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JP5776946B2 - 電力供給制御装置 - Google Patents

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JP5776946B2
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Description

本発明は、電力供給制御装置に関し、特に、電源と負荷との間に設けられ負荷への電力供給を制御する電力供給制御装置において、電力供給制御装置に設けられるヒューズの使用を考慮した負荷電流の制御技術に関する。
従来、電源と負荷とを接続する給電経路内に、例えばパワーMOSFETなどの大電力用半導体スイッチ素子を設け、この半導体スイッチ素子をオン・オフさせることにより負荷への電流供給を制御するとともに、負荷への給電路を過電流から保護するようにした電力供給制御装置が提供されている。このような電力供給制御装置では、過電流が流れると上記半導体スイッチ素子の制御端子の電位を制御回路によって制御して当該半導体スイッチ素子をオフにして給電を遮断するものが知られている。また、このような電力供給制御装置では、さらなる保護とさしてヒューズ(溶断ヒューズ)が設けられているものが知られている(文献1参照)。
特開2011−77698号公報
ところで、ヒューズの選定は、負荷の温度特性、負荷のバラツキ、電源電圧の上昇等によって負荷電流が増加した場合を考慮して行われる。その際、通常、負荷電流が増加した場合であってもヒューズの定格電流を超えないように、ヒューズの選定が行われる。例えば、通常の負荷電流が12Aであっても、定格電流が15Aおよび20Aのヒューズがある場合、負荷電流の変動を見越して、定格電流20Aのヒューズが選定される場合が多い。この場合、ヒューズの選定が必ずしも適正とは言えず、オーバースペックとなってヒューズが必要以上に大型化し、それにより電線径が太くなる虞があった。
本発明は、ヒューズを有する電力供給制御装置において、ヒューズの選定を適正化し、電線径を細くすることができる技術を提供する。
本明細書によって開示される電力供給制御装置は、電源から負荷へ電力を供給する給電路に接続され、前記電源から前記負荷への電力供給を制御する電力供給制御装置であって、前記給電路に設けられ、電流と溶断時間との関係を示す所定の溶断特性を有するヒューズと、前記給電路に設けられ、前記電源から前記負荷への負荷電流の供給のオン・オフを切替えるスイッチ回路と、前記ヒューズが前記溶断特性による使用許容領域において使用される場合において、前記ヒューズの電力損失の平均値が、前記ヒューズを該ヒューズの定格電流以下の所定負荷電流で使用した際の所定電力損失にほぼ等しくなるように、前記スイッチ回路のオン・オフの切替えを制御する制御回路とを備える。
本構成によれば、負荷電流がヒューズの定格電流を超える場合であっても、平均電力損失が、所定電力損失にほぼ等しくなるように、スイッチ回路のオン・オフの切替えが制御される。それによって、負荷電流がヒューズの定格電流を超えることがあっても、ヒューズをその使用許容領域において安全に使用することができる。そのため、例えば、所定負荷電流が12Aである場合のヒューズの選定において、定格電流が20Aのヒューズに代えて、定格電流が15Aのヒューズを選定することができる。すなわち、ヒューズの選定を適正化することができる。その結果、必要以上の定格電流のヒューズを使用することを回避でき、使用するヒューズを小型化することができる。すなわち、ヒューズを有する電力供給制御装置において、ヒューズの選定を適正化し、それにより電線径を細くすることができる。
上記電力供給制御装置において、前記制御回路は、前記ヒューズの電力損失の平均値が、前記所定電力損失にほぼ等しくなるように、前記スイッチ回路をオン・オフ制御するデューティ比を設定し、設定された前記デューティ比によって前記スイッチ回路をPWM制御するようにしてもよい。
