<第1の実施形態>
図1に、本発明の通信制御システム1の概略図を示す。通信制御システム1は、制御装置2及び複数のインターフェース基板(図中では、I/F基板)3-1~3-nを含む。なお、本開示において、インターフェース基板3-1~3-nを種々の名称及び符号で表現するが、各種インターフェース基板を総称して又はいずれか1つを代表してインターフェース基板3ということもある。インターフェース基板3は、制御装置2に対して、例えばデイジーチェーン接続により、配線L上に直列に有線接続される。制御装置2とインターフェース基板3との間では、例えば、RS485規格に従って半二重通信が行われる。インターフェース基板3-1~3-nは、この順で制御装置2側から配列される。本開示において、制御装置2の側を上流側といい、インターフェース基板3-nの側の下流側という。各インターフェース基板3には、制御装置2の制御対象である負荷4が接続される。負荷4は、照明器具、表示装置、アクチュエータ、スイッチなど種々の機器であり得る。
図2に、本実施形態による通信制御システム1のブロック図を示す。図2においては、インターフェース基板3-1~3-nのうち、任意の位置のインターフェース基板3であるリピータ基板3R及びマルチドロップ基板3Mを示す。詳細を後述するように、リピータ基板とは、デイジーチェーン接続状態(リピータ設定)にあるインターフェース基板3のことであり、マルチドロップ基板とは、デイジーチェーン接続をバイパスする接続状態(マルチドロップ設定)のインターフェース基板3のことである。図2は1つのリピータ基板3R及び1つのマルチドロップ基板3Mの詳細を示すが、他のリピータ基板3R及び他のマルチドロップ基板3Mもそれぞれ同様の構成を有する。また、本実施形態では、インターフェース基板3は、接続設定の変更により、マルチドロップ基板3Mにもリピータ基板3Rにも構成され得る接続可変のインターフェース基板である。言い換えると、リピータ基板3R及びマルチドロップ基板3Mの構成部材は同じである。したがって、双方に共通する構成については、重複する説明を省略する。
本実施形態の通信制御システム1における各種設定処理(アドレス設定処理又は制御データ設定処理)の概略として、まず、全インターフェース基板3の接続設定がリピータ設定とされる(すなわち、リピータ基板3Rはリピータ設定に維持され、マルチドロップ基板3Mはリピータ設定に切り換えられる)。そして、上流側のインターフェース基板3から順次1対1の態様で設定動作が行われる。ここで、インターフェース基板3では、設定動作(アドレス設定動作又は制御データ設定動作)が完了すると、その接続設定が当初の接続設定となる(すなわち、リピータ基板3Rはリピータ設定に維持され、マルチドロップ基板3Mはリピータ設定からマルチドロップ設定に戻される)。
各インターフェース基板3は、制御装置2側(上流側)の配線Luと接続終端側(下流側)の配線Ldの間に接続され、ハードウェア回路として、CPU30、ドライバ31及び32(RS485ドライバ)、リレー33及び34、終端抵抗35並びにメモリ36を含む。ドライバ31は配線LuとCPU30の間に接続され、ドライバ32はリレー33とCPU30の間に接続される。リレー33及び34は、CPU30によって双方ON又は双方OFFに制御される。リレー33は、OFF状態では配線Luと配線Ldとを接続し、ON状態では配線Luと配線Ldとを切り離すように構成される。すなわち、マルチドロップ基板3Mに示すマルチドロップ設定では、リレー33はOFF状態に固定され、配線Lu及び配線Ldは相互に短絡されるとともにドライバ31に接続され、ドライバ32から切り離される。一方、リピータ基板3Rに示すリピータ設定では、リレー33はON状態に固定され、配線Luと配線Ldとはドライバ31、CPU30及びドライバ32を介して接続される。リレー34は、OFF状態では配線Luを終端抵抗35から切り離し、ON状態では配線Luを終端抵抗35に接続する。メモリ36は、RAM及びROMを含み、CPU30の動作に関するデータ及びプログラムを記憶する。CPU30は、負荷4への出力配線Lo(例えば、PWM配線)及び負荷4からの入力配線Li(例えば、検出信号配線)に接続される。
マルチドロップ基板3M(マルチドロップ設定)では、上述のように、リレー33及び34は、OFF状態に構成される。これにより、配線Luからの下り信号は、ドライバ31を介してCPU30に入力されるとともにリレー33を介して配線Ldに出力される。CPU30は、下り信号を取り込んで適宜の処理を実行する。また、配線Ldからの上り信号はリレー33を介して配線Luに出力される。また、CPU30は、内部で生成した上り信号をドライバ31を介して配線Luに出力し得る。なお、下り信号及び上り信号について、マルチドロップ基板3Mでは遅延は発生しない。
リピータ基板3R(リピータ設定)では、上述のように、リレー33及び34は、ON状態に構成される。これにより、配線Luからの下り信号は、ドライバ31を介してCPU30に入力され、CPU30において処理され、ドライバ32及びリレー33を介して配線Ldに出力される。また、配線Ldからの上り信号は、リレー33及びドライバ32を介してCPU30に入力され、CPU30において処理され、ドライバ31を介して配線Luに出力される。なお、下り信号及び上り信号について、リピータ基板3Rでは、CPU30での処理に起因する遅延が発生し得る。
CPU30は、例えばマイクロコンピュータなどのプロセッサであり、接続制御部301、アドレス設定部302(設定部)、制御データ設定部303(設定部)、応答処理部304、中継処理部305及び負荷制御部306を含む。CPU30の各部及びメモリ36は、バスB3を介して相互にデータのやり取りが可能な態様で接続される。中継処理部305は、マルチドロップ設定では使用されず、リピータ設定において有効化される。なお、CPU30は、上記の各部以外の一般的なCPUとしての処理(通信処理、タイマ処理など)も適宜実行可能なものとする。
