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JP7519200B2 - 吸収体及び吸収性物品 - Google Patents

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JP7519200B2 JP2020060955A JP2020060955A JP7519200B2 JP 7519200 B2 JP7519200 B2 JP 7519200B2 JP 2020060955 A JP2020060955 A JP 2020060955A JP 2020060955 A JP2020060955 A JP 2020060955A JP 7519200 B2 JP7519200 B2 JP 7519200B2
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Description

本発明は、吸収体及びこれを含む吸収性物品に関する。
特許文献1には、超薄型で、体液吸収後に型くずれを起こさず、しかも吸収能力を充分発揮し得る形態の吸収用積層体として、不織布状以外のパルプ繊維を含まず、2枚の不織布が不織布間に設けられたホットメルト接着剤からなる網状体層によって接着されていると共に、このホットメルト接着剤に高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)粉末が付着した構成が開示されている。
特許文献2には、繊維材料からなる第1シート及び第2シートと、これらのシート間に配置された、SAP粒子を含むSAP層とを備え、SAP粒子の一部が、第1シートと第2シートに挟まれた閉空間を形成する接着部となり、SAP粒子の残部が、該閉空間内で第1シート及び第2シートに対して自由状態で封止された自由SAP粒子群になる、SAPシートが開示されている。
特開2004-106554号公報 特開2019-136152号公報
特許文献1の吸収用積層体は、言わば、パルプレスのSAPシート(高吸収性シート)からなる吸収体である。このようなパルプレスのSAPシートは、自重の数百倍の液体成分を吸収できるSAPの吸液能力の高さにより、薄型化が可能となる。しかしながら、SAPは高い吸液能力を有するものの、吸液速度がパルプに比べて遅いため、SAPシートを例えば紙おむつに用いると、SAPが吸い始めるまでに尿が漏れてしまったり、さらにゲルブロッキングを生じて繰り返し吸収性が悪化する等の不具合が起るため、エアレイドやフラッフパルプからなる層の追加が必要となるという問題があった。さらに、これらエアレイドやフラッフパルプからなる層を追加した場合でも、単純に重ねただけでは、前後左右からの漏れや、吸液速度の悪さからくる表面からの液戻り、べたつき等が生じる問題があった。
特許文献2においても、繰り返し吸収時におけるゲルブロッキングに対しては有効ではなく、さらに部位ごとのSAP量の調整は容易ではない。また、第1シート及び第2シート間に閉空間を形成する接着層が、ゲルブロッキングを起こし易いことから、閉空間内の自由SAP粒子群がその吸収能力を十分に発揮することができない場合がある。
本発明は、部位に応じて高吸収性ポリマーを自由に配置することができ、かつ、SAPの漏れやゲルブロッキングが生じにくい、新規な袋体から構成された吸収体、及び該吸収体を備える吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、所望の吸収体及び吸収性物品を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品に係る。
(1)吸収性物品用の吸収体であって、内部に複数の袋体を含み、前記袋体は、親水性不織布により構成された袋体本体と、前記袋体本体の内部に密封される高吸収性ポリマーと、を有し、前記袋体は、長さが30mm以上110mm以下、幅が9mm以上30mm以下である、ことを特徴とする吸収体。
(2)前記袋体は、1個当たりの前記高吸収性ポリマーの含有量が、0.03g以上0.3g以下である、上記(1)の吸収体。
(3)前記親水性不織布は、エアースルー不織布又はパルプ含有不織布である、上記(1)又は(2)の吸収体。
(4)前記吸収体は、フラッフパルプと高吸収性ポリマーとの混合物の中に、前記袋体を含有する、上記(1)~(3)のいずれかの吸収体。
(5)前記吸収体が、前記袋体を構成する前記親水性不織布以外の、2層の互いに対向する親水性不織布を含み、前記2層の親水性不織布の層間に前記複数の袋体が固定されている、上記(1)~(4)のいずれかの吸収体。
(6)液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、を備え、前記吸収体が、上記(1)~(5)のいずれかの吸収体である、吸収性物品。
