〔第1の実施形態〕
物品移載装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1~図3に示すように、物品移載装置1は、支持部53に支持された支持器60の中の規定位置Pに物品70を移載する装置である。物品70の形状はこれに限定されないが、本実施形態では、物品70は、平板状に形成されている。平板状に形成される物品70として、マスク(例えば、蒸着マスク)、ガラス基板、半導体ウェハ、レチクルを例示することができる。本実施形態では、物品70はマスクであり、図1に示すように、物品70は、マスク本体72と、マスク本体72を支持するマスクフレーム71と、を備えている。マスクは、例えば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイの製造に用いられる。
図2、図3、図5、及び図6に示すように、支持器60の中(内部)には、物品70を収容する収容空間63が形成されている。すなわち、支持器60は、物品70を収容する容器(ここでは、枠状の容器)である。支持器60には、物品70を収容空間63に出し入れするための開口部62が形成されている。開口部62は、支持器60の側面に(言い換えれば、収容空間63の側面に)形成されている。物品移載装置1は、開口部62を通して支持器60の収容空間63に物品70を移動させて、当該物品70を収容空間63内の規定位置Pに移載する。また、物品移載装置1は、支持器60の収容空間63内の規定位置Pに収容されている物品70を、開口部62を通して収容空間63の外部に移動させて、当該物品70を支持器60から取り出す。
支持器60の構成はこれに限定されないが、図2、図3、図5、及び図6に示すように、本実施形態では、支持器60は、上下方向Zに延びる縦材61を複数用いて構成されている。複数の縦材61は、収容空間63に対して上下方向Zの上側Z1及び上下方向Zの下側Z2のそれぞれで互いに連結されている。ここでは、支持器60は直方体状に形成されている。図5及び図6に示すように、平面視(上下方向Zに沿う方向視)での支持器60の外形は矩形状であり、当該矩形の4つの角部のそれぞれに縦材61が配置されている。上述した開口部62は、水平方向に並ぶ2つの縦材61の間に形成されている。本例では、平面視での支持器60の外形を成す矩形の4つの辺部のうちの、開口部62が形成された辺部に直交する一対の辺部には、中間部(一対の角部の間の部分)にも縦材61が配置されている。
図2及び図3に示すように、支持器60は、物品70を支持する支持体64を備えている。すなわち、物品70は、支持体64に支持された状態で収容空間63に収容される。上述した規定位置Pは、物品70が支持体64に支持される位置である。図2及び図3に示す例では、支持体64は、物品70を下側Z2から支持する。また、図2及び図3に示す例では、支持器60は、上下方向Zに並ぶ複数の段のそれぞれに物品70を収容可能に構成されている。具体的には、支持器60は、支持体64を複数の段のそれぞれに備えている。ここでは、複数の支持体64(具体的には、4つの支持体64、図5及び図6参照)によって1つの物品70が支持され、支持器60は、当該複数の支持体64の組を複数の段のそれぞれに備えている。このように支持体64(ここでは、複数の支持体64の組)が複数の段のそれぞれに設けられているため、1つの支持器60には、上下方向Zに並ぶ複数の規定位置Pが設定されている(図2及び図3参照)。
本実施形態では、支持器60を支持する支持部53は、支持器60を搬送する支持器搬送装置50に設けられている。図2及び図3に示すように、支持器搬送装置50は、走行する走行部51を備えており、支持部53は走行部51に支持されている。図1~図3に示す例では、走行部51は、後述する第2方向Yに沿って走行する。具体的には、第2方向Yに沿って延びるように第2レール52が床部に設けられており、走行部51は、第2レール52に沿って走行する。支持器搬送装置50は、物品70の移載対象となる支持器60(例えば、物品70が収容されていない空の支持器60)を、物品移載装置1による支持器60に対する物品70の移載が行われる移載箇所に搬入し、物品移載装置1による物品70の移載が行われた後の支持器60(例えば、全ての段に物品70が収容された支持器60)を、当該移載箇所から搬出する。支持器搬送装置50による支持器60の搬送動作は、例えば後述する制御システム20によって制御される。
図1及び図10に示すように、物品移載装置1は、物品70が載置される載置部10と、載置部10を水平面に沿う第1方向Xに移動させる第1移動装置11と、載置部10を水平面に沿うと共に第1方向Xに交差する第2方向Yに移動させる第2移動装置12と、載置部10を上下方向Zに沿う軸心回りに旋回させる旋回装置13と、載置部10を上下方向Zに昇降させる昇降装置14と、を備えている。図1に示すように、ここでは、水平面に沿うと共に第1方向Xに直交する方向を、第2方向Yとしている。なお、本明細書において、「ある方向に移動」とは、当該方向を基準方向として、基準方向に直交する方向よりも基準方向の成分が大きくなる方向の移動を意味する。後述するように、本実施形態では、第1移動装置11による載置部10の移動方向は、常に、第1方向Xに平行な方向となる。一方、第2移動装置12による載置部10の移動方向は、必ずしも第2方向Yに平行な方向とはならず、旋回装置13による載置部10の旋回に伴い変化する。
図1に示すように、第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1とし、第1方向Xの他方側を第1方向第2側X2とする。また、第2方向Yの一方側を第2方向第1側Y1とし、第2方向Yの他方側を第2方向第2側Y2とする。本実施形態では、物品移載装置1による支持器60に対する物品70の移載が行われる移載箇所において、物品移載装置1は、物品70が載置された載置部10を少なくとも第2方向第2側Y2に移動させて、物品70を支持器60の中の規定位置Pに移載する。そのため、支持器60は、当該移載箇所において、開口部62が第2方向第1側Y1となる向きで(図1及び図2参照)、支持部53に支持される。また、本実施形態では、支持器60は、支持部53に下側Z2から支持される。
