JP7530250B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
3点式のシートベルトは、乗員の腰部前面に沿って車幅方向にわたして設けられるラップベルト部、及び、乗員の胸部前面に沿って斜行して設けられるショルダベルト部を有する。
しかし、斜行したショルダベルトを有する3点式シートベルトの場合、ショルダベルトのタング側(低い側)の部分が、乗員の上体の前傾などの挙動や、プリテンショナの作動などに起因するウェビングの張力増加などにより、胸部に対して相対的に上方へせり上がると、肋骨付近を上方へ圧迫し、肋骨に曲げ力を発生させる場合がある。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、ショルダベルトによる胸部への加害性を抑制したシートベルト装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、少なくとも一部が乗員の腰部前面に沿って車幅方向にわたして配置されるラップベルト部、及び、少なくとも一部が乗員の胸部前面に沿って斜行して配置されるショルダベルト部を有するウェビングと、前記ウェビングの中間部が挿通されるスリット部を有し、前記ラップベルト部と前記ショルダベルト部との間に設けられ、装着時において車体に連結されるとともに、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、前記ウェビングが前記ラップベルト部側と前記ショルダベルト部側との間で通過可能であるフリー状態から、前記ウェビングの前記通過が禁止されたロック状態へ推移するロッキングタングと、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、前記ロッキングタングの前記ロック状態への推移完了よりも先に前記ショルダベルト部の前記ロッキングタングと隣接する箇所を乗員から車幅方向に離間する方向に変位させるガイド部とを備えることを特徴とするシートベルト装置である。
これによれば、車両の衝突時に、ロッキングタングがロック状態となって乗員の上体の前進が始まり、ショルダベルト部による乗員胸部への圧迫力が著大となる前に、ガイド部がショルダベルト部の下端部を車幅方向外側に離間させて乗員の胸部におけるショルダベルト部との当接箇所を上方へ変位させることにより、ショルダベルト部が乗員の肋骨部を下方からすくい上げる挙動が抑制され、胸部への加害性を抑制することができる。
これによれば、ウェビングの張力に応じてガイド部及びロッキングタングが作動する簡単な構成により、上述した効果を適切に得ることができる。
これによれば、衝突によるウェビング張力の増大に先立ち、衝突の前兆に応じてプリテンショナが発生するウェビングの張力によりガイド部を確実に作動させることが可能となる。
請求項5に係る発明は、前記ガイド部を前記ショルダベルト部の前記ロッキングタングと隣接する箇所を乗員から離間する方向に移動又は付勢する方向に付勢する付勢部と、前記ウェビングに作用する張力が前記第1の閾値未満であるときに前記ガイド部の動作を制限するロック部とを備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシートベルト装置である。
これらの各発明によれば、ガイド部の作動用として専用のアクチュエータや電子制御等を必要とせず、ウェビングの張力に依存して作動するパッシブかつ簡単な構成とすることができる。
これによれば、ガイド部が作動するタイミングの設定自由度を高め、上述した効果を最適化することが可能となる。
以下、本発明を適用したシートベルト装置の第1実施形態について説明する。
第1実施形態のシートベルト装置は、例えば、乗用車等の自動車において、乗員が前方を向いて着座する前席に設けられる3点式シートベルトである。
乗員Pが着座するシート10は、クッション11、シートバック12を有する。
クッション11は、シート10の下部に設けられ、乗員Pの臀部及び大腿部が載置される座面部を有する部分である。
シートバック12は、座面部の後端部近傍から上方へ突出して設けられ、乗員Pの背部、肩部等を保持する部分である。
Bピラー20は、乗員Pが乗降するドア開口の後縁部に沿って上下方向に延在する柱状の車体構造部材である。
シートベルト装置100は、ウェビング110、リトラクタ120、ラッププリテンショナ130、ショルダアンカ140、ロッキングタング150、バックル160、ガイド部170等を有して構成されている。
ウェビング110は、その中間部が挿通され折り返されるロッキングタング150を境として、ラップベルト部111、ショルダベルト部112を有する。
ラップベルト部111は、乗員Pの主に腰部の前面に沿うように、車幅方向に延在して配置されている。
