JPH10259873A

JPH10259873A - 金属製ガスケット

Info

Publication number: JPH10259873A
Application number: JP9083418A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Uemura; 浩植村; Tomoyoshi Uogairi; 智義魚返; Kenji Ishida; 憲治石田; Kunitoshi Inoue; 國利井上
Original assignee: Nippon Gasket Co Ltd
Current assignee: Nippon Gasket Co Ltd
Priority date: 1997-03-18
Filing date: 1997-03-18
Publication date: 1998-09-29
Also published as: US6164662A

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明は、ボア周りに発生する面圧をフラッ
ト化し、シリンダブロックやシリンダヘッドへの圧痕や
損傷の発生を防止し、安定したシール性能を確保する。【解決手段】この金属製ガスケットは、弾性金属板
１，２及び弾性金属板１と２との間に介在された中間金
属板３を有する。弾性金属板１には、中間金属板３に凸
部１４が当接するようにボア９Ａに沿ってフルビード４
が形成されている。中間金属板３には、弾性金属板１の
ボア９Ａとフルビード４との間に対応する位置に弾性金
属板１の方向へ延びるハーフビード６が形成されてい
る。弾性金属板２には、ボア９Ｂに沿って折り返された
折返し部５が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、多気筒エンジン
における部品の対向面間をシールするため使用される金
属製ガスケットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、エンジンにおけるシリンダヘッド
とシリンダブロックとの間の対向面間をシールするため
に金属材料から製作した金属製ガスケットが使用されて
いる。最近のエンジンは、高出力化と共に軽量化が求め
られ、その一環として、シリンダヘッドやシリンダブロ
ックを従来の比重の大きい鋼、鋳物に代えて比重の小さ
いアルミニウム材料で製作する傾向にある。アルミニウ
ム製のエンジン構造部材は、軽量である反面、剛性が低
いためにエンジン運転時に、シリンダヘッドとシリンダ
ブロックとの間では相対変位が大きくなる傾向にある。
そこで、金属製ガスケットとしては、両構造部材の対向
面間をシールするため、種々のものが提供されている。
金属製ガスケットは、シリンダボア即ち燃焼室、水、油
等の通路に対応する孔の周囲近傍にビードが形成され、
ボルト等によりシリンダヘッドとシリンダブロックとを
締め付けて固定するときに、対向面に対してビードが弾
性的な環状接触部を形成して部品の対向面間をシールす
るものである。

【０００３】更に、シリンダヘッドガスケットの場合に
は、エンジンの燃焼サイクルの間にシリンダヘッドとシ
リンダブロックとの間隔が増減を繰り返し、金属製ガス
ケットにも繰り返し応力即ちメカニカルストレスやサー
マルストレスが作用する。エンジンの負荷変動応力は、
シリンダブロックやシリンダヘッドの剛性の最も低い部
位に大きな値として発生し、その結果、ビード基板に形
成したビードにへたりが生じたり、亀裂が発生してシー
ル性能を劣化させる問題が生じる。

【０００４】従来、特開平８−６１５０６号公報には、
金属製シリンダヘッドガスケットが開示されている。該
金属製シリンダヘッドガスケットは、孔に沿ってビード
を形成した弾性金属板から成るビード基板と、孔に沿っ
てビードを形成した弾性金属板から成る調整板と、孔を
形成したグロメット板を順次積層し、調整板の孔の内周
縁をグロメット板で抱持固定して並列するボアを形成
し、ビード基板のビードの形状を孔間ではフルビードに
形成し且つその他の孔回りではハーフビードに形成し、
調整板のビードを孔の全周でフルビードに形成し、ボア
間ではビード基板のビードが調整板のビードに重なるよ
うに積層されている。また、金属製シリンダヘッドガス
ケットは、ビード基板のビードの高さ、調整板のビード
の高さ、グロメット板の厚さ等との関係については開示
されていない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、金属製ガス
ケットでは、燃焼室孔の回りに面圧を少し集中させ、水
孔やオイル孔の回りに必要な面圧を確保する平均的な面
圧状態を確保することが、面圧バランス上、シール性を
向上させて望ましいものである。しかしながら、従来の
金属製ガスケットでは、面圧がグロメット部に集中し過
ぎて水孔やオイル孔の回りに必要な面圧を確保できなく
なって、平均的な面圧状態を確保することが困難にな
り、良好なシール状態を維持できないという問題があ
る。また、金属製ガスケットについて、ビードを形成し
た部分に面圧集中が発生すると、面圧バランスが悪化
し、シール性を低下させるという問題が発生する。

