JP7409970B2 - 吸音構造 - Google Patents
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Description
鉄道通過音などのように音源方向が一定で方向性を持つ音を効率良く吸音するには、特許文献1に記載の反射板を内蔵した吸音パネルは非常に適している。
[1]対向する第1の面及び第2の面を有する中空形状であり、前記中空形状の内部に前記第1の面側の第1の領域及び前記第2の面側の第2の領域を有する筐体と、前記第1の領域おいて、前記第2の領域に向かって音源から発せられる音に対して正対する向きに傾斜し、互いに略平行に配置された複数の反射板と、前記第1の領域を充填する第1の吸音材と、前記第2の領域を充填する第2の吸音材とを備える、吸音構造。
[2]前記第1の面及び前記第2の面の法線方向における前記反射板の存在領域は、前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材の総厚に対して70%以下である、[1]に記載の吸音構造。
[3]前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材は、撥水性又は防水性を有するクロス及びフィルムのいずれかにより、それぞれ独立して覆われている、[1]又は[2]に記載の吸音構造。
[4]前記第1の領域と前記第2の領域は、上下方向に段違いであり、前記第2の領域が前記第1の領域より上方に配置されている、[1]~[3]のいずれかに記載の吸音構造。
[5]前記反射板の板厚は、0.1mm以上3.2mm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の吸音構造。
[6]前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材が乾式材料であり、前記乾式材料の密度は、16kg/m3以上64kg/m3以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の吸音構造。
[7]前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材が湿式材料であり、前記湿式材料の密度は、20kg/m3以上100kg/m3以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の吸音構造。
本発明の第1の実施形態に係る吸音構造1は、図1に示すように、対向する第1の面11及び第2の面12を有する中空形状であり、中空形状の内部に第1の面11側の第1の領域R1及び第2の面12側の第2の領域R2を有する筐体10と、第1の領域R1おいて、第2の領域R2に向かって音源50から発せられる音に対して正対する向きに傾斜し、互いに略平行に配置された複数の反射板20と、第1の領域R1を充填する第1の吸音材30と、第2の領域R2を充填する第2の吸音材40とを備える。
筐体10の形状は、対向する第1の面11及び第2の面12を有する中空形状であり、図1においては、直方体であるが特に限定されず、立方体、円柱、正四面体であってもよく、これら以外の他の形状であってもよい。
例えば、筐体10を構成する第2の面12に設けられる多数の貫通孔は、音源50から筐体10に直接入射する音の吸収に効果を奏する。また、筐体10を構成する上面13に多数の貫通孔が設けられている場合、筐体10の上部を超える音Sの吸収に効果を奏する。
筐体10を構成する面の貫通孔による開口率は、20%以上70%以下であることが好ましく、35%以上65%以下であることがより好ましく、40%以上60%以下であることがさらに好ましい。筐体10を構成する面の貫通孔による開口率が上記範囲内であることで、筐体10の剛性及び耐久性を維持しつつ、音源50からの騒音に対する吸収効果を効率よく奏することができる。なお、筐体10を構成する面の貫通孔による開口率とは、筐体10を構成する面を平面視したときに、周囲のフレーム部分を除いた貫通孔を含む面全体の面積に対する貫通孔の面積の割合である。
防音壁を構成するための吸音構造1である場合、第1の面11は十分な遮音性能を持った平板であることが好ましい。上面13及び下面14は、平板であってもよい。
反射板20は、1枚だけでは吸音効果が不十分であり、複数枚設けられる。具体的には、反射板20は、第2の領域R2に向かって音源に対して正対する向きに傾斜し、互いに隣接する少なくとも2枚が略平行であればよい。
反射板20は、第2の領域R2に向かって音源に対して正対する向きに傾斜して配置されることで、音源50に対して所定の角度で互いに隣接する少なくとも2枚が略平行に配置される。
他の反射板20は、所定の角度を保ち非平行でお互いに交差するように設けられていてもよい。
複数の反射板20が、音源50に対して所定の角度で互いに略平行に設けられることによって、吸音構造1を防音壁に採用したときに、防音壁と車輌との間で多重反射して防音壁外部に漏れていた騒音の多重反射部分の方向を変え、騒音が防音壁外側に漏れにくくなり防音効果が増大する。
また、反射板20間で騒音が多重反射することによって、多重反射中の音が第1の吸音材30の中を通過することで減衰量が大きくなり、さらに防音効果が増大する。
なお、本明細書における略平行とは、厳密な意味での平行のみを意味するのではなく、上記騒音の多重反射の方向を変えうる程度の角度を許容する意味であり、通常は互いに隣接する反射板が±10°以内にあればよい。
例えば、第2の領域R2に固定部材(図示せず)を備え、反射板20を固定部材に固定する手段でもよく、反射板20を第2の吸音材40で反射板20を固定する手段でもよい。
中でも、反射板20の傾斜角度の設定及び保持が容易である観点から、反射板20を固定部材に固定する手段が好ましい。
図1に示すように、反射板20の下端部20aを第2の領域R2の第2の面11側に備える固定部材に固定した場合、反射板20と固定部材とのなす角θは、10°以上65°以下であることが好ましく、12°以上55°以下であることがより好ましく、15°以上45°以下であることがさらに好ましい。反射板20と固定部材とのなす角θが上記範囲内であることで、反射板20が音源50に対して所定の角度で設けられ防音効果を向上させることができる。
反射板20の存在領域E2が第1の吸音材30及び第2の吸音材40の総厚E1に対して上記上限値以下であることで、音が反射板20で反射して第2の面12側から出る場合に、音の経路に第1の吸音材30及び第2の吸音材40が存在することになり、吸音効果を高めることができる。
