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JP2022086832A - 難燃性ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ウレタン樹脂組成物 Download PDF

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JP2022086832A
JP2022086832A JP2020199078A JP2020199078A JP2022086832A JP 2022086832 A JP2022086832 A JP 2022086832A JP 2020199078 A JP2020199078 A JP 2020199078A JP 2020199078 A JP2020199078 A JP 2020199078A JP 2022086832 A JP2022086832 A JP 2022086832A
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Michio Kajita
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Abstract

【課題】形成されるポリウレタン発泡体の表面に整泡剤がブリードアウトすること及びポリウレタン発泡体が燃焼し易くなることを防止し、さらに断熱性に優れるポリウレタン発泡体が得られる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリオール化合物、液状難燃剤、触媒、及び発泡剤を含むポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート組成物とを含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、整泡剤を含有せず、ゲルタイムが20秒以下である、難燃性ウレタン樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性ウレタン樹脂組成物に関する。
ポリウレタン発泡体は、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの各構造物の断熱や結露防止に実用されている。ポリウレタン発泡体は、例えば各構造物の表面に、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を含むウレタン樹脂組成物を吹き付け、発泡及び硬化させることにより形成される。
例えば特許文献1では、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、水、触媒、整泡剤、難燃剤、及び粉体を含有する配合液を発泡して得られる硬質ポリウレタンフォームからなる吹き付け断熱材に関する発明が記載されている。そして、該吹き付け断熱材は、難燃性や寸法安定性などに優れることが示されている。
特開2010-270877号公報
上記した特許文献1のように、整泡剤を含む組成物を用いてポリウレタン発泡体を形成させると、発泡体の表面に整泡剤が染み出すブリードアウトが生じ易く、このため使用対象物が汚染されたり、あるいは得られた発泡体が燃焼し易くなるなどの問題が生じる場合がある。
一方で、ブリードアウトや燃焼性の問題を解決する観点から、整泡剤を使用せずにポリウレタン発泡体を製造することが考えらえる。しかしながら整泡剤を使用しない場合は、ポリウレタン発泡体を形成しているセルの一部が割れやすくなるなど、セルが粗くなり、断熱性が低下しやすくなることが分かった。
そこで、本発明では、整泡剤を使用しない場合において、セルが粗くなることを抑制して、断熱性に優れるポリウレタン発泡体が得られる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とを含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、整泡剤を含有せず、ゲルタイムが一定以下である、難燃性ウレタン樹脂組成物により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]を提供する。
[1]ポリオール化合物、液状難燃剤、触媒、及び発泡剤を含むポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート組成物とを含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、整泡剤を含有せず、ゲルタイムが20秒以下である、難燃性ウレタン樹脂組成物。
[2]クリームタイムが8秒以下である、上記[1]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[3]前記触媒が金属系ウレタン化触媒を含有する、上記[1]又は[2]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[4]前記ポリオール組成物がさらにフィラーを含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[5]前記触媒が三量化触媒を含有する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[6]前記ポリオール組成物における液状難燃剤の含有量が、ポリオール化合物100質量部に対して20質量部以上である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[7]吹き付け用である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
本発明は、整泡剤を使用しない難燃性ウレタン樹脂組成物であるため、形成されるポリウレタン発泡体の表面に整泡剤がブリードアウトすることを抑制でき、またポリウレタン発泡体が燃焼し易くなることを防止できる。これに加えて、セルが粗くなることを抑制して、断熱性に優れるポリウレタン発泡体が得られる。
本発明は、ポリオール化合物、液状難燃剤、触媒、及び発泡剤を含むポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート組成物とを含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、整泡剤を含有せず、ゲルタイムが20秒以下である、難燃性ウレタン樹脂組成物である。
(整泡剤)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含有しない。整泡剤を含有しないことにより、例えばシリコーン系の整泡剤を用いた場合に形成されるポリウレタン発泡体の表面に整泡剤がブリードアウトすることを抑制する。また燃焼要素となりうる整泡剤成分を除去することでポリウレタン発泡体が燃焼し易くなることを防止できる。
ここで整泡剤とは、ポリウレタン発泡において整泡機能を有するものであり、ポリウレタン発泡体の製造に一般に用いられる整泡剤を意味する。整泡剤は、例えば、シリコーン系整泡剤、非シリコーン系整泡剤などが挙げられる。
