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JP7578659B2 - 複合位相差板、光学積層体、及び画像表示装置 - Google Patents

複合位相差板、光学積層体、及び画像表示装置 Download PDF

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JP7578659B2 JP2022160897A JP2022160897A JP7578659B2 JP 7578659 B2 JP7578659 B2 JP 7578659B2 JP 2022160897 A JP2022160897 A JP 2022160897A JP 2022160897 A JP2022160897 A JP 2022160897A JP 7578659 B2 JP7578659 B2 JP 7578659B2
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Description

本発明は、複合位相差板、当該複合位相差板を含む光学積層体、及び当該光学積層体を備える画像表示装置に関する。
従来、画像表示装置において、画像表示パネルの視認側に反射防止性能を有する光学積層体を配置して、外来光の反射による視認性の低下を抑制する方法が採用されている。
反射防止性能を有する光学積層体として、偏光板及び位相差層により構成される光学積層体が知られている。反射防止性能を有する光学積層体では、画像表示パネルに向かう外来光を偏光板により直線偏光に変換し、続く位相差層により円偏光に変換する。円偏光である外来光は、画像表示パネルの表面で反射するものの、この反射の際に偏光面の回転方向が逆転し、位相差層により直線偏光に変換された後、続く偏光板により遮光される。その結果、外部への出射が著しく抑制される。
反射防止性能を有する光学積層体の構成要素である位相差板として、複数の位相差層を接着層で接着してなる複合位相差板が知られている。例えば、特許文献1,2には、1/2波長層と1/4波長層とを接着層で接着してなる複合位相差板が記載されている。
特開2015-21975号公報 特開2015-21976号公報
複合位相差板は、単独で、又はこれを含む光学積層体として、搬送、巻き取り等がされる工程で、ロール状部材に接触することによって、または、屈曲部を有する画像表示パネルの表面に配置される等により、複合位相差板が折れ曲がった際、屈曲部にシワが発生し、品質不具合となる可能性がある。特に、複合位相差板が薄膜フィルムで形成されている場合は、顕著に発生する事がある。
本発明は、搬送、巻き取り等がされる工程で、ロール状部材に接触することによって、または、屈曲部を有する画像表示パネルの表面に配置される等により、複合位相差板が折れ曲がった際でも屈曲部におけるシワの発生が抑制された複合位相差板、当該複合位相差板を含む光学積層体、及び当該光学積層体を備える画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す複合位相差板、光学積層体、及び画像表示装置を提供する。
〔1〕 第1位相差層と、第2位相差層と、第1位相差層と第2位相差層とを接着する第1接着層とを含み、
単位膜厚あたりの突刺し傾きが6kg/mm~15kg/mmである、複合位相差板。
〔2〕 第1接着層は、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層である、〔1〕に記載の複合位相差板。
〔3〕 第1位相差層は1/2波長層であり、第2位相差層は1/4波長層である、〔1〕又は〔2〕に記載の複合位相差板。
〔4〕 第1位相差層は1/2波長層、または1/4波長層であり、第2位相差層は光学補償層である、〔1〕又は〔2〕に記載の複合位相差板。
〔5〕 第1位相差層及び第2位相差層の少なくとも一方は、液晶層である位相差発現層を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の複合位相差板。
〔6〕 厚みが2μm~50μmである、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の複合位相差板。
〔7〕 偏光板と、前記偏光板に積層された〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の複合位相差板とを含み、
前記複合位相差板は、第1位相差層が前記偏光板側に位置する向きで積層されている、光学積層体。
〔8〕 円偏光板である、〔7〕に記載の光学積層体。
〔9〕 前記偏光板と前記複合位相差板とを接着する第2接着層をさらに含む、〔7〕又は〔8〕に記載の光学積層体。
〔10〕 第2接着層は、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層である、〔9〕に記載の光学積層体。
〔11〕 画像表示パネルと、前記画像表示パネルの視認側に配置された〔7〕~〔10〕のいずれか1項に記載の光学積層体とを含む、画像表示装置。
〔12〕 前記光学積層体は、前記偏光板が視認側に位置する向きで配置されている、〔11〕に記載の画像表示装置。
〔13〕 有機エレクトロルミネッセンス表示装置である、〔12〕に記載の画像表示装置。
本発明の複合位相差板によれば、搬送、巻き取り等がされる工程で、ロール状部材に接触することによって、または、屈曲部を有する画像表示パネルの表面に配置される等により、複合位相差板が折れ曲がった際でも、屈曲部におけるシワの発生を抑制することができる。
本発明の複合位相差板の一例を模式的に示す概略断面図である。 液晶層を位相差発現層として備える位相差層の一例を模式的に示す概略断面図である。 (A)~(C)は、本発明の複合位相差板の製造方法における各製造工程の一例を模式的に示す概略断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の複合位相差板及び光学積層体について説明する。
[複合位相差板]
図1は、本発明の複合位相差板の一例を模式的に示す概略断面図である。図1に示すように、複合位相差板5は、第1位相差層1と、第2位相差層2と、第1位相差層1と第2位相差層2とを接着する第1接着層4とを含む。複合位相差板5は、単位膜厚あたりの突刺し傾きが6kg/mm~15kg/mmであり、6kg/mm~12kg/mmであることが好ましく、6.5kg/mm~10kg/mmであることがより好ましく、7kg/mm~10kg/mmであることがさらに好ましく、8kg/mm~10kg/mmであることが特に好ましい。単位膜厚あたりの突刺し傾きが6kg/mm以上であることにより、複合位相差板5またはこれを含む光学積層体が折れ曲がった場合であっても、シワの発生を抑制することができる。また、複合位相差板5の単位膜厚あたりの突刺し傾きが15kg/mmを超えると、カット等の加工時に、複合位相差板、あるいは、それを含む光学積層体の端部に微細なクラックが入りやすくなる。
複合位相差板の突刺し傾きは、複合位相差板に対して、突刺し治具を垂直に突き刺し、複合位相差板が裂けるときの強さを表す。突刺し傾きは、突刺し強度から算出することができ、突刺し強度は、例えば小型卓上試験機〔(株)島津製作所製の商品名“EZ Test”〕を用いて測定できる。
突刺し強度の測定は、突刺し治具が通過することができる直径15mm以下の円形の穴の開いた2枚のサンプル台の間に複合位相差板を挟んで行われる。突刺し治具は、円柱状の棒であり、その複合位相差板に接する先端が球形又は半球形である突刺し針を備えることが好ましい。先端の球形部又は半球形部は、直径が0.5mmφ以上であり、5mmφ以下であることが好ましい。また、その曲率半径が0Rよりも大きく、0.7Rよりも小さいことが好ましい。突刺し治具の突刺し速度は、0.05cm/秒以上であり、0.5cm/秒以下であることが好ましい。
突刺し強度の測定は、この試験片を治具に固定して、複合位相差板の主面の法線方向から突刺していき、一箇所裂けた際の強度を測定する。このとき得られた突き刺強度A(kg)と、裂けるまでの突き刺深さB(mm)と、複合位相差板厚みd(mm)を、下記式:
E=A/(B×d)
を用いて、単位膜厚当たりの突き刺し傾きE(kg/mm2)を算出する。なお、複合位相差板の突き刺し傾きは、同じ条件で作製した5個以上の複合位相差板の突き刺し傾きEの平均値とする。
複合位相差板5には、例えば、複合位相差板5またはこれを含む光学積層体を、搬送、巻き取り等をする工程で、搬送ロールや巻取ロール等のロール状部材に接触することによって、または屈曲部を有する画像表示パネルの表面に配置されること等により、複合位相差板が折れ曲がった際であっても、本発明の複合位相差板5によると、第1位相差層1及び/又は第2位相差層2にシワが発生するのを抑制することができる。
複合位相差板5の厚みは、薄型化の観点から、1μm~100μmであることが好ましく、1μm~50μmであることがさらに好ましく、2~50μmであることがより好ましい。
<第1位相差層及び第2位相差層>
第1位相差層1及び第2位相差層2は、光に所定の位相差を与える位相差発現層を少なくとも一つ含む位相差層であれば特に限定されず、例えば、1/2波長層、1/4波長層、ポジティブCプレート等の光学補償層であってもよく、逆波長分散性の位相差層であってもよい。特に、逆分散性の位相差層である場合は、いずれの波長においても光の透過が抑制されるため、反射防止性能を有する光学積層体として有効である。第1位相差層1及び第2位相差層2は、位相差発現層を少なとも一つ含むものであれば、位相差発現層のみからなるものであってもよいし、位相差発現層とともに他の層を含むものであってもよい。他の層としては、例えば、基材層、配向膜層、保護層等が挙げられる。なお、他の層は位相差の値には影響を及ぼさない。
位相差発現層としては、液晶化合物を用いることにより形成される層(以下、「液晶層」という)、又は延伸フィルムが挙げられる。第1位相差層1及び第2位相差層2は、複合位相差板の薄型化の観点から、少なくともいずれか一方の位相差発現層は液晶層であることが好ましく、両方とも液晶層であることがさらに好ましい。液晶層である位相差発現層の方が、延伸フィルムである位相差発現層よりも、一般的に薄膜化が容易である。第1位相差層1及び第2位相差層2は、それぞれ厚さが0.5μm~10μmであることが好ましく、0.5μm~5μmであることがさらに好ましい。なお、第1位相差層及び第2位相差層がそれぞれ位相差発現層以外の他の層(基材層、配向膜層、保護層等)を含む場合、全体の厚みが0.5μm~300μmであることが好ましく、0.5μm~150μmであることがより好ましい。
第1位相差層1及び第2位相差層2の厚さが薄いほど、複合位相差板が折れ曲がった場合に、複合位相差板の屈曲部において、第1位相差層1及び第2位相差層2にシワが発生しやすくなるが、本発明の複合位相差板によると、第1位相差層1及び第2位相差層2が上記のように5μm以下と薄い場合であっても、シワの発生を抑制することができる。
本発明の複合位相差板における第1位相差層1と第2位相差層2との組み合わせとしては、例えば、
i)1/2波長層と、1/4波長層との組み合わせ、
ii)1/2波長層と、光学補償層の組み合わせ、
iii)1/4波長層と、光学補償層との組み合わせ
iv)逆分散性1/4波長層と、光学補償層の組み合わせ、
等が挙げられる。
1/2波長層は、入射光の電界振動方向(偏光面)にπ(=λ/2)の位相差を与えるものであり、直線偏光の向き(偏光方位)を変える機能を有している。また、円偏光の光を入射させると、円偏光の回転方向を反対回りにすることができる。
1/2波長層は、特定の波長λnmにおける面内レターデーション値であるRe(λ)がRe(λ)=λ/2を満足する層である。可視光域の何れの波長においてRe(λ)=λ/2を達成されていればよいが、なかでも波長550nmにおいて達成されることが好ましい。波長550nmにおける面内レターデーション値であるRe(550)は、210nm≦Re(550)≦300nmを満足することが好ましい。また、220nm≦Re(550)≦290nmを満足することがより好ましい。
波長550nmで測定した1/2波長層の厚み方向のレターデーション値であるRth(550)は、-150~150nmであることが好ましく、-100~100nmであることがより好ましい。
1/4波長層は、入射光の電界振動方向(偏光面)にπ/2(=λ/4)の位相差を与えるものであり、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(又は円偏光を直線偏光に)変換する機能を有している。
