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JP7493288B2 - ウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体 - Google Patents

ウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体 Download PDF

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Description

本発明は、ウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体に関する。
マンション等の集合住宅、戸建住宅、公共施設、商業ビル等には外壁等に、鉄筋等により補強されたコンクリートが用いられている。そして、このようなコンクリート建造物には、結露の防止や断熱性の向上のため、吹き付け硬質ポリウレタン発泡体が形成される。
ただし、硬質ウレタン樹脂発泡体を吹き付けただけでは、建物内部で火災等が発生した場合に、ウレタン発泡体が燃焼する場合がある。そこで、このウレタン樹脂発泡体に対して難燃性を付与する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、ウレタン樹脂組成物に、難燃剤として赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤又は金属水酸化物とを組み合わせることにより、難燃性に優れるウレタン発泡体を製造できることが開示されている。
国際公開2014/112394号
しかしながら、特許文献1のウレタン樹脂組成物において、難燃剤として用いられる赤リンは、透湿性や接着性を低下させ得るものである。
本発明では上記事情に鑑み、赤リンを用いないか又はその含有量が少量であっても延焼や溶融をしにくく、接着性を有し、かつ機械的強度に優れるウレタン樹脂発泡体を得ることができるウレタン樹脂組成物を提供することとした。
本発明の一態様によれば、ウレタン樹脂組成物が提供される。このウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物と、カルダノールと、脂肪酸のトリグリセリドと、を含む。
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記脂肪酸は、リシノール酸を含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記カルダノールを、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、1質量%以上30質量%以下含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記トリグリセリドを、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0.1質量%以上20質量%以下含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、ジアミン系ポリオールをさらに含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記ジアミン系ポリオールを、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0.1質量%以上20質量%以下含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、芳香族ポリエステル系ポリオールをさらに含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記芳香族ポリエステル系ポリオールを、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0.5質量%以上30質量%以下含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、赤リンを含まないか、又は赤リンを前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0質量%超3質量%未満含むウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片が、ISO5660-1:2002に準拠して、5分間加熱して測定される最大発熱速度が170kW/m以下であり、かつ5分加熱後の質量残存率が20質量%以上であるウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片が、JISK7201-2:2007に準拠して測定される酸素指数が23以上であるウレタン樹脂組成物。
前記ウレタン樹脂組成物において、前記ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片が、ISO5660-1:2002に準拠して評価したとき、不燃材料、準不燃材料及び難燃材料のいずれにも該当しないウレタン樹脂組成物。
ウレタン樹脂発泡体であって、カルダノール及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、脂肪酸のトリグリセリド及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、を含むウレタン樹脂発泡体。
ポリイソシアネート化合物と混合して用いるウレタン樹脂組成物の原料組成物であって、カルダノールと、脂肪酸のトリグリセリドと、を含むウレタン樹脂組成物の原料組成物。
ポリイソシアネート化合物と混合して用いるウレタン樹脂組成物の原料キットであって、カルダノールと、脂肪酸のトリグリセリドと、を含む第1の原料と、ポリイソシアネート化合物を含む第2の原料と、を備えるウレタン樹脂組成物の原料キット。
もちろん、この限りではない。
以下、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体について、具体例を示して説明するが、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、以下に示す具体例に何ら限定されるものではなく、その効果を阻害しない限りにおいて、適宜変更を加えて実施することができる。また、以下に示す各構成要素は、互いに組み合わせて実施することができる。
<ウレタン樹脂組成物>
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物と、カルダノールと、脂肪酸のトリグリセリドと、を含む。
このようなウレタン樹脂組成物によれば、赤リンを用いないか又はその含有量が少量であっても延焼や溶融をしにくく、接着性を有し、かつ機械的強度に優れるウレタン樹脂発泡体を得ることができるウレタン樹脂発泡体を得ることができる。
〔ポリイソシアネート化合物〕
ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えばウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基又はキサゾリドン基含有変性物等)等のうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート等を用いることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えばシクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を用いることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えばメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を用いることができる。
ポリイソシアネート化合物の数平均分子量としては、特に限定されないが、例えば30g/mol以上であることが好ましく、50g/mol以上であることがより好ましく、70g/mol以上であることがさらに好ましく、100g/mol以上であることが特に好ましい。ポリイソシアネート化合物の数平均分子量としては、例えば3000g/mol以下、2500g/mol以下、2000g/mol以下、1500g/mol以下、1000g/mol以下、900g/mol以下、800g/mol以下、700g/mol以下、600g/mol以下、500g/mol以下、400g/mol以下、300g/mol以下、200g/mol以下であってよい。
