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JP7554842B2 - 喫煙用組成物シート - Google Patents

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JP7554842B2 JP2022554140A JP2022554140A JP7554842B2 JP 7554842 B2 JP7554842 B2 JP 7554842B2 JP 2022554140 A JP2022554140 A JP 2022554140A JP 2022554140 A JP2022554140 A JP 2022554140A JP 7554842 B2 JP7554842 B2 JP 7554842B2
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Description

本発明は、喫煙用組成物シートに関する。
使用者の嗜好に合致した喫煙物品を設計するためには、喫煙用組成物から成分リリースさせる際のプロファイルの制御が重要である。近年、たばこシートを加熱して生成させた成分を吸引する非燃焼型喫煙物品に関する技術が多々提案されているが(例えば特許文献1)、非燃焼型喫煙物品においては、特にそのプロファイルの制御が重要視されている。
特許第5292410号
従来の喫煙用組成物シートの通気度は、ゼロであるか非常に低い。これらの組成物シートからの成分リリースをコントロールするために、例えば当該シートを巻状にして組成物の充填量を変更する、あるいは組成物の密度を変更する等が行われてきた。ところがこれらの従来の方法では、巻形状を保持するために充填量および密度に限界値が存在し、製品設計における適用可能範囲が狭いという欠点があった。かかる事情に鑑み、本発明は、優れたプロファイルを達成できる喫煙用組成物シートを提供することを課題とする。
発明者らは、喫煙用組成物シートの通気度を特定の範囲とすることで前記課題を解決した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
(1)保湿剤と、
バインダーと、
香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方と、を含み、
通気度が0コレスタユニット超である、喫煙用組成物シート。
(2)前記通気度が、500コレスタユニット以上である、(1)に記載のシート。
(3)前記香味剤が、たばこ、香料、およびこれらの組合せからなる群より選択される、(1)または(2)に記載のシート。
(4)前記保湿剤が多価アルコールである、(1)~(3)のいずれかに記載のシート。
(5)前記バインダーが、多糖類、たんぱく質、合成ポリマー、およびこれらの組合せからなる群より選択される、(1)~(4)のいずれかに記載のシート。
(6)前記成型助剤が、植物性繊維または合成繊維の、パルプまたは不織布である、(1)~(5)のいずれかに記載のシート。
(7)圧力成形シートである、(1)~(6)のいずれかに記載のシート。
(8)物理的加工により設けられた複数の孔を有する、(1)~(6)のいずれかに記載のシート。
(9)化学的加工により設けられた複数の孔を有する、(1)~(7)のいずれかに記載のシート。
本発明によって、優れたプロファイルを達成できる喫煙用組成物シートを提供できる。
喫煙用組成物シートを用いた喫煙用セグメントの例を示す概要図 非燃焼加熱型喫煙システムの一例を示す断面模式図 非燃焼加熱型香味吸引物品の一例を示す断面模式図 喫煙試験の結果を示す図
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
1.喫煙用組成物シート
喫煙用組成物シートとは喫煙物品に用いられるシートであり、保湿剤と、バインダーと、香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方を含む。
(1)保湿剤
喫煙用組成物シートは保湿剤を含む。保湿剤とは喫煙用組成物シートに湿気を与えるための材料であるが、加熱により気化し冷却されてエアロゾルを生成するあるいは霧化によってエアロゾルを生成する材料でもある。保湿剤としては公知のものを用いることができるが、その例としてはグリセリン、またはプロピレングリコール(PG)等の多価アルコール;およびトリエチルシトレート(TEC)、またはトリアセチン等の沸点が100℃を超えるものが挙げられる。喫煙用組成物シートにおける保湿剤の量は、乾燥重量(混入している水を除いた重量、以下同様)で、好ましくは1~40重量%、より好ましくは10~20重量%である。保湿剤の量が上限値を超えると喫煙用組成物シートの製造が困難となるおそれがあり、下限値未満であると煙感量が低下するおそれがある。
(2)バインダー
バインダーは喫煙用組成物シートを構成する成分を結合するための接着剤である。本発明においては、公知のバインダーを使用できる。かかるバインダーとしては、例えば、グアーガム、またはキサンタンガム等の多糖類;CMC(カルボキシメチルセルロース)、CMC-Na(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)、またはHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)等のセルロース誘導体を挙げることができる。バインダーの含有量の上限は、喫煙用組成物シートの乾燥重量に対して、乾燥重量(混入している水を除いた重量、以下同様)で、好ましくは6重量%以下、であり、下限は好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。バインダーの量が上限値を超えるまたは下限値未満であると、前記効果が十分に奏されない可能性がある。
