JPH04136313U - ボールジヨイント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ボールスタッドおよびボールシートをハウジン
グへ固定する際にカシメ加工を廃止し、ハウジングを構
成する材料選択の自由度を高める。 【構成】軸部（１）の一端に球頭部（２）を有するボー
ルスタッド（３）と、前記球頭部（２）の外周面を包含
して当該球頭部（２）と摺動する合成樹脂製のボールシ
ート（４）と、これらボールスタッド（３）とボールシ
ート（４）とを固定する金属製のハウジング（５）とを
有するボールジョイントにおいて、前記ハウジング
（５）にボールスタッド（３）とボールシート（４）と
を固定する収容部（６）を形成し、この収容部（６）の
開口部（７）の内周面に環状溝（８）を穿設すると共
に、中心部に対して縮径自在な外周縁（９）を有する止
め具（１０）を前記環状溝（８）に嵌合した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用サスペンションなどに用いられるボールジョイントに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

一般的なボールジョイントは金属製のボールスタッド、同じく金属製のハウジ ング、およびこれらボールスタッドとハウジングとの間に介在させる樹脂製のボ ールシートから構成されている。従来のボールジョイントは、図６に示すように 、一端に球頭部５０、他端に雄ねじ５１が形成された金属製のボールスタッド５ ２の球頭部側を、この球頭部５０に対応した内室５３を有する合成樹脂製のボー ルシート５４に嵌入し、これらをボールシート５４の外周面に対応したハウジン グ５５の通孔５６に挿入する。このハウジング５５の通孔５６の上端にはボール シート５４を係止する段部５７が全周にわたり形成されており、ボールシート５ ４および当該ボールシートに嵌入されたボールスタッド５２がハウジング５５の 上部開口５８から抜けないようになっている。このハウジング５５の上部開口５ ８はボールスタッド５２の軸部５９が所定の範囲で揺動できるだけの開口面積を 有しており、またボールシート５４の上部開口６０についても同様である。

【０００３】 そして、ボールスタッド５２およびボールシート５４をハウジング５５の通孔 ５６に挿入した後に、これらボールスタッド５２およびボールシート５４が通孔 ５６の下部開口６１から抜けないように金属製の止め具６２を当該通孔５６の下 端に形成した環状のフランジ６３の内周に押し当てて、この環状のフランジ６３ を全周にわたり内側に折り返す。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述したように従来のボールジョイントにあっては、ボールスタッドとボール シートを止め具を用いてハウジング側をカシメることにより固定しているため、 ハウジングを構成する金属は鋼あるいはアルミニウムなどの展伸材に限られ、例 えばハウジングを鋳物により構成することはできなかった。なお、アルミニウム を高圧下で鋳造することによりアルミを緻密な組織とするいわゆる溶湯鋳造も知 られているが、材料の伸びが展伸材には及ばず、したがってカシメ加工を必要と するボールジョイントのハウジングに用いるのは好ましくなかった。

【０００５】 本考案は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ボール スタッドおよびボールシートをハウジングへ固定する際にカシメ加工を廃止し、 これによりハウジングを構成する材料選択の自由度を高めることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案は、軸部（１）の一端に球頭部（２）を有す るボールスタッド（３）と、前記球頭部（２）の外周面を包含して当該球頭部 （２）と摺動する合成樹脂製のボールシート（４）と、これらボールスタッド （３）とボールシート（４）とを固定する金属製のハウジング（５）とを有する ボールジョイントにおいて、前記ハウジング（５）にボールスタッド（３）とボ ールシート（４）とを固定する収容部（６）を形成し、この収容部（６）の開口 部（７）の内周面に環状溝（８）を穿設すると共に、中心部に対して縮径自在な 外周縁（９）を有する止め具（１０）を前記環状溝（８）に嵌合したことを特徴 とするボールジョイントである。