ショルダベルト部112は、乗員Pの主に胸部の前面に沿うように配置されている。
ショルダベルト部112は、車幅方向におけるBピラー20側が高くなるよう、斜行して配置されている。
リトラクタ120は、ウェビング110の余剰部分を巻き取って収容する機能を有する。
ウェビング110は、リトラクタ120から上方側へ引き出されるようになっている。
リトラクタ120には、例えば火薬式のガス発生装置を用いたアクチュエータにより、シートベルト制御ユニット210からの指令に応じて、ショルダベルト部112を牽引するショルダプリテンショナ121(図4参照)が設けられている。
ラッププリテンショナ130は、例えば火薬式のガス発生装置を用いたアクチュエータにより、シートベルト制御ユニット210からの指令に応じて、ラップベルト部111を牽引する機能を有する。
ショルダアンカ140は、Bピラー20に対して、車幅方向にほぼ沿った軸線回りに回動可能であるとともに、リトラクタ130側とロッキングタング150側との間でウェビング110が通過することを妨げないようになっている。
ウェビング110において、ロッキングタング150よりもプリテンショナ130側の領域がラップベルト部111として機能し、ロッキングタング150よりもショルダアンカ140側の領域がショルダベルト部112として機能する。
図2、図3は、第1実施形態のシートベルト装置におけるロッキングタングの模式的断面図であって、フリー状態、ロック状態をそれぞれ示している。
ロッキングタング150は、本体部151、空間部152、ラップベルトスリット153、ショルダベルトスリット154、ロック部材155、タングプレート156等を有する。
本体部151は、例えば衝突事故発生時にウェビング110に作用する最大張力に対して十分な強度をもつよう、例えば金属材料や硬質の樹脂材料等を組み合わせて構成されている。なお、図2,3においては、本体部151は、簡素化して図示している。後述する図7乃至9においても同様である。
空間部152の内面には、摺動面部152a、ロック凹部152bが形成されている。
摺動面部152aは、凹曲面状に形成され、ロック部材155の摺動面部155aと当接するとともに、ロック部材155の動作時にこの摺動面部155aと相互に摺動する部分である。
摺動面部152aは、本体部151におけるラップベルトスリット153、ショルダベルトスリット154の間の領域の内面部に形成されている。
ロック凹部152は、ウェビング110に所定以上の張力が負荷され、ロック部材155が移動した際に、ロック部材155と協働してウェビング110を挟持し、ロックする部分である。
ロック凹部152bは、空間部152の内面であって、摺動面部152aとショルダベルトスリット154を挟んで隣接する領域に形成されている。
ラップベルトスリット153、ショルダベルトスリット154は、ウェビング110の幅方向(図2、図3における紙面と直交する方向)に沿った長手方向を有する長孔状のスリットとして形成されている。
ラップベルトスリット153は、ラップベルト部111の端部が空間部152の内部に導入されるものである。
ショルダベルトスリット154は、ショルダベルト部112の端部が空間部152の内部に導入されるものである。
ロック部材155は、摺動面部155a、ウェビング当接部155b、ウェビング拘束部155c等を有する。
摺動面部155aは、本体部151の内面部152における摺動面部152aに対して摺動可能な状態で当接する凸曲面状の部分である。
ウェビング当接部155bは、摺動面部155aの一方の端部側(図2、図3における下端部)に設けられ、ウェビング110の折り返し箇所と当接する凸部である。
ウェビング拘束部155cは、ロッキングタング150がロック状態である際に、ロック凹部152bと協働してウェビング110を挟持、拘束する。ロック状態においては、ウェビング110は、ラップベルト部111側とショルダベルト部112側との間でロッキングタング150を通過して移動しないようロックされる。
ウェビング拘束部155cは、摺動面部155aのウェビング当接部155b側とは反対側の端部側(図2、図3における上端部)に設けられている。
ロッキングタング150がフリー状態であるときには、ウェビング110は、ウェビング当接部155bの表面に沿って滑走することにより、ロッキングタング150を自由に通過可能(ラップベルト部111側又はショルダベルト部112側へ通過可能)な状態となっている。
ロック部材155は、ウェビング110の張力によって図2,3における上方へ引き上げられ、摺動面部152a、155aが相互に摺動しつつ移動する。
このとき、ロック部材155は、摺動面部152a、155aの曲率に沿って、ウェビング拘束部155c(上端部)が車幅方向において乗員Pから遠ざかる側(図2,3における右側)へ変位するよう回動(図2,3においては時計回り方向)する。
