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JP7559615B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置 Download PDF

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JP7559615B2 JP2021030428A JP2021030428A JP7559615B2 JP 7559615 B2 JP7559615 B2 JP 7559615B2 JP 2021030428 A JP2021030428 A JP 2021030428A JP 2021030428 A JP2021030428 A JP 2021030428A JP 7559615 B2 JP7559615 B2 JP 7559615B2
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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の制御装置として、吸気バルブあるいは排気バルブの開閉時期を制御するものとして、特許文献1、特許文献2に記載されるように内燃機関の始動性を改善するもや、特許文献3に記載されるように内燃機関が停止する際に燃焼室での吸気量を低減するものが知られている。
特許文献1には、吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングを可変にする可変バルブタイミング機構を備え、冷間時にモータリングにおいて吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングを早めることにより、圧縮比を高め、圧縮熱による燃焼室の温度上昇を可能にすることが記載されている。
また、特許文献2では、冷間時の始動時(モータリング時)に吸気バルブの開閉タイミングを進角側に設定することが記載されている。
更に、特許文献3では、吸気バルブを超遅角に設定することで、内燃機関を停止させる際に、新気が排気系から触媒に流れ、触媒温度の低下、再始動時における燃料の増大による燃費の悪化に繋がる不都合を改善している。
特開2009-299538号公報 WO2020/022062A1号公報 WO2019/244675A1号公報
4サイクル型の内燃機関では、特許文献1及び特許文献2に記載されるように、冷間始動時において、吸気バルブの開閉時期を進角方向に変位させることで、圧縮比を高め、燃焼室の温度上昇を図ることも可能である。しかしながら、吸気バルブの開閉時期を進角側に変位させるだけでは、モータリングによってクランクシャフトの2回転のうちの1回転だけで圧縮が行われるため熱量が不足することも想像できた。
また、特許文献3に記載されるように、超遅角に設定する構成では、吸気が少なく内燃機関の始動を行えないものである。
ここで冷間始動を考えると、特許文献1~3に記載されるように吸気バルブの開閉時期を設定するだけでは、円滑な始動を行えないことが懸念される。
このような理由から、冷間始動を良好に行える内燃機関の制御装置が求められる。
本発明に係る内燃機関の制御装置の特徴構成は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する排気駆動側回転体と、
前記内燃機関の燃焼室の排気バルブを開閉するため排気カムシャフトと一体回転し、前記排気駆動側回転体の回転軸芯と同軸芯で配置された排気従動側回転体と、
前記排気駆動側回転体と前記排気従動側回転体との排気側相対回転位相を設定する排気側アクチュエータとを備えて排気側弁開閉時期制御機構が構成され、
前記排気側弁開閉時期制御機構は、前記内燃機関の所定の気筒のピストンが下死点から上死点に向かう行程の間、常に前記排気バルブを開放状態に維持するノーマル排気タイミングと、前記ピストンが前記上死点に達する以前に前記排気バルブを閉じ状態に移行するように前記ノーマル排気タイミングより進角側の制限排気タイミングとの切り換えを可能に構成され、
前記排気側アクチュエータの制御により、前記ノーマル排気タイミングと前記制限排気タイミングとの切換を行う制御部を備え
前記内燃機関の前記クランクシャフトと同期回転する吸気駆動側回転体と、
前記内燃機関の燃焼室の吸気バルブを開閉するため吸気カムシャフトと一体回転し、前記吸気駆動側回転体の回転軸芯と同軸芯で配置された吸気従動側回転体と、
前記吸気駆動側回転体と前記吸気従動側回転体との吸気側相対回転位相を設定する吸気側アクチュエータとを備えて吸気側弁開閉時期制御機構が構成され、
前記吸気側弁開閉時期制御機構は、前記内燃機関の所定の気筒が排気行程にある際に、前記ピストンが前記上死点に達する以前、あるいは、前記上死点に達すると同時に前記吸気バルブを開放するノーマル吸気タイミングと、前記ピストンが前記上死点に達した後に前記吸気バルブを開放するように前記ノーマル吸気タイミングより遅角側となる制限吸気タイミングとの切り換えを可能に構成され、
前記制御部は、前記排気側弁開閉時期制御機構を前記制限排気タイミングに設定する制御に連係して前記吸気側弁開閉時期制御機構を前記制限吸気タイミングに設定し、
前記下死点をBDCとし、前記上死点をTDCとし、前記排気バルブが開くタイミングをEVOとし、前記吸気バルブが開くタイミングをIVOとし、前記吸気バルブが閉じるタイミングをIVCとし、前記排気バルブが閉じるタイミングをEVCとし、前記BDCより以前のタイミングをBBDCとし、前記BDCより後のタイミングをABDCとした場合に、
前記制限排気タイミングにおいて、前記EVOが前記TDCより遅角側にあり、前記EVCが前記TDCより進角側にあり、