【０００６】また、ビードを外面に突出させたビード基
板を持つ金属製ガスケットとしては、金属製ガスケット
をシリンダヘッドとシリンダブロックの間に締結した時
に、ビードの凸面がシリンダヘッド又はシリンダブロッ
クに直接当接する状態になり、ビードの凸面が当接した
領域のみが線状の高い面圧となって発生し、そのため、
ビードの凸面が当接したシリンダブロック又はシリンダ
ヘッドに圧痕や破損が発生するのみでなく、シール性能
を劣化させるという問題が発生する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、並列する第
１ボアが形成された第１弾性金属板、前記第１ボアが互
いに対応した第２ボアが形成された第２弾性金属板、及
び前記第１と第２弾性金属板の間に介在され且つ前記第
１と第２ボアに対応した第３ボアが形成された中間金属
板を有し、前記第１弾性金属板には前記中間金属板に凸
部が当接するように前記第１ボアに沿ってフルビードが
形成され、前記中間金属板には前記第１弾性金属板の前
記第１ボアと前記フルビードとの間に対応する位置に前
記第１弾性金属板の方向へ延びるハーフビードが形成さ
れ、前記第２弾性金属板には前記第２ボアに沿って折り
返された折返し部が形成されていることから成る金属製
ガスケットに関する。

【０００８】また、前記中間金属板の板厚は、前記第１
弾性金属板の板厚の２〜５倍に形成されている。更に、
前記第２弾性金属板の板厚は、前記第１弾性金属板の板
厚より薄く形成されている。

【０００９】また、前記第１弾性金属板及び前記第２弾
性金属板には、外周部、水孔、オイル孔、ボルト孔及び
ノック孔に沿ってハーフビードがそれぞれ形成され、前
記中間金属板は、前記外周部、前記水孔、前記オイル
孔、前記ボルト孔及び前記ノック孔の近傍では平らな面
に形成されている。

【００１０】更に、前記第１弾性金属板に形成された前
記フルビードの高さは前記中間金属板に形成された前記
ハーフビードの高さより大きく形成されている。

【００１１】また、前記中間金属板に形成された前記ハ
ーフビードの高さは、前記第２弾性金属板の形成された
前記折返し部を形成する前記第２弾性金属板の部分の厚
さより大きく形成されている。

【００１２】また、前記中間金属板に形成された前記ハ
ーフビードの内側ボーダと前記第３ボアとの間の幅は、
前記第２弾性金属板に形成された前記折返し部の幅より
大きく形成され、前記折返し部の先端と前記前記ハーフ
ビードの前記内側ボーダとは緊締状態で重複していない
ことから成る。更に、前記第１弾性金属板に形成された
前記フルビードの内側ボーダの位置と前記中間金属板に
形成された前記ハーフビードの外側ボーダの位置とがほ
ぼ対応している。

【００１３】また、前記第２弾性金属板に形成された前
記折返し部の折り返し面には、軟質金属が介在される
か、又は、耐熱ゴムや耐熱樹脂が塗布されている。

【００１４】また、前記第２弾性金属板に形成された前
記折返し部の折り返し面には、隙間が形成されている。

【００１５】また、前記第１弾性金属板はシリンダヘッ
ドに面するように配置され、前記第２弾性金属板はシリ
ンダブロックに面するように配置さている。

【００１６】この金属製ガスケットは、上記のように構
成したので、シリンダブロックとシリンダヘッドが共に
アルミニウム合金材料で作製され、両者間で相対変位が
大きくなったり、両者に不整があったとしても、それら
の相対変位や不整を十分に吸収して良好なシール性能を
発揮することができる。また、中間金属板と第２弾性金
属板との間に折返し部が存在し、該折返し部の折り返し
面に介在物が存在するか、又は折返し部の折り返し面間
に隙間が形成されていることにより、相対変位や不整を
十分に吸収すると共に、シリンダヘッドやシリンダブロ
ックに対してビードや折返し部による圧痕や損傷が発生
することがない。

