[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP7533456B2 - ガラス、化学強化ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

ガラス、化学強化ガラスおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7533456B2
JP7533456B2 JP2021524761A JP2021524761A JP7533456B2 JP 7533456 B2 JP7533456 B2 JP 7533456B2 JP 2021524761 A JP2021524761 A JP 2021524761A JP 2021524761 A JP2021524761 A JP 2021524761A JP 7533456 B2 JP7533456 B2 JP 7533456B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
less
chemically strengthened
content
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021524761A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020246274A1 (ja
Inventor
拓実 馬田
健二 今北
雄介 荒井
新吾 浦田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Publication of JPWO2020246274A1 publication Critical patent/JPWO2020246274A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7533456B2 publication Critical patent/JP7533456B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C21/00Treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by diffusing ions or metals in the surface
    • C03C21/001Treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by diffusing ions or metals in the surface in liquid phase, e.g. molten salts, solutions
    • C03C21/002Treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by diffusing ions or metals in the surface in liquid phase, e.g. molten salts, solutions to perform ion-exchange between alkali ions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/076Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight
    • C03C3/083Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing aluminium oxide or an iron compound
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/076Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight
    • C03C3/089Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing boron
    • C03C3/091Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing boron containing aluminium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/076Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight
    • C03C3/095Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing rare earths
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/076Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight
    • C03C3/097Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing phosphorus, niobium or tantalum

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Description

本発明は、ガラス、より詳しくは高強度ガラス、化学強化ガラスおよびその製造方法に関する。
破壊靱性値は、ガラスの強度を評価するための重要な指標の一つであるが、ガラスの破壊靱性値を向上させるのは容易ではない。例えば特許文献1には、非常に高い破壊靱性値を有するガラスが開示されている。しかしこのガラスは、Al-SiOの2成分からなりAl含有量が多いガラスであって、通常のガラス製造方法では、溶融に用いる容器との界面で結晶が析出するためにガラス化が困難とされている。
通常のガラスを高強度化する方法として、化学強化法が知られている。例えば特許文献2には、リチウムを含有するアルミノシリケートガラスに2段階の化学強化処理を施すことで、表面の強度が高く、かつ圧縮応力層深さが大きい化学強化ガラスを得る方法が開示されている。
化学強化ガラスは、表面圧縮応力値や圧縮応力層深さが大きくなるほど強度が高くなる。一方で、表面に圧縮応力層を形成すると、ガラス内部には圧縮応力の総量に応じて内部引張応力が発生する。内部引張応力の値(CT)がある閾値を超えると、ガラスが割れる際の割れ方が激しくなる。この閾値は、CTリミットとも呼ばれる。
通常のガラスはCTリミットがあまり高くないので、化学強化による高強度化に限界がある。
日本国特開2016-50155号公報 日本国特表2013-536155号公報