本発明によれば、部位に応じてSAPを自由に配置することができ、かつ、SAPの漏れやゲルブロッキングが生じにくい、SAP袋体から構成された吸収体、及び該吸収体を備える吸収性物品が提供される。
(a)及び(b)共にSAP袋体の一実施形態を示す平面図である。 第1実施形態に係る吸収体の構成を模式的に示す断面図である。 第2実施形態に係る吸収体の構成を模式的に示す断面図である。 第3実施形態に係る吸収体の構成を模式的に示す平面図である。 第4実施形態に係る吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態の吸収体について説明する。図1(a)はSAP袋体1の構成を模式的に示す平面図であり、図1(b)はSAP袋体1の変形例であるSAP袋体2の構成を模式的に示す平面図である。図2~図4は、第1、第2、第3実施形態に係る吸収体15、16、17を示す模式図(図2及び図3は断面図、図4は平面図)である。本明細書において、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。
<SAP袋体>
本明細書では、親水性不織布から構成された袋体本体と、袋体本体の内部に密閉された高吸収性ポリマーと、を含んで構成される。本実施形態の袋体を、SAP袋体ともいう。また、袋体本体をSAP袋体本体ともいう。
図1(a)に示すSAP袋体1は、略長方形の平面形状を有するSAP袋体本体10と、SAP袋体本体10の内部に密閉された粒子状の高吸収性ポリマー12と、を含むものである。SAP袋体1は、例えば、略長方形の親水性不織布の縁辺を幅(短辺)方向に2つ折りにして重ね合わせ、その内部に高吸収性ポリマー12を充填し、重ね合わせた縁辺から所定幅の領域を接着してシール層11を形成し、内部に高吸収性ポリマー12を密封することにより作製できる。シール層11の形成は、例えば、ヒートシール、超音波溶着、ホットメルト系接着剤を用いた接着等により形成できる。
SAP袋体1は、図1(a)に示すように、長辺の寸法aが30mm以上110mm以下の範囲又は30mm以上70mm以下の範囲であり、短辺の寸法bが9mm以上20mm以下の範囲又は9mm以上15mm以下の範囲である。また、SAP袋体1の厚みは特に限定されないが、寸法a及び寸法bを前述のように従来の吸収体よりも著しく小型化する観点等から、例えば1.0mm以上2.5mm以下の範囲である。
寸法aが30mm未満及び/又は寸法bが9mm未満であると、袋体本体10内に密封できる高吸収性ポリマー12の量が減少し、所望の体液吸収量を確保するために、SAP袋体1を多く使用することが必要になり、SAP袋体1の小寸化により得られる長所が損なわれる傾向がある。寸法aが110mmを超え及び/又は寸法bが20mmを超えると、1つのSAP袋体1内に密封される高吸収性ポリマー12の量が多くなり、吸収体や吸収性物品内で局所的なゲルブロッキング等が発生し、体液吸収量や繰り返し体液を吸収したときの体液吸収速度等が低下する傾向がある。
SAP袋体1は、前述のように、親水性不織布からなる非常に小寸の袋体本体10に高吸収性ポリマー12を密封することで、フラップパルプを含まず、超小型、薄型、軽量かつ全方位からの体液吸収可能であり、吸収性物品の吸収体として機能するように構成している。SAP袋体1は、使用前にSAPが漏出することがなく、超小型で、それ自体が単独の存在であるため、吸収性物品中のどの層又はどの位置に配置してもよく、吸収性物品の吸収体において、従来の層構造や縦横の配置に捕らわれることなく、任意の位置に自由に配置することができる。また、SAP袋体1を使用することで、吸収体内における繊細なスリット構造(例えば微細なスリット構造)や立体構造も実現できる。また、SAP袋体1は、体液を全方位から吸収できることから、どの向きでも使用することができる。さらに、SAP袋体1は、体液吸収後も柔軟性を保持し。吸収体及び吸収性物品の着用感を高水準に維持するという利点をも有する。
袋体本体10を構成する親水性不織布としては特に限定されず、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、パルプ含有不織布等が挙げられる。これらの不織布は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂からなる繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等の1種又は2種以上を含んで構成される。これらの中でも、体液吸収性及び強度、柔軟性、成形性等の観点から、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等が好ましい。