1/4波長層は、特定の波長λnmにおける面内レターデーション値であるRe(λ)がRe(λ)=λ/4を満足する層であり、可視光域の何れかの波長において達成されていてもよいが、波長550nmで達成されることが好ましい。波長550nmにおける面内レターデーション値であるRe(550)が、100nm≦Re(550)≦160nmを満足することが好ましい。また、110nm≦Re(550)≦150nmを満足することがより好ましい。
波長550nmで測定したλ/4波長層の厚み方向のレターデーション値であるRth(550)は、-120~120nmであることが好ましく、-80~80nmであることがより好ましい。
光学補償層としては、例えば、ポジティブAプレート、ポジティブCプレート等が挙げられる。ポジティブAプレートは、その面内における遅相軸方向の屈折率をNx、その面内における進相軸方向の屈折率をNy、その厚み方向における屈折率をNzとしたときに、Nx>Nyの関係を満足するものである。ポジティブAプレートは、Nx>Ny≧Nzの関係を満足することが好ましい。また、ポジティブAプレートは1/4波長層としても機能することができる。ポジティブCプレートは、Nz>Nx≧Nyの関係を満足するものである。
逆波長分散性とは、短波長での液晶配向面内位相差値の方が長波長での液晶配向面内位相差値よりも小さくなる光学特性であり、好ましくは、下記式(a):
Re(450)≦Re(550)≦Re(650) (a)
を満たすことである。なお、Re(λ)は波長λnmの光に対する面内位相差値を表す。
位相差層の光学特性は、位相差発現層を構成する液晶化合物の配向状態、又は位相差発現層を構成する延伸フィルムの延伸方法により調節することができる。位相差層の光学特性を適宜調節することにより、複合位相差板5と偏光板とを積層して、反射防止性能を有する光学積層体を得ることができる。本明細書でいうところの光学積層体は、偏光板と複合位相差板5とが積層されてなるものであり、複合位相差板5は第1位相差層1が偏光板側に位置する向きで積層されているものとする。同じ複合位相差板5を用いた場合であっても、複合位相差板5の積層の向きが逆転すると、通常光学積層体の光学特性が異なる。
(液晶層をから形成される位相差発現層)
位相差発現層が液晶層である場合について説明する。図2は、液晶層である位相差発現層と他の層とを含む位相差層の一例を模式的に示す概略断面図である。図2に示すように、位相差層30は、基材層31、配向層32、液晶層である位相差発現層33がこの順に積層されてなる。位相差層は、液晶層である位相差発現層33を含む構成であれば図2に示す位相差層30に限定されることはなく、位相差層30から基材層31が剥離されて配向層32と液晶層である位相差発現層33のみからなる構成であってもよく、位相差板30から基材層31と配向層32が剥離されて液晶層である位相差発現層33のみからなる構成であってもよい。薄膜化の観点から、位相差層は、基材層31が剥離されている構成であることが好ましく、液晶層である位相差発現層33のみからなる構成がさらに好ましい。基材層31は、基材層31上に形成される配向層32、及び位相差発現層33を支持する支持層として機能を有する。基材層31は、樹脂材料で形成されたフィルムであることが好ましい。
樹脂材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる樹脂材料が用いられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン系ポリマー等の環状ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル系樹脂;ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル等のビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリフェニレンオキシド系樹脂、及びこれらの混合物、共重合物等を挙げることができる。これらの樹脂のうち、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースエステル系樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂のいずれか又はこれらの混合物を用いることが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
基材層31は、上記の樹脂1種類又は2種以上を混合した単層であってもよく、2層以上の多層構造を有していてもよい。多層構造を有する場合、各層をなす樹脂は同じであってもよく異なっていてもよい。
樹脂フィルムをなす樹脂材料には、任意の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤等が挙げられる。
基材層31の厚さは、特に限定されないが、一般には強度や取扱い性等の作業性の点から5~200μmであることが好ましく、10~200μmであることがより好ましく、10~150μmであることがさらに好ましい。
基材層31と配向層32との密着性を向上させるために、少なくとも基材層31の配向層32が形成される側の表面にコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよく、プライマー層等を形成してもよい。なお、基材層31、又は基材層31及び配向層32を剥離して位相差層とする場合には、剥離界面での密着力を調整することによって剥離を容易とすることができる。
配向層32は、これらの配向層32上に形成される液晶層である位相差発現層33に含まれる液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有する。配向層32としては、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層、光配向ポリマーで形成された光配向性ポリマー層、層表面に凹凸パターンや複数のグルブ(溝)を有するグルブ配向層を挙げることができる。配向層32の厚みは、通常0.01~10μmであり、0.01~5μmであることが好ましい。
配向性ポリマー層は、配向性ポリマーを溶剤に溶解した組成物を基材層31に塗布して溶剤を除去し、必要に応じてラビング処理をして形成することができる。この場合、配向規制力は、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層では、配向性ポリマーの表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能である。
光配向性ポリマー層は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む組成物を基材層31に塗布し、偏光を照射することによって形成することができる。この場合、配向規制力は、光配向性ポリマー層では、光配向性ポリマーに対する偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。
グルブ配向層は、例えば感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光、現像等を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、活性エネルギー線硬化性樹脂の未硬化の層を形成し、この層を基材層31に転写して硬化する方法、基材層31に活性エネルギー線硬化性樹脂の未硬化の層を形成し、この層に、凹凸を有するロール状の原盤を押し当てる等により凹凸を形成して硬化させる方法等によって形成することができる。
液晶層である位相差発現層33は、光に所定の位相差を与えるものであれば特に限定されず、例えば、1/2波長層用の位相差発現層、1/4波長層用の位相差発現層、ポジティブCプレートなどの光学補償層用の位相差発現層、逆波長分散性1/4波長層用の位相差発現層として機能するものを挙げることができる。
液晶層である位相差発現層33は、公知の液晶化合物を用いて形成することができる。液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。また、液晶化合物は、高分子液晶化合物であってもよく、重合性液晶化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報、特開2005-289980号公報、特開2007-108732号公報、特開2010-244038号公報、特開2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報、特開2011-207765号公報、特開2016-81035号公報、国際公開第2017/043438号及び特表2011-207765号公報に記載の液晶化合物が挙げられる。
例えば、重合性液晶化合物を用いる場合には、重合性液晶化合物を含む組成物を、配向層32上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることによって、位相差発現層33を形成することができる。位相差発現層33の厚みは、0.5μm~10μmであることが好ましく、0.5~5μmであることがさらに好ましい。
重合性液晶化合物を含む組成物は、液晶化合物以外に、重合開始剤、重合性モノマー、界面活性剤、溶剤、密着改良剤、可塑剤、配向剤等が含まれていてもよい。重合性液晶化合物を含む組成物の塗布方法としては、ダイコーティング法等の公知の方法が挙げられる。重合性化合物を含む組成物の硬化方法は、活性エネルギー線(例えば紫外線)を照射する等の公知の方法が挙げられる。
(延伸フィルムを位相差発現層として備える位相差板)
位相差発現層が延伸フィルムである場合について説明する。延伸フィルムは通常、基材を延伸することで得られる。基材を延伸する方法としては、例えば、基材がロールに巻き取られているロール(巻き取り体)を準備し、かかる巻き取り体から、基材を連続的に巻き出し、巻き出された基材を加熱炉へと搬送する。加熱炉の設定温度は、基材のガラス転移温度近傍(℃)~[ガラス転移温度+100](℃)の範囲、好ましくは、ガラス転移温度近傍(℃)~[ガラス転移温度+50](℃)の範囲とする。当該加熱炉においては、基材の進行方向へ、又は進行方向と直交する方向へ延伸する際に、搬送方向や張力を調整し任意の角度に傾斜をつけて一軸又は二軸の熱延伸処理を行う。延伸の倍率は、通常1.1~6倍であり、好ましくは1.1~3.5倍である。
また、斜め方向に延伸する方法としては、連続的に配向軸を所望の角度に傾斜させることができるものであれば、特に限定されず、公知の延伸方法が採用できる。このような延伸方法は例えば、特開昭50-83482号公報や特開平2-113920号公報に記載された方法を挙げることができる。延伸することでフィルムに位相差性を付与する場合、延伸後の厚みは、延伸前の厚みや延伸倍率によって決定される。
前記基材は通常透明基材である。透明基材とは、光、特に可視光を透過し得る透明性を有する基材を意味し、透明性とは、波長380~780nmにわたる光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。具体的な透明基材としては、透光性樹脂基材が挙げられる。透光性樹脂基材を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ノルボルネン系ポリマーなどの環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシドが挙げられる。入手のしやすさや透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸エステル、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂またはポリカーボネートが好ましい。
セルロースエステルは、セルロースに含まれる水酸基の一部または全部が、エステル化されたものであり、市場から容易に入手することができる。また、セルロースエステル基材も市場から容易に入手することができる。市販のセルロースエステル基材としては、例えば、“フジタック(登録商標)フィルム”(富士フイルム(株));“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”(コニカミノルタオプト(株))などが挙げられる。
