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JP7501730B2 - 化粧材 - Google Patents

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JP7501730B2 JP2023080595A JP2023080595A JP7501730B2 JP 7501730 B2 JP7501730 B2 JP 7501730B2 JP 2023080595 A JP2023080595 A JP 2023080595A JP 2023080595 A JP2023080595 A JP 2023080595A JP 7501730 B2 JP7501730 B2 JP 7501730B2
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Description

本発明は化粧材に関する。
化粧材における意匠表現は多岐に亘るが、その中で、例えば特許文献1のように、炭素繊維による織物を模した(以下、「炭素繊維織物調」と記載することがある。)模様を具備する化粧材がある。このような模様は特有の美感があり、化粧材として様々なものに適用されている。
特開2000-155847号公報
近年における嗜好の多様化や、リアルな意匠表現が求められること等により、従来の炭素繊維織物調の模様を有する化粧材では単調となり勝ちであり、異なる印象を与える炭素繊維織物調の模様を具備する化粧材が望まれる場面がある。
そこで本発明は、特に炭素繊維織物調の表現において、これまでとは異なる外観を得ることができる化粧材を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
本発明の1つの態様は、表面に凹凸模様が形成されてなる化粧材であって、基材、及び、基材の一方の面に具備された凹凸を有する模様形成層を備え、模様形成層は、化粧材の平面視で一方向が長い領域である第一領域と、化粧材の平面視で一方向が長い領域である第二領域と、を有し、第一領域の一方向と第二領域の一方向とは向きが異なるように配置されるとともに、第一領域及び第二領域はそれぞれ複数設けられて配列されており、第一領域の内側、及び、第二領域の内側のそれぞれには、複数の凸線条が配列されているとともに、第一領域の凸線条、及び、第二領域の凸線条のうち少なくとも一方は、化粧材の平面視で曲線状に延びるように構成されている、化粧材である。
本発明によれば、特に炭素繊維織物調の表現において、これまでとは異なる外観の化粧材とすることができる。
図1は、化粧材10の表面の一部を拡大して表した平面図である。 図2は、図1の一部を拡大して表した図である。 図3(a)は、模様形成層12の形態を説明するために模式的に表した化粧材10の斜視図、図3(b)は一部を拡大した平面図である。 図4は化粧材10の切断面の一部である。 図5は化粧材110を説明する平面図である。 図6は化粧材210を説明する斜視図である。 図7は、レーザーにより型に凹凸を形成する場面を説明する図である。
以下、図面に基づき各形態について説明する。本発明はこれら形態に限定されるものではない。なお、以下に示す図面では分かりやすさのため部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさのため説明上不要な部分の図示や繰り返しとなる符号は省略することがある。
図1は1つの形態にかかる化粧材10の一部を拡大し、模様形成層12側から平面視した図(平面図)である。
なお、図1及び以降に示す図には必要に応じて便宜のため、方向を表す矢印(x、y、z)、即ち座標系も併せて表記した。ここでxy方向は化粧材10における面内方向、z方向は厚さ方向である。従って図1は化粧材10を模様形成層12側の特にz方向から見た(平面視した)図ということになる。
図1からわかるように本形態の化粧材10は、全体として炭素繊維織物調をなす模様を有して形成されている。
図2には図1にAで示した部位を抜き出して拡大した図を示した。
また、図3(a)には、化粧材10の構成をよりわかり易く説明するため、化粧材10の一部を拡大して模式的に表した斜視図を示した。図3(b)には、図3(a)を平面視して一部を拡大して表した。
図4には、図3(b)にIV-IVで示した線に沿った切断面を示した。