【００１７】また、前記第２弾性金属板のボア回りに集
中し易い面圧を折り返した方向、及び折返し部の折り曲
げ面間の隙間、或いは該隙間への軟質部材の挿入によっ
て、面圧のフラット化を調整することができる。前記第
２弾性金属板の前記折返し部と前記中間金属板の前記ハ
ーフビードとの形状を適正化することによって、前記第
２弾性金属板側に発生する面圧をフラット化することが
できる。更に、前記第１弾性金属板の前記フルビードと
前記中間金属板の前記ハーフビードとの形状を適正化す
ることによって、前記第１弾性金属板側に発生する面圧
をフラット化することができる。従って、前記中間金属
板の前記ハーフビードは、前記第１弾性金属板の前記フ
ルビードの全圧縮を防止でき、金属製ガスケットの両面
への面圧発生の機能を果たすことができる。また、前記
第２弾性金属板の前記折返し部は、前記中間金属板の前
記ハーフビードと共働して金属製ガスケットの両面への
面圧発生の機能を果たし、面圧のフラット化を達成でき
る。

【００１８】即ち、この金属製ガスケットは、第１弾性
金属板のビードの第１ボア側の平らな面、第２弾性金属
板の折返し部、及び中間金属板のハーフビードの第３ボ
ア側の平らな面によって、ボア回りにおける面圧値が比
較的にフラットな状態になり、シール性能を向上させる
ことができる。前記中間金属板にはハーフビードが形成
されているので、前記中間金属板のハーフビードよりボ
ア側の領域の面圧が適正になり、前記第１弾性金属板の
前記ビードへの高温ガスの侵入を防止して前記ビードを
保護することができる。しかも、前記第２弾性金属板に
前記折返し部を設けるに当たって、前記中間金属板の前
記ハーフビードとの重合を避ける位置を考慮するだけで
よく、また、前記第１弾性金属板の前記フルビードの内
側ボーダと前記中間金属板の前記ハーフビードの外側ボ
ーダとがほぼ同位置になるように前記フルビードと前記
ハーフビードとを形成するだけでよい。

【００１９】この金属製ガスケットは、シリンダヘッド
とシリンダブロックとを締め付けボルト等によって締め
付けたときに、両者の対向取付面間に挟持されている前
記第１弾性金属板が、前記フルビードの撓みを伴って前
記中間金属板に対して漸次接近当接すると共に、前記第
２弾性金属板の前記折返し部が中間金属板に対して漸次
接近当接し、締め付けによる圧縮状態において、前記中
間金属板の前記ハーフビードは、前記弾性金属板との間
隙の不整を吸収し、前記フルビードの全圧縮を防止して
前記フルビードの応力変動を減少させると共に、前記弾
性金属板の前記フルビードへの高温ガスの侵入を防止し
て前記フルビードを保護することができる。従って、前
記各弾性金属板は、前記中間金属板の各面において対応
する前記ハーフビードから成る各ストッパ部に当接した
後には変位量が制限され、前記フルビードが完全に潰れ
る完全圧縮に至るまでは変形せず、前記フルビードの弾
性作用が残存され、シリンダヘッドやシリンダブロック
の対向面の不整を吸収する機能も残ることになる。

【００２０】前記中間金属板の前記ハーフビードの高さ
は、ストッパ部を構成し、前記中間金属板の主たる表面
に対しては前記弾性金属板の前記フルビードの高さ未満
であるから、前記ストッパ部は前記ハーフビードによっ
て形成されていても剛性は高く、上記締め付けによって
変形することがあっても前記ストッパ部としての機能を
損なわれない。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
による金属製ガスケットの実施例について説明する。図
１〜図９を参照して、この発明による金属製ガスケット
の一実施例について説明する。図１はこの発明による金
属製ガスケットの一実施例を示す一部破断の部分平面
図、図２は図１のＡ−Ａ断面における金属製ガスケット
の一実施例を示す一部拡大断面図、図３は図１のＡ−Ａ
断面における金属製ガスケットの別の実施例を示す一部
拡大断面図、図４は図１のＡ−Ａ断面における金属製ガ
スケットの更に別の実施例を示す一部拡大断面図、図５
は図１のＢ−Ｂ断面における拡大断面図、図６は図１の
Ｃ−Ｃ断面における拡大断面図、図７は図１のＤ−Ｄ断
面における拡大断面図、図８は図１のＥ−Ｅ断面におけ
る拡大断面図、図９は図１のＦ−Ｆ断面における拡大断
面図、図１０は図１のＪ−Ｊ断面における拡大断面図、
図１１はボア回りにおける面圧状態を示す説明図、及び
図１２は両弾性金属板と中間金属板の表面処理を断面で
示す説明図である。

