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JP7569039B2 - セメント組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、セメント組成物に関する。
セメント組成物に用いられる水硬性材料としてのセメントは、製造する際に二酸化炭素を発生することが知られており、セメント組成物における二酸化炭素の低減について、種々の試みがなされている。
ホタテ貝の貝殻は、従来、廃棄物として処理されていた。海水中の二酸化炭素を短期間で吸収して生成されるホタテ貝殻は、大気中又は海水中の二酸化炭素を固定蓄積することが可能であることが知られている。
ホタテ貝殻は、炭酸カルシウムを多く含み、水硬性材料の硬化を促進することにより、従来、セメント添加物としての用途が検討されている。しかしながら、ホタテ貝殻は、粉砕物が不均一であり、扁平な形状を有すること、塩分を含むことなどの問題があり、セメント組成物に添加して硬化体を製造しても、得られた硬化体は、圧縮強度、曲げ強度等の強度が十分に得られず、ホタテ貝殻を含むセメント組成物の用途は、土木用途に限られているのが現状であった。
これに対し、ホタテ貝などの貝殻の有効利用として、例えば、貝殻と水硬性物体粉末と水とを含む配合物を混練りし、型枠を用いて硬化させてなるポーラスコンクリートが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004-51461号公報
特許文献1に記載のポーラスコンクリートは、強度向上のために、貝殻の表面全体に安定状態の外被造殻層を被覆して用いる必要があり、さらに、得られるポーラスコンクリートの圧縮強度が十分ではなく、用途が限定的であるという問題があった。
本開示のある実施形態が解決しようとする課題は、ホタテ貝殻粉砕砂を含み、剛性、曲げ強度、及び外観が良好な硬化体を得ることができるセメント組成物を提供することである。
また、本開示の別の実施形態が解決しようとする課題は、ホタテ貝殻粉砕砂を含み、適度な流動性及び粘性を有し、3Dプリンター吐出用途に適用し得るセメント組成物を提供することである。
既述の課題の解決手段は、以下の実施形態を含む。
<1> 水硬性材料と、水と、細骨材とを含むセメント組成物であって、前記細骨材は、ホタテ貝殻粉砕砂を細骨材の全質量に対し10質量%~70質量%含み、前記ホタテ貝殻粉砕砂は、ホタテ貝殻粉砕物の分級物であり、最大粒子径が0.5mm~4.0mmであり、アスペクト比が1~25の範囲にあるセメント組成物。
<2> セメント組成物の全固形分に対し、5.0質量%~20.0質量%のシリカフュームをさらに含む<1>に記載のセメント組成物。
<3> 石灰石からなる粗骨材をさらに含む<1>又は<2>に記載のセメント組成物。
<4> プレキャストコンクリート用である<1>~<3>のいずれか1つに記載のセメント組成物。
<5> 水硬性材料と、水と、細骨材とを含むセメント組成物であって、前記細骨材は、ホタテ貝殻粉砕砂を細骨材の全質量に対し10質量%~100質量%含み、前記ホタテ貝殻粉砕砂は、ホタテ貝殻粉砕物の分級物であり、最大粒子径が75μm以上500μm未満であり、アスペクト比が1~2の範囲であるセメント組成物。
<6> 3Dプリンター吐出用である<5>に記載のセメント組成物。
本開示のある実施形態によれば、ホタテ貝殻粉砕砂を含み、剛性、曲げ強度、及び外観が良好な硬化体を得ることができるセメント組成物を提供することができる。
また、本開示の別の実施形態によれば、ホタテ貝殻粉砕砂を含み、適度な流動性及び粘性を有し、3Dプリンター吐出用途に適用し得るセメント組成物を提供することができる。
実施例1~実施例5及び比較例1のセメント組成物硬化体の材齢7日及び材齢28日の圧縮強度を示すグラフである。 実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、実施例6及び比較例1のセメント組成物硬化体の曲げ破壊エネルギーを示すグラフである。 実施例7~実施例11及び比較例2のコンクリート組成物硬化体の荷重変形曲線を示すグラフである。 実施例7~実施例11及び比較例2のコンクリート組成物硬化体の材齢1日脱型圧縮強度及び材齢28日の圧縮強度を示すグラフである。 比較例2のコンクリート組成物硬化体の材齢28日圧縮強度を100とした場合の、実施例7~実施例11の材齢28日圧縮強度の比率を示すグラフである。 実施例7~実施例11及び比較例2のコンクリート組成物硬化体の圧縮破断時破壊エネルギーを示すグラフである。