接続制御部301は、制御装置2からの設定モード移行信号を受信すると接続設定をリピータ設定に設定する。すなわち、マルチドロップ基板3M(マルチドロップ設定)の接続制御部301が設定モード移行信号を受信した場合には、接続制御部301は接続設定をリピータ設定に切り換える。リピータ基板3R(リピータ設定)の接続制御部301は、設定モード移行信号を受信しても接続設定をリピータ設定に維持する。
また、接続制御部301は、後述の設定動作(アドレス設定動作又は制御データ設定動作)の完了後に、接続設定を設定モード移行信号の受信前の当初の接続設定に設定する。すなわち、設定動作の完了後、リピータ基板3R(リピータ設定)の接続制御部301はリピータ設定を維持し、マルチドロップ基板3M(リピータ設定切換後)の接続制御部301は接続設定をマルチドロップ設定に切り換える。接続制御部301は、設定信号(アドレス設定信号又は制御データ設定信号)に基づいて上記接続設定処理を実行するように構成され得る。この場合、接続設定に関する接続情報が、設定信号に含まれる。あるいは、設定信号に含まれる情報にかかわらず、設定動作(アドレス設定動作又は制御データ設定動作)に連動して上記接続設定処理を実行するように構成されてもよい。
アドレス設定部302は、制御装置2から受信されるアドレス設定信号に基づいてアドレスを取得及び設定する。アドレス設定部302は、例えば、アドレス設定信号に含まれるIDとメモリ36に記憶されているIDとが一致する場合に、アドレス設定信号からアドレスを取得し得る。また、アドレス設定部302は、メモリ36にアドレスが記憶されていない(未設定である)場合に、アドレス設定信号からアドレスを取得してもよい。アドレス設定部302は、取得及び設定したアドレスをメモリ36に記憶する。アドレスがメモリ36に未設定である場合にはアドレスが新たに記憶され、アドレスが既にメモリ36に記憶されている場合にはアドレスが更新される。なお、本開示において、アドレスは設定情報の一例であり、アドレス設定信号は設定信号の一例である。
制御データ設定部303は、制御装置2から受信される制御データ設定信号に基づいて制御データを取得及び設定する。制御データ設定部303は、例えば、制御データ設定信号に含まれるIDとメモリ36に記憶されているIDとが一致する場合に、制御データ設定信号から制御データを取得し得る。また、制御データ設定部303は、メモリ36に制御データが記憶されていない(未設定である)場合に、制御データ設定信号から制御データを取得してもよい。制御データ設定部303は、取得及び設定した制御データをメモリ36に記憶する。制御データがメモリ36に未設定である場合には制御データが新たに記憶され、制御データが既にメモリ36に記憶されている場合には制御データが更新される。なお、本開示において、制御データは設定情報の一例であり、制御データ設定信号は設定信号の一例である。制御データは、制御装置2から受信される負荷制御信号に対する負荷4の出力状態を特定するものである。例えば、負荷4が照明器具である場合には、制御データは、点灯状態又は調光率(全光点灯、50%調光、25%調光、消灯など)を規定する。
応答処理部304は、アドレス設定部302がアドレス設定信号に基づいてアドレスを設定した場合に応答信号を生成し、その応答信号を上り信号として制御装置2に返信する。また、応答処理部304は、制御データ設定部303が制御データ設定信号に基づいて制御データを設定した場合に応答信号を生成し、その応答信号を上り信号として制御装置2に返信する。
中継処理部305(リピータ設定において有効)は、概略として、下流側に向かう下り信号及び上流側に向かう上り信号に対して増幅、整形などの中継処理を行う。本開示では、中継処理部305は、アドレス設定部302がアドレス設定信号に基づいてアドレスを設定した場合には、そのアドレス設定信号を下流側に中継しない。一方、中継処理部305は、アドレス設定部302がアドレス設定信号に基づいてアドレスを設定しない場合には、そのアドレス設定信号を下流側に中継する。また、中継処理部305は、制御データ設定部303が制御データ設定信号に基づいて制御データを設定した場合には、その制御データ設定信号を下流側に中継しない。一方、中継処理部305は、制御データ設定部303が制御データ設定信号に基づいて制御データを設定しない場合には、その制御データ設定信号を下流側に中継する。また、中継処理部305は、設定処理に関しては、設定モード移行信号及び後述の設定モード解除信号(下り信号)並びに応答信号(上り信号)についても中継処理を行う。
負荷制御部306は、上記の設定モードへの移行後から設定モードの解除前には動作しないが、通常の負荷制御動作において動作する。すなわち、負荷制御部306は、制御装置2から受信される負荷制御信号及びメモリ36に記憶されている制御データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号を出力配線Loを介して負荷4に出力する。また、負荷制御部306は、負荷4から入力配線Liを介して入力される検出信号を制御装置2に送信するように構成され得る。
制御装置2は、処理部20、通信部21、記憶部22及び入出力部23を有する。処理部20はプロセッサであり、通信部21は、例えば、RS485規格に準拠した送受信機である。記憶部22は、RAM、ROMなどのメモリを含む。入出力部23は、例えば、制御装置2の操作用のGUIを表示するディスプレイ(例えば、タッチパネル)などのユーザインターフェースである。なお、入出力部23は、制御装置2と通信可能であれば、制御装置2から遠隔に配置されていてもよい。
処理部20は、モード指令部201、アドレス設定要求部202(設定要求部)、制御データ設定要求部203(設定要求部)、判定部205及び負荷制御指令部206を含む。処理部20の各部、通信部21、記憶部22及び入出力部23は、バスB2を介して相互にデータのやり取りが可能な態様で接続される。なお、本開示において、処理部20の各部が「信号を送信する」とは、各部が通信部21の動作を用いて、すなわち通信部21から信号を送信することを意味する。同様に、本開示において、処理部20の各部が「信号を受信する」とは、各部が通信部21の動作を用いて、すなわち通信部21を介して信号を受信することを意味する。