図1乃至図4よりわかるように、化粧材10は、基材11及び該基材11の一方の面に具備された模様形成層12を有して構成されている。
以下、各構成についてさらに詳しく説明する。
基材11は、模様形成層12を保持するとともに化粧材10に強度を付与する機能を有するシート状の部材である。基材11の形態としてはフィルム、シート、或いは板の何れでも良い。一般的には、厚みが比較的薄いものから、順次、フィルム、シート、板と呼称されるが、本形態においては、これら基材の厚み形態による差異は本質的な事項では無く重要な事項でも無い。そのため、本明細書中においてはフィルム、シート、及び板の何れかの用語は適宜他の用語に読み換えても本発明の本質も特許請求の範囲の解釈も不変である。
基材11は従来公知の化粧材と同様の機能を有するものであればよいので、その材料は特に限定されない。例えば、基材の材料としては、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、或いは、ラジカル重合型のアクリレート系やカチオン重合型のエポキシ系等の単量体やプレポリマーで電離放射線(紫外線、電子線等)で硬化する電離放射線硬化性樹脂等が用いられる。なお、基材の材料が樹脂の場合、公知の着色剤で着色しても良い。この他、紙、不織布、金属、木等もシート、板、立体物等の形状で、適宜上記樹脂材料と積層させて、使用することもできる。
基材の厚さには特に制限は無いが、シート状の基材又はフィルム状の基材の場合は、例えば、厚さ20μm以上1000μm以下程度、板状の基材の場合は、例えば、1mm以上20mm以下程度のものが使用される。
模様形成層12は、基材11の一方の面に具備され、化粧材に模様を付与する層であり、本形態では化粧材10に炭素繊維織物調の模様を付与する形態とされている。
尚、模様形成層12は、基材11との関係において、以下の2形態(2層積層体、単層体)がある。何れの形態を採用するかは、本発明において本質的な差異では無いため、図3、図4、及び図6においては、図示の簡素化の為、単層体(下記(2))の形態で図示する。
(1)模様形成層12を基材11と別個の層から構成し、これを基材11の一方の面上に積層して基材11と模様形成層12とからなる2層積層体を構成する形態。
(2)模様形成層12を基材11と一層で兼用とした単層体の形態。
また、図1乃至図4よりわかるように、本形態で模様形成層12は次のような形態を備えている。
模様形成層12は、平面視で長方形の第一領域13及び平面視で長方形の第二領域14を有しており、複数の第一領域13及び複数の第二領域14がxy面内に配列されてなる。かかる配列は、通常の織物の意匠外観を再現する場合は、図1以下に図示する如く、第一領域13と第二領域14とは図示するような位置関係で隣接する領域同士がその辺を接するようにして隙間無く配列することが好ましい。但し、所望の意匠外観によっては、図示の形態とは異なり、隣接する領域間の少なくとも一部に隙間(第一領域13も第二領域14も存在し無い第三領域)を有するように配列しても良い。
第一領域13、第二領域14の輪郭を形成する態様は特に限定されず、いくつかの態様が考えられる。例えば、後述するように第一領域13内に配置される凸線条群13a、及び、第二領域14内に配置される凸線条群14aを囲む仮想の長方形を輪郭としてもよい。本形態は図3(a)、図3(b)に点線で表したように、第一領域13、及び、第二領域14は、凸線条群13a、凸線条群14aを囲む仮想の包絡線からなる長方形である。
その他、第一領域13、第二領域14が隣り合う領域と段差がある場合には、その段差により境界が形成され、これが第一領域13、第二領域14の輪郭を形成してもよい。また、第一領域13及び第二領域14の境界を構成するためにこれら領域を囲繞する凸線条又は凹線条が設けられてこれが第一領域13、第二領域14の輪郭を形成してもよい。即ち、図3(a)、図3(b)に点線で表した包絡線の部分を所定の幅と高さとを有する土手状又は溝状の輪郭線領域として、これによって隣接領域間の境界とすることもできる。または、以上のような境界の形態が複数組み合わされて輪郭を形成するように構成されてもよい。
図3(a)及び図3(b)に図示する如く、本形態で第一領域13は、長方形の長辺がy方向を向き、短辺がx方向を向くように配置されている。そして、間に隙間無く隣り合う第一領域13は、y方向に長辺の半分のピッチ且つx方向に1ピッチずれるようにしつつx方向に並ぶように配列されている。