ロック部材155の移動範囲の終端においては、ロック部材155のウェビング拘束部155cは、空間部152に形成されたロック凹部152bとの間でウェビング110を拘束する。
タングプレート156は、例えば鋼板等の金属材料により、平板状に形成されている。
タングプレート156の上部は、本体部151の下部にインサート成型などにより埋設され固定されている。
バックル160は、ロッキングタング150のタングプレート156が挿入された際にこれと係合する係合機構、及び、係合機構を解除するリリース機構等を有する。
バックル160の車幅方向内側の面部には、リリース機構を解除させるリリースボタン161が設けられている。
ガイド部170は、ショルダベルト保持部171、ステー部172を有して構成されている。
ショルダベルト保持部171は、ガイド部170の突端部に設けられ、ショルダベルト部112が挿通される長穴状のスリットを有する。
ステー部172は、ロッキングタング150の本体部151における上部と、ショルダベルト保持部171の下部とを連結し、ショルダベルト保持部171を支持する支柱状の部材である。
ステー部172のロッキングタング150側の端部は、ロック部材155に連結され、固定されている。
このような構成により、ガイド部170は、ロッキングタング150のフリー状態からロック状態への推移(ロック部材155の本体部151に対する相対回動)と連動して、ショルダベルト保持部171が、車幅方向において乗員Pから離間する方向(図1、図6における右側)に変位する。
このような変位は、ロッキングタング150のロック状態への推移完了よりも先に開始される。
図4は、第1実施形態のシートベルト装置における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
制御システム200は、シートベルト制御ユニット210、着座センサ220、シートベルト着用センサ230、加速度センサ240、環境認識ユニット250等を有する。
着座センサ220は、シート10のクッション11に設けられた荷重センサであって、シート10への乗員Pの着座有無を検出するものである。
シートベルト着用センサ230は、バックル160に設けられ、バックル160にロッキングタング150が連結された状態(シートベルト着用状態)を検出するものである。
加速度センサ240は、車両の衝突を検出するセンサとして用いられる。
環境認識ユニット250には、ステレオカメラ装置251、ミリ波レーダ装置252、レーザスキャナ装置253、通信装置254等が接続されている。
ミリ波レーダ装置252は、例えば30乃至300GHzの電波を用いて自車両前方等に存在する障害物の自車両に対する相対位置、相対速度等を検出するものである。
レーザスキャナ装置253は、パルス状のレーザ光を照射するとともに、これに対する散乱光を測定することにより、自車両周囲の障害物の形状及び位置を検出する3D LIDARである。
通信装置254は、車車間通信、路車間通信により、上述した各センサにより検出が困難な障害物(例えば、建築物などで遮蔽された箇所から出現する他車両等)に関する情報を取得する。
環境認識ユニット250は、車両の実際の衝突に先立ち、衝突が発生する可能性が極めて高い状態(衝突の前兆)を検出する機能を有する。
衝突の前兆に応じて、シートベルト制御ユニット210は、ショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130を作動させる。
図5において、横軸は時間を示し、縦軸は張力を示している。また、図5において、ラップベルト部の張力を実線、ショルダベルト部の張力を破線で示す。
先ず、時間T1において、環境認識ユニット250が他車両等との前面衝突が不可避である状態(プリクラッシュ状態)を判別すると、ウェビング110の弛みを軽減するためショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130が作動し、ラップベルト部111、ショルダベルト部112の張力が一時的に高まり、その後やや低下する。
このようなロック部材155の回動規制、及び、ウェビング110の張力に応じた回動規制解除は、以下説明するロック機構により行うことができる。
ロック機構は、例えば、通常時には、ロック部材155から突出しかつ本体部151に形成された凹部に挿入される樹脂製突起を有する構成とすることができる。
ロック機構は、通常時には樹脂製突起によってロック部材155の回動を規制し、ウェビング110の張力が閾値Th1となった際に樹脂製突起が破断又は折損し、回動規制が解除される構成とすることができる。
なお、このようなロック機構の構成は、上述した例に限らず、各種周知技術等から適宜変更することが可能である。