前記BDCを基準にして前記BBDCで前記EVOまでの第1角度θ1と、前記BDCを基準にして前記ABDCで前記EVCまでの第2角度θ2との関係が、θ1≧θ2であり、且つ、
前記制限吸気タイミングにおいて、前記IVOが前記TDCより遅角側にあり、前記IVCが前記TDCより進角側にあり、前記IVCが前記BDCを基準にして前記ABDCで90度より大きく、
前記BDCを基準にして前記BBDCで前記IVOまでの第3角度θ3と、前記BDCを基準にして前記ABDCで前記IVCまでの第4角度θ4との関係が、θ3≧θ4である点にある。
この特徴構成によると、制御部が排気側アクチュエータの駆動を制御することにより、排気側弁開閉時期制御機構が、排気バルブを、ノーマル排気タイミングで開閉させる状態と、このノーマル排気タイミングより進角側となる制限排気タイミングに対応したタイミングで排気バルブを開閉させる状態との切り換えが可能となる。また、ノーマル排気タイミングでは、排気行程においてピストンが上死点に達するまで排気バルブが開放状態に維持されるため、燃焼室のガスを残さず排出し、エンジンの通常の運転を可能にする。これに対し、制限排気タイミングでは、ピストンが上死点に達する以前に排気バルブが閉じ状態となるため、燃焼室のガスを圧縮し、燃焼室でのガスの温度上昇を可能にする。この制限排気タイミングでは、燃焼室のガスのエキゾースト側への排出が抑制され、クランクシャフトに作用する負荷を増大させ、内燃機関の停止を促進する。
特に、内燃機関が冷間状態で排気側弁開閉時期制御機構を制限排気タイミングに設定してモータリングを行った場合には、1サイクル中においてクランクシャフトが2回転することで燃焼室のガスを2度圧縮し、燃焼室のガスの温度上昇を効率的に行い、燃焼室の混合気の着火を容易にする。
従って、冷間始動を良好に行える内燃機関の制御装置が構成された。
また、これによると、制御部が吸気側アクチュエータの駆動を制御することで、吸気側弁開閉時期制御機構が吸気バルブを、ノーマル吸気タイミングに対応したタイミングで開閉させる状態と、このノーマル吸気タイミングより進角側となる制限吸気タイミングに対応したタイミングで開閉させる状態との切換が可能となる。また、ノーマル吸気タイミングでは、吸気行程においてピストンが上死点から下降を開始する際に吸気バルブが開放状態に維持され、インテーク側のガス(空気)を燃焼室に吸入できるため、エンジンの通常の運転を可能にする。これに対し、制限吸気タイミングでは、吸気行程の上死点にピストンがある状態で吸気バルブが閉じ状態にあり、この後に、ピストンが下降を開始した後に吸気バルブが開放する。これにより、排気側弁開閉時期制御機構を制限排気タイミングに設定する制御に連係して、吸気側弁開閉時期制御機構を制限吸気タイミングに設定することにより、排気行程においてピストンが上死点に向けて作動する際に、燃焼室にガスを完全に封入し、ガスの圧縮による温度上昇を確実に行わせることが可能となる。
また、これによると、排気側弁開閉時期制御機構でノーマル排気タイミングにおいて、例えば、EVCがTDCに一致し、EVOがBDCよりBBDC側にあるものを想定すると、排気側弁開閉時期制御機構を制限排気タイミングに設定した場合に、第1角度θ1≧第2角度θ2の関係が成立するまで相対回転位相を進角方向に変位させることになり、ピストンが排気行程においてTDC(上死点)に向けて移動する場合に、上死点TDCに達する以前に排気弁を閉じ状態に維持することが可能となる。その結果、制限排気タイミングに設定された場合には、排気行程においてピストンが上死点TDCに達する以前に排気バルブをEVCに設定して燃焼室のガスを圧縮できる。
また、これによると、吸気側弁開閉時期制御機構でノーマル吸気タイミングにおいて、例えば、IVOがTDCより進角側に位置し、IVCがBDCよりABDC側にあるものを想定すると、吸気側弁開閉時期制御機構を制限吸気タイミングに設定した場合に、IVOがABDCで吸気バルブが閉じ状態に達するまた遅角方向に変位させ、IVCがBDCを基準にしてABDCで90度より大きくなり、第3角度θ3≧第4角度θ4の関係が成立するまで相対回転位相を進角方向に変位させることになる。その結果、排気側弁開閉時期制御機構が制限排気タイミングに設定された場合には、排気行程においてピストンがTDC(上死点)を超えるまで、燃焼室にガスを封入し、燃焼室のガスをインテーク側に流れる不都合も抑制できる。
上記構成に加えた構成として、前記内燃機関の温度を計測する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサで検出される温度が設定値未満である状況で前記内燃機関を始動する場合に、前記排気側弁開閉時期制御機構を、前記制限排気タイミングに設定して前記クランクシャフトを回転させるモータリングを開始し、この後に、燃焼室に燃料を供給し、点火を行っても良い。
これによると、内燃機関の温度が設定値未満であることを温度センサで検出した場合には、排気側弁開閉時期制御機構を制限排気タイミングに設定した状態でモータリングを開始することにより、モータリングにおいて排気行程でピストンの上昇に伴い燃焼室のガスを圧縮して燃焼室の温度を上昇させ、このように温度が上昇した状態で燃料を供給し、点火することで冷間始動を可能にする。
特に、このように内燃機関を始動する場合に、吸気側弁開閉時期制御機構を制限吸気タイミングに設定することにより、燃焼室のガスがインテーク側に流れる不都合を抑制する状態で燃焼ガスを確実に圧縮して燃焼室の温度上昇を図ることも可能となる。
上記構成に加えた構成として、前記制御部は、前記内燃機関を停止する場合には、前記排気側弁開閉時期制御機構を、前記制限排気タイミングに設定した状態で燃焼室に対する燃料供給を停止しても良い。