図1に示すように、本実施形態では、物品移載装置1は、移動可能な装置である移動装置30に搭載されている。ここでは、移動装置30はスタッカクレーンである。そのため、移動装置30は、台車31と、台車31に立設されたマスト33と、マスト33に沿って昇降する昇降体34と、マスト33に沿って昇降体34を昇降させる(言い換えれば、上下方向Zに移動させる)昇降機構36(図10参照)と、を備えている。台車31は、第1方向Xに沿って走行するように構成されている。具体的には、第1方向Xに沿って延びるように第1レール32が床部に設けられており、台車31は、第1レール32に沿って走行する。昇降機構36は、例えば、一端が昇降体34に連結されたワイヤ等の索状体が巻回されたドラムを、電動モータ等の駆動力源の駆動力により回転させて索状体を巻き取り又は繰り出すことで、昇降体34を昇降させるように構成される。
載置部10は昇降体34に搭載されており、物品移載装置1は、載置部10を水平面に沿う出退方向Dに沿って出退移動(昇降体34から離れる側への出移動、及び、昇降体34に近づく側への退移動)させる出退機構37と、載置部10を上下方向Zに沿う軸心である第1旋回軸心A1回りに旋回させる旋回機構(以下、「第1旋回機構38」と称する)と、を備えている。第1旋回機構38は、第1旋回軸心A1回りの旋回方向である第1旋回方向R1に、載置部10を旋回させる(図4~図6参照)。後に説明する第2の実施形態での第2旋回機構43と区別するために、上記の旋回機構を第1旋回機構38と称している。本実施形態では、第1旋回機構38が「旋回機構」に相当する。
図1に示す例では、出退機構37が、載置部10に連結されたリンク機構を備え、電動モータ等の駆動力源の駆動力によりリンク機構を構成するアームを回動させることで、載置部10を出退方向Dに沿って出退移動させるように構成されている。なお、出退機構37の構成はこれに限定されず、例えば、出退機構37が、スライド機構(直動機構)を用いて載置部10を出退方向Dに沿って出退移動させるように構成されてもよい。また、図1に示す例では、第1旋回機構38は、第1旋回軸心A1回りに回転可能に昇降体34に支持された旋回台35を備えており、電動モータ等の駆動力源により旋回台35を回転させることで、旋回台35に支持された載置部10を旋回させるように構成されている。
上述したように載置部10は昇降体34に搭載されている。ここでは、載置部10は、出退機構37を介して旋回台35に連結された状態で、旋回台35を支持する昇降体34に搭載されている。すなわち、出退機構37は、旋回台35に支持されている。図1に示す例では、出退機構37が備える上記のリンク機構が、載置部10と旋回台35とを連結している。出退機構37が旋回台35に支持されているため、出退機構37による載置部10の出退方向Dは、第1旋回機構38による旋回台35の旋回に伴い変化する。すなわち、出退方向Dは、旋回台35の回転位置に応じて定まる。
なお、第1旋回機構38が、載置部10を出退機構37に対して上下方向Zに沿う軸心回りに旋回させるように構成されてもよく、この場合、出退機構37による載置部10の出退方向Dは、第1旋回機構38による載置部10の旋回に伴い変化しない。すなわち、第2移動装置12による載置部10の移動方向が、常に、第2方向Yに平行な方向となる構成とすることもできる。
図5は、旋回台35の回転位置が、出退方向Dが第2方向Yに平行となる回転位置である場合を示し、図6は、旋回台35の回転位置が、出退方向Dが第2方向Yに対して傾斜した方向となる回転位置である場合を示している。図5に示す場合だけでなく図6に示す場合にも、出退方向Dは、第2方向Yに直交する方向よりも第2方向Yの成分が大きくなる方向であるため(言い換えれば、出退方向Dと第2方向Yとの交差角が45度未満であるため)、出退機構37により載置部10を出退させることで、載置部10は第2方向Yに移動される(出退される)。
以上のように物品移載装置1及び移動装置30が構成されているため、本実施形態では、昇降体34、旋回台35、昇降機構36、出退機構37、及び第1旋回機構38を支持する台車31が第1方向Xに沿って走行することで、載置部10が第1方向Xに移動する。また、出退方向Dと第2方向Yとの交差角が45度未満である状態で、出退機構37が載置部10を出退方向Dに沿って出退させることで、載置部10が第2方向Yに出退される。また、第1旋回機構38が旋回台35を旋回させることで、載置部10が上下方向Zに沿う第1旋回軸心A1回りに旋回される。また、昇降機構36がマスト33に沿って昇降体34を昇降させることで、載置部10が上下方向Zに昇降される。
従って、本実施形態では、載置部10を第1方向Xに移動させる第1移動装置11は、第2移動装置12、旋回装置13、及び昇降装置14を支持し、第1方向Xに沿って走行する台車31を含んでいる。また、載置部10を第2方向Yに移動させる第2移動装置12は、昇降体34に設置され、載置部10を第2方向Yに出退させる出退機構37を含んでいる。また、載置部10を上下方向Zに沿う軸心回りに旋回させる旋回装置13は、昇降体34に設置され、載置部10を上下方向Zに沿う軸心回りに旋回させる第1旋回機構38を含んでいる。また、載置部10を上下方向Zに昇降させる昇降装置14は、載置部10が搭載された昇降体34と、台車31に立設されたマスト33に沿って昇降体34を昇降させる昇降機構36と、を含んでいる。なお、「昇降体34に設置され」とは、昇降体34に支持されて昇降体34と共に昇降する部分(例えば、載置部10)に設置される場合を含む概念である。
図4及び図5に示すように、物品移載装置1は、載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度を検出する第1検出部21と、載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度を検出する第2検出部22と、を備えている。本実施形態では、第1検出部21は、載置部10に対する物品70の第1方向X及び第2方向Yのそれぞれの相対位置を検出すると共に、載置部10に対する物品70の上下方向Zに沿う軸心回りの相対角度(例えば、第1旋回軸心A1回りの相対角度)を検出する。また、本実施形態では、第2検出部22は、載置部10に対する支持器60の第1方向X及び第2方向Yのそれぞれの相対位置を検出すると共に、載置部10に対する支持器60の上下方向Zに沿う軸心回りの相対角度(例えば、第1旋回軸心A1回りの相対角度)を検出する。なお、図4及び図5では、第1検出部21及び第2検出部22を簡略化して模式的に示しており、第1検出部21及び第2検出部22の設置態様は、図4及び図5に示すものに限定されない。