モード指令部201は、各種設定処理(アドレス設定処理又は制御データ設定処理)の開始時に、すなわち、設定信号(アドレス設定信号又は制御データ設定信号)の送信前に、設定モード移行信号を全インターフェース基板3に送信する。設定モード移行信号の送信は、入出力部23を介したユーザ操作を契機とし得る。また、モード指令部201は、各種設定処理の終了時に、例えば、インターフェース基板3-nからの応答信号の受信後に、設定モード解除信号を全インターフェース基板3に送信する。設定モード解除信号の送信は、インターフェース基板3-nからの応答信号を契機とし得る。また、最下流のインターフェース基板3-nからの応答信号に設定モード解除信号と同じ情報を含めるようにして(言い換えると、インターフェース基板3-nが応答信号及び設定解除モード信号を上り送信するようにして)設定モード解除信号の送信を省略することも可能である。
アドレス設定要求部202は、アドレスの情報を含むアドレス設定信号をインターフェース基板3に順次送信する。具体的には、アドレス設定要求部202は、まずインターフェース基板3-1にアドレス設定信号を送信し、インターフェース基板3-1からの応答信号を受信すると、インターフェース基板3-2にアドレス設定信号を送信する。すなわち、アドレス設定要求部202は、インターフェース基板3-k(1≦k<n)にアドレス設定信号を送信し、インターフェース基板3-kからの応答信号を受信すると、インターフェース基板3-k+1にアドレス設定信号を送信する。また、アドレス設定信号には、必要に応じて、上述した接続情報が含まれ得る。
制御データ設定要求部203は、制御データの情報を含む制御データ設定信号をインターフェース基板3に順次送信する。具体的には、制御データ設定要求部203は、まずインターフェース基板3-1に制御データ設定信号を送信し、インターフェース基板3-1からの応答信号を受信すると、インターフェース基板3-2に制御データ設定信号を送信する。すなわち、制御データ設定要求部203は、インターフェース基板3-k(1≦k<n)に制御データ設定信号を送信し、インターフェース基板3-kからの応答信号を受信すると、インターフェース基板3-k+1に制御データ設定信号を送信する。また、制御データ設定信号には、必要に応じて、上述した接続情報が含まれ得る。
判定部205は、リピータ基板3Rから受信される応答信号に基づいてインターフェース基板3における設定処理の状況を判定する。判定部205は、インターフェース基板3-nから応答信号を受信すると、全てのインターフェース基板3の設定処理が正しく完了したものと判断する。モード指令部201は、この判断を受けて、設定モード解除信号を生成することができる。また、判定部205は、入出力部23を介して適宜の態様によって、上記の判定結果(設定処理状況)をユーザに通知することができる。
また、判定部205は、応答信号が受信されない場合に、当該順序又はアドレスに対応するインターフェース基板3の不具合(故障、不在など)を判定することができる。判定部205は、入出力部23を介して適宜の態様によって、この判定結果をユーザに通知することができる。また、判定部205は、上記の判定を下す前に、応答信号を送信しないインターフェース基板3に対して設定信号(アドレス設定信号又は制御データ設定信号)を再送信するように構成され得る。再送信の回数及び間隔は、適宜定められる。
負荷制御指令部206は、負荷4の制御のための負荷制御信号をインターフェース基板3に送信する。制御対象のインターフェース基板3(又は負荷4)及び対応する制御内容は、記憶部22に予め記憶されているものとする。
図3A~図3Fを用いて、本実施形態の通信制御システム1の設定処理(本例では、アドレス設定処理)を説明する。なお、図3A~図3Fにおけるリピータ基板3Rとマルチドロップ基板3Mの表示(括弧内の符号)は、接続設定を示すものである。上述したように、設定処理中、マルチドロップ基板3Mは、一時的にリピータ設定に変更される。リピータ設定に変更されたマルチドロップ基板3Mの符号を「3M→R」とする。
図3Aに示すように、初期状態(t=0のより前の状態)では、インターフェース基板3のうち、インターフェース基板3-2及び3-kはリピータ基板3Rであり、インターフェース基板3-1、3-3、3-4、3-k+1及び3-nはマルチドロップ基板3Mであるものとする。ただし、図3Aに示すリピータ基板3R及びマルチドロップ基板3Mの配列は、説明のための例示であり、その配列は任意に構成され得る。
図3Bに示すように、時刻t0において、制御装置2(モード指令部201)は、設定モード移行信号Sを全インターフェース基板3に送信する。これにより、マルチドロップ基板3M(3-1、3-3、3-4、3-k+1及び3-n)の接続制御部301の接続設定切換動作により、全インターフェース基板3の接続設定がリピータ設定となる。
図3Cに示すように、時刻t1において、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号A1を下り信号として送信する。最上流のインターフェース基板3-1(マルチドロップ基板3M→R)のアドレス設定部302はアドレス設定信号A1に基づいてアドレスを設定し、中継処理部305はアドレス設定信号A1を下流側に送信しない。時刻t1´において、応答処理部304は応答信号R1を制御装置2に返信し、接続制御部301は接続設定をマルチドロップ設定に戻す。応答信号R1に基づいて、制御装置2(判定部205)はインターフェース基板3-1のアドレス設定処理が完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。
図3Dに示すように、時刻t2において、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号A2を下り信号として送信する。最上流のインターフェース基板3-1のアドレス設定部302及び応答処理部304は動作せず、中継処理部305はアドレス設定信号A2を下流側に送信する。上流側から2番目のインターフェース基板3-2(リピータ基板3R)のアドレス設定部302はアドレス設定信号A2に基づいてアドレスを設定し、中継処理部305はアドレス設定信号A2を下流側に送信しない。時刻t2´において、応答処理部304は、応答信号R2を制御装置2に返信する。応答信号R2に基づいて、制御装置2(判定部205)はインターフェース基板3-2までアドレス設定処理が完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。図3B~図3Cの時刻t1~t1´での処理又は図3Dの時刻t2~t2´での処理と同様の処理が、インターフェース基板3-3以降のインターフェース基板に対して順次行われていく。
