JP7415254B2 - 洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗大便器装置 - Google Patents

Description

本発明は、洗浄水タンク装置に関し、特に、水洗大便器を洗浄するための洗浄水を貯留する洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗大便器装置に関する。

特開２０１９－６０１８１号公報（特許文献１）には、水洗便器を洗浄するための洗浄水タンク装置が記載されている。この洗浄水タンク装置は、洗浄水タンクと、この洗浄水タンクの底部に設けられた排水弁装置と、を有する。排水弁装置は排水口を開閉する排水弁を備え、この排水弁は、便器洗浄時において、洗浄水タンク内の水位が所定の満水水位から所定の水位に低下するまで開弁される。排水弁を開弁させ、洗浄水タンク内の洗浄水を水洗便器に排出することにより、水洗便器が洗浄される。

特開２０１９－６０１８１号公報

特許文献１記載の洗浄水タンク装置のように、ローシルエット形の洗浄水タンクでは、十分な洗浄水量を貯留するために、洗浄水タンクの底面積が大きく構成されることが多い。このため、洗浄水タンク内の洗浄水を排出する便器洗浄時において、洗浄水タンク内の水位は、非常にゆっくり低下する。一方、洗浄水タンクの排水口を開閉する排水弁は、洗浄水タンク内の水位の低下と共に降下して、最終的に排水口を閉弁させる。

しかしながら、洗浄水タンク内の水位の低下速度が遅いと、これに追従して降下する排水弁の動きが安定しないという問題がある。排水弁の動きが安定していないと、水洗便器の洗浄状態が一回の洗浄毎にばらついてしまい、洗浄性能が低下する場合がある。また、排水口が排水弁によって閉弁される直前において、排水口が僅かに開いた状態が継続すると、便器洗浄にあまり寄与しない小流量の洗浄水が洗浄水タンクから排出され続け、無駄水が発生してしまう。

従って、本発明は、排水弁の動作を安定させることにより、洗浄性能のばらつきを抑制することができる洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗大便器装置を提供することを目的としている。

上述した課題を解決するために、本発明は、水洗大便器を洗浄するための洗浄水を貯留する洗浄水タンク装置であって、排水口を備え、洗浄水を貯留する洗浄水タンク本体と、給水源から供給された洗浄水を洗浄水タンク本体内に流入させる給水弁と、この洗浄水タンク本体内に設けられ、排水口を開閉することにより、洗浄水タンク本体内に貯留された洗浄水の、水洗大便器への排水、停止を切り替える排水弁と、を有し、排水弁は、水洗大便器の洗浄時において、洗浄水タンク本体内の水位が、所定の満水水位から所定の死水水位に低下するまで開弁されると共に、洗浄水タンク本体内の水位の低下速度は、満水水位と死水水位の間の所定の変曲水位において変化し、変曲水位と死水水位の間の水位の低下速度は、満水水位と変曲水位の間の水位の低下速度よりも速いことを特徴としている。

このように構成された本発明においては、給水源から供給された洗浄水が、給水弁によって洗浄水タンク本体内に流入され、洗浄水タンク本体内に貯留された洗浄水は、排水弁を開弁させることにより、水洗大便器へ排水される。洗浄水タンク本体内の水位は、変曲水位と死水水位の間の水位の低下速度が、満水水位と変曲水位の間の水位の低下速度よりも速く低下される。

このように構成された本発明によれば、変曲水位と死水水位の間の水位の低下速度が速くされているので、排水口に近づいた排水弁は速やかに排水口を閉弁させ、排水弁の動作を安定させることができると共に、洗浄性能のばらつきを抑制することができる。また、満水水位と変曲水位の間の水位の低下速度が遅くされているので、この間に十分な量の洗浄水を水洗大便器に排出することができ、必要な洗浄水量を確保することができる。

本発明において、好ましくは、水洗大便器の洗浄時において、洗浄水タンク本体内の水位が満水水位から変曲水位まで低下するのに要する時間は、洗浄水タンク本体内の水位が変曲水位から死水水位まで低下するのに要する時間よりも長い。

このように構成された本発明によれば、洗浄水タンク本体内の水位が満水水位から変曲水位まで低下するのに要する時間が長いので、この間に十分な量の洗浄水を水洗大便器に排出することができ、十分な洗浄性能を確保することができる。

本発明において、好ましくは、水洗大便器の洗浄時において、洗浄水タンク本体内の水位が満水水位から変曲水位まで低下する間に排水口から排出される洗浄水の量は、洗浄水タンク本体内の水位が変曲水位から死水水位まで低下するの間に排水口から排出される洗浄水の量よりも多い。

このように構成された本発明によれば、洗浄水タンク本体内の水位が満水水位から変曲水位まで低下する間に排水口から排出される洗浄水の量が多いので、死水水位近くでの水位の低下速度を速くしながら、十分な量の洗浄水を水洗大便器に排出することができ、十分な洗浄性能を確保することができる。

本発明において、好ましくは、洗浄水タンク本体は、変曲水位よりも上側の水平断面積が、変曲水位よりも下側の水平断面積よりも大きく形成されている。
このように構成された本発明によれば、変曲水位よりも上側の水平断面積が、変曲水位よりも下側の水平断面積よりも大きく形成されているので、排水口から排出される洗浄水の流量が一定の場合には、変曲水位よりも下側において水位の低下速度を速くすることができ、簡便な構成で水位の低下速度を変更することができる。

本発明において、好ましくは、排水弁は、洗浄水タンク本体の水平方向中心線に対し、一方の側に配置されている。
このように構成された本発明によれば、排水弁が、洗浄水タンク本体の水平方向中心線に対し、一方の側に配置されているので、洗浄水タンク本体の、排水弁が配置されていない側に、容易に切欠部を作ることができ、空間を有効に活用することができる。

本発明において、好ましくは、洗浄水タンク本体は、その水平方向中心線に対し、一方の側の容積が、他方の側の容積よりも大きく構成されており、排水弁は、洗浄水タンク本体の水平方向中心線に対し、容積の大きい側に配置されている。

このように構成された本発明によれば、排水弁が、洗浄水タンク本体の水平方向中心線に対し、容積の大きい側に配置されているので、排水弁及びそれを駆動する機構を、容易に洗浄水タンク本体内に収容することができる。

本発明において、好ましくは、洗浄水タンク本体の底面は少なくとも一部が傾斜しており、底面の、排水弁が設けられている部分が低くされている。
このように構成された本発明によれば、洗浄水タンク本体の底面が傾斜し、底面の、排水弁が設けられている部分が低くされているので、洗浄水タンク本体内の洗浄水は排水弁が設けられている部分に集められ、洗浄水タンク本体内の洗浄水を有効に活用することができる。

本発明において、好ましくは、給水弁は、排水弁が開弁され、洗浄水タンク本体内の水位が満水水位から変曲水位に低下するまでの間に、給水源から供給された洗浄水を洗浄水タンク本体内に流入させるように構成されると共に、洗浄水タンク本体内の水位が変曲水位よりも低くなると、給水源からの洗浄水の流入を停止させ、又は流入させる流量を低下させる。

このように構成された本発明においては、排水弁が開弁されて洗浄水タンク本体内の水位が満水水位から変曲水位に低下するまでの間に、給水弁が洗浄水タンク本体内に洗浄水を流入させる。また、水位が変曲水位よりも低くなると、給水弁は、洗浄水の流入を停止させ、又は流量を低下させる。

このように構成された本発明によれば、満水水位から変曲水位までの間は、洗浄水タンク本体への給水を行いながら、排水が行われるので、水位の低下速度を低くすることができる。このため、水平断面積がほぼ一定に形成された通常の洗浄水タンク本体を使用した場合でも、変曲水位と死水水位の間の水位の低下速度を、満水水位と変曲水位の間の水位の低下速度よりも速くすることができる。

また、本発明は、水洗大便器装置であって、ボウル部、及びこのボウル部を洗浄するための洗浄水を吐出するリム吐水口及びゼット吐水口を備えた水洗大便器と、ゼット吐水口から吐出させるための洗浄水を貯留する本発明の洗浄水タンク装置と、を有することを特徴としている。

本発明の洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗大便器装置によれば、排水弁の動作を安定させることができると共に、洗浄性能のばらつきを抑制することができる。

本発明の第１実施形態による水洗大便器装置全体を示す斜視図である。 本発明の第１実施形態による水洗大便器装置の全断面図である。 本発明の第１実施形態の洗浄水タンク装置の構成を示す断面図である。 本発明の第１実施形態の洗浄水タンク装置において、便器洗浄中の貯水タンク内の水位の時間的変化を示すグラフである。 本発明の第２実施形態による水洗大便器装置における便器洗浄中の貯水タンク内の水位の時間的変化、及び給水弁の状態を示すグラフである。

次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗大便器装置を説明する。
図１は、本発明の第１実施形態による水洗大便器装置全体を示す斜視図である。図２は、本発明の第１実施形態による水洗大便器装置の全断面図である。図３は、本発明の第１実施形態の洗浄水タンク装置の構成を示す断面図である。

図１及び図２に示すように、本発明の第１実施形態による水洗大便器装置１は、水洗大便器である水洗便器本体２と、その後部に載置された洗浄水タンク装置４から構成されている。本実施形態の水洗大便器装置１は、使用後に、洗浄水タンク装置４に設けられたレバーハンドル８の操作に基づいて、水洗便器本体２のボウル部２ａの洗浄を実行するように構成されている。本実施形態に備えられている洗浄水タンク装置４は、レバーハンドル８の操作に基づいて、内部に貯留されている洗浄水を水洗便器本体２に排出し、ボウル部２ａを洗浄するように構成されている。

また、変形例として、壁面に取り付けたリモコン装置（図示せず）を操作することにより、ボウル部２ａの洗浄が行われるように本発明を構成することもできる。或いは、便座に設けられた人感センサ（図示せず）が使用者の離座を検知した後、所定時間経過することにより、ボウル部２ａの洗浄が行われるように本発明を構成することもできる。この場合、人感センサ（図示せず）は便座に設けたり、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できる位置に設けたりすることができ、例えば、水洗便器本体２や洗浄水タンク装置４に設けることもできる。また、人感センサ（図示せず）は、使用者の着座、離座や接近、離脱、手をかざす動作を検知できるものであればよく、例えば、赤外線センサやマイクロ波センサを人感センサとして使用することができる。

次に、図２に示すように、洗浄水タンク装置４は、水洗便器本体２に供給すべき洗浄水を貯留する洗浄水タンク本体である貯水タンク１０と、この貯水タンク１０に設けられた排水口１０ａを開閉するための排水弁１２と、この排水弁１２を駆動する水圧駆動機構である排水弁水圧駆動部１４と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置４は、給水源である水道Ｃから供給された洗浄水を貯水タンク１０内に流入させる給水弁１９を有する。

ここで、貯水タンク１０内に貯留された洗浄水は、便器洗浄時において、排水弁１２を開弁させることにより排出され、水洗便器本体２のボウル部２ａの下部に設けられたゼット吐水口２ｂ、及びボウル部２ａのリム部２ｃに設けられたリム吐水口２ｄから吐出されるように構成されている。さらに、ボウル部２ａの下部には、排水トラップ管路２ｅが連通されており、この排水トラップ管路２ｅの入口は、ゼット吐水口２ｂと対向するように向けられている。また、給水弁１９は、水道Ｃから供給された洗浄水を、便器洗浄後、貯水タンク１０の中に流入させ、次回の便器洗浄のために貯留させる。

次に、図３を参照して、本発明の第１実施形態による洗浄水タンク装置４の構成を説明する。
図３は、本発明の第１実施形態の洗浄水タンク装置の構成を示す断面図である。

図３に示すように、本実施形態の水洗大便器装置に備えられている洗浄水タンク装置４は、貯水タンク１０と、この貯水タンク１０の排水口１０ａを開閉する排水弁１２と、この排水弁１２を駆動する水圧駆動機構である排水弁水圧駆動部１４と、を有する。さらに、洗浄水タンク装置４は、排水弁水圧駆動部１４に洗浄水を供給する吐水制御弁１８と、この吐水制御弁１８及び給水弁１９（図２）を制御するコントローラ２８と、を有する。