以下、本開示のセメント組成物について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本開示における「セメント組成物」は、細骨材のみを含むモルタル組成物及び細骨材と粗骨材とを含むコンクリート組成物を包含する意味で用いられる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において組成物に含まれる各成分の量は、組成物中に、各成分に該当する物質が複数含まれる場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「全固形分」とは、組成物に含まれる成分のうち、溶剤を除く全成分の合計量を示す。
本開示において、「アスペクト比」とは、粒子の最大径(b)に対する最小径(a)の比(b/a)を表す。
本開示における常温とは、特に断らない限り25℃を指す。
[セメント組成物:第1実施形態]
本開示のセメント組成物は、水硬性材料と、水と、細骨材とを含むセメント組成物であって、上記細骨材は、ホタテ貝殻粉砕砂を細骨材の全質量に対し10質量%~70質量%含み、上記ホタテ貝殻粉砕砂は、ホタテ貝殻粉砕物の分級物であり、最大粒子径が0.5mm~4.0mmであり、アスペクト比が1~25の範囲にある。
上記サイズのホタテ貝殻粉砕砂を上記含有量で含むセメント組成物を、以下、本開示のセメント組成物の第1実施形態と称する。
本開示の以下の記載において、「本実施形態のセメント組成物」と称する場合には、特に断らない限り、セメント組成物の第1実施形態に係り、「本開示のセメント組成物」と称する場合には、第1実施形態及び後述の第2実施形態を含むセメント組成物に係る。
(水硬性材料)
本開示のセメント組成物における水硬性材料には特に制限はなく、公知の水硬性材料を、適宜選択して用いることができる。
水硬性材料としては、普通ポルトランドセメント、ホワイトセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントなどの公知のセメント、高炉スラグを所定量含む高炉スラグセメント、フライアッシュを所定量含むフライアッシュセメント、シリカ質混合材を所定量含むシリカセメント等が挙げられ、目的に応じて使用しうる。
なかでも、プレキャストコンクリート硬化体を形成する場合には、より早期の脱型を実現し得るという観点から、早強ポルトランドセメントが好ましく用いられる。
また、極めて高い圧縮強度を必要としない用途、例えば、壁材パネルなどを作製する場合には、廃棄物の有効利用を促進し、セメント組成物製造時の炭酸ガス排出量を抑制する観点から、高炉セメントを用いることが好ましい。
(水)
本開示のセメント組成物は、水を含む。セメント組成物の調製に用いられる水には、特に制限はなく水道水であってもよい。
セメント組成物における水に対する水硬性材料の含有比率、即ち、水/結合材比は、セメント組成物の使用目的、添加成分などにより適宜調整することができる。
本開示における水/結合材比は、特に断らない限り質量基準である。
水/結合材比が小さいと、高強度のセメント硬化体が得られるが、セメント組成物自体の流動性は低下する傾向にある。
一般的な構造材の製造等の用途では、水/結合材比は50~60程度であるが、本開示のセメント組成物によれば、水/結合材比が40以上50未満の、比較的水の少ない処方を用いても、所望のセメント組成物硬化体を得ることができる。
なお、本開示における水/結合材の算出に適用される結合材は、セメント組成物硬化体の硬化に関与する微粉末を包含する意味で用いられる。結合材は、セメント組成物の主材である各種セメントに加え、任意成分としてセメントと共に用いられる成分、例えば、シリカフューム、高炉スラグ、フライアッシュなどを包含する。
(細骨材)
本実施形態のセメント組成物は、細骨材を含む。
本実施形態のセメント組成物は、細骨材の全質量に対し10質量%~70質量%のホタテ貝殻粉砕砂を含む。
細骨材として用いられる上記ホタテ貝殻粉砕砂は、ホタテ貝殻粉砕物の分級物であり、最大粒子径が0.5mm~4.0mmであり、アスペクト比が1~25の範囲にある。
ホタテ貝殻粉砕砂は、例えば、ホタテ貝の貝殻を350℃~450℃、酸化雰囲気下で加熱処理し、粉砕して得た粉砕物を、さらにJIS A 5005(2020年)に規定される篩で分級してなる分級物である。
上記分級により、ホタテ貝殻粉砕砂は、最大粒子径が0.5mm~4.0mmの範囲に調整され、粉砕により、ホタテ貝殻の物性に起因して、アスペクト比が1~25の範囲にある砕砂が得られる。