本実施形態では、第1検出部21及び第2検出部22は、載置部10に対する位置及び角度が固定されている。なお、第1検出部21の載置部10に対する位置及び角度が固定されない構成とすることもできる。この場合、第1検出部21は、例えば、載置部10及び物品70のそれぞれの位置及び角度を検出することで、載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度を検出するように構成される。また、第2検出部22の載置部10に対する位置及び角度が固定されない構成とすることもできる。この場合、第2検出部22は、例えば、載置部10及び支持器60のそれぞれの位置及び角度を検出することで、載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度を検出するように構成される。なお、本明細書では、特に明記している場合を除き、位置は、平面視での位置(具体的には、第1方向Xの位置及び第2方向Yの位置)を意味し、角度は、上下方向Zに沿う軸心回りの角度を意味する。
図4に示すように、本実施形態では、第1検出部21は、載置部10における3箇所のそれぞれに固定されて対象物(ここでは、物品70)までの距離を検出する第1距離センサ21aを備えている。すなわち、第1検出部21は、3つの第1距離センサ21aを備えている。第1距離センサ21aや後述する第2距離センサ22aは、例えば、対象物に向けて光を照射してその反射光に基づき距離を検出する光距離センサとされる。そして、第1検出部21は、第1距離センサ21aのそれぞれから物品70における第1距離センサ21a毎に異なる箇所までの距離の検出結果に基づいて、載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度を検出する。第1検出部21は、例えば幾何学的計算を行って、載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度を検出する。本実施形態では、図4に示すように、第1距離センサ21aのそれぞれは、物品70が備えるマスクフレーム71までの距離を検出する。なお、図4では、物品70について、マスク本体72を省略してマスクフレーム71のみを示している(図5及び図6についても同様)。
図4に示す例では、1つの第1距離センサ21aが、物品70(具体的には、マスクフレーム71、以下同様)までの第1方向Xの距離である第1距離L1を検出し、この第1距離センサ21aとは第2方向Yの異なる位置に配置された別の1つの第1距離センサ21aが、物品70までの第1方向Xの距離である第2距離L2を検出し、残りの1つの第1距離センサ21aが、物品70までの第2方向Yの距離である第3距離L3を検出する。第1検出部21は、これら3つの距離(L1~L3)と、3つの第1距離センサ21aの設置位置とに基づき、載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度を検出する。なお、3つの第1距離センサ21aの設置形態はこれに限定されず、例えば、1つの第1距離センサ21aが、物品70までの第2方向Yの距離を検出し、この第1距離センサ21aとは第1方向Xの異なる位置に配置された別の1つの第1距離センサ21aが、物品70までの第2方向Yの距離を検出し、残りの1つの第1距離センサ21aが、物品70までの第1方向Xの距離を検出する構成とすることもできる。
図5に示すように、本実施形態では、第2検出部22は、載置部10における3箇所のそれぞれに固定されて対象物(ここでは、支持器60)までの距離を検出する第2距離センサ22aを備えている。すなわち、第2検出部22は、3つの第2距離センサ22aを備えている。そして、第2検出部22は、第2距離センサ22aのそれぞれから支持器60における第2距離センサ22a毎に異なる箇所までの距離の検出結果に基づいて、載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度を検出する。第2検出部22は、例えば幾何学的計算を行って、載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度を検出する。本実施形態では、図5に示すように、第2距離センサ22aのそれぞれは、支持器60が備える縦材61までの距離を検出する。なお、図5及び図6では、支持器60を支持する支持部53や、支持部53が設けられた支持器搬送装置50を省略している。
図5に示す例では、1つの第2距離センサ22aが、支持器60(具体的には、縦材61、以下同様)までの第1方向Xの距離である第4距離L4を検出し、この第2距離センサ22aとは第2方向Yの異なる位置に配置された別の1つの第2距離センサ22aが、支持器60までの第1方向Xの距離である第5距離L5を検出し、残りの1つの第2距離センサ22aが、支持器60までの第2方向Yの距離である第6距離L6を検出する。第2検出部22は、これら3つの距離(L4~L6)と、3つの第2距離センサ22aの設置位置とに基づき、載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度を検出する。
なお、3つの第2距離センサ22aの設置形態はこれに限定されず、例えば、1つの第2距離センサ22aが、支持器60までの第2方向Yの距離を検出し、この第2距離センサ22aとは第1方向Xの異なる位置に配置された別の1つの第2距離センサ22aが、支持器60までの第2方向Yの距離を検出し、残りの1つの第2距離センサ22aが、支持器60までの第1方向Xの距離を検出する構成とすることもできる。
図10に示すように、物品移載装置1は、制御システム20を備えている。制御システム20は、第1移動装置11、第2移動装置12、旋回装置13、及び昇降装置14を制御する。制御システム20は、これらの装置を制御することで、物品移載装置1による物品70の移載動作を制御する。なお、図10では、後に説明する第2の実施形態で設けられる機構(41,42,43)を破線で示している。
制御システム20は、各部に設けられた駆動力源(例えば、電動モータやソレノイド)の駆動を制御することで、制御対象の装置の動作を制御する。制御システム20の機能は、例えば、演算処理装置等のハードウェアと、当該ハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。なお、制御システム20は、1つのハードウェアではなく、互いに通信可能な複数のハードウェア(複数の分離したハードウェア)の集合によって構成されてもよい。また、制御システム20の少なくとも一部が、制御システム20による制御対象の装置と一体的に設けられてもよい。本明細書で開示する制御システム20の技術的特徴は、物品移載装置1の制御方法にも適用可能であり、物品移載装置1の制御方法も本明細書に開示されている。この制御方法には、後に参照する図11に示す各ステップを実行する工程が含まれる。