本構成によれば、スイッチ回路をオン・オフ制御するデューティ比を設定することによって、簡易および好適に、ヒューズの電力損失の平均値を、所定電力損失にほぼ等しくすることができる。
また、上記電力供給制御装置において、前記負荷電流を検出し、電流検出信号を生成する電流検出部をさらに備え、前記制御回路は、前記電流検出信号に基づいて前記負荷電流を監視し、前記負荷電流に対する、前記所定負荷電流の電流比を算出し、前記電流比の2乗を前記デューティ比として設定するようにしてもよい。
本構成によれば、ヒューズの電力損失は負荷電流の二乗に比例するため、負荷電流に対する、所定負荷電流の電流比の2乗をデューティ比とすることによって、好適に、ヒューズの電力損失の平均値を、所定電力損失にほぼ等しくすることができる。
また、上記電力供給制御装置において、前記給電路に接続され、前記電源の電源電圧を検出し、電圧検出信号を生成する電圧検出部をさらに備え、前記制御回路は、前記電圧検出信号に基づいて前記電源電圧を監視し、前記電源電圧に対する、前記所定負荷電流に対応した所定電源電圧の電圧比を算出し、前記電圧比の2乗を前記デューティ比として設定するようにしてもよい。
ヒューズの電力損失はヒューズの電圧降下の二乗に比例する。そのため、ヒューズの電圧降下が電源電圧に比例する場合、電源電圧に対する、所定負荷電流に対応した所定電源電圧の電圧比の2乗をデューティ比とすることによって、好適に、ヒューズの電力損失の平均値を、所定電力損失にほぼ等しくすることができる。
また、上記電力供給制御装置において、前記負荷電流を検出する電流検出部と、環境温度を検出する温度検出部と、前記ヒューズの前記環境温度からの上昇温度を、前記ヒューズに流れる前記負荷電流による前記ヒューズの発熱と、前記ヒューズの放熱との差に基づいて算出し、前記環境温度に前記ヒューズの前記上昇温度を加算して演算ヒューズ温度を算出するヒューズ温度演算回路とをさらに備え、前記制御回路は、前記演算ヒューズ温度によって前記ヒューズの温度を推定し、前記ヒューズの温度が第1閾温度に達した以後、前記スイッチ回路のオン・オフの切り替えを制御し、前記ヒューズ温度を、前記第1閾温度に維持することによって、または、前記第1閾温度と該第1閾温度より低い第2閾温度の間に維持することによって、前記ヒューズの電力損失の平均値を、前記ヒューズを該ヒューズの定格電流以下の所定負荷電流で使用した際の所定電力損失にほぼ等しくなるように制御するようにしてもよい。
本構成によれば、ヒューズの選定を適正化することができるとともに、負荷電流、あるいは電源電圧が変動する場合であっても、ヒューズ温度が推定されるため、選定されたヒューズを不要に溶断させることなく、設定される第1閾温度の状態、または、第1閾温度と第1閾温度より低い第2閾温度との間の所定温度範囲内の温度の状態で使用することができる。
また、上記電力供給制御装置において、前記制御回路は、前記第1閾温度で前記スイッチ回路をオフし、前記第2閾温度で前記スイッチ回路をオンすることにより、前記ヒューズ温度を前記第1閾温度と前記第2閾温度の間の値に維持するようにしてもよい。
本構成によれば、ヒューズ温度を、第1閾温度と第2閾温度との間の所定温度範囲内の温度に維持できる。
その際、前記制御回路は、前記スイッチ回路のオン期間中における前記ヒューズ温度の上昇率に応じて、次のオン期間の長さを決定するようにしてもよい。
本構成によれば、ヒューズ温度の上昇率に応じて、すなわち負荷電流の大きさに対応して、閾温度を超えないように、ヒューズ温度を制御できる。
本発明の電力供給制御装置によれば、ヒューズを有する電力供給制御装置において、ヒューズの選定を適正化することができる。
本発明の実施形態1に係る電力供給制御装置の概略的なブロック図 ヒューズの溶断特性を概略的に示すグラフ 実施形態1に係る各信号の時間推移を概略的に示すタイムチャート 本発明の実施形態2に係る電力供給制御装置の概略的なブロック図 実施形態2に係る各信号の時間推移を概略的に示すタイムチャート