図3Eに示すように、時刻tkにおいて、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号Akを下り信号として送信する。インターフェース基板3-k(リピータ基板3R)よりも上流側のインターフェース基板3-1~3-k-1のアドレス設定部302及び応答処理部304は動作せず、中継処理部305はアドレス設定信号Akを下流側に送信する。インターフェース基板3-kのアドレス設定部302はアドレス設定信号Akに基づいてアドレスを設定し、中継処理部305はアドレス設定信号Akを下流側に送信しない。時刻tk´において、応答処理部304は、応答信号Rkを制御装置2に返信する。応答信号Rkに基づいて、制御装置2(判定部205)はインターフェース基板3-kまでアドレス設定処理が完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。
図3Fに示すように、時刻tnにおいて、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号Anを下り信号として送信する。ここで、インターフェース基板3-n(マルチドロップ基板3M→R)よりも上流側のインターフェース基板3-1~3-n-1のアドレス設定部302及び応答処理部304は動作せず、中継処理部305はアドレス設定信号Anを下流側に送信する。インターフェース基板3-nのアドレス設定部302は、アドレス設定信号Anに基づいてアドレスを設定する。時刻tn´において、応答処理部304は応答信号Rnを制御装置2に返信し、接続制御部301は接続設定をマルチドロップ設定に戻す。なお、図3Fから分かるように、最下流のインターフェース基板3-nは、アドレス設定処理中であってもマルチドロップ設定に維持されていてもよい。応答信号Rnに基づいて、制御装置2(判定部205)は全インターフェース基板3-1~3nのアドレス設定処理が正しく完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。
時刻tn´後の時刻(不図示)において、制御装置2(モード指令部201)は、設定モード解除信号(不図示)を全インターフェース基板3に送信し、アドレス設定モードを終了する。本実施形態では、リピータ設定に変更されたマルチドロップ基板3M→Rは、各アドレス設定動作に応じてマルチドロップ設定に戻されるので、時刻tnの直後において全てのインターフェース基板3の接続設定は図3Aに示す初期状態に戻っている。ただし、リピータ設定にあるマルチドロップ基板3M→Rがマルチドロップ設定に戻されるタイミングは、当該インターフェース基板3での設定動作の終了時から設定モード解除時までのいずれのタイミングであっても、本実施形態は成立する。例えば、一変形例として、各アドレス設定動作では接続設定を戻す処理が行われず、すなわち、全てのインターフェース基板3の接続設定が時刻tnまでリピータ設定に維持され、設定モード解除信号に応じてまとめてマルチドロップ設定に戻されるようにしてもよい。これにより、設定処理中の全ての信号に対して中継処理(増幅、整形など)が行われることになり、伝送時間の増加を伴うものの、信号伝送の信頼性が高まり得る。
図3B~図3Fでは、アドレス設定処理が全インターフェース基板3において正常に行われる場合を示したが、アドレス設定処理が一部のインターフェース基板3の不具合に起因して滞ることもあり得る。その場合、制御装置2の判定部205は、応答信号を送信しないインターフェース基板3(例えば、インターフェース基板3-x)に対してアドレス設定信号を所定回数だけ再送信することができる。この所定回数の再送信に対しても応答信号が得られない場合には、判定部205は、インターフェース基板3-xに不具合があること、及びその直前まで得られた応答信号に対応するインターフェース基板3-x-1までのアドレス設定処理が完了したと判断することができる。そして、ユーザは、その判定結果を入出力部23を介して認識することができる。
また、図3B~図3Fではアドレス設定処理を例として説明したが、同様の設定処理が、制御データを設定するための制御データ設定処理にも適用可能である。この場合、制御装置2においては、アドレス設定要求部202の代わりに制御データ設定要求部203が動作して、アドレス設定信号A1~Anの代わりに制御データ設定信号C1~Cn(不図示)が下り信号として送信される。そして、インターフェース基板3においては、アドレス設定部302の代わりに制御データ設定部303が動作し、アドレスの代わりに制御データが設定される。
また、本実施形態では、インターフェース基板3-1~3-nの全てが、接続可変のインターフェース基板である構成を示したが、インターフェース基板3-1~3-nの一部又は全部が、リピータ設定固定のインターフェース基板3(すなわち、マルチドロップ設定に変更できないインターフェース基板3)であっても、本実施形態は実施可能である。この場合、各インターフェース基板3において、接続制御部301は不要であり、各インターフェース基板3での設定処理は、図3D又は図3Eに示したインターフェース基板3―2又は3-kに対する設定処理と同様となる。言い換えると、インターフェース基板3-1~3-nが接続可変のインターフェース基板を含み、それがマルチドロップ設定である場合に、図3B~図3Cに示したインターフェース基板3-1に対する設定処理と同様の設定処理が当該マルチドロップ基板に必要となる。
また、本実施形態では、接続制御部301が、各設定処理後に接続設定を当初の(すなわち、設定モード移行信号の受信前の)接続設定に設定する構成を示した。一方、アドレス設定信号又は制御データ設定信号に接続情報が含まれるようにして、接続制御部301が、各設定処理後の接続設定を当該接続情報によって指定された接続設定に設定するように構成されてもよい。この場合、設定処理後の接続設定が当初の接続設定(図3A)から変更され得る。