【００２２】この金属製ガスケットは、例えば、シリン
ダブロックとシリンダヘッドとの対向面間に配置されて
適用され、弾性金属板１がシリンダヘッドに面するよう
に配置され、また、弾性金属板２がシリンダブロックに
面するように配置されている。この金属製ガスケット
は、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持さ
れて対向取付面間をシールする。この金属製ガスケット
は、シリンダブロックに形成されたシリンダボアに対応
して４気筒や６気筒のような多気筒エンジンに適用さ
れ、シリンダボア即ちボアが複数個並列して形成されて
いる。この金属製ガスケットは、弾性金属板１にボア９
Ａ、弾性金属板２にボア９Ｂ及び中間金属板３にボア９
Ｃが形成され、これらのボア９Ａ，９Ｂ，９Ｃ（ボアの
総称は符号９で示す）は整合してそれぞれ形成されてい
る。また、この金属製ガスケットのボア９の周囲には、
水孔１０、オイル孔１１、ボルト孔１２、ノック孔１３
等の各種の孔が穿設されている。

【００２３】この金属製ガスケットは、主として、並列
する複数の第１のボア９Ａが形成された第１の弾性金属
板１、ボア９Ａに対応した第２のボア９Ｂが形成された
第２の弾性金属板２、及び弾性金属板１と弾性金属板２
との間に介在され且つボア９Ａ，９Ｂに対応した第３の
ボア９Ｃが形成された中間金属板３を有する。弾性金属
板１には、中間金属板３にビード４の凸部１４が当接す
るようにボア９Ａに沿ってフルビード４が形成されてい
る。中間金属板３には、弾性金属板１のボア９Ａとフル
ビード４との間に対応する位置に弾性金属板１の方向に
向かってボア９Ｃへと延びるハーフビード６が形成され
ている。また、弾性金属板２には、ボア９Ｂに沿って折
り返された折返し部５が形成されている。中間金属板３
は、ボア９Ｃの周りにハーフビード６が形成されている
以外は、平らな面に形成されている。

【００２４】この金属製ガスケットにおいて、弾性金属
板１，２には、図５に示すように、ノック孔１３に沿っ
てハーフビード２４がそれぞれ形成されている。弾性金
属板１，２には、図６に示すように、ボルト孔１２に沿
ってハーフビード２３がそれぞれ形成されている。弾性
金属板１，２には、図７に示すように、オイル孔１１に
沿ってハーフビード２２がそれぞれ形成されている。弾
性金属板１には、図８及び図１０に示すように、その外
周部２５に沿ってハーフビード７が形成されている。ま
た、弾性金属板２には、図８及び図１０に示すように、
外周部２５に沿ってハーフビード８が形成されている。
更に、弾性金属板１，２には、図９に示すように、水孔
１０に沿ってハーフビード２１がそれぞれ形成されてい
る。

【００２５】この金属製ガスケットでは、中間金属板３
の板厚ｔ₃は、弾性金属板１の板厚ｔ₁の２〜５倍に形
成されている（ｔ₃＞ｔ₁）。更に、弾性金属板２の板
厚ｔ₂は、弾性金属板１の板厚ｔ₁より薄く形成されて
いる（ｔ₂＜ｔ₁）。弾性金属板２の折返し部５のトー
タルの板厚ｔ₄は、弾性金属板２の板厚ｔ₂の２倍に等
しいか又は２倍より大きいサイズに形成されている（ｔ
₄≧２ｔ₂）。また、弾性金属板１に形成されたフルビ
ード４の高さｈ₁は、中間金属板３に形成されたハーフ
ビード６の高さｈ₂より大きく形成されている。また、
金属製ガスケットにおいて、中間金属板３に形成された
ハーフビード６の高さｈ₂は、弾性金属板２の形成され
た折返し部５を形成する弾性金属板２の部分の厚さｈ₃
より大きく形成されている（ｈ₃＝ｔ₄−ｔ₂）。即
ち、この金属製ガスケットでは、ｈ₁＞ｈ₂＞ｈ₃の関
係式が成り立つ。