シリコーン系整泡剤は、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖を有する化合物であり、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖とのブロック型構造であっても、主鎖のポリシロキサン鎖に側鎖としてポリオキシアルキレン鎖がグラフトした構造であってもよい。該シリコーン系整泡剤の具体的な製品名としては、例えば、東レダウコーニング社製のSH-193、SF-2937F、SF-2945Fなどが挙げられる。
非シリコーン系整泡剤とは、シリコーン系整泡剤以外の整泡剤をいい、例えば、アクリル系界面活性剤などが挙げられる。該アクリル系界面活性剤は、例えば極性基を側鎖に有するアクリルポリマーなどが挙げられる。
(ゲルタイム)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、ゲルタイムが20秒以下である。ゲルタイムが20秒を超えると、ウレタン樹脂形成速度と整泡力のバランスが崩れポリウレタン発泡体におけるセルが部分的に割れるなどしてセルが粗くなり、断熱性が低下しやすくなる。
形成されるポリウレタン発泡体の断熱性向上の観点から、難燃性ウレタン樹脂組成物のゲルタイムは、好ましくは16秒以下であり、より好ましくは14秒以下であり、さらに好ましくは12秒以下であり、さらに好ましくは10秒以下である。
ゲルタイムは、ポリオール組成物に含まれる触媒の種類及び量などを調節することにより、所望の値に調整できる。ゲルタイムは、カップ発泡法により測定した値である。具体的には、次のように測定する。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物およびポリイソシアネート組成物の液温をそれぞれ10℃に調整する。そして、23℃の室内にて、上記10℃に調整されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を、所定の混合比で合計量が60gの混合液となるように500mLのカップに投入する。その後、該混合液を直ちにラボディスパ(PRIMIX社製高速分散機ホモディスパー 2.5型)にて8000rpmで2秒間の攪拌する。攪拌を開始した時間を測定開始時間(0秒)として、発泡中のフォームに突き刺した棒に、フォームが糸を引くようになるまでの時間(秒)を測定し、これをゲルタイムとする。また三量化触媒が含まれる場合にはフォームが糸を引くのとフォーム内部硬化がほぼ同時に起こる場合がある。
なお、上記した所定の混合比とは、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を調製する際の、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合比を意味する。
(クリームタイム)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、クリームタイムが8秒以下であることが好ましい。クリームタイムが8秒以下であると、樹脂組成物中に含まれる低熱伝導性の発泡剤(例えばハイドロフルオロオレフィン)の系外への飛散を少なくし発泡体中に閉じ込めることができ、断熱性に優れるポリウレタン発泡体を得やすくなる。このような観点から、難燃性ウレタン樹脂組成物のクリームタイムは、より好ましくは6秒以下であり、さらに好ましくは5秒以下であり、さらに好ましくは4秒以下である。
クリームタイムは、ポリオール組成物に含まれる触媒の種類及び量などを調節することにより、所望の値に調整できる。クリームタイムは、カップ発泡法により測定した値である。具体的には、次のように測定する。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物およびポリイソシアネート組成物の液温をそれぞれ10℃に調整する。そして、23℃の室内にて、上記10℃に調整されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を、所定の混合比で合計量が60gの混合液となるように500mLのカップに投入する。その後、該混合液を直ちにラボディスパ(PRIMIX社製高速分散機ホモディスパー 2.5型)にて8000rpmで2秒間の攪拌する。攪拌を開始した時間を測定開始時間(0秒)として、混合液が変色し発泡により液面が上昇開始するまでの時間(秒)を測定し、これをクリームタイムとする。
なお、上記した所定の混合比とは、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を調製する際の、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合比を意味する。
[ポリオール組成物]
本発明におけるポリオール組成物は、ポリオール化合物、液状難燃剤、触媒、及び発泡剤を含む。以下、ポリオール組成物に含まれる各成分について説明する。
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。ポリウレタン発泡体の難燃性を向上させる観点から、ポリオール化合物は、ポリエステルポリオールを含むことが好ましい。また難燃性を向上させるという観点から、含ハロゲンポリオールや含リンポリオールなどの使用も好ましい。
このような観点から、ポリオール化合物100質量部のうち、ポリエステルポリオールを20質量部以上とすることが好ましく、50質量部以上とすることがより好ましく、80質量部以上とすることがさらに好ましく、100質量部とすることが特に好ましい。
なお、2種類以上のポリオール化合物を用いる場合は、ポリオール化合物の水酸基価として、当該2種類以上のポリオール化合物の配合比率に従った平均水酸基価を用いることがある。
例えば、ポリオール化合物として、2種類のポリオール(d1)、ポリオール(d2)を用いる場合、ポリオール(d1)の水酸基価をX、配合比率をm、ポリオール(d2)の水酸基価をX、配合比率をmとすると、該平均水酸基価は、以下の式で表される。なお、配合比率は、質量基準である。
平均水酸基価(mgKOH/g)=X×(m/(m+m))+X×(m/(m+m))
本発明で用いるポリオール化合物の平均水酸基価は、ポリウレタン発泡体の難燃性を向上させる観点から、100~500mgKOH/gが好ましく、150~450mgKOH/gがより好ましく、200~400mgKOH/gがさらに好ましい。
水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールは、芳香環を有するポリエステルポリオールでもよいし、脂肪族ポリエステルポリオールでもよいが、得られるポリウレタン発泡体の難燃性を考慮した場合、芳香環を有するポリエステルポリオールを使用することが好ましい。芳香環を有するポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、ポリオール化合物は、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことが好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましい。