特許文献1に記載されたような高い破壊靱性値を有するガラスであっても、ガラスの失透温度が1500℃以下でなければ、製造しにくく、実用的ではない。したがって、本発明は、破壊靱性値が高く、かつ製造しやすいガラスを提供する。また、本発明は、従来のガラスより高い強度を安定的に有するガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、破壊靱性値の大きいガラスについて、失透温度を下げて製造しやすくする方法を研究した結果、価数が大きく、イオン半径の小さいカチオン成分をガラス組成に加えることが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを40~65%、Alを25~40%、Y、La、Nb、Ta、WOから選択される1以上を合計で7~15%含有するガラスである。
本発明のガラスは、Yを5~15%含有してもよい。
また、本発明のガラスは、Y、La、Nb、Ta、WOの含有量の合計とAl含有量との比([Y]+[La]+[Nb]+[Ta]+[WO])/[Al]が0.2~0.6であってよい。
本発明のガラスは、LiOを2~15%含有することが好ましい。
また、本発明のガラスは、破壊靱性値が0.93MPa・m1/2以上であることが好ましい。
また、本発明のガラスは、失透温度が1500℃以下であることが好ましい。
また、本発明は酸化物基準のモル百分率表示で
SiOを40~65%、
Alを25~40%、
を7~15%、
LiOを2~15%含有する化学強化用ガラスを化学強化する、
化学強化ガラスの製造方法を提供する。
また、本発明は、化学強化ガラスであって、
化学強化ガラスの母組成が酸化物基準のモル%表示で
SiOを40~65%、
Alを25~40%、
を7~15%、
LiOを2~15%含有し、
表面から50μmの深さにおける圧縮応力値が150MPa以上である
化学強化ガラスを提供する。
また、本発明は、酸化物基準のモル百分率表示で、Alを25%以上含有するシリケートガラスであって、Y、La、Nb、TaおよびWOから選ばれる1種以上の成分を合計で7%以上含有するガラスを提供する。
本発明のガラスは、SiO-Al系ガラスにおいてイオン半径の小さいカチオン成分を特定範囲で含有することにより、破壊靱性値が大きく、かつ失透が生じにくい。また、本発明のガラスは、従来のガラスより高い強度を示すとともに、CTリミットが大きいことから化学強化用ガラスとして優れている。
図1は、ガラスA、Bについて、化学強化後の内部引張応力値(CT)と破砕数の関係を示した図である。 図2は、ガラスC~FについてY含有量と失透温度および破壊靱性値との関係を示した図である。
以下に、本発明の化学強化用ガラスについて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。
本明細書において、ガラス組成は酸化物基準のモル百分率表示で示し、モル%を単に%と記載することがある。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
ガラス組成において「実質的に含有しない」とは、原材料等に含まれる不可避の不純物を除いて含有しない、すなわち、意図的に含有させたものではないことを意味する。具体的には、例えば、ガラス組成中の含有量が、0.1モル%未満である。
本明細書において、「化学強化用ガラス」は、化学強化処理を施す前のガラスを指す。「化学強化ガラス」は、化学強化処理を施した後のガラスを指す。
本明細書において化学強化用ガラスのガラス組成を、化学強化ガラスの母組成ということがある。化学強化ガラスでは通常、ガラス表面部分にイオン交換による圧縮応力層が形成されるので、イオン交換されていない部分のガラス組成は化学強化ガラスの母組成と一致する。また、イオン交換されている部分についてもアルカリ金属酸化物以外の成分の濃度は母組成と一致する。
本明細書において「応力プロファイル」は、ガラス表面からの深さを変数として圧縮応力値を表したパターンである。負の圧縮応力値は、引張応力を意味する。また、「圧縮応力層深さ(DOC)」は、圧縮応力値(CS)がゼロとなる深さである。「内部引張応力値(CT)」は、ガラスの板厚tの1/2の深さにおける引張応力値をいう。
本明細書における応力プロファイルは、表層部分については、光導波表面応力計(例えば、株式会社折原製作所製FSM-6000)を用いて測定する。光導波表面応力計によれば、ガラス試料を薄片化する等の加工を施さずに応力値が測定できる。しかし、光導波表面応力計は、測定原理上、表面から内部に向かって屈折率が低くなる場合でなければ、応力を測定できない。結果的に、リチウムを含有するアルミノシリケートガラスを化学強化した場合には、ガラス板内部の圧縮応力を測定できない問題がある。
ガラス板内部の応力値は、散乱光光弾性応力計(例えば、株式会社折原製作所製SLP-1000)を用いて測定する。散乱光光弾性応力計によれば、ガラス内部の屈折率分布と関わりなく、ガラス試料を薄片化する等の加工を施さずに応力値を測定できる。散乱光光弾性応力計は表面散乱光の影響を受けやすいので、ガラス表面付近の応力値を正確に測定することが困難なので、表層部分は、光導波表面応力計で測定する。
本明細書においてCTリミットは、以下の手順で測定される破砕数が10以下となるCTの最大値である。
試験用ガラス板としては、15mm角で厚さが0.5mm以上1mm以下であり、かつ表面を鏡面仕上げとしたものを種々の条件で化学強化処理し、CT値の異なる複数の試験用ガラス板を準備する。この場合のCT値は、散乱光光弾性応力計を用いて測定できる。
また圧縮応力層深さ(DOC)を見積もる。ガラス板の厚さに対してDOCが大きすぎると引張応力層のガラス組成が変化して、CTリミットが正しく評価できない恐れがある。そこで、CTリミットの評価には、DOCが100μm以下のガラス板を用いることが好ましい。
ビッカース試験機を用いて、試験用ガラス板の中央部分に、先端の角度が90°のビッカース圧子を打ち込んでガラス板を破壊させ、破片の個数を破砕数とする。(ガラス板が二つに割れた場合の破砕数は2である。)非常に細かい破片が生じた場合は、1mmの篩を通過しなかった個数を数えて破砕数とする。
ただし、破片数が50を超える場合には、破砕数を50としてよい。破片数が多くなりすぎるとほとんどの破片が篩を通過してしまう等のために個数を正確に数えることが困難であるし、実際上、CTリミットの評価に及ぼす影響が少ないからである。また、ビッカース圧子の打ち込み荷重は3kgfから試験を開始し、ガラス板が割れなかった場合は、打ち込み荷重を1kgfずつ増やして、ガラス板が割れるまで試験を繰り返し、最初に割れた時の破片数を数える。
試験用ガラス板のCT値に対して、破砕数をプロットし、破砕数が10となる点のCT値を読み取ってCTリミットとする。
図1は、ガラス組成が異なるガラスA、ガラスBについて、CT値と破砕数をプロットした図である。ガラスAについては白抜きの菱形でプロットし、ガラスBについては黒丸でプロットしている。図1から、同じ組成のガラスであれば、CTが大きくなるほど破砕数が増えることがわかる。また、破砕数が10を超えると、CTの増大によって、破砕数が急激に増大することがわかる。