パルプ含有不織布とは、例えば,米国特許第5284703号明細書に開示されているような、不織布の少なくとも一方の表面にパルプ繊維ウェブを積層したものである。その一例をあげれば、不織布の一方の表面において不織布を構成する繊維とパルプ繊維とが絡み合ってパルプ繊維ウェブが一体化されると共に、パルプ繊維の一部が不織布を厚み方向に突き抜けて他方の面に露出した状態になっており、不織布とパルプ繊維ウェブとが極めて強固に結合し、一体化したものである。ここで、「一体化」とは、吸収性物品を使いきるまでの間に、不織布とパルプ繊維ウェブとが、パルプ含有不織布の機能を低下させる程度に剥離しないことを意味する。前述のパルプ含有不織布は、例えば、不織布に対してパルプ繊維を水流交絡法により吹き付けることにより製造できる。
パルプ含有不織布中の不織布としては特に限定されないが、好ましくはスパンボンド不織布、より好ましくはポリプロピレン繊維を含むスパンボンド不織布、さらに好ましくはポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布である。不織布の坪量は7g/m以上30g/m以下の範囲であり、パルプ繊維ウェブの坪量は例えば30g/m以上50g/m以下の範囲である。パルプ含有不織布の坪量は、強度や風合い等の観点から、例えば40g/m以上60g/m以下の範囲又は40g/m以上50g/m以下の範囲である。一実施形態では、パルプ繊維ウェブが袋体本体10の外側を向き、不織布が袋体本体10の内側を向くように構成される。この構成により、袋体本体10の吸液性が向上する。
袋体本体10に密封される高吸収性ポリマー12としては、体液を吸収しかつ逆流を防止できるポリマーを特に制限なく使用でき、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量あたりの体液吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。SAPは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。高吸収性ポリマー12としては種々の市販品を特に限定なく使用できる。
SAP袋体1の一実施形態は、高吸収性ポリマー12をそのまま袋体本体10内に密封したものである。SAP袋体1の他の実施形態は、高吸収性ポリマー12をティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等のキャリアシートに包んだ状態で袋体本体10内に密封したものである。他の実施形態において、高吸収性ポリマー12をキャリアシート表面に両面テープや接着剤等で固定してもよい。また、高吸収性ポリマー12は粒子状の形態で袋体本体10内に密閉することが好ましい。このとき、高吸収性ポリマー12の粒径は特に限定されないが、例えば中位粒子径として50μm以上600μm以下の範囲である。
SAP袋体1の1個当たりの高吸収性ポリマー12の封入量は、0.03g以上0.3g以下の範囲又は0.05g以上0.15g以下の範囲である。高吸収性ポリマー12の封入量を前記の範囲とすれば、体液吸収後も高吸収性ポリマー12が大きく膨潤してゴツゴツした感触が生じることがなく、SAP袋体1の厚みの増加もほとんどない。したがって、SAP袋体1を含む吸収性物品の体液吸収後の風合いや着用感、フィット感を向上させることができる。
高吸収性ポリマー12の封入量が0.03g未満では、高吸収性ポリマー12の1個当たりの体液吸収量が低下し、前述のSAP袋体1の長所の少なくとも1つが損なわれる傾向がある。高吸収性ポリマー12の封入量が0.3gを超えると、吸収性物品又は吸収体内で局所的なゲルブロッキングが起こり易くなり、体液吸収量や体液を繰り返し吸収した後の吸収速度が低下する傾向がある。
図1(b)に示すSAP袋体2は、SAP袋体1の変形例である。SAP袋体2は、シール層11に代えて、シール層11と非シール層13とが周方向に交互に形成されている以外は、SAP袋体1と同じ構成を有している。非シール層13とは、両側の親水性不織布が接着されていない領域であり、SAP袋体2の内部空間と外部空間とは非シール層13を介して連通している。非シール層13の周方向の幅は、内部の高吸収性ポリマー12がSAP袋体2の外部に漏出しない範囲とすればよい。なお、SAP袋体1、2は厚みが薄く略平面状に折り畳まれていることから、複数の非シール層13が存在しても、高吸収性ポリマー12の外部への漏出は起こり難い。SAP袋体2をこのように構成することにより、体液が全方位からより均一にSAP袋体2内に導入されるので、ゲルブロッキングが発生する可能性がより一層低減する。
<吸収体>
図2には第1実施形態の吸収体15、図3には第2実施形態の吸収体16、及び図4には第3実施形態の吸収体17をそれぞれ示しているが、これらを吸収性物品内の吸収体以外の構造物として用いることもできる。例えば、これらをトップシートと吸収体との間に配置してもよく、吸収体とバックシートとの間に配置してもよく、吸収体を上下2層に構成し、その間に配置してもよい。ただし、ここでは、吸収体15、16、17として説明する。