以上のように、本実施形態の通信制御システム1は、制御装置2と、制御装置2にデイジーチェーン接続された複数のインターフェース基板3-1~3-nとを備える。インターフェース基板3-1~3-k(1≦k<n)の各々は、制御装置2から受信されるアドレス設定信号/制御データ設定信号(設定信号)に基づいてアドレス/制御データ(所定の設定情報)を設定可能なアドレス設定部302/制御データ設定部303(設定部302/303)と、設定部302/303が設定信号に基づいて所定の設定情報を設定した場合に応答信号を制御装置2に返信する応答処理部304と、設定部302/303が設定信号に基づいて所定の設定情報を設定した場合には設定信号を下流側に中継せず、設定部302/303が設定信号に基づいて所定の設定情報を設定しない場合には設定信号を下流側に中継する中継処理部305を含む。制御装置2は、インターフェース基板3-kに設定信号を送信し、インターフェース基板3kからの応答信号を受信すると、インターフェース基板3-k+1に設定信号を送信するアドレス設定要求部202/制御データ設定要求部203(設定要求部)と、応答信号に基づいてインターフェース基板3-kにおける設定信号の処理状況を判定する判定部205を含む。
このように、インターフェース基板3は、設定信号に基づいて設定情報を設定可能であり、設定情報を設定する場合には応答信号を制御装置2に返信するとともに設定信号を下流側に中継せず、設定情報を設定しない場合には設定信号を下流側に中継するように構成される。また、制御装置2は、インターフェース基板3-kに設定信号を送信し、インターフェース基板3-kからの応答信号を受信すると、インターフェース基板3-k+1に設定信号を送信し、応答信号に基づいてインターフェース基板3-kの設定処理状況を判定する。したがって、半二重通信において、制御装置2及びそのユーザは、複数のインターフェース基板3に対する各種設定処理の進捗を容易に認識することができる。
また、複数のインターフェース基板3は、デイジーチェーン接続状態のリピータ設定と、デイジーチェーン接続をバイパスするマルチドロップ設定との間で接続設定を切り換えることができる接続可変のインターフェース基板3R/3Mを含む。制御装置2は、設定信号を送信する前に設定モード移行信号をインターフェース基板3に送信するモード指令部201を含み、接続可変のインターフェース基板3R/3Mが、設定モード移行信号を受信すると接続設定をリピータ設定に設定し、設定部302/303が設定信号に基づいて所定の設定情報を設定した後に、接続設定を所定の接続設定(設定モード移行信号の受信前の接続設定又は設定信号に含まれる接続情報に基づく接続設定)に制御する接続制御部301を含む。これにより、マルチドロップ設定のインターフェース基板3が含まれている場合でも、全てのインターフェース基板3に対する各種設定処理の進捗が容易に認識可能となる。
例えば、上記設定情報はインターフェース基板3のアドレスであり、設定信号はアドレスを設定するためのアドレス設定信号であり、アドレス設定部302はアドレス設定信号に基づいてアドレスを設定するように構成される。これにより、インターフェース基板3に対するアドレス設定処理の進捗が容易に認識可能となる。
例えば、上記設定情報はインターフェース基板3に接続される負荷4の制御に関する制御データであり、設定信号は制御データを設定するための制御データ設定信号であり、制御データ設定部303は制御データ設定信号に基づいて制御データを設定するように構成される。これにより、インターフェース基板3に接続される負荷4に関する制御データ設定処理の進捗が容易に認識可能となる。
また、判定部205は、応答信号を送信しないインターフェース基板3に対して設定信号を再送信するように構成される。これにより、インターフェース基板3の一部に不具合があった場合でも効率的な対処が可能となる。
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、アドレス設定処理と制御データ設定処理とが別個の処理として実行される構成を示したが、本実施形態では、アドレス設定処理と制御データ設定処理とが同時に実行される構成を示す。
図4に、本実施形態による通信制御システム1のブロック図を示す。本実施形態において、第1の実施形態で示した構成と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。本実施形態は、制御装置2の処理部20が複合設定要求部204(設定要求部)を有する点で第1の実施形態の構成と異なり、それに伴い、インターフェース基板3のCPU30内の各部の動作が第1の実施形態のものと異なり得る。
複合設定要求部204は、アドレス設定要求部202及び制御データ設定要求部203を含む。複合設定要求部204は、入出力部23からのユーザ入力に応じて、アドレス設定要求部202によって生成されるアドレス設定信号と、制御データ設定要求部203によって生成される制御データ設定信号とを統合して複合設定信号を生成する。すなわち、複合設定信号は、アドレスの情報及び制御データの情報を含む。さらに、複合設定信号は、各インターフェース基板3の接続情報も含む。複合設定要求部204は、生成した複合設定信号をインターフェース基板3に送信する。いずれの場合であっても、ユーザは、アドレス設定処理及び制御データ設定処理の同時処理を1回の操作(例えば、入出力部23における1回のタッチなど)で開始させることができる。
接続制御部301は、第1の実施形態と同様に、制御装置2からの設定モード移行信号を受信すると接続設定をリピータ設定に設定する。また、接続制御部301は、設定動作(アドレス設定動作及び制御データ設定動作)の完了後に、接続設定を設定モード移行信号の受信前の当初の接続設定に設定する。接続制御部301は、複合設定信号に含まれる接続情報基づいて上記接続設定の処理を実行する。したがって、設定処理後の各インターフェース基板3の接続設定は、当初の接続設定から変更され得る。すなわち、インターフェース基板3は、当初マルチドロップ設定であっても当初リピータ設定であっても、設定処理中には必ずリピータ設定となり、設定処理後に接続情報に応じてマルチドロップ設定に切り換わる場合もあれば、リピータ設定を維持する場合もある。ただし、第1の実施形態と同様に、設定処理後の接続設定が各インターフェース基板3での処理に依存する構成(すなわち、設定処理後に当初の接続設定が再現される構成)も可能である。
