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JP7496457B1 - 大豆含有乾燥麺類、麺セット及び大豆含有乾燥麺類の製造方法 - Google Patents

大豆含有乾燥麺類、麺セット及び大豆含有乾燥麺類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大豆粉を30質量%以上含有する原料粉を用いて、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好な大豆含有乾燥麺類及び麺セット並びに大豆含有乾燥麺類の製造方法を提供する。【解決手段】大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンを5質量%以上15質量%以下又は大豆粉100質量部あたり10~29質量部と、多糖類とを含有する原料粉を用いて生地を調製する工程S1と、該生地を成形して麺類を得る製麺工程S2と、麺類を乾燥させる乾燥工程S3とを行って大豆含有乾燥麺類を製造し、該大豆含有乾燥麺類と調味液とを組み合わせて麺セットとする。【選択図】図1

Description

本発明は、大豆粉を含む原料を用いて製造された大豆含有乾燥麺類、この大豆含有乾燥麺類を備える麺セット及び大豆粉を含む原料を用いて大豆含有乾燥麺類を製造する方法に関する。
近年、健康志向の高まりから、高たんぱく低糖質の食品が求められており、麺類も原料粉に大豆粉を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1~4参照。)。例えば、特許文献1には、小麦全粒粉を15質量%以上22質量%以下、大豆粉を3質量%以上15質量%以下、米糠を3質量%以上6質量%以下含有する麺が記載されている。また、特許文献2には、粒径255μm以上の粒子を3質量%以上含み、且つ中位径が70μm未満である大豆粉砕物を5質量%以上含む麺類用組成物を用いた麺類が記載されている。
更に、特許文献3には、大豆臭さやエグミを抑制するため、大豆由来たんぱく質含有材料と、タピオカ澱粉とを含み、大豆由来たんぱく質含有材料の量が、大豆由来たんぱく質含有材料と澱粉質原料との合計量100質量部に対して、40質量部以上である大豆麺が記載されている。一方、特許文献4には、大豆含有麺質量比で1倍量の水との攪拌混合物をレオメータにより直径1.8mmの円錐型プランジャーを用いて測定した付着性が300J/m以下である大豆粉を7~50質量%の範囲で含有する原料穀粉を用いて製造することで、製麺適性を良好にした大豆含有麺が記載されている。
国際公開第2022/004126号 特開2022-097951号公報 特開2022-110419号公報 特開2022-155950号公報
前述した従来の大豆含有麺類は、原料粉中の大豆粉量を多くすればより高たんぱくで低糖質な麺類が得られるが、大豆含有量が多くなるに従い生地や麺線の結着性が低下するため、製麺適性の低下や食感の劣化が生じる。これらの問題は、短時間調理や電子レンジ調理を可能とするために麺厚を薄くした場合に特に発生しやすく、大豆粉を特定量以上含有させても製麺適性や結着性が低下せず、麺線が切れにくい大豆含有乾燥麺類が求められている。
そこで、本発明は、大豆粉を30質量%以上含有する原料粉を用いて、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好な大豆含有乾燥麺類、麺セット及び大豆含有乾燥麺類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る大豆含有乾燥麺類は、原料粉全質量に対して、大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンを5質量%以上15質量%以下と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.6~4質量%とを含有する。
本発明に係る他の大豆含有乾燥麺類は、大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し、前記大豆粉含有量が、原料粉全質量に対して30質量%以上84質量%未満であり、前記グルテン含有量が、原料粉全質量に対して5質量%以上15質量%以下、又は、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、前記大豆粉100質量部あたり1.2~7.5質量部である。
記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えば、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである
本発明の大豆含有乾燥麺類は、更に、サイリウムシードガム、アルギン酸エステル及びキサンタンガムのうち少なくとも1種の多糖類を含有していてもよい。