上述したように、本実施形態では、物品移載装置1は移動装置30に搭載されており、制御システム20は、物品移載装置1を搭載した移動装置30による物品70の搬送動作を制御する。図1に示すように、本実施形態では、物品70を収納する収納部81を複数備えた収納棚80が設けられており、移動装置30は、収納棚80(具体的には、収納部81)と、物品移載装置1による支持器60に対する物品70の移載が行われる移載箇所(以下、単に「移載箇所」という)との間で、物品70を搬送する。物品70は、収納用支持部82にて支持された状態で、収納部81に収納される。図1に示す例では、収納用支持部82は、物品70を下側Z2から支持する。
収納部81に収納されている物品70を移載箇所に搬送する場合、物品移載装置1を搭載した移動装置30は、収納部81から物品70を取り出した後、移載箇所まで移動するように制御される。収納部81から物品70を取り出す際には、取り出し対象の物品70が収納されている収納部81に対応する位置(具体的には、当該収納部81と第2方向Yに対向する位置)に載置部10が配置されるように、第1移動装置11(具体的には、台車31)及び昇降装置14(具体的には、昇降機構36)が制御される。そして、載置部10が、収納部81に近づく側(図1に示す例では、第2方向第2側Y2)に出移動した後に上昇し、その後、収納部81から離れる側(図1に示す例では、第2方向第1側Y1)に退移動するように、第2移動装置12(具体的には、出退機構37)及び昇降装置14(具体的には、昇降機構36)が制御される。これにより、収納部81において収納用支持部82にて支持されていた物品70は、載置部10によって掬われて、収納部81から取り出される。このように収納部81から物品70が取り出された後、移動装置30が移載箇所まで移動するように、第1移動装置11(具体的には、台車31)が制御される。
移載箇所にて支持器60から取り出した物品70を収納部81に収納する場合、物品70が載置された載置部10が、当該物品70を収納する収納部81に対応する位置(具体的には、当該収納部81と第2方向Yに対向する位置)に配置されるように、第1移動装置11(具体的には、台車31)及び昇降装置14(具体的には、昇降機構36)が制御される。そして、載置部10が、収納部81に近づく側(図1に示す例では、第2方向第2側Y2)に出移動した後に下降し、その後、収納部81から離れる側(図1に示す例では、第2方向第1側Y1)に退移動するように、第2移動装置12(具体的には、出退機構37)及び昇降装置14(具体的には、昇降機構36)が制御される。これにより、載置部10に載置されていた物品70は、収納部81に設けられた収納用支持部82に降ろされて、当該収納部81に収納される。
移載箇所では、物品移載装置1による支持器60に対する物品70の移載が行われる。
載置部10に載置されている物品70を支持器60に収容する場合、物品70が載置された載置部10が、当該物品70を移載する規定位置P(本実施形態では、複数の規定位置Pのうちの1つの規定位置P)に対応する設定高さ(上下方向Zの位置)に配置されるように、昇降装置14(具体的には、昇降機構36)が制御される。そして、載置部10が、支持器60に近づく側(図1に示す例では、第2方向第2側Y2)に出移動した後に下降し、その後、支持器60から離れる側(図1に示す例では、第2方向第1側Y1)に退移動するように、第2移動装置12(具体的には、出退機構37)及び昇降装置14(具体的には、昇降機構36)が制御される。これにより、載置部10に載置されていた物品70は、規定位置Pに設けられた支持体64に降ろされて、規定位置Pに移載される。なお、載置部10は、支持器60の側面に形成された開口部62を通って、支持器60の内部と外部との間(言い換えれば、収容空間63の内部と外部との間)を出退移動する。
本実施形態では、規定位置Pに対応する設定高さは、載置部10に載置された物品70が、当該規定位置Pに設けられた支持体64よりも上側Z1であって、当該規定位置Pの1つ上の規定位置Pに設けられた支持体64よりも下側Z2に配置される高さに設定される。最も上側Z1の規定位置Pに対応する設定高さ(或いは、1つの支持器60に規定位置Pが1つのみ設定される場合の、当該規定位置Pに対応する設定高さ)は、載置部10に載置された物品70が、当該規定位置Pに設けられた支持体64よりも上側Z1であって、支持器60の上面よりも下側Z2に配置される高さに設定される。支持器60が、側面に形成された開口部62とは別に上側Z1に開口するように形成されている場合には、最も上側Z1に配置された規定位置Pに対応する設定高さ(或いは、1つの支持器60に規定位置Pが1つのみ設定される場合の、当該規定位置Pに対応する設定高さ)を、支持器60の収容空間63よりも上側Z1に設定してもよい。
詳細は省略するが、支持器60に収容されている物品70を取り出す場合には、載置部10に載置されている物品70を支持器60に収容する場合とは逆に載置部10が移動される。すなわち、載置部10が、支持器60に近づく側に出移動した後に上昇し、その後、支持器60から離れる側に退移動するように、第2移動装置12(具体的には、出退機構37)及び昇降装置14(具体的には、昇降機構36)が制御される。これにより、支持体64に支持されていた物品70は、載置部10によって掬われて、支持器60から取り出される。
ところで、載置部10に載置されている物品70の位置や角度が、理想的な位置や角度からずれている場合には、支持器60に対して適切な位置関係で物品70を移載することが困難となり得る。移載箇所において支持部53に支持されている支持器60の位置や角度が、理想的な位置や角度からずれている場合にも、支持器60に対して適切な位置関係で物品70を移載することが困難となり得る。この点に関して、この物品移載装置1では、制御システム20により以下に述べる載置部調整制御が実行されるため、載置部10に対する物品70の位置や角度のずれや支持部53に対する支持器60の位置や角度のずれが生じ得る場合であっても、支持器60に対して適切な位置関係で物品70を移載することが可能となっている。
制御システム20により実行される、支持器60に対する物品70の移載処理の処理手順について、図11を参照して説明する。制御システム20は、まず、第1検出処理(ステップ#01)及び第2検出処理(ステップ#02)を実行する。ここで、第1検出処理は、第1検出部21による載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度の検出処理であり、第2検出処理は、第2検出部22による載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度の検出処理である。図11では、第1検出処理の後に第2検出処理を行う場合を例示しているが、第2検出処理の後に第1検出処理を行ってもよく、或いは、第1検出処理と第2検出処理とを並行して(すなわち、同時に或いは同時期に)行ってもよい。
