JP7533149B2 - 給電制御装置 - Google Patents
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Description
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は車両に搭載されている。電源システム1は、車両電源10、給電制御装置11及び負荷12を備える。車両電源10は、直流電源であり、例えばバッテリである。車両電源10の正極及び負極それぞれは、ユーザによって、正極端子Bp及び負極端子Bnに接続される。
給電制御装置11は、メインスイッチ20に加えて、第1電流出力回路21、第2電流出力回路22、逆流防止ダイオード23、温度差回路24、コンパレータ25、直流電源26、電流抵抗27、駆動回路28、スイッチ温度回路29及びマイコン30を有する。コンパレータ25は、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。
以上のように、駆動回路28は、ゲート電圧を調整することによって、メインスイッチ20をオン又はオフに切替える。
以上のことから、電線温度及びスイッチ温度が異常な温度に上昇することが防止される。また、電線電流が電流閾値を超える値に上昇することが防止される。
図2は第1電流出力回路21の回路図である。第1電流出力回路21は、サブスイッチ40、トランジスタ41及び差動増幅器42を有する。サブスイッチ40はNチャネル型のFETである。サブスイッチ40のドレイン及びソース間に寄生ダイオード40pが接続されている。寄生ダイオード40pのカソード及びアノードそれぞれは、サブスイッチ40のドレイン及びソースに接続されている。寄生ダイオード40pはサブスイッチ40の内部に形成されている。トランジスタ41はPチャネル型のFETである。トランジスタ41のソース及びドレイン間に寄生ダイオード41pが接続されている。寄生ダイオード41pのカソード及びアノードそれぞれは、トランジスタ41のソース及びドレインに接続されている。寄生ダイオード41pはトランジスタ41の内部に形成されている。差動増幅器42は、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。
以上のように、差動増幅器42は、メインスイッチ20のソースの電圧がサブスイッチ40のソースの電圧に一致するように、トランジスタ41のソース及びドレイン間の抵抗値を調整する。
Vh-(Rm・Ih)=Vh-(Rs・Is)
この式を展開することによって、電線電流Ihは下記式で表される。
Ih=(Rs/Rm)・Is
Is=Ih/K1
所定値K1は、前述したように、一定値であり、例えば1000である。メインスイッチ20の抵抗値Rmは、メインスイッチ20のスイッチ温度に応じて変動する。しかしながら、所定値K1は、スイッチ温度に無関係に一定値に維持される。
第2電流出力回路22は、第1電流出力回路21と同様に構成されている。第2電流出力回路22のトランジスタ41のドレインは電流抵抗27の一端に接続されている。第2電流出力回路22の出力電流は、Ih/K2で表される。第2電流出力回路22のサブスイッチ40もメインスイッチ20の近傍に配置されている。このため、所定値K2は、所定値K1と同様に、メインスイッチ20のスイッチ温度に無関係に一定値に維持される。
図3は電線Wの熱回路図である。温度差回路24は、電流が、電線Wの熱回路の熱と同様の通流(伝導)を行う回路である。そこで、まず、電線Wの熱回路を説明する。図3の下側には、電線Wの断面が示されている。図3の下側に示されているように、電線Wでは、電流が流れる棒状の導電体50の外面が絶縁体51によって覆われている。図3の上側に示す熱回路は、電線Wが導電体50及び絶縁体51を有する場合の熱回路である。電線電流は導電体50を介して流れる。電線電流が流れた場合、導電体50から熱が発生する。
ΔT=Jw・Rt・{1-exp(-t/(Ct・Rt))}・・・(1)
ここで、tは、電線Wが発熱している期間、即ち、電線Wを介して電流が通流している通電期間である。また、熱量Jwは、下記の(2)式で表される。
Jw=Ih2 ・Rw・・・(2)
熱量Jwは電線電流Ihに応じて変動する。
(1)式及び(2)式を用いて、電線電流Ifは下記の(3)式で表される。
図4は温度差回路24の第1例を示す回路図である。第1例では、温度差回路24は、第1抵抗70、第2抵抗71及び第1キャパシタ72を有する。第1抵抗70の一端は、逆流防止ダイオード23のカソードに接続されている。第1抵抗70の他端は接地されている。第1抵抗70の一端は、第2抵抗71の一端に接続されている。第2抵抗71の他端は第1キャパシタ72の一端に接続されている。第1キャパシタ72の他端は接地されている。第1キャパシタ72の一端は、コンパレータ25のプラス端に接続されている。
以上のように、温度差回路24における電流の通流は、電線Wの熱回路における熱の伝導と類似している。温度差回路24の第1例は、図3の上側に示す熱回路に対応する。