バインダーとしては、多糖類、たんぱく質、および合成ポリマーが挙げられる。以下に、これらの具体例を示す。本発明においては、これらのバインダーを組合せて使用することもできる。
1)多糖類
1-1)セルロース誘導体
[セルロースエーテル類]
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース
[セルロースエステル類]
有機酸エステル:酢酸セルロース、ギ酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、安息香酸セルロース、フタル酸セルロース、トシルセルロース
無機酸エステル:硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース、セルロースキサントゲン酸塩
1-2)天然由来の多糖類
[植物由来]
グアーガム、タラガム、ローストビーンガム、タマリンド種子ガム、ペクチン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、アラビノガラクタン、アマシードガム、カッシャガム、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム
[藻類由来]
カラギーナン、寒天、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、フクロノリ抽出物
[微生物由来]
キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、プルラン、アグロバクテリウムスクシノグリカン、ウェランガム、マクロホモプシスガム、ラムザンガム
[甲殻類由来]
キチン、キトサン、グルコサミン
[デンプン類]
デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、α化デンプン、デキストリン
2)たんぱく質
小麦グルテン、ライ麦グルテン
3)合成ポリマー
ポリリン酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン
(3)香味剤
香味剤とは香味を与える材料であり、好ましくは、たばこ、香料、およびこれらの組合せからなる群より選択される。たばことしては、例えば乾燥したたばこ葉を刻んだもの、または葉たばこ粉砕物等が挙げられる。葉たばこ粉砕物は、葉たばこを粉砕することにより得られる粒子である。葉たばこ粉砕物は、例えば、その粒径D90を20~1000μm、好ましくは50~500μmとすることができる。またその平均粒径D50を好ましくは20~1000μm、より好ましくは50~500μmとすることができる。粉砕は、公知の粉砕機を用いて行うことができ、乾式粉砕、湿式粉砕のいずれであってもよい。したがって、葉たばこ粉砕物は葉たばこ粒子とも称される。本発明において粒径は、レーザ回折・散乱法により求められ、具体的にはレーザ回折式粒子径分布測定装置(例えば、堀場製作所 LA-950)を用いて測定される。また、たばこの種類は限定されず、黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、および、その他のニコチアナ・タバカム系品種やニコチアナ・ルスチカ系品種等を用いることができる。喫煙用組成物シートにおけるたばこの量は、特に限定されないが、乾燥重量で、好ましくは50~95重量%、より好ましくは60~90重量%である。喫煙用組成物シートが香味剤を含む場合、喫煙用組成物シートは後述する成型助剤を含まなくてもよい。
香料とは、香りや風味を提供する物質である。香料は天然香料であってもよいし合成香料であってもよいし、また、固体であっても液体であってもよい。香料として1種類の香料を用いてもよいし複数種類の香料の混合物を用いてもよい。香料として、喫煙物品において一般に使用される任意の香料を使用することができるが、その具体例は後述する。香料は、喫煙物品が好ましい香りや風味を提供することができるような量で、喫煙物品用シートに含むことができ、例えば、その量は喫煙用組成物シート中、好ましくは1~30重量%、より好ましくは2~20重量%である。
当該香料の種類は、特に限定されず、良好な香料感の付与の観点から、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス-アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3-ブタンジオン、2-ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β-カロテン、ニンジンジュース、L-カルボン、β-カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミール油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL-シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ-デカラクトン、γ-デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4-ジメチル-1,2-シクロペンタンジオン、4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、2-エチル-3-メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ-ヘプタラクトン、γ-ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス-3-ヘキセン-1-オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4-ヒドロキシ-3-ペンテン酸ラクトン、4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β-イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L-メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル-2-ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’-メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3-メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ナツメグ油、δ-オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω-ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3-プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α-テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2-トリデカノン、クエン酸トリエチル、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)2-ブテン-4-オン、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン、4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)2-ブテン-4-オン、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ウンデカラクトン、γ-バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート、N-エチル-p-メンタン-3-カルボアミド(WS-3)、エチル-2-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート(WS-5)、糖(スクロース、フルクトース等)、ココア粉、キャロブ粉、コリアンダー粉、リコリス粉、オレンジピール粉、ローズピップ粉、カモミールフラワー(flower)粉、レモンバーベナ粉、ペパーミント粉、リーフ粉、スペアミント粉、紅茶粉、天然植物性香料(例えば、ジャスミン油、レモン油、ベチバー油、ロベージ油)、エステル類(例えば、酢酸メンチル、プロピオン酸イソアミル、等)、およびアルコール類(例えば、フェニルエチルアルコール、シス-6-ノネン-1-オール、等)、が挙げられる。これらの香料は1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
(4)成型助剤
喫煙用組成物シートは成型助剤を含む。成型助剤とは喫煙用組成物シートを成型しやすくするために添加される材料である。成型助剤としては、植物性繊維または合成繊維の、パルプまたは不織布が挙げられ、より具体的にはたばこ由来の繊維またはたばこ以外の材料に由来する繊維が挙げられる。成型助剤の添加量は、喫煙用組成物シート中、好ましくは0.5~2.0重量%である。喫煙用組成物シートは香味剤と成型助剤のいずれか一方を含んでいればよいが、成型助剤含む場合、具体的に、シートの強度担保ができる、シートの粘着性の低減ができる等の効果が奏され、また双方を含む場合は成形助剤に香料等を担持させることができるのでシートの香料等の担持力を向上できる等の効果が奏される。
(5)乳化剤
喫煙用組成物シートは乳化剤を含んでいてもよい。乳化剤は親油性である保湿剤と親水性である香味剤との親和性を高める。よって、特に親油性の保湿剤を用いる場合に乳化剤の添加は効果的である。乳化剤としては公知のものを用いることができるが、その例としては8~18のHLB値を有する乳化剤が挙げられる。乳化剤の量は、特に限定されないが喫煙用組成物シート100重量部に対して、乾燥重量で、好ましくは0.1~3重量部、より好ましくは1~2重量部である。
(6)喫煙用組成物シートの特性および形態
1)通気度
