の小型化を図ること
にある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記技術的課題を解決するために講じた手段
は、本考案のベルト張力自動調整装置によれば、
プーリが揺動するとともに動く可動部材の一部を
中空に形成して、可動部材の内部に可動部材とと
もに動く第１摩擦板を設置し、可動部材の内部に
プーリの揺動に関係なく静止する固定部材を設け
て、可動部材の内部に固定部材とともに静止する
第２摩擦板を設置し、第１摩擦板と第２摩擦板を
互いに接触させたことがある。

〔作用〕

この手段によれば、ベルトから伝えられた振動
を受けてプーリが動いている間、第１摩擦板と第
２摩擦板が互いに滑ることによつて装置の内部か
ら摩擦が発生する。

〔実施例〕

以下、本考案の望ましい実施例を図面に基づい
て説明する。

〔第１実施例〕 ベルト動力伝達機構は、第３図に示されている
ように内燃機関の動弁系を駆動するのに利用され
ている。ここでは、クランクシヤフト（図示せ
ず）の一端に固定されるタイミングプーリ１と、
カムシヤフトの一端に固定されるカムプーリ２と
に歯付きのタイミングベルト３が巻き掛けされて
いる。このタイミングベルト３は、オイルポンプ
を駆動するプーリ４にも巻き掛けされている。そ
して、タイミングベルト３の背面側には、歯のな
いアイドラプーリ５，６が配置されている。この
うち、アイドラプーリ５は、タイミングベルト３
と各プーリ１，２，４との巻き角を設定するため
にあり、さらにアイドラプーリ６は、タイミング
ベルト３の張力を設定するようにもなつている。

第１図および第２図に示すように、アイドラプ
ーリ６は、ベルト張力自動調整装置の一部をな
し、ボールベアリング７を介してシヤフト８の回
りに回転自在に取り付けられている。シヤフト８
の外側には、アーム１０とアーム１１が設けられ
ている。機関本体側に一端を固定されたコイルス
プリング１２が、アーム１０に引つ掛かつてお
り、パイプ状のガイド１３がアーム１１に圧入さ
れている。そして、シヤフト８の揺動軸としてピ
ン１４がガイド１３を通つて機関本体側に打ち込
まれ固定されている。なお、ピン１４からガイド
１３が抜けるのを防止するために、ピン１４の一
端にリング１７が装着されている。

ところで、シヤフト８は、中空状に形成されて
おり、機関本体側の一端を覆うような底壁部９を
備えている。この底壁部９には、機関本体側にね
じ込まれる取付用のスタツドボルト１５を挿入す
る貫通孔１６が設けられている。この貫通孔１６
は、ピン１４を中心にして描く部分円弧状に曲が
つた長孔形状をしており、底壁部９の中心を通過
する。なお、スタツドボルト１５の断面は、ねじ
が切られた両端部分を除いて矩形断面になつてお
り、シヤフト８の内側は、直面壁を形成する突起
部８ａを備えている。

次に、シヤフト８の内部には、第１摩擦板１８
と第２摩擦板１９が交互に置かれている。第１摩
擦板１８は、シヤフト８に嵌まるようにシヤフト
８の内側の稜線によつて描かれる形状と同じ大き
さに定められている。底壁部９に設けられた貫通
孔１６と重合するように同じ大きさの形状をした
ガイド孔２０が、第１摩擦板１８に設けられてい
る。また、第２摩擦板１９は、長円形状に定めら
れており、スタツドボルト１５の矩形断面の部分
の外形線によつて描かれる形状と同じ大きさの形
状をした矩形孔２１が第２摩擦板１９に設けられ
ている。なお、交互に積み重なるように置かれた
第１摩擦板１８と第２摩擦板１９は、スプリング
２２の弾性力によつて押し付けられている。この
ため、スタツドボルト１５の回りに配置されたス
プリング２２は、第２摩擦板１９に一端を接触さ
せ、スタツドボルト１５にねじ込まれたナツト２
３に他端を接触させており、圧縮荷重を加えられ
ている。

以下、本実施例の作用・効果について図面に基
づいて説明する。

アーム１０に引つ掛かるコイルスプリング１２
からの弾性力によつて、ピン１４を支点にしてモ
ーメントM₁（第２図に示す）が発生する。この場
合、プーリ６は、タイミングベルト３を押圧する
ようになつており、このモーメントM₁は、ベル
ト反力によつてプーリ６に作用したモーメントと
つりあつている。

ところで、タイミングベルト３の振動によつて
ベルト反力に変動が生じたとき、モーメントM₁
が変動するため、シヤフト８はピン１４を軸にし
て揺れ動く。このとき、シヤフト８の中に置かれ
た第１摩擦板１８は、突起部８ａによつて回転を
抑えられながらシヤフト８と一体に動く。同様に
シヤフト８の中に置かれ第１摩擦板１８と接触す
る第２摩擦板１９は、第２摩擦板１９に設けられ
た矩形孔２１にスタツドボルト１５の矩形部分が
嵌まつているため回転を抑えられながら、スタツ
ドボルト１５とともに動かずに静止する。こうし
て、第１摩擦板１８と第２摩擦板１９は、スプリ
ング２２の弾性力によつてもたらされる摩擦抗力
に比例した摩擦力を受けながら互いに滑つて動く
ことになる。このため、ピン１４を支点にしたプ
ーリ６の振動は小さく抑えられ速やかに減衰す
る。

