JPH0422089Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、固定部品の脱着の自由度を得られ
るようにした構造の樹脂クリツプに関するもので
ある。

［従来の技術］ 自動車などのボデイパネルに固定部品の差込片
を固定する場合には、一般に鉄製のクリツプまた
は樹脂クリツプを用い、このクリツプを介して差
込片のボデイパネルに対する固定を行つている。

第５図は鉄製クリツプを用いた従来の取り付け
構造を示すもので、このものは断面略Ｕ字形をし
た本体１の上縁両側部に位置決め片２を屈曲形成
するとともに、この位置決め片２の下部側におい
て、外側部および内側部にそれぞれ係合爪３，４
を切り起し形成し、外側係止爪３は前記位置決め
片２との間でボデイパネル５を挟持するととも
に、内側係止爪４は相手側である固定部品の差込
片６の外周に食い込んでこれを固定している。

［考案が解決しようとする課題］ 以上の構造のクリツプでは、永久ないし半永久
的な固定を目的としており、一旦差込片を本体１
の内部に差し込んだ状態では、なかなか抜くこと
は出来ない。

ところで、ボデイパネル５には、永久固定され
る部品だけではなく、装着後であつても脱着作業
が必要な部品もある。

例えば、消耗が激しく、頻繁に交換する必要が
ある部品や、ユーザなどの特性によつて一部の部
品を予め装備されているオリジナル部品からオプ
シヨン部品に交換する場合がそれに該当する。

しかしながら、以上の構造のクリツプでは、永
久ないし半永久的固定を目的としたものであるた
め、部品交換時において、差込片を引き抜こうと
すると、前記クリツプの係止爪４が差込片６の外
側部に強固に齧り込み、引き抜き作業が極めて面
倒となる上、無理に引き抜くことによつて固定部
品側が破損してしまうため、他の部品用に転用が
出来ず、廃棄せざるを得なかつた。また無理な引
き抜きによつてクリツプ側も変形（樹脂クリツプ
の場合には係止爪などが破損）してしまうため、
新たな部品用のクリツプとしては使用ができず、
これもまた廃棄して新たなクリツプを取付穴に再
装填しなければならなかつた。

この考案は以上の問題を解決するものであつ
て、固定部品の脱着を頻繁に行つても固定部品そ
のものの破損や、クリツプ自体の破損がない構造
をした樹脂クリツプを提供することを目的とす
る。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するため、この考案は、ボデイ
パネルに形成された取付穴に嵌合固定される断面
略Ｕ字形のクリツプ本体を有し、この本体の内部
に固定部品の差込片を差し込むことによつて、ボ
デイパネルに固定する樹脂クリツプであつて： この樹脂クリツプは、前記本体の開口部両側に
形成され、前記ボデイパネルの表面に面当てされ
る位置決め片と、この位置決め片の下部にあつ
て、本体側部に突出形成され、前記位置決め片と
の間でボデイパネルを挟持する係止片と、前記位
置決め片の上部に拡開状態に一体に形成された一
対の挿入ガイド片と、一方の挿入ガイド片の内側
に突出形成されて前記差込片に形成された切欠に
係合する係止爪とからなり、前記固定部品の装着
状態で前記一方の挿入ガイド片と差込片間に前記
係止爪の離脱用ガイド溝が開口形成される構造と
した。

［作用］ 以上の構成によれば、固定部品の取り付け時に
は従来と同様に本体内部に差込片を挿通すれば、
係止爪が切欠に弾撥的に係合し、この状態で抜止
めするので、ワンタツチ装着できる。

この装着状態から差込片を抜き出す場合には、
マイナスドライバーその他の差込用治具を離脱用
ガイド溝内に差し込めば、差込用治具の先端は係
止爪に当接し、係止爪を外方に向けて押圧する。

この操作によつて、係止爪は差込片の側方から
離脱し、差込片は自由状態となり、単なる引き抜
き動作で簡単に本体から離脱する。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

第１図はこの考案を自動車のサイドシルカバー
の固定に適用した場合の実施例を示している。

図において、１０はドア開口の底部に形成され
たボデイパネルの一部を構成するサイドシル、１
２はサイドシル１０の一側部を包囲するサイドシ
ルカバーであり、このカバー１２の表面は床面に
敷設される図示しないカーペツトの端末で覆わ
れ、サイドシル１０の他側部側に固定された同じ
く図示しないキツキングプレートがこのカバー１
２の上面に位置することでかカーペツト端末の縁
取りが行われるようになつている。

このサイドシルカバー１２はポリプロピレン製
の射出成形体からなつていて、その先端部には長
手方向に適宜間隔をおいて複数の差込片１４が一
体に突出形成されており、かつ差込片１４の前面
上部には係止用の切欠１４ａが形成されている。

これらの各差込片１４に対向してサイドシル１
０の上面には等間隔で長孔状の取付穴１６が開口
形成され、これの内部に嵌合装着される樹脂クリ
ツプ１８を介して前記各差込片１４の固定が行わ
れる。

樹脂クリツプ１８は、第２図および第３図に拡
大して示すように、断面略Ｕ字形に形成され、か
つ長手方向両側を壁部２０ａによつて閉じられた
クリツプ本体２０と、本体２０の上部開口縁両側
に水平に延設された複数対の位置決め片２２と、
本体２０の一側部にあつて本体２０の外方に突出
形成された係止片２４と、前記一方側の位置決め
片２２の上部にあつて、本体２０の上方に拡開し
た形で延設された小型のガイド片２６と、前記係
止片２４が突出されたの位置決め片２２の上部に
あつて、本体２０の上部に一体に延設された大形
ガイド片２８と、このガイド片２８の中央部にあ
つて、本体２０の内側に向けて突出形成された係
止爪３０とからなつている。