ここで、閾値Th1は、ロッキングタング150のロック状態への推移が完了して乗員Pの上体の前進が始まり、ショルダベルト部112による乗員Pの胸部への圧迫力が著大となる前に、ガイド部170の回動が開始するよう設定される。
ロック部材155の回動開始と連動し、ガイド部170は、ベルト保持部171が車幅方向において乗員Pから離間する方向に回動(揺動)を開始する。
これにより、ラップベルト部111、ショルダベルト部112の張力はともに増加を開始するが、このときの張力は、ラップベルト部111のほうがショルダベルト部112に対して大きくなっている。
これとともに、ガイド部170の回動も終了する。
その後、乗員Pの上体の前進が大きくなり、ショルダベルト部112の張力はさらに大きくなる。
図6は、第1実施形態のシートベルト装置におけるガイド部が回動した後の状態を模式的に示す斜視図である。
図6に示すように、ガイド部170のベルト保持部171が車幅方向において乗員Pから離間する方向に回動することにより、ショルダベルト部112が乗員Pの胸部と当接する箇所が上方へ変位する。
(1)車両の衝突時に、ロッキングタング150がロック状態となって乗員Pの上体の前進が始まり、ショルダベルト部112による乗員Pの胸部への圧迫力が著大となる前に、ガイド部170がショルダベルト部112の下端部を車幅方向外側に離間させて乗員Pの胸部におけるショルダベルト部112との当接箇所を上方へ変位させることにより、ショルダベルト部112が乗員Pの肋骨部を下方からすくい上げる挙動が抑制され、胸部への加害性を抑制することができる。
(2)ウェビング110に作用する張力が第1の閾値Th1以上となったときにガイド部170を作動させ、張力が第1の閾値Th1よりも大きい第2の閾値Th2以上となったときにロッキングタング150をロック状態に推移させることにより、ウェビング110の張力に応じてガイド部170及びロッキングタング150が作動する簡単な構成により、上述した効果を適切に得ることができる。
(3)第1の閾値Th1は、ショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130が作動した際のウェビング110の張力よりも小さく設定されることにより、衝突によるウェビング110の張力の増大に先立ち、ショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130が発生するウェビング110の張力により、ガイド部170を確実に作動させることが可能となる。
(4)ガイド部170が、ロッキングタング150のロック部材155と連結され連動する構成としたことにより、ガイド部170の作動用として専用のアクチュエータや電子制御等を必要とせず、ウェビング110の張力に依存して作動するパッシブかつ簡単な構成とすることができる。
次に、本発明を適用したシートベルト装置の第2実施形態について説明する。
以下説明する各実施形態において、従前の実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
第2実施形態のロッキングタング150は、以下説明するガイド連動部材157を備えている。
ガイド部170のステー部172の基部(ロッキングタング150側の端部)は、ガイド連動部材157に対して連結され、固定されている。
第2実施形態においては、ガイド部材155の摺動面部155aの反対側の面部には、ガイド連動部材157と相対的に摺動する摺動面部155dが形成されている。
摺動面部155dは、本体部151の摺動面部152aと相似した形状を有する凹曲面状に形成されている。
また、第2実施形態のロック部材155においては、ウェビング当接部152bは設けられていない。
摺動面部157aは、ロック部材155の摺動面部155dに対して摺動可能な状態で当接する凸曲面状の部分である。
ウェビング当接部157bは、摺動面部157aの一方の端部側(図7乃至図9における下端部)に設けられ、ウェビング110の折り返し箇所と当接する凸部である。
このとき、ガイド連動部材157は、摺動面部155d、157aが摺動することにより、ロック部材155に対して上昇し、かつ、上端部が車幅方向において乗員Pから離間する方向に回動する。
これにより、ガイド部材170もガイド連動部材157とともにベルト保持部171が乗員Pから離間する方向に回動する。
なお、このときロック部材155は、本体部151に対して相対変位しない。
以上説明した第2実施形態においても、上述した第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
さらに、ロック部材155とガイド連動部材157とが別体であるため、ロック部材155の移動範囲に制限されずにガイド連動部材157を大きく移動させることが可能である。これにより、ガイド部170の動作範囲を拡大することができる。