これによると、稼動状態にある内燃機関を停止させる場合に、排気側弁開閉時期制御機構を制限排気タイミングに設定することにより、ピストンが上死点に向かう際の負荷を増大させ迅速な停止が可能となる。
特に、このように内燃機関を停止させる場合に、吸気側弁開閉時期制御機構を制限吸気タイミングに設定することにより、燃焼室のガスがインテーク側に流れる不都合を抑制し、一層迅速な停止を実現する。
エンジンの断面と制御ユニットとを示す図である。 弁開閉時期制御機構の断面図である。 図2のIII-III線断面図である。 エンジンが稼働する際の可変動弁機構のタイミングダイヤグラムである。 エンジンが稼働する際の吸気弁と排気弁とのタイミングチャートである。 冷間始動時の可変動弁機構のタイミングダイヤグラムである。 冷間始動時の吸気弁と排気弁とのタイミングチャートである。 可変動弁機構の制御形態のフローチャートである。 冷間始動制御のフローチャートである。 停止制御のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、内燃機関としてのエンジンEが、吸気バルブVaと排気バルブVbとを備え、吸気バルブVaのバルブタイミング(開閉時期)を設定する吸気側可変動弁機構VTa(吸気側弁開閉時期制御機構の一例)と、排気バルブVbのバルブタイミング(開閉時期)を設定する排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構の一例)とを備えると共に、エンジンEの始動と停止とを制御し、吸気側可変動弁機構VTaと排気側可変動弁機構VTbとを制御するエンジン制御装置40(内燃機関の制御装置の一例)を備えている。
エンジンE(内燃機関の一例)は、乗用車等の走行駆動力を得るために車両に備えられたものを示している。特に、エンジン制御装置40は、エンジンEの始動時と、停止時とにおいて、吸気バルブVaのバルブタイミングと、排気バルブVbのバルブタイミングとを制御することにより、冷間時で良好な始動を可能にし、エンジンEの良好な停止を実現する。これらの制御形態は後述する。
〔エンジン〕
図1、図2に示すように、エンジンEは、クランクシャフト1を回転自在に支持するシリンダブロック2の上部にシリンダヘッド3を連結し、シリンダブロック2に形成された複数のシリンダボアにピストン4を往復作動自在に収容し、ピストン4をコネクティングロッド5によりクランクシャフト1に連結して4サイクル型に構成されている。
シリンダヘッド3には、吸気バルブVaと排気バルブVbとが備えられ、シリンダヘッド3の上部に吸気バルブVaを制御する吸気カムシャフト7と、排気バルブVbを制御する排気カムシャフト8とが備えられている。また、クランクシャフト1の出力プーリ1Sと、吸気側可変動弁機構VTa、排気側可変動弁機構VTbの夫々の駆動プーリ21Sとに亘ってタイミングベルト6が巻回されている。
シリンダヘッド3には、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタ9と点火プラグ10とが備えられている。シリンダヘッド3には、吸気バルブVaを介して燃焼室に空気を供給するインテークマニホールド11と、燃焼室の燃焼ガスを、排気バルブVbを介して送り出すエキゾーストマニホールド12とが連結している。更に、エキゾーストマニホールド12からの排気ガスを浄化する触媒13を備えている。エンジンEは、始動時にクランクシャフト1を駆動回転するスタータモータ15を備えている。
〔可変動弁機構〕
可変動弁機構VTとしての吸気側可変動弁機構VTa(吸気側弁開閉時期制御機構)と、排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構)は、共通する構成であるため、図1~図3では、共通する構成に対して共通する符号を付し、区別が必要な部位には区別を可能にする符号を付している。
可変動弁機構VTは、駆動ケース21(吸気駆動側回転体/排気駆動側回転体の一例)と、内部ロータ22(吸気従動側回転体/排気従動側回転体の一例)とを、カムシャフト(吸気カムシャフト7あるいは排気カムシャフト8のうち対応するもの)の回転軸芯Xと同軸芯に配置し、これらの相対回転位相を、アクチュエータとしての位相制御モータM(吸気側位相制御モータMaと排気側位相制御モータMbの上位概念)の駆動力により調節する位相調節機構Gを備えている。
駆動ケース21は、外周に駆動プーリ21Sが形成されている。内部ロータ22は、駆動ケース21に内包され、連結ボルト23によりカムシャフトに連結固定されている。この構成により、内部ロータ22の外周部位に駆動ケース21が相対回転自在に支持され、内部ロータ22は、対応するカムシャフト(吸気カムシャフト7あるいは排気カムシャフト8)と一体回転する。
駆動ケース21の開口部分を覆う位置に、複数の締結ボルト25によりフロントプレート24が締結されている。これにより、位相調節機構Gと内部ロータ22との回転軸芯Xに沿う方向での変位がフロントプレート24によって規制される。
可変動弁機構VTは、図1、図3に示すように、タイミングベルト6からの駆動力により全体が駆動回転方向Sに回転する。また、位相制御モータMの駆動力が位相調節機構Gを介して内部ロータ22に伝えられることで駆動ケース21に対する内部ロータ22の相対回転位相が変位する。この変位のうち駆動回転方向Sと同方向へ向かう変位方向を進角方向Saと称し、この逆方向を遅角方向Sbと称している。
〔可変動弁機構:位相調節機構〕
位相調節機構Gは、図2、図3に示すように、内部ロータ22の内周に回転軸芯Xと同軸芯に形成したリングギヤ26と、内部ロータ22の内周側に偏心軸芯Yと同軸芯で回転自在に配置されるインナギヤ27と、インナギヤ27の内周側に配置される偏心カム体28と、フロントプレート24と、継手部Jとを備えている。偏心軸芯Yは、回転軸芯Xと平行する姿勢で形成されている。