【００２６】中間金属板３に形成されたハーフビード６
の内側ボーダ１８とボア９との間の幅ｗ₁は、弾性金属
板２に形成された折返し部５の幅ｗ₂より大きく形成さ
れ（ｗ₁＞ｗ₂）、折返し部５の先端１６とハーフビー
ド６の内側ボーダ１８とは圧縮状態で重複していないよ
うに構成されている。また、弾性金属板１に形成された
フルビード４の内側ボーダ１７の位置と中間金属板３に
形成されたハーフビード６の外側ボーダ１９の位置とが
ほぼ対応している。従って、中間金属板３のハーフビー
ド６は、圧縮状態で弾性金属板１のビード４に重なるこ
となく、ビード４の全圧縮を避けてビード４に対するシ
ール機能を発揮することになる。

【００２７】この金属製ガスケットにおける弾性金属板
１、中間金属板３及び弾性金属板２の関係は、例えば、
次のように構成することができる。弾性金属板１は、材
質がＳＵＳ３０１であり、ビッカース硬さがＨｖ３５0
〜４２０である。弾性金属板２は、材質がＳＵＳ３０４
であり、ビッカース硬さがＨｖ１５0 〜２００である。
中間金属板３は、材質がＳＥＣＣ又はＳＵＳ４３０であ
り、ビッカース硬さがＨｖ１２0 〜２００である。ま
た、弾性金属板１は、板厚が０．２ｍｍ〜０．３ｍｍ
（実施例では、０．２ｍｍ）、ボア周りのフルビード４
の高さが０．２２ｍｍであり、フルビード４の幅が２．
５ｍｍである。弾性金属板１の外周部２５、水孔１０、
オイル孔１１、ボルト孔１２、ノック孔１３に形成され
たハーフビード７，２１〜２４の高さが０．２０ｍｍで
あり、幅が１．５ｍｍである。弾性金属板２は、板厚が
０．１０ｍｍ〜０．１５ｍｍ（実施例では、０．１２ｍ
ｍ）、ボア周りの折返し部５の高さが０．２０ｍｍ〜
０．３ｍｍ（実施例では、０．３ｍｍ）であり、折返し
部５の幅が１．４ｍｍである。弾性金属板２の外周部２
５、水孔１０、オイル孔１１、ボルト孔１２、ノック孔
１３に形成されたハーフビード７，８，２１〜２４の高
さが０．２０ｍｍであり、幅が１．５ｍｍである。更
に、中間金属板３は、板厚が０．４ｍｍ〜１．０ｍｍ
（実施例では、０．８ｍｍ）、ボア周りのハーフビード
６の高さが０．１５ｍｍであり、ハーフビード６の幅が
１．４ｍｍである。

【００２８】この金属製ガスケットにおいて、弾性金属
板２に形成された折返し部５の折り返し面１５には、図
３に示すように、軟質金属２８が介在されているか、又
は、耐熱ゴム又は耐熱樹脂が塗布されている。或いは、
弾性金属板２に形成された折返し部５の折り返し面１５
には、図４に示すように、隙間２９が形成されている。
この金属製ガスケットでは、図２に示すように、弾性金
属板２の折返し部５を折り返し面１５で互いに直接接触
させた構造に構成したり、又は、図３に示すように、弾
性金属板２の折返し部５に軟質金属２８を介在させた
り、或いは、図４に示すように、弾性金属板２の折返し
部５の折り返し面１５間に隙間２９を形成することによ
って、図１１に示すように、ボア９の周りに発生する面
圧をフラット化し、金属製ガスケットを介在させる部品
に対して圧痕や損傷を与えることなく、シール性能を向
上させることができる。

