JPH0420996Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は自動車用デイーゼル機関の高温高圧
における燃焼ガスの機密保持をするため人のマニ
ホルド系ガスケツト、あるいはシリンダヘツドガ
スケツトに関するものである。

従来の技術 高負荷機関のマニホルド、あるいはシリンダヘ
ツドに使用されるガスケツトとして第３図に示す
金属ガスケツトが知られている。このガスケツト
は、金属ガスケツトシートで上面シートａと下面
シートｂを形成し、該シートの流体通路に臨む孔
端縁側にビードｃをそれぞれ形成し、該ビードｃ
により形成される空隙に、ステンレス等の鋼線か
らなるシールリングｄを装填し、さらに下面シー
トｂの先端を逆コ字状より曲げ形成した構成によ
りなつている。また第４図に示すガスケツトはシ
ールリングに代る金属ガスケツトシートからなる
中心板ｅ上面および下面に、第３図のガスケツト
と同様にビードｃを有する上面金属シートａを重
合し、また下面金属シートｂの先端をｃ字状に形
成した構成よりなる。

考案が解決しようとする課題 上述の第３図に示す従来の金属ガスケツトは、
シールリングの部分だけに面圧がかかるため、フ
ランジ部ｆに圧痕がつき易く、またフランジ部が
変形し易く、荷重−変位特性における荷重の立ち
上りが鋭いため、シール部位のわずかな厚さの変
動でもシール荷重の変化が大きく流体漏洩の原因
となつている。さらに、第４図に示す金属ガスケ
ツトは、組付時に上下のビード間に空隙が有るた
め、フランジ等の挙動等によりたたかれ、長期的
には空隙が無くなり面圧保持が困難となつて流体
漏洩の原因となつている。またフランジ部ｆに圧
痕がつくのを防ぐため、グロメツトに包含される
シールリングを軟鋼線で形成すれば、フランジ部
の圧痕の発生を防ぐことができる反面シールリン
グが容易にへたる欠点がある。

そこで大小のシールリングをグロメツト（外
板）で被覆する構造、あるいは大小のビードを形
成した金属シートをグロメツトで被覆する構造よ
りなるシリンダヘツドカスケツトが考えられる
が、これらをシリンダヘツドのフランジ間に装着
した場合、グロメツトはシリンダヘツド、シリン
ダライナ及びクランクケースと面接するので、前
者の場合はシールリングの部分だけに面圧がかか
る問題がある。

また後者は圧縮特性的には大小両突条間には大
きな差はなく最終的にガスケツトシートが平とな
つた場合充分な反発力が得られない問題がある。

課題を解決するための手段 この考案は、上述の問題を解決するために、中
心金属板の上下面にビードを設けた内面金属シー
トを重合して積層金属ガスケツトシートを形成
し、該積層金属ガスケツトシートの流体通路に臨
む孔端縁に充実軟鋼丸線材よりなるシールリング
を配設し、該シールリングを包含するための内周
ビードと前記内面金属シートのビードに嵌合する
外周ビードを有する外面金属シートを、前記内面
金属シートの上面に重合するとともに、シールリ
ングを包含した内周ビード部の高さh₂よりも内面
金属シートのビードに重合した外周ビード部の高
さh₁を大ならしめた金属製ガスケツトを構成した
ことである。

作 用 この考案の金属ガスケツトをシール相手フラン
ジ間に挟みボルトにより締め付けるとフランジが
先ず、外周ビードに当り流体の漏洩を防ぎ、次に
フランジが内周ビードに当たる。この様に外周ビ
ードと内周ビードとにより面圧を二段に分担し、
外周ビードの挙動等によるへたりは内周ビードの
剛性で補い、内周ビードの荷重の立ち上りの鋭さ
を外周ビードで保持し鈍らせることによつて圧縮
量を得て荷重の変動を少なくすることができるの
で、シール効果を増すとともに内周ビードには締
付力が集中しないのでフランジに圧痕が付かな
い。

実施例 この考案の一実施例をエキゾーストマニホルド
ガスケツトにより説明すると第１図および第２図
において、１はエキゾーストマニホルドガスケツ
トである。２は中心金属板で、該中心金属板２の
上下面にそれぞれ内面金属シート３を積層した金
属ガスケツトシート１０に形成する。中心金属板
２に積層した内面金属シート３は、中心金属板２
の流体通路６に臨む孔端縁２ｂより内方に、それ
ぞれ外方に隆起したビード３ａが形成されていて
中心金属板２との該ビード３ａによつて空隙２ａ
が形成される。中心金属板２は流体通路６に臨む
孔端縁２ｂに充実軟鋼丸線よりなるシールリング
４が配設されるが、このシールリング４を包含す
るための外面金属シート５はシールリング４の曲
面に合致する内周ビード５ａと前記内面金属シー
ト３のビード３ａに重合する外周ビード５ｂを有
する。