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1から図3を参照しつつ説明する。
1.回路構成
電力供給制御装置10は、図1に示されるように、電源Baと負荷50との間において、電源Baから負荷50へ電力を供給する電線(給電路の一例)51に接続され、電源Baから負荷50へ電力供給を制御する。
電力供給制御装置10は、制御回路20、ヒューズ21、電圧検出回路22、電流検出回路23、スイッチ回路30、および電源ライン(給電路の一例)40を含む。
なお、実施形態1においては、電力供給制御装置10は、例えば、自動車のエンジンルーム内に配置される例を示す。また、電源Baはバッテリであり、負荷50として例えばライトが、電線51を介して電力供給制御装置10によって駆動制御される例が示される。
ヒューズ21は電源ライン40に設けられ、電流と溶断時間との関係を示す所定の溶断特性を有する。ここで、ヒューズ21の定格電流Ifsを、例えば、15A(アンペア)とし、その溶断特性が、図2の溶断特性線によって示される。通常、ヒューズ21の定格電流Ifsは、図2に示されるように、ヒューズ21の溶断特性線によって区分される使用許容領域内において、電流Iの流れる時間に関係なくヒューズ21が溶断しないことを保証する電流値として設定されている。なお、図2の各軸は対数で示される。
スイッチ回路30は、電源ライン40に対して直列に設けられ、すなわち、電源ライン40の途中に設けられ、電源Baから負荷50への負荷電流Irの供給のオン・オフを、制御回路20からの制御信号Sgcに応じて切替える。ここで、スイッチ回路30は半導体スイッチとして構成され、負荷50に電力を供給するメインスイッチ31と負荷電流Irを検出するためのセンストランジスタ(電流検出部の一例)32とを含む。メインスイッチ31およびセンストランジスタ32は、例えば、図1に示されるように、NチャネルFET(電界効果トランジスタ)によって構成される。
電圧検出回路(電圧検出部の一例)22は、電源ライン40に対して並列接続され、電源Baの電源電圧Vbを検出し、電源電圧Vbをアナログ−デジタル変換して、デジタル信号である電圧検出信号SVを生成する。電圧検出信号SVは、制御回路20に供給される。電圧検出回路22は、例えば、ボルテージフォロア、あるいは分圧抵抗によって構成される。なお、本実施形態において、電圧検出回路22は省略されてもよい。
電流検出回路(電流検出部の一例)23は、センストランジスタ32に接続され、負荷電流Irを検出し、負荷電流Irをアナログ−デジタル変換して、デジタル信号である電流検出信号SIを生成する。
制御回路20は、例えば、CPUによって構成される。制御回路20は、電流検出信号SIあるいは電圧検出信号SVに基づいて、スイッチ回路30のオン・オフの切替えを制御するための、制御信号Sgcを生成し、制御信号Sgcによって、スイッチ回路30を制御する。詳しくは、制御回路20は、制御信号Sgcをメインスイッチ31およびセンストランジスタ32のゲートに供給して、メインスイッチ31およびセンストランジスタ32のオン・オフの切替えを制御する。
2.電力供給制御装置の動作
次に図3を参照して、実施形態1における電力供給制御装置10の特徴的な動作を説明する。なお、説明の便宜上、負荷50の抵抗値を1オーム(Ω)とし、ヒューズ21の抵抗値は負荷50の抵抗値と比べて無視できるほど小さいものとする。そのため、図3に示されるように、電源電圧Vbの検出電圧Vdの数値と、負荷電流Irの検出電流Idの数値とは等しくなる。
特徴的な動作として、制御回路20は、ヒューズ21が図2の使用許容領域において使用される場合において、ヒューズ21の電力損失の平均値(以下、「平均電力損失」と記す)Pfavが、ヒューズ21を定格電流Ifs以下の所定負荷電流Ioで使用した際の所定電力損失Poにほぼ等しくなるように、スイッチ回路30のオン・オフの切替えを制御する。