【００２９】また、図１２に示すように、弾性金属板
１，２を形成する弾性金属板の表面に耐熱性及び耐油性
の非金属材を、例えば、１０〜５０μｍ程度の厚さにコ
ーティングし、シリンダヘッド及びシリンダブロックに
対して金属対金属の接触状態を回避し、金属ガスケット
としての耐腐食性、耐久性及び強度を確保したものであ
る。また、中間金属板３は、弾性金属板１，２より軟質
金属で作製されている。例えば、弾性金属板１はＳＵＳ
３０１で作製され、弾性金属板２はＳＵＳ３０４で作製
され、調整板である中間金属板３はＳＵＳ４３０又はＳ
ＥＣＣ（軟鋼鉄板）で作製されている。また、弾性金属
板１，２の表裏両面に対して耐熱性及び耐油性を有する
フッ素ゴム２６をコーティングし、更にフッ素ゴム２６
上にアクリルシリコーン系樹脂２７をコーティングした
ものである。また、弾性金属板１，２の表面にコーティ
ングした非金属材は、弾性金属板１，２の機械加工時に
凹凸が存在しても、該凹凸をカバーして充分なシール機
能を果たす。

【００３０】この金属製ガスケットは、上記のように構
成されているので、次のような機能を発揮できる。即
ち、この金属製ガスケットは、図１１に示すように、ボ
ア周りに発生する面圧が実質的にフラットな状態に発生
するので、フルビード４、折返し部５及びハーフビード
６によるシリンダヘッドやシリンダブロックへの圧痕や
損傷が発生せず、安定したシール性能を発揮できる。ま
た、弾性金属板２の折返し部５の隙間２９の間隔、折返
し部５の折り曲げ方向、或いは軟質金属２８の厚さ等を
調整することによってボア９の周りに発生する面圧をフ
ラット化を達成することができる。即ち、金属製ガスケ
ットの上面側の面圧は、弾性金属板１のフルビード４と
中間金属板３のハーフビード６によってフラット化で
き、また、金属製ガスケットの下面側の面圧は、弾性金
属板２の折返し部５と中間金属板３のハーフビード６に
よってフラット化できる。更に、中間金属板３のハーフ
ビード６は、弾性金属板１のフルビード４の全圧縮を防
止してフルビード４のヘタリの発生を避けることがで
き、金属製ガスケットの上下面側への面圧の発生の機能
を果たすことができる。弾性金属板２の折返し部５は、
中間金属板３のハーフビード６と共働して金属製ガスケ
ットの上下面側への面圧の発生の機能と、面圧のフラッ
ト化を達成できる。

【００３１】

【発明の効果】この発明による金属製ガスケットは、上
記のように構成されているので、中間金属板のハーフビ
ードで構成されるストッパ部によって対向する一方の弾
性金属板のフルビードに対する完全圧縮を防止すると共
に、対向取付面の不整を吸収する機能と前記フルビード
の保護のためのシール機能を有する補償部が形成され
る。この金属製ガスケットは、上記のように構成されて
いるので、ボア周りの面圧をフラット化することがで
き、シリンダヘッド及びシリンダブロックが共にアルミ
ニウム材料で作製され、両者間で相対変位が大きくなっ
たり、両者に不整があったとしても、中間金属板と弾性
金属板との間に折返し部が存在し、該折返し部に介在物
や空間の隙間を設けることによってシリンダブロック及
びシリンダヘッドに圧痕や損傷が発生することがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による金属製ガスケットの一実施例を
示す一部破断の部分平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面における金属製ガスケットの
一実施例を示す一部拡大断面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ断面における金属製ガスケットの
別の実施例を示す一部拡大断面図である。