ポリメタクリル酸エステル及びポリアクリル酸エステル(以下、ポリメタクリル酸エステル及びポリアクリル酸エステルをまとめて(メタ)アクリル系樹脂ということがある。)は、市場から容易に入手できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルキルエステルの単独重合体や、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体などが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとして具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートなどが、またアクリル酸アルキルエステルとして具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートなどがそれぞれ挙げられる。かかる(メタ)アクリル系樹脂には、汎用の(メタ)アクリル系樹脂として市販されているものが使用できる。(メタ)アクリル系樹脂として、耐衝撃(メタ)アクリル樹脂と呼ばれるものを使用してもよい。
さらなる機械的強度向上のために、(メタ)アクリル系樹脂にゴム粒子を含有させることも好ましい。ゴム粒子は、アクリル系のものが好ましい。ここで、アクリル系ゴム粒子とは、ブチルアクリレートや2-エチルヘキシルアクリレートのようなアクリル酸アルキルエステルを主成分とするアクリル系モノマーを、多官能モノマーの存在下に重合させて得られるゴム弾性を有する粒子である。アクリル系ゴム粒子は、このようなゴム弾性を有する粒子が単層で形成されたものであってもよいし、ゴム弾性層を少なくとも一層有する多層構造体であってもよい。多層構造のアクリル系ゴム粒子としては、上記のようなゴム弾性を有する粒子を核とし、その周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったもの、硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体を核とし、その周りを上記のようなゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆ったもの、また硬質の核の周りをゴム弾性のアクリル系重合体で覆い、さらにその周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったものなどが挙げられる。弾性層で形成されるゴム粒子は、その平均直径が通常50~400nm程度の範囲にある。
(メタ)アクリル系樹脂におけるゴム粒子の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部あたり、通常5~50質量部程度である。(メタ)アクリル系樹脂及びアクリル系ゴム粒子は、それらを混合した状態で市販されているので、その市販品を用いることができる。アクリル系ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂の市販品の例として、住友化学(株)から販売されている“HT55X”や“テクノロイS001”などが挙げられる。“テクノロイ S001”は、フィルムの形で販売されている。
環状オレフィン系樹脂は、市場から容易に入手できる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)[Ticona社(独)]、“アートン”(登録商標)[JSR(株)]、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)[日本ゼオン(株)]、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)[日本ゼオン(株)]および“アペル”(登録商標)[三井化学(株)]が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、例えば、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の手段により製膜して、基材とすることができる。また、市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、“エスシーナ”(登録商標)[積水化学工業(株)]、“SCA40”(登録商標)[積水化学工業(株)]、“ゼオノアフィルム”(登録商標)[オプテス(株)]および“アートンフィルム”(登録商標)[JSR(株)]が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィンやビニル基を有する芳香族化合物との共重合体である場合、環状オレフィンに由来する構造単位の含有割合は、共重合体の全構造単位に対して、通常50モル%以下、好ましくは15~50モル%の範囲である。鎖状オレフィンとしては、エチレンおよびプロピレンが挙げられ、ビニル基を有する芳香族化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンおよびアルキル置換スチレンが挙げられる。環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィンと、ビニル基を有する芳香族化合物との三元共重合体である場合、鎖状オレフィンに由来する構造単位の含有割合は、共重合体の全構造単位に対して、通常5~80モル%であり、ビニル基を有する芳香族化合物に由来する構造単位の含有割合は、共重合体の全構造単位に対して、通常5~80モル%である。このような三元共重合体は、その製造において、高価な環状オレフィンの使用量を比較的少なくすることができるという利点がある。
<第1接着層>
第1接着層4は、複合位相差板5の単位膜厚あたりの突刺し傾き6kg/mm~15kg/mmを達成できるものであれば、特に限定されることはなく、例えば、粘着剤、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤及びこれらの組み合わせから形成することができる。この中でも、第1接着層4は、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層であることにより、突刺し傾き6kg/mm~15kg/mmの複合位相差板5を得やすくなる。第1接着層4は、厚さが0.1μm~50μmであることが好ましく、0.1μm~10μmであることがより好ましく、0.5μm~5μmであることがさらに好ましい。本明細書において、「第1接着層」との用語は、接着剤から構成される接着層のみでなく、粘着剤から構成される粘着層をも含むものとする。
粘着剤として一般的には、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを少量含有するアクリル系モノマー混合物を、重合開始剤の存在下にラジカル重合することにより得られ、ガラス転移温度Tgが0℃以下のアクリル系樹脂と、架橋剤とを含有するアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
アクリル系粘着剤を構成するアクリル系樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が、100万~200万の範囲にあることが好ましい。この重量平均分子量Mw が100万以上であると、高温高湿下での接着性が向上し、液晶セルを構成するガラス基板と粘着剤層との間に浮きや剥がれの発生する可能性が小さくなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。また、アクリル系樹脂の上記重量平均分子量Mw が200万以下であると、偏光板の寸法が変化しても、その寸法変化に粘着剤層が追随して変動するので、ディスプレイの光抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。さらに、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnで表される分子量分布は、3~7の範囲にあることが好ましい。
アクリル系粘着剤に含有されるアクリル系樹脂は、上記のような比較的高分子量のものだけで構成することもできるが、それとは異なるアクリル系樹脂との混合物で構成することもできる。混合して用いることができるアクリル系樹脂の例を挙げると、上記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分とし、重量平均分子量が5万~30万の範囲にあるものなどがある。
こうして得られるアクリル系樹脂に、架橋剤を配合して粘着剤とされる。架橋剤は、アクリル系樹脂中の極性官能基を有するモノマーに由来する構造単位と架橋反応し得る官能基を、分子内に少なくとも2個有する化合物であり、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などが挙げられる。
粘着剤層を本光学フィルム上に形成する方法としては、例えば、基材として剥離フィルムを用い、上記の粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、得られる粘着剤層を本光学フィルムの表面に移設する方法、本光学フィルム表面に上記の粘着剤組成物を直接塗布して粘着剤層を形成する方法などが採用される。また、1枚の剥離フィルム上に粘着剤層を形成した後、さらにその粘着剤層の上に別の剥離フィルムを貼合して、両面セパレーター型粘着剤シートとすることもできる。このような両面セパレーター型粘着剤シートは、必要な時期に片側の剥離フィルムを剥がし、本光学フィルム上へ貼合される。両面セパレーター型粘着剤シートの市販品としては、例えば、リンテック株式会社や日東電工株式会社から販売されているノンキャリア粘着剤フィルムやノンキャリア粘着剤シートがある。
水系接着剤としては、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を用い、接着性を向上させるために、イソシアネート系化合物やエポキシ化合物のような架橋剤又は硬化性化合物を配合した組成物とするのが一般的である。
水系接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、部分ケン化ポリビニルアルコール及び完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、及びアミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。このようなポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が水系接着剤として用いられるが、水系接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100質量部に対して、通常1~10質量部であり、好ましくは1~5質量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる水系接着剤には、前記したように接着性を向上させるために、多価アルデヒド、水溶性エポキシ樹脂、メラミン系化合物、ジルコニア系化合物、及び亜鉛化合物のような硬化性化合物を配合することができる。水溶性エポキシ樹脂の例を挙げると、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られる水溶性のポリアミドエポキシ樹脂がある。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品として、住化ケムテックス株式会社から販売されている“スミレーズレジン650”及び“スミレーズレジン675”、日本PMC株式会社から販売されている“WS-525”などがある。水溶性エポキシ樹脂を配合する場合、その添加量は、ポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、通常1~100質量部程度であり、好ましくは1~50質量部である。
また、水系接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を水系接着剤の主成分とするのが有効である。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤とすることができる。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を用いる場合は、架橋剤として水溶性のエポキシ化合物を配合するのが有効である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を偏光板の接着剤とすることは、例えば、特開2005-70140号公報や特開2005-208456号公報に記載されている。
水系接着剤を構成するこれらの各成分は、通常、水に溶かした状態で使用される。水系接着剤を、適当な基材上に塗布し、乾燥させることで、接着剤層が得られる。水に溶解しない成分は、系中に分散した状態であればよい。
前記接着剤層を本光学フィルム上に形成する方法としては、本光学フィルム表面に上記の接着剤組成物を直接塗布して接着剤層を形成する方法などが挙げられる。