本実施形態に用いられるホタテ貝殻粉砕砂の最大粒子径は0.5mm~4.0mmの範囲とすることができ、得られるセメント組成物の流動性、セメント組成物硬化体の強度をより向上させるという観点からは、0.5mm~2.0mmの範囲が好ましく、0.5mm~1.0mmの範囲がより好ましい。上記ホタテ貝殻粉砕砂は、既述のように、篩で分級することで、最大粒子径が上記範囲となるよう、調整することができる。
本実施形態の最大粒子径0.5mm~4.0mmのホタテ貝殻粉砕砂は、篩による分級物であることに起因し、最大粒子径0.5mm未満及び最大粒子径4.0mmを超える粉砕物を殆ど含まない粒子径が揃った粉砕砂である。このため、セメント組成物の細骨材として使用した際に、均一な混練を容易に行うことができる。
分級物中に含まれる最大粒子径0.5mm未満の粉砕物及び最大粒子径4.0mmを超える粉砕物は、所望の最大粒子径の範囲において、ホタテ貝殻粉砕砂の全質量に対し、それぞれ、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態のホタテ貝殻粉砕砂の最大粒子径とは、個々の粒子の投影面積における最大径を指す。
本実施形態のホタテ貝殻粉砕砂は、アスペクト比が1~25であることから、ホタテ貝殻粉砕砂は、球状に近い粒子及び扁平な形状の粒子を含む。ホタテ貝殻粉砕砂として扁平な形状の粒子を含有することに起因して、本実施形態のセメント組成物の硬化体は、剛性及び曲げ強度が良好となると考えられる。
扁平な形状のホタテ貝殻粉砕砂がセメント組成物硬化体の剛性の向上に寄与するという観点から、本実施形態のセメント組成物は、アスペクト比がより大きい範囲であるアスペクト比3~25のホタテ貝殻粉砕砂を、ホタテ貝殻粉砕砂の全質量に対し、50質量%以上含むことが好ましい。
本開示におけるホタテ貝殻粉砕砂のアスペクト比は、ホタテ貝殻粉砕砂を、デジタルマイクロスコープ VHX5000(商品名:株式会社キーエンス製)を用いて測定した値である。
細骨材の全質量に対するホタテ貝殻粉砕砂の含有量は、10質量%~70質量%とすることができ、硬化体の曲げ特性がより良好になるという観点からは、30質量%~70質量%であることがより好ましい。
(ホタテ貝殻粉砕砂における二酸化炭素の固定化効果)
ホタテ貝殻は、炭酸カルシウムを98質量%含有する。ホタテ貝は、成長に際して、大気中又は海水中の二酸化炭素を固定蓄積することが可能であることが知られている。ホタテ貝殻粉砕砂の炭酸カルシウム含有量から見積もった二酸化炭素量は、ホタテ貝殻粉砕砂の44質量%程度であり、ホタテ貝殻粉砕砂の全量に対し、44質量%の二酸化炭素を、大気中又は海水中から吸収し固定化している。
公知の細骨材のみを用いるセメント組成物に比較し、ホタテ貝殻粉砕砂を含有する本開示のセメント組成物は、二酸化炭素の固定化性が良好である。従って、2年~3年間で成長するホタテ貝の貝殻粉砕砂を用いて、例えば、後述のようにプレキャストコンクリート硬化体を製造し、建築材料の一部として建造物に使用し続けることで、二酸化炭素固定効果が発揮され、環境的にも好ましいセメント組成物となると本発明者らは考えている。
ホタテ貝殻粉砕砂以外の細骨材としては、公知の細骨材を用いることができる。公知の細骨材としては、例えば、山砂、海砂等の天然砂、鉱物を破砕して得られる砕砂、加工砂等が挙げられる。なかでも、得られるセメント組成物硬化体の強度と外観が良好であるという観点からは、石灰石砕砂、山砂、硅石砕砂、珪砂等が好ましく挙げられ、石灰石砕砂がより好ましい。細骨材は、JIS A5005(2020年)コンクリート用砕石及び砕砂、及びJIS A5308(2019年)レディーミクストコンクリートの規定に該当する細骨材を用いることが好ましい。
(セメント組成に含まれ得るその他の成分)
本開示のセメント組成物は、水硬性材料、水及び細骨材に加えて、目的に応じてセメント組成物に通常用いられるその他の成分をさらに含むことができる。
その他の成分としては、混和材、粗骨材、無機顔料、減水剤などの化学混和剤、AE剤(空気連行剤:Air Entraining剤)、消泡剤、遅延剤、等が挙げられる。
(混和材)
本開示のセメント組成物は、混和材を含むことができる。
混和材としては、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュなど公知の混和材を適宜用いることができる。
なかでも、本実施形態のセメント組成物は、混和材としてシリカフュームを含むことが好ましい。セメント組成物の全固形分に対し、5.0質量%~20.0質量%のシリカフュームをさらに含むことがより好ましい。
シリカフュームは、球状の微粒子を多く含み、未硬化のセメント組成物の流動性をより改良し、且つ、二酸化ケイ素を多く含むために、得られるセメント組成物硬化体の強度をより向上させることが期待できる。