グリコールとしては、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のポリエステルポリオールの構成成分として公知の低分子量脂肪族グリコールを使用することが好ましい。
ポリエステルポリオールの水酸基価は、100~500mgKOH/gが好ましく、150~450mgKOH/gがより好ましく、200~400mgKOH/gがさらに好ましい。
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールは、2個以上の活性水素原子を有する開始剤に、アルキレンオキサイドを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールである。開始剤としては、具体的には例えば、脂肪族多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどの4官能アルコール類、シュクロース類、ソルビトール類などの高官能類)、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミンなどのアルキレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン)、芳香族アミン(例えば、アニリン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、マンニッヒ縮合物など)などが挙げられる。
これらのうち、芳香環を有する開始剤を用いて製造したポリエーテルポリオールが、芳香環を有するポリエーテルポリオールであり、例えば芳香族アミンを開始剤として用いて製造したポリエーテルポリオールは、芳香環を有するポリエーテルポリオールである。芳香環を有するポリエーテルポリオールの中でも、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールなどを好適に使用することができる。
トリレンジアミン系ポリエーテルポリオールとは、開始剤としてトリレンジアミンを用いて製造したトリレンジアミン系ポリエーテルポリオールである。
上記マンニッヒ系ポリエーテルポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られるものであって、分子内に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物に、アルキレンオキサイドを付加させたポリエーテルポリオールである。より具体的には、フェノール及びそのアルキル置換誘導体の少なくともいずれか、ホルムアルデヒド及びアルカノールアミンのマンニッヒ反応により得られたマンニッヒ縮合物、又はこの化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、200~2000mgKOH/gであることが好ましく、300~1000mgKOH/gであることがより好ましい。
<液状難燃剤>
本発明におけるポリオール組成物は、得られるポリウレタン発泡体の難燃性向上の観点から液状難燃剤を含有することが好ましい。液状難燃剤の中でも、特にリン酸エステル系難燃剤が好ましい。リン酸エステル系難燃剤を使用すると、ポリウレタン発泡体の難燃性を向上させることができ、また後述するフィラーを使用した場合でもポリオール組成物の粘度を適切に制御することができる。ここで、液状難燃剤とは、23℃において液状の難燃剤である。
リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)などが挙げられる。
液状難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは45質量部以上であり、そして好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは80質量部以下である。液状難燃剤の含有量がこれら下限値以上であると、ポリウレタン発泡体の難燃性が向上し、これら上限値以下であるとポリウレタン発泡体の機械的強度を向上させることができる。また液状難燃剤を一定量以上含むことで、ポリイソシアネート組成物とポリオール組成物混合時の相溶性が向上するため、整泡剤を含まない場合でも気泡形成安定化が可能となると考えられる。
<フィラー>
本発明におけるポリオール組成物は、フィラーを含有してもよい。フィラーは、難燃性ウレタン樹脂組成物において固体分として含まれるものであり、一般的に粒状、粉状として存在する成分である。フィラーを含有することで、フィラーの種類に応じて、機械的強度や難燃性などの各種物性を向上させることができる。
フィラーは、常温(23℃)、常圧(1気圧)において、固体であり、かつ難燃性ウレタン樹脂組成物において溶解しない成分であればよい。
フィラーとしては、固体難燃剤を含有することが好ましい。固体難燃剤としては、ホウ素系難燃剤、臭素系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、ホスフィン酸系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、赤燐、及び針状フィラー等が好ましい。これらの中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を向上させる観点から、赤燐、針状フィラーなどが好ましい。
(ホウ素系難燃剤)
ホウ素系難燃剤としては、具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。中でも、ホウ酸亜鉛が好ましい。
(臭素系難燃剤)
臭素系難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが
、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
前記芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、等のモノマー系有機臭素化合物、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、前記ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、架橋または非架橋臭素化ポリ(α-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
これらの中でも、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、ヘキサブロモベンゼン等が好ましい。
(リン酸塩含有難燃剤)
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、リン酸と、周期律表IA族~IVB族の金属、
アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合
