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JP7529157B2 - 円筒多心フェルール及びその研磨方法 - Google Patents

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JP7529157B2 JP2023526762A JP2023526762A JP7529157B2 JP 7529157 B2 JP7529157 B2 JP 7529157B2 JP 2023526762 A JP2023526762 A JP 2023526762A JP 2023526762 A JP2023526762 A JP 2023526762A JP 7529157 B2 JP7529157 B2 JP 7529157B2
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Description

本開示は、光ファイバネットワークにおいて光ファイバを用いた複数のポートを一括で接続するために用いる円筒多心フェルール及びその研磨方法に関する。
複数のシングルモード光ファイバを接続する技術として、多心光コネクタ(例えば、非特許文献1)がある。一般的な多心光コネクタは、矩形端面を有するフェルールに2つのガイド穴を設け、ガイド穴にガイドピンを挿入して接続を行う。
さらに、このフェルール端面を斜めに研磨して反射特性を向上させて、かつ、ハウジングを取り付けてプッシュプル機構によって着脱を行うことにより利便性を向上した光コネクタ(例えば、非特許文献2)も開発されている。
一方、円筒フェルールを用いた光コネクタにおける光ファイバの複数ポートの一括接続技術として、マルチコアファイバを用いた光コネクタ(例えば、非特許文献3)が検討されている。また、軸回転精度を向上したSCタイプ(例えば、非特許文献4)の光コネクタも検討されている。
しかしながら、前述の非特許文献1に記載の従来技術においては、全心線での物理接触が困難であることに起因する反射特性の劣化を避けるため、屈折率整合材を塗布し、かつ、着脱には専用工具を用いる必要があり、作業工程が煩雑であるという問題があった。
また、非特許文献2に記載の従来技術においては、ガイド穴とガイドピンのクリアランス制御が困難であり、低損失な光コネクタの製造にはコストが増加するといった問題があった。
また、非特許文献3や非特許文献4に記載の従来技術においては、円筒フェルールを用いて複数のポートを一括で接続するためにマルチコアファイバを用いる必要があるが、マルチコアファイバは高価であり、また、ファンイン・ファンアウトなどのデバイスを用いる必要があるため配線形態が煩雑になるという問題があった。
M.Kawase,T.Fuchigami,M.Matsumoto,S.Nagasawa,S.Tomita,and S.Takashima,"Subscriber Single-Mode Optical Fiber Ribbon Cable Technologies Suitable for Mdspan Access,"J.Lightwave Technol., vol.7, no.11, pp.1675-1681,1989. M.Kihara,S.Nagasawa,and T.Tanifuji,"Design and Performance of an Angled Physical Contact Type Multifiber Connector," J.Lightwave Technol., vol.14, no.4, pp.542-548,1996. 境目賢義、長瀬亮、渡辺健吾、斉藤恒聡、"MU形MCFコネクタの機械的特性、"信学技報、OCS2013-118,pp.97-100,2014. 小林哲也、遠藤治幸、皆川洋介、"マルチコアファイバ用接続コネクタの検討、"信学技報、OCS2014-33,pp.13-16,2014.