喫煙用組成物シートの通気度は0コレスタユニット超であり、好ましくは50コレスタユニット以上、100コレスタユニット以上、200コレスタユニット以上、300コレスタユニット以上、または400コレスタユニット以上であり、さらに好ましくは500コレスタユニット以上である。その上限は限定されないが、好ましくは20,000コレスタユニット以下であり、より好ましくは15,000コレスタユニット以下である。コレスタユニットとは差圧1kPa条件下、1cm当たり1分間での空気通過流量(cm)である。通気度はCerulean社製通気度計PPM1000Mを用いて測定することができる。本発明において、通気度は、以下の手順で測定されることが好ましい。1)シートを室温22℃、相対湿度60%の条件で48時間静置し状態調整する。2)次いでこのシートを40mm×240mmの大きさに切り出し、通気度測定装置(Cerulean製PPM1000M)を用いて、差圧1kPa、測定ヘッドを円形2cmとして、表面から裏面への空気通過量を測定する。3)測定環境は室温(例えば22℃)、相対湿度60%とする。
本発明では特定の通気度を有する喫煙用組成物シートを用いるので初期のプロファイルを達成できる。具体的に、従来のシートよりも初期パフにおいて高いデリバリーを達成でき、パフ後半においては従来シートと同様にデリバリー量が低下しにくいというプロファイルを達成できる。この理由は限定されないが、シートの通気度が高いのでシートからの保湿剤のリリース効率が高まることで、保湿剤から形成されるエアロゾル量が増大するためであると推察される。
2)厚さ
喫煙用組成物シートの厚さは限定されないが、一態様において好ましくは20~2000μm、より好ましくは100~1500μm、さらに好ましくは100~1000μmである。
3)密度
喫煙用組成物シートは、好ましくは0.5~2.0g/cmの密度を有し、より好ましくは0.5~1.0g/cmの密度を有する。後述するとおり、喫煙用組成物シートは物理的または化学的に設けられた孔を有することが好ましいが、ここでの密度とは孔部を除く部分の密度ではなく、孔も含めたシート全体の密度である。また、喫煙用組成物シートが、1.0g/cm以下の密度を有すると、吸引初期においてより十分な香味成分のデリバリーを達成できる。
4)孔
前述のとおり喫煙用組成物シートは、加工によって設けられた孔を有することが好ましい。孔は、物理的加工または化学的加工によって設けることができる。前者としては、レーザ加工、ニードル等を用いた切削加工、局所的に放電させる電気開孔等を挙げることができる。また後者としては、エッチングを挙げることができる。孔の形状は限定されず、円、楕円、多角形等であってよく、また孔は貫通孔であること好ましい。孔の大きさ、数、配置は、所望の通気度を達成できるように適宜調製される。一態様において孔の大きさは、その外接円の直径が0.1~0.8mmである。また、一態様において孔の配置は、シート上に格子状に配置され、その隣接する孔同士の最短距離は0.2~0.8mm程度である。
(7)喫煙用セグメント
喫煙用組成物シートから、喫煙物品に用いる喫煙用セグメントを製造できる。喫煙用セグメントは、一態様において筒状のラッパーを備え、当該ラッパー内に渦巻き状に充填された喫煙用組成物シートを備える(図1(A)参照)。図中、20Aは喫煙用セグメント、1は喫煙用組成物シート、22はラッパーであり、通常は紙である。当該セグメントは好ましくはロッド状であり、その長さは15~80mm、直径は5~10mm程度とすることができる。さらに図1(A)に記載の喫煙用セグメント20Aを切断して、アスペクト比(長さ/直径)が0.5~1.2程度とすることもできる(図1(B)参照)。
喫煙用セグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内に折畳んで充填された喫煙用組成物シート1を備える。折り畳みによって生じた稜線はセグメントの長手方向に略平行である(図1(C)参照)。当該喫煙用セグメント20Aは好ましくはロッド状であり、その長さは15~80mm、直径は5~10mm程度とすることができる。この態様においては、喫煙用組成物シート1に予めプリーツ加工またはクリンプ加工等の表面しわ加工が施されていることが好ましい。
喫煙用セグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内に充填された喫煙用組成物シートの裁断片1cを備える(図1(D)参照)。当該喫煙用セグメント20Aは好ましくはロッド状であり、その長さは15~80mm、直径は5~10mm程度とすることができる。裁断片のサイズは限定されないが、例えば最長辺の長さを2~20mm程度、幅を0.5~1.5mm程度とすることができる。
喫煙用セグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内に充填されたストランドタイプ刻を備える(図1(E)参照)。ストランドタイプ刻は、その長手方向がラッパー22の長手方向と略平行となるように充填される。ストランドタイプ刻の幅は0.5~1.5mm程度とすることができる。
喫煙用セグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内にランダムに充填された、たばこ刻充填物を備える。たばこ刻は裁刻物でありストランドタイプ刻とは異なる。
2.製造方法
喫煙用組成物シートは任意の方法で製造されうるが、好ましくは以下の工程を備える方法で製造される。
少なくとも、保湿剤と、バインダーと、香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方と、媒体を混練して混合物を調製する工程1。
前記混合物を圧展またはダイから押出してウェットシートを調製する工程2。
前記ウェットシートを乾燥する工程3。