また、例えば、得られた水系接着剤を偏光板と本光学フィルムの間に注入後、加熱することで水を蒸発させつつ、熱架橋反応を進行させることで両者に十分な接着性を与えることができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線の照射を受けて硬化するものであり、単位膜厚あたりの突刺し傾き6kg/mm~15kg/mmの複合位相差板5を得ることができるものであれば限定されない。例えば、エポキシ化合物とカチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性の活性エネルギー線硬化型接着剤、アクリル系硬化成分とラジカル重合開始剤を含有するラジカル重合性の活性エネルギー線硬化型接着剤、エポキシ化合物のようなカチオン重合性の硬化成分及びアクリル系化合物のようなラジカル重合性の硬化成分の両者を含有し、そこにカチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤を配合した活性エネルギー線硬化型接着剤、及び開始剤を含まない活性エネルギー線硬化型接着剤に電子ビームを照射することで硬化させる電子線硬化型接着剤等が挙げられる。好ましくは、アクリル系硬化成分とラジカル重合開始剤を含有するラジカル重合性の活性エネルギー線硬化型接着剤である。また、実質的に無溶剤で使用できる、エポキシ化合物とカチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性の活性エネルギー線硬化型接着剤が好ましい。
カチオン重合可能なエポキシ化合物であって、それ自身が室温において液体であり、溶剤を存在させなくても適度な流動性を有し、適切な硬化接着強度を与えるものを選択し、それに適したカチオン重合開始剤を配合した活性エネルギー線硬化型接着剤は、複合位相差板の製造設備において、第1位相差層と第2位相差層とを接着する工程で通常必要となる乾燥設備を省くことができる。また、適切な活性エネルギー線量を照射することで硬化速度を促進させ、生産速度を向上させることもできる。
このような接着剤に用いられるエポキシ化合物は、例えば、水酸基を有する芳香族化合物又は鎖状化合物のグリシジルエーテル化物、アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物、C-C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物、飽和炭素環に直接若しくはアルキレンを介してグリシジルオキシ基若しくはエポキシエチル基が結合しているか、又は飽和炭素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物などであることができる。これらのエポキシ化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、異なる複数種を併用してもよい。なかでも脂環式エポキシ化合物は、カチオン重合性に優れることから、好ましく用いられる。
水酸基を有する芳香族化合物又は鎖状化合物のグリシジルエーテル化物は、例えば、これら芳香族化合物又は鎖状化合物の水酸基にエピクロロヒドリンを塩基性条件下で付加縮合させる方法によって製造できる。このような、水酸基を有する芳香族化合物又は鎖状化合物のグリシジルエーテル化物には、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル、多芳香環型エポキシ樹脂、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテルなどが包含される。
ビスフェノール類のジグリシジルエーテルとして、例えば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル化物及びそのオリゴマー体、ビスフェノールFのグリシジルエーテル化物及びそのオリゴマー体、3,3′,5,5′-テトラメチル-4,4′-ビフェノールのグリシジルエーテル化物及びそのオリゴマー体などが挙げられる。
多芳香環型エポキシ樹脂として、例えば、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、フェノールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、ナフトールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、フェノールジシクロペンタジエン樹脂のグリシジルエーテル化物などが挙げられる。さらに、トリスフェノール類のグリシジルエーテル化物及びそのオリゴマー体なども多芳香環型エポキシ樹脂に属する。
アルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテルとして、例えば、エチレングリコールのグリシジルエーテル化物、ジエチレングリコールのグリシジルエーテル化物、1,4-ブタンジオールのグリシジルエーテル化物、1,6-ヘキサンジオールのグリシジルエーテル化物などが挙げられる。
アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物は、例えば、当該化合物のアミノ基にエピクロロヒドリンを塩基性条件下で付加縮合させる方法によって製造できる。アミノ基を有する化合物は、同時に水酸基を有していてもよい。このような、アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物には、1,3-フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物及びそのオリゴマー体、1,4-フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物及びそのオリゴマー体、3-アミノフェノールのグリシジルアミノ化及びグリジシジルエーテル化物並びにそのオリゴマー体、4-アミノフェノールのグリシジルアミノ化及びグリジシジルエーテル化物並びにそのオリゴマー体などが包含される。
C-C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物は、その鎖状化合物のC-C二重結合を、塩基性条件下で過酸化物を用いてエポキシ化する方法によって製造できる。C-C二重結合を有する鎖状化合物には、ブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエンなどが包含される。また、二重結合を有するテルペン類もエポキシ化原料として用いることができ、非環式モノテルペンとして、リナロールなどがある。エポキシ化に用いられる過酸化物は、例えば、過酸化水素、過酢酸、tert-ブチルヒドロペルオキシドなどであることができる。
飽和炭素環に直接若しくはアルキレンを介してグリシジルオキシ基又はエポキシエチル基が結合している脂環式エポキシ化合物は、先に掲げたビスフェノール類を代表例とする水酸基を有する芳香族化合物の芳香環を水素化して得られる水素化ポリヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル化物、水酸基を有するシクロアルカン化合物のグリシジルエーテル化物、ビニル基を有するシクロアルカン化合物のエポキシ化物などであることができる。
以上説明したエポキシ化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えばそれぞれ商品名で、三菱ケミカル株式会社から販売されている“jER”シリーズ、DIC株式会社から販売されている“エピクロン”、東都化成株式会社から販売されている“エポトート(登録商標)”、株式会社ADEKAから販売されている“アデカレジン(登録商標)”、ナガセケムテックス株式会社から販売されている“デナコール(登録商標)”、ダウケミカル社から販売されている“ダウエポキシ”、日産化学工業株式会社から販売されている“テピック(登録商標)”などが挙げられる。
一方、飽和炭素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物は、例えば、C-C二重結合を環内に有する非芳香族環状化合物のC-C二重結合を、塩基性条件下で過酸化物を用いてエポキシ化する方法によって製造できる。C-C二重結合を環内に有する非芳香族環状化合物としては、例えば、シクロペンテン環を有する化合物、シクロヘキセン環を有する化合物、シクロペンテン環又はシクロヘキセン環にさらに少なくとも2個の炭素原子が結合して追加の環を形成している多環式化合物などが挙げられる。C-C二重結合を環内に有する非芳香族環状化合物は、環外に別のC-C二重結合を有していてもよい。C-C二重結合を環内に有する非芳香族環状化合物の例を挙げると、シクロヘキセン、4-ビニルシクロヘキセン、単環式モノテルペンであるリモネン及びα-ピネンなどがある。
飽和炭素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物は、上で述べたような環に直接結合したエポキシ基を有する脂環式構造が、適当な連結基を介して分子内に少なくとも2個形成された化合物であってもよい。ここでいう連結基には、例えば、エステル結合、エーテル結合、アルキレン結合などが包含される。
飽和炭素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物の具体的な例を挙げると、次のようなものがある。
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、
1,2-エポキシ-4-エポキシエチルシクロヘキサン、
1,2-エポキシ-1-メチル-4-(1-メチルエポキシエチル)シクロヘキサン、
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル (メタ)アクリレート、
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールと4-エポキシエチル-1,2-エポキシシクロヘキサンとの付加物、
エチレン ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
オキシジエチレン ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
1,4-シクロヘキサンジメチル ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
3-(3,4-エポキシシクロヘキシルメトキシカルボニル)プロピル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなど。
以上説明した飽和炭素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物も、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、株式会社ダイセルから販売されている“セロキサイド”シリーズ及び“サイクロマー”、ダウケミカル社から販売されている“サイラキュア UVR”シリーズなどが挙げられる。
エポキシ化合物を含有する硬化性接着剤は、さらにエポキシ化合物以外の活性エネルギー線硬化性化合物を含有してもよい。エポキシ化合物以外の活性エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、オキセタン化合物やアクリル化合物などが挙げられる。なかでも、カチオン重合において硬化速度を促進できる可能性があることから、オキセタン化合物を併用することが好ましい。
オキセタン化合物は、分子内に4員環エーテルを有する化合物であり、例えば、次のようなものを挙げることができる。
1,4-ビス〔(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル〕ベンゼン、
3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、
ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、
3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、
3-エチル-3-(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、
フェノールノボラックオキセタン、
キシリレンビスオキセタン、
1,3-ビス〔(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ〕ベンゼンなど。