アドレス設定部302は、複合設定信号からアドレスを抽出し、そのアドレスを設定する。アドレス設定部302は、例えば、アドレスに含まれるIDとメモリ36に記憶されているIDとが一致する場合に、複合設定信号からアドレスを抽出し得る。また、アドレス設定部302は、メモリ36にアドレスが記憶されていない(未設定である)場合に、複合設定信号からアドレスを抽出してもよい。アドレス設定部302は、抽出及び設定したアドレスをメモリ36に記憶する。アドレスがメモリ36に未設定である場合にはアドレスが新たに記憶され、アドレスが既にメモリ36に記憶されている場合にはアドレスが更新される。
制御データ設定部303は、アドレス設定部302がアドレスを抽出及び設定する場合に、複合設定信号から制御データを抽出し、その制御データを設定する。制御データ設定部303は、抽出及び設定した制御データをメモリ36に記憶する。制御データがメモリ36に未設定である場合には制御データが新たに記憶され、制御データが既にメモリ36に記憶されている場合には制御データが更新される。
応答処理部304は、アドレス設定部302が複合設定信号に基づいてアドレスを設定し、かつ制御データ設定部303が複合設定信号に基づいて制御データを設定した場合に応答信号を生成し、その応答信号を上り信号として制御装置2に返信する。
中継処理部305は、アドレス設定部302が複合設定信号に基づいてアドレスを設定し、かつ制御データ設定部303が複合設定信号に基づいて制御データを設定した場合にはその複合設定信号を下流側に中継しない。一方、中継処理部305は、アドレス設定部302が複合設定信号に基づいてアドレスを設定せず、かつ制御データ設定部303が複合設定信号に基づいて制御データを設定しない場合にはその複合設定信号を下流側に中継する。なお、複合設定信号を受けてアドレスの設定及び制御データの設定のいずれか一方のみが実行される状況は、本実施形態では想定されていない。
負荷制御部306は、第1の実施形態と同様に、上記の設定モードへの移行後から設定モードの解除前には動作せず、通常の負荷制御動作において動作する。
なお、本実施形態においても、ユーザ入力などに応じて、アドレス設定処理と、制御データ設定処理とを別個に行うこともできる。この場合の、通信制御システム1の動作は、第1の実施形態で説明したものと同様である。ただし、上述したように、設定処理後の接続設定は、複合設定信号の内容(接続情報)に応じて第1の実施形態で示した接続設定(図3A)とは異なり得る。
以上のように、本実施形態の通信制御システム1では、上記所定の設定情報はインターフェース基板3のアドレス及びインターフェース基板3に接続される負荷4の制御に関する制御データを含み、設定信号はアドレス及び制御データを設定するための複合設定信号である。設定部302/303は、複合設定信号に基づいてアドレス及び制御データを設定するように構成される。
このように、複数のインターフェース基板3に対してアドレス設定処理と制御データ設定処理とが同時並行的に実行されるので、設定処理の作業効率が向上する。
<第3の実施形態>
上記第1の実施形態では、設定処理中のインターフェース基板3よりも上流側のインターフェース基板3の接続設定が当初の接続設定とされる構成を示した。一方、本実施形態では、設定処理中のインターフェース基板3よりも上流側のインターフェース基板3の接続設定が、設定モード解除時までマルチドロップ設定とされる構成を示す。
本実施形態による通信制御システム1のブロック図は、図2に示す第1の実施形態のものと同様である。したがって、各構成要素に関する重複する説明は簡略化又は省略する。本実施形態は、インターフェース基板3の接続制御部301の動作が第1の実施形態の構成と異なり、それに伴い、CPU30内の各部の動作が第1の実施形態のものと異なり得る。
接続制御部301は、制御装置2からの設定モード移行信号を受信すると、第1の実施形態と同様に、接続設定をリピータ設定に設定する。すなわち、マルチドロップ基板3M(マルチドロップ設定)の接続制御部301が設定モード移行信号を受信した場合には、接続制御部301は接続設定をマルチドロップ設定に切り換える。また、リピータ基板3R(リピータ設定)の接続制御部301が設定モード移行信号を受信した場合には、接続制御部301は接続設定をリピータ設定に維持する。
また、接続制御部301は、設定動作(アドレス設定動作又は制御データ設定動作)の完了後に、接続設定をマルチドロップ設定に設定する。そして、接続制御部301は、制御装置2からの設定モード解除信号を受信すると、接続設定を設定モード移行信号の受信前の当初の接続設定に設定する。すなわち、リピータ基板3R(マルチドロップ設定切換後)の接続制御部301は、接続設定をリピータ設定に戻す。一方、マルチドロップ基板3M(マルチドロップ設定)の接続制御部301は、接続設定をマルチドロップ設定に維持する。接続制御部301は、接続情報を含む設定信号(アドレス設定信号又は制御データ設定信号)に基づいて上記接続設定処理を実行するように構成されてもよいし、設定動作(アドレス設定動作又は制御データ設定動作)に連動して上記接続設定処理を実行するように構成されてもよい。