貯水タンク１０は、水洗便器本体２のゼット吐水口２ｂ及びリム吐水口２ｄ（図２）に供給すべき洗浄水を貯留するように構成されたタンクであり、その底部には貯留した洗浄水を水洗便器本体２へ排出するための排水口１０ａが形成されている。また、図３に示すように、排水口１０ａは、正面視において一方の端部底面に設けられており、その上方に、排水口１０ａを開閉するための排水弁１２、及び排水弁１２を駆動するための排水弁水圧駆動部１４が配置されている。また、排水弁水圧駆動部１４に洗浄水を供給する吐水制御弁１８、及び貯水タンク１０内に給水を行う給水弁１９（図３には図示せず）は、排水弁水圧駆動部１４とは反対側の端部上方に配置されている。なお、これらの吐水制御弁１８及び給水弁１９は、貯水タンク１０の満水水位Ｌ₁よりも上方に配置されている。

また、貯水タンク１０は、全体として概ね直方体形状であり、正面視において、一方の側方下部に切欠部１０ｂが設けられている。このため、貯水タンク１０は、切欠部１０ｂよりも上方ではその水平断面積が大きく、切欠部１０ｂよりも下方では水平断面積が小さくなっている。貯水タンク１０の底面の一部に、傾斜した傾斜面１０ｃが設けられており、貯水タンク１０底面の低くなった部分に排水口１０ａが設けられている。

さらに、貯水タンク１０の、正面視における水平方向中心線ＣＬに対し、一方の側（図３における右側）に排水口１０ａ、排水弁１２、及び排水弁水圧駆動部１４が設けられ、他方の側（図３における左側）に切欠部１０ｂ、吐水制御弁１８、及び給水弁１９が設けられている。この結果、貯水タンク１０内の容積は、水平方向中心線ＣＬに対し、排水口１０ａ、排水弁１２、及び排水弁水圧駆動部１４が設けられた側（図３における右側）が大きく、吐水制御弁１８、及び給水弁１９が配置された側（図３における左側）が小さくなっている。

排水弁１２は、排水口１０ａを開閉するように配置された弁体であり、排水弁１２が上方に引き上げられることにより開弁され、貯水タンク１０内の洗浄水が水洗便器本体２に排出されて、ボウル部２ａに設けられたゼット吐水口２ｂ及びリム吐水口２ｄから吐出される。

一方、水道Ｃから給水管３２に供給された洗浄水は、止水栓３２ａ、及び定流量弁３２ｂを介して、貯水タンク１０の内部に導かれ、吐水制御弁１８及び給水弁１９（図２）に分岐される。

止水栓３２ａは、メンテナンス時等に洗浄水タンク装置４への水の供給を停止させるために設けられており、通常は開栓された状態で使用される。定流量弁３２ｂは、水道Ｃから供給された水を、所定流量で流入させるために設けられており、水洗便器装置の設置環境に関わらず一定流量の水が洗浄水タンク装置４に供給されるように構成されている。

給水弁１９（図２）は、給水管３２から供給された水を貯水タンク１０内に流入させ、貯水タンク１０に貯水させるように構成されている。本実施形態において、給水弁１９は、便器洗浄の終了後に開弁され、所定の満水水位まで、貯水タンク１０内に洗浄水を貯水させるように構成されている。なお、洗浄水タンク装置４の待機状態においては、貯水タンク１０は満水水位Ｌ₁にされている。

また、給水弁１９は、給水弁本体部と、この給水弁本体部の中に配置された主弁体と、電磁弁パイロット弁と（以上、図示せず）、を備えている。さらに、給水弁１９には、給水制御用電磁弁（図示せず）が接続されており、コントローラ２８から送られた信号に基づいて、給水制御用電磁弁が電磁弁パイロット弁を移動させる。即ち、電磁弁パイロット弁は、給水弁本体部に設けられたパイロット弁口（図示せず）を開閉させ、パイロット弁口が開弁されると、給水弁本体部内に設けられた圧力室内の圧力が低下し、給水弁１９の主弁体が開弁される。また、パイロット弁口（図示せず）が閉弁されると、圧力室内の圧力が上昇し、主弁体が閉弁される。これにより、給水制御用電磁弁の作動に基づいて、給水弁１９の主弁体が開閉され、貯水タンク１０内への給水、停止が制御される。

次に、吐水制御弁１８は、給水管３２から供給された水を、排水弁水圧駆動部１４に流出させるように構成されている。また、吐水制御弁１８は、制御弁本体部１８ａと、この制御弁本体部１８ａの中に配置された主弁体１８ｂと、電磁弁パイロット弁（図示せず）と、を備えている。さらに、吐水制御弁１８には、吐水制御用電磁弁（図示せず）が接続されている。

吐水制御用電磁弁（図示せず）は、コントローラ２８から送られた信号に基づいて、吐水制御弁１８に内蔵された電磁弁パイロット弁（図示せず）を移動させ、パイロット弁口（図示せず）を開閉するように構成されている。パイロット弁口（図示せず）が開弁されると、制御弁本体部１８ａ内に設けられた圧力室内の圧力が低下し、吐水制御弁１８の主弁体１８ｂが開弁される。また、パイロット弁口（図示せず）が閉弁されると、圧力室内の圧力が上昇し、主弁体１８ｂが閉弁される。これにより、吐水制御用電磁弁の作動に基づいて、吐水制御弁１８の主弁体１８ｂが開閉され、排水弁水圧駆動部１４への給水、停止が制御される。なお、本実施形態においては吐水制御用電磁弁として、一旦通電を行うことにより、電磁弁パイロット弁が移動され、通電を停止してもその状態が維持される双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されている。このタイプの電磁弁では、反対方向にもう一度通電を行うと、電磁弁パイロット弁を元の位置に復帰させることができる。