このように圧力をかけて成形されたシートを「圧力成形シート」といい、後述するとおり「圧力成形シート」は「ラミネートシート」と「押出シート」を含む。ラミネートシートとは、混合物を1回以上ローラで目標厚さまで圧展した後に、目標水分量まで乾燥して得たシートである。押出シートとは、混合物をTダイ等から目標厚さで押出した後に、目標水分量まで乾燥して得たシートである。圧力成形シートにおいて圧展と押出は組み合わせてもよい。例えば、混合物を押出した後にさらに圧展してシートとしてもよい。
(1)工程1
本工程は、少なくとも、保湿剤と、バインダーと、香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方と、媒体とを混練する。必要に応じて、乳化剤を添加することもできる。各成分の配合量は、前述の量を達成できるように調整される。媒体は、好ましくは例えば水や、エタノール等の沸点が100℃未満である水溶性有機溶媒を主成分とし、より好ましくは水またはエタノールである。
本工程は、各成分を混練することで実施できるが、好ましくは、1)原料(例えば、単葉)の粉砕、2)湿粉の調製、3)混練を経て実施される。
1)粉砕
原料を粗砕し、次いで粉砕機(例えばホソカワミクロン製、ACM-5)を用いて、微粉砕を行うことが好ましい。微粉砕後の粒径D90は好ましくは20~1000μmである。粒径は、マスターサイザー(malvern社製)等のレーザ回折型粒度計を用いて測定される。
2)湿粉の調製
バインダーと、香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方と、必要に応じて脂質等の添加剤を加えて混合する。この混合はドライブレンドであることが好ましいので、混合機としてミキサーを用いることが好ましい。香味剤として粉砕されたたばこ原料(例えば、葉たばこ粒子)を用いることが好ましい。次いで、ドライブレンド物に、水等の媒体および保湿剤を添加し、ミキサーで混合し、湿粉(湿潤状態の粉)を調製する。当該湿粉中の媒体の量は、20~80重量%、好ましくは20~40重量%とすることができるが、工程2によって適宜調製される。例えば、工程2で圧展を行う場合、前記媒体の量は20~50重量%とすることができ、押出しを行う場合は、20~80重量%とすることができる。湿粉の固形分濃度は50~90重量%であることが好ましい。
3)混練
前記湿粉を、ニーダー(例えば、ダルトン社製DG-1)を用いて混練する。混練は、全体に媒体がいきわたるまで実施することが好ましい、例えば、目視にて混合物の色が均一になるまで混練りすることが好ましい。
(2)工程2
本工程では、前記混合物(湿粉)を圧展またはダイから押出してウェットシートを調製する。例えば、混合物を、2枚の基材フィルムに挟み込みながら、カレンダー装置(例えば、由利ロール機械社製)を用いて、所定の厚さ(100μm超)になるまで1対のローラ間に通し、圧展して2枚の基材フィルム間にウェットシートが存在するラミネートを得ることができる。基材フィルムとしてはフッ素系ポリマーフィルム等の非粘着性フィルムが好ましい。ローラによる圧展は複数回実施することができる。また、前記混合物(湿粉)を所定のギャップを設けたダイ(好ましくはTダイ)から押出して、基材上にウェットシート形成することもできる。基材としては、ガラス板、金属板、プラスチック板などの公知のものを使用できる。押出しには公知の押出機を使用できる。
(3)工程3
本工程ではウェットシートを乾燥する。例えば、ラミネートにおいては以下の手順で本工程を実施できる。1)一方の基材フィルムを剥離する。2)当該ラミネートを、通風乾燥機を用いて乾燥する。乾燥温度は室温でもよいが、好ましくは50~100℃であり、乾燥時間は1~2分とすることができる。3)次いで、残りの基材フィルムを剥離し、さらに前記条件で乾燥して喫煙用組成物シートを得る。このように乾燥を行うことで、喫煙用組成物シートが他の基材に接着することを回避できる。このようにして得た喫煙用組成物シートを「ラミネートシート」ともいう。ラミネートシートは表面が滑らかであり、他の部材と接触した場合に刻こぼれの発生を抑制できるので好ましい。また、本方法は300μm以下のシートの製造に適している。
また、押出成形の場合は、基材上のウェットシートを、風乾または加熱して乾燥する。乾燥条件は前述のとおりである。このようにして得た喫煙用組成物シートを「押出シート」ともいう。押出シートは表面が滑らかであり、他の部材と接触した場合に刻こぼれの発生を抑制できるので好ましい。本方法は200μm以上のシートの製造に適している。
この他、喫煙用組成物シートは、抄造法、キャスト法、不織布コート法等によっても製造できる。抄造法は、保湿剤と、バインダーと、香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方と、水とを含む混合物を抄紙し、乾燥してシートを製造する方法である。ただし、混合物は繊維状物質を含む必要があるので、香味剤であるたばこ原料は繊維化されたたばこ原料であるか、成型助剤としてパルプを含む。たばこ原料が繊維化される前に抽出された水抽出物は、後で濃縮し、抄紙したシートにかけ戻すことができる。この方法によって製造されたシートを抄造シートという。
キャスト法は、保湿剤と、バインダーと、香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方を含む混合物を、基材の上に展開(キャストして)、乾燥してシートを製造する方法である。混合物は、香味剤として粉砕されたたばこ原料を含むことが好ましく、必要に応じて成型助剤、および水等の媒体を含んでいてもよい。この方法によって製造されたシートをキャストシートという。