リングギヤ26は複数の内歯部26Tを有し、インナギヤ27は複数の外歯部27Tを有している。前述したように、内部ロータ22に対し偏心軸芯Yと同軸芯でインナギヤ27を配置しているため、外歯部27Tの一部がリングギヤ26の内歯部26Tに咬合している。この位相調節機構Gは、リングギヤ26の内歯部26Tの歯数と比較して、インナギヤ27の外歯部27Tの歯数が1歯だけ少ない内接型遊星ギヤ減速機として構成されている。
継手部Jは、板材をプレス加工して成る継手部材33を有しており、この継手部材33の外周部を駆動ケース21に係合させ、この継手部材33の内周部にインナギヤ27の係合突部27Uに係合させたオルダム継手型に構成されている。これにより、継手部Jは、駆動ケース21に対してインナギヤ27が偏心する位置関係を維持しつつ、インナギヤ27と駆動ケース21とを一体的に回転させる作動を実現する。
偏心カム体28は、全体に筒状であり、内周に対し一対の係合溝28Bが回転軸芯Xと平行姿勢で形成されている。偏心カム体28は、回転軸芯Xと同軸芯で回転するようにフロントプレート24に対し第1軸受31によって支持され、この支持位置より吸気カムシャフト7の側の部位の外周に偏心カム面28Aが形成されている。
偏心カム面28Aは、回転軸芯Xに平行する姿勢の偏心軸芯Yを中心とする円形(断面形状が円形)に形成されている。この偏心カム面28Aに対して第2軸受32を介してインナギヤ27が回転自在に支持されている。また、偏心カム面28Aに形成した凹部にバネ体29を嵌め込み、このバネ体29の付勢力を、第2軸受32を介してインナギヤ27に作用させるように構成されている。このような構成から、リングギヤ26の内歯部26Tの一部にインナギヤ27の外歯部27Tの一部が咬合し、バネ体29の付勢力により咬合状態が維持される。
位相制御モータMは、エンジンEに支持され、出力軸Msに形成された係合ピン34を偏心カム体28の内周の係合溝28Bに嵌め込んでいる。詳細を図示していないが、位相制御モータMは、永久磁石を有するロータと、このロータを取り囲む位置に配置される複数の界磁コイルを有するステータと、ロータの回転が伝達される出力軸Msとを備えることで三相モータと共通する構造のブラシレス型に構成されている。
この可変動弁機構VTでは、エンジンEの稼動時には、カムシャフトと等しい速度で、出力軸Msを駆動回転方向Sに駆動回転することにより、可変動弁機構VTの相対回転位相を維持する。また、相対回転位相を進角方向Saに変位させる場合には出力軸Msの回転速度を減じ、相対回転位相を遅角方向Sbに変位させる場合には出力軸Msの回転速度を増大する制御が行われる。
つまり、エンジンEが停止する状況で説明すると位相調節機構Gは、位相制御モータMの駆動により出力軸Msの回転に伴い偏心カム体28が、回転軸芯Xを中心に回転した際には、インナギヤ27が回転軸芯Xを中心に1回転(公転)する毎に、インナギヤ27とリングギヤ26との歯数差に対応する角度だけ、インナギヤ27とリングギヤ26とを相対回転(自転)させることになり大きい減速を実現する。その結果、位相制御モータMの回転速度の制御により、インナギヤ27に対し継手部Jを介して一体回転する駆動ケース21と、リングギヤ26に連結ボルト23により連結するカムシャフトとを相対回転させ、バルブタイミングの調節を実現する。
〔バルブタイミング〕
図4~図7には、吸気側可変動弁機構VTaで制御される吸気バルブVaの吸気タイミングと、排気側可変動弁機構VTbで制御される排気バルブVbの排気タイミングとのダイヤグラム及びグラフを示している。
〔バルブタイミング:稼動時〕
図4、図5には、エンジンEが稼動する状況において吸気バルブVaがノーマル吸気タイミングに設定され、排気側可変動弁機構VTbがノーマル排気タイミングに設定された状態における開閉タイミング(開閉時期)を示している。エンジンEが稼動する状況では、吸気バルブVaがノーマル吸気タイミングに設定されることにより、の吸気開タイミングIVOは、上死点TDCより進角側(進角方向Sa)にあり、吸気閉タイミングIVCは下死点BDCより遅角側(遅角方向Sb)にある。
また、排気バルブVbがノーマル排気タイミングに設定されることにより、排気閉タイミングEVCは上死点TDCと一致し、排気開タイミングEVOは下死点BDCより進角側(進角方向Sa)にある。特に、ピストン4が下死点BDCから上死点TDCに向かう行程の間、排気バルブVbは常に開放状態に維持される。
このようなノーマル吸気タイミングにおいて、例えば、エンジンEの回転速度を上昇させる場合等には、吸気量を増大させるため吸気開タイミングIVOを進角方向Sa(図4で反時計回り)に変化させるように吸気側可変動弁機構VTaが制御される。
また、図5には、クランク角を横軸に取り、吸気バルブVaと排気バルブVbとのリフト量を縦軸に取ったグラフを示している(ノーマル吸気タイミングとノーマル排気タイミングとに対応している)。
特に、図5に示すように、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行する直前に吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOにおいて開放を開始するため、排気バルブVbと吸気バルブVaとが同時に開放するオーバラップ領域Wが作られる。
〔バルブタイミング:冷間始動時/停止時〕