具体的には、レバーハンドル８からの信号をコントローラ２８が受信し、コントローラ２８は吐水制御用電磁弁（図示せず）に電気信号を送って、これを作動させ、吐水制御弁１８を開弁させる。吐水制御弁１８は、コントローラ２８からの指示信号に基づいて、供給された洗浄水の、排水弁水圧駆動部１４への供給、停止を制御する。本実施形態においては、吐水制御弁１８から流出した洗浄水は、全量が流入管２３を通って排水弁水圧駆動部１４に供給される。

次に、排水弁水圧駆動部１４は、水道Ｃから供給された洗浄水の給水圧を利用して、排水弁１２を駆動するように構成されている。具体的には、排水弁水圧駆動部１４は、吐水制御弁１８から供給された水が流入するシリンダ１４ａと、このシリンダ１４ａ内に摺動可能に配置されたピストン１４ｂと、シリンダ１４ａの下端から突出して排水弁１２を駆動するロッド１５と、を有する。さらに、シリンダ１４ａの内部にはスプリング１４ｃが配置されており、ピストン１４ｂを下方に向けて付勢している。

シリンダ１４ａは円筒形の部材であり、その軸線を鉛直方向に向けて配置されると共に、内部にピストン１４ｂを摺動可能に受け入れている。また、シリンダ１４ａの下端部には、流入管２３が接続されており、吐水制御弁１８から流出した水がシリンダ１４ａ内に流入するようになっている。このため、シリンダ１４ａ内のピストン１４ｂは、シリンダ１４ａに流入した水により、スプリング１４ｃの付勢力に抗して押し上げられる。

一方、シリンダ１４ａの上端部には流出孔が設けられ、流出管２４は、この流出孔を介してシリンダ１４ａの内部と連通している。従って、シリンダ１４ａ下部に接続された流入管２３からシリンダ１４ａ内に水が流入すると、ピストン１４ｂは、シリンダ１４ａの下部から上方へ押し上げられる。そして、ピストン１４ｂが、流出孔よりも上方まで押し上げられると、シリンダ１４ａに流入した水は流出孔から流出管２４を通って流出する。即ち、流入管２３と流出管２４は、ピストン１４ｂが上方に移動されると、シリンダ１４ａの内部を介して連通される。また、流出管２４から流出した洗浄水は、貯水タンク１０の中に流入する。

ロッド１５は、ピストン１４ｂの下面に接続された棒状の部材であり、シリンダ１４ａの底面に形成された貫通孔を通って、シリンダ１４ａの中から下方に突出するように延びている。また、ロッド１５の下端には排水弁１２が接続されており、ロッド１５は、ピストン１４ｂと排水弁１２を連結している。このため、シリンダ１４ａに水が流入してピストン１４ｂが押し上げられると、ピストン１４ｂに接続されたロッド１５が排水弁１２を上方に吊り上げ、排水弁１２が開弁される。

さらに、ロッド１５の途中には、クラッチ機構２２が設けられている。クラッチ機構２２は、ロッド１５と共に排水弁１２が所定距離吊り上げられると、ロッド１５を上部ロッド１５ａと下部ロッド１５ｂに切り離すように構成されている。クラッチ機構２２が切り離された状態では、下部ロッド１５ｂ及びこれに取り付けられた排水弁１２は、ピストン１４ｂ及び上部ロッド１５ａの上部の動きに連動しなくなる。切り離された下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２は、貯水タンク１０内の水位が低下すると共に、排水口１０ａに向けて降下する。下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２が降下して、排水口１０ａに着座すると、排水口１０ａからの洗浄水の排出が停止される。

コントローラ２８は、回路基板を内蔵し、レバーハンドル８の操作に基づいて、吐水制御弁１８に接続された吐水制御用電磁弁（図示せず）、給水弁１９に接続された給水制御用電磁弁（図示せず）等を制御するように構成されている。回路基板上には、マイクロプロセッサ、メモリー、インターフェイス回路等（以上、図示せず）が設けられ、これらは便器洗浄を制御するためのソフトウェアによって作動する。

次に、図４を参照して、本発明の第１実施形態による水洗大便器装置１、及び洗浄水タンク装置４の作用を説明する。
図４は、本実施形態の洗浄水タンク装置４において、便器洗浄中の貯水タンク１０内の水位の時間的変化を示すグラフである。

まず、図４の時刻ｔ₀における便器洗浄の待機状態では、貯水タンク１０内の水位が満水水位Ｌ₁にあり、吐水制御弁１８に接続された吐水制御用電磁弁（図示せず）、及び給水弁１９に接続された給水制御用電磁弁（図示せず）への通電は行われていない。この状態では、吐水制御弁１８、及び給水弁１９は閉弁されている。

次に、図４の時刻ｔ₁において使用者が便器洗浄を実行すべくレバーハンドル８を操作すると、便器洗浄を指示する信号がコントローラ２８（図３）に送られる。便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ２８は、吐水制御弁１８の吐水制御用電磁弁に通電を行い、吐水制御弁１８を開弁させる。なお、本実施形態においては、吐水制御用電磁弁として、双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されているので、吐水制御弁１８のパイロット弁口（図示せず）を一旦開弁させた後は、通電を停止しても、開弁状態が維持される。

吐水制御弁１８が開弁されると、給水管３２から供給された水道水（洗浄水）は、吐水制御弁１８、流入管２３を通って排水弁水圧駆動部１４に供給される。排水弁水圧駆動部１４に供給された洗浄水はシリンダ１４ａに流入し、ピストン１４ｂを押し上げ、流出管２４から流出する。これにより、ピストン１４ｂに連結されたロッド１５及び排水弁１２も引き上げられ、排水口１０ａが開弁される。即ち、図４の時刻ｔ₁において洗浄操作が行われると、排水弁１２の開弁が開始され、時刻ｔ₂において排水弁１２は全開となる。