本開示は、複数の単心ファイバを簡単に一括で接続可能にすることを目的とする。
本開示の円筒多心フェルールは、
円筒形を有し、前記円筒形の中心軸を中心とする同一円上に複数の光ファイバを保持するための貫通孔が形成されており、
前記円筒形の長手方向の一端における前記貫通孔の配置されている領域が予め定められた曲率半径で湾曲した球面形状であり、
前記円筒形の長手方向の一端における前記貫通孔の配置されていない中心領域が、前記円筒形の長手方向に垂直なフラット面である。
本開示の円筒多心フェルールの研磨方法は、本開示の円筒多心フェルールのフェルール端面を研磨する方法であって、予め定められた曲率半径で研磨し、その後にフラット研磨を行う。より具体的には、本開示の円筒多心フェルールの研磨方法は、円筒形を有しかつ前記円筒形の中心軸を中心とする同一円上に複数の光ファイバを保持するための貫通孔が形成されているフェルールの少なくともいずれかの貫通孔に光ファイバを固定し、前記フェルールの一端の端面を、予め定められた曲率半径で湾曲した球面形状に研磨し、その後に、前記一端における前記貫通孔が配置されていない中心領域を、前記円筒形の長手方向に垂直に研磨し、フラット面を形成する。
本開示によれば、複数の単心ファイバの接続が簡単に一括で可能になるため、経済的な光接続を実現することができる。
本開示の実施形態に係るフェルール断面を示す模式図である。 本開示の実施形態に係る結合部の側面を示す模式図である。 本開示の実施形態に係る光結合部のフェルール端面近傍を示す模式図である。 本開示の実施形態に係るフェルール端面研磨方法のフローチャートを表した図である。 フェルールフラット面に対するファイバ端面の角度と反射減衰量の関係の一例を示す図である。 光ファイバの間隙に対する過剰損失の関係の一例を示す図である。 フェルールフラット面に対するファイバ端面の角度と曲率半径の関係の一例を示す図である。 フェルールフラット面に対するファイバ端面の角度と頂点からの凹み量の関係の一例を示す図である。 コア配置半径に対する光ファイバのコア数の関係の一例を示す図である。 回転角度ずれに対する回転角度ずれによる過剰損失の関係の一例を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係る光コネクタにおける光結合部の篏合形態を表す模式図である。 フランジ内部にキャピラリが取り付けられている構成の一例を示す図である。 フェルールにフランジが取り付けられている構成の一例を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係るフェルールをプラグフレームの内部で回転と固定が可能となる機構の一例を示す図である。 本開示の第1の実施形態に係るフェルールをプラグフレームの内部で回転と固定が可能となる機構を表す模式図である。 本開示の第2の実施形態に係るフェルールをプラグフレームの内部で回転と固定が可能となる機構を表す模式図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本開示の実施形態に係る円筒多心フェルールの断面構造を表した模式図である。フェルール1は、本開示の円筒多心フェルールであって、円筒形状を有し、円筒形状の長手方向と平行に複数の光ファイバ2を保持するための貫通孔が形成されている。各貫通孔には、光ファイバ2が1本ずつ配置される。図1は、各貫通孔に光ファイバ2が保持されている状態を示す。複数の光ファイバ2のコア中心がフェルール1の円筒形状の中心軸に対してコア配置半径Rcoreの円の同一円上に配置されている。