【図４】図１のＡ−Ａ断面における金属製ガスケットの
更に別の実施例を示す一部拡大断面図である。

【図５】図１のＢ−Ｂ断面におけるノック孔に関する拡
大断面図である。

【図６】図１のＣ−Ｃ断面におけるボルト孔に関する拡
大断面図である。

【図７】図１のＤ−Ｄ断面におけるオイル孔に関する拡
大断面図である。

【図８】図１のＥ−Ｅ断面における外周部とボルト孔に
関する拡大断面図である。

【図９】図１のＦ−Ｆ断面における水孔に関する拡大断
面図である。

【図１０】図１のＪ−Ｊ断面におけるボアと外周部に関
する拡大断面図である。

【図１１】ボア回りにおける面圧状態を示す説明図であ
る。

【図１２】両弾性金属板と中間金属板の表面処理を断面
で示す説明図である。

【符号の説明】

１，２弾性金属板３中間金属板４フルビード５折返し部６，７，８，２１，２２，２３，２４ハーフビード９，９Ａ，９Ｂ，９Ｃボア１０水孔１１オイル孔１２ボルト孔１３ノック孔１４フルビードの凸面１５折り返し面１６折返し部の先端１７フルビードの内側ボーダ１８ハーフビードの内側ボーダ１９ハーフビードの外側ボーダ２０フルビードの外側ボーダ２５外周部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者井上國利大阪府東大阪市加納２丁目１番１号日本ガスケット株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】並列する第１ボアが形成された第１弾性
金属板、前記第１ボアが互いに対応した第２ボアが形成
された第２弾性金属板、及び前記第１と第２弾性金属板
の間に介在され且つ前記第１と第２ボアに対応した第３
ボアが形成された中間金属板を有し、前記第１弾性金属
板には前記中間金属板に凸部が当接するように前記第１
ボアに沿ってフルビードが形成され、前記中間金属板に
は前記第１弾性金属板の前記第１ボアと前記フルビード
との間に対応する位置に前記第１弾性金属板の方向へ延
びるハーフビードが形成され、前記第２弾性金属板には
前記第２ボアに沿って折り返された折返し部が形成され
ていることから成る金属製ガスケット。
【請求項２】前記中間金属板の板厚は、前記第１弾性
金属板の板厚の２〜５倍に形成されている請求項１に記
載の金属製ガスケット。
【請求項３】前記第２弾性金属板の板厚は、前記第１
弾性金属板の板厚より薄く形成されている請求項１又は
２に記載の金属製ガスケット。
【請求項４】前記第１弾性金属板及び前記第２弾性金
属板には、外周部、水孔、オイル孔、ボルト孔及びノッ
ク孔に沿ってハーフビードがそれぞれ形成され、前記中
間金属板は、前記外周部、前記水孔、前記オイル孔、前
記ボルト孔及び前記ノック孔の近傍では平らな面に形成
されている請求項１〜３のいずれか１項に記載の金属製
ガスケット。
【請求項５】前記第１弾性金属板に形成された前記フ
ルビードの高さは、前記中間金属板に形成された前記ハ
ーフビードの高さより高く形成されている請求項１〜４
のいずれか１項に記載の金属製ガスケット。
【請求項６】前記中間金属板に形成された前記ハーフ
ビードの高さは、前記第２弾性金属板の形成された前記
折返し部を形成する前記第２弾性金属板の部分の厚さよ
り大きく形成されている請求項１〜５のいずれか１項に
記載の金属製ガスケット。
【請求項７】前記中間金属板に形成された前記ハーフ
ビードの内側ボーダと前記第３ボアとの間の幅は、前記
第２弾性金属板に形成された前記折返し部の幅より大き
く形成され、前記折返し部の先端と前記前記ハーフビー
ドの前記内側ボーダとは緊締状態で重複していないこと
から成る請求項１〜６のいずれか１項に記載の金属製ガ
スケット。
【請求項８】前記第１弾性金属板に形成された前記フ
ルビードの内側ボーダの位置と前記中間金属板に形成さ
れた前記ハーフビードの外側ボーダの位置とがほぼ対応
していることから成る請求項１〜７のいずれか１項に記
載の金属製ガスケット。
【請求項９】前記第２弾性金属板に形成された前記折
返し部の折り返し面には、軟質金属が介在するか、又
は、耐熱ゴムや耐熱樹脂が塗布されていることから成る
請求項１〜８のいずれか１項に記載の金属製ガスケッ
ト。
【請求項１０】前記第２弾性金属板に形成された前記
折返し部の折り返し面には、隙間が形成されていること
から成る請求項１〜９のいずれか１項に記載の金属製ガ
スケット。
【請求項１１】前記第１弾性金属板はシリンダヘッド
に面するように配置され、前記第２弾性金属板はシリン
ダブロックに面するように配置される請求項１〜１０の
いずれか１項に記載の金属製ガスケット。