本実施形態では、物品70が載置された載置部10が、規定位置Pに対応する設定高さにおいて、支持器60に近づく側(ここでは、第2方向第2側Y2)に出移動して、載置部10に載置された物品70が支持器60の内部(言い換えれば、収容空間63の内部)に配置された状態で(図5参照)、第2検出処理が行われる。なお、載置部10の支持器60に近づく側への出移動は、図5に示すように出退機構37による載置部10の出退方向Dが第2方向Yに平行となっている状態で行われる。また、この場合の載置部10の支持器60に近づく側への出移動量は、移載箇所における物品移載装置1と支持器60との第2方向Yの位置関係に応じて予め設定されている。具体的には、この出移動量は、載置部10に対する物品70の位置や角度のずれも支持部53に対する支持器60の位置や角度のずれもない理想的な状態において、物品70と支持器60との相対位置及び相対角度が理想的な(言い換えれば、設計上の)相対位置及び相対角度となる大きさに設定されている。
規定位置Pに対応する設定高さは、載置部10に載置された物品70が規定位置Pよりも上側Z1に配置される高さである。そのため、第2検出処理が行われる図5に示す状態は、載置部10に載置された物品70が支持器60の中に配置され、且つ、載置部10に載置された物品70が規定位置Pよりも上側Z1に位置する状態である。すなわち、制御システム20は、載置部10に載置された物品70を支持器60の中に配置した状態、且つ、載置部10に載置された物品70が規定位置Pよりも上側Z1に位置する状態で、第2検出部22による検出を行う。この状態で、第2検出処理に加えて第1検出処理も行ってもよい。この場合、制御システム20は、載置部10に載置された物品70を支持器60の中に配置した状態、且つ、載置部10に載置された物品70が規定位置Pよりも上側Z1に位置する状態で、第1検出部21及び第2検出部22による検出を行う。
なお、第1検出処理は、図5に示す状態よりも前の状態で行ってもよく、例えば、収納部81に収納されている物品70(言い換えれば、収納用支持部82に支持されている物品70)を載置部10によって掬った後の状態(図4に示す状態)で、第1検出処理を行ってもよい。また、例えば、移動装置30が移載箇所に向かって移動している状態(言い換えれば、台車31が走行している状態)や、移動装置30が移載箇所に到達した後であって、載置部10が支持器60に近づく側に出移動される前の状態(すなわち、載置部10に載置された物品70が支持器60の外部に配置された状態)で、第1検出処理を行ってもよい。
制御システム20は、第1検出部21及び第2検出部22の検出結果に基づいて載置部調整制御を実行する(ステップ#03)。載置部調整制御は、載置部10に載置された物品70が規定位置Pよりも上側Z1に位置する状態で、物品70と支持器60との相対位置及び相対角度が適正範囲内となるように、第1移動装置11、第2移動装置12、及び旋回装置13を制御して載置部10の位置及び角度を調整する制御である。載置部調整制御は、載置部10に載置された物品70が、支持器60(例えば、縦材61や支持体64)と接触していない状態で行われる。
載置部調整制御では、載置部10の平面視での位置(すなわち、第1方向Xの位置及び第2方向Yの位置)が調整されると共に、載置部10の平面視での角度(すなわち、上下方向Zに沿う軸心回りの角度)が調整される。本実施形態では、載置部調整制御は、載置部10に載置された物品70が支持器60の中に配置され、且つ、載置部10に載置された物品70が規定位置Pよりも上側Z1に位置する状態で行われる。また、本実施形態では、載置部調整制御では、第1移動装置11に含まれる台車31と、第2移動装置12に含まれる出退機構37と、旋回装置13に含まれる第1旋回機構38とを制御して、物品70と支持器60との相対位置及び相対角度が適正範囲内となるように載置部10の位置及び角度を調整する。図6は、物品70と支持器60との相対位置及び相対角度が適正範囲内となるように載置部10の位置及び角度が調整された後の状態を示している。
なお、物品70と支持器60との相対位置及び相対角度が適正範囲内であるとは、これらの相対位置及び相対角度の理想的な(言い換えれば、設計上の)相対位置及び相対角度からのずれ量が、設定量以下であることを意味する。この設定量は、例えば、規定位置Pへの物品70の移載精度の要求に応じて、要求される移載精度が高くなるに従って小さくなるように設定される。また、支持体64に、当該支持体64に支持された状態の物品70に対して側方に配置されて、物品70の水平方向の移動を規制する規制部が設けられる場合には、上記の設定量は、例えば、平面視で、物品70の全周に亘って物品70と当該規制部との間に隙間が形成される大きさに設定される。
第1検出部21及び第2検出部22の検出結果に基づき、物品70と支持器60との相対位置及び相対角度を取得することができる。載置部調整制御では、取得された物品70と支持器60との相対位置及び相対角度に基づき、例えば幾何学的計算を行って、物品70と支持器60との相対位置及び相対角度が適正範囲内となるように載置部10の位置及び角度を調整するための、第1移動装置11、第2移動装置12、及び旋回装置13のそれぞれの制御量が導出される。本実施形態では、上述したように、出退機構37による載置部10の出退方向Dは、第1旋回機構38による旋回台35の旋回に伴い変化する。第1移動装置11、第2移動装置12、及び旋回装置13のそれぞれの制御量は、この点を考慮して導出される。
制御システム20は、第1検出部21及び第2検出部22の検出結果に基づいて載置部調整制御を実行した後、昇降装置14を制御して載置部10を下降させて、物品70を載置部10から支持器60の規定位置Pに移載する。すなわち、昇降装置14を制御して載置部10を下降させて、物品70を載置部10から支持器60の規定位置Pに移載する制御を移載制御として、制御システム20は、第1検出部21及び第2検出部22の検出結果に基づいて載置部調整制御を実行した後、移載制御を実行する(ステップ#04)。なお、第1検出部21及び第2検出部22の検出結果に基づき取得された物品70と支持器60との相対位置及び相対角度が、適正範囲内である場合には、制御システム20は、載置部調整制御を実行せずに移載制御を実行する。
〔第2の実施形態〕