本開示のセメント組成物は、シリカフュームを1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。セメント組成物におけるシリカフュームの含有量は、セメント組成物の全固形分に対し、5.0質量%~20.0質量%であることが好ましく、5.0質量%~15.0質量%であることがより好ましい。
シリカフュームは、一般に用いられるフェロシリコンや金属シリコン製造時に副成されるため、シリカフュームを用いることは、副成物の有効利用となる。
(粗骨材)
本実施形態のセメント組成物は、粗骨材をさらに含むことができる。なかでも、石灰石からなる粗骨材をさらに含むことが好ましい。
粗骨材を含むことで、本開示のセメント組成物は、より高強度の硬化体の製造に適するコンクリート組成物として用いることができる。
粗骨材としては、最大粒子径が20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましい。本開示のセメント組成物に用い得る粗骨材としては、既述のJIS A5005(2020年)コンクリート用砕石及び砕砂に適される粗骨材を制限なく挙げられるが、石灰石からなる粗骨材を用いることで、ホタテ貝殻粉砕砂の白色に近い色味と相俟って、白色であり、外観が良好なコンクリート組成物硬化体を得ることができる。従って、セメント組成物を、例えば、壁材などの内装材として直接用いる使用態様、ビルの外壁パネル等に好適に使用することができる。
(その他の成分)
本開示のセメント組成物は、目的に応じて、さらに、ポリカルボン酸系減水剤等の減水剤、遅延剤、消泡剤など、コンクリート組成物に通常用いられるその他の成分を含むことができる。
本実施形態のセメント組成物の硬化体を得る方法としては、公知のセメント組成物の硬化体、及びコンクリート組成物の硬化体の製造方法をそのまま適用することができる。
即ち、水硬性材料、細骨材、及び所望により用いられる混和材、無機顔料等を混合し、水を加えて混練し、さらに、任意成分である粗骨材を投入して混練し、コンクリート組成物を調製する。その後、得られたコンクリート組成物を型枠に投入して硬化させることにより、硬化体を製造することができる。型枠投入後の養生方法は、公知の水硬性材料硬化体に適用される養生方法を、製造する硬化体が必要とする物性に応じて、適宜、適用すればよい。
本実施形態のセメント組成物の用途には、特に限定はなく、公知のモルタル組成物、セメント組成物及びコンクリート組成物と同様の用途に、目的に応じて、処方を考慮しつつ適用することができる。本実施形態のセメント組成物は、打ち放しによる構造物の製造、プレキャストコンクリート硬化体の製造、左官用の仕上げモルタル、法面モルタル等、種々の用途に適用し得る。
本実施形態のセメント組成物の硬化体は、後述の実施例に明らかなように、材齢28日圧縮強度で30N/mm以上が達成されており、実用上問題のない圧縮強度を示す。なお、本実施形態のセメント組成物の硬化体は、細骨材としてホタテ貝殻粉砕砂を用いない一般のセメント組成物の硬化体に比較して、若干の低下が観られる場合もあるが、一般のセメント組成物の硬化体の材齢28日圧縮強度を100とした場合、80~110程度の比率の範囲となり、実用上十分な圧縮強度を示す。さらに、本実施形態のセメント組成物の硬化体は、細骨材として含まれるホタテ貝殻粉砕砂に起因して曲げ強度が良好であり、且つ、白色で外観に優れるという利点を有する。
(プレキャストコンクリート用セメント組成物)
本実施形態のセメント組成物は、プレキャストコンクリート用として好適に使用することができる。
本実施形態のセメント組成物を、プレキャストコンクリート硬化体の製造に用いる場合の好ましい態様について説明する。
本実施形態のセメント組成物をプレキャストコンクリート用として用いる場合には、水硬性材料としては、セメント、特に、早強ポルトランドセメント、ホワイトセメント、JIS規定のポルトランドセメント、及び混合セメント等が挙げられ、脱型強度向上の観点から、早強ポルトランドセメントが好ましい。
混和材としては、特に制限はなく、既述の混和材を制限なく用いることができる。なかでも、上記アスペクト比の扁平なホタテ貝殻粉砕砂の物性を補い、流動性、圧縮強度をより向上させ得るという観点から、シリカフュームを用いることが好ましい。
粗骨材としては、既述のJISの規定を満たす粗骨材を適宜用いることができる。なかでも、外観向上の観点から、石灰岩の砕石を用いることが好ましい。
プレキャストコンクリート硬化体の強度は、形状、使用目的に応じて適宜調整されるが、設計基準強度としては、18N/mm~60N/mmの範囲とすることができ、30N/mm以上であることが好適である。