破砕数が10以下のなるべく大きい値となるCT値と破砕数が10より大きくかつなるべく小さい値になるCT値とから、破砕数が10となるCT値を読み取ってCTリミットとする。このとき、破砕数が10以下のなるべく大きい値は8以上とし、9以上が好ましい。破砕数が10より大きい点の破砕数は40以下であればよく、20以下がより好ましい。
表1にガラスA(SiO:70.4%、Al:13.0%、LiO:8.4%、NaO:5.3%、KO:1.0%、MgO:7.0%、CaO:0.2%、ZrO:1.0%)およびガラスB(SiO:53.6%、Al:32.1%、LiO:10.7%、Y:3.6%)についての測定結果を示す。ガラスAについては、破砕数が8であった応力値57MPaと破砕数が13であった応力値63MPaとから、CTリミットは60MPaと求められる。ガラスBについては、破砕数が8であった応力値88MPaと、破砕数が40であった応力値94MPaとから、CTリミットは88MPaと求められる。
Figure 0007533456000001
本明細書において、「化学強化ガラス」は、化学強化処理を施した後のガラスを指し、「化学強化用ガラス」は、化学強化処理を施す前のガラスを指す。
本明細書において、「化学強化ガラスの母組成」とは、化学強化用ガラスのガラス組成である。化学強化ガラスにおいては、極端なイオン交換処理がされた場合を除いて、板厚tの1/2の深さにおけるガラス組成は、化学強化ガラスの母組成と同様である。
本明細書において、ガラス組成は、特に断らない限り酸化物基準のモル百分率表示で表し、モル%を単に「%」と表記する。
また、本明細書において「実質的に含有しない」とは、原材料等に含まれる不純物レベル以下である、つまり意図的に含有させたものではないことをいう。具体的には、例えば0.1モル%未満である。
<ガラス>
本発明のガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、Alを25%以上含有するシリケートガラスであって、Y、La、Nb、TaおよびWOから選ばれる1種以上の成分を合計で7%以上含有することが好ましい。
本発明のガラスの一態様は、酸化物基準のモル百分率表示で、
SiOを40~65%、
Alを25~40%、
、La、Nb、TaおよびWOから選ばれる1種以上の成分を合計で7~15%含有することが好ましい。
特許文献1にも記載されているように、Alを多量に含有するシリケートガラスは、破壊靱性値が大きいが、失透温度が高く、安定的な製造が困難であった。
そこで本発明者等は、破壊靱性値の大きいガラスについて、失透温度を下げて製造しやすくする方法を研究した結果、価数が大きく、イオン半径の小さいカチオンの酸化物を加えることが有効であることを見出した。以下、このようなカチオンを、フィールドストレングスが大きいカチオンとよぶことがある。
Alが多量に含まれるSiO-Al系ガラスにフィールドストレングスが大きいカチオンの酸化物を添加すると、その添加量が少量の場合には、破壊靱性値が低下する。これは、アルミニウムイオンの配位数が変化するためと考えられる。しかし、そのような酸化物を多量に加えると、破壊靱性値が向上する。フィールドストレングスが大きいカチオンが周囲の酸素イオンを引き付けることで、充填密度の高いガラス構造が形成されるためと考えられる。また、フィールドストレングスが大きいカチオンの酸化物はSiOやAlとの組み合わせによる結晶を作りにくいため、失透温度が低下する。
フィールドストレングスが大きいカチオンの酸化物としては、例えば、Y、La、Nb、Ta、WOが挙げられる。
フィールドストレングスが大きいカチオンの効果は、Yを含有するガラスに関する次の実験で確認できる。
表2に示すガラスC、D、E、Fは、いずれもSiO、Al、LiO、Yの4成分からなるガラスであってSiO、Al、LiOの含有量比が等しく、Y含有量が異なっている。これらのガラスについて破壊靱性値と失透温度を測定したところ、図2のように、失透温度はY含有量が多いものほど低い傾向があり、Yをある程度以上含有させた場合に、高い破壊靱性値と低い失透温度が得られた。
Figure 0007533456000002
本発明者の検討によれば、失透温度が低下する効果はYにおいて特に顕著である。同様の効果は、La等についても認められる。
本発明のガラスの失透温度は製造しやすさの観点から1500℃以下が好ましく、1480℃以下がより好ましく、1450℃以下がさらに好ましい。また、失透温度は典型的には1200℃以上である。なお、失透温度は例えば実施例に記載の方法で測定できる。
本発明のガラスが板状である場合、その板厚(t)は、例えば2mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.9mm以下であり、特に好ましくは0.8mm以下であり、最も好ましくは0.7mm以下である。また板厚は、十分な強度を得るために、例えば0.1mm以上であり、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.4mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。
本発明のガラスは破壊靱性値が0.9MPa・m1/2以上であることが好ましい。破壊靱性値が大きいガラスは割れにくい。特に本発明のガラスを化学強化して用いる場合、破壊靱性値が大きいガラスはCTリミットが大きいので、化学強化によって大きな表面圧縮応力層を形成しても、激しい破砕が生じにくい。破壊靱性値は、0.93MPa・m1/2以上がより好ましく、0.95MPa・m1/2以上がさらに好ましい。また、破壊靱性値は通常、2.0MPa・m1/2以下であり、典型的には1.5MPa・m1/2以下である。
破壊靱性値は、例えば、DCDC法(Acta metall.mater. Vol.43、pp.3453-3458、1995)を用いて測定できる。
本発明のガラスのヤング率は、破壊靭性向上の観点から100GPa以上が好ましく、102GPa以上がより好ましく、105GPa以上がさらに好ましい。また、ヤング率は、加工しやすさの観点から、130GPa以下が好ましく、120GPa以下がより好ましい。
本発明のガラスは、化学強化用ガラスであってよい。本発明のガラスが化学強化用ガラスの場合は、リチウムアルミノシリケートガラスであることが好ましい。リチウムアルミノシリケートガラスは、最もイオン半径の小さいアルカリイオンであるリチウムイオンを含有しているので、種々の溶融塩を用いてイオン交換する化学強化処理により、好ましい応力プロファイルを有する化学強化ガラスが得られる。
本発明のガラスが化学強化用ガラスの場合、前述のCTリミットは、75MPa以上が好ましく、78MPa以上がより好ましく、80MPa以上がさらに好ましい。本発明のガラスのCTリミットは通常は95MPa以下である。