図1では8つの貫通孔が等間隔に配置され、そのすべてに光ファイバ2が配置された例を挙げているが、複数の光ファイバ2のコア中心がコア配置半径Rcoreを有する円の円周上に配置されていればよく、これに限らない。例えば、8つの貫通孔のうちの少なくともいずれかの貫通孔に光ファイバ2が配置されていればよい。また、本実施形態では、複数の光ファイバ2が1つの円周上に配置されている例を示すが、複数の光ファイバ2の配置される円は2つ以上あってもよい。光ファイバ2は、一般に石英ガラスから形成されるが、通信波長帯の信号光を通信可能な光ファイバであればよく、これに限らない。また、フェルール1は、一般にジルコニアから形成されるが、光ファイバ2を保持可能であればよく、これに限らない。また、フェルール1の長手方向の一端において、複数の光ファイバ2はフェルールフラット面4の外側に配置された球面形状領域6に配置されている。球面形状領域6は、予め定められた曲率半径で湾曲している湾曲領域である。フェルールフラット面4は、フェルール1の中心軸上に配置され、2つのフェルールを突合させる面である。
図2は、本開示の実施形態に係る円筒多心フェルールの光結合部の側面を示す模式図である。光ファイバを挿入した2つのフェルール1がスリーブ8で調心されている。これによって、2つのフェルール1の軸ずれが一定許容範囲に制御されている。2つのフェルール1の光結合部における接続損失をできるだけ小さくするため、2つのフェルール1に挿入された複数の光ファイバの各コアは、同程度のモードフィールド径を有する点で同じ光学特性である方が望ましい。また、2つのフェルール1に挿入された光ファイバの軸ずれ及び回転ずれによる接続損失をできるだけ小さくすることが重要であり、2つのフェルール1に挿入された光ファイバは、それぞれのフェルール端面において同一のコア配置半径を有する円周上のうちの対向する位置に配置されることが望ましい。また、軸ずれによる接続損失をできるだけ小さくするため、2つのフェルール1のフェルール外径は、同程度である方が望ましい。また、2つのフェルール1に挿入された各光ファイバの端面の間隙をなるべく小さくして、間隙による過剰損失を低減するため、2つのフェルール1のフェルールフラット面が接触できることが重要であり、フェルール軸方向の2つのフェルール1のフランジ9の距離Dは、2つのフェルール1のフェルール軸方向の長さLの合計と同程度か、またはそれより短いことが望ましい。
図3は光結合部のフェルール端面近傍をより詳細に示した模式図である。2つのフェルール1はそれぞれの端面の中心部のフェルールフラット面4で接触している。フェルールフラット面4は、球面形状領域6に囲まれた貫通孔が配置されていない中心領域であり、円筒形の長手方向に垂直である。複数の光ファイバ2は、光ファイバ2それぞれの端面が接触して傷つくことを防止するため、それぞれフェルール1の球面形状領域6に配置されている。また、光ファイバ2の端面では、反射による信号特性劣化を抑制するため、前記フェルールフラット面4に対する光ファイバ2の端面の角度θが制御されている。ここで、本開示では光ファイバ2の端面が球面形状である。角度θは、光ファイバ2の配置されている位置のうちのコア位置での接線の、フェルールフラット面4に対する角度であってもよい。
図4は本開示の実施形態に係る円筒多心フェルールの研磨方法の一例を示すフローチャートを表した図である。本実施形態に係る円筒多心フェルールの研磨方法は、ステップS101~S103を順に行う。
ステップS101:まず、貫通孔に光ファイバ2を挿入し、これらを接着固定し、フェルール1の接着除去研磨を行う。一般的に、光ファイバ2を挿入して接着固定したフェルール1では、フェルール端面において余分な接着剤が付着してしまうため、余分な接着剤を除去するための研磨を行う。
ステップS102:次に、接着除去研磨を行ったフェルール1の球面研磨を行う。フェルールフラット面4及び球面形状領域6を含むフェルール1の端面全体を、予め定められた曲率半径ROCの球面形状に研磨することにより、フェルール1の複数の光ファイバ2が配置される球面形状領域6の球面形状を形成することが可能である。
ステップS103:続いて、球面研磨を行ったフェルールフラット面4の研磨を行う。一般的に、フェルール1の研磨では、パッドの上に研磨剤が散布された研磨シートを設置して、その表面にフェルール1の端面を押し付けながら研磨を行う。ここで、硬い硬度のパッドを使用して、研磨時間を調整して研磨を行うことにより、フェルール1の中心部のみをフラット形状に研磨し、フェルールフラット面4を形成することが可能である。