上記強度を達成するためには、単位水量140kg~220kgとすることができ、180kg~200kgが好ましい。単位セメント量は、300kg~700kgとすることができ、350kg~600kgが好ましい。
セメント組成物の全骨材量に対する細骨材の含有量は、35質量%~60質量%の範囲とすることができ、40質量%~50質量%が好ましい。
水/結合材比は、硬化体の用途に応じて、質量換算で20~60とすることができ、好ましくは40~50である。
プレキャストコンクリート硬化体の脱型時に要求される強度としては、取り扱いが容易になるという観点から、12N/mm以上であればよく、より小さい製品においては、脱型強度が12N/mm未満であっても問題がない場合がある。
セメント組成物を型枠に投入した後の養生方法には、特に制限はない。一般に行われる常圧蒸気養生、自然養生等を行えばよい。
得られたプレキャストコンクリート硬化体は、白色で外観が良好であるため、そのまま用いてもよく、仕上げ処理として、美観を重視し、けずり出しして骨材を見せる方法を行ってもよく、タイル張り、石張り、金属パネル張り等の仕上げ処理を行ってもよい。
また、外観が良好であるため、打ち放しコンクリートとしてもよく、ホタテ貝殻粉砕砂が内部に細孔を有し、着色剤を吸着しやすいため、塗装仕上げを行うこともできる。
さらに、セメント組成物自体を、ホワイトセメント、無機顔料等を組み合わせたカラーコンクリート仕上げとしてもよく、ホワイトセメント、無機顔料等を組み合わせたカラーコンクリートの表面に、サンドブラスト、研ぎ出し、洗い出し等の処理を行い、骨材を露出して見せる表面加工仕上げを行うことができ、より意匠性に優れた外観とすることができる。
本実施形態のセメント組成物において、水硬性材料としてセメントを用い、細骨材としてホタテ貝殻粉砕砂(主成分:CaCO)及び石灰石砕砂(主成分:CaCO)を用い、且つ、粗骨材として石灰石砕石(主成分:CaCO)を用いることで、得られたプレキャストコンクリート硬化体は、解体後に全ての原料がセメントの原料となるため、完全リサイクルコンクリートとなるという利点をも有する。
[セメント組成物:第2実施形態]
本開示のセメント組成物は、水硬性材料と、水と、細骨材とを含むセメント組成物であって、上記細骨材は、ホタテ貝殻粉砕砂を細骨材の全質量に対し10質量%~100質量%含み、上記ホタテ貝殻粉砕砂は、ホタテ貝殻粉砕物の分級物であり、最大粒子径が75μm以上500μm未満であり、アスペクト比が1~2の範囲である。
上記サイズのホタテ貝殻粉砕砂を上記含有量で含むセメント組成物を、以下、本開示のセメント組成物の第2実施形態と称する。
第2実施形態のセメント組成物に用いられる水硬性材料、及び水は、既述の第1実施形態のセメント組成物と同様のものを用いることができる。
第2実施形態におけるホタテ貝殻粉砕砂のアスペクト比は、デジタルマイクロスコープ VHX5000(商品名:株式会社キーエンス製)を用いて測定した値である。
また、第2実施形態のホタテ貝殻粉砕砂は、第1実施形態におけるホタテ貝殻粉砕砂に比較して粒子が微細であるため、最大粒子径は、レーザ回折式粒子分布アナライザー(商品名:SALD-200、株式会社島津製作所製)により測定した値を用いている。
(細骨材)
第2実施形態のセメント組成物は、細骨材を含む。
第2実施形態のセメント組成物は、細骨材の全質量に対し10質量%~100質量%のホタテ貝殻粉砕砂を含む。即ち、細骨材は全てホタテ貝殻粉砕砂であってもよい。
細骨材として用いられる上記ホタテ貝殻粉砕砂は、既述の第1実施形態のホタテ貝殻粉砕物の分級物の残分である最大粒子径が0.5mm未満の粒子であり、アスペクト比は1~2の範囲にあり、球形又は球形に近い微細なホタテ貝殻粉砕砂であってもよい。
ホタテ貝殻粉砕砂は、例えば、ホタテ貝の貝殻を350℃~450℃、酸化雰囲気下で加熱処理し、粉砕して得た粉砕物を、さらにJIS A 5005(2020年)に規定される篩で分級し、0.5mmメッシュの篩を通過した微細なホタテ貝殻粉砕砂である。0.5mmメッシュを通過したホタテ貝殻粉砕砂は、粒子径を均一にする、アスペクト比を1~2に調整する等の目的で、さらに粉砕してもよい。
細骨材の全質量に対するホタテ貝殻粉砕砂の含有量は、10質量%~100質量%とすることができ、セメント組成物の塑性粘度、降伏値などの安定したレオロジー的性質の確保、及び、打込み時の安定した流動性がより良好になるという観点からは、40質量%~90質量%であることがより好ましい。