これにより、貯水タンク１０内に貯留されていた洗浄水は、排水口１０ａを通って流出する。貯水タンク１０から流出した洗浄水は、ボウル部２ａの下部に設けられたゼット吐水口２ｂ（図２）からゼット吐水として、ボウル部２ａのリム部２ｃに設けられたリム吐水口２ｄからリム吐水として吐出され、ボウル部２ａを洗浄する。

一方、排水弁水圧駆動部１４においてピストン１４ｂが押し上げられ、これに伴いロッド１５及び排水弁１２が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構２２により、下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２が、上部ロッド１５ａから切り離される。切り離された下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２は、貯水タンク１０内の洗浄水から浮力を受けながら、貯水タンク１０内の水位の低下と共に自重により排水口１０ａへ向けて降下する。

コントローラ２８（図３）は、下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２が切り離された後、吐水制御弁１８の吐水制御用電磁弁に通電を行い、吐水制御弁１８を閉弁させる。吐水制御弁１８が閉弁され、排水弁水圧駆動部１４への給水が停止されると、スプリング１４ｃによりピストン１４ｂが押し下げられる。しかしながら、下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２は切り離されているため、ピストン１４ｂ及び上部ロッド１５ａの動きとは無関係に降下を続ける。

一方、図４に示すように、時刻ｔ₁において排水弁１２が開弁すると、貯水タンク１０内に貯留されていた洗浄水が排出されるため、貯水タンク１０内の洗浄水の水位は、待機状態における満水水位Ｌ₁から低下し始める。ここで、貯水タンク１０内の水位が切欠部１０ｂよりも上方にある状態では、貯水タンク１０の水平断面積が大きいため、貯水タンク１０内の水位はゆっくり低下する。このため、排水弁１２もゆっくり降下する。

貯水タンク１０内の水位が更に低下し、貯水タンク１０内の水位が切欠部１０ｂの高さまで低下すると、この部分では貯水タンク１０の水平断面積が小さくなるため、貯水タンク１０内の水位の低下速度が速くなる。即ち、貯水タンク１０内の水位が、満水水位Ｌ₁と切欠部１０ｂの高さである変曲水位Ｌ₂との間にあるときは、水位の低下速度が遅く、貯水タンク１０内の水位が、変曲水位Ｌ₂以下になると水位の低下速度が速くなる。

即ち、図４の時刻ｔ₁において、排水弁１２が開弁された後、貯水タンク１０内の水位が変曲水位Ｌ₂よりも高い間は水位の低下速度が遅く（図４のグラフの傾きが緩やか）、時刻ｔ₃において、貯水タンク１０内の水位が変曲水位Ｌ₂まで低下すると、水位の低下速度が速くなる（図４のグラフの傾きが急になる）。このように、本実施形態においては図４に示すように、時間に対する貯水タンク１０内の水位の変化を示すグラフは、貯水タンク１０内の水位が変曲水位Ｌ₂に到達した時点で折れ曲がり、傾きが急になる。

さらに、貯水タンク１０内の水位が低下し、図４の時刻ｔ₄において、貯水タンク１０内の水位が死水水位Ｌ₃まで低下すると、排水弁１２が排水口１０ａに着座して閉弁し、貯水タンク１０からの洗浄水の排水が停止される。これにより、ゼット吐水口２ｂ及びリム吐水口２ｄからの吐水が停止される。このように、排水弁１２は、水洗便器本体２の洗浄時において、貯水タンク１０内の水位が、所定の満水水位Ｌ₁から所定の死水水位Ｌ₃に低下するまで開弁される。また、図４に示すように、貯水タンク１０内の水位の低下速度は、満水水位Ｌ₁と死水水位Ｌ₃の間の変曲水位Ｌ₂において変化し、変曲水位Ｌ₂と死水水位Ｌ₃の間の水位の低下速度は、満水水位Ｌ₁と変曲水位Ｌ₂の間の水位の低下速度よりも速い。このように、貯水タンク１０内の水位が、満水水位Ｌ₁から死水水位Ｌ₃に低下する間の水位の低下速度は、比較的速いため、これに伴って降下する排水弁１２の動きも安定し、排水弁１２は、規定量の洗浄水が排出された時点で正確に閉弁される。

さらに、洗浄時において、貯水タンク１０内の水位が満水水位Ｌ₁から変曲水位Ｌ₂まで低下するのに要する時間（時刻ｔ₁～ｔ₃）は、貯水タンク１０内の水位が変曲水位Ｌ₂から死水水位Ｌ₃まで低下するのに要する時間（時刻ｔ₃～ｔ₄）よりも長い。また、貯水タンク１０は、変曲水位Ｌ₂よりも上側に貯留される洗浄水の体積が、変曲水位Ｌ₂よりも下側（且つ死水水位Ｌ₃よりも上側）に貯留される洗浄水の体積よりも大きく構成されている。このため、洗浄時において、貯水タンク１０内の水位が満水水位Ｌ₁から変曲水位Ｌ₂まで低下する間に排水口１０ａから排出される洗浄水の量は、貯水タンク１０内の水位が変曲水位Ｌ₂から死水水位Ｌ₃まで低下するの間に排水口１０ａから排出される洗浄水の量よりも多い。

次に、貯水タンク１０内の水位が死水水位Ｌ₃まで低下した後、コントローラ２８は、給水弁１９の給水制御用電磁弁（図示せず）に通電を行い、給水弁１９を開弁させる。なお、本実施形態においては、給水制御用電磁弁として、双安定型のラッチング型ソレノイドが使用されているので、給水弁１９のパイロット弁口（図示せず）を一旦開弁させた後は、通電を停止しても、開弁状態が維持される。

給水弁１９が開弁されると、給水管３２から供給された洗浄水は、給水弁１９を通って貯水タンク１０内に流入する。これにより、貯水タンク１０内の洗浄水の水位が上昇する。コントローラ２８は、貯水タンク１０内の洗浄水の水位が所定の満水水位Ｌ₁まで上昇すると、給水弁１９の給水制御用電磁弁（図示せず）に再び通電を行い、給水弁１９を閉弁させる。これにより、水洗大便器装置１は待機状態に復帰して、一回の便器洗浄が完了する。なお、貯水タンク１０内の水位が満水水位Ｌ₁まで上昇したことを、フロートスイッチ（図示せず）によって検出し、フロートスイッチの検出に基づいて、コントローラ２８が給水弁１９に制御信号を送るように本発明を構成することもできる。