吸収体15、16、17中に含まれるSAP袋体3は、従来の吸収性物品中の吸収体に比べて非常に小さなものであるが、吸収体15、16、17は従来の吸収性物品中の吸収体と同等の寸法を有していてもよい。吸収体15、16、17の長手方向の寸法及び幅方向の寸法は特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、長手方向の寸法は例えば300mm以上550mm以下の範囲であり、幅方向の寸法は例えば100mm以上200mm以下の範囲である。
図2によれば、第1実施形態に係る吸収体15は、互いに対向する2枚の親水性不織布21と、2枚の親水性不織布21間に収納された吸収基材22と、吸収基材22中に不規則に配置された複数のSAP袋体3と、を含む。
吸収基材22としては、例えば、フラップパルプ、アセテートトウの開繊体等が挙げられる。吸収基材22は、必要に応じてSAPを含んでいてもよい。フラップパルプとしては、例えば、木材パルプ、合成繊維や、合成樹脂繊維等の非木材パルプ等の綿状の解繊物等が挙げられる。吸収基材22がフラップパルプを含む場合でも、フラップパルプを含有しないSAP袋体3を主要な体液吸収体として含み、体液がSAP袋体3中に主に吸収されることから、体液吸収に伴うフラップパルプの柔軟性及び可撓性の低下が緩和される。
SAP袋体3は、親水性不織布で構成された略円筒状の袋体本体中に、SAPが封入されたものである。SAP袋体3は、吸収体15中で円筒状以外の形状に変形していてもよい。ここで、SAP袋体3の袋体本体を構成する親水性不織布と、吸収体15を構成する2枚の親水性不織布21とは、同種でも異種でもよい。また、本実施形態では親水性不織布21を用いるものの、これに限定されず、液透過性を有する他の不織布、樹脂フィルム等を用いることができる。SAP袋体3の寸法は特に制限されないが、SAP袋体1と同様に、長さが30mm以上110mm以下の範囲又は30mm以上70mm以下の範囲であり、幅(直径)が9mm以上20mm以下の範囲又は9mm以上15mm以下の範囲である。また、SAP袋体3における袋体1個当たりのSAP封入量は、SAPの膨張可能空間の確保等を考慮して適宜選択されるが、例えば0.03g以上0.3g以下の範囲又は0.05g以上0.15g以下の範囲である。
円筒状の袋体本体を用いることで、SAP袋体1、2の全方位からの体液の吸収が可能になるという長所が一層高まる。さらにSAP袋体3自体は非常に小寸に構成され、比較的少量のSAPを保持しているので、体液を効率良く吸収できると共に、ゲルブロッキングが非常に起こり難くなる。本実施形態では、3枚以上の互いに対向する親水性不織布21を用い、各層間にSAP袋体3と吸収基材22とを挿入することもできる。
図3に示す第2実施形態に係る吸収体16は、吸収体15の変形例であり、複数のSAP袋体3の不規則な配置に代えて、複数のSAP袋体3の規則的な配置を有する以外は、吸収体15と同じ構成及び同じ変形例を有している。吸収体16において、複数のSAP袋体3は一方向に連続的に配列されている。このように、隣り合うSAP袋体3同士を近接させて配列しても、高吸収性ポリマー12の間には円筒状の袋体本体を構成する親水性不織布が介在し、また、前述したように個々のSAP袋体3内の高吸収性ポリマー12の量は比較的少量であることから、ゲルブロッキングが発生する可能性は極めて少なく、各SAP袋体3内の高吸収性ポリマー12の吸収性能を最大限に発揮でき、繰り返し吸収を行なっても吸収量や吸収速度の低下は起こりにくい。
図4に示す第3実施形態に係る吸収体17は、扁平な形状を有し、SAP袋体3と、吸収基材22と、を親水性不織布21に包んで封入したものであり、従来の吸収性物品中の吸収体と同程度の寸法を有する。なお、図4では、SAP袋体3の配置を分かり易く示すため、吸収体17内部のSAP袋体3を実線で示している。
本実施形態の吸収体17では、複数の円筒状SAP袋体3が、親水性不織布21に包まれ、親水性不織布21中に封入されている。SAP袋体3の具体的な配置は、図4に示すように、吸収体17を長手方向の一方、中央部及び他方に分けると、長手方向の一方では、3個のSAP袋体3が長手方向に延びて、幅方向に平行に略等間隔で配置され、長手方向の中央部では、1個のSAP袋体3が幅方向に延びるように配置され、長手方向の他方では、3個のSAP袋体3が吸収体17の中央部から長手方向他方の端部にかけて放射状に広がるように配置されている。各SAP袋体3の一部又は全部は、例えば、接着、ヒートシール、超音波溶着、縫着等の方法で、親水性不織布21に固定されていてもよい。このように、吸収体17内における体液の流れ、吸収体17のどの領域が着用者の身体のどの部分に面するかといった点等を考慮して、複数のSAP袋体3を配置することもできる。