物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
リン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸が挙
げられる。
前記周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。また前記芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆
する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよい。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水
素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、
リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウ
ム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リ
ン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカ
リウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウ
ム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、
リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一
水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネ
シウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三
カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜
リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
ポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
(アンチモン含有難燃剤)
本発明に使用するアンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられ
る。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム
等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、
ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
アンチモン含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することがで
きる。
(ホスフィン酸系難燃剤)
ホスフィン酸系難燃剤としては、例えば、ホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
(金属水酸化物系難燃剤)
金属水酸化物系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物系難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することもできる。
(赤燐)
赤燐としては、赤燐単体からなるものであってもよいし、赤燐に、樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などを混合したり、被覆したりしたものであってもよい。
(針状フィラー)
針状フィラーとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム含有ウィスカー、珪素含有ウィスカー、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
これらの針状フィラーは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
また、フィラーとしては、上記した難燃剤以外の無機充填剤であってもよい。無機充填剤として、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、グラファイト、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等を適宜使用できる。無機充填剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フィラーの含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは25質量部以上であり、さらに好ましくは30質量部以上であり、そして好ましくは80質量部以下であり、より好ましくは60質量部以下である。
フィラーの含有量がこれら下限値以上であると、用いたフィラーの種類に応じた機能を発揮し易くなり、例えばフィラーとして固体難燃剤を用いた場合には、ポリウレタン発泡体の難燃性が向上しやすくなる。フィラーの含有量がこれら上限値以下であると、吹き付け装置の詰まりなどが抑制され、吹き付け性を向上させることができる。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、上記したフィラーを含まないものであってもよい。フィラーを含まない場合は、保管時に沈殿物が生じ難く、取り扱い性に優れ、かつ使用時に用いる機具などの摩耗を抑制することができる。
<発泡剤>
発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
上記低沸点の炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF3、CH22、CH3F等が挙げられる。
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、例えば、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22 (クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFO-1336mzz(Z)(シス―1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン)、HFO-1224yd(Z)等が挙げられる。
上記した中でも、発泡剤としては、ハイドロフルオロオレフィン、水などが好ましく、ハイドロフルオロオレフィン及び水を併用することがより好ましい。
発泡剤の含有量は、発泡体の密度を所望の範囲に調整する観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは5~70質量部であり、より好ましくは10~60質量部であり、さらに好ましくは20~50質量部である。