本発明のガラスを化学強化用ガラスとして用いる場合には、一態様として、
酸化物基準のモル百分率表示で
SiOを40~65%、
Alを25~40%、
を7~15%、
LiOを2~15%含有するガラスが好ましい。
以下、本発明のガラス組成について説明する。
本発明のガラスにおいて、SiOはガラスネットワーク構造を構成する成分であり、化学的耐久性を上げる成分である。十分な化学的耐久性を得るためには、SiOの含有量は40%以上が好ましく、44%以上がより好ましく、48%以上がさらに好ましい。
また、ガラスの強度を高くするためにSiOの含有量は65%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、55%以下がさらに好ましい。
Alは本発明のガラスの必須成分であり、ガラスの高強度化に寄与する成分である。Alの含有量は、十分な強度を得るために20%以上が好ましく、22%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましく、28%以上がよりさらに好ましく、30%以上が特に好ましい。Alの含有量は、溶融性を高くするために好ましくは40%以下、より好ましくは37%以下、さらに好ましくは35%以下である。
本発明のガラスは、Y、La、Nb、TaおよびWOから選ばれる1種以上の成分を合計で7%以上含有することが、失透温度を下げるために好ましい。かかる成分の合計の含有量は、より好ましくは8%以上、更に好ましくは9%以上である。
、La、Nb、TaおよびWOは、前述のフィールドストレングスが大きいカチオンの酸化物である。かかる酸化物は、上述のように、ヤング率や破壊靱性値を向上させる効果がある。
ヤング率が高くなりすぎると、加工しにくくなり、結果として歩留まりが低下することがある。Y、La、Nb、TaおよびWOから選ばれる1種以上の成分の合計の含有量は、ヤング率の上昇を適切な範囲に収めるために15%以下が好ましい。かかる成分の合計の含有量は、より好ましくは13%以下であり、更に好ましくは12%以下であり、特に好ましくは11%以下である。
本発明のガラス組成において、Y、La、Nb、TaおよびWOの合計の含有量と、Al含有量との比([Y]+[La]+[Nb]+[Ta]+[WO])/[Al]は、充填密度の高いガラス構造を形成するために0.2以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましい。([Y]+[La]+[Nb]+[Ta]+[WO])/[Al]はガラスが必要以上に高ヤング率となることを防ぐために0.6以下が好ましく、0.55以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。
本発明のガラスは溶解しやすさのためには、Yを含有することが好ましい。Yの含有量は5%以上が好ましく、7%以上がより好ましく、8%以上がさらに好ましい。Yの含有量は、必要以上に高ヤング率となることを防ぐために15%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、13%以下がさらに好ましく、12%以下が特に好ましい。
La、Nb、TaおよびWOは必須の成分ではないが、ガラスの脆さを改善する効果があるので、チッピングを防止する等のために含有させてもよい。
LiO、NaOおよびKO等のアルカリ金属酸化物(まとめてROと記載することがある)は、いずれも必須ではないがガラスの溶解温度を低下させる成分であり、1種以上を含有できる。
溶融温度を下げるためには、アルカリ金属酸化物の含有量は、合計で2%以上が好ましく、4%以上がより好ましく、6%以上がさらに好ましい。ROの含有量は、ガラスの強度を維持するために15%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、13%以下が更に好ましい。
本発明のガラスを化学強化して用いる場合、十分な圧縮応力をガラス中に導入するためには、本発明のガラスにおけるLiO含有量は2%以上が好ましく、4%以上がより好ましく、6%以上がさらに好ましく、8%以上が特に好ましい。
また、ガラスを製造する際または曲げ加工を行う際に、失透が生じることを抑制するためには、LiOの含有量は15%以下が好ましく、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下である。
NaOは必須ではないが、カリウムを含有する溶融塩を利用したイオン交換により表面圧縮応力層を形成する成分であり、またガラスの溶融性を向上させる成分である。NaOの含有量は0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、1.5%以上がさらに好ましい。また、NaOの含有量は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。
Oは必須ではないが、ガラスの溶融性を向上し、失透を抑制するために含有してもよい。KOの含有量は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上である。また、KOの含有量はイオン交換による圧縮応力値を大きくするために、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
本発明のガラスが化学強化用である場合、LiOの含有量とアルカリ金属酸化物の含有量の合計との比[LiO]/[RO]は十分な強度を得るために0.8以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。[LiO]/[RO]は1以下であり、ガラス製造時に溶解しやすくするためには0.95以下がより好ましい。
MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO等のアルカリ土類金属酸化物は、いずれもガラスの溶融性を高める成分であるが、脆性を劣化させる成分でもある。そのため、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOの含有量の合計(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)は15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
また、本発明のガラスに化学強化を施す場合、アルカリ土類金属酸化物は化学強化のイオン拡散速度を低下させる傾向がある。その際は、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOの含有量の合計(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