イソシアネートインデックスは、ポリオール化合物(ジアミン系ポリオール、芳香族ポリエステル系ポリオール、ビスフェノール系ポリオール及びその他のポリオールに加えて、ここでのイソシアネートインデックスの算出にあたってはカルダノール(カルダノールは本来モノオールである)を含むものとする)の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。イソシアネートインデックスとしては、特に限定されず、例えば120以上であってよいが、170超であることが好ましく、180以上であることがより好ましく、200以上であることがさらに好ましく、250以上であることが特に好ましく、300以上であることが最も好ましい。イソシアネートインデックスとしては、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、600以下であることがさらに好ましい。
〔カルダノール〕
カルダノールは、フェノールのm-位に二重結合を0、1、2又は3個有する直鎖の炭素数15のアルキル又はアルケニル基である。
カルダノールを含有するウレタン樹脂組成物から得られるウレタン樹脂発泡体は、炎と接触すると炭化層を形成する。この炭化層により、ウレタン樹脂組成物がさらに延焼したり溶融したりすることを防止し、発熱速度を抑制することができる。
カルダノールは、工業用カシューナッツ殻液(Cashew nut shell liquid)の主成分でもある。したがって、カルダノールを添加する場合、工業用カシューナッツ殻液を用いてもよい。工業用カシューナッツ殻液は、カルダノールの含有量が、通常工業用カシューナッツ殻液100質量%に対して70~90質量%程度であるが、蒸留等の各種精製法により、純度を90質量%以上に高めたものを用いてもよい。
ここで、「工業用カシューナッツ殻液」とは、天然のカシューナッツ殻液に加熱処理を施して得られるものである。天然のカシューナッツ殻液は、アナカルド酸が主成分であるが、加熱処理を施すことにより、このアナカルド酸のo-位のカルボキシル基が脱炭酸して、カルダノールに変化する。
カルダノールの含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。カルダノールの含有量が所要量以上であることにより、炭化層の形成能をより高め、発熱速度を低下させることができる。一方、カルダノールの含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。カルダノールの含有量が所要量以下であることにより、機械的強度をより高めることができる。
カルダノールの含有量としては、特に限定されないが、後述する脂肪酸のトリグリセリドの含有量に対し、質量比(カルダノールの含有量/脂肪酸のトリグリセリドの含有量)が、1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましく、3以上であることが特に好ましい。一方、質量比(カルダノールの含有量/脂肪酸のトリグリセリドの含有量)としては、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましく、5以下であることが特に好ましい。
〔脂肪酸のトリグリセリド〕
脂肪酸のトリグリセリド(以下、「トリグリセリド」ということもある。)は、グリセリンの3つのヒドロキシル基に、脂肪酸がエステル結合してなるものである。
ウレタン樹脂組成物が、脂肪酸のトリグリセリドを含むことにより、このウレタン樹脂組成物から得られるウレタン樹脂発泡体の柔軟性と、部材に対する密着性を高めることができる。
脂肪酸の炭素数としては、特に限定されないが、例えば8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることがさらに好ましく、14以上であることが特に好ましい。一方、脂肪酸の炭素数としては、例えば30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましく、22以下であることがさらに好ましい。
脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれを用いることもできる。また、脂肪酸は水酸基を有しているヒドロキシル脂肪酸を用いてもよい。
具体的に、脂肪酸としては、例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)-リノレン酸、(6,9,12)-リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、ジヒドロキシステアリン酸等を用いることができる。
脂肪酸としては、ひまし油を用いてもよい。ひまし油は、脂肪酸の割合が、パルミチン酸0.5~1.5質量%、ステアリン酸0.5~1.5質量%、オレイン酸質量%2.5~4.0質量%、リノール酸4.0~5.0質量%、リノレン酸0.5~1.5質量%、リシノール酸87.0~91.0質量%、ジヒドロキシステアリン酸0.5~1.5質量%であるトリグリセリドからなる。
脂肪酸は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。すなわち、1つのグリセリド内に1種の脂肪酸が含まれてもよいし、2又は3種の脂肪酸が含まれてもよい。また、脂肪酸種やグリセリンの結合位置の組み合わせについて1種のグリセリドのみを用いてもよいし、脂肪酸種やグリセリンの結合位置の組み合わせについて異なる複数種のグリセリドを含むものを用いてもよい。
トリグリセリドの含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。トリグリセリドの含有量が所要量以上であることにより、ウレタン樹脂組成物から得られるウレタン樹脂発泡体の柔軟性と、部材に対する密着性をより高めることができる。一方、トリグリセリドの含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。トリグリセリドの含有量が所要量以下であることにより、ウレタン樹脂組成物から得られるウレタン樹脂の発熱速度をより抑制することができる。
〔ジアミン系ポリオール〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ジアミン系ポリオールをさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物がジアミン系ポリオールを含むことにより、ウレタン樹脂発泡体を形成する際のウレタン化反応を促進することができる。
ジアミン系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えばエチレンジアミン、ブチレンジアミン、それらのアルキル誘導体若しくはN-ヒドロキシアルキル誘導体(例えば、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等)のうち1種又は2種以上に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はテトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドのうち1種又は2種以上を付加させて形成されるものが挙げられる。
ジアミン系ポリオールの含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。ジアミン系ポリオールの含有量が所要量以上であることにより、ウレタン樹脂発泡体を形成する際のウレタン化反応をより促進することができる。一方、ジアミン系ポリオールの含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。ジアミン系ポリオールの含有量が所要量以下であることにより、ウレタン結合量を低く維持し、難燃性をより高めることができる。