この外面金属シート５を内面金属シート３の上
面に重合積層しエキゾーストマニホルドガスケツ
トに構成する。また内面金属シート３と外面金属
シート５のビード重合部５ｂの高さh₁を、外面金
属シート５の内周ビード重合部５ａの高さh₂より
も大ならしめ、さらに内周ビード部５ａの高さh₂
を中心金属板２と内面金属シート３との重合部の
高さh₃よりも高さが大となる様に形成する。なお
図中７はボルト取付孔、８，９はシール相手フラ
ンジである。

考案の効果 この考案は中心金属板２の上下面にビード３ａ
を設けた内面金属シート３を重合し、さらに充実
軟鋼丸線材よりなるシールリング４を包含する外
面金属シート５を前記内面金属シート３に積層し
たので、従来のシリンダヘツドガスケツトの様に
グロメツト（外板）で被覆する必要がない。

また外面金属シート５は内面金属シート３のビ
ード３ａと合致するビード５ｂを有し、外ビード
ｂの高さh₁は充実軟鋼丸線材のシールリング４の
包含部のビード５ａの高さh₂よりも高く形成され
ているので、シリンダヘツド等に装着したときに
該外面金属シートは高負荷機関のマニホルド、あ
るいはシリンダヘツドのフランジに線接すること
になる。

従って、金属製ガスケツトをフランジ８，９間
に挟みボルトにより締め付けると、フランジ８，
９は先ず外周ビード５ａに当り流体の漏洩を防
ぎ、次にフランジ８，９が充実の軟鋼丸線材にて
形成されているシールリング４を包含する内周ビ
ード５ａに当たると外周ビード５ｂの反発力は、
フランジの挙動等によるへたりを内周ビードの剛
性で補うため長期に保持し、流体の漏洩を防ぐこ
とができる。このとき内周ビード５ａの荷重は、
荷重が外周ビードに分散されるため集中すること
がない。その結果、ガスケツト全体として組付け
状態での厚さの変動が大きくても荷重の変動を少
なくすることができる。さらに締付力を分散でき
るので、フランジに圧痕が付かない。また内周ビ
ード５ａと、外周ビード５ｂとの弾性で相手フラ
ンジ面の変形を防止することができ、フランジ変
形による液体漏洩を完全に防止することができ
る。

この考案は上記のようにシールリング４を内包
する外面金属シートの外周ビード５ｂと内周ビー
ド５ａとで面圧を二段に分担させるのでシール効
果を増すことができる。またフランジ部の圧痕を
防止し、さらに充実軟鋼丸線のシールリングによ
り流体の層間漏洩を防止することができる。

さらにシールリングを包含した内周ビード部の
ガス遮断効果により外周ビード部位に対して熱疲
労を軽減できる。

この考案は外面金属シートと内面金属シートを
重合することによつて特にビード部において、外
面金属シートにもビード部を設けることで、内面
金属シートビード部のスプリング特性を微妙に調
整することが出来、さらに内外面金属シートの厚
さを変えることによつてもその特性を幅広く設定
することが可能となる。

なお考案のガスケツトＡと第３図に示す従来の
シールリングのみを用いたガスケツトＢと第４図
に示すシールリングに代えてビードのみを設けた
ガスケツトｃの変位量に対する荷重（Kg／cm）は
第５図に示す通りである。即ち、本案のガスケツ
トは適当な変位量に対し、単位長さ当りの荷重を
大とする事ができる。

例えば変位量0.4mmに対して約500Kg／cmのシー
ルに必要な荷重を容易に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の一実施例を示し第１図はガスケ
ツトの正面図、第２図は第１図の−線部の断
面図、第３図及び第４図は従来のガスケツトの断
面側面図、第５図は本案のガスケツトと従来のガ
スケツトの変位量／荷重を表わす線図である。 １……エキゾーストマニホルドガスケツト、２
……中心金属板、３，３……内面金属シート、３
ａ……ビード、４……シールリング、５……外面
金属シート、５ａ……内周ビード、５ｂ……外周
ビード、１０……積層金属ガスケツトシート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中心金属板の上下面にビードを設けた内面金属
   シートを重合して積層金属ガスケツトシートを形
   成し、該積層金属ガスケツトシートの流体通路に
   臨む孔端縁に充実軟鋼丸線材よりなるシールリン
   グを配設し、さらに該シールリングを包含するた
   めの内周ビードと前記内面金属シートのビードに
   嵌合する外周ビードを有する外面金属シートを前
   記内面金属シートの上面に重合するとともに、シ
   ールリングを包含した内周ビード部の高さh₂より
   も、内面金属シートのビードに重合した外周ビー
   ド部の高さh₁を大ならしめたことを特徴とする金
   属製ガスケツト。