アルカリ土類金属酸化物中では、MgOは、含有しても脆性の劣化が然程大きくなく、ヤング率を向上させる傾向がある。MgOを含有する場合の含有量は0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましい。また、MgOの含有量は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。イオン交換性能を高くするためにはMgOの含有量は8%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
CaOを含有する場合の含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上である。また、脆性の劣化を抑えるためには、CaOの含有量は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。イオン交換性能を高くするためにはCaOの含有量は3%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。
SrOを含有する場合の含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上である。また、脆性の劣化を抑えるためには、SrOの含有量は3%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。イオン交換性能を高くするためにはSrOの含有量は2%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましい。
BaOを含有する場合の含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上である。また、脆性の劣化を抑えるためには、BaOの含有量は3%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。イオン交換性能を高くするためにはBaOの含有量は2%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
ZnOはガラスの溶融性を向上させる成分であり、含有してもよい。ZnOを含有する場合の含有量は、好ましくは0.2%以上であり、より好ましくは0.5%以上である。ガラスの耐候性を高くするためには、ZnOの含有量は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
は、必須ではないが、ガラス製造時の溶融性を向上させる等のために加えることができる。その場合、含有量は1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上が更に好ましい。一方、Bは多量に含有させると分相を引き起こしやすくなる成分であるため、Bの含有量は8%以下が好ましく、7%以下がより好ましく、6%以下が更に好ましい。
は、化学強化後の応力緩和を生じやすくする成分なので、化学強化ガラスの表面圧縮応力をより高くするためには、Bの含有量は8%以下が好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下、最も好ましくは5%以下である。
は、必須ではないが、ガラス製造時の溶融性を向上させる等のために加えることができる。また、イオン交換性能を向上させるために含有してもよい。Pを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上である。化学的耐久性を高くするためにはPの含有量は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
TiOは、ソラリゼーションを抑制する傾向があり、含有させてもよい。TiOを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.1%以上である。TiOの含有量は、溶融時の失透を抑制するために5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下が特に好ましい。
ZrOは、耐候性を向上させる傾向があり、含有させてよい。ZrOを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上である。また溶融時の失透を抑制するために、ZrOの含有量は6%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましい。
また、TiOとZrOの含有量の合計(TiO+ZrO)は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。(TiO+ZrO)は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
ガラスを着色する場合は、所望の特性の達成を阻害しない範囲において着色成分を添加してもよい。着色成分としては、例えば、Co、MnO、Fe、NiO、CuO、Cr、V、Bi、SeO、CeO、Er、Ndが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
着色成分の含有量は、合計で7%以下が好ましい。それによって、ガラスの失透を抑制できる。着色成分の含有量は、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは1%以下である。ガラスの透明性を高くしたい場合は、これらの成分は実質的に含有しないことが好ましい。
また、ガラス溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。Asは実質的に含有しないことが好ましい。Sbを含有する場合は、0.3%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
本発明のガラスは液相温度が、1600℃以下であることが好ましく、より好ましくは1550℃以下である。液相温度が低いことで、無容器法等の特殊な方法を用いずに製造できる。
本発明のガラスは1650℃におけるlogηが2以下であることが好ましい。
本発明のガラスは軟化点が1000℃以下であることが好ましく、より好ましくは950℃以下である。ガラスの軟化点が低いほど、曲げ成形等を行う場合に熱処理温度が低くなり、消費エネルギーが小さくなるのに加え、設備の負荷も小さくなるからである。軟化点が低すぎるガラスは、化学強化処理の際に導入する応力が緩和しやすく低強度になりやすい傾向にあるので、軟化点は550℃以上が好ましい。軟化点はより好ましくは600℃以上、さらに好ましくは650℃以上である。
軟化点はJIS R3103-1:2001に記載の繊維引き伸ばし法で測定できる。
本発明のガラスは、通常の方法で製造できる。例えば、ガラスの各成分の原料を調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。その後、公知の方法によりガラスを均質化し、ガラス板等の所望の形状に成形し、徐冷する。