物品移載装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本実施形態の物品移載装置について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態では、物品移載装置1は、以下の(1)~(3)の少なくともいずれかの構成を備える。なお、以下の(1)~(3)における「昇降体34に設置され」とは、昇降体34に支持されて昇降体34と共に昇降する部分(例えば、載置部10)に設置される場合を含む概念である。
(1)第1移動装置11は、昇降体34に設置され、載置部10を第1方向Xに沿ってスライド移動させる第1スライド移動機構41を更に含み、第1スライド移動機構41は、第1方向Xにおける載置部10の位置決め精度が台車31よりも高い。
(2)第2移動装置12は、昇降体34に設置され、出退機構37とは別に載置部10を第2方向Yに沿ってスライド移動させる第2スライド移動機構42を更に含み、第2スライド移動機構42は、第2方向Yにおける載置部10の位置決め精度が出退機構37よりも高い。
(3)旋回装置13は、昇降体34に設置され、第1旋回機構38とは別に載置部10を上下方向Zに沿う軸心回りに旋回させる第2旋回機構43を更に含み、第2旋回機構43は、上下方向Zに沿う軸心回りの旋回方向における載置部10の位置決め精度が第1旋回機構38よりも高い。
なお、本明細書において、「ある方向に沿ってスライド移動」とは、当該方向との交差角度が予め定められた範囲内(例えば、20度以下)となる方向に平行なスライド移動を意味する。すなわち、第1スライド移動機構41による載置部10のスライド移動方向である第1スライド移動方向S1は、第1方向Xと平行な方向となり得ると共に(図7及び図8参照)、第1方向Xに対して予め定められた範囲内で傾斜した方向にもなり得る(図9参照)。また、第2スライド移動機構42による載置部10のスライド移動方向である第2スライド移動方向S2は、第2方向Yと平行な方向となり得ると共に(図7及び図8参照)、第2方向Yに対して予め定められた範囲内で傾斜した方向にもなり得る(図9参照)。
物品移載装置1が上記の(1)の構成を備える場合、制御システム20は、載置部調整制御において、載置部10の第1方向Xの位置の調整を、台車31と第1スライド移動機構41との一方又は双方を制御して行う。制御システム20が、載置部調整制御において、載置部10の第1方向Xの位置の調整を、台車31と第1スライド移動機構41との双方を制御して行う場合、載置部10の第1方向Xの位置を、台車31を制御して粗調整し、第1スライド移動機構41を制御して微調整することができる。
物品移載装置1が上記の(2)の構成を備える場合、制御システム20は、載置部調整制御において、載置部10の第2方向Yの位置の調整を、出退機構37と第2スライド移動機構42との一方又は双方を制御して行う。制御システム20が、載置部調整制御において、載置部10の第2方向Yの位置の調整を、出退機構37と第2スライド移動機構42との双方を制御して行う場合、載置部10の第2方向Yの位置を、出退機構37を制御して粗調整し、第2スライド移動機構42を制御して微調整することができる。
物品移載装置1が上記の(3)の構成を備える場合、制御システム20は、載置部調整制御において、載置部10の角度の調整を、第1旋回機構38と第2旋回機構43との一方又は双方を制御して行う。制御システム20が、載置部調整制御において、載置部10の角度の調整を、第1旋回機構38と第2旋回機構43との双方を制御して行う場合、載置部10の角度を、第1旋回機構38を制御して粗調整し、第2旋回機構43を制御して微調整することができる。
図7~図9に示す例では、物品移載装置1が、上記の(1)~(3)の全ての構成を備えている。図7~図9では、第1スライド移動機構41、第2スライド移動機構42、及び第2旋回機構43の詳細は省略して、これら3つの機構を1つの調整機構40にまとめて簡略化して示しているが、これら3つの機構は、一体的に設けられても各別に設けられてもよい。第1スライド移動機構41として、台車31よりも第1方向Xにおける載置部10の位置決め精度を高く確保できる種々の機構を採用することができる。また、第2スライド移動機構42として、出退機構37よりも第2方向Yにおける載置部10の位置決め精度を高く確保できる種々の機構を採用することができる。また、第2旋回機構43として、第1旋回機構38よりも上下方向Zに沿う軸心回りの旋回方向における載置部10の位置決め精度を高く確保できる種々の機構を採用することができる。
図7~図9に示す例では、載置部10が、出退機構37(具体的には、出退機構37が備えるリンク機構)に連結された第1部分10Aと、物品70が載置される第2部分10Bと、を備えている。第2部分10Bは、第1部分10Aに対する位置及び角度の調整が可能に、第1部分10Aに支持されている。第1部分10Aに対する第2部分10Bの支持構造として、例えば、可動部が固定部に対して水平方向の全方位に移動自在に設けられるフローティングユニットを用いた構造を採用することができる。
そして、調整機構40は、第1部分10Aに対する第2部分10Bの位置及び角度を調整可能に構成されている。具体的には、第1スライド移動機構41は、第1部分10Aに対する第2部分10Bの第1方向Xの位置を調整可能に構成され、第2スライド移動機構42は、第1部分10Aに対する第2部分10Bの第2方向Yの位置を調整可能に構成され、第2旋回機構43は、第1部分10Aに対する第2部分10Bの角度を調整可能に構成されている。なお、図7~図9では、第1部分10Aに対する第2部分10Bの位置及び角度が調整機構40により調整されることを理解しやすいような態様で、第2部分10B、調整機構40、及び、第2部分10Bと調整機構40との連結部分を示しているが、これらの実際の態様は、当然ながら、図7~図9に示すものに限定されない。
図7~図9に示す例では、第1スライド移動機構41は、第1部分10Aに設置され、第2部分10Bを第1部分10Aに対して第1方向Xに沿ってスライド移動させる。また、第2スライド移動機構42は、第1部分10Aに設置され、第2部分10Bを第1部分10Aに対して第2方向Yに沿ってスライド移動させる。また、第2旋回機構43は、第1部分10Aに設置され、第2部分10Bを第1部分10Aに対して上下方向Zに沿う軸心回りに旋回させる。本例では、第2旋回機構43は、上下方向Zに沿う軸心であって第1旋回軸心A1(図1参照)とは平面視で異なる位置に配置された第2旋回軸心A2回りに、第2部分10Bを旋回させる。すなわち、第2旋回機構43は、第2旋回軸心A2回りの旋回方向である第2旋回方向R2に、第2部分10Bを旋回させる。