発泡剤として使用するハイドロフルオロオレフィンの量は、ポリウレタン発泡体の密度を所望の範囲とする観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは3~60質量部であり、より好ましくは8~57質量部であり、さらに好ましくは19~49質量部である。
発泡剤として使用する水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、イソシアネートインデックスを一定以上に調整する観点、及びポリウレタン発泡体の密度を所望の範囲に調整する観点から、好ましくは0.05~10質量部であり、より好ましくは0.1~3質量部であり、さらに好ましくは0.2~2質量部である。
<触媒>
ポリオール組成物は、触媒を含有する。触媒は、例えばウレタン化触媒、三量化触媒などが挙げられる。三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。ポリウレタン発泡体の難燃性向上の観点及び難燃性ウレタン樹脂組成物のゲルタイムを一定以下に調整する観点から、触媒は三量化触媒を含むことが好ましい。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、トリエチルモノメチルアンモニウム塩、カルボン酸4級アンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用できる。上記カルボン酸アンモニウム塩におけるカルボン酸の好適な具体例としては、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、酢酸、及びギ酸からなる群から選択される少なくとも1種である。三量化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが2種以上を併用することが好ましい。
三量化触媒としては、カルボン酸アルカリ金属塩及びカルボン酸4級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、カルボン酸アルカリ金属塩とカルボン酸4級アンモニウム塩とを併用することが好ましい。
三量化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは1~30質量部であり、より好ましくは2~15質量部である。
また、本発明において触媒は、ウレタン化触媒を含むことが好ましく、上記した三量化触媒及びウレタン化触媒の両方を含むことがより好ましい。
ウレタン化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させる触媒である。具体的には、ウレタン化触媒としては、アミノ化合物、及び金属系ウレタン化触媒などが挙げられる。
金属系ウレタン化触媒としては、錫化合物、ビスマス化合物、アセチルアセトン金属塩が挙げられ、これらの中でも、難燃性ウレタン樹脂組成物のゲルタイムおよびクリームタイムを一定以下に調整する観点から、ビスマス化合物および錫化合物から選択される1種以上が好ましい。
前記アミノ化合物としては、例えば1-メチルイミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2メチルイミダゾール、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物などのイミダゾール系化合物、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルグアニジンおよびそれらの酸ブロック体等が挙げられる。アミノ化合物の中でも、貯蔵安定性の観点からイミダゾール系化合物が好ましい。
また、錫化合物としては、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。ビスマス化合物としては、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
本発明における触媒は、難燃性ウレタン樹脂組成物のゲルタイムおよびクリームタイムを一定以下とする観点から、上記したビスマス化合物を含有することが好ましい。
触媒は金属系ウレタン化触媒を含有することが好ましく、金属系ウレタン化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部であり、より好ましくは1~13質量部であり、さらに好ましくは1.5~10質量部である。
また、ゲルタイムを一定以下とする観点から、ウレタン化触媒として、金属系ウレタン化触媒とアミノ化合物とを併用することが好ましく、中でもビスマス化合物とイミダゾール系化合物の併用がより好ましい。
金属系ウレタン化触媒とアミノ化合物を併用する場合は、金属系ウレタン化触媒に対するアミノ化合物の質量比(アミノ化合物の質量/金属系ウレタン化触媒の質量)は、好ましくは0.1~10であり、より好ましくは0.5~8であり、さらに好ましくは1~5である。
ウレタン化触媒の含有量に特に限定はないが、ポリオール化合物100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、5~25質量部であることがより好ましい。
また、触媒の合計量は、ポリオール化合物100質量部に対して、2~60質量部が好ましく、7~40質量部がより好ましい。
<ポリイソシアネート化合物>
本発明のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。好ましくは、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタン発泡体の物理特性が優れていること、および低コストであることなどから、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)が挙げられる。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。また、イソポリシアネート化合物内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。なお、ポリイソシアネート組成物はポリイソシアネート化合物のみからなるものであってもよい。
本発明のポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物の混合比は、難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスが以下のとおりとなるように調整することが好ましい。難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付け用途として使用する場合は、ポリオール組成物に対するポリイソシアネート組成物の容量比(ポリイソシアネート組成物/ポリオール組成物)は、特に限定されないが、好ましくは0.8~1.2であり、より好ましくは0.9~1.1である。