その際、制御回路20は、平均電力損失Pfavが、所定電力損失Poにほぼ等しくなるように、スイッチ回路30をオン・オフ制御するデューティ比Duを設定し、設定されたデューティ比Duによってスイッチ回路30をPWM制御する。
また、その際、制御回路20は、電流検出信号SIに基づいて負荷電流Irを監視し、負荷電流Irに対する、所定負荷電流Ioの電流比(所定負荷電流Io/負荷電流Ir)を算出し、算出された電流比の2乗をデューティ比Duとして設定する。
このようにPWM制御のデューティ比Du、すなわち、制御信号Sgcのデューティ比Duを設定することにより、負荷電流Irがヒューズ21の定格電流Ifsを超えることがあっても、ヒューズ21を図2の使用許容領域において安全に使用することができる。
以下、その具体例を、図3を参照して説明する。ここでは、ヒューズ21の定格電流Ifsを「15A」とし、定格電流Ifs以下の所定負荷電流Ioを、「12A」とする。また、負荷の定格電流は12Aであり、12Aで正常に動作するため、それ以上の電流を供給する必要はない。そして、スイッチ回路30のデューティ比Duは、平均電力損失Pfavが、ヒューズ21を「12A」の負荷電流Irで使用した際の所定電力損失Poにほぼ等しくなるように、設定される。その際、デューティ比Duは、負荷電流Irに対する、所定負荷電流Ioの電流比の2乗に設定される。なお、ここで、ヒューズ21の電力損失として、電源電圧Vbの投入時等の過渡的な電力損失は除かれるものとする。
図3に示されるように、制御回路20は、負荷電流Irが、すなわち検出電流値Idが、所定負荷電流Ioである「12A」である場合、デューティ比Duを「100%」に設定する。そして、検出電流値Id(負荷電流Ir)が12Aである場合のヒューズ21の電力損失Pfが、所定電力損失Poとされる。図3に示されるように、所定電力損失Poは、ヒューズ21を定格電流Ifsで使用した場合の電力損失Pfsより小さい値となる。なお、図3に示される検出電流値Idは、電流検出信号SIの最大値、すなわち検出電流の最大値とする。
例えば、負荷電流Irの検出電流値Idが「14A」である場合、すなわち図3の時刻t1までの期間においては、負荷電流Irに対する所定負荷電流Ioの電流比の2乗は、(12/14)≒0.734となる。そのため、制御回路20は、ゲート制御信号Sgcのデューティ比Duを、約「73%」に設定する。このとき、負荷電流Irは、図3に示されるように、デューティ比Duが73%のパルス電流となる。
ここで、ヒューズ21の抵抗値をRfとすると、ヒューズ21の平均電力損失値Pfavは、Pfav=Id×Du×Rf=196×0.73×Rf≒144Rf となる。
一方、所定電力損失Poは、Po=(所定負荷電流Io)×Rf=12×Rf=144Rf となり、平均電力損失Pfavは、所定電力損失Poにほぼ等しくなる。
また、同様に、例えば、負荷電流Irの検出電流値Idが、定格電流を超える「16A」である場合、すなわち図3の時刻t1から時刻t2までの期間においては、負荷電流Irに対する所定負荷電流Ioの電流比の2乗は、(12/16)=0.56となる。そのため、ゲート制御信号Sgcのデューティ比Duを、「56%」に設定することによって、平均電力損失Pfavが、所定電力損失Poにほぼ等しくなる。
このように、ヒューズ21の平均電力損失Pfavが、ヒューズ21を定格電流Ifs以下の所定負荷電流Ioで使用した際の所定電力損失Poにほぼ等しくされる。それによって、負荷電流Irが、使用許容領域内においてヒューズ21の定格電流Ifsを超える場合であっても、ヒューズ21を使用許容領域において安全に使用することができる。
3.実施形態1の効果