オキセタン化合物も、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、東亞合成株式会社から販売されている“アロンオキセタン(登録商標)”シリーズ、宇部興産株式会社から販売されている“ETERNACOLL(登録商標)”シリーズなどが挙げられる。
エポキシ化合物やオキセタン化合物を包含する硬化性化合物は、これらが配合された接着剤を無溶剤とするために、有機溶剤などで希釈されていないものを用いることが好ましい。また、接着剤を構成する他の成分であって、後述するカチオン重合開始剤や増感剤を包含する少量成分も、有機溶剤に溶解されたものよりも、有機溶剤が除去・乾燥されたその化合物単独の粉体又は液体を用いることが好ましい。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線、例えば紫外線の照射を受けてカチオン種を発生する化合物である。それが配合された接着剤に求められる接着強度及び硬化速度を与えるものであればよいが、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩;鉄-アレーン錯体などが挙げられる。これらのカチオン重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、異なる複数種を併用してもよい。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなど。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4-ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなど。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニル(4-フェニルチオフェニル)スルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4,4′-ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4′-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4′-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4-フェニルカルボニル-4′-ジフェニルスルホニオジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4′-ジフェニルスルホニオジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4′-ジ(p-トルイル)スルホニオ-ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど。
鉄-アレーン錯体としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン-シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロホスフェート、 キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II) トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなど。
カチオン重合開始剤のなかでも、芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する接着剤層を与えることができるため、好ましく用いられる。
カチオン重合開始剤も、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、日本化薬株式会社から販売されている“カヤラッド(登録商標)”シリーズ、ダウケミカル社から販売されている“サイラキュア UVI”シリーズ、サンアプロ株式会社から販売されている光酸発生剤“CPI”シリーズ、みどり化学株式会社から販売されている光酸発生剤“TAZ”、“BBI”及び“DTS”、株式会社ADEKAから販売されている“アデカオプトマー”シリーズ、ローディア社から販売されている“RHODORSIL
(登録商標)” などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤において、カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型接着剤の総量100質量部に対して、通常0.5~20質量部の割合で配合され、好
ましくは1~15質量部である。その量があまり少ないと、硬化が不十分になり、接着剤層の機械強度や接着強度を低下させることがある。また、その量が多すぎると、接着剤層中のイオン性物質が増加することで接着剤層の吸湿性が高くなり、得られる偏光板の耐久性能を低下させることがある。
活性エネルギー線硬化型接着剤を電子線硬化型で用いる場合、組成物中に光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型で用いる場合には、光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。光ラジカル発生剤としては、水素引き抜き型光ラジカル発生剤と開裂型光ラジカル発生剤とが挙げられる。
水素引き抜き型光ラジカル発生剤としては、例えば1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレン、1-フルオロナフタレン、1-クロロナフタレン、2-クロロナフタレン、1-ブロモナフタレン、2-ブロモナフタレン、1-ヨードナフタレン、2-ヨードナフタレン、1-ナフトール、2-ナフトール、1-メトキシナフタレン、2-メトキシナフタレン、1,4-ジシアノナフタレンなどのナフタレン誘導体、アントラセン、1,2-ベンズアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9-シアノアントラセン、9,10-ジシアノアントラセン、2,6,9,10-テトラシアノアントラセンなどのアントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール、9-メチルカルバゾール、9-フェニルカルバゾール、9-プロペ-2-イニル-9H-カルバゾール、9-プロピル-9H-カルバゾール、9-ビニルカルバゾール、9H-カルバゾール-9-エタノール、9-メチル-3-ニトロ-9H-カルバゾール、9-メチル-3,6-ジニトロ-9H-カルバゾール、9-オクタノイルカルバゾール、9-カルバゾールメタノール、9-カルバゾールプロピオン酸、9-カルバゾールプロピオニトリル、9-エチル-3,6-ジニトロ-9H-カルバゾール、9-エチル-3-ニトロカルバゾール、9-エチルカルバゾール、9-イソプロピルカルバゾール、9-(エトキシカルボニルメチル)カルバゾール、9-(モルホリノメチル)カルバゾール、9-アセチルカルバゾール、9-アリルカルバゾール、9-ベンジル-9H-カルバゾール、9-カルバゾール酢酸、9-(2-ニトロフェニル)カルバゾール、9-(4-メトキシフェニル)カルバゾール、9-(1-エトキシ-2-メチル-プロピル)-9H-カルバゾール、3-ニトロカルバゾール、4-ヒドロキシカルバゾール、3,6-ジニトロ-9H-カルバゾール、3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール、2-ヒドロキシカルバゾール、3,6-ジアセチル-9-エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、芳香族カルボニル化合物、[4-(4-メチルフェニルチオ)フェニル]-フェニルメタノン、キサントン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、4-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどのチオキサントン誘導体やクマリン誘導体などが挙げられる。
開裂型光ラジカル発生剤は、活性エネルギー線を照射することにより当該化合物が開裂してラジカルを発生するタイプの光ラジカル発生剤であり、その具体例として、ベンゾインエーテル誘導体、アセトフェノン誘導体などのアリールアルキルケトン類、オキシムケトン類、アシルホスフィンオキシド類、チオ安息香酸S-フェニル類、チタノセン類、およびそれらを高分子量化した誘導体が挙げられるがこれに限定されるものではない。市販されている開裂型光ラジカル発生剤としては、1-(4-ドデシルベンゾイル)-1-ヒドロキシ-1-メチルエタン、1-(4-イソプロピルベンゾイル)-1-ヒドロキシ-1-メチルエタン、1-ベンゾイル-1-ヒドロキシ-1-メチルエタン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-ベンゾイル]-1-ヒドロキシ-1-メチルエタン、1-[4-(アクリロイルオキシエトキシ)-ベンゾイル]-1-ヒドロキシ-1-メチルエタン、ジフェニルケトン、フェニル-1-ヒドロキシ-シクロヘキシルケトン、ベンジルジメチルケタール、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-ピリル-フェニル)チタン、(η6-イソプロピルベンゼン)-(η5-シクロペンタジエニル)-鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシ-ベンゾイル)-(2,4,4-トリメチル-ペンチル)-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジペントキシフェニルホスフィンオキシドまたはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニル-ホスフィンオキシド、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
本発明で使用される活性エネルギー硬化型接着剤の中で、電子線硬化型に含まれる光ラジカル発生剤、すなわち水素引き抜き型または開裂型光ラジカル発生剤は、いずれもそれぞれ単独で用いることができる他、複数を組み合わせて用いても良いが、光ラジカル発生剤単体の安定性や、硬化性の面でより好ましいものは開裂型光ラジカル発生剤の1種以上の組み合わせである。開裂型光ラジカル発生剤の中でもアシルホスフィンオキシド類が好ましく、より具体的には、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(商品名「DAROCURE TPO」;チバ・ジャパン(株))、ビス(2,6-ジメトキシ-ベンゾイル)-(2,4,4-トリメチル-ペンチル)-ホスフィンオキシド(商品名「CGI 403」;チバ・ジャパン(株))、またはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジペントキシフェニルホスフィンオキシド(商品名「Irgacure819」;チバ・ジャパン(株))が好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、必要に応じて増感剤を含有することができる。増感剤を使用することにより、反応性が向上し、接着層の機械強度や接着強度をさらに向上させることができる。増感剤としては、前述したものを適宜適用できる。
増感剤を配合する場合、その配合量は、活性エネルギー線硬化型接着剤の総量100質量部に対し、0.1~20質量部の範囲とすることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤には、その効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合することができる。配合しうる添加剤として、例えば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤を構成するこれらの各成分は、通常、溶剤に溶かした状態で使用される。活性エネルギー線硬化型接着剤が溶剤を含む場合、活性エネルギー線硬化型接着剤を塗布面に塗布し、乾燥させることで、接着層が得られる。溶剤に溶解しない成分は、系中に分散した状態であればよい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、第1位相差層1の第2位相差層2との接着面、第2位相差層2の第1位相差層1との接着面、又はその両方に塗布される。第1位相差層1の第2位相差層2との接着面及び第2位相差層2の第1位相差層1との接着面に、予めコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよく、プライマー層等を形成してもよい。プライマー層の厚さは、通常0.001~5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。プライマー層が厚すぎると、複合位相差板5の外観不良となりやすい。