一方、第二領域14は、長方形の長辺がx方向を向き、短辺がy方向を向くように配置されている。そして、間に隙間無く隣り合う第二領域14は、x方向に長辺の半分のピッチ且つy方向に1ピッチずれるようにしつつy方向に並ぶように配列されている。
そして、第一領域13の長辺の一部で、隣り合う第一領域13が重ならない部分に、第二領域14の短辺が間に隙間無く重なるように配置される。同様にして、第二領域14の長辺の一部で、隣り合う第二領域14が重ならない部分に、第一領域13の短辺が間に隙間無く重なるように配置される。
以上のような第一領域13及び第二領域14の配列により、炭素繊維織物調の形態を模擬することができる。
上記のように領域が長方形である組み合せの他、領域を菱形とすることによるいわゆる菱柄とすることができる。このとき長方形や菱形の辺は直線でなくてもよく、括れた形状、又は、平面視形状が正弦波のような波形曲線となる形態であってもよい。
すなわち、第一領域、第二領域はそれぞれ一方向に長い領域であり、第一領域の一方向と第二領域の一方向とが向きが異なるように配置されている。第一領域及び第二領域が長方形であればその長辺の方向が一方向を意味し、第一領域及び第二領域が菱型であれば長い対角線の方向が一方向を意味する。
さらに、第一領域13及び第二領域14の内側には、それぞれ複数の凸線条が配列されてなる凸線条群13a、凸線条群14aが形成されている。
図3(a)、図3(b)からわかるように、本形態の第一領域13の内側には、同じ方向に直線状に延びる複数の凸線条13bが配列されており、これらの集合により凸線条群13aが形成されている。その中でも、本形態では、第一領域13の長辺に沿った方向に延びる凸線条13bが、第一領域13の短辺に沿った方向に、その延びる方向を互い平行にして、複数配列されている。これにより炭素繊維が複数束ねられた態様を模擬することができる。
ただし、これに限定されることはなく、凸線条13bが延びる方向や配列される向き等は適宜設定することができる。
一方、本形態の第二領域14の内側には、曲線状に延びる複数の凸線条14bが配列されている。その中でも、本形態では、円弧状に延びる凸線条14bが複数条、互いに同心円状に、配列されている。これにより炭素繊維が複数束ねられた態様を模擬しつつも、これまでとは異なる外観の炭素繊維織物調の化粧材とすることができる。
ただし凸線条14bの曲線の形状は特に限定されることはなく、平面視形状が楕円、放物線、双曲線、楕円関数曲線、サイクロイド、Bessel関数曲線等の定型、不定型な曲線の形態をとることができる。これによってもこれまでとは異なる外観の炭素繊維織物調の化粧材とすることができる。
すなわち、第一領域及び第二領域の少なくとも一方において、その領域内に曲線状に延びる複数の凸線条を具備しており、これによりこれまでとは異なる外観の炭素繊維織物調の化粧材とすることができる。
第一領域の凸線条群、及び、第二領域の凸線条群に具備される凸線条の高さ、幅、長さの具体的な大きさは特に限定されることはないが、化粧材における炭素繊維織物調の模様を形成するという観点から微細なものであることが好ましい。かかる観点から凸線条は次のような形態であることが好ましい。
凸線条の幅(凸線条が延びる方向に直交する方向の大きさ)は、その凸線条のもっと幅広の部分において10μm以上150μm以下であることが好ましい。
凸線条の高さ(z方向の大きさ)は、その凸線条の最も高い部分において5μm以上80μm以下であることが好ましい。
凸線条の長さ(凸線条が延びる方向の大きさ)は領域の大きさにより決まる。
本形態で各領域内の複数の凸線条は、領域内において同じ方向に揃って延びているが、必ずしも厳密に平行である必要はない。また必ずしも同じ方向に揃っている必要もない。ただし、炭素繊維織物調である観点からは各領域内の複数の凸線条は、領域内において概ね同じ方向に揃って延びていることが好ましい。
隣り合う凸線条の間隙は特に限定されることはないが、化粧材において炭素繊維織物調の模様を形成するという観点から微細なものであることが好ましい。かかる観点から、より密な炭素繊維織物調を表現する際には隣り合う凸線条の間に隙間がない(間隙が0である)配列も可能である他、これよりも疎である炭素繊維織物調を表現する場合には凸線条間に間隙を設けることができる。当該間隙としては、凸線条の幅より若干小さいことが好ましく、20μm以上140μm以下としてもよい。