球面形状は、球面形状領域の曲率半径ROCが予め定められた値になるような任意の形状である。球面形状領域は球面の中心に対して対称であり、球面の中心は、フェルール1の円筒形状の中心軸上に配置されていてもよいし、その他の位置に配置されていてもよい。
図5はフェルールフラット面4に対する光ファイバ2の端面の角度θと反射減衰量Rの関係の一例を示す図である。光ファイバ2同士の光結合において、光ファイバ2の端面間に屈折率の異なる領域があると、屈折率の異なる境界における反射によって、信号特性が劣化する。本開示では、2つのフェルール1に挿入されたそれぞれの光ファイバ2の端面の間に間隙がある。この間隙が空気である場合、石英ガラスと空気は屈折率が異なるため、反射を低減する工夫が必要である。本開示では角度θを制御することにより、反射を低減することとしている。
フェルールフラット面4に対する光ファイバ2の端面の角度θ(単位:度)と反射減衰量R(単位:dB)の関係は次式に表すことができる。
Figure 0007529157000001
ここでn、ω、λは、それぞれ、光ファイバ2のコアの屈折率、光ファイバ2のコアのモードフィールド半径、信号波長である。
また、Rはθ=0度の場合の反射減衰量であり、次式に表すことができる。
Figure 0007529157000002
ここでnは受光媒体の屈折率である。
本実施形態では、光ファイバ2の端面から出射する光は空気を伝搬するため、nは空気の屈折率となる。波長λが1310nmでありかつモードフィールド半径ωが4.5μmの場合に、θ=0での反射減衰量Rが14.7dBであり、フェルールフラット面4に対する光ファイバ2の端面の角度θを5度以上にすることによって、40dB以上の反射減衰量Rを保持することができる。
図6は光ファイバ2の間隙Gに対する過剰損失Tの関係の一例を示す図である。光ファイバ2同士の光結合において、光ファイバ2の端面間に間隙が存在すると、入力側光ファイバの出射光の分布が広がり、出力側光ファイバのコアとの結合効率が減少するため、過剰損失の要因となる。前記間隙G(単位:μm)と過剰損失T(単位:dB)の関係は次式に表すことができる。
Figure 0007529157000003
ここでW及びWは、それぞれ、入力側及び出力側の光ファイバ2のコアのモードフィールド半径である。図6は、2つのフェルール1に挿入されたそれぞれの光ファイバのコアのモードフィールド半径が、ともに4.5μmの時の損失を示す図である。例えば、2つのフェルール1に挿入されたそれぞれの光ファイバ2の端面の間隙が20μm以下となるように調整することによって、過剰損失を0.1dB以下に抑えることができる。
図7は、フェルールフラット面4に対する光ファイバ2の端面の角度θと曲率半径RОCの関係の一例を示す図である。光コネクタを作製する際に、光コネクタの反射減衰量を制御するため、フェルール1の端面の研磨を行う。この研磨の条件によって、光ファイバ2が挿入したフェルール1の端面形状が制御され、所望の反射減衰量を得ることが可能である。
一般的に、フェルール1の研磨では、パッドの上に研磨剤が散布された研磨シートを設置して、その表面にフェルール端面を押し付けながら研磨を行う。前記パッドの硬度、フェルール1の押し付け力、研磨時間などをパラメータとして研磨を行うことにより、フェルール端面の曲率半径を調整することが可能である。フェルールフラット面4に対する光ファイバ2の端面の角度θ(単位:度)と曲率半径RОC(単位:mm)の関係は次式に表すことができる。
Figure 0007529157000004
図7では、コア配置半径Rcoreが850μmと1700μmの例を示す。例えば、コア配置半径Rcoreが850μmの場合には曲率半径RОCを9.7mm以下にすることによって、光ファイバ2の端面の角度θを5度以上にすることが可能であり、40dB以上の反射減衰量Rを実現することが可能となる。また、より多くの光ファイバ2を配置可能とするために、コア配置半径Rcoreを1700μmに拡大した場合には曲率半径RОCを19.5mm以下にすることによって、光ファイバ2の端面の角度θを5度以上にすることが可能であり、40dB以上の反射減衰量Rを実現することが可能となる。