活性エネルギー線硬化型接着剤の粘度としては、種々方法で塗工できる粘度を有するものであればよいが、その温度25℃における粘度は、10~1,000mPa・secの範囲にあることが好ましく、20~500mPa・secの範囲にあることがより好ましい。その粘度があまり小さいと、所望の厚みでの層形成がしにくく傾向にある。一方、その粘度があまり大きいと、流動しにくくなって、ムラのない均質な塗膜が得られにくくなる傾向にある。ここでいう粘度は、E型粘度計を用いてその接着剤を25℃に調温した後、10rpmで
測定される値である。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。本明細書において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線及び電子線等が挙げられる。
電子線硬化型において、電子線の照射条件は、上記活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5kV~300kVであり、さらに好ましくは10kV~250kVである。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて電子線が跳ね返り、透明保護フィルムや偏光子に損傷を与えるおそれがある。照射線量としては、5~100kGy、さらに好ましくは10~75kGyである。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、位相差板に損傷を与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所望の光学特性を得ることができない。
電子線照射は、通常、不活性ガス中で照射を行うが、必要であれば大気中や酸素を少し導入した条件で行ってもよい。酸素を適宜導入することによって、最初に電子線があたる位相差板表面にあえて酸素阻害を生じさせ、位相差板へのダメージを防ぐことができ、接着剤にのみ効率的に電子線を照射させることができる。
紫外線硬化型において、活性エネルギー線硬化型接着剤の光照射強度は、接着剤の組成ごとに決定されるものであって特に限定されないが、10~1,000mW/cm2であることが好ましい。樹脂組成物への光照射強度が10mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、1,000mW/cm2を超えると、光源から輻射される熱および組成物の重合時の発熱により、接着剤の構成材料の黄変を生じる可能性がある。なお、照射強度は、好ましくは光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度であり、より好ましくは波長400nm以下の波長領域における強度であり、さらに好ましくは波長280~320nmの波長領域における強度である。このような光照射強度で1回あるいは複数回照射して、その積算光量が10mJ/cm2以上、好ましくは100~1,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。上記接着剤への積算光量が10mJ/cm2未満であると、重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分となる。一方でその積算光量が1,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。この際、使用する位相差板のフィルムの種類や接着剤種の組み合わせなどによって、どの波長領域(UVA(320~390nm)やUVB(280~320nm)など)での積算光量が必要かは異なる。
本発明における活性エネルギー線の照射により接着剤の重合硬化を行うために用いる光源は、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。エネルギーの安定性や装置の簡便さという観点から、波長400nm以下に発光分布を有する紫外光源であることが好ましい。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、偏光板と、上記の複合位相差板とが積層されてなるものである。光学積層体は、前記偏光板と複合位相差板とを接着する第2接着層を含んでいてもよい。前記偏光板に積層する複合位相差板の層構成を調整することにより、反射防止性能を有する光学積層体とすることができる。反射防止性能を有する光学積層体は、例えば円偏光板である。画像表示装置において、画像表示パネルの視認側に反射防止性能を有する光学積層体を設けることにより、外来光の反射による視認性の低下を抑制することができる。
外来光の反射による視認性の低下を抑制することができる、前記偏光板と、複合位相差板とからなる光学積層体の層構成としては、
v)視認側から偏光板、1/2波長層(第1位相差層)、第2接着層、1/4波長層(第2位相差層)がこの順で積層されてなる層構成の光学積層体、
vi)視認側から偏光板、1/4波長層(第1位相差層)、第2接着剤層、ポジティブCプレート等の光学補償層層(第2位相差層)がこの順で積層されてなる層構成の光学積層体、が具体的に例示される。
光学積層体の厚みは、薄型化の観点から、通常50~500μmであり、50~200μmであることが好ましく、50~150μmであることがさらに好ましい。
<偏光板>
偏光板は、透過光より直線偏光を得る偏光機能を有するフィルムであればよい。当該フィルムとしては、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム、又は吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムを偏光子として含むフィルム等が挙げられる。吸収異方性を有する色素としては、例えば、二色性色素が挙げられる。偏光子として用いられる、吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム、あるいは、液晶性を有する二色性色素を含む組成物又は二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を塗布して得られる液相層を有するフィルム等が挙げられる。
(延伸フィルムを偏光子として備える偏光板)
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムを偏光子として備える偏光板について説明する。偏光子である、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、及び二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程を有する、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。かかる偏光子をそのまま偏光板として用いてもよく、またはかかる偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルムを貼合したものを偏光板として用いてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000~10,000程度であり、好ましくは1,500~5,000の範囲である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光板の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、例えば、10~150μm程度とすることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行われる。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。二色性有機染料には、 C.I. DIRECT RED 39 などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料が包含される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常0.01~1質量部程度である。またヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常 0.5~20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20~40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20~1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性の有機染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100質量部あたり、通常1×10-4~10質量部程度であり、好ましくは1×10-3~1質量部であり、さらに好ましくは1×10-3~1×10-2質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムのような無機塩を染色助剤として含んでいてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常20~80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10~1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬する方法により行うことができる。このホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましく、その場合のヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.1~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常 60~1,200秒程度であり、好ましくは150~600秒、さらに好ましくは200~400秒である。ホウ酸処理の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50~85℃、さらに好ましくは60~80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬する方法により行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5~40℃程度である。また浸漬時間は、通常1~120秒程度である。
水洗後に乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。乾燥処理は例えば、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30~100℃程度であり、好ましくは50~80℃である。乾燥処理の時間は、通常60~600秒程度であり、好ましくは120~600秒である。乾燥処理により、偏光子の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5~20質量%程度であり、好ましくは8~15質量%である。水分率が5質量%を下回ると、偏光子の可撓性が失われ、偏光子がその乾燥後に損傷したり、破断したりすることがある。また、水分率が20質量%を上回ると、偏光子の熱安定性が悪くなる可能性がある。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理、水洗及び乾燥をして得られる偏光子の厚みは好ましくは5~40μmである。
偏光子の片面又は両面に貼合される保護フィルムの材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において公知のフィルムを挙げることができる。保護フィルムの厚みは、薄型化の観点から、通常300μm以下であり、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、また、通常5μm以上であり、20μm以上であることが好ましい。また、視認側の保護フィルムは位相差を有していても、なくてもよい。一方、第一位相差層に積層される側の保護フィルムは位相差は10nm以下の位相差である事が好ましい。
(液晶層を有するフィルムを偏光子として備える偏光板)