次に、本発明を適用したシートベルト装置の第3実施形態について説明する。
図10,11は、第3実施形態のシートベルト装置におけるロッキングタングの模式的断面図であって、フリー状態、ロック状態をそれぞれ示している。
第3実施形態のシートベルト装置においては、第1、第2実施形態のようにロッキングタング150のロック部材155等とガイド部170とを連動させる構成に代えて、衝突又はその前兆に応じたガイド部170の変位を、例えば、付勢部材であるコイルスプリング180によって行う。
ガイド部170は、支軸170a、スプリング受け部170bを有する。
支軸170aは、ガイド部170の本体部151側の端部に設けられ、ガイド部を揺動可能に支持する部分である。ガイド部170は、支軸170a回りに、ロック部材155、ガイド連動部材157とは独立して揺動可能となっている。
支軸170aは、例えば、ウェビング110の幅方向に沿った軸方向を有する。
コイルスプリング180は、ロッキングタング150の本体部151における摺動面部152aを凹ませて形成された凹部に挿入されている。
ロック部材155には、摺動面部155a側からガイド連通部材157側へ貫通した開口155eが形成されている。
ガイド連通部材157には、ロック部材155側からスプリング受け部170b側へ貫通した開口157cが形成されている。
このとき、ガイド連動部材157は、ウェビング110に作用する張力が閾値Th1未満であるときに、ガイド部170の動作を制限するロック部として機能する。
ウェビング110に作用する張力が第1の閾値Th1以上となり、ロック部材155、ガイド連動部材157が変位を開始すると、図11に示すように、コイルスプリング180の突端部が開口157cに挿入され、ガイド部170のスプリング受け部170bを押圧する。
これにより、ガイド部170は支軸170a回りに回動し、ベルト保持部171が車幅方向に乗員Pから離間する方向に変位する。
開口155e、開口157cは、上記機能を実現するよう、ガイド部材155、ガイド連動部材157の移動方向に沿った長手方向を有する長孔として形成されている。
以上説明した第3実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果と同様の効果に加えて、ガイド部170の作動用として専用のアクチュエータや電子制御等を必要とせず、ウェビングの張力に依存して作動するパッシブかつ簡単な構成でありながら、コイルスプリング180のスプリングレートの設定などにより、ガイド部170の作動力や変位範囲などの設計自由度を向上することができる。
次に、本発明を適用したシートベルト装置の第4実施形態について説明する。
図12は、第4実施形態のシートベルト装置における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
第4実施形態は、第1、第2実施形態のようにガイド部170がロッキングタング150と連動する構成や、第3実施形態のようにばね要素により動作する構成に代えて、シートベルト制御ユニット210からの指令に応じてガイド部170をベルト保持部171が車幅方向において乗員から離間する方向に駆動するガイド部駆動アクチュエータ173を備えている。
ガイド部駆動アクチュエータ173として、例えば、火薬式のガス発生装置を用いたアクチュエータや、電動アクチュエータ等の各種アクチュエータを用いることができる。
以上説明した第4実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果と同様の効果((4)項に記載のものを除く)に加えて、ガイド部170が作動するタイミングの設定自由度を高め、上述した効果を最適化することが可能となる。
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両及びシートベルト装置の構成は、上述した各実施形態に限らず、適宜変更することができる。
例えば、シートベルトを構成する各部品の形状、構造、機能、配置、個数などは、適宜変更することができる。
(2)各実施形態におけるガイド部を駆動する機構の構成は一例であって、適宜変更することができる。
例えば、ロッキングタングの内部構造は一例であって適宜変更することが可能であり、その構成部材とガイド部とを連動させる構成も特に限定されない。
例えば、ロッキングタング内の可動部材とガイド部との間に、歯車列などを有する動力伝達機構を設けて、可動部材の動きを増速あるいは減速させてガイド部に伝達してもよい。
また、各実施形態において、ロッキングタングは、ウェビングの張力増加に応じてロック状態に推移するパッシブ式のものであったが、これに限らず、制御装置からの指令に応じてアクチュエータによりロック状態へ推移するアクティブ式のロッキングタングを用いてもよい。