〔芳香族ポリエステル系ポリオール〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、芳香族ポリエステル系ポリオールをさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が芳香族ポリエステル系ポリオールを含むことにより、このウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体が、炎に接触した際に、炭化層がより形成されやすくなる。
ポステル系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、芳香族性の多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体等が挙げられる。このうち、多塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの誘導体等のうち1種又は2種以上が挙げられる。また、多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えばビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等のうち1種又は2種以上を用いることができる。
ポステル系ポリオールの数平均分子量としては、特に限定されないが、例えば50g/mol以上であることが好ましく、100g/mol以上であることがより好ましく、200g/mol以上であることがさらに好ましく、300g/mol以上であることが特に好ましい。ポステル系ポリオールの数平均分子量としては、例えば3000g/mol以下、2500g/mol以下、2000g/mol以下、1500g/mol以下、1000g/mol以下、900g/mol以下、800g/mol以下、700g/mol以下、600g/mol以下、500g/mol以下であってよい。
芳香族ポリエステル系ポリオールの含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。芳香族ポリエステル系ポリオールの含有量が所要量以上であることにより、このウレタン樹脂組成物からウレタン樹脂発泡体を形成する際のウレタン化反応をさらに促進することができる。一方、芳香族ポリエステル系ポリオールの含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、7質量%以下であることが最も好ましい。芳香族ポリエステル系ポリオールの含有量が所要量以下であることにより、かかるウレタン樹脂組成物の相溶性を高めることができる。
〔ビスフェノール系ポリオール〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ビスフェノール系ポリオールをさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物がビスフェノール系ポリオールを含むことにより、このウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体の難燃性をより高めることができる。
ビスフェノール系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えばビスフェノールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はテトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドのうち1種又は2種以上を付加させて形成されるものが挙げられる。
ビスフェノールとしては、特に限定されず、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のうち1種又は2種以上を用いることができるが、かかるウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体の難燃性を高める観点から、ビスフェノールAを用いることが好ましい。
ビスフェノール系ポリオールの数平均分子量としては、特に限定されないが、例えば50g/mol以上であることが好ましく、100g/mol以上であることがより好ましく、200g/mol以上であることがさらに好ましく、300g/mol以上であることが特に好ましく、400g/mol以上であることが最も好ましい。ビスフェノール系ポリオールの数平均分子量としては、例えば3000g/mol以下、2500g/mol以下、2000g/mol以下、1500g/mol以下、1000g/mol以下、900g/mol以下、800g/mol以下、700g/mol以下、600g/mol以下、550g/mol以下であってよい。
ビスフェノール系ポリオールの含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。ビスフェノール系ポリオールの含有量が所要量以上であることにより、このウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体の難燃性をさらに高めることができる。一方、ビスフェノール系ポリオールの含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、7質量%以下であることが最も好ましい。ビスフェノール系ポリオールの含有量が所要量以下であることにより、フォーム体の靭性をより高めることができる。
〔その他のポリオール〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、以上に述べた以外にも、その他のポリオールを含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
ウレタン樹脂組成物がその他のポリオールを含む場合、その他のポリオールの含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0質量%、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上であってよい。一方、その他のポリオールの含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.2質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、0.02質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、0.002質量%以下、0.001質量%以下であってよい。
〔整泡剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、整泡剤をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が整泡剤を含むことにより、ウレタン樹脂組成物中の気泡の分散性を高め、これより形成されるウレタン樹脂発泡体の気泡構造を調整することができる。
整泡剤としては、特に限定されないが、例えばリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等を用いることができる。
整泡剤の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましい。整泡剤の含有量が所要量以上であることにより、ウレタン樹脂組成物中の気泡の分散性を高め、これより形成されるウレタン樹脂発泡体の気泡構造を調整することができる。一方で、整泡剤の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。整泡剤の含有量が所要量以下であることにより、かかるウレタン樹脂組成物より形成されるウレタン樹脂発泡体の寸法安定性を高めることができる。
〔アミン系触媒〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、アミン系触媒をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が、アミン系触媒を含むことにより、ポリイソシアネート化合物と水の反応を促進することができる。