【０００７】

【作用】

このように構成した本考案のボールジョイントを組み付ける場合には、合成樹 脂製のボールシート（４）に軸部（１）の一端に球頭部（２）を有するボールス タッド（３）を包含せしめ、これらボールスタッド（３）とボールシート（４） とをハウジング（５）の収容部（６）に収容した後に、中心部に対して縮径自在 な外周縁（９）を有する止め具（１０）を収容部（６）の開口部（７）の内周面 に穿設した環状溝（８）に嵌合させる。これにより、ボールスタッド（３）とボ ールシート（４）とがハウジング（５）の収容部（６）内に強固に固定されると 共に、止め具（１０）の取り付けも外周縁（９）の弾性を利用していることから 、従来のようにカシメ加工を施す必要もない。したがって、ハウジング（５）を 構成する材料は展伸材に限られず、鋳造品を使用することが可能になる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図１は本考案の一実施例を示す要部縦断面図、図２は同実施例に係る止め具を 示す斜視図、図３は本考案の他の実施例に係る止め具を示す斜視図である。

【０００９】 図１に示すように、本実施例のボールジョイントは、ボールスタッド３を有し ており、このボールスタッド３は、軸部１の一端に球面状の球頭部２が形成され 、他端には他の部材に固定するための雄ねじ１１が形成されている。なお、本考 案のボールジョイントは雄ねじに限定されることなく他の締結手段であっても良 い。この金属製ボールスタッドは合成樹脂により構成されたボールシート４に囲 繞された状態で後述するハウジング５の収容部６内に収容されている。本実施例 のボールシート４は、例えばポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレン、ポリ テトラフルオロエチレン等に代表される合成樹脂により成形され、ボールスタッ ド３の球頭部２を嵌入する内室１２と、この内室１２に球頭部２が収容された状 態で軸部１が所定の角度揺動し得るように開設された開口部１３と、ボールシー ト４の外周面に形成され、ハウジング５の収容部６に接触してハウジング５の下 部開口７から侵入した水や塵埃が球頭部２とボールシート４との間に入るのを防 止すると共に、この球頭部２とボールシート４との間に貯溜したグリスの漏洩を 防止するためのリップ部１４とを有している。なお、ボールシート４の外周面は ハウジング５の収容部６に対応した形状に成形されている。

【００１０】 本実施例のハウジング５はアルミニウムの鋳物により構成され、上述したボー ルスタッド３とボールシート４とを固定するための収容部６（本実施例の場合は 通孔）が形成されている。この収容部６の上部開口１５にはボールシート４の上 端に当接する段部１６が開口１５の全周にわたって形成されており、一方、収容 部６の下部開口７には全周にわたって環状溝８が穿設されており、この環状溝８ は止め具１０の外周縁９に対応した形状に形成されている。本実施例に係る止め 具１０は、図２に示すように、皿状の鉄板の外周に複数の切り込み１７を形成す ることによって外周縁９が縮径し得るようになっており、この皿状の中心部分に よりボールシート４を保持する一方で、外周縁９をハウジング５の環状溝８に嵌 入することにより止め具１０をハウジング５に固定する。 なお、本実施例の止め具１０は図２に示す実施例に限定されることなく、図３ に示すように外周縁９を凹凸状に成形することにより縮径可能にすることもでき る。

【００１１】 次に作用を説明する。 このように構成した本考案のボールジョイントを組み付ける場合には、合成樹 脂製のボールシート４に軸部１の一端に球頭部２を有するボールスタッド３を包 含せしめ、これらボールスタッド３とボールシート４とをハウジング５の収容部 ６に収容した後に、中心部に対して縮径自在な外周縁９を有する止め具１０を収 容部６の開口部７の内周面に穿設した環状溝８に嵌合させる。これにより、ボー ルスタッド３とボールシート４とがハウジング５の収容部６内に強固に固定され ると共に、止め具１０の取り付けも外周縁９の弾性を利用していることから、従 来のようにカシメ加工を施す必要もない。したがって、ハウジング５を構成する 材料は展伸材に限られず、鋳造品を使用することが可能になる。