本発明の大豆含有乾燥麺類は、更に、小麦粉を含有し、前記グルテンの一部が前記小麦粉由来のグルテンでもよい。
また、本発明の大豆含有乾燥麺類は、麺厚が1.5mm以下でもよい。
本発明に係る麺セットは、前述した大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える。
本発明に係る大豆含有乾燥麺類の製造方法は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有する原料粉を用いて生地を調製する工程と、該生地を成形して麺類を得る製麺工程と、前記麺類を乾燥させる乾燥工程とを有し、前記原料粉は、グルテンを5~15質量%及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.6~4質量%含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを1.2~7.5質量部含有する。
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースには、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sのものを用いることができる。
前記原料粉には、更に、サイリウムシードガム、アルギン酸エステル及びキサンタンガムのうち少なくとも1種の多糖類が配合されていてもよい。
本発明の大豆含有乾燥麺類の製造方法では、前記製麺工程において、前記生地を圧延して麺帯を形成し、前記麺帯から麺線を切り出してもよい。
ここで、本発明における「原料粉」には、粉状の全ての原料が含まれ、主原料である穀粉(大豆粉や小麦粉など)の他に、グルテン粉、多糖類、澱粉類、食塩、かんすい、野菜粉末、マンナン粉、粉末油脂、増粘多糖類、色素、アミノ酸類、糖類、デキストリン、乾燥卵白、pH調整剤、日持向上剤など副原料も含む。
本発明によれば、大豆粉を30質量%以上含有する原料粉を用いても、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好な大豆含有乾燥麺類が得られる。
本発明の第1の実施形態の大豆含有乾燥麺類の製造方法を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係る大豆含有乾燥麺類(以下、単に「乾燥麺類」ともいう。)について説明する。本実施形態の乾燥麺類は、大豆粉を原料粉全質量に対して30質量%以上84質量%未満含有し、更に、グルテン及び多糖類を特定量含有する。
[大豆粉]
大豆粉は、本実施形態の乾燥麺類における主原料の1つであり、原料粉中に30質量%以上84質量%未満の割合で配合されている。原料粉中の大豆粉量の下限値は、製麺適性や麺線の結着性の観点からは特に限定されるものではないが、大豆粉含有量が少ないと、大豆粉配合の効果(麺類の高たんぱく・低糖質化)が十分に得られないため、本実施形態の乾燥麺類では、原料粉全質量に対する大豆粉含有率は30質量%以上とする。
一方、大豆粉含有量が、原料粉全質量に対して84質量%以上の場合、つながり強度が低下して麺線が切れやすくなったりする。このため、本実施形態の乾燥麺類では、原料粉における大豆粉含有率を84質量%未満とする。なお、原料粉の大豆粉含有率は、81質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
本実施形態の乾燥麺類に配合される大豆粉は、全脂大豆粉及び脱脂大豆粉のいずれでもよく、また、加熱大豆粉及び生大豆粉のいずれでもよいが、全脂大豆粉を用いると麺の風味が向上し、生大豆粉を用いると製麺適性が向上する。更に、大豆の種類も特に限定されるものではなく、黄大豆、黒大豆、赤大豆、青大豆、白大豆、大粒種、中粒種及び小粒種などの各種大豆を用いることができ、リポキシゲナーゼ欠失大豆を用いてもよい。
[グルテン]
小麦に含まれるたんぱく質であるグルテンは、麺線の結着性を確保するために必要な成分であり、本実施形態の乾燥麺類では、原料粉中に5~15質量%の割合で配合されているか、又は、前述した大豆粉100質量部に対して10~29質量部配合されている。グルテン含有量が、原料粉全質量に対して5質量%未満、又は、大豆粉100質量部あたり10質量部未満の場合、製麺適性が不足して圧延による麺帯形成に支障がでたり、つながり強度が低下して麺線が切れやすくなったりする。なお、製麺適性向上の観点から、原料粉中のグルテン含有率は7質量%以上又は大豆粉100質量部あたり14質量部以上であることが好ましく、より好ましくは原料粉全質量に対して10質量%以上である。
一方、グルテン含有量が、原料粉全質量に対して15質量%超、又は、大豆粉100質量部あたり29質量部超の場合、グルテン過多により圧延成形後の麺帯に収縮が生じ、麺線形成に支障がでることがある。なお、グルテン量は、原料粉全質量に対する含有率及び大豆粉100質量部あたりの含有量のいずれかが前述した範囲であればよい。