第2実施形態のセメント組成物に用いられるホタテ貝殻粉砕砂以外の細骨材としては、第1実施形態のセメント組成物と同様、公知の細骨材を用いることができる。公知の細骨材としては、例えば、山砂、海砂等の天然砂、鉱物を破砕して得られる砕砂、加工砂等が挙げられる。なかでも、得られるセメント組成物硬化体の強度と外観が良好であるという観点からは、石灰石砕砂、山砂、硅石砕砂、珪砂等が好ましく挙げられ、石灰石砕砂がより好ましい。
(セメント組成に含まれ得るその他の成分)
第2実施形態セメント組成物においも、水硬性材料、水及び細骨材に加えて、目的に応じてセメント組成物に通常用いられるその他の成分をさらに含むことができる。
その他の成分としては、混和材、粗骨材、無機顔料、減水剤などの化学混和剤、AE剤、消泡剤、遅延剤、等が挙げられる。
第2実施形態のセメント組成物における混和材としては、第1実施形態と同様に、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュなどが挙げられ、なかでも、シリカフュームを含むことが好ましい。
シリカフュームは、セメント組成物の全固形分に対し、5.0質量%~20.0質量%であることが好ましい。
本開示の第2実施形態のセメント組成物は、3Dプリンター吐出用として好適に用いられる。
第2実施形態のセメント組成物は、細骨材として、球状に近い形状の微細なホタテ貝殻粉砕砂の粒子を含むことから、適度な流動性を維持し、ポンプ輸送性、3Dプリンター吐出性等が良好である。
3Dプリンター吐出用途としては、流動性の観点から、水/結合材比は、30~50程度とすることができる。
上記ホタテ貝殻粉砕砂、シリカフューム等の好ましい含有量、所定の水/結合材比を満たすことで、第2実施形態のセメント組成物は、適度な粘性を有する。
第2実施形態のセメント組成物は、ホタテ貝殻粉砕砂の形状、アスペクト比、粒度特性に起因する降伏値、及び、塑性粘度の調整により、3Dプリンター吐出後の形状が維持され、そのまま自然養生により硬化させることで、3Dプリンターによる任意の形状のセメント組成物硬化体を容易に形成することができる。
第2実施形態のセメント組成物における粒度特性に起因する降伏値は、2Pa~10Pa程度であることが好ましく、塑性粘度は、3Pa・s~7Pa・s程度であることが好ましい。塑性粘度は、回転数及び測定時間の調整が可能なブルックフィールドB型粘度計を用いて測定することができる。
なお、3Dプリンター吐出後のセメント組成物は、その形状を維持したまま、常温蒸気養生などの公知の養生を行ってもよい。
本開示のセメント組成物が適用可能な3Dプリンターとしては、ガントリー式、ロボットアーム式、手動等の各装置が挙げられる。
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、以下の実施例は一態様を挙げたに過ぎず、これに限定されない。
なお、以下の実施例において、特に断らない限り室温は25℃を意味する。
〔実施例1~6、比較例1〕
(セメント(モルタル)組成物の配合)
<使用材料>
(セメント)
セメント:早強ポルトランドセメント(C)(太平洋セメント株式会社製、密度:3.14g/cm
(水)
水:上水道水(W)
(混和材)
シリカフューム(Sp):シリカフューム Grade940(商品名:エルケム・ジャパン株式会社、平均粒径0.15μm、密度2.2g/cm
(細骨材)
細骨材:石灰石砕砂(Ls)(高知県鳥形山産、粒子径5mm以下、表乾密度:2.65g/cm
細骨材:ホタテ貝殻粉砕砂(Hs)(最大粒子径:1mm、アスペクト比:5、表乾密度:2.62g/cm
(その他添加剤)
化学混和剤:ポリカルボン酸エーテル系化合物(Ad):高性能減水剤(商品名:8000s、ポゾリス社製)
下記表1に、実施例、及び、比較例のセメントの配合を示す。配合に使用した各材料は、上記符号で記載し、各材料の詳細は、上記の通りである。表1中、(C×)とは、水硬性材料に対する化学混和剤の含有比率を示す。
(セメント組成物の調整)
上記表1に記載の配合に従い、水、セメント、細骨材、混和材など全量混合した混合物に対して、ミキサー(モルタルミキサー)を用いて、全量を投入後、速度:90rpm(回転数/分)で、3分間撹拌して、セメント組成物を調製した。
(セメント組成物の評価)
1.圧縮強度
得られた各セメント組成物を、円柱供試体(直径50mm、高さ100mm)用の型枠に投入し、20℃封緘養生(7日及び28日)を行い、セメント組成物の圧縮強度測定用円柱供試体としてのセメント組成物硬化体を得た。
得られた円柱供試体に対し、JIS A 1108(2018年):コンクリートの圧縮強度方法を参照し、材齢7日及び材齢28日の圧縮強度を測定した。各実施例、比較例はそれぞれ供試体を3本作製し、平均値を圧縮強度とした。
圧縮強度は、実施例1~実施例5及び比較例1の硬化体について行った。結果を図1に示す。