アミン系触媒としては、特に限定されず、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミンのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的に、アミン系触媒としては、例えばトリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N'-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル,N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体等を用いることができる。
アミン系触媒の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。アミン系触媒の含有量が所要量以上であることにより、ポリイソシアネート化合物と水の反応をより適切に促進することができる。一方で、アミン系触媒の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。アミン系触媒の含有量が所要量以下であることにより、ウレタン樹脂組成物中の発泡速度を適切に維持することができる。
〔三量化触媒〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、三量化触媒をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が、三量化触媒を含むことにより、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進することができる。
三量化触媒としては、例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩、(2-ヒドロキシプロピル)(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
三量化触媒の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましい。三量化触媒の含有量が所要量以上であることにより、イソシアヌレート環の生成を促進し、難燃性を高めることができる。一方で、三量化触媒の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。三量化触媒の含有量が所要量以下であることにより、急激なイソシアヌレート環の生成によりスプレーガンの混合部の詰まりを防止することができる。
〔ウレタン化金属触媒〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ウレタン化金属触媒をさらに含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が、ウレタン化金属触媒を含むことにより、ポリイソシアネート化合物と、上述したカルダノール及び各種ポリオール化合物との反応を促進することができる。
ウレタン化金属触媒としては、特に限定されないが、例えば鉛、スズ、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等からなる金属塩、金属錯体を用いることができる。具体的には、ウレタン化金属触媒としては、例えばビスマストリス(2-エチルヘキサノアート)、ジノルマルブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸鉛等を用いることができる。
ウレタン化金属触媒の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましい。ウレタン化金属触媒の含有量が所要量以上であることにより、イソシアヌレート環の生成を促進し、難燃性を高めることができる。一方で、ウレタン化金属触媒の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。ウレタン化金属触媒の含有量が所要量以下であることにより、急激なイソシアヌレート環の生成によるスプレーガンの混合部の詰まりを防止することができる。
〔難燃剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂は、難燃剤をさらに含むことが好ましい。
難燃剤としては、例えば、リン酸エステル、リン酸含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物のうち1種又は2種以上を用いることができる。以下、これらについて具体例を示して説明する。
(リン酸エステル)
リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えばモノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することができる。
具体的に、モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等を用いることができる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えばトリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX-200)、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステル等を用いることができる。
(リン酸塩含有難燃剤)
リン酸塩含有難燃剤は、リン酸塩を含むものである。
リン酸塩としては、特に限定されないが、例えばモノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等のうち1種又は2種以上を用いることができる。
具体的に、リン酸塩としては、例えば各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンのうち1種若しくは2種以上の金属又は化合物との塩からなるリン酸塩を用いることができる。
このうち、周期律表IA族~IVB族の金属としては、特に限定されないが、例えばリチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等を用いることができる。
脂肪族アミンとしては、特に限定されないが、例えばメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等を用いることができる。
芳香族アミンとしては、特に限定されないが、例えばピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等を用いることができる。
より具体的に、モノリン酸塩としては、特に限定されないが、例えばリン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等を用いることができる。
ポリリン酸塩としては、特に限定されないが、例えばポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等を用いることができる。
なお、リン酸塩には、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂による被覆処理等の各種耐水性向上処理を施してもよく、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を添加してもよい。
(臭素含有難燃剤)
臭素含有難燃剤は、分子構造中に臭素を含有する化合物を含む難燃剤である。
臭素含有難燃剤としては、特に限定されないが、例えば芳香族臭素化化合物等を用いることができる。
具体的に、芳香族臭素化化合物としては、例えばヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物;臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);臭素化ポリフェニレンエーテル;臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌール及び臭素化フェノールの縮合物;臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、;架橋又は非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマー等を用いることができる。