アドレス設定部302は、第1の実施形態と同様に、制御装置2から受信されるアドレス設定信号に基づいてアドレスを取得及び設定する。制御データ設定部303は、第1の実施形態と同様に、制御装置2から受信される制御データ設定信号に基づいて制御データを取得及び設定する。応答処理部304は、第1の実施形態と同様に、アドレス設定部302がアドレス設定信号に基づいてアドレスを設定した場合、又は制御データ設定部303が制御データ設定信号に基づいて制御データを設定した場合に応答信号を制御装置2に返信する。中継処理部305は、第1の実施形態と同様に、アドレス設定部302がアドレス設定信号に基づいてアドレスを設定した場合、又は制御データ設定部303が制御データ設定信号に基づいて制御データを設定した場合に、各設定信号を下流側に中継しない。一方、第1の実施形態と同様に、アドレス設定部302がアドレス設定信号に基づいてアドレスを設定しない場合、又は制御データ設定部303が制御データ設定信号に基づいて制御データを設定しない場合に、各設定信号を下流側に中継する。負荷制御部306は、第1の実施形態と同様に、上記の設定モードへの移行後から設定モードの解除前には動作せず、通常の負荷制御動作において動作する。
図5A~図5Gを用いて、本実施形態の通信制御システム1の設定処理(本例では、アドレス設定処理)を説明する。なお、図5A~図5Gにおけるリピータ基板3Rとマルチドロップ基板3Mの表示(括弧内の符号)は、当初の接続設定を示すものである。上述したように、設定処理中、マルチドロップ基板3Mは一時的にリピータ設定に変更され、リピータ基板3Rは一時的にマルチドロップ設定に変更される。リピータ設定に変更されたマルチドロップ基板3Mの符号を「3M→R」とし、マルチドロップ設定に変更されたリピータ基板3Rの符号を「3R→M」とする。
図5Aに示すように、初期状態(t=0のより前の状態)では、インターフェース基板3のうち、インターフェース基板3-2及び3-kはリピータ基板3Rであり、インターフェース基板3-1、3-3、3-4、3-k+1及び3-nはマルチドロップ基板3Mである。ただし、図5Aに示すリピータ基板3R及びマルチドロップ基板3Mの配列は、説明のための例示であり、その配列は任意に構成され得る。
図5Bに示すように、時刻t0において、第1の実施形態と同様に、制御装置2(モード指令部201)は、設定モード移行信号Sを全インターフェース基板3に送信する。これにより、マルチドロップ基板3M(3-1、3-3、3-4、3-k+1及び3-n)の接続制御部301の接続設定切換動作により、全インターフェース基板3の接続設定がリピータ設定となる。
図5Cに示すように、時刻t1において、第1の実施形態と同様に、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号A1を下り信号として送信する。最上流のインターフェース基板3-1(マルチドロップ基板3M→R)のアドレス設定部302はアドレス設定信号A1に基づいてアドレスを設定し、中継処理部305はアドレス設定信号A1を下流側に送信しない。時刻t1´において、応答処理部304は応答信号R1を制御装置2に返信し、接続制御部301は接続設定をマルチドロップ設定に戻す。応答信号R1に基づいて、制御装置2(判定部205)はインターフェース基板3-1のアドレス設定処理が完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。
図5Dに示すように、時刻t2において、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号A2を下り信号として送信する。最上流のインターフェース基板3-1のアドレス設定部302及び応答処理部304は動作せず、中継処理部305はアドレス設定信号A2を下流側に送信する。上流側から2番目のインターフェース基板3-2(リピータ基板3R)のアドレス設定部302はアドレス設定信号A2に基づいてアドレスを設定し、中継処理部305はアドレス設定信号A2を下流側に送信しない。時刻t2´において、応答処理部304は応答信号R2を制御装置2に返信する。ここで、接続制御部301は、接続設定をマルチドロップ設定に切り換える。応答信号R2に基づいて、制御装置2(判定部205)はインターフェース基板3-2までアドレス設定処理が完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。図5B~図5Cの時刻t1~t1´での処理又は図5Dの時刻t2~t2´での処理と同様の処理が、インターフェース基板3-3以降のインターフェース基板に対して順次行われていく。
図5Eに示すように、時刻tkにおいて、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号Akを下り信号として送信する。インターフェース基板3-k(リピータ基板3R)よりも上流側のインターフェース基板3-1~3-k-1のアドレス設定部302及び応答処理部304は動作せず、中継処理部305はアドレス設定信号Akを下流側に送信する。インターフェース基板3-kのアドレス設定部302はアドレス設定信号Akに基づいてアドレスを設定し、中継処理部305はアドレス設定信号Akを下流側に送信しない。時刻tk´において、応答処理部304は応答信号Rkを制御装置2に返信する。ここで、接続制御部301は、接続設定をマルチドロップ設定に切り換える。応答信号Rkに基づいて、制御装置2(判定部205)はインターフェース基板3-kまでアドレス設定処理が完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。図5Eから分かるように、設定処理中のインターフェース基板3-kよりも上流側の全てのインターフェース基板3の接続設定は、マルチドロップ設定となっている。
図5Fに示すように、時刻tnにおいて、制御装置2(アドレス設定要求部202)は、アドレス設定信号Anを下り信号として送信する。ここで、インターフェース基板3-n(マルチドロップ基板3M→R)よりも上流側のインターフェース基板3-1~3-n-1のアドレス設定部302及び応答処理部304は動作せず、中継処理部305はアドレス設定信号Anを下流側に送信する。インターフェース基板3-nのアドレス設定部302は、アドレス設定信号Anに基づいてアドレスを設定する。時刻tn´において、応答処理部304は応答信号Rnを制御装置2に返信する。なお、図5Fから分かるように、最下流のインターフェース基板3-nは、アドレス設定処理中であってもマルチドロップ設定に維持されていてもよい。応答信号Rnに基づいて、制御装置2(判定部205)は全インターフェース基板3-1~3nのアドレス設定処理が完了したことを判定することができ、ユーザはその判定結果を入出力部23を介して認識することができる。