図1は、実施例1~実施例5及び比較例1のセメント組成物硬化体の7日圧縮強度及び28日圧縮強度を示すグラフである。
図1のグラフより、実施例1~実施例5のセメント組成物硬化体は、いずれも28日圧縮強度が、所望の水準である30N/mmを超えており、いずれも実用上問題のない圧縮強度を示した。
細骨材としてホタテ貝殻粉砕砂を含まない比較例1の供試体に対し、ホタテ貝殻粉砕砂を50質量%含む実施例1、70質量%含む実施例3の供試体は、圧縮強度が低い傾向にあった。
混和材としてシリカフュームを5質量%含む実施例2の供試体は、ホタテ貝殻粉砕砂の含有量が同水準の実施例1の供試体よりも圧縮強度が改善された。混和材としてのシリカフュームを5質量%含む実施例4の供試体及びシリカフュームを10質量%含む実施例5の供試体は、いずれもホタテ貝殻粉砕砂の含有量が同水準の実施例3の供試体よりも圧縮強度が改善された。これらの結果より、混和材としてのシリカフュームをさらに含有することで、本開示のセメント組成物により得られるセメント組成物硬化体の圧縮強度がより良好になることがわかった。
2.曲げ破壊強度
得られた各セメント組成物を、角柱供試体(40×40×160mm)用の型枠に投入し、20℃封緘養生を行い、曲げ破壊強度用角柱供試体としてのセメント組成物硬化体を得た。
JIS R 5201(2015年):セメントの物理試験方法に準じ、角柱供試体の材齢28日の硬化体をそれぞれ3本作製し、3線式中央1点載荷法により、曲げ破壊強度を測定した。
曲げ破壊強度は、実施例1、実施例2、実施例4、実施例5及び、ホタテ貝殻粉砕砂を30質量%含有する実施例6の供試体について評価した。結果を図2に示す。
図2は、実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、実施例6及び比較例1のセメント組成物硬化体(供試体)の曲げ破壊エネルギーを示すグラフである。
曲げ破壊強度では、細骨材におけるホタテ貝殻粉砕砂の含有量が50質量%の実施例1の供試体が、ホタテ貝殻粉砕砂を含まない比較例1の供試体とほぼ同等の強度を示したが、実施例2、実施例4、実施例5、及び実施例6の供試体は、いずれも、曲げ破壊強度が比較例1の供試体よりも高い水準となった。これは、細骨材としてアスペクト比が5である扁平なホタテ貝殻粉砕砂を有効な量で含むことで、曲げ破壊強度に悪影響を及ぼさず、むしろ曲げに対する耐性が向上し、曲げ破壊強度がより向上したものと考えられる。
〔実施例7~11、比較例2〕
以下の実施例、比較例では、本開示のセメント組成物を、粗骨材を加えたコンクリート組成物として調製した。
(コンクリート組成物の配合)
<使用材料>
(セメント)
セメント:早強ポルトランドセメント(C)(太平洋セメント株式会社製、密度:3.14g/cm
(水)
水:上水道水(W)
(混和材)
シリカフューム(Sp):SF-CP(商品名:巴工業株式会社製、平均粒径0.15μm、密度2.2g/cm
(細骨材)
細骨材:石灰石砕砂(Ls)(高知県鳥形山産、粒子径:5mm以下、表乾密度:2.65g/cm
細骨材:ホタテ貝殻粉砕砂(Hs)(最大粒子径:1mm、アスペクト比:5、表乾密度:2.62g/cm
(粗骨材)
粗骨材:石灰石砕石(Lg)(高知県鳥形山産、粒子径:20mm以下、表乾密度:2.65g/cm
(その他添加剤)
化学混和剤:ポリカルボン酸エーテル系化合物(Ad):高性能減水剤(商品名:8000s、ポゾリス社製)
化学混和剤:空気連行(AE)剤(AE):天然樹脂酸塩(商品名:ヴィンソルW、山宗化学社製)
下記表2に、実施例、比較例のセメントの配合を示す。配合に使用した各材料は、上記符号で記載し、各材料の詳細は、上記の通りである。表2中、(C×)とは、水硬性材料に対する化学混和剤(Ad)又はAE剤(AE)の含有比率を示す。
(コンクリート組成物の調整)
ミキサー(パン型ミキサー)に、細骨材としての石灰石砕砂、ホタテ貝殻粉砕砂、セメント、及び所望により含有するシリカフュームの順で投入し、ドライミキシングにより30秒間撹拌して、細骨材とセメントとを混和し、分散性を高める操作を行った。
その後、ミキサー(パン型ミキサー)を用いて、上記で得たセメントを含む混合物に水を投入後、速度:90rpmで、60秒間撹拌してモルタル組成物を得た。
さらに、粗骨材のかさ容積を意識して選択した含有量で粗骨材を投入し、90秒間混練りし、コンクリート組成物を調製した。
(コンクリート組成物の評価)
1.圧縮強度