図8はフェルールフラット面4に対する光ファイバ2の端面の角度θと頂点からの凹み量の関係の一例を示す図である。ここで、頂点からの凹み量とは、フェルール1の軸方向において、図7に示した曲率半径で研磨したフェルール端面の球面の頂点の位置からコア配置半径Rcoreにおける光ファイバ2の端面の引き込み位置の差を表す。図8では、コア配置半径Rcoreが850μmと1700μmの例を示す。例えば、光ファイバ2の端面の角度θが5度の時、コア配置半径Rcoreが850μmから1700μmで37μm~74μmの凹み量となる。このため、上記の曲率半径で研磨したフェルール同士を接続した場合には、光ファイバ2間に大きな間隙が生じてしまう。
図6より、間隙による過剰損失を抑制するためには、間隙を20μm以下にする必要がある。このため、図7に示した曲率半径RОCになるように研磨を行った後、より硬い硬度のパッドを使用して研磨を行い、フェルールフラット面4から、光ファイバ2の端面までの距離を10μm以下にする。これにより、曲率半径RОCで研磨されたフェルール端面の中心部のみをフラット研磨して、フェルールの軸方向において、フェルール端面の中心のフェルールフラット面4の位置からコア配置半径Rcoreにおける光ファイバ2の端面の引き込み位置の差を小さくすることが可能となる。
例えば、コア配置半径Rcoreが850μmで、光ファイバ2の端面の角度θが5度で、曲率半径9.7mmになるように研磨したフェルール端面では、フェルール端面の頂点から27μmの深さまでフラット研磨を行うことにより、40dB以上の反射減衰量と、0.1dB以下の間隙による過剰損失を実現することができる。また、例えば、コア配置半径Rcoreが1700μmで、光ファイバ2の端面の角度θが5度で、曲率半径19.5mmになるように研磨したフェルール端面では、フェルール端面の頂点から64μmの深さまでフラット研磨を行うことにより、40dB以上の反射減衰量と、0.1dB以下の間隙による過剰損失を実現することができる。
図9はコア配置半径Rcoreに対する光ファイバ2のコア数Ncoreの関係の一例を示す図である。図9では、光ファイバ2が、コア配置半径上に円環に等間隔に配置され、隣り合う光ファイバ2のコア間距離が250μmの時の光ファイバ2のコア数を示す一例である。例えば、コア配置半径Rcoreを850μmとして隣り合うコア間距離を250μmとなるように、光ファイバ2を等間隔に配置することによって、21個の光ファイバ2の一括接続を行うことが可能となる。また、コア配置半径Rcoreを1700μmとすることにより、42個の光ファイバ2の一括接続が可能となる。
図10は、回転角度ずれΦに対する回転角度ずれによる過剰損失Tの関係の一例を示す図である。本開示の円筒多心フェルールの光結合部の構成においては、光コネクタ作製時の回転角度ずれは過剰損失の要因となる。回転角度ずれによる過剰損失をT(単位:dB)、回転角度ずれをΦ(単位:度)、コア配置半径Rcore(単位:μm)とした場合、これらの関係は次式に表すことができる。
Figure 0007529157000005
ここでw及びwはそれぞれ光ファイバ2のコアのモードフィールド半径である。
図10では、コア配置半径Rcoreが850μmの時の一例を示す。回転角度ずれΦが大きいほど過剰損失Tが大きくなり、接続特性が劣化する。また図10では、モードフィールド半径wが4.5μm、5.5μm、及び6.5μmの例を示す。これらの比較から明らかなように、モードフィールド半径wがより大きな光ファイバ2を用いることによって、モードフィールド半径が小さい光ファイバ2よりも回転角度ずれによる過剰損失を低減することが可能である。