(ホウ素含有難燃剤)
ホウ素含有難燃剤は、分子構造中にホウ素を含有する化合物を含む難燃剤である。
ホウ素含有難燃剤としては、特に限定されないが、例えばホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等を用いることができる。
酸化ホウ素としては、例えば三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等を用いることができる。
ホウ酸塩としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素及びアンモニウムのホウ酸塩等を用いることができる。より具体的に、ホウ酸塩としては、例えばホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等を用いることができる。
(アンチモン含有難燃剤)
アンチモン含有難燃剤は、分子構造中にアンチモンを含有する化合物を含む難燃剤である。
アンチモン含有難燃剤としては、特に限定されないが、例えば酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等を用いることができる。
酸化アンチモンとしては、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等を用いることができる。
アンチモン酸塩としては、例えばアンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等を用いることができる。
ピロアンチモン酸塩としては、例えばピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等を用いることができる。
(金属水酸化物)
金属水酸化物としては、特に限定されないが、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅等を用いることができる。
(赤リン)
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、赤リンを含まないか、又は赤リンを含有しても、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0質量%超3質量%未満であることが好ましい。上述したとおり、赤リンを含有しないことにより、部材に対して密着性の低下をすることができる。
難燃剤の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。難燃剤の含有量が所要量以上であることにより、難燃性を高めることができる。一方で、難燃剤の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。難燃剤の含有量が所要量以下であることにより、かかるウレタン樹脂組成物をより適切に発泡させることができる。
〔発泡剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、発泡剤を含むことが好ましい。
ウレタン樹脂組成物が発泡剤を含有することによりは、このウレタン樹脂組成物から形成されるウレタン樹脂発泡体の発泡を促進することができる。
具体例に、発泡剤としては、例えば、水;プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素;ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物;トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン等のフッ素化合物;CHF、CH、CHF、HFO-1336mzz(Z)((Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン)、HFO-1223zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1224yd(Z)((Z)-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)等のハイドロフルオロカーボン;ジクロロモノフルオロエタン、(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物;ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物又はこれらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等を用いることができる。
発泡剤の含有量としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。発泡剤の含有量が所要量以上であることにより、ウレタン樹脂発泡体により適切な発泡性を付与することができる。一方、発泡剤の含有量としては、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。発泡剤の含有量が所要量以下であることにより、機械的強度をより高めることができる。
〔その他の添加剤〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、無機充填材を含んでいてもよい。
無機充填材としては、特に限定されないが、例えばシリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等のうち1種を単独で又は2種を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物においては、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤、ビフェントリン系の防蟻剤を用いることができる。
〔ウレタン樹脂の物性等〕
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片の密度としては、特に限定されないが、例えば50kg/m以上であることが好ましく、51kg/m以上であることがより好ましく、52kg/m以上であることがさらに好ましく、53kg/m以上であることが特に好ましい。一方、発泡体片の密度としては、60kg/m以下であることが好ましく、58kg/m以下であることがより好ましく、56kg/m以下であることがさらに好ましく、55kg/m以下であることが特に好ましい。なお、密度の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片の曲げ強度としては、特に限定されないが、例えば360kPa以上であることが好ましく、365kPa以上であることがより好ましく、370kPa以上であることがさらに好ましく、375kPa以上であることが特に好ましい。一方、曲げ強度としては、例えば500kPa以下、490kPa以下、480kPa以下、470kPa以下、460kPa以下、450kPa以下、440kPa以下、430kPa以下、420kPa以下、410kPa以下、400kPa以下、390kPa以下であってよい。なお、曲げ強度の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片の曲げたわみ量としては、特に限定されないが、例えば45mm以上であることが好ましく、47mm以上であることがより好ましく、50mm以上であることがさらに好ましく、52mm以上であることが特に好ましい。一方、曲げたわみ量としては、70mm以下、69mm以下、68mm以下、67mm以下、66mm以下、65mm以下、64mm以下、63mm以下、62mm以下、61mm以下、60mm以下、59mm以下、58mm以下、57mm以下、56mm以下、55mm以下であってよい。なお、曲げたわみ量の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片が、ISO 5660-1:2002に準拠して評価したとき、不燃材料、準不燃材料及び難燃材料のいずれにも該当しなくてもよい。