本実施形態の乾燥麺類においてグルテンは、主にグルテン粉として添加されるが、原料粉として小麦粉を配合する場合には、小麦粉中のグルテン(たんぱく質)も含む。グルテン粉のみ配合する(小麦粉が含まれない)場合は、グルテン粉中のたんぱく質の量が前述した範囲になるよう配合すればよく、更に原料粉に小麦粉が含まれる場合は、グルテン粉中のたんぱく質と小麦粉中のたんぱく質の総量が前述した範囲になるようにそれぞれ配合すればよい。
[多糖類]
多糖類は、大豆含有麺類において製麺適性や結着性を向上させる効果があり、本実施形態の乾燥麺類では必須の成分である。多糖類の種類は、特に限定されるものではなく、大豆粉配合量やその他の配合成分、求められる食感などに応じて適宜設定することができるが、例えば粘度(溶液での粘度)が高いものを用いると、多糖類の配合量を少なくすることができる。
本実施形態の乾燥麺類に配合される多糖類としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:Hydroxypropyl Methylcellulose)、サイリウムシードガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA:Propylene Glycol Alginate;以下、「アルギン酸エステル」と略す。)及びキサンタンガムが挙げられ、これらの多糖類は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前述した多糖類の中でも、特にHPMC及びサイリウムシードガムが好ましく、これらを用いることにより製麺適性及び結着性を更に向上させることができる。
〔HPMC〕
HPMCは、製麺適性や結着性を向上させる効果が高く、本実施形態の乾燥麺類に用いる場合は、原料粉中に0.6~4質量%の割合で配合するか、又は、前述した大豆粉100質量部に対して1.2~7.5質量部の割合で配合する。HPMC含有量が、原料粉全質量に対して0.6質量%未満、又は、大豆粉100質量部あたり1.2質量部未満の場合、製麺適性や結着性の向上効果が十分に得られないことがある。
一方、HPMC量が、原料粉全質量に対して4質量%を超えるか、又は、大豆粉100質量部あたり7.5質量部を超える場合、製麺適性が低下することがある。なお、HPMC量は、原料粉全質量に対する含有率及び大豆粉100質量部あたりの含有量のいずれかが前述した範囲であればよい。
HPMCの種類は、特に限定されるものではないが、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sであるものが好ましく、これにより、製麺適性及び麺線の結着性を更に向上させることができ、麺線が切れにくく、食感にも優れる大豆含有乾燥麺類が得られる。
〔サイリウムシードガム〕
サイリウムシードガムも、前述したHPMCと同様に製麺適性や結着性を向上させる効果が高い多糖類である。本実施形態の乾燥麺類にサイリウムシードガムを用いる場合は、原料粉中に0.3~5質量%の割合で配合するか、又は、前述した大豆粉100質量部に対して0.6~10質量部の割合で配合する。サイリウムシードガム含有量が、原料粉全質量に対して0.3質量%未満、又は、大豆粉100質量部あたり0.6質量部未満の場合、製麺適性や結着性の向上効果が十分に得られないことがある。
一方、サイリウムシードガム量が、原料粉全質量に対して5質量%を超えるか、又は、大豆粉100質量部あたり10質量部を超える場合、製麺適性が低下することがある。なお、サイリウムシードガム量は、原料粉全質量に対する含有率及び大豆粉100質量部あたりの含有量のいずれかが前述した範囲であればよい。
[その他の原料]
本実施形態の乾燥麺類に用いられる原料粉には、前述した各成分の他に、大豆粉以外の穀粉や澱粉類が配合されていてもよい。大豆粉以外の穀粉としては、例えば小麦、大麦及びライ麦などの麦類、米、蕎麦及びトウモロコシなどの穀物を、必要に応じて精選、洗浄又は精白し、生のまま又は熱加工してアルファー化した後、製粉(粉化)したものなどが挙げられる。
これらの穀粉は、用途や目的に応じて適宜選択して使用すればよく、単独で用いても、複数の穀粉を組み合わせて使用してもよい。例えばうどん、冷や麦、そうめん、中華麺及びパスタなどを製造する場合は小麦粉、そばを製造する場合はそば粉又はそば粉と小麦粉、ビーフンやフォーなどを製造する場合は米粉が用いられる。
また、澱粉類としては、例えばコーンスターチ、馬鈴薯、かんしょ、タピオカ、サゴ椰子、小麦、米、葛、わらび、蓮根、緑豆及びその他の豆類由来の澱粉が挙げられ、生澱粉の他、α化澱粉、アセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋澱粉などの加工澱粉でもよい。これらの澱粉類は、麺の食感改善、麺線の表面をなめらかにする、調理の際の茹で時間短縮などの目的で、必要に応じて添加される。
更に、原料粉には、食塩、かんすい(粉末)、野菜粉末、マンナン粉、粉末油脂、増粘多糖類、色素、アミノ酸類、糖類、デキストリン、乾燥卵白、pH調整剤、日持向上剤などが添加されていてもよい。