【００１２】 次に本考案の他の実施例について説明する。 図４は本考案の他の実施例を示す要部縦断面図、図５は同実施例に係る止め具 を示す斜視図である。本実施例に場合は、ハウジング５の収容部６の構造が上述 した実施例と相違している。すなわち、本実施例のハウジング５にはボールシー ト４の外周面の形状に対応した収容部６（本実施例の場合は凹部）が形成されて おり、この収容部６の開口７近傍には環状の隆起部１８が形成されている。本実 施例のボールスタッド３は上述した第１実施例と同等のものであるが、ボールシ ート４に嵌入した後にハウジング５の収容部６に組み付けるに際し、ボールスタ ッド３の雄ねじ１１側から止め具１０を挿入して隆起部１８に形成した環状溝８ に当該止め具１０の外周縁９を嵌入する。図５に示すように、本実施例の止め具 １０は中心部にボールシート４の開口縁１３を保持するための突条部１９が形成 され、外周縁９は切り込み１７が形成されることにより縮径自在となっている。 このように構成した本実施例のボールジョイントにあっても、カシメ加工を施す ことなく止め具１０を環状溝８に嵌めるだけでボールスタッド３とボールシート ４とをハウジング５に固定することができる。

【００１３】 このように上述した第１実施例および第２実施例の何れにおいてもハウジング のカシメ加工をが不要となるから、ハウジングを展伸材以外の例えば鋳物にて構 成することができ、また、カシメ加工を行うためのフランジを形成する必要もな いからハウジングの機械加工の作業性が向上する。さらに、止め具はハウジング に押し込むだけで容易に組み付けを行うことができることから、従来必要とされ ていたカシメ加工を行うための大型設備が不要となる。

【００１４】

【考案の効果】

以上述べたように本考案によれば、ハウジングにボールスタッドとボールシー トとを固定する収容部を形成し、この収容部の開口部の内周面に環状溝を穿設す ると共に、中心部に対して縮径自在な外周縁を有する止め具）を環状溝に嵌合し たため、止め具をハウジングに固定するために従来行っていたカシメ加工が不要 となり、これによって、ハウジングを展伸材以外の例えば鋳物にて構成すること ができ、また、カシメ加工を行うためのフランジを形成する必要もないからハウ ジングの機械加工の作業性が向上する。さらに、止め具はハウジングに押し込む だけで容易に組み付けを行うことができることから、従来必要とされていたカシ メ加工を行うための大型設備が不要となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】は本考案の一実施例を示す要部縦断面図であ
る。

【図２】は同実施例に係る止め具を示す斜視図である。

【図３】は本考案の他の実施例に係る止め具を示す斜視
図である。

【図４】は本考案の他の実施例を示す要部縦断面図であ
る。

【図５】は同実施例に係る止め具を示す斜視図である。

【図６】は従来のボールジョイントを示す要部縦断面図
である。

【符号の説明】

１…軸部、 ２…球頭部、 ３…ボールスタッド、 ４…ボールシート、 ５…ハウジング、 ６…収容部、 ７…開口部、 ８…環状溝、 ９…外周縁、 １０…止め具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸部（１）の一端に球頭部（２）を有す
   るボールスタッド（３）と、前記球頭部（２）の外周面
   を包含して当該球頭部（２）と摺動する合成樹脂製のボ
   ールシート（４）と、これらボールスタッド（３）とボ
   ールシート（４）とを固定する金属製のハウジング
   （５）とを有するボールジョイントにおいて、前記ハウ
   ジング（５）にボールスタッド（３）とボールシート
   （４）とを固定する収容部（６）を形成し、この収容部
   （６）の開口部（７）の内周面に環状溝（８）を穿設す
   ると共に、中心部に対して縮径自在な外周縁（９）を有
   する止め具（１０）を前記環状溝（８）に嵌合したこと
   を特徴とするボールジョイント。