なお、具体的な評価方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、ウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片が、ISO 5660-1:2002に準拠して、5分間加熱して測定される最大発熱速度が170kW/m以下であり、かつ5分加熱後の質量残存率が20質量%以上であることが好ましい。なお、最大発熱速度及び質量残存率の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片の最大発熱速度としては、特に限定されないが、例えば165kW/m以下であることが好ましく、160kW/m以下であることがより好ましく、155kW/m以下であることがさらに好ましく、150kW/m以下であることが特に好ましい。一方、最大発熱速度としては、例えば100kW/m以上、110kW/m以上、120kW/m以上、125kW/m以上、130kW/m以上、135kW/m以上、140kW/m以上であってよい。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片の質量残存率としては、特に限定されないが、例えば21質量%以上であることが好ましく、22質量%以上であることがより好ましく、23質量%以上であることがさらに好ましく、24質量%以上であることが特に好ましく、25質量%以上であることが最も好ましい。一方、質量残存率としては、例えば50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、38質量%以下、36質量%以下、34質量%以下、32質量%以下、30質量%以下、29質量%以下、28質量%以下、27質量%以下であってよい。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物から構成される発泡体片のJIS K 7201-2:2007に準拠して測定される酸素指数としては、特に限定されないが、23以上であることが好ましく、24以上であることがより好ましく、25以上であることがさらに好ましく、26以上であることが特に好ましい。また、酸素指数としては、30以下、28以下、27以下であってよい。なお、酸素指数の具体的な測定方法は後述する。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物等に吹き付けて使用する。このようにして、構造物等の表面にウレタン樹脂発泡体層を形成することができる。
具体的に、ウレタン樹脂組成物を、ポリイソシアネート化合物とそれ以外の成分とに分けておき、両者を噴霧しながら混合して構造物等の表面に吹き付けてもよいし、また、ポリイソシアネート化合物と、それ以外の成分とを混合した後に構造物等の表面に吹き付けてもよい。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物は反応して硬化するため、その粘度は時間の経過とともに変化する。そこで本発明に係るウレタン樹脂組成物を使用する前は、ウレタン樹脂組成物を2以上に分割して、ウレタン樹脂組成物が反応して硬化することを防止する。そしてウレタン樹脂組成物を使用する際に、2以上に分割しておいたウレタン樹脂組成物の原料又は原料組成物を混合して、本実施形態に係るウレタン樹脂組成物を得る。
なお、ウレタン樹脂組成物を2以上の原料又は原料組成物に分割するときは、2以上の原料又は原料組成物に分割されたウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分単独では硬化が始まらず、ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。最も典型的には、ポリイソシアネート化合物と、それ以外の成分とを2つに分割すればよい。以下では、後者の原料組成物について説明する。
<原料組成物>
本実施形態に係る原料組成物は、ポリイソシアネート化合物と混合して用いるウレタン樹脂組成物の原料組成物である。具体的に、この原料組成物は、カルダノールと、脂肪酸のトリグリセリドと、を含むものである。
一実施形態において、この原料組成物は、さらにジアミン系ポリオール、芳香族ポリエステル系ポリオール、ビスフェノール系ポリオール、その他のポリオール、整泡剤、アミン系触媒、三量化触媒、ウレタン化金属触媒、難燃剤、発泡剤を含んでもよい。なお、各成分の具体的な種類等については、ウレタン樹脂組成物の項で説明したことと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。以下では、この原料組成物中の各成分の含有量について説明する。
この原料組成物において、カルダノールの含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、8質量%以上であることが特に好ましい。一方、カルダノールの含有量としては、原料組成物100質量%に対し、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
この原料組成物において、トリグリセリドの含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。一方、トリグリセリドの含有量としては、例えば40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
この原料組成物において、ジアミン系ポリオールの含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。一方、ジアミン系ポリオールの含有量としては、原料組成物100質量%に対し、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
この原料組成物において、芳香族ポリエステル系ポリオールの含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましく、6質量%以上であることが特に好ましい。一方、芳香族ポリエステル系ポリオールの含有量としては、原料組成物100質量%に対し、60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましく、14質量%以下であることが最も好ましい。
この原料組成物において、ビスフェノール系ポリオールの含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましく、6質量%以上であることが特に好ましい。一方、ビスフェノール系ポリオールの含有量としては、原料組成物100質量%に対し、60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましく、14質量%以下であることが最も好ましい。
この原料組成物において、その他のポリオールの含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0質量%、0.2質量%以上、0.4質量%以上、1質量%以上、2質量%以上であってよい。一方、その他のポリオールの含有量としては、原料組成物100質量%に対し、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、24質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、16質量%以下、14質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.2質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、0.04質量%以下、0.02質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、0.004質量%以下、0.002質量%以下、0.001質量%以下であってよい。
この原料組成物において、整泡剤の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。一方で、整泡剤の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。
この原料組成物において、アミン系触媒の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。一方で、アミン系触媒の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、8質量%以下であることが特に好ましい。アミン系触媒の含有量が所要量以下であることにより、ウレタン樹脂組成物中の発泡速度を適切に維持することができる。