また、凸線条13b、凸線条14bの延びる方向に直交する断面の断面形状は特に限定されることはなく、適宜設定することができる。本形態では図4に表れているように、凸線条は四角形断面であるが、これに限らず半円形、半楕円形、三角形、五角形、六角形等の定型、及び、これらの複合形状としてもよい。
図5は他の形態にかかる化粧材110を説明する図であり、図3(b)の視点と同じ視点による図である。
本形態では、模様形成層112の第一領域113も第二領域14と同様の曲線状に延びる凸線条14bが形成された凸線条113bを備えている。すなわち、本形態では第一領域113及び第二領域14ともに曲線状に延びる凸線条を有する凸線条群による化粧材である。
ここで、凸線条が延びる形態、配列される態様、凸線条の太さ、高さ等の凸線条の形状は、第一領域113と第二領域14とは同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
このような化粧材によってもこれまでとは異なる外観の炭素繊維織物調の化粧材とすることができる。
図6には、さらに他の形態の化粧材210を説明する図を表した。図6は、図3(a)と同様の視点による図であり、化粧材210の一部を拡大した斜視図である。
この図からわかるように、本形態の化粧材210では、模様形成層212の第二領域214が第一領域13に対して高くなるように突出して形成されている。このように、第一領域と第二領域とに高さの差をつけて段差を形成するようにしてもよい。第一領域13と第二領域214との高さの差の最大値は、例えば、5μm以上100μm以下程度とすることができる。これによりさらに異なる外観の化粧材とすることが可能となる。この場合でも平面視においては少なくとも一方の領域において曲線状に延びる凸線条が複数配列された凸線条群が形成されている。
その中でも本形態では、第二領域214において、その平面視長方形の長辺の一方側から他方側に向かうにつれて高くなるように構成されている。これより炭素繊維織物調でありながら、一部に段差が形成されて不連続な部位があるため、さらにこれまでとは異なる外観を有する化粧材となる。
次に化粧材10を例に、化粧材の製造方法の例を説明する。ただし、化粧材を製造する方法がこれに限定されることはない。
以下に説明する製造方法には、濃淡画像を作製する工程、版下画像を作製する工程、版を作製する工程、模様形成層を形成する工程を含んでいる。
濃淡画像を作製する工程では、模様形成層12に表現すべき平面視における凹凸模様(炭素繊維織物調凹凸模様)を光学濃度の大小からなる濃淡画像として作成する。例えば、本形態では、アドビシステムズ社製のグラフィックデザイン描画ソフトウエア「Illustrator」を用い、TIFF形式で8bitの画像濃淡階調(256階調)で2540dpiの解像度の濃淡画像データ(領域、凹凸、及び両者の合成画像)を作成した。
版下画像を作製する工程では、得られた濃淡画像を、光学濃度から凹凸、即ちエンボス版の版深への変換プログラムによって、模様の階調画像に対応して二値画像としての凸線条パターンの版深を二次元仮想平面XY平面上に生成して配置し、デジタルデータとして版下画像を得る。
その際、光学濃度の最小値(例えば、0)を凹凸データの最小値(例えば、0μm)に対応させ、又、光学濃度の最大値(例えば、255)を版深データの最小値(例えば、250μm)に対応させることにより、2次元平面上の各座標(X、Y)に於ける光学濃度P(X、Y)の分布からなる濃淡画像データを同座標における版深D(X、Y)の分布から」なるエンボス版の版深データH(X、Y)に変換する。
ここでは、凸線条の生成条件に従い、二値画像として図1及び図2の如き模様形成層の平面視画像を生成する。かかる平面視画像の光学濃度P(X、Y)を上記のような対応関係にて版深データH(X、Y)に変換したデータが記憶装置に収納される。このようにして版下画像が得られる。
版を作製する工程では、版下画像に基づいて図1及び図2の如き平面視形状の凹凸模様と同平面視形状且つ逆凹凸形状を表面に有するエンボス版(化粧材用成形型)の作製を行う。
ここで、化粧材10の表面の高さ分布D(X、Y)の凹凸模様と版深分布H(X、Y)のエンボス版の表面凹凸模様とが「同平面視形状且つ逆凹凸」となるという意味は、エンボス版面上の凹凸形状が完全に忠実に化粧材表面に賦形された場合において次の関係が成り立つことを意味する。
D(X、Y)=-H(X、Y)
具体的には凹凸模様の製造工程は以下の手順(1)乃至(4)からなる。
(1)金属ロール準備工程