これに対し、図6、図7には、エンジンEを冷間始動する際、あるいは、エンジンEを停止する際の吸気バルブVaの吸気タイミングと、排気バルブVbの排気タイミングと示している。つまり、図6、図7には、吸気側可変動弁機構VTaが制限吸気タイミングに設定され、排気側可変動弁機構VTbが、制限排気タイミングに設定された状態における開閉タイミング(開閉時期)を示している。尚、制限排気タイミングは、排気側可変動弁機構VTbのバルブタイミングを最進角に設定することで実現される。
このバルブタイミングは、制御部としての始動制御部41と停止制御部43との何れか一方が、吸気側可変動弁機構VTaと排気側可変動弁機構VTbとを制御することによって作り出される。特に、図6、図7に示すバルブタイミングを作り出せるように、ピストン4が上死点TDCに到達する以前に排気バルブVbが閉じる(排気閉タイミングEVCに移行する)ように、排気側可変動弁機構VTbが構成されている。また、ピストン4が上死点TDCに到達した後に、吸気バルブVaが開く(吸気開タイミングIVOに移行する)ように吸気側可変動弁機構VTaが制御される。
図6に示すバルブタイミングを具体的に説明すると、制限排気タイミングでは、排気開タイミングEVOが上死点TDCより進角側にある。下死点BDCを基準にしてBBDC(Before Bottom Dead Center /BDC以前のタイミング)で排気開タイミングEVOまでの角度を第1角度θ1とした場合に、下死点BDCを基準にしてABDC(After Bottom Dead Center/BDC以後のタイミング)で排気閉タイミングEVCまでの第2角度θ2との関係が、θ1≧θ2となる。
これと同様に、制限吸気タイミングでは、吸気開タイミングIVOが上死点TDCより遅角側に設定され、この吸気閉タイミングIVCが下死点BDCを基準にしてABDC(Before Bottom Dead Center )で90度より大きく設定されている。また、下死点BDCを基準にしてBBDCで吸気開タイミングIVOまでの角度を第3角度θ3とした場合に、下死点BDCを基準にしてABDC(After Bottom Dead Center)で吸気閉タイミングIVCまでの角度となる第4角度θ4との関係が、θ3≧θ4となる。
また、クランク角を横軸に取り、吸気バルブVaと排気バルブVbとのリフト量を縦軸に取ったグラフを図7に示している(吸気制限タイミングと排気制限タイミングとに対応している)。
同図に示すように、クランクシャフト1の回転に伴い、排気バルブVbが、排気開タイミングEVOで開放を開始し、排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行する。また、これに連係して排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行した後に、吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOで開放を開始し、リフト量の増大後に低減し、吸気閉タイミングIVCにおいて閉じ状態に移行する。
特に、図7に示すように、排気側を制限排気タイミングに設定し、吸気側を制限吸気タイミングに設定することにより、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行し、この移行からクランクシャフト1が設定量Tだけ回転した後に、吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOにおいて開放を開始することになる。
これにより、例えば、エンジンEの始動時にはピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室にガスを封入することが可能となり、同図に示すように、ピストン4が2回上昇する際に筒内圧P(燃焼室の圧力)を上昇させ、このようにピストン4の上昇に伴う筒内圧Pによるガスの圧縮によって燃焼室のガスの温度を上昇させ、冷間状態でも点火を容易にしてエンジンEの始動性の向上を可能にしているのである。
また、エンジンEを停止する場合には、排気側を制限排気タイミングに設定し、吸気側を制限吸気タイミングに設定した状態で、燃料カットを行うことによりエンジンEの始動時にはピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室の内部にガスを封入し、筒内圧Pの上昇に伴いクランクシャフト1に作用する負荷を増大させ、迅速なエンジン停止を行うと共に、エキゾースト側に新気を送り出す現象を抑制している。
〔制御構成〕
図1、図2に示すように、エンジンEにはクランクシャフト1を駆動回転するスタータモータ15を備え、クランクシャフト1の近傍位置には回転角の検出が可能なクランク角センサ16を備え、吸気カムシャフト7の近傍には、吸気カムシャフト7の回転角の検出が可能な吸気側カム角センサ17を備え、排気カムシャフト8の近傍には排気カムシャフト8の回転角の検出が可能な排気側カム角センサ18を備えている。
クランク角センサ16と、吸気側カム角センサ17と、排気側カム角センサ18とは、回転に伴い間歇的にパルス信号を出力するピックアップ型に構成されている。クランク角センサ16は、クランクシャフト1の回転時にクランクシャフト1の回転基準からのパルス信号をカウントすることで回転基準からの回転角を取得する。これと同様に、吸気側カム角センサ17と排気側カム角センサ18とは、吸気カムシャフト7の回転時に吸気カムシャフト7の回転基準からパルス信号をカウントすることで、エンジン制御装置40において、回転基準からの回転角を取得できるように構成されている。
このような構成から、例えば、駆動ケース21と内部ロータ22とが所定の基準位相(例えば、中間位相)にある状態でのクランク角センサ16のカウント値と、吸気側カム角センサ17、あるいは、排気側カム角センサ18のカウント値とを記憶しておくことにより、相対回転位相が、基準位相から進角側と遅角側(遅角方向Sb)との何れに変位しても2種のカウント値の比較により相対回転位相を取得できる。