図5は給電制御装置11の動作例を示すタイミングチャートである。図5には、メインスイッチ20の状態の推移と、温度差の推移と、温度差回路24の出力電圧の推移とが示されている。各推移の横軸には時間が示されている。図5に示すように、駆動回路28がメインスイッチ20をオンに切替えた場合、電線電流は電線Wを介して流れ、電線温度と環境温度との温度差は上昇する。温度差が上昇した場合、温度差回路24の出力電圧も上昇する。
図6は給電制御装置11の効果の説明図である。図6では、発煙特性、スイッチ遮断特性及び温度差遮断特性それぞれが細い実線、一点鎖線及び太い実線で示されている。発煙特性では、種々の電線電流に関して、電線電流の通流が開始されてから電線Wが発煙するまでの通電期間が示されている。スイッチ遮断特性では、種々の電線電流に関して、電線電流の通流が開始されてからスイッチ温度が温度閾値に到達するまでの通電期間が示されている。温度差遮断特性では、種々の電線電流に関して、電線電流の通流が開始されてから温度差回路24の出力電圧が電圧閾値に到達するまでの通電期間が示されている。
電線Wの構造が図3の下側に示す構造とは異なる場合、電線Wの熱回路は図3の上側に示す構造とは異なる。温度差回路24の構成は、電線Wの熱回路に応じて変更される。以下では、温度差回路24の他例を説明する。
図7は、温度差回路24の第2例を示す回路図である。図7の上側には、電線Wの熱回路が示されている。図7の下側には、電線Wの熱回路に対応する温度差回路24が示されている。
図8は、温度差回路24の第3例を示す回路図である。図8の左側には、電線Wの熱回路が示されている。図8の右側には、電線Wの熱回路に対応する温度差回路24が示されている。
実施形態1においては、温度差回路24の出力電圧が電圧閾値以上であるか否かの判定は、コンパレータ25によって行われている。しかしながら、この判定を行う構成部はコンパレータ25に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
図9は、実施形態2における給電制御装置11の要部構成を示すブロック図である。実施形態2における給電制御装置11は、実施形態1における給電制御装置11が有する構成部の中で、コンパレータ25及び直流電源26を除く他の構成を有する。実施形態2における給電制御装置11では、温度差回路24は、コンパレータ25の代わりに、マイコン30に接続されている。
図10はマイコン30の要部構成を示すブロック図である。マイコン30は、出力部80、A/D変換部81、報知部82、記憶部83及び制御部84を有する。これらは内部バス85に接続されている。出力部80は、更に、駆動回路28に接続されている。A/D変換部81は温度差回路24に接続されている。
A/D変換部81には、温度差回路24の出力電圧のアナログ値が入力される。A/D変換部81は、温度差回路24の出力電圧について、アナログ値をデジタル値に変換する。制御部84は、A/D変換部81から、温度差回路24の出力電圧のデジタル値を取得する。
図11は給電制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部84は、メインスイッチ20がオフである状態で給電制御処理を実行する。給電制御処理では、制御部84は、負荷12を作動させるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1では、制御部84は、例えば、図示しない通信部が負荷12の作動を指示する作動信号を受信した場合、負荷12を作動させると判定する。制御部84は、通信部が作動信号を受信していない場合、負荷12を作動させないと判定する。制御部84は、負荷12を作動させないと判定した場合(S1:NO)、ステップS1を再び実行し、負荷12を作動させるタイミングが到来するまで待機する。
以上のように、温度差回路24の出力電圧が電圧閾値以上であるか否かの判定をマイコン30の制御部84が行う。この場合であっても、実施形態2における給電制御装置11は実施形態1における給電制御装置11が奏する効果を同様に奏する。また、実施形態2における給電制御装置11では、制御部84は、温度差回路24の出力電圧が第2の電圧閾値以下であるか否かを判定することによって、温度差回路24の異常を検知する。
実施形態3において、マイコン30は、実施形態2と同様に、温度差回路24の出力電圧が第2の電圧閾値未満であるか否かを判定してもよい。
以下では、実施形態3について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
図12は、実施形態3における給電制御装置11の要部構成を示すブロック図である。実施形態3における給電制御装置11では、温度差回路24は、コンパレータ25のプラス端だけではなく、マイコン30にも接続されている。温度差回路24の出力電圧は、コンパレータ25のプラス端と、マイコン30とに出力される。
マイコン30は実施形態2と同様に構成されている。従って、温度差回路24の出力電圧(アナログ値)は、A/D変換部81に出力される。マイコン30の制御部84は、コンピュータプログラムPを実行することによって、給電制御処理を実行する。