その後、成形したガラスを必要に応じて研削および研磨処理して、ガラス基板を形成する。なお、ガラス基板を所定の形状及びサイズに切断する場合又はガラス基板の面取り加工を行う場合、後述する化学強化処理を施す前に、ガラス基板の切断や面取り加工を行えば、その後の化学強化処理によって端面にも圧縮応力層が形成されることから、好ましい。
本発明のガラスは、破壊靱性値が大きく、割れにくいガラスでありながら、製造しやすいので窓ガラスなどの構造用部材として有用である。また、化学強化する場合のCTリミットが大きいので、化学強化用ガラスとして優れている。
<化学強化ガラス>
本発明のガラスを化学強化した化学強化ガラス(以下、「本強化ガラス」ということがある。)が板状である場合、その板厚(t)は、例えば2mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.9mm以下であり、特に好ましくは0.8mm以下であり、最も好ましくは0.7mm以下である。また、充分な強度を得るために、板厚は、例えば0.1mm以上であり、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.4mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。
本発明のガラスを化学強化する場合の化学強化処理は、例えば、360~600℃に加熱された硝酸カリウム等の溶融塩中に、ガラス板を0.1~500時間浸漬することによって行える。なお、溶融塩の加熱温度としては、375~500℃が好ましく、また、溶融塩中へのガラス板の浸漬時間は、0.3~200時間が好ましい。
化学強化処理を行うための溶融塩としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物などが挙げられる。このうち硝酸塩としては、例えば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸銀などが挙げられる。硫酸塩としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム、硫酸銀などが挙げられる。炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。塩化物としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化銀などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
化学強化処理の処理条件は、ガラスの組成(特性)や溶融塩の種類、ならびに、所望の化学強化特性などを考慮して、適切な条件を選択すればよい。
また、化学強化処理は一回のみ行ってもよく、2以上の異なる条件で複数回の化学強化処理(多段強化)を行ってもよい。例えば、1段階目の化学強化処理として、イオン交換深さが大きくCSが比較的小さくなる条件で化学強化処理を行い、その後に、2段階目の化学強化処理として、イオン交換深さが比較的小さくCSが大きくなる条件で化学強化処理を行ってもよい。その場合、化学強化ガラスの最表面のCSを高めつつ、内部引張応力面積(St)を抑制でき、結果としてCTを低めに抑えることができる。
本発明のガラスから得られる化学強化ガラス(以下、本化学強化ガラスということがある)は、ガラス表面からの深さ50μmにおける圧縮応力値(CS50)が大きい。CS50は、150MPa以上が好ましく、160MPa以上がより好ましく、170MPa以上がさらに好ましい。CS50は通常は300MPa以下である。
本化学強化ガラスにおいて、圧縮応力値が0となる深さ(DOC)は、70μm以上が好ましい。DOCは、80μm以上がより好ましく、90μm以上がさらに好ましい。DOCは板厚tに対して大きすぎるとCTの増加を招くのでt/4以下が好ましく、t/5以下がより好ましい。具体的には、例えば板厚tが0.8mmの場合は、160μm以下が好ましい。
本化学強化ガラスの表面圧縮応力値(CS)は500MPa以上が好ましく、600MPa以上がより好ましく、700MPa以上がさらに好ましい。CSは、衝撃時のチッピングを防止するために1000MPa以下が好ましく、900MPa以下がより好ましい。
本化学強化ガラスにおいて、CTは、CTリミットを超えると激しい破壊が生じやすいため、CTリミット以下であることが好ましい。より好ましくは、CTリミットの0.95倍以下になるように調整する。
CTは圧縮応力の総量に比例するため、ある程度高くなければ高強度化できない。そのため、CTはCTリミットの0.7倍以上であることが好ましい。CTはCTリミットの0.75倍以上がより好ましく、0.8倍以上が更に好ましく、0.85倍以上が特に好ましい。
表面圧縮応力値(CS)は、光弾性を利用した表面応力計(例えば、株式会社折原製作所製FSM-6000)を用いて測定できる。しかし、化学強化前のガラス中のNa含有量が少ない場合等は、表面応力計による測定が困難である。
そのような場合に、曲げ強度を測定することで、表面圧縮応力値の大きさを推定できる場合がある。表面圧縮応力値が大きいほど、曲げ強度が大きくなる傾向があるからである。
曲げ強度は、例えば、10mm×50mmの短冊状の試験片を用い、支持具の外部支点間距離が30mm、内部支点間距離が10mm、クロスヘッド速度が0.5mm/minの条件で4点曲げ試験を行うことで評価できる。試験片の個数は、例えば10個とする。
本化学強化ガラスの4点曲げ強度は、500MPa以上が好ましく、600MPa以上がより好ましく、700MPa以上がさらに好ましい。本化学強化ガラスの4点曲げ強度は、普通、1000MPa以下であり、典型的には900MPa以下である。
本化学強化ガラスのガラス組成は、板厚方向の中心部分においては本発明のガラスのガラス組成と同じである。また、化学強化処理によってアルカリ金属イオンの濃度が異なっていることを除けば、全体として本発明のガラスと基本的に同じなので説明を省略する。
本発明のガラスの形状は、適用される製品や用途等に応じて、板状以外の形状でもよい。またガラス板は、外周の厚みが異なる縁取り形状などを有していてもよい。また、ガラス板の形態はこれに限定されず、例えば2つの主面は互いに平行でなくともよく、また、2つの主面の一方又は両方の全部又は一部が曲面であってもよい。より具体的には、ガラス板は、例えば、反りの無い平板状のガラス板であってもよく、また、湾曲した表面を有する曲面ガラス板であってもよい。
本発明のガラスは、必要に応じて化学強化して、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末等のモバイル電子機器に用いられるカバーガラスとして用いることができる。本発明のガラスは、携帯を目的としない、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、タッチパネル等の電子機器のカバーガラスにも有用である。また本発明のガラスは、窓ガラス等の建築用資材、テーブルトップ、自動車や飛行機等の内装等やそれらのカバーガラスとしても有用である。