図1に示すように、エンジン制御装置40は、クランク角センサ16と、吸気側カム角センサ17と、排気側カム角センサ18とからの検出信号が入力すると共に、メインスイッチ45と、温度センサ46と、アクセルペダルセンサ47とからの検出信号が入力する。また、エンジン制御装置40は、スタータモータ15と、位相制御モータMと、燃焼管理部19とに制御信号を出力する。
この制御構成においてメインスイッチ45は、車両の運転座席のパネル部分に配置され、エンジンEの人為操作による始動と、人為操作による完全停止を可能にしている。アクセルペダルセンサ47は、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を取得する。燃焼管理部19は、インジェクタ9に対して燃料を供給するポンプ類の作動を管理すると共に、点火プラグ10に電力を供給するイグニッション回路の制御により点火順序や点火タイミングを管理する。
〔制御構成:エンジン制御装置〕
エンジン制御装置40は、始動制御部41と、稼動時制御部42と、停止制御部43とを備えている。これらはソフトウエアとして構成されるものであるが、各々の一部をハードウエアで構成することも可能である。
始動制御部41は、停止状態にあるエンジンEを始動する。稼動時制御部42は、基本的にエンジンEが稼動する状況において駆動ケース21と内部ロータ22との相対回転位相を設定する。停止制御部43は、メインスイッチ45の人為的な操作に基づくエンジンEの停止を行う。尚、停止制御部43は、アイドリングストップ制御のようにアクセルペダルの踏み込みを解除した後にエンジンEを停止させる自動停止を行うものでも良い。
〔制御形態〕
エンジン制御装置40によるエンジンEの制御の概要を図8のフローチャートに示している。つまり、メインスイッチ45のON操作によって、エンジンEを始動する場合には、温度センサ46で検出されるエンジンEの温度の信号を取得し(#01ステップ)、取得した温度が設定値未満である場合には(#02ステップのYes)冷間始動制御を行い(#100ステップ)、設定値が以上である場合には(#02ステップのNo)通常始動制御(#03ステップ)を行う。
冷間始動制御(#100ステップ)はサブルーチンとしてセットされている(このサブルーチンの詳細は後述する)。また、通常始動制御(#03ステップ)では、吸気側可変動弁機構VTaによるバルブタイミングと、排気側可変動弁機構VTbによるバルブタイミングとを図4に示すように設定した状態、あるいは、図4のタイミングを基準に吸気バルブVaのタイミングを遅角側に設定した状態で、スタータモータ15を駆動によるモータリングを行い、モータリング開始後の設定タイミングでインジェクタ9で燃焼室に燃料を噴射し、点火プラグ10による点火が行われる。
尚、アイドルストップ制御の後のようにエンジンEの温度が比較的高温である場合には、通常始動制御(#03ステップ)として吸気側可変動弁機構VTaのバルブタイミングを遅角側(遅角方向Sb)に変位させる制御を行った状態で、モータリングを行い、インジェクタ9で燃焼室に燃料を噴射し、点火プラグ10による点火を行うことも可能である。
次に、エンジンEが始動した後には、稼動時制御(#04ステップ)が実行される。この稼動時制御(#04ステップ)は、アクセルペダルセンサ47の踏み込み量、クランクシャフト1の単位時間あたりの回転数等の情報に基づいて吸気側可変動弁機構VTaを制御して吸気量の制御等が行われる。この稼動時制御(#04ステップ)では、エンジンEを停止させる操作が行われない状況(#05ステップのNo)が継続する限り継続的に行われ、エンジンEを停止させる操作が行われた場合(#05ステップのYes)に停止制御(#200ステップ)を行う。
停止制御(#200ステップ)はサブルーチンとしてセットされ、このサブルーチンの詳細は後述する。更に、エンジンEを停止する操作としては、メインスイッチ45の操作を想定している。尚、エンジンEを停止させる条件として前述したアイドルストップ制御のように、アクセルペダルセンサ47によって、アクセルペダルが非操作状態に達したことが検出されたタイミングであっても良い。
〔制御形態:冷間始動制御〕
冷間始動制御(#100ステップ)は、図9に示すように排気側可変動弁機構VTbを制限排気タイミング(最進角)に設定し、吸気側可変動弁機構VTaを制限吸気タイミング(遅角側)に設定し(#101、#102ステップ)、スタータモータ15の駆動によるモータリングを行い、このモータリングの後の設定されたタイミングでインジェクタ9で燃焼室に燃料を噴射し、点火プラグ10による点火が行われる(#103、#104ステップ)。
このようにモータリングと、点火とが行われた後にクランク角センサ16の検出信号等に基づいてエンジンEの始動が確認できない場合には(#105ステップNo)、モータリングと点火とを継続し、エンジンEの始動が確認できた場合には(#105ステップYes)、このサブルーチンの制御を終了して稼動時制御(#04ステップ)にリターンする。
この冷間始動制御では、図6、図7に示すように、吸気側可変動弁機構VTaによるバルブタイミングを遅角側に設定し、排気側可変動弁機構VTbによるバルブタイミングを最進角に設定する。この設定は、始動制御部41が実行し、このようにバルブタイミングを設定する場合には、エンジン制御装置40が、クランク角センサ16と、吸気側カム角センサ17と、排気側カム角センサ18とからの信号を取得する状態で吸気側と排気側との位相制御モータMを制御する。