この原料組成物において、三量化触媒の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。一方で、三量化触媒の含有量としては、原料組成物100%に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。
この原料組成物において、ウレタン化金属触媒の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。一方で、ウレタン化金属触媒の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。
この原料組成物において、難燃剤の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、8質量%以上であることが特に好ましい。一方で、難燃剤の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。なお、上述したとおり、赤リンについては含まないことが好ましいが、赤リンを含有する場合、ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0質量%超1.5質量%未満であることが好ましい。
この原料組成物において、発泡剤の含有量としては、特に限定されないが、原料組成物100質量%に対し、例えば2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、8質量%以上であることが特に好ましい。一方、発泡剤の含有量としては、原料組成物100質量%に対し、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
<原料キット>
本実施形態に係る原料キットは、ポリイソシアネート化合物と混合して用いるウレタン樹脂組成物の原料キットである。具体的に、この原料キットは、カルダノールと、脂肪酸のトリグリセリドと、を含む第1の原料と、ポリイソシアネート化合物を含む第2の原料と、を備えるものである。
なお、この原料キットのうち、第1の原料は、前項の原料組成物に相当するものである。
原料キット中の各成分の含有量は、上述したウレタン樹脂組成物の含有量について「ウレタン樹脂組成物100質量%に対し」を、「第1の原料と第2の原料の総質量100%に対し」と読み替えて適用するものとする。
<ウレタン樹脂発泡体>
本実施形態に係るウレタン樹脂発泡体は、カルダノール及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、脂肪酸のトリグリセリド及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、を含むものである。
<ウレタン樹脂組成物の製造方法>
ウレタン樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂組成物の各成分を混合する方法、ウレタン樹脂組成物を有機溶剤に懸濁させたり、加温して溶融させたりして塗料状とする方法、溶剤に分散してスラリーを調製する方法等を用いることができる。また、ウレタン樹脂組成物に含まれる反応硬化性樹脂成分に室温において固体である成分が含まれる場合には、ウレタン樹脂組成物の製造方法として、ウレタン樹脂組成物を加熱下に溶融させる等の方法を用いることができる。
より具体的に、ウレタン樹脂組成物の混練には、ウレタン樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式攪拌機等公知の装置を用いることができる。また、混練は、ウレタン樹脂の主剤と硬化剤とをそれぞれ別々に充填材等とともに混練しておき、注入直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等を用いて行うこともできる。さらに、混練は、触媒を除くウレタン樹脂組成物の成分と、触媒とを注入直前に同様に行うこともできる。なお、原料組成物及び原料キットの製造方法も同様である。
本実施形態に係るウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体は、以上の具体的な実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲において、適宜変更を加えて実施することができる。
以下、実施例を示して本実施形態に係るウレタン樹脂組成物、その原料組成物及び原料キット並びにウレタン樹脂発泡体をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<試料の調製>
〔試薬〕
ウレタン樹脂組成物試料の原料として以下に示す試薬を準備した。
(A)カシューナッツ殻液 :NX2024(カルダノール87質量%、Cardolite Corporation製)
(B)トリグリセリド :工業用一号 ヒマシ油(豊国精油株式会社製)
(C)ジアミン系ポリオール :NL-270(三洋化成株式会社製) N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物
(D)芳香族ポリエステル系ポリオール:RFK505(川崎化成工業株式会社製) テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエステル
(E)ビスフェノール系ポリオール :BPE-60(三洋化成工業株式会社製) ビスフェノールAエチレンオキシド付加物
(F)整泡剤 :SH-193(ダウ・東レ株式会社製) ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー
(G)アミン系触媒1 :PC-206(エボニックジャパン株式会社製) 脂肪族系3級アミン
(H)アミン系触媒2 :KL-390(花王株式会社製) 1,2-ジメチルイミダゾール ジプロピレングリコール混合品
(I)三量化触媒 :KL-410(花王株式会社製)
(J)ウレタン化金属触媒 :BI-28(日東化成株式会社製)
(K)難燃剤 :TCPP(Jiang Yoke Technolosy Co., Ltd.製)
(L)発泡剤 :OP-1100(三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製) (Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン
(M)ポリイソシアネート :ミリオネート MR-200(東ソー株式会社製) ポリメリックMDI(モノメリックMDI40質量%含有)
〔ハンド発泡法:ハンド発泡体試料の作製〕
実施例1及び比較例1~2のウレタン樹脂組成物試料について、上述した(A)~(K)成分をビーカーに量り取り、手で混合攪拌した。次いで、(L)成分を添加し、水浴にて15℃になるまで冷却しながらさらに手で混合攪拌した。攪拌後の混練物に対して15℃に冷却した(M)成分を加え、直ちにハンドミキサー(10,000rpm設定)で約2秒間攪拌し、静置してハンド発泡体試料を作製した。
〔スプレー発泡法:スプレー発泡体試料の作製〕
上述した(A)~(K)成分をスプレータンクに量り取り、室温でハンドミキサーを用いて混合攪拌した。次いでスプレータンクを密閉にして、内圧を0.1MPaに加圧した後、ラインミキシングにより(L)成分をスプレータンク内に導入し、2時間循環攪拌して第1の原料を得た。この第1の原料と、イソシアネートからなる第2の原料とを、ホース(ホース長30m)の先端にDガン(グラコ株式会社製)を取り付けたリアクターA-25(グラコ株式会社製)を用い、ホースを40℃に加熱しながら後述する各対象物に吹き付け、スプレー発泡体試料を作製した。
<試料の評価>
〔イソシアネートインデックス〕
イソシアネートインデックスは、ポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比であり、以下の表1においては百分率で表す。
〔密度〕