特に、第１摩擦板１８や第２摩擦板１９の数や
材質を適当に選択することによつて、適度に振動
を減衰させるように調整が図れ、第１摩擦板１８
や第２摩擦板１９がシヤフト８の内部に収まるこ
とによつて、ベルト自動張力調整装置の外に余分
なスペースを取る必要がなくなつている。

〔第２実施例〕 第４図に示すように、第１摩擦板１８と第２摩
擦板１９を押し付けるスプリング２２が、機関本
体側に設置されるようになつている。このため、
第１摩擦板１８と第２摩擦板１９を内部に収める
シヤフト８の一端には、機関本体側と反対に底壁
部９が位置しており、底壁部９より突出したスタ
ツドボルト１５のねじ部にナツト２３がねじ込ま
れている。第２実施例は、その他の構成につい
て、第１実施例と同じで第１実施例と同じ作用・
効果を奏するものである。なお、第１実施例と同
じ部分に関して同一の符号が記されている。

〔第３実施例〕 第５図および第６図に示すように、プーリ６が
揺動する支点を形成するために、アーム１１に圧
入されたガイド３０が中空状になつている。この
ガイド３０は、機関本体側の一端に底壁部３１を
備えており、第１摩擦板３２と第２摩擦板３３を
交互に重ねるようにして内部に収めている。第１
摩擦板３２は、内側に突起部３０ａを備えたガイ
ド３０の内側に現れる稜線と同じ形状の大きさに
定められている。また、第１摩擦板３２と第２摩
擦板３３は、ガイド３０を通過するボルト３４を
挿入されている。ここで、ボルト３４は、ねじ部
３４ａ、円形断面部３４ｂ、矩形断面部３４ｃか
らなつている。円形断面部３４ｂには、底壁部３
１が嵌まり、矩形断面部３４ｃには、断面と外形
状と同じ大きさの形状をした孔を有する第１摩擦
板３２が嵌まるようになつている。そして、第１
摩擦板３２と第２摩擦板３３の他に、ガイド３０
には、スプリング３５が収まつている。このスプ
リング３５は、ボルト３４の頭部３４ｄ側と一端
を接触させ、第１摩擦板３２と接触する第２摩擦
板３３を弾性力で押し付けている。

以上のようにして、振動によつてベルト反力に
変動が生じたとき、プーリ６は、シヤフト８とと
もにボルト３４の円形断面部３４ｂを支点にして
揺れ動く。このとき、第１摩擦板３２は、突起部
３０ａによつてガイド３０とともに回転する。ま
た、第２摩擦板３３は、ボルト３４の矩形断面部
３４ｃによつて回転するのを抑えられながら、ボ
ルト３４とともに動かずに静止している。こうし
て、第１摩擦板３２と第２摩擦板３３は、摩擦力
を受けながら互いに滑つて動くため、プーリ６の
振動は小さく抑えられて減衰する。また、第１実
施例のところで説明したように、摩擦力の調整が
容易で装置をコンパクトにすることが可能になつ
ている。

〔考案の効果〕

このようにして、本考案の講じた手段によれ
ば、ベルトから伝えられる振動を受けてプーリが
動いている間、第１摩擦板と第２摩擦板を互いに
滑らせて装置の内部から摩擦を発生させているの
で、摩擦板を選択することによつて適度な減衰を
もたらすことができるとともに、摩擦板を装置の
内部に収めることによつて装置を小さくまとめる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第２図の−線に沿つた、ベルト
張力自動調整装置の断面図、第２図は、本考案の
第１実施例によるベルト張力自動調整装置の平面
図、第３図は、本考案の第１実施例によるベルト
張力自動調整装置を用いた内燃機関のベルト動力
伝達機構を示すレイアウト、第４図は、本考案の
第２実施例によるベルト張力自動調整装置の断面
図、第５図は、本考案の第３実施例によるベルト
張力自動調整装置の断面図、第６図は、第５図の
−線に沿つた断面図である。 ３……タイミングベルト（歯付ベルト）、６…
…プーリ、８……シヤフト（可動部材）、１４…
…ピン、１５……スタツドボルト（固定部材）、
１８……第１摩擦板、１９……第２摩擦板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歯付ベルトの背面側に位置するプーリを前記ベ
   ルトに押圧させながら、前記プーリが揺動する固
   定軸を中心にモーメントのつりあいを保つベルト
   張力自動調整装置において、前記プーリが揺動す
   るとともに動く可動部材の一部を中空に形成し
   て、前記可動部材の内部に前記可動部材とともに
   動く第１摩擦板を設置し、前記可動部材の内部に
   前記プーリの揺動に関係なく静止する固定部材を
   設けて、前記可動部材の内部に前記固定部材とと
   もに静止する第２摩擦板を設置し、前記第１摩擦
   板と前記第２摩擦板を互いに接触させたことを特
   徴とするベルト張力自動調整装置。