難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、好ましくは150~600であり、より好ましくは200~500である。イソシアネートインデックスがこれら下限値以上であると難燃性の高いポリウレタン発泡体が得やすくなり、イソシアネートインデックスがこれら上限値以下であると、発泡体形成時の発泡性を良好にすることができる。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数を、ポリオールの水酸基及び発泡剤として用いる水の活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、以下の方法にて算出される。
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
難燃性ウレタン樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記した各成分以外にも、その他添加剤として、例えば、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料、粘着付与樹脂等を含むことができる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とが反応して硬化するため、その粘度は時間と共に変化する。そこで該組成物を使用する前は、該組成物を二以上に分割して、該組成物が反応して硬化することを防止しておく。そして該組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた該組成物を混合することが好ましい。
なお難燃性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分単独では硬化が始まらず、難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるように成分を分割すればよい。通常、難燃性ウレタン樹脂組成物を、ポリオール化合物、難燃剤、触媒、及び発泡剤を含有するポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物とに分割する。そして、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合して、難燃性ウレタン樹脂組成物が調製される。
[ポリウレタン発泡体]
本発明のポリウレタン発泡体は、上記した難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されてなるものであり、具体的には、難燃性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
(密度)
ポリウレタン発泡体の密度は、特に限定されないが、20~200kg/mの範囲であることが好ましい。密度を200kg/m以下とすることで、ポリウレタン発泡体が軽量となり、構造物への施工性が高まる。また、20kg/m以上とすることで、所望の難燃性を発現しやすくなる。これら観点から、ポリウレタン発泡体の密度は、20~100kg/mの範囲であることがより好ましく、23~80kg/mの範囲であることがさらに好ましい。ポリウレタン発泡体の密度は、JIS K7222に準拠して測定できる。
本発明のポリウレタン発泡体は、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合して、難燃性ウレタン樹脂組成物を調製し、これを発泡させることで得ることができる。各成分の混合及び発泡は、公知の方法により行うことができる。例えば高圧発泡機、低圧発泡機、吹き付け発泡機、ハンドミキサーなど公知の装置を用いて得ることができる。
(用途)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物、及び該組成物を発泡させて成るポリウレタン発泡体の用途は特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物などの空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、すなわち、吹き付け用の難燃性ウレタン樹脂組成物として用いることが好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。該混合液における、ポリオール組成物に対するポリイソシアネート組成物の容量比(ポリイソシアネート組成物/ポリオール組成物)は、特に限定されないが、通常は0.8~1.2であり、より一般的には0.9~1.1である。
吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。また原液温度設定・圧力等は一般的なウレタンフォームの吹き付け条件が適応できる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
<ポリオール化合物>
・p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成社製、製品名:RFK-505、水酸基価=250mgKOH/g)
<触媒>
(i)三量化触媒:2-エチルヘキサン酸カリウム塩(エボニック ジャパン社製、製品名:DABCO K-15)、濃度70~80質量%
(ii)三量化触媒:カルボン酸4級アンモニウム塩(エボニック ジャパン社製、製品名:DABCO TMR-7)、濃度45~55質量%
(iii)ウレタン化触媒:1,2-ジメチルイミダゾール(花王社製、製品名:カオライザー No.390)濃度65~75質量%
(iv)ウレタン化触媒:2-エチルヘキサン酸ビスマス(日東化成社製、製品名:BI28)、濃度81~90質量%
(v)ウレタン化触媒:N,N,N',N'-テトラメチルグアニジン(エボニックジャパン社製、製品名:POLYCAT 201)、濃度60%
<液状難燃剤>
・リン酸エステル系難燃剤 トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP)
<フィラー>
・フィラー 赤燐(燐化学工業、製品名:ノーバエクセル140)、固体難燃剤
・フィラー ウォラストナイト(SiO2・CaO)(キンセイマテック社製、製品名:SH-1250)、固体難燃剤
<発泡剤>
・水
・HFO-1233zd<ハイドロフルオロオレフィン>(ハネウェル製、製品名:ソルスティスLBA)
・HFO-1336mzz(Z)(ケマーズ社製、製品名:OPTEON1100)
<ポリイソシアネート化合物>
・MDI(住化コベストロウレタン(株)製、製品名:44V-20)
<整泡剤>
・シリコーン系整泡剤 (東レ・ダウコーニング製、製品名:SF-2945F)
各実施例及び比較例の難燃性ウレタン樹脂組成物及び該組成物により形成したポリウレタン発泡体について、以下のとおり評価した。
[ゲルタイム]
表1に記載の組成のポリオール組成物、およびポリイソシアネート化合物(MDI)からなるポリイソシアネート組成物の液温を、それぞれ10℃に調整した。そして、23℃の室内にて、上記10℃に調整されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を、表のとおりとなる混合比で合計量が60gの混合液となるように500mLのカップに投入した。その後、該混合液を直ちにラボディスパ(PRIMIX社製高速分散機ホモディスパー 2.5型)にて8000rpmで2秒間攪拌した。攪拌を開始した時間を測定開始時間(0秒)として、発泡中のフォームに突き刺した棒に、フォームが糸を引くようになるまでの時間(秒)を測定し、これをゲルタイムとした。