不織布コート法は、不織布に、保湿剤と、バインダーと、香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方を含む混合物を塗布してシートを製造する方法である。この方法によって製造されたシートを不織布シートという。
3.喫煙物品
喫煙物品としては、ユーザが吸引により香味を味わう香味吸引物品や、ユーザが鼻腔や口腔に直接製品を含んで香味を味わう無煙たばこ(無煙喫煙物品)が挙げられる。香味吸引物品は、従来のシガレットを代表とする燃焼型喫煙物品と非燃焼型喫煙物品とに大別できる。本発明の喫煙用組成物シートは、香味吸引物品に好適である。
燃焼型香味吸引物品としては、例えば、シガレット、パイプ、キセル、葉巻、またはシガリロなどが挙げられる。
非燃焼加熱型香味吸引物品は、当該物品と別体型の加熱装置により加熱されてもよいし、当該物品と一体型の加熱装置により加熱されてもよい。前者の香味吸引物品(別体型)において、非燃焼加熱型香味吸引物品と加熱装置とをまとめて、「非燃焼加熱型喫煙システム」とも称する。以下に非燃焼加熱型喫煙システムの一例を、図2および図3を参照して説明する。
図2は、非燃焼加熱型喫煙システムの一例を示す断面模式図であり、非燃焼加熱型香味吸引物品20の喫煙用セグメント20A内に、ヒータ12を挿入する前の状態を示す。使用時には、喫煙用セグメント20A内に、ヒータ12が挿入される。図3は、非燃焼加熱型香味吸引物品20の断面図である。
図2に示すとおり、非燃焼加熱型喫煙システムは、非燃焼加熱型香味吸引物品20と、喫煙用セグメント20Aを内側から加熱する加熱装置10とを備える。ただし非燃焼加熱型喫煙システムは、図2の構成に限定されない。
図2に示される加熱装置10は、ボディ11と、ヒータ12とを備える。図示していないが、ボディ11は電池ユニットと制御ユニットを備えていてもよい。ヒータ12は電気抵抗によるヒータであることができ、喫煙用セグメント20A内に挿入されて、喫煙用セグメント20Aを加熱する。
本発明の喫煙用組成物シートは、図2に示すように喫煙用セグメント20Aが内側から加熱される場合に高い効果を奏する。このような加熱方式では、喫煙用組成物シートとヒータが直接接触するので、シートからの保湿剤のリリース効率がより高まり、優れたプロファイルを得ることができるしかしながら、非燃焼加熱型香味吸引物品20の態様はこれに限定されず、別態様において喫煙用セグメント20Aは外側から加熱される。
加熱装置10による加熱温度は特に限定されないが、400℃以下であることが好ましく、50~400℃であることがより好ましく、150~350℃であることがさらに好ましい。加熱温度とは加熱装置10のヒータ12の温度を指す。
図3に示すとおり、非燃焼加熱型香味吸引物品20(以下、単に「香味吸引物品20」と称する)は、円柱形状を有する。香味吸引物品20の円周の長さは、16mm~27mmであることが好ましく、20mm~26mmであることがより好ましく、21mm~25mmであることがさらに好ましい。香味吸引物品20の全長(水平方向の長さ)は特に限定されないが、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。
香味吸引物品20は、喫煙用セグメント20Aと、吸口を構成するフィルター部20Cと、これらを連結する連結部20Bとから構成される。
喫煙用セグメント20Aは、円柱状であり、その全長(軸方向の長さ)は、例えば、5~100mmであることが好ましく、10~50mmであることがより好ましく、10~25mmであることがさらに好ましい。喫煙用セグメント20Aの断面の形状は特に限定されないが、例えば円形、楕円形、多角形等とすることができる。
喫煙用セグメント20Aは、喫煙用組成物シートまたはこれに由来する材料21と、その周囲に巻かれたラッパー22とを有する。また、ラッパー22は、本発明の喫煙用組成物シート1であってもよい。
フィルター部20Cは、円柱形をなしている。フィルター部20Cは、酢酸セルロースアセテート繊維が充填されて構成されたロッド状の第1セグメント25と、同じく酢酸セルロースアセテート繊維が充填されて構成されたロッド状の第2セグメント26とを有する。第1セグメント25は、喫煙用セグメント20A側に位置している。第1セグメント25は、中空部を有していてもよい。第2セグメント26は、吸口側に位置している。第2セグメント26は、中実である。第1セグメント25は、第1充填層(酢酸セルロースアセテート繊維)25aと、第1充填層25aの周囲に巻かれたインナープラグラッパー25bとにより構成される。第2セグメント26は、第2充填層(酢酸セルロースアセテート繊維)26aと、第2充填層26aの周囲に巻かれたインナープラグラッパー26bとにより構成される。第1セグメント25および第2セグメント26は、アウタープラグラッパー27によって連結されている。アウタープラグラッパー27は、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤等によって第1セグメント25および第2セグメント26に接着されている。
フィルター部20Cの長さを例えば10~30mm、連結部20Bの長さを例えば10~30mm、第1セグメント25の長さを例えば5~15mm、第2セグメント26の長さを例えば5~15mmとすることができる。これら個々のセグメントの長さは、一例であり、製造適性、要求品質、喫煙用セグメント20Aの長さ等に応じて、適宜変更できる。