特に、原料粉にかんすい粉末を特定量配合することで、大豆含有麺類の食感を向上させることができる。具体的には、原料粉全質量に対してかんすいを0.01~2質量%配合することで、湯戻しや湯調理後の麺類の食感を良好にすることができる。
本実施形態の乾燥麺類には、前述した原料粉以外に、例えば、水、醸造酢、酒精、酵母、香料、しょうゆ、豆乳、牛乳及びその加工品などが配合されていてもよい。原料粉以外の原料及びその配合量は、麺の種類や目的などに応じて適宜選択し設定することができる。
[麺厚]
本実施形態の乾燥麺類の厚さは、特に限定されるものではなく、目的や調理方法に応じて適宜選択することができるが、麺厚を1.5mm以下にすることが好ましく、これにより短時間調理や電子レンジ調理が可能となる。本実施形態の乾燥麺類は、製麺適性に優れるため、麺厚を1.5mm以下にしても圧延により麺帯を形成でき、麺線のつながりも良好である。
[製造方法]
次に、本実施形態の乾燥麺類の製造方法について説明する。図1は本実施形態の大豆含有乾燥麺類の製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態の乾燥麺類の製造方法では、生地調製工程S1と、製麺工程S2と、乾燥工程S3とを行う。
〔生地調製工程S1〕
生地調製工程S1では、原料粉にその他の原料を加えて混練し、生地を調製する。その際、大豆粉を30質量%以上と、グルテンと、多糖類とを少なくとも含有する原料粉を用いる。原料粉に配合される多糖類としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、サイリウムシードガム、アルギン酸エステル及びキサンタンガムのうち少なくとも1種を用いることができる。
具体的には、大豆粉を30質量%以上84質量%未満、グルテンを5~15質量%及び多糖類としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.6質量%以上4質量%以下含有する原料粉、又は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満含有すると共に、大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを1.2~7.5質量部含有する原料粉を用いることができる。
又は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満、グルテンを5~15質量%及び多糖類としてサイリウムシードガムを0.3~5質量%含有する原料粉、又は、大豆粉を30質量%以上84質量%未満含有すると共に、大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部及びサイリウムシードガムを0.6~10質量部含有する原料粉を用いることもできる。
生地調製工程S1における生地の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法や装置を適用することができる。また、原料の混練は、減圧下で行ってもよい。
〔製麺工程S2〕
製麺工程S2では、生地調製工程S1で調製した生地を成形して麺類とする。製麺方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法や装置を用いることができるが、生産性の観点から、生地を圧延して麺帯を形成し、該麺帯から麺線を切り出す方法が好適である。なお、生地の圧延は1段で行ってもよく、また、複数対のローラを用いて多段で行ってもよい。
又は、圧延に代えて、押出機を用いて麺帯や麺線を形成してもよく、その場合、例えば、生地調製工程S1において真空押出機を用いて原料を混練して生地を調製し、引き続き、製麺工程S2において真空押出機から生地を押し出して麺帯を形成してもよい。
〔乾燥工程S3〕
乾燥工程S3では、製麺工程S2で得た麺類を乾燥させる。麺類の乾燥方法は、特に限定されるものではなく、麺類の種類や調理方法に応じて、熱風乾燥法、低温乾燥法、高温高速気流乾燥法、フライ乾燥法及びフリーズドライ法などの公知の方法から適宜選択することができる。
〔その他の工程〕
本実施形態の乾燥麺類の製造方法では、前述したS1~S3の各工程に加えて、熟成工程を行ってもよい。熟成工程の時期及び回数は、特に限定されるものではなく、麺帯形成後に行ってもよく、また、麺線形成後に麺塊の状態で行ってもよい。熟成の方法及び条件は、麺の種類に応じて適宜選択することができ、常圧下、減圧下又は加圧下のいずれで行ってもよい。
以上詳述したように、本実施形態の乾燥麺類は、グルテンと、HPMCやサイリウムシードガムなどの多糖類を含有する多糖類を含有しているため、原料粉中の大豆粉含有率を30質量%以上にしても製麺適性が低下せず、圧延成形が可能で、かつ、麺線のつながりが良好で、食感も優れる。そして、本実施形態の乾燥麺類は、短時間調理や電子レンジ調理を行うことを目的に麺厚を薄くした麺類に特に好適である。