負荷電流Irがヒューズ21の定格電流Ifsを超える場合であっても、平均電力損失Pfavが、所定電力損失Poにほぼ等しくなるように、PWM制御のデューティ比Du、すなわち制御信号Sgcのデューティ比Duが設定される。それによって、負荷電流Irがヒューズ21の定格電流Ifsを超えることがあっても、ヒューズ21を図2の使用許容領域において安全に使用することができる。そのため、例えば、所定負荷電流Ioが12Aである場合のヒューズ21の選定において、定格電流が20Aのヒューズに代えて、定格電流が15Aのヒューズを選定することができる。すなわち、ヒューズ21の選定を適正化し、電線径を細くすることができる。その結果、必要以上の定格電流のヒューズ21を使用することを回避でき、使用するヒューズ21を小型化することができる。
<実施形態2>
次に、図4および図5を参照して、実施形態2の電力供給制御装置10Aを説明する。なお、主に、実施形態1の電力供給制御装置10との相違点について説明し、重複する説明は割愛する。
図4に示されるように、電力供給制御装置10Aは、電圧検出回路22に代えて、環境温度センサ(温度検出部の一例)24およびヒューズ温度演算回路25を含む。
環境温度センサ24は、例えば、ヒューズ21の近傍に設けられ、ヒューズ21の近傍の環境温度Taを検出する。検出された環境温度Taの情報は、ヒューズ温度演算回路25に提供される。
ヒューズ温度演算回路25は、以下に示すように、ヒューズ21の環境温度Taからの上昇温度ΔTfを、ヒューズ21に流れる負荷電流Irによるヒューズ21の発熱と、ヒューズ21の放熱との差に基づいて算出し、環境温度Taにヒューズ21の上昇温度ΔTfを加算して演算ヒューズ温度Tfを算出し、演算ヒューズ温度Tfによって実際のヒューズ温度TFを推定する。そして、ヒューズ温度演算回路25は、演算ヒューズ温度Tfの情報を制御回路20に提供する。
ここで、ヒューズ温度演算回路25は、例えば、所定時間Δt毎に負荷電流Irをサンプリングし、各負荷電流Irの値を下式(1)に代入して、ヒューズ上昇温度ΔTfを算出する。
ΔTf(n)=ΔTf(n−1)×exp(−Δt/τf)+Rthf
×Rf(n−1)×Ir(n−1)×(1−exp(−Δt/τf)) ……(1)
ここで、Ir(n):検出n(1以上の整数)回目の検出負荷電流値(A)
ΔTf(n):検出n回時でのヒューズ上昇温度(℃)
Rf(n)=Rf(0)×(1+κf×(Tf−To))
:検出n回時のヒューズ抵抗(Ω)
Rf(0):温度Toでのヒューズ抵抗(Ω)
Rthf:ヒューズ熱抵抗(℃/W)
τf:ヒューズ放熱時定数(s)
κf:ヒューズ抵抗温度係数(/℃)
なお、式(1)において、電流Irが含まれない第1項がヒューズ21の放熱を示し、負荷電流Irを含む第2項が負荷電流Irによるヒューズ21の発熱を示している。すなわち、スイッチ回路30がオフされ負荷電流Irが遮断されて負荷電流Irが無い場合は、ヒューズ21の放熱によって、演算ヒューズ温度Tfが決定される。
制御回路20は、演算ヒューズ温度Tfによってヒューズ温度TFを推定する。また、制御回路20は、ヒューズの温度TFが閾温度(第1閾温度の一例)Tthに達した以後、実施形態1と同様な方法によって、スイッチ回路30のオン・オフの切替えを制御することによって、ヒューズ温度TFを閾温度Tthに維持する。その結果、ヒューズ21の電力損失の平均値Pfavが所定電力損失Poにほぼ等しくなるように制御される。
なお、閾温度Tthは、スイッチ回路30のオン・オフの切替えを制御する場合のヒューズ21の上限温度として、予め実験等において決定される。その際、閾温度Tthは、図5に示されるように、ヒューズ21の溶断温度TMに対して所定のマージンを持たせて決定される。
その際、制御回路20は、スイッチ回路30のオン期間Kon中におけるヒューズ温度TFの上昇率に応じて、次のオン期間Konの長さを決定するようにしてもよい。例えば、ヒューズ温度TFの上昇率が大きいほど、次回のオン期間Konの長さを短くするようにしてもよい。