図7は、第1検出処理の一例の説明図であり、第1の実施形態での図4に対応する図である。図7では、収納部81に収納されている物品70を載置部10によって掬った後の状態で、第1検出処理が行われている。図8は、第2検出処理の一例の説明図であり、第1の実施形態での図5に対応する図である。図8では、載置部10に載置された物品70が支持器60の中に配置され、且つ、載置部10に載置された物品70が規定位置Pよりも上側Z1に位置する状態で、第2検出処理が行われている。図9は、載置部調整制御の説明図であり、第1の実施形態での図6に対応する図である。図9では、第1移動装置11が備える第1スライド移動機構41と、第2移動装置12が備える第2スライド移動機構42と、旋回装置13が備える第2旋回機構43とを制御することで、載置部10(具体的には、載置部10における物品70が載置される部分である第2部分10B)の位置及び角度が調整されている。
図7~図9に示す例では、第1スライド移動方向S1及び第2スライド移動方向S2が、第2旋回機構43による載置部10(具体的には、第2部分10B)の旋回に伴い変化するように、第1スライド移動機構41、第2スライド移動機構42、及び第2旋回機構43が構成されている場合を想定している。そして、本例では、第1スライド移動方向S1が第1方向Xに平行となり、且つ、第2スライド移動方向S2が第2方向Yに平行となっている状態で、第2検出処理が行われ(図8参照)、その後、載置部調整制御において、第2旋回機構43による載置部10(具体的には、第2部分10B)の旋回に伴い、第1スライド移動方向S1が第1方向Xに対して傾斜すると共に、第2スライド移動方向S2が第2方向Yに対して傾斜している(図9参照)。なお、第1スライド移動方向S1及び第2スライド移動方向S2の一方又は双方が、第2旋回機構43による載置部10(具体的には、第2部分10B)の旋回に伴い変化しない構成とすることもできる。
〔その他の実施形態〕
次に、物品移載装置のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の各実施形態では、第1検出部21が3つの第1距離センサ21aを備え、第2検出部22が3つの第2距離センサ22aを備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1検出部21が4つ以上の第1距離センサ21aを備える構成や、第2検出部22が4つ以上の第2距離センサ22aを備える構成とすることもできる。
(2)上記の各実施形態では、第1検出部21が、第1距離センサ21a(上記の各実施形態では、3つの第1距離センサ21a)の検出結果に基づいて、載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度を検出し、第2検出部22が、第2距離センサ22a(上記の各実施形態では、3つの第2距離センサ22a)の検出結果に基づいて、載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度を検出する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、第1検出部21が、画像センサによる物品70の検出結果(画像処理結果)に基づいて、載置部10に対する物品70の相対位置及び相対角度を検出する構成や、第2検出部22が、画像センサによる支持器60の検出結果(画像処理結果)に基づいて、載置部10に対する支持器60の相対位置及び相対角度を検出する構成とすることもできる。
(3)上記の各実施形態では、支持器60を支持する支持部53が支持器搬送装置50に設けられる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、支持部53が、物品移載装置1による支持器60に対する物品70の移載が行われる移載箇所に固定される構成とすることもできる。
(4)上記の各実施形態では、移動装置30がスタッカクレーンである構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、移動装置30を、床面を自律走行する装置や、天井に沿って配置されたレールに沿って走行する装置等の、スタッカクレーン以外の装置とすることもできる。
(5)上記の各実施形態では、物品移載装置1が移動装置30に搭載される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、物品移載装置1が移動装置30に搭載されず、物品移載装置1が、物品移載装置1による支持器60に対する物品70の移載が行われる移載箇所に固定される構成とすることもできる。
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品移載装置の概要について説明する。
支持部に支持された支持器の中の規定位置に物品を移載する物品移載装置であって、前記物品が載置される載置部と、前記載置部を水平面に沿う第1方向に移動させる第1移動装置と、前記載置部を前記水平面に沿うと共に前記第1方向に交差する第2方向に移動させる第2移動装置と、前記載置部を上下方向に沿う軸心回りに旋回させる旋回装置と、前記載置部を前記上下方向に昇降させる昇降装置と、前記第1移動装置、前記第2移動装置、前記旋回装置、及び、前記昇降装置を制御する制御システムと、前記載置部に対する前記物品の相対位置及び相対角度を検出する第1検出部と、前記載置部に対する前記支持器の相対位置及び相対角度を検出する第2検出部と、を備え、前記制御システムは、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果に基づいて載置部調整制御を実行した後、前記昇降装置を制御して前記載置部を下降させて、前記物品を前記載置部から前記支持器の前記規定位置に移載し、前記載置部調整制御は、前記載置部に載置された前記物品が前記規定位置よりも上側に位置する状態で、前記物品と前記支持器との相対位置及び相対角度が適正範囲内となるように、前記第1移動装置、前記第2移動装置、及び前記旋回装置を制御して前記載置部の位置及び角度を調整する制御である。
本構成によれば、載置部に対する物品の位置や角度のずれが生じている場合には、この位置や角度のずれを、第1検出部によって載置部を基準とした相対位置及び相対角度として検出することができる。また、支持部に対する支持器の位置や角度のずれが生じている場合には、この位置や角度のずれを、第2検出部によって載置部を基準とした相対位置及び相対角度として検出することができる。このように、物品及び支持器のそれぞれの位置や角度を、第1検出部及び第2検出部によって、共通の載置部を基準とした相対位置及び相対角度として検出することができるため、載置部に対する物品の位置や角度のずれと支持部に対する支持器の位置や角度のずれとの一方又は双方が生じている場合であっても、物品と支持器との相対位置及び相対角度を、第1検出部及び第2検出部の検出結果に基づき取得することができる。よって、本構成によれば、物品と支持器との相対位置及び相対角度が適正範囲内となるように載置部の位置及び角度を調整する載置部調整制御を、第1検出部及び第2検出部の検出結果に基づき適切に実行することができる。
