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JP7513926B1 - タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents

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JP7513926B1 JP2023050367A JP2023050367A JP7513926B1 JP 7513926 B1 JP7513926 B1 JP 7513926B1 JP 2023050367 A JP2023050367 A JP 2023050367A JP 2023050367 A JP2023050367 A JP 2023050367A JP 7513926 B1 JP7513926 B1 JP 7513926B1
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Abstract

【課題】競技用の空気入りタイヤでは、ドライ路面走行用タイヤとウェット路面走行用タイヤとが用意され、走行時の天候および路面の状態に応じそれぞれ最適のタイヤを選択するようにしている。ウェット路面走行用の競技用タイヤとしては、高比表面積のフィラーや高い軟化点を有する樹脂(高軟化点樹脂)を多量配合する手法があるが、耐摩耗性およびウォームアップ性能が低下するという問題点がある。【解決手段】ジエン系ゴム100質量部に対し、酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂を1~60質量部、かつ窒素吸着比表面積が100~300m2/gのシリカを30~300質量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物によって上記課題を解決した。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものであり、詳しくは、ウェットグリップ性能、ウォームアップ性能(低温時のグリップ性能)および破断強度を高めるとともに、加工性にも優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものである。
一般に、タイヤに求められる性能は多岐にわたっているが、その中で、グリップ性能および耐摩耗性を高い水準で維持することが要求されている。
一方、競技用の空気入りタイヤでは、ドライ路面走行用タイヤとウェット路面走行用タイヤとが用意され、走行時の天候および路面の状態に応じそれぞれ最適のタイヤを選択するようにしている。ここでウェット路面走行用の競技用タイヤとしては、高比表面積のフィラーや高い軟化点を有する樹脂(高軟化点樹脂)を多量配合し、ウェットグリップ性能を高めている。
しかし、高比表面積のフィラーを多量配合すると、破断強度が低下し、これにより耐摩耗性が悪化してしまう。また、高軟化点樹脂を多量配合すると、低温硬度が上昇して作動性が低下し、ウォームアップ性能が悪化するという問題点がある。
なお、下記特許文献1には、ガラス転移温度(Tg)が-20℃以上のスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、CTAB比表面積が100~400m/gのシリカを75~200質量部、および酸価が30mgKOH/g以上かつ水酸基価が5mgKOH/g以上のテルペンフェノール樹脂を5~50質量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物が開示されている。しかし、下記で説明する酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂については開示も示唆もされていない。
また、下記特許文献1に記載のタイヤ用ゴム組成物は、加硫剤や加硫促進剤等を加えて例えばオープンロールで混練する際、ロールに対してゴム組成物が密着し易く、その加工性に改善が求められていた。
特許第6791278号公報
したがって本発明の目的は、ウェットグリップ性能、ウォームアップ性能および破断強度を高めるとともに、加工性にも優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ジエン系ゴムに対し、特定範囲の酸価を有するロジン変性フェノール樹脂および特定範囲の窒素吸着比表面積(NSA)を有するシリカを特定量で配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は、ジエン系ゴム100質量部に対し、酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂を1~60質量部、かつ窒素吸着比表面積(NSA)が100~300m/gのシリカを30~300質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物を提供するものである。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂を1~60質量部、かつ窒素吸着比表面積(NSA)が100~300m/gのシリカを30~300質量部配合してなることを特徴としているので、ウェットグリップ性能、ウォームアップ性能および破断強度を高めるとともに、加工性にも優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することができる。
本発明に使用されるロジン変性フェノール樹脂は、ジエン系ゴムとの相溶性に優れ、また、酸価が低いためゴム組成物中のアルカリ性成分(例えば加硫促進剤)の機能を十分に発揮させることができ、ドライグリップ性能、ウォームアップ性能および破断強度を良化させ、また金属表面と密着する作用のあるカルボキシル基が減少するという理由から加工性も向上できるものと推察される。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、通常のゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
これらのジエン系ゴムの中でも、本発明の効果の点からジエン系ゴムはSBRが好ましい。SBRの配合量は、例えば競技用途である場合、好ましくは80質量部以上、さらに好ましくは100質量部であることができる。
(ロジン変性フェノール樹脂)
本発明で使用されるロジン変性フェノール樹脂は、ロジン系樹脂、フェノール類、ホルムアルデヒドおよびポリオールの反応生成物であることができる。
ロジン系樹脂としては、例えばガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等の未変性ロジン;未変性ロジンから誘導される重合ロジン;未変性ロジンや重合ロジンの不均化物または水素化物;未変性ロジンや重合ロジンに不飽和カルボン酸を反応させることにより得られる不飽和カルボン酸変性ロジン等が挙げられる。
フェノール類としては、例えばフェノール;メチルフェノール(クレゾール)、ブチルフェノール、ペンチルクレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキシルデシルフェノール等のアルキルフェノール等が挙げられる。