液晶層を有するフィルムを偏光子として備える偏光板について説明する。偏光子として用いられる、吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物、又は二色性色素と液晶化合物とを含む組成物を塗布して得られるフィルム等が挙げられる。当該フィルムは、単独で偏光板として用いてもよく、その片面又は両面に保護フィルムを有する構成で偏光板として用いてもよい。当該保護フィルムとしては、上記した延伸フィルムを偏光子として備える偏光板と同一のものが挙げられる。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムは薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。当該フィルムの厚さは、通常20μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上3μm以下である。
前記吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、具体的には、特開2012-33249号公報等に記載のフィルムが挙げられる。
前記吸収異方性を有する色素を、前記複合位相差板の第1位相差層側に直接塗布することにより、複合位相差板と偏光板とを積層してなる光学積層体を得てもよい。この場合、第2接着層を有することなく、複合位相差板と偏光板とを積層することができる。
<第2接着層>
第2接着層は、例えば、粘着剤、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤及びこれらの組み合わせから構成することができる。この中でも、第2接着層は、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層であることにより、本発明の複合位相差層を含む光学積層体が折れ曲がった場合であっても、屈曲部におけるシワの発生をより抑制することができるので好ましい。本明細書において、「第2接着層」との用語は、接着剤から構成される接着層のみでなく、粘着剤から構成される粘着層をも含むものとする。
第2接着層をなす粘着剤、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤については、上記第1接着層での説明が適用される。第1接着層及び第2接着層は、同じ材料から形成されてもよいし、異なる材料から形成されてもよい。
[複合位相差板及び光学積層体の製造方法]
本発明の複合位相差板は、図3(A)に示すような第1位相差発現層13、第1配向層12及び第1基材層11を含む第1位相差層10と、図3(B)に示すような第2位相差発現層23、第2配向層22及び第1基材層21を含む第2位相差層20とを第1接着剤層40を介して積層させることで製造できる。また、本発明の複合位相差板は、第1位相差発現層13、第1配向層12、第1基材層11、第1接着剤層40、第2基材層21、第2配向層22、第2位相差発現層23の順に積層された積層体であってもよい。
第1位相差層10と第2位相差層20とを接着させる方法としては、第1位相差層10の貼合面又は第2位相差層20の貼合面のいずれか又はその両方に塗工し、これにもう一方の貼合面を積層し、第1接着剤層を構成する接着剤を硬化させる方法が挙げられる。
第1接着剤層を構成する接着剤の塗工には、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。
第1接着剤層を構成する接着剤を硬化する方法としては、接着剤の種類によって硬化する方法を適宜選択すればよい。接着剤が、活性エネルギー線硬化型接着剤である場合、上述のように活性エネルギー線で硬化する方法が好ましい。第1位相差層10の貼合面又は第2位相差層20の貼合面のいずれか又はその両方に、コロナ処理、プラズマ処理等を行ってもよいし、プライマー層を形成してもよい。
本発明の複合位相差層は、図3(C)に示すような積層体であってもよいし、第1基材層11及び第2基材層21の少なくとも一方の層を剥離した積層体であってもよい。また、図3(C)に示す積層体から第1基材層11及び第1配向層12が剥離された積層体であってもよいし、図3(C)に示す積層体から第2基材層21及び第2配向層22が剥離された積層体であってもよい。
[光学積層体の用途]
円偏光板である光学積層体は、画像表示パネルの視認側に配置されて反射防止性能を付与する光学積層体として、さまざまな画像表示装置に用いることができる。画像表示装置とは、画像表示パネルを有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。画像表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)および圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの画像表示装置は、2次元画像を表示する画像表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体画像表示装置であってもよい。特に円偏光板である光学積層体は、屈曲部を有する画像表示パネルを備え得る有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に有効に用いることができる。
本発明によると、屈曲部を有する画像表示パネルの表面にこれに沿わせるように光学積層体を屈曲させて配置しても、シワの発生がない光学積層体を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[位相差層の製造例]
(1)液晶位相差形成用組成物の調製
重合性液晶化合物(A1)80部、重合性化合物(A2)20部、重合開始剤6部、レベリング剤0.1部及びシクロペンタノン400部を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、液晶位相差形成用組成物(1)を得た。
以下に、用いた重合性化合物A1、重合性化合物A2、重合開始剤及びレベリング剤を示す。なお、重合性液晶化合物A1及び重合性液晶化合物A2は、特開2010-31223号記載の方法で合成した。
重合性化合物A1:
Figure 0007578659000001
重合性化合物A2:
Figure 0007578659000002
重合開始剤:2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製)、
レベリング剤(0.1部):ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製)。
(2)配向層形成用組成物の調製
(2-1)配向層形成用組成物(1)の調製
以下に示す化合物5部及びシクロペンタノン95部を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、配向層形成用組成物(1)を得た。
光配向性材料(5部):

Figure 0007578659000003
(2-2)配向層形成組成物(2)の調製
配向性ポリマーであるサンエバーSE-610(日産化学工業株式会社製)に2-ブトキシエタノールを加えて配向層形成組成物(2)を得た。なお、配向層形成組成物(2)における固形分量は1%であった。
(3)位相差層の製造例
(3-1)位相差層の製造例(1)(逆分散性1/4波長層の製造例)
ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムの表面を、コロナ処理装置(AGF-B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、配向層形成用組成物(1)をバーコーター塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を実施した。得られた配向層の膜厚をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、100nmであった。続いて、配向層上に液晶位相差形成用組成物(1)を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより液晶層を位相差発現層として備える位相差層(逆分散性1/4波長層)を得た。得られた位相差層の位相差値を測定したところ、Re(550)=138nm、Rth(550)=72nmであった。また、波長450nmならびに波長650nmの位相差値を測定したところ、Re(450)=121nm、Re(650)=141nmであった。各波長での面内位相差値の関係は以下のとおりとなった。なお、ポリエチレンテレフタレートのフィルムの位相差値は含まない。
Re(450)/Re(550)=0.87
Re(650)/Re(550)=1.02
(3-2)位相差層の製造例(2)(ポジティブC層の製造例)
シクロオレフィンポリマー(COP)のフィルムの表面を、コロナ処理装置を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、配向層形成用組成物(2)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥し、配向膜を得た。得られた配向層の膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ、34nmであった。続いて、配向層上に液晶位相差形成用組成物(1)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより液晶層を位相差発現層として備える位相差層(ポジティブC層)を得た。得られた位相差層の膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ、膜厚は450nmであった。また、得られた位相差層2の波長550nmでの位相差値を測定したところRe(550)=1nm、Rth(550)=-70nmであった。なお、シクロオレフィンポリマーのフィルムの位相差値は含まない。
[光硬化型の接着剤1~11の製造例]
(1)カチオン硬化性成分の準備
以下に示すカチオン硬化性成分を準備した。
(A-1)3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、株式会社ダイセル製)、
(A-2)2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(商品名:EHPE3150、株式会社ダイセル製)

(B-1)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211、ナガセケムテックス株式会社製)、
(B-2)1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(商品名:EX-214、ナガセケムテックス株式会社製)、
(B-3)2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(商品名:EX-121、ナガセケムテックス株式会社製)
(C-1)レゾルシノールジグリシジルエーテル(商品名:EX-201、ナガセケムテックス株式会社製)
(C-2)多官能グリシジルエーテル(商品名:VG3101L、株式会社プリンテック製)
(D-1)3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名:OXT-221、東亞合成株式会社)
(D-2)キシリレンビスオキセタン(商品名:OXT-121、東亞合成株式会社)
(2)ラジカル硬化性成分の準備
以下に示すラジカル硬化性成分を準備した。
(E-1)4-ヒドロキシブチルアクリレート(商品名:4HBA、日本化成株式会社製)
(E-2)1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(商品名:CHDMMA、日本化成株式会社製)
(E-3)ジメチルアクリルアミド(商品名:DMAA、株式会社興人製)
(E-4)ポリウレタンアクリレート(商品名:紫光 UV-3000B、日本合成化学工業株式会社製)
(3)カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤
以下に示すカチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤(表1では「開始剤」と略記)を準備した。
(F-1)カチオン重合開始剤(商品名:CPI-100、サンアプロ株式会社製)
(F-2)ラジカル重合開始剤(商品名:IRGACURE1173、BASF社製)
(4)増感剤の準備
以下に示す増感剤を準備した。
(G-1)1,4-ジエトキシナフタレン(表1では「DEN」と略記)