また、上述した実施形態においては、排水弁１２が閉弁された後、給水弁１９が開弁され、貯水タンク１０内への洗浄水の供給が開始されている。これに対して、変形例として、排水口１０ａからの洗浄水の排出と並行して、貯水タンク１０内への洗浄水の供給が行われるように本発明を構成することもできる。さらに、排水弁１２が閉弁された後、水道Ｃから供給された洗浄水をリフィール水としてボウル部２ａに流入させるように本発明を構成することもできる。例えば、給水弁１９を通って流入した洗浄水の一部を分岐して、これがボウル部２ａに流入するように構成しても良い。この場合には、貯水タンク１０内に、排水弁１２をバイパスして貯水タンク１０の内部とボウル部２ａを連通させるオーバーフロー管（図示せず）を設けておき、このオーバーフロー管内に分岐した洗浄水が流入するように構成することができる。

本発明の第１実施形態の水洗大便器装置１によれば、変曲水位Ｌ₂と死水水位Ｌ₃の間の水位の低下速度が速くされているので、排水口１０ａに近づいた排水弁１２は速やかに排水口１０ａを閉弁させ、排水弁１２の動作を安定させることができると共に、洗浄性能のばらつきを抑制することができる。また、満水水位Ｌ₁と変曲水位Ｌ₂の間の水位の低下速度が遅くされているので、この間に十分な量の洗浄水を水洗便器本体２に排出することができ、必要な洗浄水量を確保することができる。

また、本実施形態の水洗大便器装置１によれば、貯水タンク１０内の水位が満水水位Ｌ₁から変曲水位Ｌ₂まで低下するのに要する時間（時刻ｔ₁～ｔ₃）が、変曲水位Ｌ₂から死水水位Ｌ₃まで低下するのに要する時間（時刻ｔ₃～ｔ₄）よりも長いので、この間に十分な量の洗浄水を水洗便器本体２に排出することができ、十分な洗浄性能を確保することができる。

さらに、本実施形態の水洗大便器装置１によれば、貯水タンク１０内の水位が満水水位Ｌ₁から変曲水位Ｌ₂まで低下する間に排水口１０ａから排出される洗浄水の量が、変曲水位Ｌ₂から死水水位Ｌ₃まで低下する間に排水口１０ａから排出される洗浄水の量よりも多いので、死水水位Ｌ₃近くでの水位の低下速度を速くしながら、十分な量の洗浄水を水洗便器本体２に排出することができ、十分な洗浄性能を確保することができる。

また、本実施形態の水洗大便器装置１によれば、貯水タンク１０は、変曲水位Ｌ₂よりも上側の水平断面積が、変曲水位Ｌ₂よりも下側の水平断面積よりも大きく形成されているので、変曲水位Ｌ₂よりも下側において水位の低下速度を速くすることができ、簡便な構成で水位の低下速度を変更することができる。

さらに、本実施形態の水洗大便器装置１によれば、排水弁１２が、貯水タンク１０の水平方向中心線ＣＬに対し、一方の側に配置されているので、貯水タンク１０の、排水弁１２が配置されていない側に、容易に切欠部１０ｂを作ることができ、空間を有効に活用することができる。

また、本実施形態の水洗大便器装置１によれば、排水弁１２が、貯水タンク１０の水平方向中心線ＣＬに対し、容積の大きい側に配置されているので、排水弁１２及びそれを駆動する排水弁水圧駆動部１４を、容易に貯水タンク１０内に収容することができる。

さらに、本実施形態の水洗大便器装置１によれば、貯水タンク１０の底面に傾斜面１０ｃが設けられ、底面の、排水弁１２が設けられている部分が低くされているので、貯水タンク１０内の洗浄水は排水弁１２が設けられている部分に集められ、貯水タンク１０内の洗浄水を有効に活用することができる。

次に、図５を参照して、本発明の第２実施形態による洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗大便器装置を説明する。
本実施形態の洗浄水タンク装置、及びそれを備えた水洗大便器装置は、貯水タンクの形状、及びコントローラ２８による給水弁１９の制御が上述した第１実施形態とは異なっている。従って、以下では、本発明の第２実施形態の、第１実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。

図５は、本発明の第２実施形態による水洗大便器装置における便器洗浄中の貯水タンク１０内の水位の時間的変化、及び給水弁１９の状態を示すグラフである。即ち、図５の上段には給水弁１９の開閉状態を示し、下段には貯水タンク内の水位の時間的変化を示している。

また、上述した第１実施形態においては、貯水タンク１０の下部に切欠部１０ｂが設けられており、貯水タンク１０の上部の水平断面積は、下部の水平断面積よりも大きくされていた。これに対し、本実施形態においては、貯水タンクに切欠部は設けられておらず、貯水タンクの水平断面積は、満水水位から死水水位までほぼ一定である（図示せず）点が、第１実施形態とは異なっている。

まず、図５の時刻ｔ₁₀における便器洗浄の待機状態では、貯水タンク内の水位が満水水位Ｌ₁にあり、吐水制御弁１８、及び給水弁１９は閉弁されている。

次に、図５の時刻ｔ₁₁において使用者が便器洗浄を実行すべくレバーハンドル８を操作すると、便器洗浄を指示する信号がコントローラ２８（図３）に送られる。便器洗浄の指示信号を受信すると、コントローラ２８は、吐水制御弁１８の吐水制御用電磁弁に通電を行い、吐水制御弁１８を開弁させる。