例えば、図5において、時刻t0において負荷電流Irの供給か開始され、時刻t3において、ヒューズ温度TFが閾温度Tthに達したとする。時刻t0から時刻t3までのヒューズ温度TFの上昇率を「α」とすると、上昇率αが大きいほど、時刻t4からのオン期間Konの長さを短くするようにする。
これは以下の理由による。通常、上昇率αは負荷電流Irに依存し、負荷電流Irのオフ期間Koffにおけるヒューズ温度TFの低下は、負荷電流Irに依存しないからである。すなわち、上昇率αが大きい場合は負荷電流Irが大きい場合に相当する。そのため、ヒューズ温度TFの上昇を抑制するために、負荷電流Irを低減させて、ヒューズ21の平均電力損失Pを低減させる必要があるからである。
なお、ヒューズ温度TFが閾温度Tthに達した以後における、スイッチ回路30のオン・オフの切替え周期は、図5に示される温度ヒステリシスの設定量に応じて、適宜、決定されればよい。
また、制御回路20は、ヒューズの温度TFが閾温度(第1閾温度)Tthに達した以後、ヒューズ温度TFを閾温度Tthに維持することに限られない。制御回路20は、閾温度Tthでスイッチ回路を30オフし、閾温度Tthより低い第2閾温度でスイッチ回路30をオンすることにより、ヒューズ温度TFを閾温度Tthと第2閾温度の間の値に維持するようにしてもよい。この場合、ヒューズ温度TFを、閾温度Tthと第2閾温度との間の所定温度範囲内の温度に維持できる。
4.実施形態2の効果、
上記したように、実施形態2においては、ヒューズ温度TFが所定の閾温度Tthを超えないように、ヒューズ温度TFを推定しながら、スイッチ回路30のオン・オフの切替えが制御される。その結果、ヒューズ21の電力損失の平均値Pfavが所定電力損失Poにほぼ等しくなるように制御される。そのため、ヒューズ21の選定を適正化することができるとともに、負荷電流Ir、あるいは電源電圧Vbが変動する場合であっても、選定されたヒューズ21を不要に溶断させることなく、負荷50に電力を供給することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1においては、制御回路20は、電流検出信号SIに基づいて負荷電流Irを監視し、負荷電流Irに対する、所定負荷電流Ioの電流比を算出し、電流比の2乗をデューティ比Duとして設定する例を示したが、これに限られない。制御回路20は、電圧検出信号SVに基づいて電源電圧Vbを監視し、電源電圧Vbに対する、所定負荷電流Ioに対応した所定電源電圧Vo(図2では12V)の電圧比(所定電源電圧Vo/電源電圧Vb)を算出し、その電圧比の2乗を制御信号(PWM信号)Sgcのデューティ比として設定するようにしてもよい。
ヒューズ21の電力損失Pfはヒューズの電圧降下の二乗に比例する。そのため、ヒューズ21の電圧降下が電源電圧Vbに比例する場合、例えば、負荷抵抗値が一定の場合、電源電圧Vbに対する、所定負荷電流Ioに対応した所定電源電圧Voの電圧比の2乗をデューティ比とすることによって、好適に、ヒューズの電力損失の平均値Pfavを、所定電力損失Poにほぼ等しくすることができる。
(2)上記実施形態では、ヒューズ21の平均電力損失値Pfavが、所定電力損失Poにほぼ等しくなるように、スイッチ回路30のオン・オフの切替えを制御する際に、デューティ比Duを設定し、設定されたデューティ比Duによってスイッチ回路30をPWM制御する例を示したが、必ずしもこれに限られない。例えば、所定のデューティ比Duを設定せずに、所定時間における平均電力損失値Pfavを算出し、算出された平均電力損失値Pfavが所定電力損失Poにほぼ等しくなるように、任意のオン時間およびオフ時間によってスイッチ回路30のオン・オフを切替えるようにしてもよい。
(3)上記実施形態において、電力供給制御装置10、10Aの各回路を個別の回路として構成する例を示したが、これに限られない。例えば、環境温度センサ24およびスイッチ回路30を除いて、電力供給制御装置10、10Aを、ASIC(特定用途向け集積回路)によって構成するようにしてもよい。