(3)上述した各実施形態においては、ガイド部は通常時(非衝突時)においてロッキングタングから上方へ突出しているが、これに代えて、通常時にはガイド部が短縮されあるいは収容されるとともに、衝突時に伸長される(繰り出される)構成としてもよい。
12 シートバック 20 Bピラー
100 シートベルト装置 110 ウェビング
111 ラップベルト部 112 ショルダベルト部
120 リトラクタ 121 ショルダリトラクタ
130 ラッププリテンショナ 140 ショルダアンカ
150 ロッキングタング 151 本体部
152 空間部 152a 摺動面部
152b ロック凹部 153 ラップベルトスリット
154 ショルダベルトスリット 155 ロック部材
155a 摺動面部 155b ウェビング当接部
155c ウェビング拘束部 155d 摺動面部
155e 開口
156 タングプレート 157 ガイド連動部材
157a 摺動面部 157b ウェビング当接部
157c 開口
160 バックル 161 リリースボタン
170 ガイド部 170a 支軸
170b スプリング受け部 171 ベルト保持部
172 ステー部 173 ガイド部駆動アクチュエータ
180 コイルスプリング
200 制御システム 210 シートベルト制御ユニット
220 着座センサ 230 シートベルト着用センサ
240 加速度センサ 250 環境認識ユニット
251 ステレオカメラ装置 252 ミリ波レーダ装置
253 レーザスキャナ装置 254 通信装置
Claims (6)
- 少なくとも一部が乗員の腰部前面に沿って車幅方向にわたして配置されるラップベルト部、及び、少なくとも一部が乗員の胸部前面に沿って斜行して配置されるショルダベルト部を有するウェビングと、
前記ウェビングの中間部が挿通されるスリット部を有し、前記ラップベルト部と前記ショルダベルト部との間に設けられ、装着時において車体に連結されるとともに、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、前記ウェビングが前記ラップベルト部側と前記ショルダベルト部側との間で通過可能であるフリー状態から、前記ウェビングの前記通過が禁止されたロック状態へ推移するロッキングタングと、
車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、前記ロッキングタングの前記ロック状態への推移完了よりも先に前記ショルダベルト部の前記ロッキングタングと隣接する箇所を乗員から車幅方向に離間する方向に変位させるガイド部と
を備えることを特徴とするシートベルト装置。 - 前記ガイド部は、前記ウェビングに作用する張力が第1の閾値以上となったときに前記ショルダベルト部の前記ロッキングタングと隣接する箇所を変位させ、
前記ロッキングタングは、前記ウェビングに作用する張力が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上となったときに前記ロック状態への推移を完了すること
を特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。 - 車両の衝突又は衝突の前兆に応じて前記ウェビングに張力を与えるプリテンショナを備え、
前記第1の閾値は、前記プリテンショナが作動した際の前記ウェビングの張力よりも小さく設定されること
を特徴とする請求項2に記載のシートベルト装置。 - 前記ロッキングタングは、前記ウェビングの張力により本体部に対して相対変位する可動部材を備え、
前記ガイド部は、前記可動部材と連動すること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシートベルト装置。 - 前記ガイド部を前記ショルダベルト部の前記ロッキングタングと隣接する箇所を乗員から離間する方向に移動又は付勢する方向に付勢する付勢部と、
前記ウェビングに作用する張力が前記第1の閾値未満であるときに前記ガイド部の動作を制限するロック部とを備えること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシートベルト装置。 - 前記ガイド部の前記ショルダベルト部との当接箇所を乗員から離間する方向に駆動するアクチュエータと、
車両の衝突又は衝突の前兆を検知する衝突検知部と、
前記衝突検知部の検知結果に応じて前記アクチュエータを作動させる制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
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