そしてこの係止爪３０下部自由端は前記係止片
２４の上部側自由端に対して互い違いに突出する
形状となつている。

なお、前記大形ガイド片２８の中央部側は円弧
状の湾曲部２８ａが形成されている。

この湾曲部２８ａは、前記係止爪３０の実効長
を可及的に長くして弾撥的な係止効果を得ようと
する一方で、ガイド片２８の全体的な大きさを小
さくまとめるために湾曲形状を採用したもので、
この湾曲部２８ａの上縁に外側に拡開するガイド
本体２８ｂが一体に延設されている。

以上の構成において、まず樹脂クリツプ１８を
サイドシル１０に形成された取付穴１６に固定す
るには、単に取付穴１６にワンタツチ装着により
固定できる。

すなわち、本体２０を取付穴１６に挿入すれ
ば、前記係止片２４が取付穴１６の縁に当接し、
係止片２４を弾性歪曲し本体２０側に押し付けつ
つ取付穴１６の内部に挿通される。

そして、挿通完了状態、すなわち前記各位置決
め片２２が取付穴１６の上面周縁に当接した時点
で、最大に歪曲していた係止片２４は取付穴１６
の縁から解放され、その反発弾性により、クリツ
ク音を伴ないつつ急激に弾性回復し、上部自由端
をサイドシル１０の内側に当接し、これと前記各
位置決め片２２間で本体２０を取付穴１６の内部
に挟持状態に永久ないし半永久固定する。

固定状態では、前記各ガイド片２６，２８は本
体２０の長手方向両側に拡開した状態に位置し、
この状態で前記カバー１２の差込片１４を差し込
めば、カバー１２をワンタツチ装着できる。

この場合にも前記とほぼ同様であつて、差込片
１４を本体２０の内部に差し込めば、内部に突出
する係止爪３０が外方に押圧される。そして挿通
完了時点で、切欠１４ａが係止爪３０の下部絨毯
に対向し、これによつて係止爪３０は急速に弾性
回復し、切欠１４ａ内にクリツク音を伴ないつつ
弾撥的に突出し、抜止めすることになる。

各差込片１４の装着完了状態では大形ガイド片
２８がカバー１２の前縁に突出した状態となる
が、この部分はキツキングプレートで覆われるの
で、製品外観には影響はない。そして、この状態
ではガイド本体２８ｂとカバー１２の前縁にはマ
イナスドライバーＤが挿通できる程度の係止爪離
脱用のガイド溝ｄが形成される。

したがつて、以上のごとく固定されたカバー１
２を取り外すには、キツキングプレートを外して
カバー１２の側部を露出させた後、前記ガイド溝
ｄにドライバーＤを差込み、押圧すれば、ガイド
片２８の下部内側に突出する係止爪に当たり、こ
れを外方に押圧する。

この結果、係止爪３０は切欠から離間し、差込
み片１４の引き抜きが可能となるのである。

［考案の効果］ 以上実施例によつて詳細に説明したように、こ
の考案による樹脂クリツプにあつては、固定部品
の装着状態からこれに設けた差込片を抜き出す場
合には、マイナスドライバーその他の差込用治具
を離脱用ガイド溝内に差し込めば、差込用治具の
先端は係止爪に当接し、係止爪を外方に向けて押
圧し、係止爪は差込片の側方から離脱するので、
差込片は自由状態となり、単なる引き抜き動作で
簡単に本体から離脱する。

したがつて、この考案によれば、従来の永久固
定を目的とした樹脂クリツプと異なり、固定部品
の脱着を自由に行え、また引き抜き時における固
定部品の損傷や、クリツプそのものの破損などが
ないので、いずれも繰返し使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用した自動車のサイドシ
ル部分の取り付け構造を示す一部拡大分解斜視
図、第２図ａ，ｂは樹脂クリツプの斜視図、第３
図ａ，ｂは同上樹脂クリツプを用いた取り付け構
造を示す断面図、第４図は同上取り付け完成状態
を示す外観斜視図、第５図は従来のクリツプを用
いた取り付け構造を示す断面図である。 １０……サイドシル（ボデイパネル）、１２…
…サイドシルカバー（固定部品）、１４……差込
片、１４ａ……係止用切欠、１６……取付穴、１
８……樹脂クリツプ、２０……クリツプ本体、２
２……位置決め片、２４……係止片、２８……ガ
イド片、３０……係止爪、ｄ……離脱用ガイド
溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ボデイパネルに形成された取付穴に嵌合固定さ
   れる断面略Ｕ字形のクリツプ本体を有し、この本
   体の内部に固定部品の差込片を差し込むことによ
   つて、ボデイパネルに固定する樹脂クリツプであ
   つて： この樹脂クリツプは、前記本体の開口部両側に
   形成され、前記ボデイパネルの表面に面当てされ
   る位置決め片と、この位置決め片の下部にあつ
   て、本体側部に突出形成され、前記位置決め片と
   の間でボデイパネルを挟持する係止片と、前記位
   置決め片の上部に拡開状態に一体に形成された一
   対の挿入ガイド片と、一方の挿入ガイド片の内側
   に突出形成されて前記差込片に形成された切欠に
   係合する係止爪とからなり、前記固定部品の装着
   状態で前記一方の挿入ガイド片と差込片間に前記
   係止爪の離脱用ガイド溝が開口形成されるように
   したことを特徴とする樹脂クリツプ。