10…電力供給制御装置、20…制御回路、21…ヒューズ、22…電圧検出回路、23…電流検出回路(電流検出部)、24…環境温度センサ、25…ヒューズ温度演算回路、30…スイッチ回路、31…メインスイッチ(スイッチ回路)、32…センストランジスタ(電流検出部)、40…電源ライン(給電路)、51…電線(給電路)、Ir…負荷電流、Ta…環境温度、TF…ヒューズ温度、Tf…演算ヒューズ温度、ΔTf…ヒューズの上昇温度、

Claims (7)

  1. 電源から負荷へ電力を供給する給電路に接続され、前記電源から前記負荷への電力供給を制御する電力供給制御装置であって、
    前記給電路に設けられ、電流と溶断時間との関係を示す所定の溶断特性を有するヒューズと、
    前記給電路に設けられ、前記電源から前記負荷への負荷電流の供給のオン・オフを切替えるスイッチ回路と、
    前記ヒューズが前記溶断特性による使用許容領域において使用される場合において、前記ヒューズの電力損失の平均値が、前記ヒューズを該ヒューズの定格電流以下の所定負荷電流で使用した際の所定電力損失にほぼ等しくなるように、前記スイッチ回路のオン・オフの切替えを制御する制御回路と、
    を備えた、電力供給制御装置。
  2. 前記制御回路は、前記ヒューズの電力損失の平均値が、前記所定電力損失にほぼ等しくなるように、前記スイッチ回路をオン・オフ制御するデューティ比を設定し、設定された前記デューティ比によって前記スイッチ回路をPWM制御する、請求項1に記載の電力供給制御装置。
  3. 前記負荷電流を検出し、電流検出信号を生成する電流検出部をさらに備え、
    前記制御回路は、前記電流検出信号に基づいて前記負荷電流を監視し、
    前記負荷電流に対する、前記所定負荷電流の電流比を算出し、前記電流比の2乗を前記デューティ比として設定する、請求項2に記載の電力供給制御装置。
  4. 前記給電路に接続され、前記電源の電源電圧を検出し、電圧検出信号を生成する電圧検出部をさらに備え、
    前記制御回路は、前記電圧検出信号に基づいて前記電源電圧を監視し、前記電源電圧に対する、前記所定負荷電流に対応した所定電源電圧の電圧比を算出し、前記電圧比の2乗を前記デューティ比として設定する、請求項2に記載の電力供給制御装置。
  5. 前記負荷電流を検出する電流検出回路と、
    環境温度を検出する温度検出部と、
    前記ヒューズの前記環境温度からの上昇温度を、前記ヒューズに流れる前記負荷電流による前記ヒューズの発熱と、前記ヒューズの放熱との差に基づいて算出し、前記環境温度に前記ヒューズの前記上昇温度を加算して演算ヒューズ温度を算出するヒューズ温度演算回路とをさらに備え、
    前記制御回路は、前記演算ヒューズ温度によって前記ヒューズの温度を推定し、
    前記ヒューズの温度が第1閾温度に達した以後、前記スイッチ回路のオン・オフの切り替えを制御し、前記ヒューズ温度を、前記第1閾温度に維持することによって、または、前記第1閾温度と該第1閾温度より低い第2閾温度の間に維持することによって、前記ヒューズの電力損失の平均値を、前記ヒューズを該ヒューズの定格電流以下の所定負荷電流で使用した際の所定電力損失にほぼ等しくなるように制御する、請求項1に記載の電力供給制御装置。
  6. 前記制御回路は、前記第1閾温度で前記スイッチ回路をオフし、前記第2閾温度で前記スイッチ回路をオンすることにより、前記ヒューズ温度を前記第1閾温度と前記第2閾温度の間の値に維持する、請求項5に記載の電力供給制御装置。
  7. 前記制御回路は、前記スイッチ回路のオン期間中における前記ヒューズ温度の上昇率に応じて、次のオン期間の長さを決定する、請求項5または請求項6に記載の電力供給制御装置。
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