ホルムアルデヒドとしては、例えばホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプルパン、トリメチロールエタン等のトリオール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン及びジトリメチロールエタン等のテトラオール等が挙げられる。
ロジン系樹脂、ホルムアルデヒド、フェノール類及びポリオールの使用量は特に限定されず、例えば、所望の分子量や軟化点等を勘案して適宜決定すればよい。また、反応方法としては、例えば、ロジン系樹脂、フェノール類/ホルムアルデヒド(縮合物)、ポリオールを一括で仕込み、反応させる方法等があり、反応温度は通常100~300℃程度、反応時間は通常1~24時間程度である。
本発明で使用されるロジン変性フェノール樹脂は、酸価を30mgKOH/g未満に調整する必要がある。
酸価を30mgKOH/g未満に調整する方法としては、とくに制限されないが、好適な形態として、例えば上記のように調製したロジン変性フェノール樹脂または市販のロジン変性フェノール樹脂(通常は酸価は30mgKOH/g以上である)をエステル化して酸価を30mgKOH/g未満に低下させる方法がある。上記エステル化は、常法により行えばよく、アルコールとして多価アルコールを用い、150~300℃の反応温度で行うことができる。エチレングリコールのような二価のアルコールを使用すると軟化点が低い樹脂となるため、好ましくは三価以上のアルコールを使用する。アルコールの仕込み量により、酸価を調整することができる。上記好適な形態により調製されたロジン変性フェノール樹脂は、その内部にエステル結合を含有することによって、ジエン系ゴムとの相溶性が高まり、ロジン変性フェノール樹脂により奏される効果をさらに高めることができる。
本発明で使用されるロジン変性フェノール樹脂の酸価は、5~25mgKOH/gが好ましく、10~20mgKOH/gがさらに好ましい。
本発明で使用されるロジン変性フェノール樹脂は、本発明の効果がさらに高まるという観点から、重量平均分子量が2000~5000が好ましく、2500~4500がさらに好ましい。また軟化点は、100~160℃が好ましく、110~150℃がさらに好ましい。なお、本発明で言う重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析されるポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。また上記軟化点は、JIS K6220-1に準拠して測定したものとする。
(シリカ)
本発明で使用するシリカは、窒素吸着比表面積(NSA)が100~300m/gである。
シリカのNSAが100m/g未満であると、ウェットグリップ性能が低下し、また破断強度が低下するため耐摩耗性が悪化する。
またシリカのNSAが300m/gを超えると、加工性が悪化する。
発明で使用するシリカのさらに好ましいNSAは、130~270m/gである。
なおNSAは、JIS K6217-2に準拠して測定するものとする。
(配合割合)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂を1~60質量部、かつ窒素吸着比表面積(NSA)が100~300m/gのシリカを30~300質量部配合してなることを特徴とする。
上記ロジン変性フェノール樹脂の配合量が1質量部未満では、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に60質量部を超えると、ウォームアップ性能が低下し、また破断強度が低下するため耐摩耗性が悪化する。
上記ロジン変性フェノール樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5~55質量部が好ましく、10~50質量部がさらに好ましい。
また、上記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、50~270質量部が好ましく、70~240質量部がさらに好ましい。
(シランカップリング剤)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、本発明の効果がさらに向上するという観点から、シリカに対しシランカップリング剤を2~20質量%配合するのが好ましく、中でもシランカップリング剤が、下記(2)の組成式で表されることがさらに好ましい。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (2)
(式(2)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)
式(2)で表されるシランカップリング剤(ポリシロキサン)およびその製造方法は、例えば国際公開WO2014/002750号パンフレットに開示され、公知である。
上記式(2)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。なかでも、下記式(12)で表される基であることが好ましい。
-(CH2n-Sx-(CH2n- (12)
上記式(12)中、nは1~10の整数を表し、なかでも、2~4の整数であることが好ましい。
上記式(12)中、xは1~6の整数を表し、なかでも、2~4の整数であることが好ましい。
上記式(12)中、*は、結合位置を示す。
上記式(12)で表される基の具体例としては、例えば、-CH2-S2-CH2--C24-S2-C24--C36-S2-C36--C48-S2-C48--CH2-S4-CH2--C24-S4-C24--C36-S4-C36--C48-S4-C48-などが挙げられる。
上記式(2)中、Bは炭素数5~20の1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(2)中、Cは加水分解性基を表し、その具体例としては、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、下記式(13)で表される基であることが好ましい。
-OR2 (13)
上記式(13)中、R2は炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数6~10のアラルキル基(アリールアルキル基)または炭素数2~10のアルケニル基を表し、なかでも、炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。上記炭素数1~20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、トリル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。上記炭素数2~10のアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、プロぺニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