例えば、第1セグメント25(センターホールセグメント)は、1つまたは複数の中空部を有する第1充填層25aと、第1充填層25aを覆うインナープラグラッパー25bとで構成される。第1セグメント25は、第2セグメント26の強度を高める機能を有する。第1セグメント25の第1充填層25aは、例えば酢酸セルロース繊維が高密度で充填されている。この酢酸セルロース繊維には、トリアセチンを含む可塑剤が酢酸セルロースの質量に対して、例えば6~20質量%添加されて硬化されている。第1セグメント25の中空部は、例えば内径φ1.0~φ5.0mmである。
第1セグメント25の第1充填層25aは、例えば、比較的に高い繊維充填密度で構成されてもよく、あるいは後述する第2セグメント26の第2充填層26aの繊維充填密度と同等であってもよい。このため、吸引時には、空気やエアロゾルが中空部のみを流れることになり、第1充填層25aには空気やエアロゾルがほとんど流れない。例えば、第2セグメント26において、エアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたい場合には、例えば第2セグメント26の長さを短くして、その分だけ第1セグメント25を長くすることもできる。
短縮した第2セグメント26を第1セグメント25で置き換えることは、エアロゾル成分のデリバリー量を増大させるために有効である。第1セグメント25の第1充填層25aが繊維充填層であることから、使用時の外側からの触り心地は、使用者に違和感を生じさせることがない。
第2セグメント26は、第2充填層26aと、第2充填層26aを覆うインナープラグラッパー26bとで構成される。第2セグメント26(フィルターセグメント)は、酢酸セルロース繊維が一般的な密度で充填されており、一般的なエアロゾル成分の濾過性能を有する。
第1セグメント25と第2セグメント26との間で、喫煙用セグメント20Aから放出されるエアロゾル(主流煙)をろ過するろ過性能を異ならせてもよい。第1セグメント25および第2セグメント26の少なくとも一方に、香料を含ませてもよい。フィルター部20Cの構造は任意であり、上記のような複数のセグメントを有する構造であってもよいし、単一のセグメントによって構成されていてもよい。またフィルター部20Cは、1つのセグメントで構成されてもよい。この場合、フィルター部20Cは、第1セグメントまたは第2セグメントのいずれで構成されていてもよい。
連結部20Bは、円筒形をなしている。連結部20Bは、例えば厚紙等によって円筒形に形成された紙管23を有する。連結部20Bには、エアロゾルを冷却するための冷却部材が充填されていてもよい。冷却部材としては、ポリ乳酸等のポリマーのシートが挙げられ、当該シートを折り畳んで充填することができる。さらに、喫煙用セグメント20Aと連結部20Bの間には、喫煙用セグメント20Aの位置が変動することを抑制する支持部が設けられていてもよい。支持部は、第1セグメント25のようなセンタホールフィルター等の公知の材料で構成できる。
ラッパー28は、喫煙用セグメント20A、連結部20B、およびフィルター部20Cの外側に円筒形に巻かれて、これらを一体的に連結している。ラッパー28の一方の面(内面)には、通気孔部24の付近を除く全面または略全面に酢酸ビニルエマルジョン系接着剤が塗布されている。複数の通気孔部24は、ラッパー28によって、喫煙用セグメント20A、連結部20B、およびフィルター部20Cが一体にされた後に、外側からレーザ加工を施して形成される。
通気孔部24は、連結部20Bを厚み方向に貫通するように2以上の貫通孔を有する。2以上の貫通孔は、香味吸引物品20の中心軸の延長線上から見て、放射状に配置するように形成される。本実施形態では、通気孔部24は、連結部20Bに設けられているが、フィルター部20Cに設けられていてもよい。また、本実施形態では、通気孔部24の2以上の貫通孔は、1つの円環上に一定間隔を空けて1列に並んで設けられるが、2つの円環上に一定の間隔を空けて2列に並んで設けられていてもよいし、1列または2列の通気孔部24が不連続または不規則に並んで設けられていてもよい。ユーザが吸口を咥えて吸引する際に、通気孔部24を介して主流煙中に外気が取り込まれる。ただし、通気孔部24は設けられていなくてもよい。
[実施例1]
たばこ葉を、粉砕機(ホソカワミクロン製ACM-5)を用いてD90が70μmとなるように粉砕して葉たばこ粒子を得た。D90はマスターサイザー(malvern社製)にて測定した。葉たばこ粒子とバインダーとしてカルボキシメチルセルロース(日本製紙株式会社製、商品名サンローズ F30MC)とをミキサーを用いてドライブレンドした。次いで、当該ドライブレンド物に、保湿剤としてグリセリンと、媒体として水を添加し、ミキサーで混合して湿粉を調製した。各成分の配合は表1に示すとおりである。
混練機(ダルトン社製、DG-1)を用いて、室温にて湿粉を6回混練して混合物を得た。ダイとしてTダイを用い、スクリュー回転数は38.5rpmとした。
湿粉を2枚のテフロン(登録商標)フィルム(日東電工株式会社製NITOFLON(R)No.900UL)に挟み、カレンダー装置(由利ロール機械社製)を用いて、所定の厚さ(100μm超)になるまで4段階で圧延して、フィルム/ウェットシート/フィルムの層構造を有する厚さ105μmのラミネートを調製した。1~4段目のロールギャップは、それぞれ650μm、330μm、180μm、5μmとした。4段目のロールギャップは最終的に得られたシートの厚さよりも薄いが、これはローラ間の圧力から解放されたシートが最終厚さ付近まで膨張したためである。