吐水制御弁１８が開弁されると、給水管３２から供給された水道水（洗浄水）は、排水弁水圧駆動部１４のシリンダ１４ａに流入し、ピストン１４ｂを押し上げる。これにより、ピストン１４ｂに連結されたロッド１５及び排水弁１２も引き上げられ、排水口１０ａが開弁される。即ち、図５の時刻ｔ₁₁において洗浄操作が行われると、排水弁１２の開弁が開始され、時刻ｔ₁₂において排水弁１２は全開となる。

これにより、貯水タンク内に貯留されていた洗浄水は、ボウル部２ａのゼット吐水口２ｂ（図２）、及びリム吐水口２ｄから吐出され、ボウル部２ａが洗浄される。

また、図５の上段に示すように、コントローラ２８は、時刻ｔ₁₁において、給水弁１９の給水制御用電磁弁に通電を行い、給水弁１９を開弁させる。このため、時刻ｔ₁₁以降は、吐水制御弁１８と給水弁１９が同時に開弁され、貯水タンクからの排水と、給水弁１９を介した貯水タンク内への給水が並行して行われる。

一方、排水弁水圧駆動部１４においてピストン１４ｂが押し上げられ、これに伴いロッド１５及び排水弁１２が所定位置まで引き上げられると、クラッチ機構２２により、下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２が、上部ロッド１５ａから切り離される。切り離された下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２は、貯水タンク１０内の洗浄水から浮力を受けながら、貯水タンク１０内の水位の低下と共に自重により排水口１０ａへ向けて降下する。コントローラ２８（図３）は、下部ロッド１５ｂ及び排水弁１２が切り離された後、吐水制御弁１８の吐水制御用電磁弁に通電を行い、吐水制御弁１８を閉弁させる。

一方、図５に示すように、時刻ｔ₁₁において、排水弁１２が開弁されると共に、給水弁１９を介した貯水タンク内への給水が開始される。ここで、排水口１０ａを介して貯水タンクから排出される洗浄水の流量（Ｌ／ｍｉｎ）は、給水弁１９を介して貯水タンク内に流入する洗浄水の流量（Ｌ／ｍｉｎ）よりも大きいため、貯水タンク内の水位は低下する。

次いで、貯水タンク内の水位が所定の変曲水位Ｌ₂まで低下した、時刻ｔ₁₃において、コントローラ２８（図３）は、給水弁１９の給水制御用電磁弁（図示せず）に再び通電を行い、給水弁１９を閉弁させる。これにより、水道Ｃから供給された洗浄水の、貯水タンク内への流入が停止される。このため、水位が変曲水位Ｌ₂まで低下すると、貯水タンク内への洗浄水の流入が停止され、貯水タンク内の水位の低下速度が速くなる。即ち、貯水タンク内の水位が、満水水位Ｌ₁と変曲水位Ｌ₂との間にあるときは、水位の低下速度が遅く、貯水タンク内の水位が、変曲水位Ｌ₂以下になると水位の低下速度が速くなる。

これにより、図４の時刻ｔ₁₁において、排水弁１２が開弁された後、貯水タンク内の水位が変曲水位Ｌ₂よりも高い間は水位の低下速度が遅く（図５のグラフの傾きが緩やか）、時刻ｔ₁₂において、貯水タンク内の水位が変曲水位Ｌ₂まで低下すると、水位の低下速度が速くなる（図５のグラフの傾きが急になる）。即ち、本実施形態においては図５に示すように、時間に対する貯水タンク内の水位の変化を示すグラフは、貯水タンク内の水位が変曲水位Ｌ₂に到達した時点で折れ曲がり、傾きが急になる。

なお、本実施形態においては、フロートスイッチ（図示せず）により貯水タンク内の水位を検出し、水位が所定の変曲水位Ｌ₂まで低下したことが検出されると、コントローラ２８（図３）が、給水弁１９を閉弁させている。また、変形例として、図４の時刻ｔ₁₁において給水弁１９を開弁させた後、所定時間経過後の時刻ｔ₁₃に給水弁１９を閉弁させるように本発明を構成することもできる。また、本実施形態においては、貯水タンク内の水位が変曲水位Ｌ₂まで低下すると、給水弁１９を閉弁し、洗浄水の供給を停止させているが、変形例として、給水弁１９を介した洗浄水の供給を完全に停止させず、供給する流量（Ｌ／ｍｉｎ）を低下させるように本発明を構成することもできる。

さらに、貯水タンク内の水位が低下し、図５の時刻ｔ₁₄において、貯水タンク内の水位が死水水位Ｌ₃まで低下すると、排水弁１２が排水口１０ａに着座して閉弁し、貯水タンクからの洗浄水の排水が停止される。これにより、ゼット吐水口２ｂ及びリム吐水口２ｄからの吐水が停止される。このように、排水弁１２は、水洗便器本体２の洗浄時において、貯水タンク１０内の水位が、所定の満水水位Ｌ₁から所定の死水水位Ｌ₃に低下するまで開弁される。また、図５に示すように、貯水タンク内の水位の低下速度は、満水水位Ｌ₁と死水水位Ｌ₃の間の変曲水位Ｌ₂において変化し、変曲水位Ｌ₂と死水水位Ｌ₃の間の水位の低下速度は、満水水位Ｌ₁と変曲水位Ｌ₂の間の水位の低下速度よりも速い。このように、貯水タンク内の水位が、満水水位Ｌ₁から死水水位Ｌ₃に低下する間の水位の低下速度は、比較的速いため、これに伴って降下する排水弁１２の動きも安定し、排水弁１２は、規定量の洗浄水が排出された時点で正確に閉弁される。

さらに、本実施形態においても、洗浄時において、貯水タンク１０内の水位が満水水位Ｌ₁から変曲水位Ｌ₂まで低下するのに要する時間（時刻ｔ₁₁～ｔ₁₃）は、貯水タンク内の水位が変曲水位Ｌ₂から死水水位Ｌ₃まで低下するのに要する時間（時刻ｔ₁₃～ｔ₁₄）よりも長い。さらに、洗浄時において、貯水タンク内の水位が満水水位Ｌ₁から変曲水位Ｌ₂まで低下する間に排水口１０ａから排出される洗浄水の量は、貯水タンク内の水位が変曲水位Ｌ₂から死水水位Ｌ₃まで低下するの間に排水口１０ａから排出される洗浄水の量よりも多い。