吸収体15、16、17の平面形状は特に限定されず、例えば、砂時計状、略長方形状(矩形状)、I字状、長円形状、楕円形状、長方形の4角が丸まった角丸四角形等の形状とすることができる。吸収体15、16、17を2層以上を重ねて用いてもよい。また、吸収体15、16、17の厚みは、吸収しようとする体液の種類や、吸収体15、16、17の形態や材質等に応じて適宜選択される。また、体液の吸収性、保持性や、吸収体17の形状保持性等の観点から、必要に応じて、吸収体15、16の全体を親水性シート等で被覆してもよい。親水性シートとしては、例えば、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布等が挙げられる。また、1つの吸収体中に、形状の異なる2種以上のSAP袋体を併用してもよい。
<吸収性物品>
図5は、本実施形態の吸収性物品50の概略構成を示す平面図である。図5は、吸収性物品50をトップシート25側から見た平面図である。吸収性物品50は、吸収体としてて第3実施形態に係る吸収体17を備える以外は、従来の吸収性物品と同じ構成を有するものである。
吸収性物品50に関し、本明細書では、次のように定義する。吸収性物品50の着用とは、体液の吸収前後を問わず、吸収性物品50を身体に装着した状態をいう。吸収性物品50の長手方向とは吸収性物品50を着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る図中符号Yで示す方向であり、幅方向とは長手方向に対して直交する図中符号Xで示す方向であり、厚み方向とは吸収性物品50の各構成部材を積層する方向である。肌側面及び非肌側面とは、それぞれ、吸収性物品1の着用時において、着用者の肌に当接する表面及び肌を臨む表面、及び、着用者の衣服に接触する表面又は衣服を臨む表面である。
本実施形態の吸収性物品50は、ベビー用又は成人用を問わず種々の吸収性物品として使用できるが、代表的には、軽失禁パッド、尿吸収パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等が挙げられる。アウターとしての各種紙おむつと、インナーとしての吸収性物品50とを組み合わせてもよい。吸収性物品1の、長手方向及び幅方向の寸法は特に限定されないが、それぞれ例えば100mm以上800mm以下、及び50mm以上500mm以下である。吸収性物品1の寸法を前記の範囲に調整することで、種々の用途の吸収性物品が得られる。
本実施形態の吸収性物品50は、図5に示すように、これを着用したときに相対的に肌側に位置する、液透過性のトップシート25と、トップシート25に対向して配置され、これを着用したときに相対的に非肌側に位置する液不透過性のバックシート30と、トップシート25とバックシート30との間に配置された吸収体17と、トップシート25の肌側面に設けられた一対の立体ギャザー40と、を備える。吸収体17はトップシート25とバックシート30との間に挟まれ、尿等の体液はトップシート25を通して吸収体17に吸収及び保持される。吸収性物品1の用途やタイプに応じて、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を適宜設けることができる。
(トップシート)
トップシート25は、体液が吸収体17へと移動するような液透過性を備えた基材から形成すればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布等の親水性の不織布材料等、感触が柔らかで肌に刺激を与えない材料から構成される。また、トップシート25には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート25には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。さらに、強度及び加工性の点から、トップシート25の坪量は、例えば、18g/m以上40g/m以下の範囲である。トップシート25の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体17へと誘導するために必要とされる、吸収体17を覆う形状であればよい。
(バックシート)
バックシート30には、吸収体17が保持する体液が衣類を濡らさないように液不透過性の基材、例えば通気性又は非通気性の樹脂フィルムを使用できる。樹脂フィルムとしては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる樹脂フィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。強度及び加工性の観点から、バックシート30の坪量は、例えば15g/m以上40g/m以下の範囲である。着用時の蒸れを防止するため、通気性の樹脂フィルムをバックシート30として使用することが好ましい。樹脂フィルムに通気性を付与するには、樹脂フィルムへのフィラーの配合、樹脂フィルムのエンボス加工等を実施すればよい。炭酸カルシウム等のフィラーを、公知の方法に従って樹脂フィルムに配合できる。