ラミネートから1枚のテフロン(登録商標)フィルムを剥離し、通風乾燥機を用いて80℃で1~2分乾燥した。次いで、もう1枚のフィルムを剥離し、同条件でウェットシートを乾燥し、本発明の喫煙用組成物シートを製造した。
このようにして得た喫煙用組成物シートを、室温22℃、相対湿度60%の条件で48時間静置した。次いで当該シートに、レーザ加工装置(TROTEC社製)を用いて開孔寸法0.2mm×0.2mmの開孔部を複数設けた。開孔間隔は0.4mmの等間隔とした。詳細な条件を表2に示す。このようにして得た加工済み喫煙用組成物シートについて、後述する方法によって、通気度およびリリースプロファイルを評価した。結果を表2と図4に示す。図4の縦軸は、香味喫煙物品1本あたりのニコチン量で規格化したニコチン量を示す。すなわち、1パフで検出されたニコチン量をx(g)、一本当たりのニコチン量(1~14パフ合計でのニコチン量)をy(g)としたとき、縦軸にはx/yの値がプロットしてある。
<通気度>
開孔後のシートを室温22℃、相対湿度60%の条件で48時間静置した。ついでこのシートを40mm×240mmの大きさに切り出し、通気度測定装置(Cerulean製PPM1000M)を用いて、測定条件は差圧1kPa、測定ヘッドを円形2cmとして測定した。測定環境は室温22℃、相対湿度60%とした。また、通気度は差圧1kPa条件下、1cm当たり1分間での空気通過流量(cm)として算出した。
<成分リリースプロファイル>
1)開孔後のシートを室温22℃、相対湿度60%の条件で48時間静置した。
2)厚み、坪量を測定し、シート密度を算出した。
3)シートを55mm×0.8mmの大きさに裁断した。
4)φ7.1の鞘紙に所定の体積充填率になるよう裁断後シートを充填し、12mm長に切断した。
5)12mm長の喫煙用セグメント(たばこセグメント)、フィルター、紙管を接続し、喫煙試験用巻(香味吸引物品)を製造した。
6)図2に示す非燃焼内部加熱型喫煙システムを準備した。次いで吸口端にケンブリッジフィルターを接続した。各例で調製したシートを裁断して刻を調製した。当該刻を長さ12mm、直径7mmのラッパー22内に70体積%で充填し、喫煙用セグメント20Aを調製した。当該システムを喫煙機による喫煙試験に供した。具体的には、自動喫煙器(Borgwaldt KC Inc.製R-26)を用いて、サンプルを吸煙容量27.5ml/秒、吸煙時間2秒/パフ、吸煙頻度2パフ/分、14パフの条件で自動喫煙し、1パフごとのたばこ煙中粒状物質をケンブリッジフィルター(Borgwaldt KC Inc.製、CM-133)で捕集した。喫煙試験後のケンブリッジフィルターを、メタノール(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)10mL中で振盪して分析試料を得た。得られた分析試料1μLをマイクロシリンジに採取し、ガスクロマトグラフ質量分析(Agilent製GC-MSD、GC:7890A、MS:5975C)にて分析した。
[実施例2~4、比較例1]
レーザ加工条件を変更して表2に示すとおりの通気度を有するシートを調製した。各シートを用い、かつ充填率を変更した以外は、実施例1と同じ方法で喫煙試験用巻を調製して評価した。結果を図4に示す。
図に示すとおり、本発明の喫煙用組成物シートを用いた喫煙物品は、初期パフのデリバリーが高く、後半においても従来のシートと同等のデリバリーを確保できるという、優れたプロファイルを達成できる。
1 喫煙用組成物シート
1c 喫煙用組成物シートの裁断片

10 加熱装置
11 ボディ
12 ヒータ

20 非燃焼加熱型香味吸引物品
20A 喫煙用セグメント
20B 連結部
20C フィルター部

21 喫煙用組成物シートまたはこれに由来する材料
22 ラッパー
23 紙管
24 通気孔部
25 第1セグメント
25a 第1充填層
25b インナープラグラッパー
26 第2セグメント
26a 第2充填層
26b インナープラグラッパー
27 アウタープラグラッパー
28 ラッパー

Claims (8)

  1. 保湿剤と、
    バインダーと、
    香味剤または成型助剤のいずれか一方または双方と、を含み、
    加工によって設けられた孔を有し、
    通気度が500コレスタユニット以上である、喫煙用組成物シート。
  2. 前記香味剤が、たばこ、香料、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載のシート。
  3. 前記保湿剤が多価アルコールである、請求項1または2に記載のシート。
  4. 前記バインダーが、多糖類、たんぱく質、合成ポリマー、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1~のいずれかに記載のシート。
  5. 前記成型助剤が、植物性繊維または合成繊維の、パルプまたは不織布である、請求項1~のいずれかに記載のシート。
  6. 圧力成形シートである、請求項1~のいずれかに記載のシート。
  7. 物理的加工により設けられた複数の孔を有する、請求項1~のいずれかに記載のシート。
  8. 化学的加工により設けられた複数の孔を有する、請求項1~のいずれかに記載のシート。
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