そして、本構成によれば、載置部調整制御が、載置部を下降させて物品を載置部から支持器の規定位置に移載する前の、載置部に載置された物品が規定位置よりも上側に位置する状態で実行される。よって、載置部に載置された物品が規定位置よりも上側に位置し、且つ、載置部調整制御の実行により物品と支持器との相対位置及び相対角度が適正範囲内となっている状態から、載置部を下降させて、物品を載置部から支持器の規定位置に移載することができる。よって、載置部に対する物品の位置や角度のずれと支持部に対する支持器の位置や角度のずれとの一方又は双方が生じている場合であっても、支持器に対して適切な位置関係で物品を移載することができる。
以上のように、本構成によれば、載置部に対する物品の位置や角度のずれだけでなく、支持部に対する支持器の位置や角度のずれも生じ得る場合であっても、支持器に対して適切な位置関係で物品を移載することが可能となっている。
ここで、前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記載置部に対する位置及び角度が固定されていると好適である。
載置部は、第1検出部が検出する物品の相対位置及び相対角度の基準であると共に、第2検出部が検出する支持器の相対位置及び相対角度の基準でもある。本構成によれば、第1検出部及び第2検出部が、それぞれの検出の基準となる載置部に対して位置及び角度が固定されているため、第1検出部による検出や第2検出部による検出を高精度に行いやすい。
また、前記制御システムは、前記載置部に載置された前記物品を前記支持器の中に配置した状態、且つ、前記載置部に載置された前記物品が前記規定位置よりも上側に位置する状態で、前記第1検出部及び前記第2検出部による検出を行うと好適である。
第1検出部は、載置部に対する物品の相対位置及び相対角度を検出するため、検出精度を高く確保するという観点から、載置部と物品との距離が短い状態で第1検出部による検出を行うことが望ましい。また、第2検出部は、載置部に対する支持器の相対位置及び相対角度を検出するため、検出精度を高く確保するという観点から、載置部と支持器との距離が短い状態で第2検出部による検出を行うことが望ましい。本構成によれば、物品が載置部に載置されることで物品と載置部とが互いに接近した状態で、第1検出部による検出が行われるため、第1検出部による検出を高精度に行いやすい。また、本構成によれば、載置部に載置された物品が支持器の中に配置される程度に載置部と支持器とが互いに接近した状態で、第2検出部による検出が行われるため、第2検出部による検出を高精度に行いやすい。
また、前記第1検出部は、前記載置部における3箇所のそれぞれに固定されて対象物までの距離を検出する第1距離センサを備え、前記第1距離センサのそれぞれから前記物品における前記第1距離センサ毎に異なる箇所までの距離の検出結果に基づいて、前記載置部に対する前記物品の相対位置及び相対角度を検出し、前記第2検出部は、前記載置部における3箇所のそれぞれに固定されて対象物までの距離を検出する第2距離センサを備え、前記第2距離センサのそれぞれから前記支持器における前記第2距離センサ毎に異なる箇所までの距離の検出結果に基づいて、前記載置部に対する前記支持器の相対位置及び相対角度を検出すると好適である。
本構成によれば、第1検出部及び第2検出部のそれぞれに3つの距離センサを設けるという比較的簡易な構成で、載置部に対する物品の相対位置及び相対角度や、載置部に対する支持器の相対位置及び相対角度を適切に検出することができる。
また、前記第1移動装置は、前記第2移動装置、前記旋回装置、及び前記昇降装置を支持し、前記第1方向に沿って走行する台車を含み、前記昇降装置は、前記載置部が搭載された昇降体と、前記台車に立設されたマストに沿って前記昇降体を昇降させる昇降機構と、を含み、前記第2移動装置は、前記昇降体に設置され、前記載置部を前記第2方向に出退させる出退機構を含み、前記旋回装置は、前記昇降体に設置され、前記載置部を前記上下方向に沿う軸心回りに旋回させる旋回機構を含むと好適である。
本構成によれば、物品移載装置が、台車と台車に立設されたマストに沿って昇降する昇降体とを備えた移動装置に搭載される場合に、移動装置に設けられている装置や機構を用いて、載置部調整制御のために必要な装置の少なくとも一部を構成することができる。よって、物品移載装置が上記のような移動装置に搭載される場合に、載置部調整制御を実行可能な物品移載装置を、構成の複雑化を抑制しつつ実現することができる。
上記の構成において、以下の(1)~(3)の少なくともいずれかの構成を備えると好適である。
(1)前記第1移動装置は、前記昇降体に設置され、前記載置部を前記第1方向に沿ってスライド移動させる第1スライド移動機構を更に含み、前記第1スライド移動機構は、前記第1方向における前記載置部の位置決め精度が前記台車よりも高い。
(2)前記第2移動装置は、前記昇降体に設置され、前記出退機構とは別に前記載置部を前記第2方向に沿ってスライド移動させる第2スライド移動機構を更に含み、前記第2スライド移動機構は、前記第2方向における前記載置部の位置決め精度が前記出退機構よりも高い。
(3)前記旋回装置は、前記昇降体に設置され、前記旋回機構である第1旋回機構とは別に前記載置部を前記上下方向に沿う軸心回りに旋回させる第2旋回機構を更に含み、前記第2旋回機構は、前記上下方向に沿う軸心回りの旋回方向における前記載置部の位置決め精度が前記第1旋回機構よりも高い。
本構成によれば、上記(1)の構成を備える場合には、物品と支持器との第1方向における相対位置を適正範囲内とするための、載置部の第1方向における位置の調整を、高精度に行いやすい。また、上記(2)の構成を備える場合には、物品と支持器との第2方向における相対位置を適正範囲内とするための、載置部の第2方向における位置の調整を、高精度に行いやすい。また、上記(3)の構成を備える場合には、物品と支持器との相対角度を適正範囲内とするための、載置部の角度の調整を、高精度に行いやすい。
本開示に係る物品移載装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。