本発明のガラスは、化学強化の前または後に曲げ加工や成形をおこなって平板状以外の形状にできるので、曲面形状を有する筺体等の用途にも有用である。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。G7~G9、G13~G14は、本発明のガラスの実施例であり、G10~G12、G15は参考例であり、G1~G6は比較例である。S4~S6は本化学強化ガラスの実施例であり、S1~S3は比較例である。なお、表中の各測定結果について、空欄は未測定であることを表す。
(ガラスの作製)
表3~4に酸化物基準のモル百分率表示で記載したガラス組成となるように、ガラス原料を調合し、溶解、研磨加工してガラス板を作製した。G1は、前述のガラスAである。また、表中のXは、Y、La、Nb、Ta、WOの含有量の合計を示す。
ガラス原料としては、酸化物、水酸化物、炭酸塩等の一般的なガラス原料を適宜選択し、ガラスとして900gとなるように秤量した。
混合したガラス原料を白金坩堝に入れ、1700℃で溶融し、脱泡した。そのガラスをカーボンボード上に流して、ガラスブロックを得、研磨加工し、板厚0.8mmの板状ガラスを得た。
(失透温度)
ガラスの一部を粉砕し、白金製皿にガラス粒を入れて1000℃~1700℃の範囲で一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理した。熱処理後のガラスを偏光顕微鏡で観察し、失透の有無を観察する方法で失透温度を見積もった。
(破壊靱性値)
破壊靱性値は、6.5mm×6.5mm×65mmのサンプルを作製し、DCDC法で測定した。その際、サンプルの65mm×6.5mmの面に、2mmΦの貫通穴を開けて評価した。
(ヤング率)
ヤング率は、超音波法で測定した。
(曲げ強度)
曲げ強度は、4点曲げ試験法により評価した。
(CTリミット)
得られた板状ガラスについて、前述の方法でCTリミットを測定した。すなわち、板状ガラスを、NaNO塩やKNO塩を用いて種々の条件で化学強化し、得られた化学強化ガラスについて散乱光光弾性応力計(株式会社折原製作所製 SLP-1000)を用いてCTを測定した後、CT値の異なる化学強化ガラス板にビッカース圧子を打ち込んで破砕数を測定することによりCTリミットを評価した。
ただし、G10~G12は、アルカリ金属酸化物を含有しないガラスであって、化学強化できないので測定しなかった。
Figure 0007533456000003
Figure 0007533456000004
(化学強化処理)
G1~2、G7~9のガラス板(サイズ:15mm×15mm×0.8mm)を化学強化して、化学強化ガラス(S1~S6)を得た。化学強化処理は、はじめにNaNO塩に、表5のNaNO処理欄に記載した温度と時間で浸漬した後、KNO塩にKNO処理欄に記載した温度と時間で浸漬する方法で行った。得られた化学強化ガラスについて、SLP-1000を用いて応力プロファイルを測定した。また、4点曲げ法により曲げ強度を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0007533456000005
表3および表4に示すように、本発明のガラスは、高破壊靱性と低失透温度とを両立させたガラスであった。また、表3および表4に示す本発明のガラスを化学強化したガラスは、比較例に対してCTリミットも高く、それゆえ表5に示すように深さ50μmの位置で150MPa以上の高い圧縮応力を有するように化学強化を行うことが可能であることがわかった。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2019年6月3日出願の日本特許出願(特願2019-103869)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (9)

  1. 酸化物基準のモル百分率表示で
    SiOを40~65%、
    Alを25~40%、
    、La、Nb、Ta、WOから選択される1以上を合計で~15%
    を5%以上、
    Li Oを4%以上含有するガラス。
  2. 酸化物基準のモル百分率表示で
    を5~15%含有する請求項1に記載のガラス。
  3. 酸化物基準のモル百分率表示で
    、La、Nb、Ta、WOの含有量の合計とAl含有量との比([Y]+[La]+[Nb]+[Ta]+[WO])/[Al]が0.2~0.6である請求項1または2に記載のガラス。
  4. LiOを~15%含有する請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 破壊靱性値が0.93MPa・m1/2以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス。
  6. 失透温度が1500℃以下である請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス。
  7. 酸化物基準のモル百分率表示で
    SiOを40~65%、
    Alを25~40%、
    を7~15%、
    LiOを~15%、
    、La 、Nb 、Ta 、WO から選択される1以上を合計で9~15%含有する化学強化用ガラスを化学強化する、
    化学強化ガラスの製造方法。
  8. 前記化学強化用ガラスの破壊靱性値が0.93MPa・m1/2以上である
    請求項7に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  9. 化学強化ガラスであって、
    化学強化ガラスの母組成が酸化物基準のモル%表示で
    SiOを40~65%、
    Alを25~40%、
    を7~15%、
    LiOを~15%
    、La 、Nb 、Ta 、WO から選択される1以上を合計で9~15%含有し、
    表面から50μmの深さにおける圧縮応力値が150MPa以上である
    化学強化ガラス。
JP2021524761A 2019-06-03 2020-05-22 ガラス、化学強化ガラスおよびその製造方法 Active JP7533456B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019103869 2019-06-03
JP2019103869 2019-06-03
PCT/JP2020/020365 WO2020246274A1 (ja) 2019-06-03 2020-05-22 ガラス、化学強化ガラスおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020246274A1 JPWO2020246274A1 (ja) 2020-12-10
JP7533456B2 true JP7533456B2 (ja) 2024-08-14