(第2の実施形態)
次に、本実施形態の第2の実施形態に係る麺セットについて説明する。本実施形態の麺セットは、前述した第1の実施形態の大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える。本実施形態の麺セットに用いられる麺類は、前述した第1の実施形態の乾燥麺類であればよく、その種類は特に限定されず、うどん、そば、中華麺、パスタ及びビーフンなどの各種麺類を用いることができる。また、調味液は、麺類を調味するものであればよく、めんつゆ、濃縮スープ、パスタソースなどが挙げられ、液体成分の他に具材を含んでいてもよい。
本実施形態の麺セットは、大豆粉と共に、グルテンと、HPMCやサイリウムシードガムなどの多糖類を含有する大豆含有乾燥麺類を用いているため、その麺類は、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好である。また、麺厚が薄い麺類を用いることで、短時間調理や電子レンジでの調理が可能となる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例として、多糖類にHPMCを用い、原料粉の配合組成を変えて大豆含有乾燥麺を作製して、製麺適性及び麺線のつながり強度を評価した。
<乾燥麺の作製方法>
評価用麺は、図1に示す方法で作製した。具体的には、先ず、原料組成物を手で1分間攪拌混合し、得られた生地を製麺ロールにて圧延を繰り返し、1.3mmの厚さになるよう調整して麺帯を形成した。次に、圧延成形した麺帯から麺線を切刃にて切り出し、恒温恒湿機により乾燥して評価用の乾燥麺を得た。
<評価方法>
(1)製麺適性
「製麺適性」の評価は、圧延成形により麺帯を形成したときの状態を下記の5段階で評価した。
5点:問題なく圧延成形できた。
4点:圧延成形できたが、麺肌の荒れやロールへの張り付きが多少見られた。
3点:圧延成形できたが、麺肌の荒れやロールへの張り付きが発生した。
2点:圧延成形しようとすると穴あきや顕著な張り付きが発生し、麺帯を形成できなかった。
1点:全く圧延成形できなかった。
(2)麺線のつながり強度
「麺線のつながり強度」は、麺帯から切り出した直後の乾燥前の麺線(長さ20cm)両端を手で持ち、伸びた長さが6cmになるまでゆっくりと引っ張り、そのときの状態を下記の5段階で評価した。
5点:麺線を引っ張っても切れなかった(切れずに伸びた長さ6cm以上)。
4点:麺線を引っ張ると、伸びた長さが3cm以上かつ6cm未満のときに切れた。
3点:麺線を引っ張ると、伸びた長さが1cm以上かつ3cm未満のときに切れた。
2点:麺線を引っ張ると、伸びた長さが1cm未満のときに切れた。
1点:麺線の形態を維持できないため、試験を実施できなかった。
(3)総合評価
総合評価は、前述した2項目の評価点が、いずれも4以上であったものを◎(優)、一方が4点以上で他方が3点であったものを○(良)、いずれも3点であったものを△(可)、1つでも2点以下があったものを×(不可)とした。
以上の結果を、下記表1~3に示す。なお、表1~3に示す大豆粉A及び大豆粉Bは非加熱の全脂大豆粉であり、大豆粉Cは脱脂大豆粉である。また、加工澱粉はタピオカ由来のアセチル化澱粉であり、グルテン粉は乾燥状態でのたんぱく質含有量が75質量%以上のバイタルグルテンであり、小麦粉は乾燥状態でのたんぱく質含有量が8.5質量%の中力粉である。更に、HPMC-1は温度20℃の2質量%溶液における粘度が100000mPa・sであり、HPMC-2は温度20℃の2質量%溶液における粘度が4500mPa・sである。
Figure 0007496457000002
Figure 0007496457000003
Figure 0007496457000004
上記表1~3に示すように、原料粉中の大豆粉含有率が84質量%以上であるNo.8の試料は、麺線のつながり強度が低く、麺線が切れやすかった。グルテン量が原料粉全質量の5~15質量%又は大豆粉100質量部あたり10~29質量部の範囲から外れるNo.9,10,15の試料は、製麺適性及び麺線のつながり強度のいずれも劣っていた。多糖類を配合していないNo.16の試料は、製麺適性及び麺線のつながり強度のいずれも劣っており、また、多糖類としてHPMCを配合しているが、その含有量が原料粉全質量に対して0.6~4質量%又は大豆粉100質量部あたり1.2~7.5質量部の範囲から外れるNo.22,23の試料は、麺線のつながりは良好であったが、製麺適性が劣っていた。
これに対して、原料粉にグルテン及びHPMCを適量配合したNo.1~7,11~14,17~21,24~28の試料は、製麺適性に優れ、麺線のつながりも良好であった。
(第2実施例)