図5Gに示すように、時刻tn´後の時刻tzにおいて、制御装置2(モード指令部201)は、設定モード解除信号Eを全インターフェース基板3に送信する。各インターフェース基板3(接続制御部301)は、設定モード解除信号Eを受けて、接続設定を図5Aと同様の当初の接続設定に設定する。これにより、アドレス設定モードが終了する。
また、アドレス設定処理が一部のインターフェース基板3の不具合に起因して滞る場合、第1の実施形態と同様に、制御装置2の判定部205は、応答信号を送信しないインターフェース基板3に対してアドレス設定信号を所定回数だけ再送信することができる。また、図5B~図5Gではアドレス設定処理を例として説明したが、第1の実施形態において説明したように、同様の設定処理が、制御データを設定するための制御データ設定処理にも適用可能である。また、アドレス設定信号又は制御データ設定信号に接続情報が含まれるようにして、接続制御部301が、設定モード解除信号の受信後の接続設定を当該接続情報によって指定された接続設定に設定するように構成されてもよい。この場合、設定処理後の接続設定が当初の接続設定(図5A)から変更され得る。
以上のように、本実施形態の通信制御システム1では、複数のインターフェース基板3が、デイジーチェーン接続状態のリピータ設定と、デイジーチェーン接続をバイパスするマルチドロップ設定との間で接続設定を切り換えることができる接続可変のインターフェース基板3R/3Mを含む。制御装置2は、設定信号を送信する前に設定モード移行信号をインターフェース基板3-1~3-nに送信し、インターフェース基板3-nからの応答信号を受信した後に設定モード解除信号を複数のインターフェース基板3-1~3-nに送信するように構成されたモード指令部201を含む。接続可変のインターフェース基板3R/3Mは、設定モード移行信号を受信すると接続設定をリピータ設定に設定し、設定信号に基づいて所定の設定情報が設定された後に接続設定をマルチドロップ設定に切り換え、設定モード解除信号を受けて所定の接続設定(接続設定を設定モード移行信号の受信前の接続設定又は設定信号に含まれる接続情報に基づく接続設定)に制御するように構成された接続制御部301を含む。
これにより、設定処理において、設定処理対象のインターフェース基板3よりも上流側のインターフェース基板3の接続設定は全てマルチドロップ設定となる。すなわち、設定信号(アドレス設定信号又は制御データ設定信号)及び応答信号は、リピータ基板3Rの中継処理を経ることなく伝送される。したがって、各種設定処理中にインターフェース基板3に起因する信号遅延をなくし、各種設定処理を高速化することができる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態として、通信制御システム1を照明制御システムに応用した例を示す。図6に、本実施形態による照明制御システム5のブロック図を示す。なお、上記第1乃至第3の実施形態で説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、重複する説明を省略又は簡略化する。
図6に示すように、照明制御システム5は、第1乃至第3の実施形態のいずれかの通信制御システム1、及び負荷4としての照明器具40を含む。照明器具40は、電源回路41及び光源42を含む。光源42は、例えば、LED、放電灯などで構成されるランプである。電源回路41は、例えば、不図示の商用電源を光源42の点灯に適した出力電流に変換し、その出力電流を光源42に供給する変換回路である。例えば、光源42がLEDランプである場合には、電源回路41は交流電圧を直流化する整流回路及び整流回路の直流出力から直流LED電流を生成するDC/DCコンバータを備える。
制御装置2の負荷制御指令部206は、照明制御信号をインターフェース基板3に送信する。各インターフェース基板3のCPU30の負荷制御部306は、照明制御信号から制御信号を生成し、その制御信号を電源回路41に出力する。電源回路41は、負荷制御部306からの制御信号に応じて光源42の動作状態(点灯、消灯又は調光)を制御する。また、電源回路41は、光源42の動作状態又は接続状態を負荷制御部306に出力することもできる。すなわち、本実施形態では、制御装置2の負荷制御指令部206は照明制御指令部として機能し、インターフェース基板3の負荷制御部306は照明制御部として機能する。
以上のように、本実施形態の照明制御システム5は、第1乃至第3の実施形態のいずれかの通信制御システム1と、複数のインターフェース基板3の各々に接続された照明器具40とを備える。制御装置2は、照明器具40を制御するための照明制御信号をインターフェース基板3に送信する照明制御指令部(負荷制御指令部206)を含む。各インターフェース基板3は、照明制御信号に基づいて照明器具40を制御する照明制御部(負荷制御部306)を備える。このように、本発明の通信制御システム1は、例えば、トンネル照明システムなどの照明制御システムに好適に適用可能である。
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
(1)実施形態同士の組合せに関する変形
上記において、第2の実施形態(アドレス設定と制御データ設定の同時並行処理)と第3の実施形態(設定モード中の上流側マルチドロップ設定)を別個の実施形態として示したが、これらは組み合わせて実施され得る。
(2)通信規格に関する変形
上記各実施形態ではRS485規格に準拠した通信制御システム1を示したが、本発明は、半二重通信方式の他の通信規格に準拠する通信制御システムにも同様に適用可能である。
(3)設定情報に関する変形
上記各実施形態では、設定処理の対象となる設定情報がアドレス及び/又は制御データである場合を説明したが、設定情報はこれに限られない。例えば、設定情報は、インターフェース基板3若しくは負荷4の存在確認用の情報、制御装置2とインターフェース基板3との間の通信試験用の情報、インターフェース基板3若しくは負荷4の保守用の情報など、又はこれらの組合せであってもよい。また、第2の実施形態における複合設定信号は、上記の設定情報の適宜の組合せを含み得る。