Family

ID=73653123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021524761A Active JP7533456B2 (ja) 2019-06-03 2020-05-22 ガラス、化学強化ガラスおよびその製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20220048809A1 (ja)
JP (1) JP7533456B2 (ja)
CN (1) CN113905992A (ja)
WO (1) WO2020246274A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022066574A1 (en) * 2020-09-25 2022-03-31 Corning Incorporated Stress profiles of glass-based articles having improved drop performance
CN116490477A (zh) * 2020-09-25 2023-07-25 康宁股份有限公司 具有改善的掉落性能的玻璃基制品的应力分布曲线
US20240002278A1 (en) * 2020-11-30 2024-01-04 Corning Incorporated Ion exchangeable glasses having high fracture toughness

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007031196A (ja) 2005-07-26 2007-02-08 Kyoto Univ 蛍光体及び発光ダイオード
JP2007161944A (ja) 2005-12-16 2007-06-28 Nippon Electric Glass Co Ltd 蛍光体
JP2015535521A (ja) 2012-11-21 2015-12-14 コーニング インコーポレイテッド 高硬度および高弾性率を有するイオン交換可能ガラス
WO2019009069A1 (ja) 2017-07-04 2019-01-10 Agc株式会社 ガラスボール

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1079122A (ja) * 1996-09-04 1998-03-24 Hoya Corp 情報記録媒体用基板に適した材料の選定方法、この方法を用いて選定した材料、この材料を用いた基板及び磁気ディスク
JP3965228B2 (ja) * 1997-08-12 2007-08-29 Hoya株式会社 化学強化ガラス基板及びその製造方法
JP4174883B2 (ja) * 1998-11-19 2008-11-05 旭硝子株式会社 情報記録媒体基板
KR102027956B1 (ko) * 2016-01-21 2019-10-02 에이지씨 가부시키가이샤 화학 강화 유리 및 화학 강화용 유리
WO2018199046A1 (ja) * 2017-04-28 2018-11-01 Agc株式会社 化学強化ガラスおよび化学強化用ガラス
WO2019060474A1 (en) * 2017-09-21 2019-03-28 Corning Incorporated TRANSPARENT SILICATE GLASSES WITH EXCHANGEABLE IONS AND HAVING HIGH BREAK RESISTANCE

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007031196A (ja) 2005-07-26 2007-02-08 Kyoto Univ 蛍光体及び発光ダイオード
JP2007161944A (ja) 2005-12-16 2007-06-28 Nippon Electric Glass Co Ltd 蛍光体
JP2015535521A (ja) 2012-11-21 2015-12-14 コーニング インコーポレイテッド 高硬度および高弾性率を有するイオン交換可能ガラス
WO2019009069A1 (ja) 2017-07-04 2019-01-10 Agc株式会社 ガラスボール

Also Published As

Publication number Publication date
US20220048809A1 (en) 2022-02-17
WO2020246274A1 (ja) 2020-12-10
JPWO2020246274A1 (ja) 2020-12-10
CN113905992A (zh) 2022-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7184073B2 (ja) 化学強化用ガラス
JP7260041B2 (ja) 化学強化ガラス
CN115385571B (zh) 化学强化玻璃以及化学强化用玻璃
US11639308B2 (en) Chemically strengthened glass, method for producing same, and glass for chemical strengthening
JP7115479B2 (ja) 結晶化ガラスおよび化学強化ガラス
JP2024096285A (ja) 化学強化ガラスおよび化学強化用ガラス
TWI820267B (zh) 玻璃、化學強化玻璃及包含其之電子機器
JPWO2014196407A1 (ja) 化学強化用ガラスおよび化学強化ガラス並びに化学強化ガラスの製造方法
KR102644011B1 (ko) 화학 강화용 유리
JP7420152B2 (ja) 化学強化ガラス物品およびその製造方法
JP7533456B2 (ja) ガラス、化学強化ガラスおよびその製造方法
JP6607356B2 (ja) ガラス、および、それを用いた化学強化ガラス
JPWO2020121888A1 (ja) 化学強化ガラス板、並びに化学強化ガラスを含むカバーガラス及び電子機器
JP7255594B2 (ja) 化学強化ガラスおよびその製造方法
WO2023243574A1 (ja) 化学強化用ガラス及びガラス
US20230399258A1 (en) Toughened glass plate, method for manufacturing toughened glass plate, and glass plate to be toughened

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240510

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7533456

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150