本発明の第2実施例として、多糖類にサイリウムシードガム(25℃の0.5%水溶液における粘度が100mPa・s)、アルギン酸エステル(20℃の1%水溶液における粘度が100~150mPa・s)又はキサンタンガムを用い、前述した第1実施例と同様の方法及び条件で大豆含有乾燥麺を作製し、前述した第1実施例と同様の方法及び条件で製麺適性及び麺線のつながり強度を評価した。その結果を、下記表4及び表5に示す。なお、表4,5に示す大豆粉Aは非加熱の全脂大豆粉であり、大豆粉Dは加熱の全脂大豆粉である。また、小麦粉は、乾燥状態でのたんぱく質含有量が14.7質量%の強力粉である。
Figure 0007496457000005
Figure 0007496457000006
上記表4,5に示すように、多糖類を配合していないNo.30の試料は、製麺適性及び麺線のつながり強度のいずれも劣っていた。同様に、多糖類としてサイリウムシードガムを配合しているが、その含有量が原料粉全質量に対して0.3質量%未満又は大豆粉100質量部あたり0.6質量部未満であるNo.31の試料も、製麺適性及び麺線のつながり強度のいずれも劣っていた。一方、サイリウムシードガム含有量が、原料粉全質量に対して5質量%を超えるか又は大豆粉100質量部あたり10質量部を超えているNo.38~40の試料は、麺線のつながりは良好であったが、製麺適性が劣っていた。
これに対して、原料粉に、多糖類としてサイリウムシードガム、アルギン酸エステル、キサンタンガムを適量添加したNo.32~37,41~45の試料は、製麺適性に優れ、麺線のつながりも良好であった。
以上の結果から、本発明によれば、大豆粉を30質量%以上含有する原料粉を用いて、製麺適性に優れ、麺線のつながりが良好な大豆含有乾燥麺類を製造できることが確認された。
なお、本発明は、以下の構成を採ることもできる。
〔1〕
原料粉全質量に対して、
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、
グルテンを5質量%以上15質量%以下と、
多糖類と
を含有する大豆含有乾燥麺類。
〔2〕
大豆粉と、グルテンと、多糖類とを含有し、
前記大豆粉含有量が、原料粉全質量に対して30質量%以上84質量%未満であり、
前記グルテン含有量が、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部である
大豆含有乾燥麺類。
〔3〕
前記多糖類は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、サイリウムシードガム、アルギン酸エステル及びキサンタンガムのうち少なくとも1種である〔1〕又は〔2〕に記載の大豆含有乾燥麺類。
〔4〕
前記多糖類がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、原料粉全質量に対して0.6~4質量%配合されている〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔5〕
前記多糖類がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、前記大豆粉100質量部あたり1.2~7.5質量部含有する〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔6〕
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである請求項〔4〕又は〔5〕に記載の〔7〕
前記多糖類がサイリウムシードガムであり、原料粉全質量に対して0.3~5質量%配合されている〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔8〕
前記多糖類がサイリウムシードガムであり、前記大豆粉100質量部あたり0.6~10質量部含有する〔1〕~〔3〕及び〔7〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔9〕
更に、小麦粉を含有し、前記グルテンの一部が前記小麦粉由来のグルテンである〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔10〕
麺厚が1.5mm以下である〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類。
〔11〕
〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える麺セット。
〔12〕
大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、多糖類とを含有する原料粉を用いて生地を調製する工程と、
該生地を成形して麺類を得る製麺工程と、
前記麺類を乾燥させる乾燥工程と
を有し、
前記原料粉におけるグルテン含有量は、原料粉全質量に対して5質量%以上15質量%以下、又は、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部である大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔13〕