図7に示したようなエンボス版彫刻用の金属ロール20を準備した。金属ロール20は、軸方向両端部に回転駆動軸(shaft)21を有する中空の鉄製の円筒の表面に銅層をメッキ形成したものである。砥石で金属ロール20の表面を研磨して粗面化し、彫刻用レーザー光の鏡面反射による彫刻効率の低下を防止する処理をした。
(2)レーザー光彫刻工程
図7に模式的に示したように、レーザー光直接彫刻機を用い、工程(1)で用意した金属ロール20の表面を版下画像作成工程で作成した版深データに基づき彫刻する。これによりその表面に図1のような化粧材表面の凹凸模様と同一平面視形状で且つ逆凹凸(化粧材の凸線条に対応する部分がエンボス版面上では凹線条となる関係)の凹凸形状を形成した。
従ってエンボス版における凹凸模様が備えるべき形状は、上記した化粧材における凸線条による凹凸模様の凹凸関係が反転した態様であり、同様に考えることができる。
金属ロール20をその回転駆動軸21を介して電動機で駆動し、回転駆動軸21を中心軸として回転する。レーザーヘッド22から出射される発振波長1024nm、レーザスポット径10μm、出力360Wのファイバーレーザ光Pで金属ロール20の表面を走査する。その際には上記のように作成した凹凸模様画像データの濃度値に応じてレーザー光をON-OFF切換(照射又は非照射の切換)を行い、照射位置には1回のレーザー光照射による金属の蒸発で深さ10μmの凹部を形成する。本例ではかかるレーザー光による金属ロール表面に対する走査を例えば25回繰り返す。また、蒸発した金属が粉体となって金属ロール20の表面に残留又は付着することを防止するため、彫刻液吐出口23から彫刻液Tを金属ロール20の表面のレーザー光照射領域に吹き付けた状態でレーザー光照射を行った。
その際に、例えば、凹凸模様画像データ上で版深50μmに対応する画像濃度の位置座標においては、合計25回の走査のうち、最初の5回分のみレーザー光を照射(ON)し、残り25回分についてはレーザー光は非照射(OFF)となるよう制御して所望の深さを得る。
かかるレーザー光の走査を完了させ、金属ロール20の表面に所望の凹凸形状を形成した。
(3)電界研磨工程
彫刻液を洗浄した後、電解研磨を行い、金属ロール20の表面に付着した金属の残渣を除去した。
(4)クロムメッキ工程
工程(3)の後、金属ロール表面にメッキにより厚さ10μmのクロム層を形成した。
以上により模様形成層12の表面に形成された凹凸模様の凹凸が反転した凹凸形状を表面に備える版(化粧材用成形型、本形態ではエンボス版)を得ることができる。
次に、模様形成層を形成する工程では、作製された版(エンボス版)を用いて、基材11にエンボス加工を行えば化粧材10が得られる。エンボス加工は、適宜な公知の方法によれば良く、特に制限はない。エンボス加工の代表的な方法は例えば次のようなものである。
基材としてポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを用いる。この基材を加熱軟化させ、その表面にエンボス版を押圧して該樹脂シート表面にエンボス版表面の凹凸模様を賦形する。そして樹脂シートを冷却して固化させて樹脂シート上の凹凸模様を固定する。その後に凹凸模様が賦形された樹脂シートをエンボス版から離型する。
ここで、各種エンボス加工法について、さらに説明すると例えば次の(A)乃至(E)のような方法がある。
(A)基材となる樹脂シートを加熱軟化させ、エンボス版を押圧して、エンボス加工する。
(B)エンボス版を押圧する時の熱圧で表面シートとなる樹脂シート(基材)とベースシートとする樹脂シート(第2の基材)とを熱融着することにより、エンボス加工とラミネートとを同時に行うダブリングエンボス法によりエンボス加工する。
(C)表面シートとする樹脂シート(基材)を、Tダイから溶融押出しをし、冷却ローラを兼ねるシリンダ状のエンボス版上に接触させて表面シートの成膜と同時にエンボス加工する。このとき、さらに表面シートの裏面側に挿入したベースシートとする樹脂シート(第2の基材)を熱融着させてダブリングエンボスを成膜と同時に行う。
(D)特開昭57-87318号公報、特開平7-32476号公報等に開示の如く、シリンダ状のエンボス版の表面に電離放射線硬化性樹脂の未硬化液状物を塗工する。さらにその上に、樹脂シート等からなるベースシートを重ねた状態で電離放射線を照射して未硬化液状物を硬化させて硬化物とする。その際、該硬化物をベースシートと接着させた後、エンボス版から離型して、ベースシートと該ベースシート上の硬化物とからなる基材とすることで、基材にエンボス加工する。