(5)接着剤1~11の調製
上記のカチオン硬化性成分およびカチオン重合開始剤、または、ラジカル硬化性成分およびラジカル重合開始剤を、表1に示す配合割合(単位は部)で混合した後、脱泡して、光硬化型の接着剤1~11を調製した。なお、カチオン重合開始剤(F-1)は、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、表1はその固形分量で表示した。
[粘着剤1の調製]
(1)材料の準備
以下に示すアクリル系のベースポリマー(G-1)、イソシアネート系架橋剤(G-2)及びシランカップリング剤(G-3)を準備した。
(H-1)ブチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸及びヒドロキシエチルアクリレートの共重合体
(H-2)トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)(「コロネートL」(商品名)、東ソー株式会社製)
(H-3)3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、液体(「KBM-403」(商品名)、信越化学工業(株)製)
(2)粘着剤1の調製
上記アクリル系のベースポリマー(H-1)100質量部と、イソシアネート系架橋剤(H-2)0.2質量部と、シランカップリング剤(H-3)0.2質量部とを混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着剤1を調製した。
[粘度測定]
上記で調製した接着剤1~11について、東機産業株式会社製のE型粘度計“TVE-25”を用いて、温度25℃及び10rpmにおける粘度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007578659000004
[複合位相差板の製造例]
(1)第1複合位相差板(実施例1~12及び比較例1)の製造
液相層である位相差発現層、配向層及び基材層の3層からなる1/2波長層(第1位相差層)と、液晶層である位相差発現層、配向層及び基材層の3層からなる1/4波長層(第2位相差層)とを100×100mmの小片に切り出し、第1位相差層と、表2に示す接着剤(接着剤1~11)と、第2位相差層とを、それぞれの位相差層の位相差発現層が内側になるようにしてこの順で積層させた。そして、これらを枚葉貼合して積層体を得て、その後積層体の両面から、フュージョンUVシステムズ社製の紫外線ランプ“Hバルブ”が取り付けられた紫外線照射装置を用い、光照射強度が400mW/cm、波長280~320nmでの積算光量が400mJ/cmとなるように紫外線を照射して光硬化型の接着剤を硬化させて硬化物層を形成し、積層体を得た。得られた積層体から、第1基材層及び第2基材層を剥離した後のものを、複合位相差板(実施例1~12及び比較例1)の試験片とした。
(2)第1複合位相差板(比較例2,3)の製造
上記(1)と同じようにして、液相層である位相差発現層、配向層及び基材層の3層からなる1/2波長層(第1位相差層)と、液晶層である位相差発現層、配向層及び基材層の3層からなる1/4波長層(第2位相差層)とを100×100mmの小片に切り出し、第1位相差層と、粘着剤1と、第2位相差層とを、それぞれの位相差層の位相差発現層が内側になるようにしてこの順で積層させた。そして、これらを枚葉貼合して積層体を得た。得られた積層体から、第1基材層及び第2基材層を剥離した後のものを、複合位相差板(比較例2,3)の試験片とした。
(3)第2複合位相差板(実施例13~24及び比較例4)の製造
上記「(3-1)位相差層の製造例(1)」で製造した逆分散性1/4波長層(第1位相差層)と、上記「(3-2)位相差層の製造例(2)」で製造したポジティブC層(第2位相差層)とを100×100mmの小片に切り出し、第1位相差層と、表3に示す接着剤(接着剤1~11)と、第2位相差層とを、それぞれの位相差層の位相差発現層が内側になるようにしてこの順で積層させた。そして、これらを枚葉貼合して積層体を得て、その後積層体の両面から、フュージョンUVシステムズ社製の紫外線ランプ“Hバルブ”が取り付けられた紫外線照射装置を用い、光照射強度が400mW/cm、波長280~320nmでの積算光量が400mJ/cmとなるように紫外線を照射して光硬化型の接着剤を硬化させて硬化物層を形成し、積層体を得た。得られた積層体から、第1基材層及び第2基材層を剥離した後のものを、複合位相差板(実施例13~24及び比較例4)の試験片とした。
(4)第2複合位相差板(比較例5,6)の製造
上記(3)と同様にして、上記「(3-1)位相差層の製造例(1)」で製造した逆分散性1/4波長層(第1位相差層)と、上記「(3-2)位相差層の製造例(2)」で製造したポジティブC層(第2位相差層)とを100×100mmの小片に切り出し、第1位相差層と、粘着剤1と、第2位相差層とを、それぞれの位相差層の位相差発現層が内側になるようにしてこの順で積層させた。そして、これらを枚葉貼合して積層体を得た。得られた積層体から、第1基材層及び第2基材層を剥離した後のものを、複合位相差板(比較例5,6)の試験片とした。
(5)複合位相差板と接着層の厚み測定
上記で製造した複合位相差板の試験片の厚みを、接触式膜厚計〔ニコン(株)製の商品名“DIGIMICRO MH-15M”〕で測定した。また、硬化した接着層又は粘着剤層の厚みを上記の方法と同様に測定した。測定結果を表2及び表3に示す。
(6)複合位相差板における突刺し傾きの測定
上記で製造した複合位相差板の試験片の突刺し傾きを算出した。直径1mm、先端の曲率半径0.5Rの突刺治具を装着した小型卓上試験機〔(株)島津製作所製の商品名“EZ Test”〕を用いて、突刺し強度の測定を行った。得られた突き刺強度A(kg)と、裂けるまでの突き刺深さB(mm)と、複合位相差板厚みd(mm)を、下記式: E=A/(B×d)
を用いて、単位膜厚当たりの突き刺し傾きE(kg/mm2)を算出した。なお、複合位相差板の突き刺し傾きは、同じ条件で作製した5個以上の複合位相差板の突き刺し傾きEの平均値とした。測定結果を表2及び表3に示す。
[光学積層体の製造例]
(7)偏光板の製造
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬してヨウ素染色を行った(ヨウ素染色工程)。ヨウ素染色工程を経たポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に、56.5℃で浸漬してホウ酸処理を行った(ホウ酸処理工程)。ホウ酸処理工程を経たポリビニルアルコールフィルムを8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子(延伸後の厚さ27μm)を得た。この際、ヨウ素染色工程とホウ酸処理工程において延伸を行った。かかる延伸におけるトータル延伸倍率は5.3倍であった。得られた偏光子に両面に、ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルム(商品名:KC4UYTAC、コニカミノルタ製、厚さ40μm)を水系接着剤を介してニップロールで貼り合せた。得られた貼合物の張力を430N/mに保ちながら、60℃で2分間乾燥して、両面に保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを有する偏光板を得た。上述の水系接着剤は、水100部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(クラレポバールKL318、クラレ製)3部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン650、住化ケムテックス製、固形分濃度30%の水溶液)1.5部を添加して調製した。
(8)第1光学積層体(実施例1~12及び比較例1~3)の製造
上記(7)で製造した偏光板と上記(1)又は(2)で製造した第1複合位相差板とを、第1複合位相差板の第1位相差層側が接着面となるように、アクリル系粘着剤(膜厚25μm)を用いて貼合し、第1光学積層体を製造した。具体的には、上記で製造した偏光板の吸収軸方向(0°)に対して、第1位相差層の遅相軸が反時計回りを正として-15°となるように積層し、かつ上記で製造した偏光板の透過軸と第2位相差層の遅相軸とが-75°となるように積層した。
(9)第2光学積層体(実施例13~24及び比較例4~6)の製造
上記(8)で製造した偏光板と上記(3)又は(4)で製造した第2複合位相差板とを用いて、第2光学積層体を製造した。具体的には、上記で製造した偏光板を、偏光子の吸収軸方向(0°)に対して、第1位相差層の遅相軸が45°となるように100×100mmの小片に切出し、これと第2複合位相差板とを、第1位相差層側が接着面となるようにアクリル系粘着剤(膜厚25μm)を用いて枚葉貼合して円偏光板である光学積層体を製造した。
〔試験例〕(シワの発生の評価)
上記(8)で製造した第1光学積層体及び上記(9)で製造した第2光学積層体を、複合位相差板側が貼着面となるようにアクリル系粘着剤(膜厚25μm)を用いて屈曲部(2R)を有するアルミ板に貼合し、屈曲部でのシワの発生を目視で観察し、以下の基準に基づいてシワの発生を評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
1:屈曲部においてシワが確認されなかった、
2:屈曲部においてわずかにシワがあることが確認された(シワの数:1~5本)、
3:屈曲部においてシワがあることが確認された(シワの数:5本以上)。
Figure 0007578659000005
Figure 0007578659000006
1 第1位相差層、2 第2位相差層、4 第1接着層、5 複合位相差板、10 第1位相差層、11 第1基材層、12 第1配向層、13 第1位相差発現層、20 第2位相差層、21 第2基材層、22 第2配向層、23 第2位相差発現層、40 第1接着層、50 積層体(複合位相差板)、W 幅方向。

Claims (8)

  1. 第1位相差層と、第2位相差層と、第1位相差層と第2位相差層とを接着する活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物である第1接着層とを含み、
    前記第1位相差層は、液晶層である第1位相差発現層を有し、
    前記第2位相差層は、液晶層である第2位相差発現層を有し、
    前記第1位相差発現層と前記第2位相差発現層とが前記第1接着層を介して接着されており、
    厚みが2μm~50μmであり、
    前記第1接着層は、厚みが1.5μm~3.0μmであり、
    下記式で算出される単位膜厚あたりの突刺し傾きEが6kg/mm~15kg/mmである、複合位相差板と、
    偏光板と、
    前記偏光板と前記複合位相差板とを接着する第2接着層と、を含み、
    前記第2接着層は、粘着剤層であり、
    前記複合位相差板は、第1位相差層が前記偏光板側に位置する向きで積層されており
    屈曲部を有する画像表示パネルの表面に配置して用いられる、光学積層体。
    E=A/(B×d)
    [上記式中、複合位相差板に対して、主面の法線方向から直径1mm、先端の曲率半径0.5Rの突刺治具を突刺し速度0.05cm/秒以上0.5cm/秒以下で突刺していき、複合位相差板が一箇所裂けた際の強度をA(kg)、裂けるまでの突き刺深さをB(mm)、複合位相差板の厚みをd(mm)とする。]
  2. 第1位相差層は1/2波長層であり、第2位相差層は1/4波長層である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 第1位相差層は1/2波長層、または1/4波長層であり、第2位相差層は光学補償層である、請求項1に記載の光学積層体。
  4. 前記第1位相差発現層と前記第2位相差発現層の厚みはそれぞれ0.5μm~10μmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学積層体。
  5. 円偏光板である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学積層体。
  6. 画像表示パネルと、前記画像表示パネルの視認側に配置された請求項1~5のいずれか1項に記載の光学積層体とを含む、画像表示装置。
  7. 前記光学積層体は、前記偏光板が視認側に位置する向きで配置されている、請求項6に記載の画像表示装置。
  8. 有機エレクトロルミネッセンス表示装置である、請求項7に記載の画像表示装置。
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