前記多糖類として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、サイリウムシードガム、アルギン酸エステル及びキサンタンガムのうち少なくとも1種を用いる〔12〕に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔14〕
前記原料粉は、グルテンを5~15質量%及び前記多糖類としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.6~4質量%含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを1.2~7.5質量部含有する〔12〕又は〔13〕に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔15〕
前記原料粉は、グルテンを5~15質量%及び前記多糖類としてサイリウムシードガムを0.3~5質量%含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部及びサイリウムシードガムを0.6~10質量部含有する〔12〕又は〔13〕に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
〔16〕
前記製麺工程では、前記生地を圧延して麺帯を形成し、前記麺帯から麺線を切り出す〔12〕~〔15〕のいずれかに記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。

Claims (11)

  1. 原料粉全質量に対して、
    大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、
    グルテンを5質量%以上15質量%以下と、
    ヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.6~4質量%
    を含有する大豆含有乾燥麺類。
  2. 大豆粉と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し、
    前記大豆粉含有量が、原料粉全質量に対して30質量%以上84質量%未満であり、
    前記グルテン含有量が、前記大豆粉100質量部あたり10~29質量部であり、
    前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース含有量が、前記大豆粉100質量部あたり1.2~7.5質量部である
    大豆含有乾燥麺類。
  3. 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである請求項又はに記載の大豆含有乾燥麺類。
  4. 更に、サイリウムシードガム、アルギン酸エステル及びキサンタンガムのうち少なくとも1種の多糖類を含有する請求項1又は2に記載の大豆含有乾燥麺類。
  5. 更に、小麦粉を含有し、前記グルテンの一部が前記小麦粉由来のグルテンである請求項1又は2に記載の大豆含有乾燥麺類。
  6. 麺厚が1.5mm以下である請求項1又は2に記載の大豆含有乾燥麺類。
  7. 請求項1又は2に記載の大豆含有乾燥麺類と、調味液とを備える麺セット。
  8. 大豆粉を30質量%以上84質量%未満と、グルテンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有する原料粉を用いて生地を調製する工程と、
    該生地を成形して麺類を得る製麺工程と、
    前記麺類を乾燥させる乾燥工程と
    を有し、
    前記原料粉は、グルテンを5~15質量%及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを0.6~4質量%含有するか、又は、前記大豆粉100質量部あたり、グルテンを10~29質量部及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを1.2~7.5質量部含有する大豆含有乾燥麺類の製造方法。
  9. 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、温度20℃の2質量%溶液における粘度が75000~140000mPa・sである請求項8に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
  10. 前記原料粉は、更に、サイリウムシードガム、アルギン酸エステル及びキサンタンガムのうち少なくとも1種の多糖類を含む請求項に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
  11. 前記製麺工程では、前記生地を圧延して麺帯を形成し、前記麺帯から麺線を切り出す請求項8~10のいずれか1項に記載の大豆含有乾燥麺類の製造方法。
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