[クリームタイム]
表1に記載の組成のポリオール組成物、およびポリイソシアネート化合物(MDI)からなるポリイソシアネート組成物の液温を、それぞれ10℃に調整した。そして、23℃の室内にて、上記10℃に調整されたポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を、表のとおりとなる混合比で合計量が60gの混合液となるように500mLのカップに投入した。その後、該混合液を直ちにラボディスパ(PRIMIX社製高速分散機ホモディスパー 2.5型)にて8000rpmで2秒間攪拌した。攪拌を開始した時間を測定開始時間(0秒)として、混合液が変色し液面が発泡により上昇開始するまでの時間(秒)を測定し、これをクリームタイムとした。
[ポリウレタン発泡体のセルの状態観察]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体を目視で観察して、セルの状態が微細であり目立った破泡がない場合を「〇」、セルが割れるなどして粗い状態の場合を「×」として評価した。
[熱伝導率]
実施例7、比較例1及び4で作製したポリウレタン発泡体を、長さ200mm、幅200mm、厚さ25mmのサイズに切り出して、熱伝導率測定用の試料とした。
熱伝導率の測定は、試料の厚み方向に対して、英弘製の「HC-074」を用いて熱流計法で行った。
[外部汚染(ブリード)]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体の表面にマジック(ZEBRA社製、「マッキー極細」 油性 黒)で線を描き、マジックのインクをはじかないものを「〇」、はじくものを「×」と評価した。なお、マジックのインクをはじく場合は、ポリウレタン発泡体の表面に整泡剤などがブリードアウトしていることを意味し、使用対象物を汚染し易いことを示している。
[燃焼性]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体を縦10cm、横10cmおよび厚み3.25cm(内石膏ボード12.5mm)に切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備した。該試験用サンプルを、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて加熱したときにサンプルが着火してからの燃焼継続時間を測定した。燃焼継続時間が100秒以下のものを「〇」、燃焼継続時間が100秒超のものを「×」として評価した。
[実施例1~7、比較例1~4]
表1の配合に従いポリオール組成物を調製した。さらに、MDIからなるポリイソシアネート組成物を調製した。それぞれの組成物を吹き付け装置(GRACO社製:A-25)に導入した。装置内で温度調整し、スプレーガン(GRACO社製:APガン)を利用して、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合液からなる難燃性ウレタン樹脂組成物を、厚さ12.5mmの石膏ボード上に吹き付けることで、ポリウレタン発泡体を形成させた。このように形成したポリウレタン発泡体について、上記した「ポリウレタン発泡体のセルの状態観察」、及び「熱伝導率」の評価を行い結果を表1に評価結果を示した。
表1に示す配合で得たポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物からなるポリイソシアネート組成物を、合計200gとなるように、液温10℃、8000rpmで2秒間攪拌して難燃性ウレタン樹脂組成物を得た。そして、該難燃性ウレタン樹脂組成物を、180mm×180mmで深さ100mmのサイズのボックス内に散布し、ポリウレタン発泡体を形成した。このように形成したポリウレタン発泡体について、上記した「外部汚染(ブリード)」の評価を行った。
「燃焼性」の評価においては、上記ボックスとして、底部に下地として厚み12.5mmの石膏ボードをセットしたものを用いて、難燃性ウレタン樹脂組成物をボックス内に散布して形成したポリウレタン発泡体を試料として用いた。
Figure 2022086832000001
なお、各触媒の質量部は製品としての質量部である。
各実施例における難燃性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含まないため、得られたポリウレタン発泡体は表面のブリード物が少なく、さらに燃焼し難いものであった。また、整泡剤を含まないにも関わらず、セルの状態が良好で、熱伝導率が低く断熱性にも優れていた。
一方、比較例1の難燃性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含むため、得られたポリウレタン発泡体は表面のブリードするものが多く、さらに燃焼し易いものであった。比較例2~4の難燃性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含まないものの、ゲルタイムの値が大きいため、セルの状態が粗く、そのため熱伝導率が高く断熱性に劣っていた。

Claims (7)

  1. ポリオール化合物、液状難燃剤、触媒、及び発泡剤を含むポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート組成物とを含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、整泡剤を含有せず、ゲルタイムが20秒以下である、難燃性ウレタン樹脂組成物。
  2. クリームタイムが8秒以下である、請求項1に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  3. 前記触媒が金属系ウレタン化触媒を含有する、請求項1又は2に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  4. 前記ポリオール組成物がさらにフィラーを含有する、請求項1~3のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  5. 前記触媒が三量化触媒を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  6. 前記ポリオール組成物における液状難燃剤の含有量が、ポリオール化合物100質量部に対して20質量部以上である、請求項1~5のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  7. 吹き付け用である、請求項1~6のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。

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