(吸収体)
吸収体17は、トップシート25とバックシート30との間に配置されている。本実施形態では、吸収体17を用いているが、これに代えて、種々の形状を有する複数のSAP袋体を含む吸収体を特に限定なく使用できる。SAP袋体3の個数は特に限定されないが、吸収体17の長手方向寸法を300mm以上550mm以下の範囲、幅方向寸法を100mm以上200mm以下の範囲とした場合は、例えば5個以上100個以下の範囲又は10個以上50個以下の範囲である。この個数を目安として、吸収体17の長手方向寸法及び/又は幅方向寸法の増減に応じて、SAP袋体3の個数を適宜選択できる。なお、この個数はSAP袋体3に限定されるものではなく、他のSAP袋体の吸収体中での個数の目安となる。
(立体ギャザー)
立体ギャザー40としては、一端がトップシート25やバックシート30の幅方向両端部に固定され、他端がトップシート25の上方で自由端40aとなるように、長手方向に沿うように配設されている。一端がバックシート30に固定されている場合は、その途中部がトップシート25の幅方向両端に固定されていることもある。さらに、一端がバックシート30の非肌側面に固定されていることもある。立体ギャザー40としては、疎水性繊維にて形成された撥水性又は液不透過性のシート、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポリエチレンフィルムを用いることができ、これらの基材から適宜選択し、二重に接合したものを用いることもできる。また、立体ギャザー40の坪量は、加工性及び強度の観点から、15g/m以上100g/m以下の範囲である。
また、立体ギャザー40の自由端40aには、少なくとも1本の弾性伸縮部材を長手方向に沿って配設してもよい。これにより、自由端40aに起立性が付与され、着用者の体型に合わせて変形可能になり、フィット性が向上することで、尿等の体液の漏れを効果的に防止することができる。弾性伸縮部材としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が使用される。
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1、2、3 SAP袋体
10 SAP袋体本体(袋体本体)
11 シール層
12 高吸収性ポリマー
13 非シール層
15、16、17 吸収体
21 親水性不織布
22 吸収基材
25 トップシート
30 バックシート
40 立体ギャザー
50 吸収性物品

Claims (5)

  1. 吸収性物品用の吸収体であって、
    内部に複数の袋体を含み、
    前記袋体は、
    親水性不織布により構成された袋体本体と、
    前記袋体本体の内部に密封される高吸収性ポリマーと、を有し、
    前記袋体は、それ自体が単独の存在であり、
    前記袋体本体の縁辺に、所定幅の領域を接着するシール層が形成されることによって、前記袋体本体の前記内部に前記高吸収性ポリマーを密封されたもの、又は、
    前記袋体本体の縁辺に、所定幅の領域を接着するシール層と、接着されていない領域である非シール層とが周方向に交互に形成されており、前記非シール層の前記周方向の幅が、前記内部の高吸収性ポリマーが使用前に前記袋体の外部に漏出しない範囲であることによって、前記袋体本体の前記内部に前記高吸収性ポリマーが密封されたもの、であり、
    前記袋体は、長さが30mm以上110mm以下、幅が9mm以上30mm以下であり、
    前記袋体は、1個当たりの前記高吸収性ポリマーの含有量が、0.03g以上0.3g以下である、吸収体。
  2. 前記親水性不織布は、エアースルー不織布又はパルプ含有不織布である、請求項1に記載の吸収体。
  3. 前記吸収体は、フラッフパルプと高吸収性ポリマーとの混合物の中に、前記袋体を含有する、請求項1又は2に記載の吸収体。
  4. 前記吸収体が、前記袋体を構成する前記親水性不織布以外の、2層の互いに対向する親水性不織布を含み、
    前記2層の親水性不織布の層間に前記複数の袋体が固定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収体。
  5. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、を備え、
    前記吸収体が、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収体である、吸収性物品。
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