次に、貯水タンク内の水位が死水水位Ｌ₃まで低下した後、コントローラ２８は、給水弁１９を開弁させ、給水管３２から供給された洗浄水を、貯水タンクに流入させる。コントローラ２８は、貯水タンク内の洗浄水の水位が所定の満水水位Ｌ₁まで上昇すると、給水弁１９を閉弁させる。これにより、水洗大便器装置１は待機状態に復帰して、一回の便器洗浄が完了する。

本発明の第２実施形態の水洗大便器装置によれば、満水水位Ｌ₁から変曲水位Ｌ₂までの間は、貯水タンクへの給水を行いながら、排水が行われるので、水位の低下速度を低くすることができる。このため、水平断面積がほぼ一定に形成された通常の貯水タンクを使用した場合でも、変曲水位Ｌ₂と死水水位Ｌ₃の間の水位の低下速度を、満水水位Ｌ₁と変曲水位Ｌ₂の間の水位の低下速度よりも速くすることができる。

以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、貯水タンクからリム吐水口、ゼット吐水口へ洗浄水が供給されていたが、何れか一方の吐水口に、水道から直接、洗浄水が供給されるように本発明を構成することもできる。さらに、上述した実施形態においては、吐水口としてリム吐水口、ゼット吐水口が設けられていたが、任意の吐水口を有する水洗大便器に本発明を適用することができる。また、上述した本発明の各実施形態に備えられている任意の構成要素を、他の実施形態の構成と任意に組み合わせて本発明を構成することができる。

１ 水洗大便器装置
２ 水洗便器本体（水洗大便器）
２ａ ボウル部
２ｂ ゼット吐水口
２ｃ リム部
２ｄ リム吐水口
４ 洗浄水タンク装置
８ レバーハンドル
１０ 貯水タンク（洗浄水タンク本体）
１０ａ 排水口
１０ｂ 切欠部
１０ｃ 傾斜面
１２ 排水弁
１４ 排水弁水圧駆動部
１４ａ シリンダ
１４ｂ ピストン
１４ｃ スプリング
１５ ロッド
１５ａ 上部ロッド
１５ｂ 下部ロッド
１８ 吐水制御弁
１８ａ 制御弁本体部
１８ｂ 主弁体
１９ 給水弁
２２ クラッチ機構
２４ 流出管
２８ コントローラ
３２ 給水管
３２ａ 止水栓
３２ｂ 定流量弁

Claims (8)

1. 水洗大便器を洗浄するための洗浄水を貯留する洗浄水タンク装置であって、
   排水口を備え、洗浄水を貯留する洗浄水タンク本体と、
   給水源から供給された洗浄水を上記洗浄水タンク本体内に流入させる給水弁と、
   この洗浄水タンク本体内に設けられ、上記排水口を開閉することにより、上記洗浄水タンク本体内に貯留された洗浄水の、上記水洗大便器への排水、停止を切り替える排水弁と、
   を有し、
   上記排水弁は、上記水洗大便器の洗浄時において、上記洗浄水タンク本体内の水位が、所定の満水水位から所定の死水水位に低下するまで開弁されると共に、上記洗浄水タンク本体内の水位の低下速度は、上記満水水位と上記死水水位の間の所定の変曲水位において変化し、
   上記洗浄水タンク本体は、上記変曲水位よりも上側の水平断面積が、上記変曲水位よりも下側の水平断面積よりも大きく形成され、これにより、上記変曲水位と上記死水水位の間の水位の低下速度は、上記満水水位と上記変曲水位の間の水位の低下速度よりも速いことを特徴とする洗浄水タンク装置。
2. 上記水洗大便器の洗浄時において、上記洗浄水タンク本体内の水位が上記満水水位から上記変曲水位まで低下するのに要する時間は、上記洗浄水タンク本体内の水位が上記変曲水位から上記死水水位まで低下するのに要する時間よりも長い請求項１記載の洗浄水タンク装置。
3. 上記水洗大便器の洗浄時において、上記洗浄水タンク本体内の水位が上記満水水位から上記変曲水位まで低下する間に上記排水口から排出される洗浄水の量は、上記洗浄水タンク本体内の水位が上記変曲水位から上記死水水位まで低下するの間に上記排水口から排出される洗浄水の量よりも多い請求項１又は２に記載の洗浄水タンク装置。
4. 上記排水弁は、上記洗浄水タンク本体の水平方向中心線に対し、一方の側に配置されている請求項１乃至３の何れか１項に記載の洗浄水タンク装置。
5. 上記洗浄水タンク本体は、その水平方向中心線に対し、一方の側の容積が、他方の側の容積よりも大きく構成されており、上記排水弁は、上記洗浄水タンク本体の水平方向中心線に対し、容積の大きい側に配置されている請求項１乃至４の何れか１項に記載の洗浄水タンク装置。
6. 上記洗浄水タンク本体の底面は少なくとも一部が傾斜しており、上記底面の、上記排水弁が設けられている部分が低くされている請求項１乃至５の何れか１項に記載の洗浄水タンク装置。
7. 上記給水弁は、上記排水弁が開弁され、上記洗浄水タンク本体内の水位が上記満水水位から上記変曲水位に低下するまでの間に、給水源から供給された洗浄水を上記洗浄水タンク本体内に流入させるように構成されると共に、上記洗浄水タンク本体内の水位が上記変曲水位よりも低くなると、給水源からの洗浄水の流入を停止させ、又は流入させる流量を低下させる請求項１乃至３の何れか１項に記載の洗浄水タンク装置。
8. 水洗大便器装置であって、
   ボウル部、及びこのボウル部を洗浄するための洗浄水を吐出するリム吐水口及びゼット吐水口を備えた水洗大便器と、
   上記ゼット吐水口から吐出させるための洗浄水を貯留する請求項１乃至６の何れか１項に記載の洗浄水タンク装置と、
   を有することを特徴とする水洗大便器装置。

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