上記式(13)中、*は、結合位置を示す。
上記式(2)中、Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。なかでも、下記式(14)で表される基であることが好ましい。
-(CH2m-SH (14)
上記式(14)中、mは1~10の整数を表し、なかでも、1~5の整数であることが好ましい。
上記式(14)中、*は、結合位置を示す。
上記式(14)で表される基の具体例としては、-CH2SH、-C24SH、-C36SH、-C48SH、-C510SH、-C612SH、-C714SH、-C816SH、-C918SH、-C1020SHが挙げられる。
上記式(2)中、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。
上記式(2)中、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。
上記式(2)中、aは、本発明の効果が向上するという理由から、0<a≦0.50であることが好ましい。
上記式(2)中、bは、本発明の効果が向上するという理由から、0<bであることが好ましく、0.10≦b≦0.89であることがより好ましい。
上記式(2)中、cは、本発明の効果が向上するという理由から、1.2≦c≦2.0であることが好ましい。
上記式(2)中、dは、本発明の効果が向上するという理由から、0.1≦d≦0.8であることが好ましい。
上記ポリシロキサンの重量平均分子量は、本発明の効果が向上するという理由から、500~2300であるのが好ましく、600~1500であるのがより好ましい。本発明における上記ポリシロキサンの分子量は、トルエンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で求めたものである。
上記ポリシロキサンの酢酸/ヨウ化カリウム/ヨウ素酸カリウム添加-チオ硫酸ナトリウム溶液滴定法によるメルカプト当量は、加硫反応性に優れるという観点から、550~700g/molであるのが好ましく、600~650g/molであるのがより好ましい。
上記ポリシロキサンは、本発明の効果が向上するという理由から、シロキサン単位(-Si-O-)を2~50個有するものであることが好ましい。
なお、上記ポリシロキサンの骨格には、ケイ素原子以外の金属(例えば、Sn、Ti、Al)は存在しない。
上記ポリシロキサンの製造方法は公知であり、例えば国際公開WO2014/002750号パンフレットに開示された方法にしたがって製造することができる。
なお、式(2)で表されるシランカップリング剤以外の公知のシランカップリング剤を使用すること、あるいは式(2)で表されるシランカップリング剤とそれ以外の公知のシランカップリング剤を併用することも可能である。
(液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴム)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ガラス転移温度(Tg)が-40℃以上の液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴムを配合するのが好ましい。このような液状芳香族ビニル-共役ウェットグリップ性能および耐摩耗性を高めることができる。また該液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴムは、ジエン系ゴムとなじみやすく、かつ本発明で使用されるロジン変性フェノール樹脂の分散性を高め、本発明の効果を高めることができる。
液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴムとしては、液状スチレン-ブタジエン共重合体(液状SBR)が好ましい。液状SBRは、重量平均分子量が2000~40000であり、好ましくは3000~20000のものを使用することができる。また液状SBRのガラス転移温度は前記のように-40℃以上であり、-20℃~-5℃がさらに好ましい。液状SBRは、市販されているものを利用することができ、例えばCray Valley社製 RICON 100、クラレ(株)製L-SBR 820等が挙げられる。 なお、本発明で言うTgは、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。
なお、本発明で使用される液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴムは、23℃で液体である。したがって、この温度では固体である前記ジエン系ゴムとは区別される。
また、液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴムの配合量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対し5~40質量部が好ましく、10~30質量部であるのがさらに好ましい。
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛;カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。なお、水酸化アルミニウムを使用する場合は、ジエン系ゴム100質量部に対し、10質量部以上が好ましく、15~70質量部がさらに好ましい。
本発明のゴム組成物は、ウェットグリップ性能、ウォームアップ性能および破断強度を高めるとともに、加工性にも優れることから、タイヤのトレッド、とくにキャップトレッド、好ましくは競技用タイヤのトレッド、とくにキャップトレッドに好適に用いられ得る。また本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
標準例1、実施例1~7および比較例1~5
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらにロール混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
ウェットグリップ性能:JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件で、tanδ(0℃)を測定した。結果は、標準例1を100として指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能が良好であることを示す。
硬度(20℃):JIS K6253に準拠して20℃にて測定した。結果は、標準例1の値を100として指数表示した。指数が小さいほどウォームアップ性能に優れることを示す。
破断強度:JIS K6251に準拠して、上記加硫ゴム試験片から3号ダンベル状のサンプル片を打ち抜き、500mm/分の引張速度にて引張試験を行い、破断伸び(%)を測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この指数が大きいほど破断強度に優れ、耐摩耗性に優れることを示す。
加工性:ロール混練時の密着性を、次の評価基準で評価した。