ハンド発泡体試料について、ビーカーの口(頂部)を試験片の高さ方向の中心となるように、50×50×100mmに切断して試験片を得た。この試験片の質量を測定し、質量と体積から試験片の密度を算出した。3試料について同様の操作を行い、それらの算術平均を密度として、表1に示す。
〔低温密着性〕
スプレー発泡法にて、0~5℃の条件でRC躯体に下吹き及び2~3層ウレタン樹脂組成物試料を吹き付けて積層し30分間、-5℃で冷却した。その後、RC躯体の面から、ウレタン樹脂組成物試料を吹き付けて形成されたスプレー発泡体試料を50×80mm程度に剥がして界面に隙間(2mm程度以上)の隙間が存在するか否かについて確認した。
〇:スプレー発泡体試料と躯体との界面には隙間はない
×:スプレー発泡体試料と躯体との界面に隙間がある
〔見掛け全体密度〕
物性用アクリル合板に吹き付けたスプレー発泡体試料(下吹き+厚さ約20mmの層3層)について、JIS K 7222:2005に準拠して見掛け全体密度を測定した。
〔見掛けコア密度〕
物性用アクリル合板に吹き付けたスプレー発泡体試料(下吹き+厚さ約20mmの層3層)について、JIS K 7222:2005に準拠して見掛けコア密度を測定した。
〔曲げ強度、曲げたわみ〕
物性用アクリル合板に吹き付けたスプレー発泡体試料(下吹き+厚さ約20mmの層3層)について、試験体のコア部分(厚み方向の両表面のスキン層を取り除いた残りの部分)に対し350×100×25mmに切断し、試験片を得た。この試験片について、JIS K 7221-2:2006に準拠して曲げ強度を測定した。また、試料に荷重開始したときの試料の位置から破壊荷重が印加したときの試料の位置までの距離を曲げたわみとして測定した。
〔総発熱量、最大発熱速度及び質量残存量〕
物性用アクリル合板に吹き付けたスプレー発泡体試料(下吹き+厚さ約20mmの層3層)から10cm×10cm×2.5cmになるように試験片を切り出し、ISO 5660-1:2002に準拠し、放射熱強度50kW/mにおいて5分間加熱したときの総発熱量及び最大発熱速度を測定した。また、加熱前後のハンド発泡体試料の質量と、以下の式(1)から質量残存量を算出した。
質量残存率(%)={(試験前重量-燃焼重量)/試験前重量}×100 ・・・(1)
〔酸素指数〕
物性用アクリル合板に吹き付けたスプレー発泡体試料(下吹き+厚さ約20mmの層3層)から、10×10×150mmの試験片(JIS K 7201:2007の表2の試験片の形IIに該当)を切断した。このスプレー発泡体試料の試験片について、JIS K 7201:2007に準拠して、酸素指数を測定した。酸素指数の測定基準は、上端表面点火、点火後の燃焼時間180秒間、試験片頂部から下50mm(JIS K 7201:2007の表3の酸素指数測定基準A法に該当)とした。

Claims (15)

  1. ウレタン樹脂組成物であって、
    ポリイソシアネート化合物と、
    カルダノールと、
    ひまし油と、
    難燃剤と、を含み、
    前記難燃剤の含有量は、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、1質量%以上50質量%以下であり、
    ハンド発泡法により作製された前記ウレタン樹脂組成物の発泡体試料は、その密度が50kg/m 以上60kg/m以下である
    ウレタン樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記ひまし油に対する前記カルダノールの質量比が1以上である
    ウレタン樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記カルダノールを、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、1質量%以上30質量%以下含む
    ウレタン樹脂組成物。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記ひまし油を、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0.1質量%以上20質量%以下含む
    ウレタン樹脂組成物。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物において、
    ジアミン系ポリオールをさらに含む
    ウレタン樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記ジアミン系ポリオールを、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0.1質量%以上20質量%以下含む
    ウレタン樹脂組成物。
  7. 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物において、
    芳香族ポリエステル系ポリオールをさらに含む
    ウレタン樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記芳香族ポリエステル系ポリオールを、前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0.5質量%以上30質量%以下含む
    ウレタン樹脂組成物。
  9. 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物において、
    赤リンを含まないか、又は赤リンを前記ウレタン樹脂組成物100質量%に対し、0質量%超3質量%未満含む
    ウレタン樹脂組成物。
  10. 請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片が、ISO 5660-1:2002に準拠して、5分間加熱して測定される最大発熱速度が170kW/m以下であり、かつ5分加熱後の質量残存率が20質量%以上である
    ウレタン樹脂組成物。
  11. 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片が、JIS K 7201-2:2007に準拠して測定される酸素指数が23以上である
    ウレタン樹脂組成物。
  12. 請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のウレタン樹脂組成物において、
    前記ウレタン樹脂組成物から形成される発泡体片が、ISO 5660-1:2002に準拠して評価したとき、不燃材料、準不燃材料及び難燃材料のいずれにも該当しない
    ウレタン樹脂組成物。
  13. ウレタン樹脂発泡体であって、
    カルダノール及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、
    ひまし油及びポリイソシアネート化合物が結合してなるポリマーと、
    難燃剤と、を含み、
    前記難燃剤の含有量は、前記ウレタン樹脂発泡体100質量%に対し、1質量%以上50質量%以下であり、
    前記ウレタン樹脂発泡体がハンド発泡体試料である場合、その密度が50kg/m 以上60kg/m以下である
    ウレタン樹脂発泡体。
  14. ポリイソシアネート化合物と混合して用いるウレタン樹脂組成物の原料組成物であって、
    カルダノールと、
    ひまし油と、
    難燃剤と、を含み、
    前記難燃剤の含有量は、前記原料組成物100質量%に対し、2質量%以上80質量%以下であり、
    ハンド発泡法により作製された前記ウレタン樹脂組成物の発泡体試料は、その密度が50kg/m 以上60kg/m以下である
    ウレタン樹脂組成物の原料組成物。
  15. ポリイソシアネート化合物と混合して用いるウレタン樹脂組成物の原料キットであって、
    カルダノールと、ひまし油と、難燃剤と、を含む第1の原料と、
    ポリイソシアネート化合物を含む第2の原料と、を備え、
    前記難燃剤の含有量は、前記第1の原料と前記第2の原料の総質量100質量%に対し、1質量%以上50質量%以下であり、
    ハンド発泡法により作製された前記ウレタン樹脂組成物の発泡体試料は、その密度が50kg/m 以上60kg/m以下である
    ウレタン樹脂組成物の原料キット。
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