反射板20の面密度が上記下限値以上であることで、音の反射量が増大し、音が外に漏れにくくなる。また、反射板20の面密度が上記上限値以下であることで、吸音構造1の軽量化を図ることができる。
第1の吸音材30は、第1の領域R1の反射板20間を充填する。また、第2の吸音材40は、第2の領域R2を充填する。つまり、第1の吸音材30及び第2の吸音材40によって、筺体10の内部が充填されることになり、防音壁と車輌との間で発生する多重反射を吸音することで防音効果が大きくなる。また、第1の吸音材30及び第2の吸音材40によって、反射板20を設けたことで生じる筺体10の内部での多重反射音及び直接反射音を取り除く(吸音する)ことが可能となり、さらに防音効果を向上させることができる。
吸音材30と吸音材40は、一体成型されたものであっても、分割されたものであってもよい。
なお、ガラスクロスは、特に限定されるものではないが、吸音性能と飛散防止性能とのバランスから目の密度及び厚みがEP12D相当からEP18B相当(JIS R 3414:2012)の範囲にあるものであることが好ましい。
第2の実施形態において第1の実施形態と相違する点は、図2に示すように、第1の領域R1と第2の領域R2は、上下方向に段違いであり、第2の領域R2が第1の領域R1より上方に配置されている点である。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。また、以下では、異なる実施形態の説明でも、同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
なお、本発明における吸音構造の評価方法は以下のとおりである。
試験方法は、平成7年度建設技術評価制度(国土交通省)公募課題「騒音低減効果の大きい吸音板の開発」で規定された吸音性能試験方法(斜入射吸音率法)に準じて行った。
(吸音構造)
対向する第1の面及び第2の面を有する中空形状であり、中空形状の内部に第1の領域及び第2の領域を有する直方体の筐体(亜鉛系合金メッキ鋼板、日鉄日新製鋼社製、商品名「ZAM(登録商標)鋼板」)を用意した。筐体の壁面の厚みは2.3mm、第1の面は、4.5mmの平板鋼板、第2の面は、1.2mmの多孔板とした。
第1の面及び第2の面の法線方向における第1の領域の厚みは50mmであり、第2の領域の厚みは50mmであった。
第1の領域おいて、第2の領域に向かって斜め上方に傾斜し、互いに略平行に配置された反射板(亜鉛系合金メッキ鋼板、新日本製鉄社製、商品名「ZAM(登録商標)鋼板」)を設けた。反射板の面密度は0.31g/cm2、反射板の板厚は0.4mm、固定部材とのなす角は23°とした。
第1の領域おいて、反射板を設けた後、第1の領域を第1の吸音材(グラスウール、マグ・イゾベール株式会社製)で充填した。第1の吸音材の密度は、32kg/m3とした。
第2の領域を第2の吸音材(グラスウール、マグ・イゾベール株式会社製)で充填した。第2の吸音材の密度は、32kg/m3とした。
なお、第1の面及び第2の面の法線方向における反射板の存在領域は、第1の吸音材及び第2の吸音材の総厚に対して50%であった。
この吸音構造の評価結果を図3のグラフに示す。
実施例1において、第2の領域がない筐体に変更し、第2の吸音材を無くした以外は実施例1と同様に吸音構造を得た。
この吸音構造の評価結果を図4のグラフに示す。
実施例1において、第1の面及び第2の面の法線方向における反射板の存在領域が、第1の吸音材及び第2の吸音材の総厚に対して100%に変更した以外は実施例1と同様に吸音構造を得た。
この吸音構造の評価結果を図5のグラフに示す。
実施例1において、反射板を無くして、第1の面及び第2の面の法線方向における反射板の存在領域が、第1の吸音材及び第2の吸音材の総厚に対して0%に変更した以外は実施例1と同様に吸音構造を得た。
この吸音構造の評価結果を図6のグラフに示す。
これに対して、比較例1~3では、低周波領域に対して防音効果が不良であった。
10 筐体
11 第1の面
12 第2の面
20 反射板
20a 下端部
30 第1の吸音材
40 第2の吸音材
50 音源
Claims (7)
- 対向する第1の面及び第2の面を有する中空形状であり、前記中空形状の内部に前記第1の面側の第1の領域及び前記第2の面側の第2の領域を有する筐体と、
前記第1の領域おいて、前記第2の領域に向かって音源から発せられる音に対して正対する向きに傾斜し、互いに略平行に配置された複数の反射板と、
前記第1の領域を充填する第1の吸音材と、
前記第2の領域を充填する第2の吸音材とを備える、吸音構造。 - 前記第1の面及び前記第2の面の法線方向における前記反射板の存在領域は、前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材の総厚に対して70%以下である、請求項1に記載の吸音構造。
- 前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材は、撥水性又は防水性を有するクロス及びフィルムのいずれかにより、それぞれ独立して覆われている、請求項1又は2に記載の吸音構造。
- 前記第1の領域と前記第2の領域は、上下方向に段違いであり、前記第2の領域が前記第1の領域より上方に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸音構造。
- 前記反射板の板厚は、0.1mm以上3.2mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸音構造。
- 前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材が乾式材料であり、前記乾式材料の密度は、16kg/m3以上64kg/m3以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸音構造。
- 前記第1の吸音材及び前記第2の吸音材が湿式材料であり、前記湿式材料の密度は、20kg/m3以上100kg/m3以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸音構造。
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