本開示によれば、円筒多心フェルールのフェルール端面を所望の曲率半径で研磨した後、フェルール中心部をフラット研磨することにより、円筒多心フェルールの中心部がフラット形状であり、かつ円環に配置された光ファイバ2の端面が球面形状になっているため、本開示の円筒多心フェルールを用いた光コネクタ接続において、良好な反射特性を有するとともに、間隙による過剰損失を低減した優れた光学特性を実現する。また、本開示の円筒多心フェルールの研磨方法では、フェルール端面を所望の曲率半径になるように研磨した後、フェルール中心部のみをフラット研磨するため、特殊な研磨装置や研磨治具を不要とし、簡易で経済的な方法でフェルール研磨を実現することができる。
(実施形態1)
図11は本開示の第1の実施形態に係る光コネクタにおける光結合部の篏合形態を表す模式図である。2つのフェルール1はそれぞれ対向してスリーブ8に挿入され、ばね12によって押圧を加えることにより、2つのフェルール1のそれぞれのフェルールフラット面同士が接触することによって、光ファイバ2の端面の間に間隙を有した状態で光ファイバ2の接続が行われる。なお、接続における着脱を容易にするため、スリーブ8はアダプタ17に内蔵され、2つのフェルール1はそれぞれハウジング15に取り付けられたプラグフレーム14に内蔵されている。
2つのフェルール1はそれぞれ光ファイバ2を保護するためのフランジ9が取り付けられている。図12のように、フランジ9の内部に複数のキャピラリ23を挿入して、光ファイバ2を保持するための貫通孔24と同じ位置にそれぞれを配置することによって、光ファイバ2をフェルールに挿入することが容易になる。
さらに、図13のように、キャピラリ23を長手方向にテーパー形状にして、その先端の直径を光ファイバ2を保持するための貫通孔24の直径に近づけることによって、光ファイバ2をフェルール1へ挿入する際に段差による引っ掛かりを防ぎ、さらには光ファイバ2の折れを予防することが可能になる。
本実施形態ではフランジ9の内部に複数のキャピラリ23を挿入する例を示したが、光ファイバ2をフェルール1の貫通孔24に挿入可能な形状であり、かつ、光コネクタ作製時に光ファイバ2を保護することが可能な形状であればよく、この限りではない。
2つフェルール1のうち一方のフェルールに取り付けられたフランジ9は切り欠き(図示せず)付きとし、前記フランジ9の切り欠きはプラグフレーム14に設けられた切り欠きのガイドによって軸回転が固定される。もう一方のフェルール1はプラグフレーム14の内部で回転と固定を可能とする機構(図示せず)が取り付けられている。
光コネクタ作製、つまり、光ファイバ2を接続する際に、アダプタの片側に、切り欠き付きのフランジが取り付けられたフェルールを内蔵したハウジング(コネクタプラグ)を挿入し、もう片側にプラグフレームの内部で回転と固定が可能とされるフェルールが取り付けられたハウジング(コネクタプラグ)を挿入し、それぞれの光ファイバ2に送信および受信を可能とする装置(例えば、光源と受光器)を取り付けて光信号をモニタリングしながらフェルールを回転し、受光パワーが最大となるところでフェルールの軸回転を固定することによって、低損失な光コネクタを作製することができる。
図14は、本開示の第1の実施形態に係る円筒多心フェルールをプラグフレームの内部で回転と固定が可能となる機構の一例を示す図である。図14は、フェルール1をプラグフレーム14の内部で回転と固定が可能となる機構が取り付けられたコネクタプラグを断面から見た図である。フェルール1には溝付きフランジ19が取り付けられ、この溝に先端が挟み込む形状で固定ばね20が取り付けられている。固定ばね20を図中の矢印の方向に押すことによって、固定ばね20の先端が溝付きフランジ19の溝から外れ、溝付きフランジ19は軸回転が可能となる。モニタリングしている受光パワーが最大となるところで前記固定ばね20の押す力を開放することによって、溝付きフランジ19が固定され、つまり、フェルール1が固定され、挿入されている光ファイバ2の軸回転方向が固定される。例えば、図15のように、溝が設けられた円環部21を複数重ねてフランジに取り付けることによって、より細かい回転角度制御を行うことができる。