このように、バルブタイミングが設定された状態でクランクシャフト1が回転した場合に、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行し、設定量Tだけクランクシャフト1が回転した後に、吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOにおいて開放を開始するため、ピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室にガスを封入し、ピストン4の上昇に伴うガスの圧縮によって燃焼室のガスの温度を上昇させ、点火を容易にしてエンジンEの始動性の向上を可能にしているのである。そして、このモータリングにより、例えば、クランクシャフト1が設定回数回転したことを確認した後に稼動時制御にリターンされる。
〔制御形態:停止制御〕
停止制御(#200ステップ)では、図6、図7に示すように、排気側可変動弁機構VTbを制限排気タイミング(最進角)に設定し、吸気側可変動弁機構VTaを制限排気タイミング(遅角側)に設定し(#201、#202ステップ)、燃料カット(#203ステップ)を実行する。つまり、この(#200ステップ)では、冷間始動制御(#100ステップ)と同様にバルブタイミングが設定される。
このように、エンジンEを停止する際には、エンジン制御装置40が、クランク角センサ16と、吸気側カム角センサ17と、排気側カム角センサ18とからの信号を取得する状態で吸気側と排気側との位相制御モータMを制御して、排気側可変動弁機構VTbを制限排気タイミングに設定し、吸気側可変動弁機構VTaを制限排気タイミングに設定する。また、燃料カットの後に制御がリターンする。
このような制御を行うことにより、ピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室にガスを封入し、ピストン4の上昇時にクランクシャフト1に作用する負荷を増大させ、エンジンEの迅速な停止を実現する。また、このように制御を行うことにより、燃焼室からエキゾーストマニホールド12に新気が送り出されることがなく、触媒13の性能を低下させる不都合を防止できる。
〔実施形態の作用効果〕
従来からの排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構)は、最進角位相に設定した場合でも、排気行程においてピストン4が上死点TDCに達するまでは開放状態を維持するようにEVCの位置が決められていたため、排気行程で筒内でガスの圧縮を行えないものであった。これに対して、排気側可変動弁機構VTbを最進角位相に設定した場合にピストン4が上死点TDCに到達する以前に排気バルブVbが閉じる(排気閉タイミングEVCに移行する)ように構成することにより、ピストン4が上死点TDCに達する以前に燃焼室にガスを封入して圧縮できるようにしている。
このような構成から、エンジンEの始動時には、排気側可変動弁機構VTbを排気制限タイミングに設定することにより、1サイクルにおいて燃焼室のガスを留めた状態で2度圧縮することにより、筒内圧Pを大きく上昇させ(筒内暖機を行い)、冷間始動において確実な始動を実現している。特に、このように排気側可変動弁機構VTbを排気制限タイミングに設定する制御に連係して、吸気側可変動弁機構VTaを制限吸気タイミングに設定する制御を行うことにより、燃焼室から排出されるガスを完全に無くして、筒内暖機を一層促進してエンジンEの始動を良好に行わせる。
また、エンジンEを停止する場合には、排気側可変動弁機構VTbを排気制限タイミングに設定することにより、燃焼室の圧力の増大に伴いクランクシャフト1に作用する負荷を増大させて迅速な停止を実現し、燃焼室からエキゾーストマニホールド12に無駄にガスが流れ出る不都合を抑制して燃費を向上させる。また、エンジンEの停止時には、排気バルブVbからエキゾーストマニホールド12に送り出される新気の量を大きく低減させ、触媒13に新気が接触することに起因する触媒13の劣化を抑制し、触媒13の温度低下を抑制している。
特に、エンジンEの停止時に、排気側可変動弁機構VTbを排気制限タイミングに設定する制御に連係して、吸気側可変動弁機構VTaを制限吸気タイミングに設定する制御を行うことにより、一層迅速なエンジンEの停止と、一層良好な燃費とを実現し、触媒13に対する悪影響も解消できる。
また、吸気側可変動弁機構VTa(吸気側弁開閉時期制御機構)として油圧により相対回転位相を変化させる従来からの構成を用いることも可能であり、吸気側可変動弁機構VTaを遅角側に設定するだけで(最遅角でなくても良い)良好な冷間始動を可能にし、エンジンEの迅速な停止を可能にしている。
例えば、吸気側可変動弁機構VTaが、バルブタイミングを大きく遅角側に設定するものでは、このように大きく遅角に設定した状態で、吸気側可変動弁機構VTaが制御不能となる故障に陥った場合には、エンジンEの始動が不能になることも想定できるが、排気側可変動弁機構VTbを制限排気モードに設定するものでは、排気側可変動弁機構VTbが故障した場合でもエンジンEの始動が可能になる。
更に、排気側可変動弁機構VTbを制限排気モードに設定した場合に、燃焼室の圧力が上昇するため、燃焼室内に負圧が作用する現象を抑制し、負圧の作用によって潤滑油を無駄に吸引することがない。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)エンジンEを冷間始動する場合に、吸気側可変動弁機構VTa(吸気側弁開閉時期制御機構)の吸気開タイミングIVOを上死点TDCより遅角側に設定せずに、排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構)のタイミングだけ最進角に設定するように制御を行う。