得られた各コンクリート組成物を、円柱供試体(直径100mm、高さ200mm)用の型枠に投入し、20℃封緘養生(1日及び28日)を行い、コンクリート組成物の圧縮強度測定用円柱供試体としてのコンクリート組成物硬化体を得た。各実施例、比較例はそれぞれ円柱供試体をそれぞれ3本作製し、3本の平均値を評価結果とした。
得られた円柱供試体に対し、JIS A 1108(2018年):コンクリートの圧縮強度試験方法に準じ、圧縮強度を測定する際に、荷重(kN)と変形(mm)との関係をプロットし、荷重変形曲線を得た。結果を図3に示す。
図3は、実施例7~実施例11及び比較例2のコンクリート組成物硬化体の荷重変形曲線を示すグラフである。図3の結果より、ホタテ貝殻粉砕砂を含まない比較例2の供試体に対し、実施例11の供試体は圧縮強度が向上していた。比較例7~比較例10の供試体は、圧縮強度に若干の低下が見られたが、圧縮破断時の変形がより大きく、靱性に優れていることがわかった。
上記コンクリートの圧縮試験方法に準じ、脱型強度である材齢1日圧縮強度及び材齢28日の圧縮強度を測定した。結果を図4に示す。
図4は、実施例7~実施例11及び比較例2のコンクリート組成物硬化体(円柱供試体)の材齢1日脱型強度及び材齢28日圧縮強度を示すグラフである。
図4のグラフより、実施例7~実施例11の供試体は、いずれも、1日で脱型に必要な圧縮強度である12N/mmを超えており、材齢28日圧縮強度も、所望の水準である30N/mmを超えており、いずれも実用上問題のない圧縮強度を示した。
比較例2の供試体の材齢28日圧縮強度を100とした場合の、実施例7~実施例11の供試体の圧縮強度の割合を図5に示す。図5は、比較例2のコンクリート組成物硬化体の材齢28日圧縮強度を100とした場合の、実施例7~実施例11の材齢28日圧縮強度を示すグラフである。
図5の結果より、細骨材としてホタテ貝殻粉砕砂を含む実施例7、実施例8及び実施例10の供試体の圧縮強度の割合は、比較例2の供試体の圧縮強度の約80%~90%であり、若干の圧縮強度の低下が見られた。混和材として、さらにシリカフュームを5質量%含有する実施例9の供試体は、実施例8の供試体に比較し、圧縮強度の向上が認められた。ホタテ貝殻粉砕砂を70質量%含む実施例10の水準に対し、混和材としてのシリカフュームを20質量%含む実施例11の供試体は、比較例2の供試体の圧縮強度に対し、110.88であり、ホタテ貝殻粉砕砂に加え、さらに混和材としてのシリカフュームを添加することで、圧縮強度がより向上することかわかった。
図6は、実施例7~実施例11及び比較例2のコンクリート組成物硬化体の圧縮破断時破壊エネルギーを示すグラフである。図6の結果より、細骨材としてホタテ貝殻粉砕砂を含むことで、含まないコンクリート組成物硬化体に対し、圧縮強度は若干低下する一方で、圧縮破断時破壊エネルギーは、細骨材としてホタテ貝殻粉砕砂を含むことで増大しており、破断抵抗性が向上していることがわかる。
2.外観評価
実施例7~実施例11の供試体を目して観察したところ、いずれも、白色で外観に優れるコンクリート組成物硬化体であった。
実施例及び比較例の結果より、本開示のセメント組成物は、ホタテ貝殻粉砕砂を含むことで、剛性、曲げ強度、及び外観が良好な硬化体を得ることができることが確認された。また、セメント組成物硬化体の圧縮強度も実施例用上問題のないレベルであることがわかった。

Claims (6)

  1. 水硬性材料と、水と、細骨材とを含むセメント組成物であって、
    前記細骨材は、ホタテ貝殻粉砕砂を細骨材の全質量に対し10質量%~70質量%含み、
    前記ホタテ貝殻粉砕砂は、ホタテ貝殻粉砕物の分級物であり、最大粒子径が0.5mm~4.0mmであり、アスペクト比が1~25の範囲にあるセメント組成物。
  2. セメント組成物の全固形分に対し、5.0質量%~20.0質量%のシリカフュームをさらに含む請求項1に記載のセメント組成物。
  3. 石灰石からなる粗骨材をさらに含む請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物。
  4. プレキャストコンクリート用である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  5. 水硬性材料と、水と、細骨材とを含むセメント組成物であって、
    前記細骨材は、ホタテ貝殻粉砕砂を細骨材の全質量に対し10質量%~100質量%含み、
    前記ホタテ貝殻粉砕砂は、ホタテ貝殻粉砕物の分級物であり、最大粒子径が75μm以上500μm未満であり、アスペクト比が1~2の範囲であるセメント組成物。
  6. 3Dプリンター吐出用である請求項5に記載のセメント組成物。
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