(E)チタン紙等の紙にメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の未硬化物を含浸した含浸紙を、コア紙、木材合板上等の裏打材上に載置して、これら載置した複数層を熱プレス成形することによって各層を積層一体化して熱硬化性樹脂化粧材を作製する。そのとき、含浸紙表面側にエンボス版を挿入することによって、熱硬化性樹脂を含浸硬化させて化粧材とする際にその表面に熱プレスと同時にエンボス加工する。
なお、(A)乃至(C)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には熱可塑性樹脂が使用され、(D)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には電離放射線硬化性樹脂が使用され、(E)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には熱硬化性樹脂が使用される。
以上のようにして化粧材10を得ることができる。
以上説明した化粧材の用途は特に制限は無いが、例えば、壁、床、天井等の建築物の内装材、建築物の外壁、屋根、門扉、塀、柵等の外裝材、扉、窓枠、扉枠等の建具、廻り縁、幅木、手摺等の造作部材の表面材、テレビ受像機、冷蔵庫等の家電製品や複写機等の事務機器の筐体の表面材、箪笥等の家具の表面材、箱、樹脂瓶等の容器の表面材、車両等の内装材又は外裝材、船舶の内装材又は外裝材等である。
10、110、210 化粧材
11 基材
12 模様形成層
13 第一領域
13a 凸線条群
13b 凸線条
14 第二領域
14a 凸線条群
14b 凸線条

Claims (4)

  1. 表面に凹凸模様が形成されてなる化粧材を作製するための版であって、
    金属ロールの表面に、前記化粧材の前記凹凸模様と高さ関係が反転した凹凸を有し、
    前記凹凸は、前記金属ロールの表面に沿って一方向が長い領域である第一領域と、前記金属ロールの表面に沿って一方向が長い領域である第二領域と、を有し、
    前記第一領域の前記一方向と前記第二領域の前記一方向とは向きが異なるように配置されるとともに、前記第一領域及び前記第二領域はそれぞれ複数設けられて配列されており、
    前記第一領域の内側、及び、前記第二領域の内側のそれぞれには、複数の凹線条が配列されているとともに、前記第一領域の前記凹線条、及び、前記第二領域の前記凹線条のうち少なくとも一方は、前記金属ロールの表面に沿って曲線状に延びるように構成され、
    前記第一領域と前記第二領域との境界に段差が形成されており、前記第二領域において、前記一方向で一方側より他方側が低くなるように構成されている、
    版。
  2. 表面に凹凸模様が形成されてなる化粧材を作製するための版であって、
    金属ロールの表面に、前記化粧材の前記凹凸模様と高さ関係が反転した凹凸を有し、
    前記凹凸は、前記金属ロールの表面に沿って長方形をなす第一領域と、前記金属ロールの表面に沿って長方形をなす第二領域と、を有し、
    前記第一領域の前記長方形の長辺が延びる方向と前記第二領域の前記長方形の長辺が延びる方向とは異なるように配置されるとともに、前記第一領域及び前記第二領域はそれぞれ複数設けられて配列されており、
    前記第一領域の内側、及び、前記第二領域の内側のそれぞれには、複数の凹線条が配列されているとともに、前記第一領域の前記凹線条、及び、前記第二領域の前記凹線条のうち少なくとも一方は、前記金属ロールの表面に沿って曲線状に延びるように構成され、
    前記第一領域と前記第二領域との境界に段差が形成されており、前記第二領域において、前記長辺で一方側より他方側が低くなるように構成されている、
    版。
  3. 前記第一領域の前記凹線条、及び、前記第二領域の前記凹線条のいずれもが前記金属ロールの表面に沿って曲線状に延びるように構成されている請求項1又は2に記載の版。
  4. 請求項1又は2に記載の版を製造する方法であって、
    濃淡画像の光学濃度に対応した深さを算出して版深データを含む版下画像を得て、
    前記版下画像で得られた前記版深データに基づいて前記金属ロールの表面にレーザー光を照射して彫刻することにより、前記金属ロールの表面に前記凹凸を形成する、
    版の製造方法。
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