制御部84は、実施形態2と同様に、メインスイッチ20がオフである状態で給電制御処理を実行する。実施形態3における給電制御処理では、制御部84は、実施形態2における給電制御処理のステップS1~S3,S5~S9を実行する。実施形態3における給電制御処理では、制御部84は、温度差回路24の出力電圧が電圧閾値以上であるか否かの判定を行う必要はない。このため、制御部84は、ステップS3を実行した後、ステップS5を実行する。
実施形態3における給電制御装置11は実施形態2における給電制御装置11が奏する効果を同様に奏する。
実施形態1~3において、逆流防止ダイオード23は、第1電流出力回路21を介して流れる電流の電流経路に配置されていればよい。このため、逆流防止ダイオード23は、例えば、メインスイッチ20のドレインと、第1電流出力回路21との間に配置されていてもよい。また、実施形態1~3において、スイッチ温度が温度閾値以上であるか否かは、駆動回路28ではなく、マイコン30によって判定されてもよい。電線電流が電流閾値以上であるか否かも、駆動回路28ではなく、マイコン30によって判定されてもよい。
更に、第1電流出力回路21及び第2電流出力回路22それぞれにおいて、サブスイッチ40の代わりに抵抗を配置してもよい。
10 車両電源
11 給電制御装置
12 負荷
20 メインスイッチ
20p 寄生ダイオード
21 第1電流出力回路
22 第2電流出力回路
23 逆流防止ダイオード
24 温度差回路
25 コンパレータ
26 直流電源
27 電流抵抗
28 駆動回路(遮断部)
29 スイッチ温度回路
30 マイコン
40 サブスイッチ
40p 寄生ダイオード
41 トランジスタ
41p 寄生ダイオード
42 差動増幅器
50 導電体
51 絶縁体
60 熱源
61 第1熱抵抗
62 第1熱容量
63 第2熱抵抗
64 第2熱容量
65 第3熱抵抗
66 第3熱容量
70 第1抵抗
71 第2抵抗
72 第1キャパシタ
73 第3抵抗
74 第4抵抗
75 第2キャパシタ
76 第5抵抗
77 第3キャパシタ
80 出力部
81 A/D変換部
82 報知部
83 記憶部
84 制御部(処理部)
85 内部バス
A 記憶媒体
Bn 負極端子
Bp 正極端子
P コンピュータプログラム
Claims (8)
- 電線を介した給電を制御する給電制御装置であって、
電線を介して流れる電線電流に比例する電流を出力する電流出力回路と、
前記電流出力回路が出力した電流が入力される温度差回路と、
前記温度差回路の出力電圧が電圧閾値以上の電圧となった場合に前記電線電流の通流を遮断する遮断部と
を備え、
前記温度差回路は、
前記電線の電線温度、及び、前記電線周辺の環境温度の温度差を示す値として前記電流出力回路が出力した電流を取得し、
取得した電流の大きさに対応する前記温度差が大きい程、高い電圧を出力し、
前記温度差回路に通流する電流は、前記電線の熱伝導に類似する
給電制御装置。 - 前記電線電流の電流経路に配置されるスイッチを備え、
前記遮断部は、前記スイッチをオフに切替えることによって、前記電線電流の通流を遮断する
請求項1に記載の給電制御装置。 - 前記遮断部は、前記スイッチのスイッチ温度が温度閾値以上の温度となった場合に前記スイッチをオフに切替える
請求項2に記載の給電制御装置。 - 前記温度差回路はキャパシタを有し、
前記電線が発熱した場合、前記キャパシタは充電され、
前記電線が放熱した場合、前記キャパシタは放電し、
前記キャパシタの両端間の電圧が高い程、前記温度差回路が出力する出力電圧は高い
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電制御装置。 - 処理を実行する処理部を備え、
前記処理部は、
前記電線電流が通流している間に前記温度差回路の出力電圧を取得し、
取得した出力電圧が前記電圧閾値以上であるか否かを判定し、
前記遮断部は、前記処理部によって、前記出力電圧が前記電圧閾値以上であると判定した場合、前記電線電流の通流を遮断する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給電制御装置。 - 前記遮断部は、前記電線電流が電流閾値以上の電流となった場合に前記電線電流の通流を遮断する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の給電制御装置。 - 処理を実行する処理部を備え、
前記処理部は、
前記電線電流が通流している間に前記温度差回路の出力電圧を取得し、
取得した出力電圧が第2の電圧閾値以下であるか否かを判定し、
前記第2の電圧閾値は、前記電圧閾値未満である
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の給電制御装置。 - 前記電流出力回路を介して流れる電流の第2の電流経路に配置されるダイオードを備える
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の給電制御装置。
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