(実施形態2)
図16は、本開示の第2の実施形態に係る円筒多心フェルールをプラグフレームの内部で回転と固定が可能となる機構の一例を示す図である。図16は、フェルールをプラグフレームの内部で回転と固定が可能となる機構が取り付けられたコネクタプラグを断面から見た図である。フェルール1にはフランジ9が取り付けられ、このフランジ9の外側に固定磁石22が取り付けられている。固定磁石22を取り外すことによって、フランジ9は軸回転が可能となり、モニタリングしている受光パワーが最大となるところで前記固定磁石22を取り付けることによって、フランジ9が固定され、つまり、フェルールが固定され、挿入されている光ファイバ2の軸回転方向が固定される。ここで、フランジ9を磁性を有する材料によって作製してもよい。
(本開示の効果)
本開示に係る円筒多心フェルールは、光ファイバ2による複数のポートを一括で接続するための接続技術として、通常の光コネクタと同様に一般的に用いられている単心のシングルモードファイバを用いるため、伝送路構成としてファンイン・ファンアウトなどのデバイスを不要とし、簡易で経済的な光接続を実現することができる。また、円筒多心フェルールは、中心部がフラット形状になっており、円環に配置された光ファイバ2の端面が球面形状になっているため、良好な反射特性を有するとともに、間隙による過剰損失を低減した優れた光学特性を実現する。さらに、本開示の円筒多心フェルールの研磨方法では、フェルール端面を所望の曲率半径になるように研磨した後、フェルール中心部のみをフラット研磨するため、特殊な研磨装置や研磨治具を不要とし、簡易で経済的な方法でフェルール研磨を実現することができる。
本開示は情報通信産業に適用することができる。
1:フェルール
2:光ファイバ
4:フェルールフラット面
6:球面形状領域
8:スリーブ
9:フランジ
12:ばね
13:ストップリング
14:プラグフレーム
15:ハウジング
16:ブーツ
17:アダプタ
18:コード被覆
19:溝付きフランジ
20:固定ばね
21:溝が設けられた円環部
22:固定磁石
23:キャピラリ
24:貫通孔

Claims (6)

  1. 円筒形を有し、前記円筒形の中心軸を中心とする同一円上に複数の光ファイバを保持するための貫通孔が形成されており、
    前記円筒形の長手方向の一端における前記貫通孔の配置されている領域が予め定められた曲率半径で湾曲した球面形状であり、
    前記円筒形の長手方向の一端における前記貫通孔の配置されていない中心領域が、前記円筒形の長手方向に垂直なフラット面である、
    円筒多心フェルール。
  2. 前記曲率半径が19.5mm以下である、
    請求項1に記載の円筒多心フェルール。
  3. 前記貫通孔の少なくともいずれかに光ファイバが固定されており、
    前記フラット面に対する、前記光ファイバのコア位置での接線の角度が、5度以上である、
    請求項1又は2に記載の円筒多心フェルール。
  4. 前記円筒形の長手方向の一端における前記貫通孔の、前記フラット面からの凹み量が10μm以下である、
    請求項1から3のいずれかに記載の円筒多心フェルール。
  5. 円筒形を有しかつ前記円筒形の中心軸を中心とする同一円上に複数の光ファイバを保持するための貫通孔が形成されているフェルールの少なくともいずれかの貫通孔に光ファイバを固定し、
    前記フェルールの一端の端面を、予め定められた曲率半径で湾曲した球面形状に研磨し、
    その後に、前記一端における前記貫通孔が配置されていない中心領域を、前記円筒形の長手方向に垂直に研磨し、フラット面を形成する、
    ことを特徴とする円筒多心フェルールの研磨方法。
  6. 前記垂直に研磨する際に、前記フラット面から前記貫通孔に固定されている光ファイバまでの距離が10μm以下になるように、前記中心領域を研磨する、
    請求項5に記載の円筒多心フェルールの研磨方法。
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