〇:力を入れなくてもゴムが剥がれ、ロールにゴムは残らなない。
△:力を入れてゴムを剥がす必要はあるが、ロールにゴムは残らない。
×:力を入れてゴムを剥がす必要があり、ロールにゴムが残ってしまう。
結果を表1に示す。
Figure 0007513926000001
*1:SBR(ZSエラストマー株式会社製 Nipol NS522)
*2:シリカ1(Evonik社製 Ultrasil 7000GR (NSA=171m/g)
*3:シリカ2(Solvay社製Zeosil 1085GR、NSA=86m/g)
*4:カーボンブラック(東海カーボン株式会社製シースト9)
*5:水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製BF013)
*6:樹脂1(ヤスハラケミカル株式会社製YSポリスターS145、フェノール変性テルペン樹脂、酸価=0mgKOH/g)
*7:樹脂2(荒川化学工業株式会社製タマノル803L、ロジン変性フェノール樹脂、酸価=52mg KOH/g)
*8:樹脂3(荒川化学工業株式会社製マルキードNo.5、マレイン酸変性ロジン樹脂、酸価=19mg KOH/g)
*9:樹脂4(荒川化学工業株式会社製ペンセルKK、ロジンエステル樹脂、酸価=19mg KOH/g)
*10:樹脂5(ロジン変性フェノール樹脂:ロジン、フェノール類、ホルムアルデヒド及びポリオールの反応生成物。酸価=15mg KOH/g)
*11:樹脂6(ロジン変性フェノール樹脂:ロジン、フェノール類、ホルムアルデヒド及びポリオールの反応生成物。酸価=17mg KOH/g)
*12:シランカップリング剤1(Evonik社製Si69)
*13:シランカップリング剤2(国際公開WO2014/002750号パンフレットに開示された製法により調製された、前記(2)の組成式を満たすシランカップリング剤。組成式=(-C36-S4-C36-)0.083(-C8170.667(-OC251.50(-C36SH)0.167SiO0.75、平均分子量=860)
*14:液状SBR(Cray Valley社製 RICON 100、重量平均分子量=6400、Tg=-15℃)
*15:オイル(昭和シェル石油株式会社製エキストラクト4号S)
*16:ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸YR)
*17:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*18:老化防止剤(フレキシス社製6PPD)
*19:加硫促進剤1(三新化学工業株式会社製サンセラーD-G)
*20:加硫促進剤2(大内新興化学工業株式会社製ノクセラーCZ-G)
*21:硫黄(鶴見化学工業株式会社製金華印油入微粉硫黄)
表1の結果から、実施例のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂を1~60質量部、かつ窒素吸着比表面積(NSA)が100~300m/gのシリカを30~300質量部配合したので、標準例1に比べて、ウェットグリップ性能、ウォームアップ性能および破断強度が向上し、加工性にも優れることが分かった。
これに対し、比較例1はロジン変性フェノール樹脂の酸価が本発明で規定する上限を超えているので、ウェットグリップ性能が悪化した。
比較例2はマレイン酸変性ロジン樹脂を使用した例であるのでウォームアップ性能が悪化した。
比較例3はロジンエステル樹脂を使用した例であるのでウェットグリップ性能およびウォームアップ性能が悪化した。
比較例4はシリカの窒素吸着比表面積(NSA)が本発明で規定する下限未満であるので、ウォームアップ性能および破断強度が悪化した。
比較例5はロジン変性フェノール樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているのでウォームアップ性能および破断強度が悪化した。
本開示は、以下の発明を包含する。
発明[1]:ジエン系ゴム100質量部に対し、酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂を1~60質量部、かつ窒素吸着比表面積(NSA)が100~300m/gのシリカを30~300質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
発明[2]:前記シリカに対し、さらにシランカップリング剤を2~20質量%配合してなり、
前記シランカップリング剤が、下記(2)の組成式で表されることを特徴とする発明1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (2)
(式(2)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)
発明[3]:さらにガラス転移温度(Tg)が-40℃以上の液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴムを含むことを特徴とする発明1または2に記載のゴム組成物。
発明[4]: 前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに水酸化アルミニウムを10質量部以上配合してなることを特徴とする発明1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
発明[5]:発明1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに用いたタイヤ。

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム100質量部に対し、酸価が30mgKOH/g未満のロジン変性フェノール樹脂を1~60質量部、かつ窒素吸着比表面積(NSA)が100~300m/gのシリカを30~300質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記シリカに対し、さらにシランカップリング剤を2~20質量%配合してなり、
    前記シランカップリング剤が、下記(2)の組成式で表されることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
    (A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (2)
    (式(2)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0≦d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)
  3. さらにガラス転移温度(Tg)が-40℃以上の液状芳香族ビニル-共役ジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに水酸化アルミニウムを10質量部以上配合してなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに用いたタイヤ。
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