このような制御を行った場合には、排気行程でピストン4が上昇する際に、燃焼室のガスの一部が吸気バルブVaからエキゾースト側に漏れ出るものの、燃焼室の圧力を上昇させることは可能であるため、吸気側可変動弁機構VTaの吸気開タイミングIVOを上死点TDCより遅角側に設定する場合と比較して、多少は性能が低下するもののエンジンEの冷間始動を行え、エンジンEの停止を行える。
(b)冷間始動に可能にするためには、排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構)を電動式に構成することが必要であるが、例えば、エンジンEの停止制御を想定すると、排気側可変動弁機構VTbは油圧式であっても良い。
本発明は、内燃機関の制御装置に利用することができる。
1 クランクシャフト
4 ピストン
7 吸気カムシャフト
8 排気カムシャフト
21 駆動ケース(吸気駆動側回転体/排気駆動側回転体)
22 内部ロータ(吸気従動側回転体/排気従動側回転体)
41 始動制御部(制御部)
43 停止制御部(制御部)
46 温度センサ
E エンジン(内燃機関)
Ma 吸気側位相制御モータ(吸気側アクチュエータ)
Mb 排気側位相制御モータ(排気側アクチュエータ)
Va 吸気バルブ
Vb 排気バルブ
VTa 吸気側可変動弁機構(吸気側弁開閉時期制御機構)
VTb 排気側可変動弁機構(排気側弁開閉時期制御機構)
X 回転軸芯
TDC 上死点
BDC 下死点
EVO 排気開タイミング
EVC 排気閉タイミング
IVO 吸気開タイミング
IVC 吸気閉タイミング
θ1 第1角度
θ2 第2角度
θ3 第3角度
θ4 第4角度

Claims (3)

  1. 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する排気駆動側回転体と、
    前記内燃機関の燃焼室の排気バルブを開閉するため排気カムシャフトと一体回転し、前記排気駆動側回転体の回転軸芯と同軸芯で配置された排気従動側回転体と、
    前記排気駆動側回転体と前記排気従動側回転体との排気側相対回転位相を設定する排気側アクチュエータとを備えて排気側弁開閉時期制御機構が構成され、
    前記排気側弁開閉時期制御機構は、前記内燃機関の所定の気筒のピストンが下死点から上死点に向かう行程の間、常に前記排気バルブを開放状態に維持するノーマル排気タイミングと、前記ピストンが前記上死点に達する以前に前記排気バルブを閉じ状態に移行するように前記ノーマル排気タイミングより進角側の制限排気タイミングとの切り換えを可能に構成され、
    前記排気側アクチュエータの制御により、前記ノーマル排気タイミングと前記制限排気タイミングとの切換を行う制御部を備え
    前記内燃機関の前記クランクシャフトと同期回転する吸気駆動側回転体と、
    前記内燃機関の燃焼室の吸気バルブを開閉するため吸気カムシャフトと一体回転し、前記吸気駆動側回転体の回転軸芯と同軸芯で配置された吸気従動側回転体と、
    前記吸気駆動側回転体と前記吸気従動側回転体との吸気側相対回転位相を設定する吸気側アクチュエータとを備えて吸気側弁開閉時期制御機構が構成され、
    前記吸気側弁開閉時期制御機構は、前記内燃機関の所定の気筒が排気行程にある際に、前記ピストンが前記上死点に達する以前、あるいは、前記上死点に達すると同時に前記吸気バルブを開放するノーマル吸気タイミングと、前記ピストンが前記上死点に達した後に前記吸気バルブを開放するように前記ノーマル吸気タイミングより遅角側となる制限吸気タイミングとの切り換えを可能に構成され、
    前記制御部は、前記排気側弁開閉時期制御機構を前記制限排気タイミングに設定する制御に連係して前記吸気側弁開閉時期制御機構を前記制限吸気タイミングに設定し、
    前記下死点をBDCとし、前記上死点をTDCとし、前記排気バルブが開くタイミングをEVOとし、前記吸気バルブが開くタイミングをIVOとし、前記吸気バルブが閉じるタイミングをIVCとし、前記排気バルブが閉じるタイミングをEVCとし、前記BDCより以前のタイミングをBBDCとし、前記BDCより後のタイミングをABDCとした場合に、
    前記制限排気タイミングにおいて、前記EVOが前記TDCより遅角側にあり、前記EVCが前記TDCより進角側にあり、
    前記BDCを基準にして前記BBDCで前記EVOまでの第1角度θ1と、前記BDCを基準にして前記ABDCで前記EVCまでの第2角度θ2との関係が、θ1≧θ2であり、且つ、
    前記制限吸気タイミングにおいて、前記IVOが前記TDCより遅角側にあり、前記IVCが前記TDCより進角側にあり、前記IVCが前記BDCを基準にして前記ABDCで90度より大きく、
    前記BDCを基準にして前記BBDCで前記IVOまでの第3角度θ3と、前記BDCを基準にして前記ABDCで前記IVCまでの第4角度θ4との関係が、θ3≧θ4である内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関の温度を計測する温度センサを備え、
    前記制御部は、前記温度センサで検出される温度が設定値未満である状況で前記内燃機関を始動する場合に、前記排気側弁開閉時期制御機構を、前記制限排気タイミングに設定して前記クランクシャフトを回転させるモータリングを開始し、この後に、燃焼室に燃料を供給し、点火を行う請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記制御部は、前記内燃機関を停止する場合には、前記排気側弁開閉時期制御機構を、前記制限排気タイミングに設定した状態で燃焼室に対する燃料供給を停止する請求項に記載の内燃機関の制御装置。
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